車両の車体前部
【課題】衝撃吸収を損なうことなく、車体前部(クラッシャブルゾーン)の前後方向の長さを短縮した車両の車体前部を提供する。
【解決手段】車体前部12は、フロントサイドフレーム16の先端に設けた正面枠部(バルクヘッド)37の下部をなす左右に延びる下部クロスビーム(フロントバルクヘッドロアクロスメンバ)66に車両11前方へ張り出した足払いプレート68を設け、下部クロスビーム66に車両11後方へ延びる下部緩衝バー部材137を設け、下部緩衝バー部材137の前方に足払いプレート68の後部とで一体的に閉断面形状を形成した衝撃吸収突出部材138を設けた。
【解決手段】車体前部12は、フロントサイドフレーム16の先端に設けた正面枠部(バルクヘッド)37の下部をなす左右に延びる下部クロスビーム(フロントバルクヘッドロアクロスメンバ)66に車両11前方へ張り出した足払いプレート68を設け、下部クロスビーム66に車両11後方へ延びる下部緩衝バー部材137を設け、下部緩衝バー部材137の前方に足払いプレート68の後部とで一体的に閉断面形状を形成した衝撃吸収突出部材138を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の正面の内部に、正面に入力された衝撃を吸収する部材を設けた車両の車体前部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体前部には、車両の正面の内部に衝撃吸収部材を設けたものがある。
この部材は、前輪に沿う左右のフロントサイドフレームの下方に配置されて前後に延びる左右の縦アームからサイド支柱をそれぞれ張り出し、これらのサイド支柱の先端に左右に延びるバーを取付けている。さらに、バーの中央にセンタ支柱をサイド支柱に平行に設けて縦アームに支持している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来技術(特許文献1)は、正面に入力された衝撃が左右のサイド支柱から車両前後に延びる左右の縦アームに一直線に伝わるため、左右の縦アームは座屈強度が大きく、変形し難く、衝撃を十分吸収することができない。
また、車両正面に入力される衝撃を十分に吸収することができないと、車体前部の前後の長さ(クラッシャブルゾーン)を長くする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4521403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、衝撃吸収を損なうことなく、車体前部(クラッシャブルゾーン)の前後方向の長さを短縮した車両の車体前部を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車両に設けた車室から前方に延ばした左右のフロントサイドフレームと、フロントサイドフレームの先端に設けた正面枠部と、を備える車体前部において、正面枠部の下部をなす左右に延びる下部クロスビームに車両前方へ張り出した足払いプレートを設け、下部クロスビームに車両後方へ延びる下部緩衝バー部材を設け、下部緩衝バー部材の前方に足払いプレートの後部とで一体的に閉断面形状を形成した衝撃吸収突出部材を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、衝撃吸収突出部材を下部緩衝バー部材より上位に配置していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、衝撃吸収突出部材は、車両側面視、三角形状で、先端に向かって尖り、傾斜吸収フレーム部が傾斜していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、足払いプレートは、衝撃吸収突出部材に沿って、車両の前後方向に延ばしたビードを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、下部緩衝バー部材の後部を、車室の床の前方に配置されフロントサイドフレームに取付けたサブフレームに結合していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、左右のフロントサイドフレームの先端に設けた正面枠部の下部をなす左右に延びる下部クロスビームに車両前方へ張り出した足払いプレートを設け、下部クロスビームに車両後方へ延びる下部緩衝バー部材を設け、下部緩衝バー部材の前方に足払いプレートの後部とで一体的に閉断面形状を形成した衝撃吸収突出部材を設けたので、足払いプレートによって歩行者の脚部を保護し、衝撃吸収突出部材によって他の車両などの障害物と接触(衝突)したときの衝撃を吸収することができる。その結果、衝撃を吸収するための車体前部の変形量(衝撃吸収代(クラッシャブルゾーン))を小さくすることができ、車体前部(クラッシャブルゾーン)の前後方向の長さを短縮することができる。
【0012】
請求項2に係る発明では、衝撃吸収突出部材を下部緩衝バー部材より上位に配置しているので、車両の正面に衝撃(荷重)が入力されると、上位の衝撃吸収突出部材から下部緩衝バー部材に偏心した荷重が伝わり、下部緩衝バー部材は曲がり始める。
このように、下部緩衝バー部材は容易に下部緩衝バー部材の上面を谷折りして屈曲変形することによって、衝撃を吸収することができる。
