車両の歩行者保護装置
【課題】 車両と歩行者との衝突を検知又は予知したときに、エンジンルームの上側を覆うフードの車幅方向両側部位を遅延させてリフトアップすることにより、フードの車幅方向中央部分の振幅を抑えて、車両と衝突してフードに乗り上げた歩行者の衝撃を有効的に緩和することができる、車両の歩行者保護装置を提供する。
【解決手段】 車両1のエンジンルーム3の上側を覆うフード4の後部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対のリフト装置10と、この車両1と歩行者との衝突を検知する衝突検知センサ11を設け、コントローラにより、衝突検知センサ11により衝突が検知された場合に、1対のリフト装置10の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対のリフト装置10を制御する。
【解決手段】 車両1のエンジンルーム3の上側を覆うフード4の後部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対のリフト装置10と、この車両1と歩行者との衝突を検知する衝突検知センサ11を設け、コントローラにより、衝突検知センサ11により衝突が検知された場合に、1対のリフト装置10の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対のリフト装置10を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両と歩行者との衝突を検知又は予知した場合に、エンジンルームの上側を覆うフードをリフトアップするようにした車両の歩行者保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両と歩行者との衝突を検知又は予知し、その衝突検知時又は衝突予知時に、エンジンルームの上側を覆うフード(ボンネット)をリフト機構により瞬時にリフトアップすることにより、車両と衝突してフードに乗り上げた歩行者がエンジンルーム内のエンジン等の機器から衝撃を受けないようにし、更に、フードを変形させて歩行者の衝撃を吸収するようにして、歩行者を保護する種々の車両の歩行者保護装置が実用に供されている。
【0003】
特許文献1には、エンジンルームの上側を覆うフードの後部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップする1対のリフト機構であって、夫々が、作動モータと、作動モータの駆動力をフードに伝達してフードを持ち上げるリンク機構と、リンク機構の部材に設けられた衝撃吸収部とを有する1対のリフト機構を備えたリフトアップ装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、エンジンルームの上側を覆うフードの後部下側にエアバッグ装置を配設し、エアバッグ装置のエアバッグの展開力によりフードの後部を跳ね上げると共に、エンジンルームの外部に展開したエアバッグにより車両のフロントピラーとフロントウインドウの下部側を覆うように構成した歩行者保護装置が開示されている。
【0005】
ところで、特許文献1のように、1対のリフト機構を備えた車両の歩行者保護装置においては、車両と歩行者との衝突を検知又は予知したときに、1対のリフト機構を同時に作動開始させ、フードの後部の車幅方向両側部位を同タイミングでリフトアップする。
【特許文献1】特開2004−203249号公報
【特許文献2】特開2004−123085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の歩行者保護装置では、1対のリフト機構を同時に作動開始させ、フードの後部の車幅方向両側部位を同タイミングでリフトアップするため、そして、そのリフトアップも瞬時に高速で行われるため、図17に示すように、1対のリフト機構でフードをリフトアップする初動時に、その慣性により、フードのうち1対のリフト機構から同距離に位置する車幅方向中央部分が弾性的に大きく下側へ相対的に撓み、リフトアップ終了時直後、この車幅方向中央部分が復帰する反動で弾性的に大きく振動して上側へも大きく撓み変形する。この上側へ大きく撓んだ状態のときに歩行者がフードに当たると逆に衝撃が大きくなり衝撃を緩和できない虞がある。
【0007】
そこで、フードの撓みを抑えるべく補強することが考えられる。しかし、コストアップ、重量アップとなって不利であると共に、フードの強度、剛性が高くなるため、そのフードを積極的に変形させることにより歩行者の衝撃を吸収する機能を期待できなくなる。
本発明の目的は、車両と歩行者との衝突を検知又は予知したときに、エンジンルームの上側を覆うフードの車幅方向両側部位の一方を遅延させてリフトアップすることにより、フードの車幅方向中央部分の振幅を抑えて、車両と衝突してフードに乗り上げた歩行者の衝撃を有効的に緩和することができる、車両の歩行者保護装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の車両の歩行者保護装置は、車両のエンジンルームの上側を覆うフードの前部と後部の何れか一方の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対のリフト手段と、この車両と歩行者との衝突を検知する衝突検知手段と、前記衝突検知手段により衝突が検知された場合に、1対のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対のリフト手段を制御するリフト制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
リフト制御手段により1対のリフト手段が制御され、衝突検知手段により車両と歩行者との衝突が検知されると、先ず、前記他方のリフト手段が作動開始して対応するフードの部位がリフトアップされ、その作動開始から所定時間経過したときに、前記一方のリフト手段が作動開始して対応するフードの部位がリフトアップされる。
【0010】
こうして、1対のリフト手段でフードをリフトアップするときに、その慣性により、フードの車幅方向中央部分が大きく下側へ撓むことが抑制され、それ故、リフトアップ終了時、この車幅方向中央部分が復帰する反動で大きく振動して上側へ大きく撓み変形することが抑制され、フードの全体的な上下方向の撓み量も小さくなる。尚、前記所定時間については、衝突検知時から歩行者がフードに衝突する迄の間に前記一方のリフト手段がリフトアップを完了可能な時間に設定され、更には、例えば、フードの形状、サイズ、素材、バネ係数等に基づいて、前記撓みを極力抑制できるような時間に設定される。
【0011】
請求項2の車両の歩行者保護装置は、車両のエンジンルームの上側を覆うフードの前部と後部の何れか一方の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対のリフト手段と、この車両と歩行者との衝突を予知する衝突予知手段と、前記衝突予知手段により衝突が予知された場合に、1対のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対のリフト手段を制御するリフト制御手段とを備えたことを特徴とする。請求項1の歩行者保護装置において衝突検知を衝突予知とした作用を奏する。
【0012】
請求項1、2の発明においては、次の構成を採用可能である。
