説明

車両の走行制御方法及び走行制御装置

【課題】衝突回避制御に対し運転者が違和感を感じることを防止する。
【解決手段】車両制御コントローラ12が、運転者による車両1の操舵に対応する衝突回避軌道を選択し、選択した衝突回避軌道に基づいて走行するように車両1を制御する。これにより、衝突回避制御によって運転者が行っている車両操作、換言すれば運転者の反応が妨げられ、衝突回避制御に対し運転者が違和感を感じることを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が障害物に衝突することを回避するための車両の走行制御方法及び走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の走行状況及び運転者の操作状況に応じて、操舵制御による衝突回避制御,速度制御による衝突回避制御,若しくはこれら双方の制御による衝突回避制御のうちのいずれかの衝突回避制御を選択,実行する、車両の走行制御装置が知られている(特許文献1参照)。このような走行制御装置によれば、車両の走行状況及び運転者の操作状況に応じた衝突回避制御によって車両が障害物に衝突することを回避できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3197307号公報(例えば図10参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の走行制御装置は、運転者が操舵操作を行っていない場合は操舵制御による衝突回避制御,制動操作を行っていない場合は速度制御による衝突回避制御,操舵操作と制動操作の双方を行っていない場合は操舵制御と速度制御の双方による衝突回避制御といった具合に、運転者が行っていない車両操作に制御を介入させる構成になっている。このため、上記特許文献1記載の走行制御装置によれば、衝突回避制御が、運転者の操作意図と異なる場合、衝突回避制御によって運転者がこれから行おうとする車両操作が妨げられ、衝突回避制御に対し運転者が違和感を感じることがある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、運転者の車両操作を可能な限り妨げずに衝突回避制御を行うことにより、衝突回避制御に対し運転者が違和感を感じることを防止可能な車両の走行制御方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両の走行制御方法及び走行制御装置は、自車両の運動状態に基づいて、障害物に自車両が衝突することを回避するための衝突回避軌道を複数生成し、生成された複数の衝突回避軌道の中から運転者の車両操作に対応する衝突回避軌道を選択し、選択された衝突回避軌道に基づいて走行制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両の走行制御方法及び走行制御装置によれば、衝突回避制御の際、運転者による自車両の操作に対応する衝突回避軌道に基づいて自車両を走行制御するので、運転者の車両操作を妨げずに衝突回避制御を行うことができ、衝突回避制御に対し運転者が違和感を感じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態となる車両の走行制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す車両の走行制御装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態となる走行制御処理の流れを示すフローチャート図である。
【図4】図3に示す走行制御処理より生成される衝突回避軌道の一例を示す図である。
【図5】図3に示す走行制御処理の変形例の流れを示すフローチャート図である。
【図6】本発明の第2の実施形態となる車両の走行制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示す車両の走行制御装置の機能ブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施形態となる走行制御処理の流れを示すフローチャート図である。
【図9】図8に示す走行制御処理より補正された衝突回避軌道の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施形態となる車両の走行制御装置及びその動作について説明する。
【0010】
〔第1の実施形態〕
始めに、図1乃至図4を参照して、本発明の第1の実施形態となる車両の走行制御装置(以下“制御装置”と略記)の構成と動作について説明する。
【0011】
〔制御装置の構成〕
本発明の第1の実施形態となる制御装置は、図1に示すように、車両1に搭載され、レーダ2,撮像装置3,画像処理装置4,ヨーレートセンサ5,横G・前後Gセンサ6,車輪速センサ7,操舵角センサ8,ブレーキペダルセンサ9,ブレーキアクチュエータ10,操舵アクチュエータ11,及び車両制御コントローラ12を主な構成要素として備える。
【0012】
レーダ2は、車両前方にレーザ光を照射し、レーザ光が照射された物体からの反射光を受光系で受光し、レーザ発射時点と反射光の受光時点との時間差を検出することにより、障害物の有無,車両1と障害物との間の距離や障害物の位置を測定する。レーダ2は、測定結果を車両制御コントローラ12に入力する。
【0013】
撮像装置3は、車両1前方の画像を撮像して画像処理装置4に出力する。画像処理装置4は、撮像装置3により撮像された画像を処理することにより周囲車両や道路環境等の車両1の走行環境情報を検出し、検出結果を車両制御コントローラ12に入力する。レーザ2,撮像装置3,及び画像処理装置4は、図2に示す本発明に係る障害物検出手段21として機能する。
【0014】
ヨーレートセンサ5は、車両1に発生するヨーレートを検出し、検出値を車両制御コントローラ12に入力する。横G・前後Gセンサ6は、車両1に発生する横加速度G(横G)と前後加速度G(前後G)を検出し、検出値を車両制御コントローラ12に入力する。車輪速センサ7は、車両1の各車輪の回転速度(車輪速度)を検出し、検出値を車両制御コントローラ12に入力する。ヨーレートセンサ5,横G・前後Gセンサ6,及び車輪速センサ7は、図2に示す本発明に係る車両運動状態検出手段22として機能する。