【0013】
請求項3に係る発明では、衝撃吸収突出部材は、車両側面視、三角形状で、先端に向かって尖り、傾斜吸収フレーム部が傾斜しているので、車両の正面に衝撃(荷重)が入力されると、衝撃吸収突出部材を先端から圧縮するように圧縮変形して衝撃を吸収することができる。
また、衝撃吸収突出部材をその中央で折ることなく、所望通りに車両の前後方向に圧縮することができ、より確実に衝撃を吸収することができる。
【0014】
請求項4に係る発明では、足払いプレートは、衝撃吸収突出部材に沿って、車両の前後方向に延ばしたビードを備えているので、車両の正面に入力される衝撃(荷重)に対する足払いプレートの強度(反力)が高まり、衝撃吸収量を増大させることができる。
【0015】
請求項5に係る発明では、下部緩衝バー部材の後部を、車室の床の前方に配置されフロントサイドフレームに取付けたサブフレームに結合しているので、下部緩衝バー部材の後部からサブフレームに衝撃(荷重)を分散し、吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係る車両の概要を示す断面図である。
【図2】右下から見た車体前部の斜視図である。
【図3】車体前部の分解斜視図である。
【図4】下から見た車体前部の左部の下面図である。
【図5】実施例に係るサブフレーム、サイドビームの斜視図である。
【図6】実施例に係る正面枠部、サブフレーム、サイドビームの斜視図である。
【図7】実施例に係るサイドビームを取り外した状態を示す斜視図である。
【図8】図6の8−8線断面図である。
【図9】図6の9矢視図である。
【図10】図6の10−10線断面である。
【図11】正面枠部に取付けるサイドビームの斜視図である。
【図12】図7の12−12線断面図である。
【図13】図7の13−13線断面図である。
【図14】足払いプレートを示す図で、(a)は斜視図、(b)は(a)のb−b線断面図である。
【図15】実施例に係る衝撃吸収突出部材、下部緩衝バー部材の側面図である。
【図16】衝撃吸収突出部材、下部緩衝バー部材の正面図である。
【図17】衝撃吸収突出部材の詳細図で、(a)は側面図、(b)は斜視図である。
【図18】車体前部の足払いプレートの衝撃を吸収する機構を説明する図である。
【図19】車体前部の衝撃を吸収する機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
車両11は、図1〜図3に示すように、実施例に係る車体前部12を採用している。
車体前部12は、車体14のフロントボデーであり、サブフレーム15を備える。このサブフレーム15および左右のフロントサイドフレーム16、17にエンジン18を載せ、前サスペンション装置21を支持している。
【0019】
ここで、車両11前後方向をX軸方向、車両11左右方向(車幅方向)をY軸方向、車両11上下方向をZ軸方向とする。
左右は、運転手を基準とし、運転席に座って正面を見た状態で、運転手の右が右とする。
【0020】
エンジン18は、図1、図5、図6に示すように、既存の横置(Y軸方向)きで、右に配置したエンジン本体23と、エンジン本体23に接続し左に配置した変速装置24を有する。
前サスペンション装置21は、図5、図6、図9に示す通り、マクファーソンストラット式で、前輪26(図1)を支持するロアアーム27と、このロアアーム27に下端を取付け立設したダンパー(ストラット)28と、を備える。
【0021】
ロアアーム27は、既存のもので、鉄(鋼)またはアルミニウム合金を用いた鋳造品(中実)であり、鋼板を用いたサブフレーム15に比べ強度が大きい。
そして、サブフレーム15に連結するロアアーム前連結端31と、ロアアーム後連結端32と、前輪26を支持したダンパー28の下端を連結する先端リンク部33と、を備える。なお、ダンパー28の上端を車体前部12のダンパーハウジング34(図2)に締結する。
【0022】
車体前部(フロントボデー)12は、左右のフロントサイドフレーム16、17、このフロントサイドフレーム16、17の先端に取付けた正面枠部(バルクヘッド)37、フロントサイドフレーム16、17に立設したダンパーハウジング34と、を備える。
【0023】
フロントサイドフレーム16、17は、図1〜図4に示すように、ほぼ水平なフレーム本体38と、フレーム本体38から後方下方(矢印a1の方向)に下がり傾斜したフロントフロアフレーム41と、を有する。
フロントフロアフレーム41の中央に設けた前フレーム締結部43、後部に設けた後フレーム締結部44に下方からサブフレーム15を締結し、フロントフロアフレーム41を床(アンダボデー)45に一体的に接合している。
【0024】
アンダボデー45は、図2に示す通り、フロントフロアパネル46の左右の端を左右のサイドボデー47、48のサイドシル51に接合している。
また、フロントフロアパネル46と、フロントフロアパネル46の左右の中央に設けたトンネル部52と、図2〜図4に示すフロントフロアフレーム41から延びるフロアセンタフレーム54、フロアフレーム55、アウトリガー56と、を備える。
これらフロアフレーム55の後端、アウトリガー56の外端を左右のフロントサイドフレーム16、17の後方でサイドシル51に接合している。
【0025】
フロントサイドフレーム16、17はまた、フレーム本体38の前部を前衝撃吸収部58とし、この前衝撃吸収部58にバンパ装置61のバンパビーム62を取付けている。