前記1対のリフト手段は、フードの後部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップするものである(請求項3)。前記1対のリフト手段は、フードの後部下側に配設された1対のエアバッグ装置からなり、各エアバッグ装置は、エアバッグを展開する展開力によりフードをリフトアップすると共に、エンジンルームの外部に展開したエアバッグにより少なくともフロントピラーの一部を覆うように構成される(請求項4)。前記フードの前部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対の第2のリフト手段を設け、前記リフト制御手段は、前記1対の第2のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対の第2のリフト手段を制御する(請求項5)。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の車両の歩行者保護装置によれば、衝突検知手段により車両と歩行者との衝突が検知された場合に、リフト制御手段により1対のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように1対のリフト手段を制御するので、1対のリフト手段でフードをリフトアップするときに、その慣性により、フードの車幅方向中央部分が大きく下側へ撓むことを抑制でき、それ故、リフトアップ終了時、この車幅方向中央部分が復帰する反動で大きく振動して上側へ大きく撓み変形することを抑制でき、フードの全体的な上下方向の撓み量も小さくなり、その結果、車両と衝突してフードに乗り上げた歩行者の衝撃を有効的に緩和できる。また、フードの撓みを抑制する為の補強が不要となり、コストアップ、重量アップとなることを抑え、しかも、そのフードを積極的に変形させることにより歩行者の衝撃を吸収するという機能を期待できる。
【0014】
請求項2の車両の歩行者保護装置によれば、衝突予知手段により車両と歩行者との衝突が予知された場合に、リフト制御手段により1対のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように1対のリフト手段を制御するので、請求項1と同様の効果を奏する。
【0015】
請求項3の車両の歩行者保護装置によれば、1対のリフト手段は、フードの後部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップするものであるので、車両と衝突してフードの後部側に乗り上げた歩行者の衝撃をより有効的に緩和できる。
【0016】
請求項4の車両の歩行者保護装置によれば、1対のリフト手段は、フードの後部下側に配設された1対のエアバッグ装置からなり、各エアバッグ装置は、エアバッグを展開する展開力によりフードをリフトアップすると共に、エンジンルームの外部に展開したエアバッグにより少なくともフロントピラーの一部を覆うように構成したので、エアバッグを展開させて少なくともフロントピラーの一部を覆う、という機能を有するエアバッグ装置のエアバッグ展開力を利用して、フードの後部の車幅方向両側部位をリフトアップでき、他のリフト用のアクチュエータを必要としないため、コスト的にも有利になり、エアバッグ装置の前記機能により、フードに乗り上げた歩行者の安全性をより高めることができる。
【0017】
請求項5の車両の歩行者保護装置によれば、フードの前部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対の第2のリフト手段を設け、リフト制御手段により1対の第2のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように1対の第2のリフト手段を制御するので、フードを全体的にリフトアップできると共に、フードの車幅方向中央部分が大きく撓むことを抑制でき、フードの全体的な上下方向の撓み量も小さくできるので、車両と衝突してフードに乗り上げた歩行者の衝撃をより有効的に緩和できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の車両の歩行者保護装置は、車両のエンジンルームの上側を覆うフードの前部と後部の何れか一方の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対のリフト手段と、この車両と歩行者との衝突を検知(予知)する衝突検知手段(衝突予知手段)と、この衝突検知手段(衝突予知手段)により衝突が検知(予知)された場合に、1対のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対のリフト手段を制御するリフト制御手段とを備えたものである。
【実施例1】
【0019】
図1、図2に示すように、車両1(自動車1)の前部には、エンジン2等のパワープラントを収納するエンジンルーム3が設けられ、このエンジンルーム3の上側を覆うフード4が設けられ、この車両1と衝突してフード4に乗り上げた歩行者を保護する歩行者保護装置5が設けられている。フード4はその後端部が車体に対して回動自在に連結され、フード4の前部を上側へ持ち上げてエンジンルーム3が開けられる。
【0020】
図1〜図5に示すように、歩行者保護装置5は、フード4の後部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な左右1対のリフト装置10と、この車両1と歩行者との衝突を検知する衝突検知センサ11(衝突検知手段)と、衝突検知センサ11により衝突が検知された場合に、1対のリフト装置10の一方を他方に対して所定時間T(例えば、T=5msec )遅延させて作動開始させるように、1対のリフト装置10を制御するコントローラ12(リフト制御手段)とを備えている。
【0021】
図1〜図4に示すように、1対のリフト装置10はエンジンルーム3の後部の車幅方向両側部分においてフード4の下側に配設されている。各リフト装置10は、シリンダ20と、ピストンロッド21と、シリンダ21に収容され火薬22を内蔵したインフレータとを有し、上向きに設けられて、シリンダ20の下端部が支軸23を介して車体(例えば、ホイールエプロン)に回動自在に連結され、ピストンロッド21の上端部が支軸24を介してフード4の下面側に回動自在に連結されている。尚、各リフト装置10を下向きに設けてもよい。
【0022】
図3に示すように、通常時、各リフト装置5は例えば鉛直姿勢となり、開閉されるフード4の所定の回動軸心と支軸24とが一致するように、各リフト装置10が保持されている。ここで、フード4は1対のリフト装置10のみで回動可能に支持され、この場合、通常時、支軸24を前記所定の回動軸心と一致する位置に保持する何らか保持手段を設けることが好ましい。但し、その保持はリフト装置5の作動時に解除されるものである。
【0023】
図4に示すように、各リフト装置5は火薬22に点火されると作動し、その点火によって発生する圧縮ガスによりピストンロッド21が伸長駆動され、リフト装置5は僅かに傾動しつつ、そのリフト装置5に対応するフード4の部位がリフトアップされ、ピストンロッド21が最大限伸長すると、フード4が最大限リフトアップされた状態となる。
【0024】
衝突検知センサ11は、例えば、細長い帯状のタッチセンサであり、車両1のフロントバンパー1aに車幅方向全幅に亙って設けられている。例えば、衝突検知センサ11は、車幅方向全幅に亙って延びる光ファイバを組み込んでなるものであり、その光ファイバを介して受ける光量に基づいて、コントローラ12により、車両が衝突したか否かの検知の判定と、その衝突物が歩行者か否かの判定とを可能に構成してある。尚、衝突検知センサ11として、Gセンサ等の種々のセンサを適用可能である。
【0025】
図5に示すように、コントローラ12には衝突検知センサ11と1対のリフト装置10が電気的に接続されている。コントローラ12は、その記憶部にリフト制御プログラムが格納され、そのリフト制御プログラムに基づいて1対のリフト装置10を制御する。
【0026】
