説明

車両の車体構造

【課題】閉断面部または開断面部の剛性を確保し、閉断面部または開断面部の断面崩れによる揺動変形を抑制し、振動減衰部材により効果的に振動減衰を行なって、乗り心地を向上させ、また騒音の低減を図る車両の車体構造を提供する。
【解決手段】閉断面部30または開断面部の内部に結合される補強体40を備え、補強体40は第1補強部41と第2補強部42とからなり、第1補強部41と第2補強部42とは重ね合せ部43を有し、第1補強部41は閉断面部30または開断面部の内壁と結合され、第2補強部42は閉断面部30または開断面部の内壁と結合されており、第1補強部41と第2補強部42とが重ね合せ部43の少なくとも一部において振動減衰部材50を介して結合されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1または2以上の車両部材により形成される閉断面部または開断面部における車両の車体構造に関し、詳しくは、乗り心地を向上させ、また、騒音の発生を防止するために車両用部材に伝達される振動を低減するような車両の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より自動車等の車両における乗り心地を向上させ、また、騒音の発生を防止するために、車両用部材に伝達される振動を低減するように構成した諸種の技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、断面ハット形状のフレーム部材(骨格部材)とパネル部材(副材)とから成る閉断面部を設け、この閉断面部の内部にビードを一体形成した隔壁部材(いわゆるバルクヘッド)を設けると共に、該隔壁部材に一体に折曲げ形成したフランジ部を、断面ハット形状のフレーム部材の内壁と結合して、フレーム部材の強度、剛性を高めたものが開示されている。
【0004】
この特許文献1に開示された従来構造においては、上述の隔壁部材により閉断面部の断面崩れを抑えて、フレーム部材の強度、剛性を高め、この剛性を高めることにより、ある程度振動を低減することができるが、まだ充分ではなく、振動を効果的に抑制することができない、という問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−131125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、閉断面部または開断面部の剛性を確保し、閉断面部または開断面部の断面崩れによる揺動変形を抑制すると共に、振動減衰部材により効果的に振動減衰を行なうことができて、乗り心地を向上させ、また騒音の低減を図ることができる車両の車体構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による車両の車体構造は、1または2以上の車両部材により形成される閉断面部または開断面部における車両の車体構造であって、上記閉断面部または上記開断面部の内部に結合される補強体を備え、該補強体は第1補強部と第2補強部とからなり、上記第1補強部と上記第2補強部とは重ね合せ部を有し、上記第1補強部は上記閉断面部または上記開断面部の内壁と結合され、上記第2補強部は上記閉断面部または上記開断面部の内壁と結合されており、上記第1補強部と上記第2補強部とが上記重ね合せ部の少なくとも一部において振動減衰部材を介して結合されたものである。
上述の閉断面部は、断面ハット形状のフレーム部材とパネル部材とで形成してもよく、また、上述の開断面部は、断面ハット形状のフレーム部材で形成してもよい。
さらに、上述の補強体の結合は、溶接結合、接着結合、締結結合の何れでもよく、また、上述の振動減衰部材としては粘弾性部材、特に、損失係数(20℃、30H)が0.2以上の粘弾性部材が好ましい。
【0008】
上記構成によれば、補強体を第1補強部と第2補強部との2つに分割し、これらの各補強部を閉断面部または開断面部の内壁と結合したので、補強体により閉断面部または開断面部の断面崩れによる揺動変形を抑制することができる。
しかも、第1補強部と第2補強部とが重ね合せ部の少なくとも一部において振動減衰部材を介して結合されているので、この振動減衰部材により効果的に振動減衰を行なうことができる。
要するに、補強体により閉断面部または開断面部の剛性を確保しつつ、振動減衰部材により振動を効果的に抑制することができ、乗り心地を向上させ、また騒音の低減を図ることができる効果がある。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記第1補強部と上記閉断面部または上記開断面部の内壁との結合部と、上記第2補強部と上記閉断面部または上記開断面部の内壁との結合部とが、略対向する内壁面に設けられたものである。
上記構成によれば、第1補強部の上記結合部と、第2補強部の上記結合部とが略対向する内壁面に設けられ、これらの各結合部がそれぞれ対向する面に剛結合されるので、第1補強部と第2補強部との重ね合せ部は相対的な変位が生じやすく、該重ね合せ部に介設した振動減衰部材にてより一層高い振動減衰効果が得られる。
