車両の車体前部
【課題】車両の正面に入力された衝撃(荷重)を吸収する構造が簡単で、且つ、設計の自由度が大きい車両の車体前部を提供する。
【解決手段】車体前部は、左右のフロントサイドフレームに車室の床(アンダボデー)の前に配置された左右に延びるサブフレーム15を取付けた。サブフレーム15の上部に車体前部内に配置されたエンジン18へ向けて設けたエンジン当て部96を備えている。サブフレーム15は、フロントサイドフレームに締結する後締結部98と、ロアアーム27を嵌める後アーム連結部94とを備え、後アーム連結部94と後締結部98の間の部位が変形して衝撃を吸収する。
【解決手段】車体前部は、左右のフロントサイドフレームに車室の床(アンダボデー)の前に配置された左右に延びるサブフレーム15を取付けた。サブフレーム15の上部に車体前部内に配置されたエンジン18へ向けて設けたエンジン当て部96を備えている。サブフレーム15は、フロントサイドフレームに締結する後締結部98と、ロアアーム27を嵌める後アーム連結部94とを備え、後アーム連結部94と後締結部98の間の部位が変形して衝撃を吸収する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室の床の前に設けたサブフレームの左端、右端に前輪を支持するロアアームを連結し、車両正面に入力された衝撃(荷重)をサブフレームで吸収する車両の車体前部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体前部には、前輪に沿って前後へ延びるフロントサイドメンバにサブフレームを下から締結しているものがある。
このサブフレームは、平面視、井桁状で、車室に近接し左右に延びる後部クロス部材をくの字に車両前方へ突出させているので、前方からの衝突荷重で後退する駆動ユニットの荷重が突出の先端(受け部)に入力されると、左右に広がる傾斜部によって荷重を車幅方向と車両後方とに分散することができる。従って、車体前部で吸収できなかった荷重を後方の車体部材に分散伝達することができ、キャビンへの影響を低減することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来技術(特許文献1)は、サブフレームの後部クロス部材を前方へ傾斜させて先端をなす受け部を形成し、車体前部で吸収できなかった荷重を車幅方向と車両後方とに分散できるが、構造が複雑になり、設計の自由度が低下する。
すなわち、後部クロス部材をくの字状に形成し、この部材に対応した車体フレームを形成するため、車体が特殊な構造となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3622715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、車両の正面に入力された衝撃(荷重)を吸収する構造が簡単で、且つ、設計の自由度が大きい車両の車体前部を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車両の車室に連続する車体前部の左右のフロントサイドフレームに車室の床の前に配置され左右に延びるサブフレームを取付けた車体前部において、サブフレームの上部に、車体前部内に配置されたエンジンへ向けて設けたエンジン当て部を備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、サブフレームは、フロントサイドフレームに締結する後締結部と、後締結部の近傍にサスペンション装置のロアアームを嵌めるアーム嵌合開口を設けた後アーム連結部と、エンジン当て部を設けたエンジン当接荷重入力部から少なくともアーム嵌合開口まで形成した中空部と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、フロントサイドフレームは、後締結部を締結したフレーム締結部に車両の左右へ分岐している分岐部を接続していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、サブフレームは、車両平面視、左右に延びる横メンバーと、横メンバーの左右の端部からそれぞれY字状に前後に分かれることで形成された一方の前枝メンバー、他方の後枝メンバーと、を備え、後枝メンバーに後アーム連結部が形成され、後枝メンバーから車両後方へ向け突出した枝部に後締結部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、エンジン当て部は、エンジンへ向けて立設した当壁を有し、車両側面視、上部とで三角形状を形成し、中空であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、左右のフロントサイドフレームに左右に延びるサブフレームを取付けた車体前部において、サブフレームの上部に、車体前部内に配置されたエンジンへ向けて設けたエンジン当て部を備えているので、車両の正面に入力された衝撃(荷重)を吸収する構造は簡単になり、且つ、設計の自由度が大きくなるという利点がある。
【0012】