図6にフローチャートで示すように、コントローラ12が実行するリフト制御は、イグニションスイッチがオンされると開始され、先ず、衝突検知センサ11から受ける信号に基づいて、衝突有りか否か判定され(S1)、衝突有りと判定した場合には(S1;Yes )、その衝突物が歩行者か否か判定される(S2)。
【0027】
衝突物が歩行者であると判定した場合(S2;Yes )、先ず、左側のリフト装置10を作動させて、フード4の後部の左側部位の上昇が開始され(S3)、続いて、その上昇開始時から所定時間T経過した否か判定され(S4)、所定時間T経過した場合(S4;Yes )、次に、右側のリフト装置10を作動させて、フード4の後部の右側部位の上昇が開始され(S5)、終了する。
【0028】
尚、S1において、衝突無しと判定した場合にはリターンし、S2において、衝突物が歩行者でないと判定した場合には終了する。尚、S3において、右側のリフト装置10を作動させ、フード4の後部の右側部位の上昇が開始され、S5において、左側のリフト装置10を作動させ、フード4の後部の左側部位の上昇が開始されるようにしてもよい。
【0029】
つまり、図7に示すように、(a)衝突検知センサ11により車両と歩行者との衝突が検知されると、(b)先ず、左側のリフト装置10が作動開始してフード4の左側部位がリフトアップされ、その作動開始から所定時間T経過したとき、フード4の左側部位のリフトアップが完了する迄に、(c)右側リフト装置10が作動開始してフード4の右側部位がリフトアップされる。そして、(d)フード4の左側部位のリフトアップが完了し、(e)続いて、フード4の右側部位のリフトアップが完了し、(f)最終的に、フード4の後部全体がリフトアップされる。
【0030】
このように、この歩行者保護装置1によれば、1対のリフト装置10の一方を他方に対して所定時間T遅延させて作動開始させるので、図17に示す従来例と比較しても明らかなように、1対のリフト装置10でフード4をリフトアップするときに、その慣性により、フード4の車幅方向中央部分が大きく下側へ撓むことを抑制でき、それ故、リフトアップ終了時、この車幅方向中央部分が復帰する反動で大きく振動して上側へ大きく撓み変形することを抑制でき、フード4の全体的な上下方向の撓み量も小さくなる。
【0031】
その結果、車両1と衝突してフード4に乗り上げた歩行者の衝撃を有効的に緩和でき、また、フード4の撓みを抑制する為の補強が不要となり、コストアップ、重量アップとなることを抑え、しかも、そのフード4を積極的に変形させることにより歩行者の衝撃を吸収するという機能を期待することができる。
【0032】
尚、衝突検知センサ11の代わりに、この車両1と歩行者との衝突を予知する衝突予知手段を設け、コントローラ12は、衝突予知手段により衝突が予知された場合に、1対のリフト装置10の一方を他方に対して所定時間T遅延させて作動開始させるように、1対のリフト装置10を制御するようにしてもよい。尚、衝突予知手段としては、車両1の前方を撮像する前方撮像カメラで構成され、この前方撮像カメラからの撮像情報によって、歩行者がフード3上に乗り上げるか否かが判定される。
【実施例2】
【0033】
図8〜図13に示すように、歩行者保護装置5Aは、フード4の後部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な左右1対のエアバッグ装置30と、この車両1と歩行者との衝突を予知する衝突予知手段としての前方撮像カメラ31と、前方撮像カメラ31により衝突が予知された場合に、1対のエアバッグ装置30の一方を他方に対して所定時間T(例えば、T=5msec )遅延させて作動開始させるように、1対のエアバッグ装置30を制御するコントローラ32(リフト制御手段)とを備えている。
【0034】
図8〜図12に示すように、1対のエアバッグ装置30はエンジンルーム3の後部においてフード4の下側に車幅方向に並べて配設されている。各エアバッグ装置30は、車体側の部材に固定された合成樹脂製のバッグケース40と、バッグケース40に折り畳んで収容されたエアバッグ41と、エアバッグ41に圧縮ガスを供給するインフレータ42を有する。各エアバッグ装置30はインフレータ42に通電されると作動し、インフレータ42から発生した圧縮ガスによりエアバッグ41がバッグケース40の上壁40aの後端部の脆弱部40bを破断し上壁40aを開放して展開していく。尚、図10に示すように、1対のエアバッグ装置30の1対のエアバッグ41は一体形成され、その中間部が仕切部41aで仕切られて1対のエアバッグ41を夫々独立に展開可能である。
【0035】
ここで、図11、図12に示すように、フード4はその後端部が左右1対のヒンジ機構50により車体に対して回動自在に連結され、フード4の前部を上側へ持ち上げてエンジンルーム3が開けられる。各ヒンジ機構50は、フード4の後端下面側に固定された第1ヒンジ部材51と、後端部が第1支軸52を介して第1ヒンジ部材51に回動自在に連結され且つ前端部が第2支軸53を介して車体側の部材に回動自在に連結された第2ヒンジ部材54と、支軸52が所定の高さ位置となる状態(図11参照)で第2ヒンジ部材54を支軸53回りに回動させないように車体側の部材に拘束するピン部材55を有する。
【0036】
通常時、各ヒンジ機構50は図11に示す状態となり、第1支軸52回りにフード4の後端部が回動してフード4が開閉される。そして、各エアバッグ装置30は、エアバッグ41を展開する展開力により、図12に示すように、フード4の後部を持ち上げる力によりピン部材55を破断させ、第2ヒンジ部材54を第2支軸53回りに回動させて、フード4をリフトアップすると共に、エンジンルーム3の外部に展開したエアバッグ41によりフロントピラー1bとフロントウインドウ1cの下部側を覆うように構成されている。ここで、第2ヒンジ部材54が第2支軸53回りに回動してストッパ56に係止されるとこれ以上回動しなくなり、フード4が最大限リフトアップされた状態となる。
【0037】
衝突予知手段としての前方撮像カメラ31は、例えば、車両1のルームミラーに取付られており、撮像した画像情報から、コントローラ32により、車両が衝突するか否かの予知の判定と、その衝突物が歩行者か否かの判定とを可能に構成してある。尚、前方撮像カメラ31の個数や配置も適宜変更可能である。
【0038】
図13に示すように、コントローラ32には前方撮像カメラ31と1対のエアバッグ装置30の1対のインフレータ42が電気的に接続されている。コントローラ32は、その記憶部にリフト制御プログラムが格納され、そのリフト制御プログラムに基づいて1対のエアバッグ装置30を制御する。
【0039】
図14にフローチャートで示すように、コントローラ32が実行するリフト制御は、イグニションスイッチがオンされると開始され、先ず、前方撮像カメラ31から受ける信号(画像情報)に基づいて、衝突予知か否か判定され(S10)、衝突予知と判定した場合には(S10;Yes )、その衝突予知物が歩行者か否か判定される(S11)。
【0040】
衝突予知物が歩行者であると判定した場合(S11;Yes )、先ず、左側のエアバッグ装置30を作動させ、フード4の後部の左側部位の上昇が開始され(S12)、続いて、その上昇開始時から所定時間T経過した否か判定され(S13)、所定時間T経過した場合(S4;Yes )、次に、右側のエアバッグ装置30を作動させ、フード4の後部の右側部位の上昇が開始され(S14)、終了する。
【0041】
尚、S10において、衝突予知無しと判定した場合にはリターンし、S11において、衝突予知物が歩行者でないと判定した場合には終了する。尚、S12において、右側のエアバッグ装置30を作動させ、フード4の後部の右側部位の上昇が開始され、S14において、左側のエアバッグ装置30を作動させ、フード4の後部の左側部位の上昇が開始されるようにしてもよい。
