説明

車両の車体側部構造

【課題】車体側部から大きな入力荷重が作用しても、この荷重を十分に受け止めて車体全体で支持することができる車両の車体側部構造を提供する。
【解決手段】サイドシル9の後部に、前壁部28とリヤホイールハウスエクステンション40とで閉塞された袋状部41を形成し、車体後部に車体前後方向に沿って配置されると共に、フロアパネル45〜47の側部に車体幅方向に沿って設けられたミドルクロスメンバ48に接続される閉断面構造のリヤフレーム55を設け、このリヤフレーム55をサイドシル9後部の袋状部41の車室内側に接続したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車両の車体側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の側面に車体幅方向外側から荷重が作用した場合に、ドアアウタパネルが車体幅方向内側に変形することがあるので、ドアの強度剛性を高めるためにドア内部に側方からの荷重に耐えうるドアインパクトビームを車体前後方向に沿って設けた車体側部構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3389694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の車体側部構造においては、ドアインパクトビームの内側にサイドシルが配置され、サイドシルの内側にセンタフロアクロスメンバが配置されているが、サイドシルは断面が車体前後方向に開放した構造であるため、側面衝突時等に大きな荷重が作用するとドアが車室内側に変形して入り込みサイドシルが大きく変形してしまうという課題がある。
【0005】
そこで、この発明は、車体側部から大きな入力荷重が作用しても、この荷重を十分に受け止めて車体全体で支持することができる車両の車体側部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載した発明は、車室の側部に車体前後方向に沿って設けられサイドシルインナ(例えば、実施形態におけるサイドシルインナ20)とサイドシルアウタ(例えば、実施形態におけるサイドシルアウタ21)とで閉断面構造に形成されたサイドシル(例えば、実施形態におけるサイドシル9)の後部に、前壁部(例えば、実施形態における前壁部28)と後壁部(例えば、実施形態におけるリヤホイールハウスエクステンション40)とで閉塞された袋状部(例えば、実施形態における袋状部41)を形成し、車体後部に車体前後方向に沿って配置されると共に、フロアパネル(例えば、実施形態におけるフロントフロアパネル45、リヤフロアパネル47、フロアパネル段部46)に車体幅方向に沿って設けられたクロスメンバ(例えば、実施形態におけるミドルクロスメンバ48)に接続される閉断面構造のリヤフレーム(例えば、実施形態におけるリヤフレーム55)を設け、このリヤフレームを前記サイドシル後部の袋状部の車室内側に接続したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記サイドシル後部の袋状部の後部側に、リヤサイドドア(例えば、実施形態におけるリヤサイドドア3)のドア取付開口部(例えば、実施形態におけるドア取付開口部4)の下部後端に沿うように後方に向かって立ち上がる隆起部(例えば、実施形態における隆起部34)を設け、前記隆起部を前記リヤサイドドア内に車体前後方向に沿って配置されたドアビーム(例えば、実施形態におけるドアビーム10)の後端に対峙させたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した発明は、前記隆起部の上部に上下方向に指向する水平な上壁部(例えば、実施形態における水平部31)を設け、この上壁部をドアビームの後端部の高さ位置に車体幅方向で対峙させたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した発明は、前記リヤフレームの前端部を前記クロスメンバとの結合部から前方へ向けて車体幅方向外側へ傾斜させ、前記袋状部の前端の前記サイドシルインナの側壁(例えば、実施形態における側壁49)に接合することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載した発明は、前記リヤフレームを、前記サイドシルの袋状部の前記隆起部の上壁部の配置位置で前記上壁部と同じ高さまで隆起させ、ここに水平なリヤフレーム上壁部(例えば、実施形態におけるリヤフレーム水平部61)を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載した発明は、前記サイドシルのサイドシルアウタをサイドシルアウタ前部(例えば、実施形態におけるサイドシルアウタ前