すなわち、車両の正面に入力された衝撃(荷重)でエンジンが後退した場合に、最初にエンジンからサブフレームに衝撃(荷重)を伝えるのは、サブフレームの上部に設けたエンジン当て部だけでよく、構造は簡単になる。
【0013】
請求項2に係る発明では、サブフレームは、フロントサイドフレームに締結する後締結部と、後締結部の近傍にロアアームを嵌めるアーム嵌合開口を設けた後アーム連結部と、エンジン当て部を設けたエンジン当接荷重入力部から少なくともアーム嵌合開口まで形成した中空部と、を備えているので、車両の正面に衝撃(荷重)が入力されると、エンジン当て部からサブフレームの後締結部に伝わる荷重と、さらに、ロアアームから後アーム連結部に伝わる荷重によって、ロアアームはアーム嵌合開口を変形させ、さらに後締結部の近傍をV字状に折り曲げて変形させることができ、車両正面に入力された衝撃(荷重)を吸収することができる。
【0014】
請求項3に係る発明では、フロントサイドフレームは、後締結部を締結したフレーム締結部に車両の左右へ分岐している分岐部を接続しているので、車両正面に入力された衝撃(荷重)はサブフレームの後締結部からフロントサイドフレームの分岐部に伝わり、分岐部によって衝撃(荷重)をさらに分散させることができる。
【0015】
すなわち、サブフレームの後締結部を強度の大きい分岐部で支持すると、後アーム連結部と後締結部との間でより確実にくの字に折り曲げて変形させることができ、衝撃の吸収量を増加させることができる。
【0016】
請求項4に係る発明では、サブフレームは、車両平面視、左右に延びる横メンバーと、横メンバーの左右の端部からそれぞれY字状に前後に分かれることで形成された前枝メンバー、後枝メンバーと、を備え、後枝メンバーに後アーム連結部が形成され、後枝メンバーから車両後方へ向け突出した枝部に後締結部が形成されているので、正面に入力された衝撃(荷重)で後退したエンジンからエンジン当て部を介して後締結部へ伝わる荷重と、ロアアームが後退することによって伝える荷重とによって後枝メンバーと後締結部との間(緩衝部)に荷重が集中して変形する。その結果、車両正面に入力された衝撃(荷重)を車両前部の少ない変形量で吸収することができる。
【0017】
請求項5に係る発明では、エンジン当て部は、エンジンへ向けて立設した当壁を有し、車両側面視、上部とで三角形状を形成し、中空なので、正面に入力された衝撃(荷重)で後退したエンジンから当壁に荷重が伝わると、当壁に連続する傾斜したバックブラケットに衝撃(荷重)を分散することができ、軽量化を損なうことなく、強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係る車両の概要を示す断面図である。
【図2】右下から見た車体前部の斜視図である。
【図3】車体前部の分解斜視図である。
【図4】下から見た車体前部の左部の下面図である。
【図5】実施例に係るサブフレーム、サイドビームの斜視図である。
【図6】サブフレームの平面図である。
【図7】サブフレームの左で、(a)は詳細図、(b)は分解図である。
【図8】図6の8−8線断面図である。
【図9】図8の9部詳細図である。
【図10】エンジン当て部の分解図である。
【図11】実施例に係る車体前部の衝撃を吸収する機構を説明する平面図で、(a)は衝撃を入力している中途の状態、(b)は衝撃を入力した後の状態を示す。
【図12】実施例に係る車体前部の衝撃を吸収する機構を説明する斜視図で、(a)は衝撃を入力する前の状態、(b)は衝撃を入力した後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
車両11は、図1〜図3に示すように、実施例に係る車体前部12を採用している。
車体前部12は、車体14のフロントボデーであり、サブフレーム15を備える。このサブフレーム15および左右のフロントサイドフレーム16、17にエンジン18を載せ、前サスペンション装置21を支持している。
【0021】
ここで、車両11前後方向をX軸方向、車両11左右方向(車幅方向)をY軸方向、車両11上下方向をZ軸方向とする。
左右は、運転手を基準とし、運転席に座って正面を見た状態で、運転手の右が右とする。
【0022】
エンジン18は、図1、図5、図6に示すように、既存の横置(Y軸方向)きで、右に配置したエンジン本体23と、エンジン本体23に接続し左に配置した変速装置24を有する。
前サスペンション装置21は、図5、図6、図9に示す通り、マクファーソンストラット式で、前輪26(図1)を支持するロアアーム27と、このロアアーム27に下端を取付け立設したダンパー(ストラット)28と、を備える。
【0023】
ロアアーム27は、既存のもので、鉄(鋼)またはアルミニウム合金を用いた鋳造品(中実)であり、鋼板を用いたサブフレーム15に比べ強度が大きい。
そして、サブフレーム15に連結するロアアーム前連結端31と、ロアアーム後連結端32と、前輪26を支持したダンパー28の下端を連結する先端リンク部33と、を備える。なお、ダンパー28の上端を車体前部12のダンパーハウジング34(図2)に締結する。
【0024】
車体前部(フロントボデー)12は、左右のフロントサイドフレーム16、17、このフロントサイドフレーム16、17の先端に取付けた正面枠部(バルクヘッド)37、フロントサイドフレーム16、17に立設したダンパーハウジング34と、を備える。