【0042】
この歩行者保護装置5Aによれば、前方撮像カメラ31により車両1と歩行者との衝突が予知された場合に、コントローラ32により1対のエアバッグ装置30の一方を他方に対して所定時間T遅延させて作動開始させるように1対のエアバッグ装置30を制御するので、請求項1と同様の効果を奏する。
【0043】
更に、各エアバッグ装置30は、エンジンルーム3の外部に展開したエアバッグ41によりフロントピラー1bとフロントウインドウ1cの下部側を覆うように構成したので、エアバッグ41を展開させてフロントピラー1bとフロントウインドウ1cの下部側を覆う、という機能を有するエアバッグ装置30のエアバッグ41の展開力を利用して、フード4の後部の車幅方向両側部位をリフトアップでき、他のリフト用のアクチュエータを必要としないため、コスト的にも有利になり、エアバッグ装置30の前記機能により、フード4に乗り上げた歩行者の安全性をより高めることができる。
【0044】
尚、衝突予知手段としての前方撮像カメラ31の代わりに、この車両1と歩行者との衝突を検知する衝突検知センサ(衝突検知手段)を設け、コントローラ32は、衝突検知センサにより衝突が検知された場合に、1対のエアバッグ装置30の一方を他方に対して所定時間T遅延させて作動開始させるように、1対のエアバッグ装置30を制御するようにしてもよい。
【実施例3】
【0045】
図15に示すように、歩行者保護装置5Bは、フード4の前部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対の第2のリフト装置10B(或いはエアバッグ装置)を設け、コントローラ(リフト制御手段)は、1対の第2のリフト装置10B(エアバッグ装置)の一方を他方に対して所定時間T遅延させて作動開始させるように、1対の第2のリフト装置10B(エアバッグ装置)を制御するようにしたものである。
【0046】
この場合、図15に示すように、実施例1の歩行者保護装置5に1対の第2のリフト装置10Bを設け、その第2のリフト装置10Bを実施例1のリフト装置10と同構造にして、この歩行者保護装置5Bを構成してもよいし、図示していないが、実施例2の歩行者保護装置5Aに1対の第2のエアバッグ装置を設け、その第2のエアバッグ装置を実施例2のエアバッグ装置30と同構造にして、この歩行者保護装置5Bを構成してもよい。
【0047】
こうして、フード4を全体的にリフトアップできると共に、フード4の車幅方向中央部分が大きく撓むことを抑制でき、フード4の全体的な上下方向の撓み量も小さくできるので、車両1と衝突してフード4に乗り上げた歩行者の衝撃をより有効的に緩和できる。
【実施例4】
【0048】
実施例1〜3において、車両1と歩行者との衝突位置を検出し、その衝突位置に応じて、衝突位置に近い側のリフト装置(エアバッグ装置)を最初に作動させる一方のリフト装置(エアバッグ装置)に決定し、その決定に基づいて、1対のリフト装置(エアバッグ装置)の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対のリフト装置(エアバッグ装置)を制御するように構成する。この場合、車両1と歩行者との衝突位置を検知又は予知可能な衝突検知手段又は衝突予知手段を設ける。
【0049】
図16にフローチャートで示すように、コントローラが実行するリフト制御が開始され、衝突有り(衝突予知)と判定した場合(S20;Yes )、次に、その衝突物が歩行者であると判定した場合(S21;Yes )、車両1と歩行者との衝突位置を検出する(S22)。そして、衝突位置が左側の場合(S23;Yes )、先ず、左側のエアバッグ装置30を作動させ(S24)、その後、所定時間T経過した場合(S25;Yes )、右側のエアバッグ装置30を作動させる(S26)。一方、衝突位置が左側でない場合(即ち、左右中心を含む右側の場合)(S23;No)、先ず、右側のエアバッグ装置30を作動させ(S27)、その後、所定時間T経過した場合(S28;Yes )、左側のエアバッグ装置30を作動させる(S29)。
【0050】
尚、本発明の車両の歩行者保護装置は、自動車以外の種々の車両に適用することが可能であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記開示事項以外の変更を付加して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1の歩行者保護装置を備えた車両の斜視図である。
【図2】車両の側面図である。
【図3】リフト装置(非作動時)の側面図である。
【図4】リフト装置(作動時)の側面図である。
【図5】歩行者保護装置の制御系のブロック図である。
【図6】リフト制御のフローチャートである。
【図7】フードをリフトアップする際の状態移行を示す図である。
【図8】実施例2の歩行者保護装置を備えた車両の斜視図である。
【図9】車両の側面図である。
【図10】エアバッグ装置(作動時)の斜視図である。
【図11】エアバッグ装置(非作動時)の側面図である。
【図12】エアバッグ装置(作動時)の側面図である。
【図13】歩行者保護装置の制御系のブロック図である。
【図14】リフト制御のフローチャートである。
【図15】実施例3の歩行者保護装置を備えた車両の斜視図である。
【図16】実施例4のリフト制御のフローチャートである。
【図17】従来技術のフードをリフトアップする際の状態移行を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 車両
3 エンジンルーム
4 フード
5,5A,5B 歩行者保護装置
10 リフト装置
10B 第2のリフト装置
11 衝突検知センサ
12,32 コントローラ
30 エアバッグ装置
31 前方撮像カメラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両と歩行者との衝突を検知又は予知した場合に、エンジンルームの上側を覆うフードをリフトアップするようにした車両の歩行者保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両と歩行者との衝突を検知又は予知し、その衝突検知時又は衝突予知時に、エンジンルームの上側を覆うフード(ボンネット)をリフト機構により瞬時にリフトアップすることにより、車両と衝突してフードに乗り上げた歩行者がエンジンルーム内のエンジン等の機器から衝撃を受けないようにし、更に、フードを変形させて歩行者の衝撃を吸収するようにして、歩行者を保護する種々の車両の歩行者保護装置が実用に供されている。
【0003】
特許文献1には、エンジンルームの上側を覆うフードの後部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップする1対のリフト機構であって、夫々が、作動モータと、作動モータの駆動力をフードに伝達してフードを持ち上げるリンク機構と、リンク機構の部材に設けられた衝撃吸収部とを有する1対のリフト機構を備えたリフトアップ装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、エンジンルームの上側を覆うフードの後部下側にエアバッグ装置を配設し、エアバッグ装置のエアバッグの展開力によりフードの後部を跳ね上げると共に、エンジンルームの外部に展開したエアバッグにより車両のフロントピラーとフロントウインドウの下部側を覆うように構成した歩行者保護装置が開示されている。
【0005】
ところで、特許文献1のように、1対のリフト機構を備えた車両の歩行者保護装置においては、車両と歩行者との衝突を検知又は予知したときに、1対のリフト機構を同時に作動開始させ、フードの後部の車幅方向両側部位を同タイミングでリフトアップする。
【特許文献1】特開2004−203249号公報