前衝撃吸収部58はバンパビーム62に入力された衝撃(荷重)を直接吸収する。
【0026】
バンパビーム62は、前衝撃吸収部58の先端に直接締結したものである。すなわち、バンパビーム62に入力された衝撃(荷重)を吸収するものをフロントサイドフレーム16、17との間に介在させていない。
【0027】
前衝撃吸収部58の内側には正面枠部(バルクヘッド)37を取付けている。
正面枠部(バルクヘッド)37は、左右のフロントサイドフレーム16、17に立設したフロントサイドバルクヘッド64、フロントサイドバルクヘッド64の上部に接合したバルクヘッドアッパフレーム65、フロントサイドバルクヘッド64の下部に接合したフロントバルクヘッドロアクロスメンバ66を備える。68はフロントバルクヘッドロアクロスメンバ66に接合した足払いプレートである。
【0028】
次に、車体前部12の主要構成を図1〜図17で説明する。
車体前部12は、車両11に設けた車室71から前方に延ばした左右のフロントサイドフレーム16、17と、フロントサイドフレーム16、17の先端に設けた正面枠部(バルクヘッド)37と、を備える。
【0029】
サブフレーム15から車体前部12の正面枠部(バルクヘッド)37まで延びるサイドビーム74を有する。
【0030】
そして、正面枠部(バルクヘッド)37の下部をなす左右に延びる下部クロスビーム(フロントバルクヘッドロアクロスメンバ)66に車両11前方へ張り出した足払いプレート68を設け、下部クロスビーム(フロントバルクヘッドロアクロスメンバ)66に車両11後方へ延びる下部緩衝バー部材137を設け、下部緩衝バー部材137の前方に足払いプレート68の後部とで一体的に閉断面形状を形成した衝撃吸収突出部材138を設けた。
【0031】
衝撃吸収突出部材138を下部緩衝バー部材137より上位(図15の距離β)に配置している。
具体的には、下部緩衝バー部材137の中央水平部135より距離βだけ上位に衝撃吸収突出部材138の下部142を設けている。
【0032】
衝撃吸収突出部材138は、車両側面視(図15の視点)、三角形状で、先端143に向かって尖り、傾斜吸収フレーム部144が傾斜している。
傾斜吸収フレーム部144は、面を車両11の下方へ向けた部位で、吸収本体138cに含まれる。
【0033】
足払いプレート68は、図14に示す通り、衝撃吸収突出部材138に沿って、車両11の前後方向に延ばしたビード146を備えている。
「衝撃吸収突出部材138に沿って」とは、衝撃吸収突出部材138に近接して衝撃吸収突出部材138に平行であること。また、衝撃吸収突出部材138からの距離に関係なく衝撃吸収突出部材138に平行であること。
【0034】
下部緩衝バー部材137の後部141を、図1、図2に示す通り、車室71の床(アンダボデー)45の前方に配置されフロントサイドフレーム16、17に取付けたサブフレーム15に結合している。
【0035】
次に、車体前部12を詳しく説明していく。
車体前部12は、既に述べた下部緩衝バー部材137と、屈曲衝撃吸収部材81と、衝撃吸収突出部材138と、足払いプレート68と、を有する。
【0036】
下部緩衝バー部材137は、図7、図11に示す通り、角管状(図13)の本体の中央水平部135を一直線に形成し、後部141よりも前部196を距離Hfだけ上位に配置している。中央水平部135を後部141より距離Hrだけ下位に配置している。なお、傾斜部136に前部196を含める。
【0037】
また、図6〜図8に示す通り、後部141を締結する締結ブラケット152を有する。 締結ブラケット152は、断面U状で、開口を下方に向け前壁75に溶接(溶接部154)で接合されている。
後部141には、ボルト155を通して締結力(軸力)を伝える締結力伝達部156を形成している。
【0038】
傾斜部136および傾斜部136近傍の中央水平部135は、図9、図10に示す通り、屈曲衝撃吸収部材81内に嵌り、溶接を施すことで接合されている。
【0039】
屈曲衝撃吸収部材81は、鋼板を塑性加工したもので、図7、図9、図10〜図12に示す通り、断面U字状の吸収フレーム部91にフランジ部197を形成し、開口を車両11の下方へ向け配置されている。
【0040】
屈曲衝撃吸収部材81の峰部81aには、ビード81bを形成している。そして、下部緩衝バー部材137を嵌めた部位では下部緩衝バー部材137の天部137aに屈曲衝撃吸収部材81を接触させている。その結果、屈曲衝撃吸収部材81の強度を設定することができる。
【0041】
屈曲衝撃吸収部材81の吸収前部198(下部緩衝バー部材137を嵌めていない残りの部位)を正面枠部(バルクヘッド)37のフロントバルクヘッドロアクロスメンバ66に、フロントバルクヘッドロアクロスメンバ66のナットプレート201にボルト202をねじ込むことで締結している。
屈曲衝撃吸収部材81の前方には衝撃吸収突出部材138を前述したように設けている。
【0042】
屈曲衝撃吸収部材81の前方に衝撃吸収突出部材138を屈曲衝撃吸収部材81を延ばすように設けている(図9)。
「屈曲衝撃吸収部材81を延ばすように」とは、車両平面視(図9の裏から見た視点)、屈曲衝撃吸収部材81の軸線81aと衝撃吸収突出部材138の軸線138aとを一致させている。また、車両側面視(図10の視点)、屈曲衝撃吸収部材81の上面82の車両上下方向(Z軸方向)の高さと衝撃吸収突出部材138の下端138bの高さ(Z軸方向)を一致させている。