【0015】
操舵角センサ8は、車両1のステアリングの操舵角を検出し、検出値を車両制御コントローラ12に入力する。ブレーキペダルセンサ9は、車両1のブレーキペダルの踏み込み量を検出し、検出値を車両制御コントローラ12に入力する。操舵角センサ8とブレーキペダルセンサ9は、図2に示す本発明に係る運転者操作量検出手段23として機能する。
【0016】
ブレーキアクチュエータ10は、車両1のホイールシリンダに供給される制動液圧を制御することにより、車両1に制動力を発生させて車両1の制動動作を行う。操舵アクチュエータ11は、車両1のステアリングの操舵角を制御することにより、車両1に横力を発生させて車両1の操舵動作を行う。ブレーキアクチュエータ10及び操舵アクチュエータ11は、図2に示す本発明に係る車両運動制御手段24として機能する。
【0017】
車両制御コントローラ12は、マイクロコンピュータにより構成され、レーダ2,画像処理装置4,ヨーレートセンサ5,横G・前後Gセンサ6,車輪速センサ7,操舵角センサ8,及びブレーキペダルセンサ9から入力された情報に基づきブレーキアクチュエータ10及び操舵アクチュエータ11の動作を制御する。車両制御コントローラ12は、内部のCPUが制御プログラムを実行することにより、図2に示す本発明に係る回避軌道生成手段26及び回避軌道選択手段27として機能する。
【0018】
〔走行制御処理〕
このような構成を有する制御装置では、車両制御コントローラ12が以下に示す走行制御処理を実行することにより車両1が障害物に衝突することを回避する。以下、図3に示すフローチャートを参照して、この走行制御処理を実行する際の車両制御コントローラ12の動作について説明する。
【0019】
図3に示すフローチャートは、車両1のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り替わったタイミングで開始となり、走行制御処理はステップS1の処理に進む。
【0020】
ステップS1の処理では、車両制御コントローラ12が、レーダ2と画像処理装置34からの入力情報を利用して車両1が走行可能な領域(以下“走行路”と表記)と走行路内に存在する物体を検出する。なお、走行路の検出方法は本願発明の出願時点で既に公知であるので詳細な説明を省略する。走行路の検出方法の詳細については例えば特許第3521860号公報を参照されたい。これにより、ステップS1の処理は完了し、走行制御処理はステップS2の処理に進む。
【0021】
ステップS2の処理では、車両制御コントローラ12が、ステップS1の処理結果を利用して、車両1と衝突する可能性がある物体(以下“障害物”と表記)が走行路内に存在するか否かを判別する。なお、障害物の検出方法は本願発明の出願時点で既に公知であるので詳細な説明を省略する。障害物の検出方法の詳細については例えば特開2000−207693号公報を参照されたい。判別の結果、障害物が走行路内に存在しないと判定された場合、車両制御コントローラ12は走行制御処理をステップS1の処理に戻す。一方、障害物が走行路内に存在すると判定された場合には、車両制御コントローラ12は走行制御処理をステップS3の処理に進める。
【0022】
ステップS3の処理では、車両制御コントローラ12が、障害物と車両1との間の距離及び障害物と車両1の相対速度の情報を利用して、ステップS2の処理により確認された障害物に車両1が衝突するまでの時間を衝突予測時間TTTCとして算出する。なお、障害物と車両1との間の距離はレーダ2からの入力情報により算出でき、車両1と障害物の相対速度は例えば算出された距離を微分することによって算出できる。これにより、ステップS3の処理は完了し、走行制御処理はステップS4の処理に進む。
【0023】
ステップS4の処理では、走行制御コントローラ12が、ステップS3の処理により算出された衝突予測時間TTTCが予め設定された時間T以下であるか否かを判別する。判別の結果、衝突予測時間TTTCが所定時間T以下でない場合、走行制御コントローラ12は走行制御処理をステップS1の処理に戻す。一方、衝突予測時間TTTCが所定時間T以下である場合には、走行制御コントローラ12は走行制御処理をステップS5の処理に進める。
【0024】
一般に、衝突予測時間TTTCが時間T以下でない、換言すれば、車両1が障害物に衝突するまでの時間が比較的長い場合には、その後の運転者による車両操作によって障害物との衝突の危険性がなくなり、衝突回避制御を実行する必要性がなくなる可能性が高い。従って、このステップS4の判定処理によれば、衝突回避制御を実行する必要性がないのにも係わらず後述する処理が実行されることを防止し、車両コントローラ12の処理負荷を低減することができる。
【0025】
ステップS5の処理では、走行制御コントローラ12が、ステップS1の処理により検出された走行路の情報とヨーレートセンサ5,横G・前後Gセンサ6,及び車輪速センサ7からの入力情報とを利用して、車両1の走行路及び運動状態を考慮した障害物との衝突を回避するための車両1の走行軌道を衝突回避軌道として複数生成(算出)する。
【0026】
本実施形態では、走行制御コントローラ12は、図4に示すように、運転者が車両1のブレーキペダルを踏み込んで制動操作を開始した場合、右方向への操舵操作を開始した場合、及び左方向に操舵操作を開始した場合、それぞれの場合に適合する衝突回避軌道R1,R2,R3を生成する。なおこの時、走行制御コントローラ12は、走行路の範囲内から外れる衝突回避軌道や運転者による車両1の操作では障害物との衝突を回避できない衝突回避軌道は生成しない。
【0027】
具体的には、運転者が制動操作を開始した場合に適合する衝突回避軌道R1を生成する場合、車両制御コントローラ12は、始めに、ヨーレートセンサ5,横G・前後Gセンサ6,及び車輪速センサ7からの入力情報と車両1のタイヤ特性を考慮して障害物との衝突を回避するための車両1の減速度を設定し、設定された減速度によって車両1が障害物との衝突を回避できるか否かを判別する。
【0028】