因みに、相対的な変位が全くない場合には振動減衰部材で振動減衰を行なうことはできないので、この実施形態では、第1補強部と第2補強部との重ね合せ部、つまり各部の自由端側に相対的な変位が生じやすいように構成したものである。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記重ね合せ部が、上記補強体の縁上の一点と他点とを結んでなる最長の直線となるように設けられたものである。
上述の最長の直線は、補強体が略四角形の場合には対角線となる。
上記構成によれば、重ね合せ部に介設する振動減衰部材の設定面積を、可能な限り大きくすることができ、これにより振動減衰能力の向上を図ることができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記重ね合せ部の1箇所または2箇所以上において、上記第1補強部と上記第2補強部とが剛結合されたものである。
上記構成によれば、重ね合せ部において第1補強部と第2補強部とを剛結合したので、これら第1補強部と第2補強部との位置ずれが生じにくくなり、補強体の閉断面部または開断面部に対する組付け性の向上を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記第1補強部と上記第2補強部とが重ね合せ部の2箇所以上で剛結合されたものにおいて、該剛結合部位が上記重ね合せ部の端部を避けるように設けられたものである。
上記構成によれば、振動減衰部材による振動減衰能力を損なうことなく、補強体の閉断面部または開断面部に対する組付け性の向上を図ることができる。
因みに、剛結合部位が重ね合せ部の両端部に設けられた場合には、第1補強部と第2補強部との相対的な変位が抑制されて、振動減衰効果が僅小となるので、相対的な変位が得られるように重ね合せ部の端部を避けて剛結合部位を設けるものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、閉断面部または開断面部の剛性を確保し、閉断面部または開断面部の断面崩れによる揺動変形を抑制すると共に、振動減衰部材により効果的に振動減衰を行なうことができて、騒音の低減を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の車両の車体構造を示す分解斜視図
【図2】補強体の斜視図
【図3】車両の車体構造を示す正面図
【図4】車両の車体構造の他の実施例を示す斜視図
【図5】補強体の斜視図
【図6】車両の車体構造を示す正面図
【図7】シュミレーション解析方法を示す加振点と応答点の説明図
【図8】(a)は溶接箇所を1箇所と成した補強体の斜視図、(b)は図8(a)の補強体を備えた本実施例品と比較例品との解析データを比較して示す特性図
【図9】(a)は溶接箇所を2箇所と成した補強体の斜視図、(b)は図9(a)の補強体を備えた本実施例品と比較例品との解析データを比較して示す特性図
【図10】(a)は溶接箇所を3箇所と成した補強体の斜視図、(b)は図10(a)の補強体を備えた本実施例品と比較例品との解析データを比較して示す特性図
【図11】スポット溶接部のピッチと振動低減量との関係を示す特性図
【図12】(a)は車両の車体構造の他の実施例を示す正面図、(b)は車両の車体構造のさらに他の実施例を示す正面図、(c)は車両の車体構造のさらに他の実施例を示す正面図
【図13】(a)は車両の車体構造のさらに他の実施例を示す斜視図、(b)は図13(a)のB‐B線矢視断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
閉断面部または開断面部の剛性を確保し、閉断面部または開断面部の断面崩れによる揺動変形を抑制すると共に、振動減衰部材により効果的に振動減衰を行なうことができて、乗り心地を向上させ、また騒音の低減を図るという目的を、1または2以上の車両部材により形成される閉断面部または開断面部における車両の車体構造において、上記閉断面部または上記開断面部の内部に結合される補強体を備え、該補強体は第1補強部と第2補強部とからなり、上記第1補強部と上記第2補強部とは重ね合せ部を有し、上記第1補強部は上記閉断面部または上記開断面部の内壁と結合され、上記第2補強部は上記閉断面部または上記開断面部の内壁と結合されており、上記第1補強部と上記第2補強部とが上記重ね合せ部の少なくとも一部において振動減衰部材を介して結合されるという構成にて実現した。
【実施例】
【0016】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
まず、図1〜図3を参照して車両の車体構造を閉断面部に適用した実施例について説明する。
図1は車両の車体構造を示す分解斜視図、図2は補強体の斜視図、図3は図1の正面図であって、図1〜図3において、2つの車両部材として断面ハット形状のフレーム部材10(骨格部材)とパネル部材20とで閉断面部30(図3参照)を形成している。
上述のフレーム部材10は、基壁11と、この基壁11に連続する一対の側壁12,13と、これら側壁12,13の端部から外方に延びるフランジ部14,15とを一体形成した車両部材である。
また、上述のパネル部材20としては偏平な部材を例示したが、これはフレーム部材10と同様に断面ハット形状の部材であってもよい。
【0017】
図3に示すように、上述の閉断面部30の内部に結合される補強体としての略四角形状のバルクヘッド40を設けるが、この実施例では、該バルクヘッド40を、図3の左側かつ上側に位置する第1バルクヘッド41と、図3の右側かつ下側に位置する第2バルクヘッド42とに2分割している。