【0025】
フロントサイドフレーム16、17は、図1〜図4に示すように、ほぼ水平なフレーム本体38と、フレーム本体38から後方下方(矢印a1の方向)に下がり傾斜したフロントフロアフレーム41と、を有する。
フロントフロアフレーム41の中央に設けた前フレーム締結部43、後部に設けた後フレーム締結部44に下方からサブフレーム15を締結し、フロントフロアフレーム41を床(アンダボデー)45に一体的に接合している。
【0026】
アンダボデー45は、図2に示す通り、フロントフロアパネル46の左右の端を左右のサイドボデー47、48のサイドシル51に接合している。
また、フロントフロアパネル46と、フロントフロアパネル46の左右の中央に設けたトンネル部52と、図2〜図4に示すフロントフロアフレーム41から延びるフロアセンタフレーム54、フロアフレーム55、アウトリガー56と、を備える。
これらフロアフレーム55の後端、アウトリガー56の外端を左右のフロントサイドフレーム16、17の後方でサイドシル51に接合している。
【0027】
フロントサイドフレーム16、17はまた、フレーム本体38の前部を前衝撃吸収部58とし、この前衝撃吸収部58にバンパ装置61のバンパビーム62を取付けている。
前衝撃吸収部58はバンパビーム62に入力された衝撃(荷重)を直接吸収する。
【0028】
バンパビーム62は、前衝撃吸収部58の先端に直接締結したものである。すなわち、バンパビーム62に入力された衝撃(荷重)を吸収するものをフロントサイドフレーム16、17との間に介在させていない。
【0029】
前衝撃吸収部58の内側には正面枠部(バルクヘッド)37を取付けている。
正面枠部(バルクヘッド)37は、左右のフロントサイドフレーム16、17に立設したフロントサイドバルクヘッド64、フロントサイドバルクヘッド64の上部に接合したバルクヘッドアッパフレーム65、フロントサイドバルクヘッド64の下部に接合したフロントバルクヘッドロアクロスメンバ66を備える。68はフロントバルクヘッドロアクロスメンバ66に接合した足払いプレートである。
【0030】
次に、車体前部12の主要構成を図1〜図10で説明する。
車体前部12は、車両11の車室71に連続する車体前部12の左右のフロントサイドフレーム16、17に車室71の床(アンダボデー)45の前に配置された左右に延びるサブフレーム15を取付けた。
【0031】
そして、サブフレーム15の上部95に車体前部12内に配置されたエンジン18へ向けて設けたエンジン当て部96を備えている。
【0032】
サブフレーム15は、フロントサイドフレーム16、17に締結する後締結部98と、後締結部98の近傍にサスペンション装置(前サスペンション装置)21のロアアーム27を嵌めるアーム嵌合開口127(図7)を設けた後アーム連結部94と、エンジン当て部96を設けたエンジン当接荷重入力部131から少なくともアーム嵌合開口127まで形成した中空部128(図7、図8)と、を備えている。
【0033】
フロントサイドフレーム16、17は、後締結部98を締結したフレーム締結部(後フレーム締結部)44に車両11の左右へ分岐している分岐部102を接続している。
【0034】
また、サブフレーム15は、車両11平面視(図6の視点)、左右(Y軸方向)に延びる横メンバー103と、横メンバー103の左右の端部からそれぞれY字状に前後に分かれることで形成された一方の前枝メンバー104、他方の後枝メンバー105と、を備える。
【0035】
そして、後枝メンバー105に後アーム連結部94が形成され、後枝メンバー105から車両11後方へ向け突出した枝部106に後締結部98が形成されている。
【0036】
エンジン当て部96は、車両側面視(図8、図9の視点)、上部95とで三角形状を形成し、中空(中空部96a)である。
【0037】
次に、車体前部12を詳しく説明していく。
車体前部12は、既に述べたサブフレーム15、エンジン当て部96を有する。
サブフレーム15は、横メンバー103の左右の端部に前締結部178が形成されてフロントサイドフレーム16、17の前フレーム締結部43に締結している。
一方、後締結部98がフロントサイドフレーム16、17のフレーム締結部(後フレーム締結部)44に締結している。
【0038】
後締結部98が、車両11平面視(図6の視点)、後アーム連結部94より車両11の外側(矢印a5の方向)に形成されている。言い換えると、後アーム連結部94から車両11の外側へ向かって距離Wrだけ離れている。
【0039】
さらに、サブフレーム15は、図7、図8に示す通り、鋼板を用いた中空で、上分割本体181に下分割本体182を接合したものである。そして、後締結部98には上分割本体181および下分割本体182に接合したカラー183を配置している。184は孔である。
さらに、後退したエンジン18がサブフレーム15に接触するとほぼ同時に当接する位置にエンジン当て部96が取付けられている。
【0040】
エンジン当て部96は、図8〜図10に示す通り、上分割本体181に当壁185を立設し、当壁185の裏面にバックブラケット186を接合している。187は当壁185およびバックブラケット186を固定する溶接部である。