【特許文献2】特開2004−123085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の歩行者保護装置では、1対のリフト機構を同時に作動開始させ、フードの後部の車幅方向両側部位を同タイミングでリフトアップするため、そして、そのリフトアップも瞬時に高速で行われるため、図17に示すように、1対のリフト機構でフードをリフトアップする初動時に、その慣性により、フードのうち1対のリフト機構から同距離に位置する車幅方向中央部分が弾性的に大きく下側へ相対的に撓み、リフトアップ終了時直後、この車幅方向中央部分が復帰する反動で弾性的に大きく振動して上側へも大きく撓み変形する。この上側へ大きく撓んだ状態のときに歩行者がフードに当たると逆に衝撃が大きくなり衝撃を緩和できない虞がある。
【0007】
そこで、フードの撓みを抑えるべく補強することが考えられる。しかし、コストアップ、重量アップとなって不利であると共に、フードの強度、剛性が高くなるため、そのフードを積極的に変形させることにより歩行者の衝撃を吸収する機能を期待できなくなる。
本発明の目的は、車両と歩行者との衝突を検知又は予知したときに、エンジンルームの上側を覆うフードの車幅方向両側部位の一方を遅延させてリフトアップすることにより、フードの車幅方向中央部分の振幅を抑えて、車両と衝突してフードに乗り上げた歩行者の衝撃を有効的に緩和することができる、車両の歩行者保護装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の車両の歩行者保護装置は、車両のエンジンルームの上側を覆うフードの前部と後部の何れか一方の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対のリフト手段と、この車両と歩行者との衝突を検知する衝突検知手段と、前記衝突検知手段により衝突が検知された場合に、1対のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対のリフト手段を制御するリフト制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
リフト制御手段により1対のリフト手段が制御され、衝突検知手段により車両と歩行者との衝突が検知されると、先ず、前記他方のリフト手段が作動開始して対応するフードの部位がリフトアップされ、その作動開始から所定時間経過したときに、前記一方のリフト手段が作動開始して対応するフードの部位がリフトアップされる。
【0010】
こうして、1対のリフト手段でフードをリフトアップするときに、その慣性により、フードの車幅方向中央部分が大きく下側へ撓むことが抑制され、それ故、リフトアップ終了時、この車幅方向中央部分が復帰する反動で大きく振動して上側へ大きく撓み変形することが抑制され、フードの全体的な上下方向の撓み量も小さくなる。尚、前記所定時間については、衝突検知時から歩行者がフードに衝突する迄の間に前記一方のリフト手段がリフトアップを完了可能な時間に設定され、更には、例えば、フードの形状、サイズ、素材、バネ係数等に基づいて、前記撓みを極力抑制できるような時間に設定される。
【0011】
請求項2の車両の歩行者保護装置は、車両のエンジンルームの上側を覆うフードの前部と後部の何れか一方の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対のリフト手段と、この車両と歩行者との衝突を予知する衝突予知手段と、前記衝突予知手段により衝突が予知された場合に、1対のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対のリフト手段を制御するリフト制御手段とを備えたことを特徴とする。請求項1の歩行者保護装置において衝突検知を衝突予知とした作用を奏する。
【0012】
請求項1、2の発明においては、次の構成を採用可能である。
前記1対のリフト手段は、フードの後部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップするものである(請求項3)。前記1対のリフト手段は、フードの後部下側に配設された1対のエアバッグ装置からなり、各エアバッグ装置は、エアバッグを展開する展開力によりフードをリフトアップすると共に、エンジンルームの外部に展開したエアバッグにより少なくともフロントピラーの一部を覆うように構成される(請求項4)。前記フードの前部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対の第2のリフト手段を設け、前記リフト制御手段は、前記1対の第2のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対の第2のリフト手段を制御する(請求項5)。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の車両の歩行者保護装置によれば、衝突検知手段により車両と歩行者との衝突が検知された場合に、リフト制御手段により1対のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように1対のリフト手段を制御するので、1対のリフト手段でフードをリフトアップするときに、その慣性により、フードの車幅方向中央部分が大きく下側へ撓むことを抑制でき、それ故、リフトアップ終了時、この車幅方向中央部分が復帰する反動で大きく振動して上側へ大きく撓み変形することを抑制でき、フードの全体的な上下方向の撓み量も小さくなり、その結果、車両と衝突してフードに乗り上げた歩行者の衝撃を有効的に緩和できる。また、フードの撓みを抑制する為の補強が不要となり、コストアップ、重量アップとなることを抑え、しかも、そのフードを積極的に変形させることにより歩行者の衝撃を吸収するという機能を期待できる。
【0014】
請求項2の車両の歩行者保護装置によれば、衝突予知手段により車両と歩行者との衝突が予知された場合に、リフト制御手段により1対のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように1対のリフト手段を制御するので、請求項1と同様の効果を奏する。
【0015】
請求項3の車両の歩行者保護装置によれば、1対のリフト手段は、フードの後部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップするものであるので、車両と衝突してフードの後部側に乗り上げた歩行者の衝撃をより有効的に緩和できる。
【0016】
請求項4の車両の歩行者保護装置によれば、1対のリフト手段は、フードの後部下側に配設された1対のエアバッグ装置からなり、各エアバッグ装置は、エアバッグを展開する展開力によりフードをリフトアップすると共に、エンジンルームの外部に展開したエアバッグにより少なくともフロントピラーの一部を覆うように構成したので、エアバッグを展開させて少なくともフロントピラーの一部を覆う、という機能を有するエアバッグ装置のエアバッグ展開力を利用して、フードの後部の車幅方向両側部位をリフトアップでき、他のリフト用のアクチュエータを必要としないため、コスト的にも有利になり、エアバッグ装置の前記機能により、フードに乗り上げた歩行者の安全性をより高めることができる。
【0017】