【0018】
図2,図3に示すように、第1バルクヘッド41は略直角三角形状に形成され、その直角部が閉断面部30内の図示左上コーナ部に位置するように配設されるもので、この第1バルクヘッド41の左辺および上辺にはフランジ部41a,41bが一体的に折曲げ形成されている。
【0019】
図2,図3に示すように、第2バルクヘッド42も略直角三角形状に形成され、その直角部が閉断面部30内の図示右下コーナ部に位置するように配設されるもので、この第2バルクヘッド42の右辺および下辺にはフランジ部42a,42bが一体的に折曲げ形成されている。
【0020】
ここで、上述の各フランジ部41a,41b,42a,42bの折曲げ角度は、閉断面部30の内壁と対応するように設定すればよく、また上述の各フランジ部41a,41b,42a,42bの折曲げ方向は、図8の(a)、図9の(a)、図10の(a)に示すよう、図2の実施例と逆方向であってもよい。さらに、図示しないが、フランジ部41aの折曲げ方向と、フランジ部42aの折曲げ方向とを逆方向に設定すると共に、フランジ部41bの折曲げ方向と、フランジ部42bの折曲げ方向とを逆方向に設定してもよい。
【0021】
補強体としてのバルクヘッド40を閉断面部30内に配置した時、第1バルクヘッド41の下部と第2バルクヘッド42の上部との間に、これら各バルクヘッド41,42の自由端側(直角三角形の斜辺に相当する側)が重ね合わされるオーバラップ部43を有するものである。
上述のオーバラップ部43は、バルクヘッド40の縁上の一点と他点とを結んでなる最長の直線となるように設けられている。すなわち、図3に示すように、オーバラップ部43はバルクヘッド40の左下コーナ部と右上コーナ部とを結んで閉断面部30内において対角線状に延びるように形成されている。
また、第1バルクヘッド41および第2バルクヘッド42は閉断面部30の内壁と結合されるが、この実施例では、直角三角形の底辺に相当する第1バルクヘッド41のフランジ部41aが、フレーム部材10の側壁12と結合されて、結合部44が形成されており、直角三角形の底辺に相当する第2バルクヘッド42のフランジ部42aは、上記側壁12と略対向する側壁13に結合されて、結合部45が形成されている。
【0022】
同様に、直角三角形の対辺に相当する第1バルクヘッド41のフランジ部41bが、パネル部材20と結合されて、結合部46が形成されており、直角三角形の対辺に相当する第2バルクヘッド42のフランジ部42bは、上記パネル部材20と略対向するフレーム部材10の基壁11に結合されて、結合部47が形成されている。
つまり、第1バルクヘッド41と閉断面部30の内壁との結合部44,46と、第2バルクヘッド42と閉断面部30の内壁との結合部45,47とが、略対向する内壁面に設けられたものである。
しかも、図3に示すように、第1バルクヘッド41と第2バルクヘッド42とが重ね合せ部としてのオーバラップ部43において振動減衰部材50を介して結合されたものである。
【0023】
この実施例においては、図2,図3に示すように上述のオーバラップ部43の長手方向の中間部で、かつ長手方向に離間する2箇所において第1バルクヘッド41と第2バルクヘッド42とをスポット溶接により剛結合しているので、この2箇所のスポット溶接部60,60を除くオーバラップ部43の全領域に上述の振動減衰部材50を介設している。なお、図示の便宜上、振動減衰部材50の介設領域を、図3においてハッチングを施して示す。
上述の振動減衰部材50としては、損失係数(20℃、30H)が0.2以上の粘弾性部材を用い、この粘弾性部材は上述のオーバラップ部43に接着により取付けられて、第1バルクヘッド41と第2バルクヘッド42とのオーバラップ部43にサンドイッチ状に介設されたものである。
【0024】
図3に示すように、第1バルクヘッド41と第2バルクヘッド42とがオーバラップ部43の2箇所で剛結合された場合、これら剛結合部位、すなわち、スポット溶接部60,60の位置は、オーバラップ部43の端部を避けるように設けられている。
【0025】
このように、図1〜図3で示した実施例の車両の車体構造は、2つの車両部材(フレーム部材10とパネル部材20)により形成される閉断面部30における車両の車体構造であって、上記閉断面部30の内部に結合される補強体としてのバルクヘッド40を備え、該補強体(バルクヘッド40)は第1補強部(第1バルクヘッド41)と第2補強部(第2バルクヘッド42)とからなり、上記第1補強部(第1バルクヘッド41)と上記第2補強部(第2バルクヘッド42)とは重ね合せ部(オーバラップ部43)を有し、上記第1補強部(第1バルクヘッド41)は上記閉断面部30の内壁と結合され、上記第2補強部(第2バルクヘッド42)は上記閉断面部30の内壁と結合されており、上記第1補強部(第1バルクヘッド41)と上記第2補強部(第2バルクヘッド42)とが上記重ね合せ部(オーバラップ部43)の少なくとも一部(この実施例では略全域)において振動減衰部材50を介して結合されたものである(図3参照)。
【0026】