「当壁185の裏面」とは、後退するエンジン18が当接する面を表面とし、この表面に対する裏面である。
【0041】
エンジン当て部96は、高さHeをエンジン18の下部188に当接する高さに設定し、幅We(Y軸方向)をサブフレーム15の幅(Y軸方向)の約1/7に設定している。その結果、軽量化を損なうことなく、エンジン18の後退を抑制しつつ、フロントサイドフレーム16、17に衝撃(荷重)を伝達することができる。
【0042】
次に、実施例に係る車体前部12の作用を説明する。
車体前部12の衝撃を吸収する機構を説明する(図11、図12参照)。
車体前部12では、車両11の正面79(図1)に他の自動車など障害物が接触すると、後締結部98の近傍(緩衝部98a)がV字状に変形することによって、衝撃を吸収することができる。
【0043】
具体的には、車両11の正面79(図1)に障害物が接触し、正面に衝撃(荷重)が矢印b1のように入力され、図11(a)に示す通り、エンジン18が後退すると、エンジン当て部96に矢印d1のように当接する。
【0044】
そして、エンジン当て部96に衝撃(荷重)が入力されると、エンジン当て部96からサブフレーム15の後締結部98に荷重が左に矢印d2、右に矢印d3のように伝わる。
【0045】
一方、ロアアーム27から後アーム連結部94に荷重が矢印d4のように伝わるので、後締結部98(緩衝部98a)に荷重が集中し、ロアアーム27はアーム嵌合開口127を変形させ(図12(b))、且つ、図11に示す通り、後アーム連結部94と後締結部98との間(緩衝部98a)を起点にV字状に折り曲げることによって、車両11正面に入力された衝撃(荷重)を吸収することができる。
【0046】
車体前部12では、車両11正面に入力された衝撃(荷重)はサブフレーム15の後締結部98からフロントサイドフレーム16、17の分岐部102(図4)に矢印b7のように伝わる。
【0047】
分岐部102によって、図4に示す通り、衝撃(荷重)をさらにフロアセンタフレーム54に矢印b8、フロアフレーム55に矢印b9のように分散させることができる。
すなわち、サブフレーム15の後締結部98を強度の大きい分岐部102で支持すると、後アーム連結部94と後締結部98との間(緩衝部98a)でより確実にくの字に折り曲げて変形させることができ、衝撃の吸収量を増加させることができる。
【0048】
衝撃(荷重)で後退したエンジン18からエンジン当て部96を介して後締結部98へ伝わる荷重と、ロアアーム27が後退することによって伝える荷重とによって後枝メンバー105と後締結部98との間(緩衝部98a)に荷重が集中して変形する。その結果、車両11正面に入力された衝撃(荷重)を車両11前部の少ない変形量で吸収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の車両の車体前部は、自動車に好適である。
【符号の説明】
【0050】
11…車両、12…車体前部、15…サブフレーム、16…左のフロントサイドフレーム、17…右のフロントサイドフレーム、18…エンジン、21…サスペンション装置(前サスペンション装置)、27…ロアアーム、44…フロントサイドフレームのフレーム締結部(後フレーム締結部)、45…床(アンダボデー)、71…車室、94…サブフレームの後アーム連結部、95…サブフレームの上部、96…エンジン当て部、96a…エンジン当て部の中空部、98…サブフレームの後締結部、102…分岐部、103…横メンバー、104…前枝メンバー、105…後枝メンバー、106…枝部、127…アーム嵌合開口、128…中空部、131…エンジン当接荷重入力部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室の床の前に設けたサブフレームの左端、右端に前輪を支持するロアアームを連結し、車両正面に入力された衝撃(荷重)をサブフレームで吸収する車両の車体前部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体前部には、前輪に沿って前後へ延びるフロントサイドメンバにサブフレームを下から締結しているものがある。
このサブフレームは、平面視、井桁状で、車室に近接し左右に延びる後部クロス部材をくの字に車両前方へ突出させているので、前方からの衝突荷重で後退する駆動ユニットの荷重が突出の先端(受け部)に入力されると、左右に広がる傾斜部によって荷重を車幅方向と車両後方とに分散することができる。従って、車体前部で吸収できなかった荷重を後方の車体部材に分散伝達することができ、キャビンへの影響を低減することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来技術(特許文献1)は、サブフレームの後部クロス部材を前方へ傾斜させて先端をなす受け部を形成し、車体前部で吸収できなかった荷重を車幅方向と車両後方とに分散できるが、構造が複雑になり、設計の自由度が低下する。