回避可能と判定された場合、次に、車両制御コントローラ12は減速度のみの車両制御による衝突回避軌道を走行路の範囲内で算出し、逆に回避不可能と判定された場合には、必要最低限の横力を発生させることで障害物との衝突を回避する衝突回避軌道を走行路の範囲内で算出する。但し、横力に関しては、車両1のタイヤ特性を考慮した上限値を設定しておき、この上限値を超える横力が必要となる場合、走行制御コントローラ12は衝突回避軌道を算出しない。
【0029】
同様に運転者が操舵操作(右方向への操舵操作,左方向への操舵操作)を開始した場合に適合する衝突回避軌道R2,R3を生成する場合、車両制御コントローラ12は、始めに、ヨーレートセンサ5,横G・前後Gセンサ6,及び車輪速センサ7からの入力情報と車両1のタイヤ特性を考慮して障害物との衝突を回避するための車両1の横加速度を設定し、設定された横加速度によって障害物との衝突を回避できるか否かを判別する。
【0030】
回避可能と判定された場合、次に、車両制御コントローラ12は横加速度のみの車両制御による衝突回避軌道を走行路の範囲内で算出し、逆に回避不可能と判定された場合には、必要最低限の制動力を発生させることで障害物との衝突を回避する衝突回避軌道を走行路の範囲内で算出する。但し、制動力に関しても車両1のタイヤ特性を考慮した上限値を設定しておき、この上限値を超える制動力が必要となる場合には、走行制御コントローラ12は衝突回避軌道を算出しない。また横加速度のみの車両制御による衝突回避軌道を算出した場合であっても、車両1が障害物の近くを算出する際にはできるだけ車速を落として通過した方が一般的に安全であるので、上述の上限値を超えない範囲の制動力を付加した衝突回避軌道を算出してもよい。これにより、ステップS5の処理は完了し、走行制御処理はステップS6の処理に進む。
【0031】
ステップS6の処理では、車両制御コントローラ12が、操舵角センサ8とブレーキペダル9からの入力情報を参照して、運転者による操舵操作と制動操作の少なくとも一方が検出されたか否かを判別する。判別の結果、操舵操作と制動操作のいずれも検出されていない場合、車両制御コントローラ12は走行制御処理をステップS8の処理に進める。一方、操舵操作と制動操作の少なくとも一方が検出された場合には、車両制御コントローラ12は走行制御処理をステップS7の処理に進める。操舵操作の検出方法は、例えば、ステップS5において衝突回避軌道が算出されたときの操舵角から、左右いずれの方向に操舵がされたかを検出するものであれば良い。また、単に操舵方向だけでなく、衝突回避軌道が算出されたときの操舵角からの操舵角変化が所定のしきい値以上生じたか否かを判別するものであってもよい。さらに、操舵角変化の代わりに、操舵角速度又は操舵角加速度が所定のしきい値以上生じたか否かを判別するものであってもよい。
【0032】
ステップS7の処理では、車両制御コントローラ12が、ステップS5の処理により生成された複数の衝突回避軌道の中からステップS6の処理により検出された運転者の操作内容に適合した衝突回避軌道を選択する。具体的には、車両制御コントローラ12は、制動操作が検出された場合は運転者が制動操作を開始した場合に適合する衝突回避軌道R1を選択し、右方向の操舵操作が検出された場合は右方向への操舵を開始した場合に適合する衝突回避軌道R2を選択し、左方向の操舵操作が検出された場合は左方向に操舵を開始した場合に適合する衝突回避軌道R3を選択する。なおこの処理の際、車両制御コントローラ12は、基本的に運転者の操作内容に適合した衝突回避軌道を選択するが、運転者の操作が検出されたタイミングによっては以下の表1に示すように衝突回避制御の内容を変更する。
【表1】

【0033】
すなわち、表1と図4を参照して具体的に説明すると、例えば、運転者が左方向への操舵操作を行った場合、車両制御コントローラ12は操舵操作を開始した場合に適合する衝突回避軌道R3を選択する。しかしながら、衝突回避軌道R3の制御開始地点Pが運転者が操舵操作を開始した地点より障害物側に位置する又は同一地点である場合において、運転者の操舵操作による車両1の走行軌道が衝突回避軌道R3と重ならない場合、車両制御コントローラ12は車両制御処理を終了する。また、衝突回避軌道R3の制御開始地点Pが運転者が操舵操作を開始した地点より障害物に近い又は同一地点である場合において、運転者の操舵操作による車両1の走行軌道が衝突回避軌道R3と重なる場合には、車両制御コントローラ12は運転者の操舵操作による車両1の走行軌道が衝突回避軌道R3と重なる地点から衝突回避制御を実行する。
【0034】
一方、衝突回避軌道R3の制御開始地点Pが運転者が操舵操作を開始した地点より障害物から遠い位置にある場合において、運転者の操舵操作による車両1の走行軌道が衝突回避軌道P3と重ならない場合には、車両制御コントローラ12は運転者が操舵操作を開始した地点から制御開始地点が最も近い衝突回避軌道を選択する。また、衝突回避軌道R3の制御開始地点Pが運転者が操舵操作を開始した地点より障害物から遠い位置にある場合において、運転者の操舵操作による走行軌道が衝突回避軌道R3と重なる場合には、車両制御コントローラ12は運転者の操舵操作による車両1の走行軌道が衝突回避軌道R3と重なる地点から衝突回避制御を実行する。これにより、ステップS7の処理は完了し、車両制御処理はステップS10の処理に進む。
【0035】
なお、衝突回避軌道の選択方法は、単に操舵操作の方向のみから選択してもよい。また、衝突回避軌道R3の制御開始地点Pが運転者が操舵操作を開始した地点より障害物から遠い位置にある場合であって、車両1の走行軌道が衝突回避軌道R3と重なる場合は、衝突回避軌道R3に沿うように衝突回避制御を実行しても良い。この場合、運転者の操作量が衝突回避軌道R3に対して足りない分を、衝突回避制御で補うことになる。
【0036】
ステップS8の処理では、車両制御コントローラ12が、ステップS3の処理により算出された衝突予測時間TTTCが制御開始地点が障害物から最も近い衝突回避軌道の制御開始地点(図4に示す例では回避制御開始地点P)に車両が到達した際の衝突予測時間T以上であるか否かを判別する。判別の結果、衝突予測時間TTTCが衝突予測時間T以上である場合、車両制御コントローラ12は車両制御処理をステップS6の処理に戻す。一方、衝突予測時間TTTCが衝突予測時間T以上でない場合には、車両制御コントローラ12は車両制御処理をステップS9の処理に進める。