この構成によれば、補強体(バルクヘッド40)を第1補強部(第1バルクヘッド41)と第2補強部(第2バルクヘッド42)との2つに分割し、これらの各補強部(各バルクヘッド41,42)を閉断面部30の内壁と結合したので、補強体(バルクヘッド40)により閉断面部30の断面崩れによる揺動変形を抑制することができる。
しかも、第1補強部(第1バルクヘッド41)と第2補強部(第2バルクヘッド42)とが重ね合せ部(オーバラップ部43)の少なくとも一部において振動減衰部材50を介して結合されているので、この振動減衰部材50により効果的に振動減衰を行なうことができる。
要するに、補強体(バルクヘッド40)により閉断面部30の剛性を確保しつつ、振動減衰部材50により振動を効果的に抑制することができ、乗り心地を向上させ、また騒音の低減を図ることができる効果がある。
また、上記第1補強部(第1バルクヘッド41)と上記閉断面部30の内壁との結合部44,46と、上記第2補強部(第2バルクヘッド42)と上記閉断面部30の内壁との結合部45,47とが、略対向する内壁面に設けられたものである(図3参照)。
【0027】
この構成によれば、第1補強部(第1バルクヘッド41)の上記結合部44,46と、第2補強部(第2バルクヘッド42)の上記結合部45,47とが略対向する内壁面に設けられ、これらの各結合部44〜47がそれぞれ対向する面に剛結合されるので、第1補強部(第1バルクヘッド41)と第2補強部(第2バルクヘッド42)との重ね合せ部(オーバラップ部43)は相対的な変位が生じやすく、該重ね合せ部(オーバラップ部43)に介設した振動減衰部材50にてより一層高い振動減衰効果が得られる。
因みに、相対的な変位が全くない場合には振動減衰部材で振動減衰を行なうことはできないので、この実施形態では、第1補強部(第1バルクヘッド41)と第2補強部(第2バルクヘッド42)との重ね合せ部(オーバラップ部)、つまり各部41,42の自由端側に相対的な変位が生じやすいように構成したものである。
さらに、上記重ね合せ部(オーバラップ部43)が、上記補強体(バルクヘッド40)の縁上の一点と他点とを結んでなる最長の直線(図3の対角線参照)となるように設けられたものである(図3参照)。
【0028】
この構成によれば、重ね合せ部(オーバラップ部43)に介設する振動減衰部材50の設定面積を、可能な限り大きくすることができ、これにより振動減衰能力の向上を図ることができる。
加えて、上記重ね合せ部(オーバラップ部43)の1箇所または2箇所以上(この実施例では2箇所)において、上記第1補強部(第1バルクヘッド41)と上記第2補強部(第2バルクヘッド42)とが剛結合されたものである(図3参照)。
【0029】
この構成によれば、重ね合せ部(オーバラップ部43)において第1補強部(第1バルクヘッド41)と第2補強部(第2バルクヘッド42)とを剛結合したので、これら第1補強部(第1バルクヘッド41)と第2補強部(第2バルクヘッド42)との位置ずれが生じにくくなり、補強体(バルクヘッド40)の閉断面部30に対する組付け性の向上を図ることができる。
また、上記第1補強部(第1バルクヘッド41)と上記第2補強部(第2バルクヘッド42)とが重ね合せ部(オーバラップ部43)の2箇所以上(この実施例では2箇所)で剛結合されたものにおいて、該剛結合部位(スポット溶接部60の位置)が上記重ね合せ部(オーバラップ部43)の端部を避けるように設けられたものである(図3参照)。
【0030】
この構成によれば、振動減衰部材50による振動減衰能力を損なうことなく、補強体(バルクヘッド40)の閉断面部30に対する組付け性の向上を図ることができる。
因みに、剛結合部位が重ね合せ部の両端部に設けられた場合には、第1補強部と第2補強部との相対的な変位が抑制されて、振動減衰効果が僅小となるので、相対的な変位が得られるように重ね合せ部(オーバラップ部43)の端部を避けて剛結合部位を設けるものである。
【0031】
次に、図4〜図6を参照して車両の車体構造を開断面部に適用した実施例について説明する。
図4は車両の車体構造を示す分解斜視図、図5は補強体の斜視図、図6は図4の正面図であって、図4〜図6において、1つの車両部材として断面ハット形状のフレーム部材10(骨格部材)で開断面部31(図6参照)を形成している。
上述のフレーム部材10は、基壁11と、この基壁11に連続する一対の側壁12,13と、これら側壁12,13の端部から外方に延びるフランジ部14,15とを一体形成した車両部材である。
【0032】
図6に示すように、上述の開断面部31の内部に結合される補強体としての略四角形状のバルクヘッド40を設けるが、この実施例では、該バルクヘッド40を、図6の左側かつ上側に位置する第1バルクヘッド41と、図6の右側かつ下側に位置する第2バルクヘッド42とに2分割している。
【0033】
図5,図6に示すように、第1バルクヘッド41は略直角三角形状に形成され、その直角部が開断面部31内の図示左上コーナ部に位置するように配設されるもので、この第1バルクヘッド41の左辺にはフランジ部41aが一体的に折曲げ形成されている。
【0034】
図5,図6に示すように、第2バルクヘッド42も略直角三角形状に形成され、その直角部が開断面部31内の図示右下コーナ部に位置するように配設されるもので、この第2バルクヘッド42の右辺および下辺にはフランジ部42a,42bが一体的に折曲げ形成されている。
【0035】