【0043】
衝撃吸収突出部材138は、図15〜図17に示すように、鋼板を塑性加工したもので、車両側面視(図15の視点)、三角形で、前方へ向け先細りに形成されている。
【0044】
また、衝撃吸収突出部材138は吸収本体138cに連なる上フランジ205、ベースフランジ206を形成したものである。ベースフランジ206をフロントバルクヘッドロアクロスメンバ66の前壁部66aに重ねて接合した。
そして、上フランジ205を足払いプレート68に重ねて接合し、足払いプレート68とで閉断面形状(図10)を形成している。
【0045】
足払いプレート68は、図14に示す通り、鋼板を塑性加工したもので、正面枠部(バルクヘッド)37のフロントバルクヘッドロアクロスメンバ66に接合する根本端部208と、根本端部208に連続する衝撃変形部211と、衝撃変形部211に連続した正面先端部212と、衝撃変形部211に開けた開口213と、開口213間に設けたビード146と、を備える。
【0046】
ビード146は、溝状に形成した部位で、開口146aを下方へ向け、車両11の前後に根本端部208から正面先端部212まで延び、高さh、幅wで形成されている。ビード146を形成することによって、足払いプレート68の強度を確保している。
その結果、足払いプレート68の正面先端部212が下がるたわみを抑制することができ、且つ、吸収する衝撃(荷重)の大きさを設定することができる。
【0047】
次に、実施例に係る車体前部12の作用を説明する。
車体前部12の衝撃を吸収する機構を説明する(図18、図19参照)。
車体前部12では、車両11の正面79(図1)に障害物(例えば、人間S)が接触すると、足払いプレート68が矢印e1のように変形し、さらに屈曲衝撃吸収部材81が変形するので、足払いプレート68のみに比べ、衝撃の吸収量を増やすことができる。結果的に、衝撃を吸収するための車体前部12の変形量(衝撃吸収代)を小さくすることができ、車体前部12の前後方向の長さを短縮することができる。
【0048】
すなわち、足払いプレート68によって、人間Sとの接触による軽衝突(衝撃(荷重)が小さい)を吸収することができ、歩行者の脚部を保護することができる。
【0049】
また、図19に示す通り、車体前部12では、車両11の正面79(図1)に他の自動車Saなど障害物が接触すると、バンパビーム62、足払いプレート68、衝撃吸収突出部材138が変形することによって衝撃を吸収する。
さらに、フロントサイドフレーム16、17のフレーム本体38の前衝撃吸収部58が圧縮変形するので、衝撃を吸収することができる。
【0050】
一方、屈曲衝撃吸収部材81および下部緩衝バー部材137が、フロントサイドフレーム16、17の前衝撃吸収部58の圧縮変形に同期して、折れ曲がるので、衝撃を吸収することができる。
【0051】
さらに、車体前部12では、下部緩衝バー部材137の後部141からサブフレーム15に衝撃(荷重)を分散し、吸収することができる。
【0052】
このように、車体前部12では、足払いプレート68によって、歩行者の脚部を保護し、衝撃吸収突出部材138によって他の自動車Sa(図19)などの障害物と接触(衝突)したときの衝撃を吸収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の車両の車体前部は、自動車に好適である。
【符号の説明】
【0054】
11…車両、12…車体前部、15…サブフレーム、16…左のフロントサイドフレーム、17…右のフロントサイドフレーム、37…正面枠部(バルクヘッド)、45…床(アンダボデー)、66…下部クロスビーム(フロントバルクヘッドロアクロスメンバ)、68…足払いプレート、71…車室、137…下部緩衝バー部材、138…衝撃吸収突出部材、141…下部緩衝バー部材の後部、143…衝撃吸収突出部材の先端、144…傾斜吸収フレーム部、146…ビード。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の正面の内部に、正面に入力された衝撃を吸収する部材を設けた車両の車体前部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体前部には、車両の正面の内部に衝撃吸収部材を設けたものがある。
この部材は、前輪に沿う左右のフロントサイドフレームの下方に配置されて前後に延びる左右の縦アームからサイド支柱をそれぞれ張り出し、これらのサイド支柱の先端に左右に延びるバーを取付けている。さらに、バーの中央にセンタ支柱をサイド支柱に平行に設けて縦アームに支持している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、従来技術(特許文献1)は、正面に入力された衝撃が左右のサイド支柱から車両前後に延びる左右の縦アームに一直線に伝わるため、左右の縦アームは座屈強度が大きく、変形し難く、衝撃を十分吸収することができない。