部25)とサイドシルアウタ後部(例えば、実施形態におけるサイドシルアウタ後部26)とでと分割構成し、前記袋状部は、前記サイドシルアウタ後部の前端を車室内側に折り曲げた前記前壁部と、前記サイドシルの後端開口部(例えば、実施形態における後端開口部32)を閉塞するホイールアーチ部(例えば、実施形態におけるリヤホイールアーチ部8)の前部を後壁部(例えば、実施形態におけるリヤホイールハウスエクステンション40)として構成し、前記サイドシルインナとの間に前記袋状部が形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載した発明は、前記サイドシルのサイドシルアウタをサイドシルアウタ前部とサイドシルアウタ後部とで分割構成し、前記袋状部は、前記サイドシルアウタ後部の前端を車室内側に折り曲げた前壁部と、前記サイドシルアウタ後部の後端を車室内側に折り曲げた後壁部として構成し、前記サイドシルインナとの間に袋状部が形成されることを特徴とする。
請求項8に記載した発明は、前記袋状部は、内部に前記サイドシルアウタが前記サイドシルインナ側に潰れるのを阻止する補強部材(例えば、実施形態における補強部材63)を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載した発明によれば、車両の側面に車体幅方向外側から荷重が作用した場合に、リヤサイドドアが車体幅方向内側に移動しようとしても、サイドシル後部の袋状部が前壁部と後壁部とでバルクヘッドとして機能してサイドシルが変形しないでこれを受け止めてリヤサイドドアのそれ以上の侵入を防止し、サイドシルから入力された荷重を閉断面構造のリヤフレームに伝達しクロスメンバを介して十分に受け止めて車体全体で支持することができる。また、フロアパネル剛性が高まるため音振性能を向上することができる。また、袋状部のとりわけ前壁部がバルクヘッドとして機能するため、従来サイドシル内に設けていた別体のバルクヘッドが不要となる。
請求項2に記載した発明によれば、車両の側面に車体幅方向外側から荷重が作用した場合に、リヤサイドドアが車室内側に移動しようとしても、リヤサイドドアの内部に設けたドアビームがサイドシルの袋状部の後部の隆起部を押圧して、該隆起部の上壁傾斜面、後壁部で強化された水平部からリヤフレーム水平部への荷重伝達を容易に行い、その結果としてクロスメンバに荷重を伝達することができるので、車体全体で荷重を受けて車体の変形を抑えることができる。
請求項3に記載した発明によれば、車両の側面に車体幅方向外側から荷重が作用した場合に、リヤサイドドアが車室内側に移動してドアビームから作用する入力荷重をサイドシルの後部の上壁部で強度的に有利な上壁部に沿う方向で受けることができる。
請求項4に記載した発明によれば、車両の側面に車体幅方向外側から荷重が作用した場合に、リヤサイドドアが車体幅方向内側に移動しようとしても、サイドシル後部の袋状部が前壁部と後壁部とでバルクヘッドとして機能してサイドシルが変形しないでこれを受け止めてリヤサイドドアのそれ以上の侵入を防止し、サイドシルから入力された荷重を閉断面構造が連続するリヤフレームにスムーズに連続的に伝達しクロスメンバを介して十分に受け止めて車体全体で支持することができる。
請求項5に記載した発明によれば、車両の側面に車体幅方向外側から荷重が作用した場合に、リヤサイドドアが車室内側に移動してドアビームから作用する入力荷重をサイドシル後部の上壁部と、この上壁部と同じ高さに設けたリヤフレームのリヤフレーム上壁部とで強度的に有利な上壁部に沿う方向で受けることができる。
請求項6に記載した発明によれば、サイドシル後部の袋状部を形成する後壁部として、既存の部材であるホイールアーチ部の前部を利用しているため、別部材が必要なく、部品点数を増やすことなく対策できる。
請求項7に記載した発明によれば、サイドシル後部の袋状部を形成する前壁部も後壁部もサイドシルアウタ自体で形成するため、成形が容易となる。
請求項8に記載した発明によれば、サイドシルの袋状部の断面崩壊を阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施形態の車体の部分斜視図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】サイドシルアウタ後部の斜視図である。
【図5】図2のB−B線に沿う断面図である。
【図6】図2のC−C線に沿う断面図である。
【図7】図2のD−D線に沿う断面図である。
【図8】図2のE−E線に沿う断面図である。
【図9】サイドシルアウタ後部を取り外した状態の図2に相当する斜視図である。
【図10】後部側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、車体1の両側部には図示しないフロントサイドドアのドア取付開口部2とリヤサイドドア3のドア取付開口部4が形成されている。