ここで、上述の各フランジ部41a,42a,42bの折曲げ角度は、開断面部31の内壁と対応するように設定すればよく、また上述の各フランジ部41a,42a,42bの折曲げ方向は、図8の(a)、図9の(a)、図10の(a)に示すよう、図5の実施例と逆方向であってもよい。さらに、図示はしないが、フランジ部41aの折曲げ方向に対して、フランジ部42aの折曲げ方向を逆方向と成してもよい。
【0036】
補強体としてのバルクヘッド40を開断面部31内に配置した時、第1バルクヘッド41の下部と第2バルクヘッド42の上部との間に、これら各バルクヘッド41,42の自由端側(直角三角形の斜辺に相当する側)が重ね合わされるオーバラップ部43を有するものである。
上述のオーバラップ部43は、バルクヘッド40の縁上の一点と他点とを結んでなる最長の直線となるように設けられている。すなわち、図6に示すように、オーバラップ部43はバルクヘッド40の左下コーナ部と右上コーナ部とを結んで開断面部31内において対角線状に延びるように形成されている。
また、第1バルクヘッド41および第2バルクヘッド42は開断面部31の内壁と結合されるが、この実施例では、直角三角形の底辺に相当する第1バルクヘッド41のフランジ部41aが、フレーム部材10の側壁12と結合されて、結合部44が形成されており、直角三角形の底辺に相当する第2バルクヘッド42のフランジ部42aは、上記側壁12と略対向する側壁13に結合されて、結合部45が形成されている。
さらに、直角三角形の対辺に相当する第2バルクヘッド42のフランジ部42bは、フレーム部材10の基壁11に結合されて、結合部47が形成されている。
つまり、第1バルクヘッド41と開断面部31の内壁との結合部44と、第2バルクヘッド42と開断面部31の内壁との結合部45とが、略対向する内壁面に設けられたものである。
しかも、図6に示すように、第1バルクヘッド41と第2バルクヘッド42とが重ね合せ部としてのオーバラップ部43において振動減衰部材50を介して結合されたものである。
【0037】
この実施例においては、図5,図6に示すように上述のオーバラップ部43の長手方向の中間部で、かつ長手方向に離間する2箇所において第1バルクヘッド41と第2バルクヘッド42とをスポット溶接により剛結合しているので、この2箇所のスポット溶接部60,60を除くオーバラップ部43の全領域に上述の振動減衰部材50を介設している。なお、図示の便宜上、振動減衰部材50の介設領域を、図6においてもハッチングを施して示している。
上述の振動減衰部材50としては、損失係数(20℃、30H)が0.2以上の粘弾性部材を用い、この粘弾性部材は上述のオーバラップ部43に接着により取付けられて、第1バルクヘッド41と第2バルクヘッド42とのオーバラップ部43にサンドイッチ状に介設されたものである。
【0038】
図6に示すように、第1バルクヘッド41と第2バルクヘッド42とがオーバラップ部43の2箇所で剛結合された場合、これら剛結合部位、すなわち、スポット溶接部60,60の位置は、オーバラップ部43の端部を避けるように設けられている。
【0039】
このように、図4〜図6で示した実施例の車両の車体構造は、1つの車両部材(フレーム部材10参照)により形成される開断面部31における車両の車体構造であって、上記開断面部31の内部に結合される補強体(バルクヘッド40)を備え、該補強体(バルクヘッド40)は第1補強部(第1バルクヘッド41)と第2補強部(第2バルクヘッド42)とからなり、上記第1補強部(第1バルクヘッド41)と上記第2補強部(第2バルクヘッド42)とは重ね合せ部(オーバラップ部43)を有し、上記第1補強部(第1バルクヘッド41)は上記開断面部31の内壁と結合され、上記第2補強部(第2バルクヘッド42)は上記開断面部31の内壁と結合されており、上記第1補強部(第1バルクヘッド41)と上記第2補強部(第2バルクヘッド42)とが上記重ね合せ部(オーバラップ部43)の少なくとも一部(この実施例では略全域)において振動減衰部材50を介して結合されたものである(図6参照)。
【0040】
この構成によれば、補強体(バルクヘッド40)を第1補強部(第1バルクヘッド41)と第2補強部(第2バルクヘッド42)との2つに分割し、これらの各補強部(各バルクヘッド41,42)を開断面部31の内壁と結合したので、補強体(バルクヘッド40)により開断面部31の断面崩れによる揺動変形を抑制することができる。
しかも、第1補強部(第1バルクヘッド41)と第2補強部(第2バルクヘッド42)とが重ね合せ部(オーバラップ部43)の少なくとも一部において振動減衰部材50を介して結合されているので、この振動減衰部材50により効果的に振動減衰を行なうことができる。
要するに、補強体(バルクヘッド40)により開断面部31の剛性を確保しつつ、振動減衰部材50により振動を効果的に抑制することができ、騒音の低減を図ることができる効果がある。
また、上記第1補強部(第1バルクヘッド41)と上記開断面部31の内壁との結合部44と、上記第2補強部(第2バルクヘッド42)と上記開断面部31の内壁との結合部45とが、略対向する内壁面に設けられたものである(図6参照)。
【0041】