すなわち、後部クロス部材をくの字状に形成し、この部材に対応した車体フレームを形成するため、車体が特殊な構造となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3622715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、車両の正面に入力された衝撃(荷重)を吸収する構造が簡単で、且つ、設計の自由度が大きい車両の車体前部を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車両の車室に連続する車体前部の左右のフロントサイドフレームに車室の床の前に配置され左右に延びるサブフレームを取付けた車体前部において、サブフレームの上部に、車体前部内に配置されたエンジンへ向けて設けたエンジン当て部を備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、サブフレームは、フロントサイドフレームに締結する後締結部と、後締結部の近傍にサスペンション装置のロアアームを嵌めるアーム嵌合開口を設けた後アーム連結部と、エンジン当て部を設けたエンジン当接荷重入力部から少なくともアーム嵌合開口まで形成した中空部と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、フロントサイドフレームは、後締結部を締結したフレーム締結部に車両の左右へ分岐している分岐部を接続していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、サブフレームは、車両平面視、左右に延びる横メンバーと、横メンバーの左右の端部からそれぞれY字状に前後に分かれることで形成された一方の前枝メンバー、他方の後枝メンバーと、を備え、後枝メンバーに後アーム連結部が形成され、後枝メンバーから車両後方へ向け突出した枝部に後締結部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、エンジン当て部は、エンジンへ向けて立設した当壁を有し、車両側面視、上部とで三角形状を形成し、中空であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、左右のフロントサイドフレームに左右に延びるサブフレームを取付けた車体前部において、サブフレームの上部に、車体前部内に配置されたエンジンへ向けて設けたエンジン当て部を備えているので、車両の正面に入力された衝撃(荷重)を吸収する構造は簡単になり、且つ、設計の自由度が大きくなるという利点がある。
【0012】
すなわち、車両の正面に入力された衝撃(荷重)でエンジンが後退した場合に、最初にエンジンからサブフレームに衝撃(荷重)を伝えるのは、サブフレームの上部に設けたエンジン当て部だけでよく、構造は簡単になる。
【0013】
請求項2に係る発明では、サブフレームは、フロントサイドフレームに締結する後締結部と、後締結部の近傍にロアアームを嵌めるアーム嵌合開口を設けた後アーム連結部と、エンジン当て部を設けたエンジン当接荷重入力部から少なくともアーム嵌合開口まで形成した中空部と、を備えているので、車両の正面に衝撃(荷重)が入力されると、エンジン当て部からサブフレームの後締結部に伝わる荷重と、さらに、ロアアームから後アーム連結部に伝わる荷重によって、ロアアームはアーム嵌合開口を変形させ、さらに後締結部の近傍をV字状に折り曲げて変形させることができ、車両正面に入力された衝撃(荷重)を吸収することができる。
【0014】
請求項3に係る発明では、フロントサイドフレームは、後締結部を締結したフレーム締結部に車両の左右へ分岐している分岐部を接続しているので、車両正面に入力された衝撃(荷重)はサブフレームの後締結部からフロントサイドフレームの分岐部に伝わり、分岐部によって衝撃(荷重)をさらに分散させることができる。
【0015】
すなわち、サブフレームの後締結部を強度の大きい分岐部で支持すると、後アーム連結部と後締結部との間でより確実にくの字に折り曲げて変形させることができ、衝撃の吸収量を増加させることができる。
【0016】
請求項4に係る発明では、サブフレームは、車両平面視、左右に延びる横メンバーと、横メンバーの左右の端部からそれぞれY字状に前後に分かれることで形成された前枝メンバー、後枝メンバーと、を備え、後枝メンバーに後アーム連結部が形成され、後枝メンバーから車両後方へ向け突出した枝部に後締結部が形成されているので、正面に入力された衝撃(荷重)で後退したエンジンからエンジン当て部を介して後締結部へ伝わる荷重と、ロアアームが後退することによって伝える荷重とによって後枝メンバーと後締結部との間(緩衝部)に荷重が集中して変形する。その結果、車両正面に入力された衝撃(荷重)を車両前部の少ない変形量で吸収することができる。
【0017】
請求項5に係る発明では、エンジン当て部は、エンジンへ向けて立設した当壁を有し、車両側面視、上部とで三角形状を形成し、中空なので、正面に入力された衝撃(荷重)で後退したエンジンから当壁に荷重が伝わると、当壁に連続する傾斜したバックブラケットに衝撃(荷重)を分散することができ、軽量化を損なうことなく、強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係る車両の概要を示す断面図である。
【図2】右下から見た車体前部の斜視図である。