リヤサイドドア3が取り付けられるドア取付開口部4は、センターピラー5、ルーフサイドレール6、リヤピラー7、リヤホイールアーチ部8及びサイドシル9によって形成されている。リヤサイドドア3の内部には下部に車体前後方向に沿ってパイプ状のドアビーム10が内装されている。尚、この実施形態ではドアビーム10はパイプ状であるが、断面波板状に折り曲げたプレス品でもよい。
【0016】
図2、図3に示すように、サイドシル9は車室の両側部に車体前後方向に沿って設けられ共にサイドシルインナ20とサイドシルアウタ21とを上部接合フランジ22と下部接合フランジ23とで接合して閉断面構造に形成された車体骨格部材である。
サイドシルアウタ21はサイドシルアウタ前部25とサイドシルアウタ後部26とで分割構成されている。サイドシルインナ20もサイドシルアウタ21に対応してサイドシルインナ前部20Fとサイドシルインナ後部20Rとで分割構成されているが、説明の上で必要である場合(図5、図6)以外はサイドシルインナ20として説明する。
【0017】
図4〜図7に示すように、サイドシルアウタ後部26は車室外側に指向する外壁部27の前端部に車室内側に折れ曲がる前壁部28を備え、外壁部27の下縁に車室内側に折れ曲がる下壁部29を備え、外壁部27の後端部には後方に開口した後端開口部32を備え、外壁部27の上縁には車室内側に折れ曲がる上壁部30を備えている。前壁部28、下壁部29、上壁部30は連続している。
サイドシルアウタ後部26の後部は上壁部30の後部が上壁傾斜面35を経て前部に対して立ち上がるように隆起する隆起部34を備え、隆起部34の上部に車体上下方向に指向する水平部31が形成されている。
これら前壁部28、上壁部30、下壁部29、後端開口部32の周縁には周縁フランジ33が形成されている。ここで、サイドシルアウタ前部25についても上壁部30、外壁部27、下壁部29がサイドシルアウタ後部26と共通するので同一部分に同一符号を付す。
【0018】
サイドシルアウタ後部26は、サイドシルインナ20に接続された状態で、開放された後端開口部32の周縁フランジ33にリヤホイールアーチ部8のリヤホイールハウスエクステンション40(後壁部として構成される)が接合され、後端開口部32が閉塞されている。前壁部28の周縁フランジ33は図6に示すようにサイドシルインナ前部20Fに接合されるため、サイドシル9の後部では閉断面構造部の前後が、サイドシルアウタ後部26の前壁部28とリヤホイールハウスエクステンション40とで閉塞されてサイドシルインナ20との間に袋状部41が形成されている。
【0019】
図7に示すように、サイドシル9の前部側(ドア取付開口部4の下辺部分の前部側)では、フロントフロアパネル45の側縁部はサイドシル9のサイドシルインナ20の側壁49の下部に接合されている。
図8に示すように、フロントフロアパネル45の後縁には階段状のフロアパネル段部46の前縁が接続され、フロアパネル段部46の後縁にはリヤフロアパネル47が接続されている。フロアパネル段部46には裏側からミドルクロスメンバ48が接合され、フロアパネル段部46の裏側に車体幅方向に沿って閉断面構造部H1が形成されている。
【0020】
図2、図3に示すように、リヤフロアパネル47の両側縁にリヤフレーム55が取り付けられている。リヤフレーム55はサイドシル9よりも車体幅方向内側で車体後部に向かって延びる車体骨格部材であって、サイドシル9の後部ではリヤフロアパネル47に接合されると共にミドルクロスメンバ48の両端部に接合されている。リヤフレーム55の前端部はミドルクロスメンバ48との結合部から前方へ向けて車体幅方向外側へ傾斜して、サイドシル9の側壁49に接合されている。
【0021】
具体的には、図3に示すように、サイドシル9の後部では、リヤフロアパネル47の側縁は、リヤフレームアッパ56の側縁フランジ57とリヤフレームロア58の側縁フランジ59に挟み込まれるようにしてリヤフレーム55が閉断面構造部H2を形成して接合されている。サイドシル9の前部(ドア取付開口部4の下辺部分の前部側)では、図2に示すように、フロアパネル段部46の側壁60及び図示しないミドルクロスメンバ48の端部との結合部から前側に徐々に斜側壁62をサイドシルインナ20に近づくようにして斜めに形成され、リヤフレーム55はリヤフレームアッパ56のフランジ部50がサイドシル9の上部接合フランジ22に接合され(図5参照)、リヤフレームロア58のフランジ部51がサイドシル9のサイドシルインナ20Rに接合されている(図2参照)。
【0022】
ここで、リヤフレーム55はサイドシル9の袋状部41の隆起部34の水平部31の配置位置とほぼ同じ高さまで隆起し、ここに車体上下方向に指向する水平なリヤフレーム水平部61を備えていて、袋状部41に車体内側から接続されている。