この構成によれば、第1補強部(第1バルクヘッド41)の上記結合部44と、第2補強部(第2バルクヘッド42)の上記結合部45とが略対向する内壁面に設けられ、これらの各結合部44,45がそれぞれ対向する面に剛結合されるので、第1補強部(第1バルクヘッド41)と第2補強部(第2バルクヘッド42)との重ね合せ部(オーバラップ部43)は相対的な変位が生じやすく、該重ね合せ部(オーバラップ部43)に介設した振動減衰部材50にてより一層高い振動減衰効果が得られる。
因みに、相対的な変位が全くない場合には振動減衰部材で振動減衰を行なうことはできないので、この実施形態では、第1補強部(第1バルクヘッド41)と第2補強部(第2バルクヘッド42)との重ね合せ部(オーバラップ部43)、つまり各部41,42の自由端側に相対的な変位が生じやすいように構成したものである。
さらに、上記重ね合せ部(オーバラップ部43)が、上記補強体(バルクヘッド40)の縁上の一点と他点とを結んでなる最長の直線(図6の対角線参照)となるように設けられたものである(図6参照)。
【0042】
この構成によれば、重ね合せ部(オーバラップ部43)に介設する振動減衰部材50の設定面積を、可能な限り大きくすることができ、これにより振動減衰能力の向上を図ることができる。
加えて、上記重ね合せ部(オーバラップ部43)の1箇所または2箇所以上(この実施例では2箇所)において、上記第1補強部(第1バルクヘッド41)と上記第2補強部(第2バルクヘッド42)とが剛結合されたものである(図6参照)。
【0043】
この構成によれば、重ね合せ部(オーバラップ部43)において第1補強部(第1バルクヘッド41)と第2補強部(第2バルクヘッド42)とを剛結合したので、これら第1補強部(第1バルクヘッド41)と第2補強部(第2バルクヘッド42)との位置ずれが生じにくくなり、補強体(バルクヘッド40)の開断面部31に対する組付け性の向上を図ることができる。
また、上記第1補強部(第1バルクヘッド41)と上記第2補強部(第2バルクヘッド42)とが重ね合せ部(オーバラップ部43)の2箇所以上(この実施例では2箇所)で剛結合されたものにおいて、該剛結合部位(スポット溶接部60の位置)が上記重ね合せ部(オーバラップ部43)の端部を避けるように設けられたものである(図6参照)。
【0044】
この構成によれば、振動減衰部材50による振動減衰能力を損なうことなく、補強体(バルクヘッド40)の開断面部31に対する組付け性の向上を図ることができる。
因みに、剛結合部位が重ね合せ部の両端部に設けられた場合には、第1補強部と第2補強部との相対的な変位が抑制されて、振動減衰効果が僅小となるので、相対的な変位が得られるように重ね合せ部(オーバラップ部43)の端部を避けて剛結合部位(スポット溶接部60の位置参照)を設けるものである。
【0045】
図8,図9,図10は、スポット溶接箇所を1箇所、2箇所、3箇所にそれぞれ設定し、図7に示すシュミレーション解析方法にてイナータンス(単位加振力当りの加速度振幅の大きさ)を測定した結果を示すものである。
【0046】
図7は図1〜図3で示した車体構造とほぼ同一構造(但し、フレーム部材10とパネル部材20の上下位置関係を逆にすると共に、フランジ部41a,41b,42a,42bの折曲げ方向も逆方向としている)の閉断面構造体を設け、この閉断面構造体の長手方向の一端における閉断面部30の所定の角部を加振点Xとし、閉断面構造体の長手方向の他端における閉断面部30の上記角部と対角上に位置する角部を応答点Yとし、加振点Xを加振して、応答点Yにおけるイナータンスを測定するものである。
【0047】
この測定に際しては、本実施例品と比較例品との特性を比較する目的で、オーバラップ部43において第1バルクヘッド41と第2バルクヘッド42とを単にスポット溶接し、振動減衰部材50を全く用いない比較例品と、オーバラップ部43において第1バルクヘッド41と第2バルクヘッド42とをスポット溶接すると共に、これら両バルクヘッド41,42間に振動減衰部材50を介設した本実施例品とに対して、同一条件にて解析を行なった。
また、本実施例品における振動減衰部材50としては、損失係数が0.4、貯蔵弾性率が200MPa(20℃、30H)の粘弾性部材を用いた。
【0048】
図8の(a)は溶接箇所を1箇所と成したバルクヘッド40を示し、同図の(b)は振動減衰部材50をオーバラップ部43のスポット溶接部60の両側に介設した本実施例品と、振動減衰部材を有さない比較例品との特性を比較して示すものであり、図8の(b)において横軸は周波数であり、縦軸はイナータンスである。
【0049】
図8の(b)に実線で示す本実施例品は、同図に仮想線で示す比較例品に対してイナータンスの低減量が約3.5dBであることが認められ、振動レベルが充分に低下していることが明らかとなった。
【0050】
図9の(a)は溶接箇所を2箇所と成したバルクヘッド40を示し、同図の(b)は2箇所のスポット溶接部60を除く、オーバラップ部43の略全域に振動減衰部材50を介設した本実施例品と、振動減衰部材を有さない比較例品との特性を比較して示すものであり、図9の(b)において横軸は周波数であり、縦軸はイナータンスである。
【0051】
図9の(b)に実線で示す本実施例品は、同図に仮想線で示す比較例品に対してイナータンスの低減量が約2.6dBであることが認められ、振動レベルが低下していることが明らかとなった。
【0052】