また、車両正面に入力される衝撃を十分に吸収することができないと、車体前部の前後の長さ(クラッシャブルゾーン)を長くする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4521403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、衝撃吸収を損なうことなく、車体前部(クラッシャブルゾーン)の前後方向の長さを短縮した車両の車体前部を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車両に設けた車室から前方に延ばした左右のフロントサイドフレームと、フロントサイドフレームの先端に設けた正面枠部と、を備える車体前部において、正面枠部の下部をなす左右に延びる下部クロスビームに車両前方へ張り出した足払いプレートを設け、下部クロスビームに車両後方へ延びる下部緩衝バー部材を設け、下部緩衝バー部材の前方に足払いプレートの後部とで一体的に閉断面形状を形成した衝撃吸収突出部材を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、衝撃吸収突出部材を下部緩衝バー部材より上位に配置していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、衝撃吸収突出部材は、車両側面視、三角形状で、先端に向かって尖り、傾斜吸収フレーム部が傾斜していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、足払いプレートは、衝撃吸収突出部材に沿って、車両の前後方向に延ばしたビードを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、下部緩衝バー部材の後部を、車室の床の前方に配置されフロントサイドフレームに取付けたサブフレームに結合していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明では、左右のフロントサイドフレームの先端に設けた正面枠部の下部をなす左右に延びる下部クロスビームに車両前方へ張り出した足払いプレートを設け、下部クロスビームに車両後方へ延びる下部緩衝バー部材を設け、下部緩衝バー部材の前方に足払いプレートの後部とで一体的に閉断面形状を形成した衝撃吸収突出部材を設けたので、足払いプレートによって歩行者の脚部を保護し、衝撃吸収突出部材によって他の車両などの障害物と接触(衝突)したときの衝撃を吸収することができる。その結果、衝撃を吸収するための車体前部の変形量(衝撃吸収代(クラッシャブルゾーン))を小さくすることができ、車体前部(クラッシャブルゾーン)の前後方向の長さを短縮することができる。
【0012】
請求項2に係る発明では、衝撃吸収突出部材を下部緩衝バー部材より上位に配置しているので、車両の正面に衝撃(荷重)が入力されると、上位の衝撃吸収突出部材から下部緩衝バー部材に偏心した荷重が伝わり、下部緩衝バー部材は曲がり始める。
このように、下部緩衝バー部材は容易に下部緩衝バー部材の上面を谷折りして屈曲変形することによって、衝撃を吸収することができる。
【0013】
請求項3に係る発明では、衝撃吸収突出部材は、車両側面視、三角形状で、先端に向かって尖り、傾斜吸収フレーム部が傾斜しているので、車両の正面に衝撃(荷重)が入力されると、衝撃吸収突出部材を先端から圧縮するように圧縮変形して衝撃を吸収することができる。
また、衝撃吸収突出部材をその中央で折ることなく、所望通りに車両の前後方向に圧縮することができ、より確実に衝撃を吸収することができる。
【0014】
請求項4に係る発明では、足払いプレートは、衝撃吸収突出部材に沿って、車両の前後方向に延ばしたビードを備えているので、車両の正面に入力される衝撃(荷重)に対する足払いプレートの強度(反力)が高まり、衝撃吸収量を増大させることができる。
【0015】
請求項5に係る発明では、下部緩衝バー部材の後部を、車室の床の前方に配置されフロントサイドフレームに取付けたサブフレームに結合しているので、下部緩衝バー部材の後部からサブフレームに衝撃(荷重)を分散し、吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係る車両の概要を示す断面図である。
【図2】右下から見た車体前部の斜視図である。
【図3】車体前部の分解斜視図である。
【図4】下から見た車体前部の左部の下面図である。
【図5】実施例に係るサブフレーム、サイドビームの斜視図である。
【図6】実施例に係る正面枠部、サブフレーム、サイドビームの斜視図である。
【図7】実施例に係るサイドビームを取り外した状態を示す斜視図である。
【図8】図6の8−8線断面図である。
【図9】図6の9矢視図である。
【図10】図6の10−10線断面である。
【図11】正面枠部に取付けるサイドビームの斜視図である。
【図12】図7の12−12線断面図である。
【図13】図7の13−13線断面図である。
【図14】足払いプレートを示す図で、(a)は斜視図、(b)は(a)のb−b線断面図である。
【図15】実施例に係る衝撃吸収突出部材、下部緩衝バー部材の側面図である。
【図16】衝撃吸収突出部材、下部緩衝バー部材の正面図である。
【図17】衝撃吸収突出部材の詳細図で、(a)は側面図、(b)は斜視図である。
【図18】車体前部の足払いプレートの衝撃を吸収する機構を説明する図である。
【図19】車体前部の衝撃を吸収する機構を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