また、リヤフレーム水平部61の高さ寸法は、厳密にはサイドシルアウタ後部26の上部に位置する周縁フランジ33の上下方向中央部付近の高さ寸法に設定され、サイドシル9の上部接合フランジ部22の周縁フランジ33からの車体幅方向内側向きの荷重を確実にリヤフレーム水平部61の面に沿う方向で受けることができる。
【0023】
そして、サイドシル9の袋状部41の隆起部34は、リヤサイドドア3の内部に車体前後方向に配置されたドアビーム10の後端部に車体幅方向で対峙しており、厳密には図3に示すように、隆起部34の水平部31の高さ位置がドアビーム10の後端部の高さ位置(ドアビーム10後端の上下方向幅の間)に車体幅方向で対峙している。
【0024】
図9,図10に示すように、サイドシルインナ後部20Rには、袋状部41の内部に側壁49の車体幅方向の壁面に対向するように、サイドシルアウタ後部26がサイドシルインナ後部20R側へ潰れるのを阻止する補強部材63が収容されている。この補強部材63は上端部がサイドシルインナ後部20Rの側壁49に接合され、下端部はサイドシルアウタ後部26とサイドシルインナ後部20Rとの下部接合フランジ23に挟み込まれて固定されている。上下方向に延び車体幅方向外側に指向する受け面64の前後両側縁に車室内側に折れ曲がる縦壁65,65を備え、前側の縦壁65はサイドシルインナ後部20Rの側壁49にフランジ部66を接合している。受け面64には軽量化及び潰れ度合いを調整するための孔67,68が形成されている。
【0025】
上記実施形態によれば、車両側面衝突時等に、車体幅方向外側から荷重が作用した場合に、リヤサイドドア3が車体幅方向内側に移動しようとしても、サイドシル9の後部の袋状部41が前壁部28とリヤホイールハウスエクステンション40とでバルクヘッドとして機能し、サイドシル9が変形しないでこれを受け止めてリヤサイドドア3のそれ以上の侵入を防止し、サイドシル9から入力された荷重をリヤフレーム55の閉断面構造部H2に伝達しミドルクロスメンバ48とフロアパネル段部46とによって形成された閉断面構造部H1を介して十分に受け止めて車体1の全体で支持することができる。また、フロントフロアパネル45、リヤフロアパネル47、フロアパネル段部46からなるフロアパネル剛性が高まるため音振性能を向上することができる。
【0026】
とりわけ、リヤサイドドア3が車室内側に移動しようとした場合に、リヤサイドドア3の内部に設けたドアビーム10は、図3に矢印で示すようにサイドシル9の後部の袋状部41の後部に設けた隆起部34を押圧し、隆起部34の上壁傾斜面35、リヤホイールハウスエクステンション40で強化された水平部31からリヤフレーム水平部61への荷重伝達を容易に行い、リヤフレーム55の閉断面構造部H2、ミドルクロスメンバ48とフロアパネル段部46とによって形成された閉断面構造部H1を経てフロントフロアパネル45、リヤフロアパネル47に伝達されるため、潰れ変形することなく車体1の全体で荷重を受け、車体1の変形を抑えることができる。
【0027】
ここで、ドアビーム10から作用する入力荷重はサイドシル9の後部の袋状部41の後部の上壁部30の水平部31で強度的に有利な水平部31に沿う方向で受けることができるので、水平部31に対して上下方向にずれていた場合に比較して、水平部31が強度的に不利な曲げを受けることがなくなり、確実にドアビーム10から受けた荷重を支持することができる。
【0028】
また、サイドシル9の後部においてはサイドシルアウタ後部26が前壁部28と後端開口部32を覆うリヤホイールハウスエクステンション40とが形成されて袋状部41をなっているため、この袋状部41がバルクヘッドとして機能してサイドシル9の変形を阻止し、これを受け止めてリヤサイドドア3のそれ以上の侵入を防止し、サイドシル9から入力された荷重を連続的に閉断面構造部H2,H1が連続するリヤフレーム55とミドルクロスメンバ48にスムーズに伝達し十分に受け止めて支持することができる。また、袋状部41のとりわけ前壁部28がバルクヘッドとして機能するため、従来サイドシル9内に設けていた別体のバルクヘッドが不要となる。
【0029】
この場合、リヤフレーム55には袋状部41の後部の上壁部30の水平部31と前後位置及び高さ位置で一致するリヤフレーム水平部61がサイドシルアウタ後部26の周縁フランジ33の上下方向中央部付近の高さ寸法に設定されているため、リヤフレーム55に対して強度的に有利なリヤフレーム水平部61に沿う方向で受けることができる。
【0030】
サイドシル9の後部の袋状部41を形成する後壁部として、既存の部材であるリヤホイールアーチ部8の前部を構成するリヤホイールハウスエクステンション40を利用しているため、別部材が必要なく、部品点数を増やすことなく対策できる。