図10の(a)は溶接箇所を3箇所と成したバルクヘッド40を示し、同図の(b)は3箇所のスポット溶接部60,60間において、オーバラップ部43に振動減衰部材50,50を介設した本実施例品と、振動減衰部材を有さない比較例品との特性を比較して示すものであり、図10の(b)において横軸は周波数であり、縦軸はイナータンスである。
【0053】
図10の(b)に実線で示す本実施例品は、同図に仮想線で示す比較例品に対してイナータンスの低減量が約0.25dBであることが認められ、僅かではあるが振動レベルが低下していることが明らかとなった。
【0054】
図11は溶接箇所を2箇所とした場合(図9の(a)参照)のスポット溶接部60,60間のピッチPを可変設定し、ピッチPの変更に対する振動低減量を実測した結果を示すものであり、この場合、オーバラップ部43に介設した振動減衰部材50,50間の長手方向一端と長手方向他端との間の距離L(図9の(a)参照)を100mmに設定した。
【0055】
図11の特性から明らかなように、スポット溶接部60,60間のピッチPが小さい方が、振動低減量が大きくなり、スポット溶接部60,60間のピッチPが大きい方が、振動低減量が小さくなることが認められた。
図11の特性図を表にまとめると、次の[表1]のようになる。
【表1】

つまり、2点スポット溶接部60,60間のピッチPが小さい場合には、第1バルクヘッド41と第2バルクヘッド42との振動(相対変位)が許容され、この振動を振動減衰部材50で減衰するので、大きい振動低減量が得られ、2点スポット溶接部60,60間のピッチPが大きくなる程、第1バルクヘッド41と第2バルクヘッド42との振動(相対変位)が抑制されて小さくなり、この振動を振動減衰部材50で減衰した場合の振動低減量も小さくなることが明らかとなった。このため、オーバラップ部43の2箇所以上で剛結合されたバルクヘッド40においては、剛結合部位がオーバラップ部43の端部を避けるように設けることが望ましい。
【0056】
図12の(a)、(b)、(c)は車両の車体構造の他の実施例を示す正面図である。なお、図12において、図3と同一の部分には同一符号を付している。
図12の(a)に示す実施例は、閉断面部30の内部に結合されるバルクヘッド70を設け、このバルクヘッド70を図示左側の第1バルクヘッド71と、図示右側の第2バルクヘッド72とに2分割し、これら各バルクヘッド71,72に一体形成したそれぞれのフランジ部71a,71b,71c,72a,72b,72cを閉断面部30の対応する内壁にそれぞれ結合して結合部73を形成すると共に、第1バルクヘッド71と第2バルクヘッド72とを重ね合せて図示上下方向(縦方向)に延びるオーバラップ部43を形成し、さらに、該オーバラップ部43の上下方向中間をスポット溶接部60で剛結合し、このスポット溶接部60の上下におけるオーバラップ部43の略全域に振動減衰部材50,50を介設したものである。
図12の(a)においては、図示の便宜上、振動減衰部材50の介設領域を、ハッチングを施して示している。
図12の(a)で示した実施例においても、バルクヘッド70により閉断面部30の剛性を確保しつつ、オーバラップ部43に介設した振動減衰部材50により振動を効果的に抑制することができ、乗り心地を向上させ、また騒音の低減を図ることができる。
【0057】
図12の(b)に示す実施例は、閉断面部30の内部に結合されるバルクヘッド80を設け、このバルクヘッド80を図示上側の第1バルクヘッド81と、図示下側の第2バルクヘッド82とに2分割し、これら各バルクヘッド81,82に一体形成したそれぞれのフランジ部81a,81b,81c,82a,82b,82cを閉断面部30の対応する内壁にそれぞれ結合して結合部83を形成すると共に、第1バルクヘッド81と第2バルクヘッド82とを重ね合せて図示左右方向(横方向)に延びるオーバラップ部43を形成し、さらに、該オーバラップ部43の中間において互いに離間した2箇所をスポット溶接部60,60で剛結合し、オーバラップ部43においてスポット溶接部60,60を除く略全域に振動減衰部材50…を介設したものである。
図12の(b)においても、図示の便宜上、振動減衰部材50の介設領域を、ハッチングを施して示している。
図12の(b)で示した実施例においても、バルクヘッド80により閉断面部30の剛性を確保しつつ、オーバラップ部43に介設した振動減衰部材50により振動を効果的に抑制することができ、乗り心地を向上させ、また騒音の低減を図ることができる。
【0058】
図12の(c)に示す実施例は、閉断面部30の内部に結合されるバルクヘッド90を設け、このバルクヘッド90を図示上側の第1バルクヘッド91と図示下側の第2バルクヘッド92とに2分割し、これら各バルクヘッド91,92に一体形成したそれぞれのフランジ部91a,91b,91c,92a,92b,92cを閉断面部30の対応する内壁にそれぞれ結合して結合部93を形成すると共に、第1バルクヘッド91下部の円弧凹部と、第2バルクヘッド92上部の円弧凸部とを重ね合せて略左右方向に円弧状に延びるオーバラップ部43を形成し、さらに、該オーバラップ部43の中間において互いに離間した2箇所をスポット溶接部60,60で剛結合し、オーバラップ部43においてスポット溶接部60,60を除く略全域に振動減衰部材50…を介設したものである。