請求項5の車両の歩行者保護装置によれば、フードの前部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対の第2のリフト手段を設け、リフト制御手段により1対の第2のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように1対の第2のリフト手段を制御するので、フードを全体的にリフトアップできると共に、フードの車幅方向中央部分が大きく撓むことを抑制でき、フードの全体的な上下方向の撓み量も小さくできるので、車両と衝突してフードに乗り上げた歩行者の衝撃をより有効的に緩和できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の車両の歩行者保護装置は、車両のエンジンルームの上側を覆うフードの前部と後部の何れか一方の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対のリフト手段と、この車両と歩行者との衝突を検知(予知)する衝突検知手段(衝突予知手段)と、この衝突検知手段(衝突予知手段)により衝突が検知(予知)された場合に、1対のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対のリフト手段を制御するリフト制御手段とを備えたものである。
【実施例1】
【0019】
図1、図2に示すように、車両1(自動車1)の前部には、エンジン2等のパワープラントを収納するエンジンルーム3が設けられ、このエンジンルーム3の上側を覆うフード4が設けられ、この車両1と衝突してフード4に乗り上げた歩行者を保護する歩行者保護装置5が設けられている。フード4はその後端部が車体に対して回動自在に連結され、フード4の前部を上側へ持ち上げてエンジンルーム3が開けられる。
【0020】
図1〜図5に示すように、歩行者保護装置5は、フード4の後部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な左右1対のリフト装置10と、この車両1と歩行者との衝突を検知する衝突検知センサ11(衝突検知手段)と、衝突検知センサ11により衝突が検知された場合に、1対のリフト装置10の一方を他方に対して所定時間T(例えば、T=5msec )遅延させて作動開始させるように、1対のリフト装置10を制御するコントローラ12(リフト制御手段)とを備えている。
【0021】
図1〜図4に示すように、1対のリフト装置10はエンジンルーム3の後部の車幅方向両側部分においてフード4の下側に配設されている。各リフト装置10は、シリンダ20と、ピストンロッド21と、シリンダ21に収容され火薬22を内蔵したインフレータとを有し、上向きに設けられて、シリンダ20の下端部が支軸23を介して車体(例えば、ホイールエプロン)に回動自在に連結され、ピストンロッド21の上端部が支軸24を介してフード4の下面側に回動自在に連結されている。尚、各リフト装置10を下向きに設けてもよい。
【0022】
図3に示すように、通常時、各リフト装置5は例えば鉛直姿勢となり、開閉されるフード4の所定の回動軸心と支軸24とが一致するように、各リフト装置10が保持されている。ここで、フード4は1対のリフト装置10のみで回動可能に支持され、この場合、通常時、支軸24を前記所定の回動軸心と一致する位置に保持する何らか保持手段を設けることが好ましい。但し、その保持はリフト装置5の作動時に解除されるものである。
【0023】
図4に示すように、各リフト装置5は火薬22に点火されると作動し、その点火によって発生する圧縮ガスによりピストンロッド21が伸長駆動され、リフト装置5は僅かに傾動しつつ、そのリフト装置5に対応するフード4の部位がリフトアップされ、ピストンロッド21が最大限伸長すると、フード4が最大限リフトアップされた状態となる。
【0024】
衝突検知センサ11は、例えば、細長い帯状のタッチセンサであり、車両1のフロントバンパー1aに車幅方向全幅に亙って設けられている。例えば、衝突検知センサ11は、車幅方向全幅に亙って延びる光ファイバを組み込んでなるものであり、その光ファイバを介して受ける光量に基づいて、コントローラ12により、車両が衝突したか否かの検知の判定と、その衝突物が歩行者か否かの判定とを可能に構成してある。尚、衝突検知センサ11として、Gセンサ等の種々のセンサを適用可能である。
【0025】
図5に示すように、コントローラ12には衝突検知センサ11と1対のリフト装置10が電気的に接続されている。コントローラ12は、その記憶部にリフト制御プログラムが格納され、そのリフト制御プログラムに基づいて1対のリフト装置10を制御する。
【0026】
図6にフローチャートで示すように、コントローラ12が実行するリフト制御は、イグニションスイッチがオンされると開始され、先ず、衝突検知センサ11から受ける信号に基づいて、衝突有りか否か判定され(S1)、衝突有りと判定した場合には(S1;Yes )、その衝突物が歩行者か否か判定される(S2)。
【0027】
衝突物が歩行者であると判定した場合(S2;Yes )、先ず、左側のリフト装置10を作動させて、フード4の後部の左側部位の上昇が開始され(S3)、続いて、その上昇開始時から所定時間T経過した否か判定され(S4)、所定時間T経過した場合(S4;Yes )、次に、右側のリフト装置10を作動させて、フード4の後部の右側部位の上昇が開始され(S5)、終了する。
【0028】
尚、S1において、衝突無しと判定した場合にはリターンし、S2において、衝突物が歩行者でないと判定した場合には終了する。尚、S3において、右側のリフト装置10を作動させ、フード4の後部の右側部位の上昇が開始され、S5において、左側のリフト装置10を作動させ、フード4の後部の左側部位の上昇が開始されるようにしてもよい。
【0029】
つまり、図7に示すように、(a)衝突検知センサ11により車両と歩行者との衝突が検知されると、(b)先ず、左側のリフト装置10が作動開始してフード4の左側部位がリフトアップされ、その作動開始から所定時間T経過したとき、フード4の左側部位のリフトアップが完了する迄に、(c)右側リフト装置10が作動開始してフード4の右側部位がリフトアップされる。そして、(d)フード4の左側部位のリフトアップが完了し、(e)続いて、フード4の右側部位のリフトアップが完了し、(f)最終的に、フード4の後部全体がリフトアップされる。
【0030】
このように、この歩行者保護装置1によれば、1対のリフト装置10の一方を他方に対して所定時間T遅延させて作動開始させるので、図17に示す従来例と比較しても明らかなように、1対のリフト装置10でフード4をリフトアップするときに、その慣性により、フード4の車幅方向中央部分が大きく下側へ撓むことを抑制でき、それ故、リフトアップ終了時、この車幅方向中央部分が復帰する反動で大きく振動して上側へ大きく撓み変形することを抑制でき、フード4の全体的な上下方向の撓み量も小さくなる。
【0031】
その結果、車両1と衝突してフード4に乗り上げた歩行者の衝撃を有効的に緩和でき、また、フード4の撓みを抑制する為の補強が不要となり、コストアップ、重量アップとなることを抑え、しかも、そのフード4を積極的に変形させることにより歩行者の衝撃を吸収するという機能を期待することができる。
【0032】
尚、衝突検知センサ11の代わりに、この車両1と歩行者との衝突を予知する衝突予知手段を設け、コントローラ12は、衝突予知手段により衝突が予知された場合に、1対のリフト装置10の一方を他方に対して所定時間T遅延させて作動開始させるように、1対のリフト装置10を制御するようにしてもよい。尚、衝突予知手段としては、車両1の前方を撮像する前方撮像カメラで構成され、この前方撮像カメラからの撮像情報によって、歩行者がフード3上に乗り上げるか否かが判定される。
【実施例2】
【0033】
図8〜図13に示すように、歩行者保護装置5Aは、フード4の後部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な左右1対のエアバッグ装置30と、この車両1と歩行者との衝突を予知する衝突予知手段としての前方撮像カメラ31と、前方撮像カメラ31により衝突が予知された場合に、1対のエアバッグ装置30の一方を他方に対して所定時間T(例えば、T=5msec )遅延させて作動開始させるように、1対のエアバッグ装置30を制御するコントローラ32(リフト制御手段)とを備えている。