そして、補強部材63が袋状部41内に設けられ、受け面64が車体幅方向外側に指向しているため、サイドシルアウタ後部26が潰れようとしても、補強部材63が受け面64でサイドシルアウタ後部26の外壁部27の侵入を抑えるため、袋状部41の潰れを確実に抑え、袋状部41の断面崩壊を防止することができる。
【0031】
尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、サイドシル9の後部の袋状部41を形成する後壁部として、リヤホイールアーチ部8の前部を構成するリヤホイールハウスエクステンション40を用いたが、袋状部41の前壁部28と同様に、サイドシルアウタ後部26の外壁部27の後端部を車室内側に折り曲げることで後壁部(図示しない)を形成することもできる。
また、補強部材63は袋状部41の内部に収容されるものであれば、サイドシルアウタ後部26の外壁部27の内面にフランジ部66を接合する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
3 リヤサイドドア
4 ドア取付開口部
8 リヤホイールアーチ部(ホイールアーチ部)
9 サイドシル
10 ドアビーム
20 サイドシルインナ
21 サイドシルアウタ
25 サイドシルアウタ前部
26 サイドシルアウタ後部
28 前壁部
31 水平部(上壁部)
32 後端開口部
34 隆起部
40 リヤホイールハウスエクステンション(後壁部)
41 袋状部
45 フロントフロアパネル(フロアパネル)
46 フロアパネル段部(フロアパネル)
47 リヤフロアパネル(フロアパネル)
48 ミドルクロスメンバ(クロスメンバ)
49 側壁
55 リヤフレーム
61 リヤフレーム水平部(リヤフレーム上壁部)
63 補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の側部に車体前後方向に沿って設けられサイドシルインナとサイドシルアウタとで閉断面構造に形成されたサイドシルの後部に、前壁部と後壁部とで閉塞された袋状部を形成し、車体後部に車体前後方向に沿って配置されると共に、車体幅方向に沿ってフロアパネルに設けられたクロスメンバに接続される閉断面構造のリヤフレームを設け、このリヤフレームを前記サイドシル後部の袋状部の車室内側に接続したことを特徴とする車両の車体側部構造。
【請求項2】
前記サイドシル後部の袋状部の後部側に、リヤサイドドアのドア取付開口部の下部後端に沿うように後方に向かって立ち上がる隆起部を設け、前記隆起部を前記リヤサイドドア内に車体前後方向に沿って配置されたドアビームの後端に対峙させたことを特徴とする請求項1記載の車両の車体側部構造。
【請求項3】
前記隆起部の上部に上下方向に指向する水平な上壁部を設け、この上壁部の高さ位置をドアビームの後端部の高さ位置に車体幅方向で対峙させたことを特徴とする請求項2記載の車両の車体側部構造。
【請求項4】
前記リヤフレームの前端部を前記クロスメンバとの結合部から前方へ向けて車体幅方向外側へ傾斜させ、前記袋状部の前端の前記サイドシルインナに接合することを特徴とする請求項1記載の車両の車体側部構造。
【請求項5】
前記リヤフレームを、前記サイドシルの袋状部の前記隆起部の上壁部の配置位置で前記上壁部と同じ高さまで隆起させ、ここに水平なリヤフレーム上壁部を設けたことを特徴とする請求項2記載の車両の車体側部構造。
【請求項6】
前記サイドシルのサイドシルアウタをサイドシルアウタ前部とサイドシルアウタ後部とでと分割構成し、前記袋状部は、前記サイドシルアウタ後部の前端を車室内側に折り曲げた前記前壁部と、前記サイドシルの後端開口部を閉塞するホイールアーチ部の前部を後壁部として構成し、前記サイドシルインナとの間に前記袋状部が形成されることを特徴とする請求項1記載の車両の車体側部構造。
【請求項7】
前記サイドシルのサイドシルアウタをサイドシルアウタ前部とサイドシルアウタ後部とで分割構成し、前記袋状部は、前記サイドシルアウタ後部の前端を車室内側に折り曲げた前壁部と、前記サイドシルアウタ後部の後端を車室内側に折り曲げた後壁部として構成し、前記サイドシルインナとの間に袋状部が形成されることを特徴とする請求項1記載の車両の車体側部構造。
【請求項8】
前記袋状部は、内部に前記サイドシルアウタが前記サイドシルインナ側に潰れるのを阻止する補強部材を備えていることを特徴とする請求項1記載の車両の車体側部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−183892(P2011−183892A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49611(P2010−49611)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】