【0037】
ステップS9の処理では、車両制御コントローラ12が、運転者が操作を開始した地点がいずれの衝突回避軌道の制御開始地点よりも障害物に近く、運転者がどの衝突回避軌道の制御開始地点に到達しても何も操作をしていないと判断し、制御開始地点が最も障害物に近い衝突回避軌道を選択する。これにより、ステップS9の処理は完了し、車両制御処理はステップS10の処理に進む。
【0038】
ステップS10の処理では、車両制御コントローラ12が、ステップS7又はステップS9の処理により選択された衝突回避軌道に沿って車両1が走行するようにブレーキアクチュエータ10及び操舵アクチュエータ11を制御する。これにより、ステップS10の処理は完了し、走行制御処理はステップS11の処理に進む。
【0039】
ステップS11の処理では、車両制御コントローラ12が、車両制御又は運転者の車両操作によって車両1と障害物の衝突の可能性がなくなったか否かを判別する。判別の結果、衝突の可能性がなくなってない場合、車両制御コントローラ12は、現在の制御状態を維持し、衝突の可能性がなくなったタイミングで車両制御処理をステップS1の処理に戻して他の障害物に対する車両制御処理を実行する。
【0040】
なお、ステップS1の処理では、走行路内に存在する物体を検出していたが、走行路内か否かを考慮せず、例えば自車両前方の所定の領域内に存在する物体を検出しても良い。
【0041】
また、ステップS7において、選択された衝突回避軌道と車両の予測軌道とが重なるか否かを判別したが、特にこの判別をせず、単に選択された衝突回避軌道に沿うように操舵アクチュエータ11(及び制動アクチュエータ10)を制御しても良い。
【0042】
さらに、ステップS5において、衝突回避軌道R1は生成せず、衝突回避経路R2、R3のみを生成してもよい。このとき、運転者が制動操作を開始した場合は、制動操作開始地点から最も近い制御開始地点の衝突回避軌道を選択すればよい。これにより、車両制御コントローラ12の演算処理負荷をより低減することができる。
【0043】
従来の衝突回避制御技術は、運転者が行っていない車両操作に制御を介入させる構成になっていたために、衝突回避制御が、運転者の操作意図と異なる場合、衝突回避制御によって運転者がこれから行おうとする車両操作、換言すれば運転者が意図する車両操作が妨げられ、衝突回避制御に対し運転者が違和感を感じることがあった。これに対して、本発明の第1の実施形態となる車両制御処理では、上述の通り、車両制御コントローラ12が、運転者による車両1の操舵及びブレーキペダル踏み込みに対応する衝突回避軌道を選択し、選択した衝突回避軌道に基づいて走行するように車両1を制御するので、衝突回避制御に対し運転者が違和感を感じることを防止できる。
【0044】
また従来の衝突回避制御技術は、運転者が行っている車両操作には制御が介入しない構成になっているために、運転者が行っている車両操作が車両1と障害物の衝突を回避する上で不適切な内容である場合、車両1と障害物の衝突を回避できない可能性があった。これに対して、本発明の第1の実施形態となる車両制御処理では、上述の通り、車両制御コントローラ12が、運転者の車両操作により障害物との衝突を回避できる場合は衝突回避制御を実行せずに運転者の車両操作に任せ、運転者の操作量が障害物との衝突を回避する上で不足している場合には操作量を補助的に増やすように衝突回避制御を実行するので、運転者が行っている車両操作が車両1と障害物の衝突を回避する上で不適切な内容である場合に車両1が障害物に衝突することが回避できる。
【0045】
また本発明の第1の実施形態となる車両制御処理では、車両制御コントローラ12は、図4に示すように、制動動作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道R1、右方向への操舵操作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道R2、及び左方向への操舵操作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道R3との少なくとも3種類の衝突回避軌道を生成するので、障害物との衝突を回避する運転者の車両操作に適合した衝突回避軌道を生成することができる。
【0046】
また本発明の第1の実施形態となる車両制御処理では、車両制御コントローラ12は、運転者による制動操作が検出された場合は制動動作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道R1を選択し、運転者による右方向への操舵操作が検出された場合は右方向への操舵操作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道R2を選択し、運転者による左方向への操舵操作が検出された場合は左方向への操舵操作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道R3を選択し、運転者の車両操作に対応する衝突回避軌道が生成されていない場合は運転者の車両操作が検出された地点から見て衝突回避制御を開始する地点が障害物に最も近い衝突回避軌道を選択するので、運転者にできるだけ違和感を与えることなく衝突回避制御を実行できる。
【0047】
また本発明の第1の実施形態となる車両制御処理では、車両制御コントローラ12は、複数の衝突回避軌道の衝突回避制御開始地点が運転者の車両操作が検出された地点よりも障害物側に位置する又は同一地点である場合、運転者の車両操作による車両1の走行軌道が複数の衝突回避軌道のいずれかと重なるか否かを判別する。そして、運転者の車両操作による車両1の走行軌道が複数の衝突回避軌道のいずれかと重なる場合、車両制御コントローラ12は、運転者の車両操作による車両1の走行軌道と重なる衝突回避軌道を選択し、運転者の車両操作による車両1の走行軌道が衝突回避軌道と重なるタイミングで衝突回避制御を実行し、運転者の車両操作による車両1の走行軌道が複数の衝突回避軌道のいずれとも重ならない場合には衝突回避制御を実行しない。