車両11は、図1〜図3に示すように、実施例に係る車体前部12を採用している。
車体前部12は、車体14のフロントボデーであり、サブフレーム15を備える。このサブフレーム15および左右のフロントサイドフレーム16、17にエンジン18を載せ、前サスペンション装置21を支持している。
【0019】
ここで、車両11前後方向をX軸方向、車両11左右方向(車幅方向)をY軸方向、車両11上下方向をZ軸方向とする。
左右は、運転手を基準とし、運転席に座って正面を見た状態で、運転手の右が右とする。
【0020】
エンジン18は、図1、図5、図6に示すように、既存の横置(Y軸方向)きで、右に配置したエンジン本体23と、エンジン本体23に接続し左に配置した変速装置24を有する。
前サスペンション装置21は、図5、図6、図9に示す通り、マクファーソンストラット式で、前輪26(図1)を支持するロアアーム27と、このロアアーム27に下端を取付け立設したダンパー(ストラット)28と、を備える。
【0021】
ロアアーム27は、既存のもので、鉄(鋼)またはアルミニウム合金を用いた鋳造品(中実)であり、鋼板を用いたサブフレーム15に比べ強度が大きい。
そして、サブフレーム15に連結するロアアーム前連結端31と、ロアアーム後連結端32と、前輪26を支持したダンパー28の下端を連結する先端リンク部33と、を備える。なお、ダンパー28の上端を車体前部12のダンパーハウジング34(図2)に締結する。
【0022】
車体前部(フロントボデー)12は、左右のフロントサイドフレーム16、17、このフロントサイドフレーム16、17の先端に取付けた正面枠部(バルクヘッド)37、フロントサイドフレーム16、17に立設したダンパーハウジング34と、を備える。
【0023】
フロントサイドフレーム16、17は、図1〜図4に示すように、ほぼ水平なフレーム本体38と、フレーム本体38から後方下方(矢印a1の方向)に下がり傾斜したフロントフロアフレーム41と、を有する。
フロントフロアフレーム41の中央に設けた前フレーム締結部43、後部に設けた後フレーム締結部44に下方からサブフレーム15を締結し、フロントフロアフレーム41を床(アンダボデー)45に一体的に接合している。
【0024】
アンダボデー45は、図2に示す通り、フロントフロアパネル46の左右の端を左右のサイドボデー47、48のサイドシル51に接合している。
また、フロントフロアパネル46と、フロントフロアパネル46の左右の中央に設けたトンネル部52と、図2〜図4に示すフロントフロアフレーム41から延びるフロアセンタフレーム54、フロアフレーム55、アウトリガー56と、を備える。
これらフロアフレーム55の後端、アウトリガー56の外端を左右のフロントサイドフレーム16、17の後方でサイドシル51に接合している。
【0025】
フロントサイドフレーム16、17はまた、フレーム本体38の前部を前衝撃吸収部58とし、この前衝撃吸収部58にバンパ装置61のバンパビーム62を取付けている。
前衝撃吸収部58はバンパビーム62に入力された衝撃(荷重)を直接吸収する。
【0026】
バンパビーム62は、前衝撃吸収部58の先端に直接締結したものである。すなわち、バンパビーム62に入力された衝撃(荷重)を吸収するものをフロントサイドフレーム16、17との間に介在させていない。
【0027】
前衝撃吸収部58の内側には正面枠部(バルクヘッド)37を取付けている。
正面枠部(バルクヘッド)37は、左右のフロントサイドフレーム16、17に立設したフロントサイドバルクヘッド64、フロントサイドバルクヘッド64の上部に接合したバルクヘッドアッパフレーム65、フロントサイドバルクヘッド64の下部に接合したフロントバルクヘッドロアクロスメンバ66を備える。68はフロントバルクヘッドロアクロスメンバ66に接合した足払いプレートである。
【0028】
次に、車体前部12の主要構成を図1〜図17で説明する。
車体前部12は、車両11に設けた車室71から前方に延ばした左右のフロントサイドフレーム16、17と、フロントサイドフレーム16、17の先端に設けた正面枠部(バルクヘッド)37と、を備える。
【0029】
サブフレーム15から車体前部12の正面枠部(バルクヘッド)37まで延びるサイドビーム74を有する。
【0030】
そして、正面枠部(バルクヘッド)37の下部をなす左右に延びる下部クロスビーム(フロントバルクヘッドロアクロスメンバ)66に車両11前方へ張り出した足払いプレート68を設け、下部クロスビーム(フロントバルクヘッドロアクロスメンバ)66に車両11後方へ延びる下部緩衝バー部材137を設け、下部緩衝バー部材137の前方に足払いプレート68の後部とで一体的に閉断面形状を形成した衝撃吸収突出部材138を設けた。
【0031】
衝撃吸収突出部材138を下部緩衝バー部材137より上位(図15の距離β)に配置している。
具体的には、下部緩衝バー部材137の中央水平部135より距離βだけ上位に衝撃吸収突出部材138の下部142を設けている。
【0032】
衝撃吸収突出部材138は、車両側面視(図15の視点)、三角形状で、先端143に向かって尖り、傾斜吸収フレーム部144が傾斜している。
傾斜吸収フレーム部144は、面を車両11の下方へ向けた部位で、吸収本体138cに含まれる。
【0033】