【図3】車体前部の分解斜視図である。
【図4】下から見た車体前部の左部の下面図である。
【図5】実施例に係るサブフレーム、サイドビームの斜視図である。
【図6】サブフレームの平面図である。
【図7】サブフレームの左で、(a)は詳細図、(b)は分解図である。
【図8】図6の8−8線断面図である。
【図9】図8の9部詳細図である。
【図10】エンジン当て部の分解図である。
【図11】実施例に係る車体前部の衝撃を吸収する機構を説明する平面図で、(a)は衝撃を入力している中途の状態、(b)は衝撃を入力した後の状態を示す。
【図12】実施例に係る車体前部の衝撃を吸収する機構を説明する斜視図で、(a)は衝撃を入力する前の状態、(b)は衝撃を入力した後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
車両11は、図1〜図3に示すように、実施例に係る車体前部12を採用している。
車体前部12は、車体14のフロントボデーであり、サブフレーム15を備える。このサブフレーム15および左右のフロントサイドフレーム16、17にエンジン18を載せ、前サスペンション装置21を支持している。
【0021】
ここで、車両11前後方向をX軸方向、車両11左右方向(車幅方向)をY軸方向、車両11上下方向をZ軸方向とする。
左右は、運転手を基準とし、運転席に座って正面を見た状態で、運転手の右が右とする。
【0022】
エンジン18は、図1、図5、図6に示すように、既存の横置(Y軸方向)きで、右に配置したエンジン本体23と、エンジン本体23に接続し左に配置した変速装置24を有する。
前サスペンション装置21は、図5、図6、図9に示す通り、マクファーソンストラット式で、前輪26(図1)を支持するロアアーム27と、このロアアーム27に下端を取付け立設したダンパー(ストラット)28と、を備える。
【0023】
ロアアーム27は、既存のもので、鉄(鋼)またはアルミニウム合金を用いた鋳造品(中実)であり、鋼板を用いたサブフレーム15に比べ強度が大きい。
そして、サブフレーム15に連結するロアアーム前連結端31と、ロアアーム後連結端32と、前輪26を支持したダンパー28の下端を連結する先端リンク部33と、を備える。なお、ダンパー28の上端を車体前部12のダンパーハウジング34(図2)に締結する。
【0024】
車体前部(フロントボデー)12は、左右のフロントサイドフレーム16、17、このフロントサイドフレーム16、17の先端に取付けた正面枠部(バルクヘッド)37、フロントサイドフレーム16、17に立設したダンパーハウジング34と、を備える。
【0025】
フロントサイドフレーム16、17は、図1〜図4に示すように、ほぼ水平なフレーム本体38と、フレーム本体38から後方下方(矢印a1の方向)に下がり傾斜したフロントフロアフレーム41と、を有する。
フロントフロアフレーム41の中央に設けた前フレーム締結部43、後部に設けた後フレーム締結部44に下方からサブフレーム15を締結し、フロントフロアフレーム41を床(アンダボデー)45に一体的に接合している。
【0026】
アンダボデー45は、図2に示す通り、フロントフロアパネル46の左右の端を左右のサイドボデー47、48のサイドシル51に接合している。
また、フロントフロアパネル46と、フロントフロアパネル46の左右の中央に設けたトンネル部52と、図2〜図4に示すフロントフロアフレーム41から延びるフロアセンタフレーム54、フロアフレーム55、アウトリガー56と、を備える。
これらフロアフレーム55の後端、アウトリガー56の外端を左右のフロントサイドフレーム16、17の後方でサイドシル51に接合している。
【0027】
フロントサイドフレーム16、17はまた、フレーム本体38の前部を前衝撃吸収部58とし、この前衝撃吸収部58にバンパ装置61のバンパビーム62を取付けている。
前衝撃吸収部58はバンパビーム62に入力された衝撃(荷重)を直接吸収する。
【0028】
バンパビーム62は、前衝撃吸収部58の先端に直接締結したものである。すなわち、バンパビーム62に入力された衝撃(荷重)を吸収するものをフロントサイドフレーム16、17との間に介在させていない。
【0029】
前衝撃吸収部58の内側には正面枠部(バルクヘッド)37を取付けている。
正面枠部(バルクヘッド)37は、左右のフロントサイドフレーム16、17に立設したフロントサイドバルクヘッド64、フロントサイドバルクヘッド64の上部に接合したバルクヘッドアッパフレーム65、フロントサイドバルクヘッド64の下部に接合したフロントバルクヘッドロアクロスメンバ66を備える。68はフロントバルクヘッドロアクロスメンバ66に接合した足払いプレートである。
【0030】
次に、車体前部12の主要構成を図1〜図10で説明する。
車体前部12は、車両11の車室71に連続する車体前部12の左右のフロントサイドフレーム16、17に車室71の床(アンダボデー)45の前に配置された左右に延びるサブフレーム15を取付けた。
【0031】
そして、サブフレーム15の上部95に車体前部12内に配置されたエンジン18へ向けて設けたエンジン当て部96を備えている。
【0032】