図12の(c)においても、図示の便宜上、振動減衰部材50の介設領域を、ハッチングを施して示している。
図12の(c)で示した実施例においても、バルクヘッド90により閉断面部30の剛性を確保しつつ、オーバラップ部43に介設した振動減衰部材50により振動を効果的に抑制することができ、乗り心地を向上させ、また騒音の低減を図ることができる。
【0059】
図13はバルクヘッド(補強体)の他の実施例を示し、図13の(a)はバルクヘッドの斜視図、図13の(b)は図13の(a)のB‐B線矢視断面図である。
図13の(a)、(b)に示すように、補強体としてのバルクヘッド100は、両端にフランジ部101a,101bを有する第1バルクヘッド101と、両端にフランジ部102a,102bを有する第2バルクヘッド102とから成り、対称構造に形成されたこれら両バルクヘッド101,102間の略全領域に振動減衰部材50を介設したものである。
また、上述の各フランジ部101a,101b,102a,102bは、1または2以上の車両部材により形成される閉断面部または開断面部の内壁とスポット溶接手段等により結合されるものである。
図13に示すこの実施例では、フランジ部101a,101b,102a,102b以外の各バルクヘッド101,102の全領域を面状のオーバラップ部と成すことができるので、振動減衰部材50の設定面積を最大限に大きくすることができ、この結果、振動減衰能力を大幅に向上させることができる。
【0060】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の車両部材は、実施例のフレーム部材10、パネル部材20に対応し、
以下同様に、
補強体は、バルクヘッド40,70,80,90,100に対応し、
第1補強部は、第1バルクヘッド41,71,81,91,101に対応し、
第2補強部は、第2バルクヘッド42,72,82,92,102に対応し、
重ね合せ部は、オーバラップ部43に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記オーバラップ部43は実施例で示した直線状、円弧状、面状のオーバラップ部以外に凹凸状、波状、鋸歯形状のオーバラップ部であってもよい。
また、本発明の車両の車体構造は、フロントサイドフレーム、リヤサイドフレーム、フロアクロスメンバ、トンネルメンバ、サイドシル、フロントピラー、センタピラー、リヤピラー、クオータピラー、ヒンジピラー、ルーフサイドレール、フロアフレームなどの車両の各部位に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上説明したように、本発明は、1または2以上の車両部材により形成される閉断面部または開断面部における車両の車体構造について有用である。
【符号の説明】
【0062】
10…フレーム部材(車両部材)
20…パネル部材(車両部材)
30…閉断面部
31…開断面部
40,70,80,90,100…バルクヘッド(補強体)
41,71,81,91,101…第1バルクヘッド(第1補強部)
42,72,82,92,102…第2バルクヘッド(第2補強部)
43…オーバラップ部(重ね合せ部)
44〜47,73,83,93…結合部
50…振動減衰部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または2以上の車両部材により形成される閉断面部または開断面部における車両の車体構造であって、
上記閉断面部または上記開断面部の内部に結合される補強体を備え、
該補強体は第1補強部と第2補強部とからなり、
上記第1補強部と上記第2補強部とは重ね合せ部を有し、
上記第1補強部は上記閉断面部または上記開断面部の内壁と結合され、
上記第2補強部は上記閉断面部または上記開断面部の内壁と結合されており、
上記第1補強部と上記第2補強部とが上記重ね合せ部の少なくとも一部において振動減衰部材を介して結合された
車両の車体構造。
【請求項2】
上記第1補強部と上記閉断面部または上記開断面部の内壁との結合部と、
上記第2補強部と上記閉断面部または上記開断面部の内壁との結合部とが、
略対向する内壁面に設けられた
請求項1記載の車両の車体構造。
【請求項3】
上記重ね合せ部が、上記補強体の縁上の一点と他点とを結んでなる最長の直線となるように設けられた
請求項1または2記載の車両の車体構造。
【請求項4】
上記重ね合せ部の1箇所または2箇所以上において、上記第1補強部と上記第2補強部とが剛結合された
請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の車体構造。
【請求項5】
上記第1補強部と上記第2補強部とが重ね合せ部の2箇所以上で剛結合されたものにおいて、
該剛結合部位が上記重ね合せ部の端部を避けるように設けられた
請求項4記載の車両の車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−67308(P2013−67308A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208376(P2011−208376)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】