足払いプレート68は、図14に示す通り、衝撃吸収突出部材138に沿って、車両11の前後方向に延ばしたビード146を備えている。
「衝撃吸収突出部材138に沿って」とは、衝撃吸収突出部材138に近接して衝撃吸収突出部材138に平行であること。また、衝撃吸収突出部材138からの距離に関係なく衝撃吸収突出部材138に平行であること。
【0034】
下部緩衝バー部材137の後部141を、図1、図2に示す通り、車室71の床(アンダボデー)45の前方に配置されフロントサイドフレーム16、17に取付けたサブフレーム15に結合している。
【0035】
次に、車体前部12を詳しく説明していく。
車体前部12は、既に述べた下部緩衝バー部材137と、屈曲衝撃吸収部材81と、衝撃吸収突出部材138と、足払いプレート68と、を有する。
【0036】
下部緩衝バー部材137は、図7、図11に示す通り、角管状(図13)の本体の中央水平部135を一直線に形成し、後部141よりも前部196を距離Hfだけ上位に配置している。中央水平部135を後部141より距離Hrだけ下位に配置している。なお、傾斜部136に前部196を含める。
【0037】
また、図6〜図8に示す通り、後部141を締結する締結ブラケット152を有する。 締結ブラケット152は、断面U状で、開口を下方に向け前壁75に溶接(溶接部154)で接合されている。
後部141には、ボルト155を通して締結力(軸力)を伝える締結力伝達部156を形成している。
【0038】
傾斜部136および傾斜部136近傍の中央水平部135は、図9、図10に示す通り、屈曲衝撃吸収部材81内に嵌り、溶接を施すことで接合されている。
【0039】
屈曲衝撃吸収部材81は、鋼板を塑性加工したもので、図7、図9、図10〜図12に示す通り、断面U字状の吸収フレーム部91にフランジ部197を形成し、開口を車両11の下方へ向け配置されている。
【0040】
屈曲衝撃吸収部材81の峰部81aには、ビード81bを形成している。そして、下部緩衝バー部材137を嵌めた部位では下部緩衝バー部材137の天部137aに屈曲衝撃吸収部材81を接触させている。その結果、屈曲衝撃吸収部材81の強度を設定することができる。
【0041】
屈曲衝撃吸収部材81の吸収前部198(下部緩衝バー部材137を嵌めていない残りの部位)を正面枠部(バルクヘッド)37のフロントバルクヘッドロアクロスメンバ66に、フロントバルクヘッドロアクロスメンバ66のナットプレート201にボルト202をねじ込むことで締結している。
屈曲衝撃吸収部材81の前方には衝撃吸収突出部材138を前述したように設けている。
【0042】
屈曲衝撃吸収部材81の前方に衝撃吸収突出部材138を屈曲衝撃吸収部材81を延ばすように設けている(図9)。
「屈曲衝撃吸収部材81を延ばすように」とは、車両平面視(図9の裏から見た視点)、屈曲衝撃吸収部材81の軸線81aと衝撃吸収突出部材138の軸線138aとを一致させている。また、車両側面視(図10の視点)、屈曲衝撃吸収部材81の上面82の車両上下方向(Z軸方向)の高さと衝撃吸収突出部材138の下端138bの高さ(Z軸方向)を一致させている。
【0043】
衝撃吸収突出部材138は、図15〜図17に示すように、鋼板を塑性加工したもので、車両側面視(図15の視点)、三角形で、前方へ向け先細りに形成されている。
【0044】
また、衝撃吸収突出部材138は吸収本体138cに連なる上フランジ205、ベースフランジ206を形成したものである。ベースフランジ206をフロントバルクヘッドロアクロスメンバ66の前壁部66aに重ねて接合した。
そして、上フランジ205を足払いプレート68に重ねて接合し、足払いプレート68とで閉断面形状(図10)を形成している。
【0045】
足払いプレート68は、図14に示す通り、鋼板を塑性加工したもので、正面枠部(バルクヘッド)37のフロントバルクヘッドロアクロスメンバ66に接合する根本端部208と、根本端部208に連続する衝撃変形部211と、衝撃変形部211に連続した正面先端部212と、衝撃変形部211に開けた開口213と、開口213間に設けたビード146と、を備える。
【0046】
ビード146は、溝状に形成した部位で、開口146aを下方へ向け、車両11の前後に根本端部208から正面先端部212まで延び、高さh、幅wで形成されている。ビード146を形成することによって、足払いプレート68の強度を確保している。
その結果、足払いプレート68の正面先端部212が下がるたわみを抑制することができ、且つ、吸収する衝撃(荷重)の大きさを設定することができる。
【0047】
次に、実施例に係る車体前部12の作用を説明する。
車体前部12の衝撃を吸収する機構を説明する(図18、図19参照)。
車体前部12では、車両11の正面79(図1)に障害物(例えば、人間S)が接触すると、足払いプレート68が矢印e1のように変形し、さらに屈曲衝撃吸収部材81が変形するので、足払いプレート68のみに比べ、衝撃の吸収量を増やすことができる。結果的に、衝撃を吸収するための車体前部12の変形量(衝撃吸収代)を小さくすることができ、車体前部12の前後方向の長さを短縮することができる。
【0048】
すなわち、足払いプレート68によって、人間Sとの接触による軽衝突(衝撃(荷重)が小さい)を吸収することができ、歩行者の脚部を保護することができる。