サブフレーム15は、フロントサイドフレーム16、17に締結する後締結部98と、後締結部98の近傍にサスペンション装置(前サスペンション装置)21のロアアーム27を嵌めるアーム嵌合開口127(図7)を設けた後アーム連結部94と、エンジン当て部96を設けたエンジン当接荷重入力部131から少なくともアーム嵌合開口127まで形成した中空部128(図7、図8)と、を備えている。
【0033】
フロントサイドフレーム16、17は、後締結部98を締結したフレーム締結部(後フレーム締結部)44に車両11の左右へ分岐している分岐部102を接続している。
【0034】
また、サブフレーム15は、車両11平面視(図6の視点)、左右(Y軸方向)に延びる横メンバー103と、横メンバー103の左右の端部からそれぞれY字状に前後に分かれることで形成された一方の前枝メンバー104、他方の後枝メンバー105と、を備える。
【0035】
そして、後枝メンバー105に後アーム連結部94が形成され、後枝メンバー105から車両11後方へ向け突出した枝部106に後締結部98が形成されている。
【0036】
エンジン当て部96は、車両側面視(図8、図9の視点)、上部95とで三角形状を形成し、中空(中空部96a)である。
【0037】
次に、車体前部12を詳しく説明していく。
車体前部12は、既に述べたサブフレーム15、エンジン当て部96を有する。
サブフレーム15は、横メンバー103の左右の端部に前締結部178が形成されてフロントサイドフレーム16、17の前フレーム締結部43に締結している。
一方、後締結部98がフロントサイドフレーム16、17のフレーム締結部(後フレーム締結部)44に締結している。
【0038】
後締結部98が、車両11平面視(図6の視点)、後アーム連結部94より車両11の外側(矢印a5の方向)に形成されている。言い換えると、後アーム連結部94から車両11の外側へ向かって距離Wrだけ離れている。
【0039】
さらに、サブフレーム15は、図7、図8に示す通り、鋼板を用いた中空で、上分割本体181に下分割本体182を接合したものである。そして、後締結部98には上分割本体181および下分割本体182に接合したカラー183を配置している。184は孔である。
さらに、後退したエンジン18がサブフレーム15に接触するとほぼ同時に当接する位置にエンジン当て部96が取付けられている。
【0040】
エンジン当て部96は、図8〜図10に示す通り、上分割本体181に当壁185を立設し、当壁185の裏面にバックブラケット186を接合している。187は当壁185およびバックブラケット186を固定する溶接部である。
「当壁185の裏面」とは、後退するエンジン18が当接する面を表面とし、この表面に対する裏面である。
【0041】
エンジン当て部96は、高さHeをエンジン18の下部188に当接する高さに設定し、幅We(Y軸方向)をサブフレーム15の幅(Y軸方向)の約1/7に設定している。その結果、軽量化を損なうことなく、エンジン18の後退を抑制しつつ、フロントサイドフレーム16、17に衝撃(荷重)を伝達することができる。
【0042】
次に、実施例に係る車体前部12の作用を説明する。
車体前部12の衝撃を吸収する機構を説明する(図11、図12参照)。
車体前部12では、車両11の正面79(図1)に他の自動車など障害物が接触すると、後締結部98の近傍(緩衝部98a)がV字状に変形することによって、衝撃を吸収することができる。
【0043】
具体的には、車両11の正面79(図1)に障害物が接触し、正面に衝撃(荷重)が矢印b1のように入力され、図11(a)に示す通り、エンジン18が後退すると、エンジン当て部96に矢印d1のように当接する。
【0044】
そして、エンジン当て部96に衝撃(荷重)が入力されると、エンジン当て部96からサブフレーム15の後締結部98に荷重が左に矢印d2、右に矢印d3のように伝わる。
【0045】
一方、ロアアーム27から後アーム連結部94に荷重が矢印d4のように伝わるので、後締結部98(緩衝部98a)に荷重が集中し、ロアアーム27はアーム嵌合開口127を変形させ(図12(b))、且つ、図11に示す通り、後アーム連結部94と後締結部98との間(緩衝部98a)を起点にV字状に折り曲げることによって、車両11正面に入力された衝撃(荷重)を吸収することができる。
【0046】
車体前部12では、車両11正面に入力された衝撃(荷重)はサブフレーム15の後締結部98からフロントサイドフレーム16、17の分岐部102(図4)に矢印b7のように伝わる。
【0047】
分岐部102によって、図4に示す通り、衝撃(荷重)をさらにフロアセンタフレーム54に矢印b8、フロアフレーム55に矢印b9のように分散させることができる。
すなわち、サブフレーム15の後締結部98を強度の大きい分岐部102で支持すると、後アーム連結部94と後締結部98との間(緩衝部98a)でより確実にくの字に折り曲げて変形させることができ、衝撃の吸収量を増加させることができる。
【0048】