【0034】
図8〜図12に示すように、1対のエアバッグ装置30はエンジンルーム3の後部においてフード4の下側に車幅方向に並べて配設されている。各エアバッグ装置30は、車体側の部材に固定された合成樹脂製のバッグケース40と、バッグケース40に折り畳んで収容されたエアバッグ41と、エアバッグ41に圧縮ガスを供給するインフレータ42を有する。各エアバッグ装置30はインフレータ42に通電されると作動し、インフレータ42から発生した圧縮ガスによりエアバッグ41がバッグケース40の上壁40aの後端部の脆弱部40bを破断し上壁40aを開放して展開していく。尚、図10に示すように、1対のエアバッグ装置30の1対のエアバッグ41は一体形成され、その中間部が仕切部41aで仕切られて1対のエアバッグ41を夫々独立に展開可能である。
【0035】
ここで、図11、図12に示すように、フード4はその後端部が左右1対のヒンジ機構50により車体に対して回動自在に連結され、フード4の前部を上側へ持ち上げてエンジンルーム3が開けられる。各ヒンジ機構50は、フード4の後端下面側に固定された第1ヒンジ部材51と、後端部が第1支軸52を介して第1ヒンジ部材51に回動自在に連結され且つ前端部が第2支軸53を介して車体側の部材に回動自在に連結された第2ヒンジ部材54と、支軸52が所定の高さ位置となる状態(図11参照)で第2ヒンジ部材54を支軸53回りに回動させないように車体側の部材に拘束するピン部材55を有する。
【0036】
通常時、各ヒンジ機構50は図11に示す状態となり、第1支軸52回りにフード4の後端部が回動してフード4が開閉される。そして、各エアバッグ装置30は、エアバッグ41を展開する展開力により、図12に示すように、フード4の後部を持ち上げる力によりピン部材55を破断させ、第2ヒンジ部材54を第2支軸53回りに回動させて、フード4をリフトアップすると共に、エンジンルーム3の外部に展開したエアバッグ41によりフロントピラー1bとフロントウインドウ1cの下部側を覆うように構成されている。ここで、第2ヒンジ部材54が第2支軸53回りに回動してストッパ56に係止されるとこれ以上回動しなくなり、フード4が最大限リフトアップされた状態となる。
【0037】
衝突予知手段としての前方撮像カメラ31は、例えば、車両1のルームミラーに取付られており、撮像した画像情報から、コントローラ32により、車両が衝突するか否かの予知の判定と、その衝突物が歩行者か否かの判定とを可能に構成してある。尚、前方撮像カメラ31の個数や配置も適宜変更可能である。
【0038】
図13に示すように、コントローラ32には前方撮像カメラ31と1対のエアバッグ装置30の1対のインフレータ42が電気的に接続されている。コントローラ32は、その記憶部にリフト制御プログラムが格納され、そのリフト制御プログラムに基づいて1対のエアバッグ装置30を制御する。
【0039】
図14にフローチャートで示すように、コントローラ32が実行するリフト制御は、イグニションスイッチがオンされると開始され、先ず、前方撮像カメラ31から受ける信号(画像情報)に基づいて、衝突予知か否か判定され(S10)、衝突予知と判定した場合には(S10;Yes )、その衝突予知物が歩行者か否か判定される(S11)。
【0040】
衝突予知物が歩行者であると判定した場合(S11;Yes )、先ず、左側のエアバッグ装置30を作動させ、フード4の後部の左側部位の上昇が開始され(S12)、続いて、その上昇開始時から所定時間T経過した否か判定され(S13)、所定時間T経過した場合(S4;Yes )、次に、右側のエアバッグ装置30を作動させ、フード4の後部の右側部位の上昇が開始され(S14)、終了する。
【0041】
尚、S10において、衝突予知無しと判定した場合にはリターンし、S11において、衝突予知物が歩行者でないと判定した場合には終了する。尚、S12において、右側のエアバッグ装置30を作動させ、フード4の後部の右側部位の上昇が開始され、S14において、左側のエアバッグ装置30を作動させ、フード4の後部の左側部位の上昇が開始されるようにしてもよい。
【0042】
この歩行者保護装置5Aによれば、前方撮像カメラ31により車両1と歩行者との衝突が予知された場合に、コントローラ32により1対のエアバッグ装置30の一方を他方に対して所定時間T遅延させて作動開始させるように1対のエアバッグ装置30を制御するので、請求項1と同様の効果を奏する。
【0043】
更に、各エアバッグ装置30は、エンジンルーム3の外部に展開したエアバッグ41によりフロントピラー1bとフロントウインドウ1cの下部側を覆うように構成したので、エアバッグ41を展開させてフロントピラー1bとフロントウインドウ1cの下部側を覆う、という機能を有するエアバッグ装置30のエアバッグ41の展開力を利用して、フード4の後部の車幅方向両側部位をリフトアップでき、他のリフト用のアクチュエータを必要としないため、コスト的にも有利になり、エアバッグ装置30の前記機能により、フード4に乗り上げた歩行者の安全性をより高めることができる。
【0044】
尚、衝突予知手段としての前方撮像カメラ31の代わりに、この車両1と歩行者との衝突を検知する衝突検知センサ(衝突検知手段)を設け、コントローラ32は、衝突検知センサにより衝突が検知された場合に、1対のエアバッグ装置30の一方を他方に対して所定時間T遅延させて作動開始させるように、1対のエアバッグ装置30を制御するようにしてもよい。
【実施例3】
【0045】
図15に示すように、歩行者保護装置5Bは、フード4の前部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対の第2のリフト装置10B(或いはエアバッグ装置)を設け、コントローラ(リフト制御手段)は、1対の第2のリフト装置10B(エアバッグ装置)の一方を他方に対して所定時間T遅延させて作動開始させるように、1対の第2のリフト装置10B(エアバッグ装置)を制御するようにしたものである。
【0046】
この場合、図15に示すように、実施例1の歩行者保護装置5に1対の第2のリフト装置10Bを設け、その第2のリフト装置10Bを実施例1のリフト装置10と同構造にして、この歩行者保護装置5Bを構成してもよいし、図示していないが、実施例2の歩行者保護装置5Aに1対の第2のエアバッグ装置を設け、その第2のエアバッグ装置を実施例2のエアバッグ装置30と同構造にして、この歩行者保護装置5Bを構成してもよい。
【0047】
こうして、フード4を全体的にリフトアップできると共に、フード4の車幅方向中央部分が大きく撓むことを抑制でき、フード4の全体的な上下方向の撓み量も小さくできるので、車両1と衝突してフード4に乗り上げた歩行者の衝撃をより有効的に緩和できる。
【実施例4】
【0048】
実施例1〜3において、車両1と歩行者との衝突位置を検出し、その衝突位置に応じて、衝突位置に近い側のリフト装置(エアバッグ装置)を最初に作動させる一方のリフト装置(エアバッグ装置)に決定し、その決定に基づいて、1対のリフト装置(エアバッグ装置)の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対のリフト装置(エアバッグ装置)を制御するように構成する。この場合、車両1と歩行者との衝突位置を検知又は予知可能な衝突検知手段又は衝突予知手段を設ける。
【0049】