【0048】
一方、複数の衝突回避軌道の衝突回避制御開始地点が運転者の車両操作が検出された地点よりも障害物から遠い位置にある場合には、車両制御コントローラ12は、運転者の車両操作による車両1の走行軌道が複数の衝突回避軌道のいずれかと重なるか否かを判別し、運転者の車両操作による車両1の走行軌道が複数の衝突回避軌道のいずれかと重なる場合、運転者の車両操作による車両1の走行軌道と重なる衝突回避軌道を選択し、運転者の車両操作による車両1の走行軌道が衝突回避軌道と重なるタイミングで衝突回避制御を実行し、運転者の車両操作による車両1の走行軌道が複数の衝突回避軌道のいずれとも重ならない場合には、衝突回避制御開始地点が車両1から最も近い衝突回避軌道を選択する。
【0049】
このような処理によれば、運転者の車両操作により障害物との衝突を回避できる場合は衝突回避制御を実行せずに運転者の車両操作に任せ、運転者の操作量が障害物との衝突を回避する上で不足している場合には、運転者の運転操作を妨げることなく、自然に衝突回避制御を実行できる。
【0050】
〔変形例〕
次に、図5に示すフローチャートを参照して、上記第1の実施形態となる走行制御処理の変形例について説明する。図5に示すフローチャートは、車両1のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り替わったタイミングで開始となり、走行制御処理はステップS21の処理に進む。なお、ステップS21乃至ステップS24の処理は、図3に示すフローチャートのステップS1乃至ステップS4の処理と同じ内容であるので、以下ではその説明を省略し、ステップS25の処理から説明を始める。
【0051】
ステップS25の処理では、車両制御コントローラ12が、操舵角センサ8とブレーキペダル9からの入力情報を参照して、運転者による操舵操作と制動操作の少なくとも一方が検出されたか否かを判別する。判別の結果、操舵操作と制動操作のいずれも検出されていない場合、車両制御コントローラ12は走行制御処理をステップS26の処理に進める。一方、操舵操作と制動操作の少なくとも一方が検出された場合には、車両制御コントローラ12は走行制御処理をステップS28の処理に進める。
【0052】
ステップS26の処理では、車両制御コントローラ12が、ステップS23の処理により算出された衝突予測時間TTTCが制御開始地点が障害物から最も近い衝突回避軌道の制御開始地点に車両が到達した際の衝突予測時間T以上であるか否かを判別する。判別の結果、衝突予測時間TTTCが衝突予測時間T以上である場合、車両制御コントローラ12は車両制御処理をステップS25の処理に戻す。一方、衝突予測時間TTTCが衝突予測時間T以上でない場合には、車両制御コントローラ12は車両制御処理をステップS27の処理に進める。
【0053】
ステップS27の処理では、車両制御コントローラ12が、障害物を回避するのに最も適した経路を自動的に生成する。この経路は、例えば障害物との最低相対距離を1mに設定し、障害物の進行方向に沿って描かれる軌跡から設定される。これにより、ステップS27の処理は完了し、車両制御処理はステップS31の処理に進む。
【0054】
ステップS28の処理では、走行制御コントローラ12が、ステップS21の処理により検出された走行路の情報とヨーレートセンサ5,横G・前後Gセンサ6,及び車輪速センサ7からの入力情報とを利用して、ステップS25の処理において検出された運転者の車両操作に適合する車両1と障害物の衝突を回避するための車両1の走行軌道を衝突回避軌道として複数生成する。具体的には、ステップS25の処理において運転者による右方向への操舵操作が検出された場合、走行制御コントローラ12は、右方向への操舵操作を行った場合に適合する衝突回避軌道と、右方向への操舵操作と制動操作の双方を行った場合に適合する衝突回避軌道を生成する。なおこの場合、走行制御コントローラ12は、操舵角速度に応じて複数の衝突回避軌道を生成してもよい。これにより、ステップS28の処理は完了し、走行制御処理はステップS29の処理に進む。
【0055】
ステップS29の処理では、車両制御コントローラ12が、ステップS23の処理により算出された衝突予測時間TTTCが所定時間T以下であるか否かを判別する。そして車両制御コントローラ12は衝突予測時間TTTCが所定時間T以下になったタイミングで車両制御処理をステップS30の処理に進める。
【0056】
ステップS30の処理では、車両制御コントローラ12が、ステップS28の処理により生成された複数の衝突回避軌道の中から、複数の衝突回避軌道を生成してから衝突予測時間が所定値T以下になるまでの間に運転者が行った車両操作に応じた衝突回避軌道を選択する。具体的には、複数の衝突回避軌道を生成してから衝突予測時間が所定値T以下になるまでの間に運転者が行った車両操作が右方向への操舵操作のみである場合、車両制御コントローラ12は、右方向への操舵操作を行った場合に適合する衝突回避軌道を選択する。なお、操舵角速度に応じて複数の衝突回避軌道を生成した場合には、車両制御コントローラ12は、複数の衝突回避軌道を生成してから衝突予測時間が所定値T3以下になるまでの間の操舵角速度を算出し、算出された操舵角速度に最も近い操舵角速度の衝突回避軌道を選択する。これにより、ステップS30の処理は完了し、車両制御処理はステップS31の処理に進む。
【0057】
ステップS31の処理では、車両制御コントローラ12が、ステップS27又はステップS30の処理により選択された衝突回避軌道に沿って車両1が走行するようにブレーキアクチュエータ10及び操舵アクチュエータ11を制御する。これにより、ステップS31の処理は完了し、走行制御処理はステップS32の処理に進む。
【0058】
ステップS32の処理では、車両制御コントローラ12が、車両制御又は運転者の車両操作によって車両1と障害物の衝突の可能性がなくなったか否かを判別する。判別の結果、衝突の可能性がなくなってない場合、車両制御コントローラ12は、現在の制御状態を維持し、衝突の可能性がなくなったタイミングで車両制御処理をステップS21の処理に戻して他の障害物に対する車両制御処理を実行する。
【0059】