【0049】
また、図19に示す通り、車体前部12では、車両11の正面79(図1)に他の自動車Saなど障害物が接触すると、バンパビーム62、足払いプレート68、衝撃吸収突出部材138が変形することによって衝撃を吸収する。
さらに、フロントサイドフレーム16、17のフレーム本体38の前衝撃吸収部58が圧縮変形するので、衝撃を吸収することができる。
【0050】
一方、屈曲衝撃吸収部材81および下部緩衝バー部材137が、フロントサイドフレーム16、17の前衝撃吸収部58の圧縮変形に同期して、折れ曲がるので、衝撃を吸収することができる。
【0051】
さらに、車体前部12では、下部緩衝バー部材137の後部141からサブフレーム15に衝撃(荷重)を分散し、吸収することができる。
【0052】
このように、車体前部12では、足払いプレート68によって、歩行者の脚部を保護し、衝撃吸収突出部材138によって他の自動車Sa(図19)などの障害物と接触(衝突)したときの衝撃を吸収することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の車両の車体前部は、自動車に好適である。
【符号の説明】
【0054】
11…車両、12…車体前部、15…サブフレーム、16…左のフロントサイドフレーム、17…右のフロントサイドフレーム、37…正面枠部(バルクヘッド)、45…床(アンダボデー)、66…下部クロスビーム(フロントバルクヘッドロアクロスメンバ)、68…足払いプレート、71…車室、137…下部緩衝バー部材、138…衝撃吸収突出部材、141…下部緩衝バー部材の後部、143…衝撃吸収突出部材の先端、144…傾斜吸収フレーム部、146…ビード。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けた車室から前方に延ばした左右のフロントサイドフレームと、該フロントサイドフレームの先端に設けた正面枠部と、を備える車体前部において、
前記正面枠部の下部をなす左右に延びる下部クロスビームに前記車両前方へ張り出した足払いプレートを設け、前記下部クロスビームに前記車両後方へ延びる下部緩衝バー部材を設け、該下部緩衝バー部材の前方に前記足払いプレートの後部とで一体的に閉断面形状を形成した衝撃吸収突出部材を設けたことを特徴とする車両の車体前部。
【請求項2】
前記衝撃吸収突出部材を前記下部緩衝バー部材より上位に配置していることを特徴とする請求項1記載の車両の車体前部。
【請求項3】
前記衝撃吸収突出部材は、車両側面視、三角形状で、先端に向かって尖り、傾斜吸収フレーム部が傾斜していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両の車体前部。
【請求項4】
前記足払いプレートは、前記衝撃吸収突出部材に沿って、前記車両の前後方向に延ばしたビードを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車両の車体前部。
【請求項5】
前記下部緩衝バー部材の後部を、前記車室の床の前方に配置され前記フロントサイドフレームに取付けたサブフレームに結合していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両の車体前部。
【請求項1】
車両に設けた車室から前方に延ばした左右のフロントサイドフレームと、該フロントサイドフレームの先端に設けた正面枠部と、を備える車体前部において、
前記正面枠部の下部をなす左右に延びる下部クロスビームに前記車両前方へ張り出した足払いプレートを設け、前記下部クロスビームに前記車両後方へ延びる下部緩衝バー部材を設け、該下部緩衝バー部材の前方に前記足払いプレートの後部とで一体的に閉断面形状を形成した衝撃吸収突出部材を設けたことを特徴とする車両の車体前部。
【請求項2】
前記衝撃吸収突出部材を前記下部緩衝バー部材より上位に配置していることを特徴とする請求項1記載の車両の車体前部。
【請求項3】
前記衝撃吸収突出部材は、車両側面視、三角形状で、先端に向かって尖り、傾斜吸収フレーム部が傾斜していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両の車体前部。
【請求項4】
前記足払いプレートは、前記衝撃吸収突出部材に沿って、前記車両の前後方向に延ばしたビードを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車両の車体前部。
【請求項5】
前記下部緩衝バー部材の後部を、前記車室の床の前方に配置され前記フロントサイドフレームに取付けたサブフレームに結合していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両の車体前部。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−153263(P2012−153263A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14300(P2011−14300)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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