図16にフローチャートで示すように、コントローラが実行するリフト制御が開始され、衝突有り(衝突予知)と判定した場合(S20;Yes )、次に、その衝突物が歩行者であると判定した場合(S21;Yes )、車両1と歩行者との衝突位置を検出する(S22)。そして、衝突位置が左側の場合(S23;Yes )、先ず、左側のエアバッグ装置30を作動させ(S24)、その後、所定時間T経過した場合(S25;Yes )、右側のエアバッグ装置30を作動させる(S26)。一方、衝突位置が左側でない場合(即ち、左右中心を含む右側の場合)(S23;No)、先ず、右側のエアバッグ装置30を作動させ(S27)、その後、所定時間T経過した場合(S28;Yes )、左側のエアバッグ装置30を作動させる(S29)。
【0050】
尚、本発明の車両の歩行者保護装置は、自動車以外の種々の車両に適用することが可能であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記開示事項以外の変更を付加して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1の歩行者保護装置を備えた車両の斜視図である。
【図2】車両の側面図である。
【図3】リフト装置(非作動時)の側面図である。
【図4】リフト装置(作動時)の側面図である。
【図5】歩行者保護装置の制御系のブロック図である。
【図6】リフト制御のフローチャートである。
【図7】フードをリフトアップする際の状態移行を示す図である。
【図8】実施例2の歩行者保護装置を備えた車両の斜視図である。
【図9】車両の側面図である。
【図10】エアバッグ装置(作動時)の斜視図である。
【図11】エアバッグ装置(非作動時)の側面図である。
【図12】エアバッグ装置(作動時)の側面図である。
【図13】歩行者保護装置の制御系のブロック図である。
【図14】リフト制御のフローチャートである。
【図15】実施例3の歩行者保護装置を備えた車両の斜視図である。
【図16】実施例4のリフト制御のフローチャートである。
【図17】従来技術のフードをリフトアップする際の状態移行を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 車両
3 エンジンルーム
4 フード
5,5A,5B 歩行者保護装置
10 リフト装置
10B 第2のリフト装置
11 衝突検知センサ
12,32 コントローラ
30 エアバッグ装置
31 前方撮像カメラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンルームの上側を覆うフードの前部と後部の何れか一方の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対のリフト手段と、
この車両と歩行者との衝突を検知する衝突検知手段と、
前記衝突検知手段により衝突が検知された場合に、1対のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対のリフト手段を制御するリフト制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両の歩行者保護装置。
【請求項2】
車両のエンジンルームの上側を覆うフードの前部と後部の何れか一方の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対のリフト手段と、
この車両と歩行者との衝突を予知する衝突予知手段と、
前記衝突予知手段により衝突が予知された場合に、1対のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対のリフト手段を制御するリフト制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両の歩行者保護装置。
【請求項3】
前記1対のリフト手段は、フードの後部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップするものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の歩行者保護装置。
【請求項4】
前記1対のリフト手段は、フードの後部下側に配設された1対のエアバッグ装置からなり、
各エアバッグ装置は、エアバッグを展開する展開力によりフードをリフトアップすると共に、エンジンルームの外部に展開したエアバッグにより少なくともフロントピラーの一部を覆うように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の車両の保護装置。
【請求項5】
前記フードの前部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対の第2のリフト手段を設け、
前記リフト制御手段は、前記1対の第2のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対の第2のリフト手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の車両の歩行者保護装置。
【請求項1】
車両のエンジンルームの上側を覆うフードの前部と後部の何れか一方の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対のリフト手段と、
この車両と歩行者との衝突を検知する衝突検知手段と、
前記衝突検知手段により衝突が検知された場合に、1対のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対のリフト手段を制御するリフト制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両の歩行者保護装置。
【請求項2】
車両のエンジンルームの上側を覆うフードの前部と後部の何れか一方の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対のリフト手段と、
この車両と歩行者との衝突を予知する衝突予知手段と、
前記衝突予知手段により衝突が予知された場合に、1対のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対のリフト手段を制御するリフト制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両の歩行者保護装置。
【請求項3】
前記1対のリフト手段は、フードの後部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップするものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の歩行者保護装置。
【請求項4】
前記1対のリフト手段は、フードの後部下側に配設された1対のエアバッグ装置からなり、
各エアバッグ装置は、エアバッグを展開する展開力によりフードをリフトアップすると共に、エンジンルームの外部に展開したエアバッグにより少なくともフロントピラーの一部を覆うように構成されたことを特徴とする請求項3に記載の車両の保護装置。
【請求項5】
前記フードの前部の車幅方向両側部位を夫々リフトアップ可能な1対の第2のリフト手段を設け、
前記リフト制御手段は、前記1対の第2のリフト手段の一方を他方に対して所定時間遅延させて作動開始させるように、1対の第2のリフト手段を制御することを特徴とする請求項3に記載の車両の歩行者保護装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−224890(P2006−224890A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−43551(P2005−43551)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]