以上の説明から明らかなように、この変形例によれば、第1の実施例の効果に加え、複数の回避軌道生成後、衝突予測時間が所定値T以下になったら(ステップS29)、軌道生成後からTまでのドライバの操作に応じた回避軌道を選択する(ステップS30)ため、例えばドライバの操作が右操舵だけだったら右操舵のみの軌道を選択し、より運転者の操舵に沿った軌跡を迅速に選択することができる。
【0060】
なお、衝突回避軌道の選択は、数の衝突回避軌道を生成してから衝突予測時間が所定値T以下になるまでの間に運転者が行った車両操作に基づくもの以外であっても良い。例えば、運転者の運転操作を開始してから所定時間の間、運転操作の状態を検出して、その運転操作の状態に基づいて衝突回避軌道の選択を行っても良い。
【0061】
〔第2の実施形態〕
次に、図6乃至図9を参照して、本発明の第2の実施形態となる制御装置の動作について説明する。
【0062】
〔制御装置の構成〕
本発明の第2の実施形態となる制御装置は、図6に示すように、第1の実施形態となる制御装置に警報装置13が加わった構成となっており、警報装置13は車両制御コントローラ12の制御にしたがって障害物との衝突の危険性を運転者に知らせる警報を発する。なおこの制御装置では、車両制御コントローラ12は図7に示す本発明に係る回避軌道生成手段25,回避軌道選択・補正手段27,及び衝突警報発生判断手段28として機能し、警報装置13は図7に示す本発明に係る衝突警報発生手段29として機能する。
【0063】
〔車両制御処理〕
このような構成を有する制御装置では、車両制御コントローラ12が以下に示す走行制御処理を実行することにより車両1が障害物に衝突することを回避する。以下、図8に示すフローチャートを参照して、この走行制御処理を実行する際の車両制御コントローラ12の動作について説明する。なお、ステップS41乃至ステップS45の処理は、図3に示すフローチャートのステップS1乃至ステップS5の処理と同じであるので、以下ではその説明を省略し、ステップS46の処理から説明を始める。
【0064】
ステップS46の処理では、車両制御コントローラ12が、障害物との衝突の危険性を運転者に知らせる警報を発するタイミングであるか否かを判別し、警報を発するタイミングであると判定した場合、警報装置13を制御することにより警報を発する。なお本実施形態では、警報を発するタイミングであるか否かの判別処理は、ステップS45の処理により生成された複数の衝突回避軌道の制御開始地点の中で障害物から最も遠い制御開始地点から、運転者が警報を聞いてから反応するまでの間に車両1が空走する距離だけ、障害物方向に進んだ地点に車両1が到達したか否かにより行い、車両が当該地点に到達した場合に警報が発せられる。これにより、ステップS46の処理は完了し、車両制御処理はステップS47の処理に進む。
【0065】
ステップS47の処理では、車両制御コントローラ12が、操舵角センサ8とブレーキペダル9からの入力情報を参照して、運転者による操舵操作と制動操作の少なくとも一方が検出されたか否かを判別する。判別の結果、操舵操作と制動操作のいずれも検出されていない場合、車両制御コントローラ12は走行制御処理をステップS48の処理に進める。なお、ステップS48及びステップS49の処理は、図3に示すフローチャートのステップS8の処理及びステップS9の処理と同じであるので、以下ではその説明を省略する。一方、操舵操作と制動操作の少なくとも一方が検出された場合には、車両制御コントローラ12は走行制御処理をステップS50の処理に進める。
【0066】
ステップS50の処理では、車両制御コントローラ12が、ステップS45の処理により生成された複数の衝突回避軌道の中からステップS47の処理により検出された運転者の操作内容に適合した衝突回避軌道を選択する。なおこのステップS50の処理は、図3に示すフローチャートのステップS7の処理と同じであるので、詳細な説明を省略する。これにより、ステップS50の処理は完了し、車両制御処理はステップS51の処理に進む。
【0067】
ステップS51の処理では、車両制御コントローラ12が、運転者が操作を行ったタイミングに応じてステップS50により選択された衝突回避軌道を補正する。具体的には図9に示すように、選択された衝突回避軌道Rの制御開始地点Pに車両1が到達するよりも前に運転者が車両操作を開始した場合、車両制御コントローラ12は、運転者による車両操作による車両1の走行軌道Rが衝突回避軌道Rと重なるように、運転者が操作を開始した地点Pから衝突回避制御が開始する。これにより、ステップS51の処理は完了し、車両制御処理はステップS52の処理に進む。
【0068】
ステップS52の処理では、車両制御コントローラ12が、ステップS49の処理により選択された衝突回避軌道又はステップS51の処理により補正された衝突回避軌道に沿って車両1が走行するようにブレーキアクチュエータ10及び操舵アクチュエータ11を制御する。これにより、ステップS52の処理は完了し、走行制御処理はステップS53の処理に進む。
【0069】
ステップS53の処理では、車両制御コントローラ12が、車両制御又は運転者の車両操作によって車両1と障害物の衝突の可能性がなくなったか否かを判別する。判別の結果、衝突の可能性がなくなってない場合、車両制御コントローラ12は、現在の制御状態を維持し、衝突の可能性がなくなったタイミングで車両制御処理をステップS41の処理に戻して他の障害物に対する車両制御処理を実行する。
【0070】
以上の説明から明らかなように、本発明の第2の実施形態となる車両制御処理では、車両制御コントローラ12が、選択された衝突回避軌道の衝突回避制御開始地点に車両1が到達する前に運転者の車両操作が検出された場合、運転者の車両操作が検出された地点から衝突回避制御を開始するように選択された衝突回避軌道を補正するので、運転者が自らの意志で衝突回避操作を開始しても、運転者に違和感を感じさせることなく衝突回避制御を付加できる。
【0071】
また本発明の第2の実施形態となる車両制御処理では、車両制御コントローラ12が、複数の衝突回避軌道の衝突回避制御開始地点の中で障害物から最も遠い位置にある衝突回避制御開始地点から、運転者が警報を聞いてから反応するまでの間に車両1が空走する距離だけ、障害物方向に進んだ地点に車両1が到達したか否かを判別し、車両が当該地点に到達した場合に警報装置13を制御することにより警報を発するので、適切なタイミングで運転者に対し衝突警報を報知することができる。