衝撃(荷重)で後退したエンジン18からエンジン当て部96を介して後締結部98へ伝わる荷重と、ロアアーム27が後退することによって伝える荷重とによって後枝メンバー105と後締結部98との間(緩衝部98a)に荷重が集中して変形する。その結果、車両11正面に入力された衝撃(荷重)を車両11前部の少ない変形量で吸収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の車両の車体前部は、自動車に好適である。
【符号の説明】
【0050】
11…車両、12…車体前部、15…サブフレーム、16…左のフロントサイドフレーム、17…右のフロントサイドフレーム、18…エンジン、21…サスペンション装置(前サスペンション装置)、27…ロアアーム、44…フロントサイドフレームのフレーム締結部(後フレーム締結部)、45…床(アンダボデー)、71…車室、94…サブフレームの後アーム連結部、95…サブフレームの上部、96…エンジン当て部、96a…エンジン当て部の中空部、98…サブフレームの後締結部、102…分岐部、103…横メンバー、104…前枝メンバー、105…後枝メンバー、106…枝部、127…アーム嵌合開口、128…中空部、131…エンジン当接荷重入力部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室に連続する車体前部の左右のフロントサイドフレームに前記車室の床の前に配置され左右に延びるサブフレームを取付けた車体前部において、
前記サブフレームの上部に、前記車体前部内に配置されたエンジンへ向けて設けたエンジン当て部を備えていることを特徴とする車両の車体前部。
【請求項2】
前記サブフレームは、前記フロントサイドフレームに締結する後締結部と、該後締結部の近傍にサスペンション装置のロアアームを嵌めるアーム嵌合開口を設けた後アーム連結部と、前記エンジン当て部を設けたエンジン当接荷重入力部から少なくとも前記アーム嵌合開口まで形成した中空部と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の車両の車体前部。
【請求項3】
前記フロントサイドフレームは、前記後締結部を締結したフレーム締結部に前記車両の左右へ分岐している分岐部を接続していることを特徴とする請求項2記載の車両の車体前部。
【請求項4】
前記サブフレームは、車両平面視、左右に延びる横メンバーと、該横メンバーの左右の端部からそれぞれY字状に前後に分かれることで形成された一方の前枝メンバー、他方の後枝メンバーと、を備え、
前記後枝メンバーに前記後アーム連結部が形成され、前記後枝メンバーから車両後方へ向け突出した枝部に前記後締結部が形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の車両の車体前部。
【請求項5】
前記エンジン当て部は、前記エンジンへ向けて立設した当壁を有し、車両側面視、前記上部とで三角形状を形成し、中空であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両の車体前部。
【請求項1】
車両の車室に連続する車体前部の左右のフロントサイドフレームに前記車室の床の前に配置され左右に延びるサブフレームを取付けた車体前部において、
前記サブフレームの上部に、前記車体前部内に配置されたエンジンへ向けて設けたエンジン当て部を備えていることを特徴とする車両の車体前部。
【請求項2】
前記サブフレームは、前記フロントサイドフレームに締結する後締結部と、該後締結部の近傍にサスペンション装置のロアアームを嵌めるアーム嵌合開口を設けた後アーム連結部と、前記エンジン当て部を設けたエンジン当接荷重入力部から少なくとも前記アーム嵌合開口まで形成した中空部と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の車両の車体前部。
【請求項3】
前記フロントサイドフレームは、前記後締結部を締結したフレーム締結部に前記車両の左右へ分岐している分岐部を接続していることを特徴とする請求項2記載の車両の車体前部。
【請求項4】
前記サブフレームは、車両平面視、左右に延びる横メンバーと、該横メンバーの左右の端部からそれぞれY字状に前後に分かれることで形成された一方の前枝メンバー、他方の後枝メンバーと、を備え、
前記後枝メンバーに前記後アーム連結部が形成され、前記後枝メンバーから車両後方へ向け突出した枝部に前記後締結部が形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の車両の車体前部。
【請求項5】
前記エンジン当て部は、前記エンジンへ向けて立設した当壁を有し、車両側面視、前記上部とで三角形状を形成し、中空であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両の車体前部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−153259(P2012−153259A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14242(P2011−14242)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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