【0072】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0073】
1:車両
2:レーダ
3:撮像装置
4:画像処理装置
5:ヨーレートセンサ
6:横G・前後Gセンサ
7:車輪速センサ
8:操舵角センサ
9:ブレーキペダルセンサ
10:ブレーキアクチュエータ
11:操舵アクチュエータ
12:車両制御コントローラ
13:警報装置
21:障害物検出手段
22:車両運動状態検出手段
23:運転者操作量検出手段
24:車両運動制御手段
25:回避軌道生成手段
26:回避軌道選択手段
27:回避軌道選択・補正手段
28:衝突警報発生判断手段
29:衝突警報発生手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両前方の障害物を検出する処理と、
自車両の運動状態を検出する処理と、
前記自車両の運動状態に基づいて、前記障害物に自車両が衝突することを回避するための衝突回避軌道を複数生成する処理と、
運転者による自車両の操作を検出する処理と、
前記複数の衝突回避軌道の中から、前記自車両の操作に対応する衝突回避軌道を選択する処理と、
前記選択された衝突回避軌道に基づいて自車両を走行制御する処理と
を有することを特徴とする車両の走行制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の走行制御方法において、前記複数の衝突回避軌道の中には、右方向への操舵操作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道、及び左方向への操舵操作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道との少なくとも2種類の衝突回避軌道が含まれることを特徴とする車両の走行制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載の車両の走行制御方法において、前記選択する処理は、
運転者による右方向への操舵操作が検出された場合に右方向への操舵操作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道を選択し、
運転者による左方向への操舵操作が検出された場合に左方向への操舵操作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道を選択する
ことを特徴とする車両の走行制御方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1項に記載の車両の走行制御方法において、
前記自車両の操作を検出する処理は、操作量を検出し、
前記自車両を走行制御する処理は、前記操作量が前記選択した衝突回避軌道に満たない回避操作量であった場合は、前記選択した衝突回避軌道に達するように自車両を走行制御し、前記操作量が前記選択した衝突回避軌道を越える回避操作量であった場合は、前記走行制御を抑制することを特徴とする車両の走行制御方法。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のうち、いずれか1項に記載の車両の走行制御方法において、
前記複数の衝突回避軌道の中には、制動動作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道を加えた少なくとも3種類の衝突回避軌道が含まれ、
前記選択する処理は、運転者による制動操作が検出された場合に制動動作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道を選択することを特徴とする車両の走行制御方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のうち、いずれか1項に記載の車両の走行制御方法において、前記衝突回避軌道を選択する処理は、運転者による自車両の操作に対応する衝突回避軌道がないと判断した場合、衝突回避制御を開始する地点が操作開始地点に最も近い衝突回避軌道を選択することを特徴とする車両の走行制御方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のうち、いずれか1項に記載の車両の走行制御方法において、
前記自車両の操作を検出する処理は、操作量を検出し、
前記衝突回避軌道を選択する処理は、運転者の操作による自車両の走行軌道が、前記選択された衝突回避軌道と重なるか否かを判別し、
前記自車両を走行制御する処理は、前記判別結果に基づいて走行制御態様を変更することを特徴とする車両の走行制御方法。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のうち、いずれか1項に記載の車両の走行制御方法において、
前記自車両の操作を検出する処理は、操作量を検出し、
前記衝突回避軌道を選択する処理は、運転者の操作開始地点が、前記選択された衝突回避軌道の制御開始地点よりも障害物側か否かを判別し、
前記自車両を走行制御する処理は、前記判別結果に基づいて走行制御態様を変更することを特徴とする車両の走行制御方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のうち、いずれか1項に記載の車両の走行制御方法において、選択された衝突回避軌道の衝突回避制御開始地点に自車両が到達する前に運転者による自車両の操作が検出された場合、運転者による自車両の操作が検出された地点から衝突回避制御を開始するように選択された衝突回避軌道を補正する処理を有することを特徴とする車両の走行制御方法。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のうち、いずれか1項に記載の車両の走行制御方法において、複数の衝突回避軌道の衝突回避制御開始地点の中で障害物から最も遠い位置にある衝突回避制御開始地点から所定距離だけ、障害物方向に進んだ地点に自車両が到達したか否かを判別し、車両が当該地点に到達した場合に警報を発する処理を含むことを特徴とする車両の走行制御方法。
【請求項11】
自車両の前方に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
自車両の運動状態を検出する車両運動状態検出手段と、
前記車両運動状態検出手段により検出された自車両の運動状態を参照して、前記障害物に自車両が衝突することを回避するための衝突回避軌道を複数生成する回避軌道生成手段と、
運転者による自車両の操作を検出する運転操作検出手段と、
前記複数の衝突回避軌道の中から、前記自車両の操作に対応する衝突回避軌道を選択する回避軌道選択手段と、
前記回避軌道選択手段によって選択された衝突回避軌道に基づいて自車両を走行制御する車両運動制御手段と
を備えることを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載の車両の走行制御装置において、前記複数の衝突回避軌道の中には、右方向への操舵操作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道、及び左方向への操舵操作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道との少なくとも2種類の衝突回避軌道が含まれることを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載の車両の走行制御装置において、前記回避軌道選択手段は、
運転者による右方向への操舵操作が検出された場合に右方向への操舵操作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道を選択し、
運転者による左方向への操舵操作が検出された場合に左方向への操舵操作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道を選択する
ことを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項14】
請求項11乃至請求項13のうち、いずれか1項に記載の車両の走行制御装置において、
前記運転操作検出手段は、操作量を検出し、
前記車両運動制御手段は、前記操作量が前記選択した衝突回避軌道に満たない回避操作量であった場合は、前記選択した衝突回避軌道に達するように自車両を走行制御し、前記操作量が前記選択した衝突回避軌道を越える回避操作量であった場合は、前記走行制御を抑制することを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項15】
請求項12乃至請求項14のうち、いずれか1項に記載の車両の走行制御装置において、
前記複数の衝突回避軌道の中には、制動動作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道を加えた少なくとも3種類の衝突回避軌道が含まれ、
前記回避軌道選択手段は、運転者による制動操作が検出された場合に制動動作によって障害物との衝突を回避する衝突回避軌道を選択することを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項16】
請求項11乃至請求項15のうち、いずれか1項に記載の車両の走行制御装置において、前記回避軌道選択手段は、運転者による自車両の操作に対応する衝突回避軌道がないと判断した場合、衝突回避制御を開始する地点が操作開始地点に最も近い衝突回避軌道を選択することを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項17】
請求項11乃至請求項16のうち、いずれか1項に記載の車両の走行制御装置において、
前記運転操作検出手段は、操作量を検出し、
前記回避軌道選択手段は、運転者の操作による自車両の走行軌道が、前記選択された衝突回避軌道と重なるか否かを判別し、
前記車両運動制御手段は、前記判別結果に基づいて走行制御態様を変更することを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項18】
請求項11乃至請求項17のうち、いずれか1項に記載の車両の走行制御装置において、
前記運転操作検出手段は、操作量を検出し、
前記回避軌道選択手段は、運転者の操作開始地点が、前記選択された衝突回避軌道の制御開始地点よりも障害物側か否かを判別し、
前記車両運動制御手段は、前記判別結果に基づいて走行制御態様を変更することを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項19】
請求項11乃至請求項18のうち、いずれか1項に記載の車両の走行制御装置において、
選択された衝突回避軌道の衝突回避制御開始地点に自車両が到達する前に運転者による自車両の操作が検出された場合、運転者による自車両の操作が検出された地点から衝突回避制御を開始するように選択された衝突回避軌道を補正する補正手段をさらに有することを特徴とする車両の走行制御装置。
【請求項20】
請求項11乃至請求項19のうち、いずれか1項に記載の車両の走行制御装置において、複数の衝突回避軌道の衝突回避制御開始地点の中で障害物から最も遠い位置にある衝突回避制御開始地点から所定距離だけ、障害物方向に進んだ地点に自車両が到達したか否かを判別し、車両が当該地点に到達した場合に警報を発する警報手段をさらに有することを特徴とする車両の走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−79068(P2013−79068A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253107(P2012−253107)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【分割の表示】特願2008−23763(P2008−23763)の分割
【原出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】