説明

車両の開閉部構造

【課題】蓋体と車体開口部の縁部との間に衝撃吸収部材を設けなくても、蓋体が閉止時にオーバーストロークした場合における車体開口部側への衝撃を抑えることができる車両の開閉部構造を得る。
【解決手段】フロントバンパカバー20とヘッドランプ28とは取付ブラケット40によって連結されている。取付ブラケット40の可変取付部46Aには略車両上下方向に沿って長手方向とされた長孔48が形成され、ヘッドランプ28のランプレンズ32には長孔48内に配設される位置決めピン32Cが突出形成されている。フード16側からフロントバンパカバー20に荷重が入力された場合には、長孔48と位置決めピン32Cとが相対移動し、ヘッドランプ28に対するフロントバンパカバー20の相対移動が許容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体開口部を開放する開放位置と車体開口部を閉止する閉止位置とを取り得る蓋体を備えた車両の開閉部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両においては、フード(蓋体)の閉止時にオーバーストロークしてもバンパカバー等(車体開口部の縁部に設けられた部材)との見切り部での干渉を防止してバンパカバー等への衝撃を抑えるために、フードと車体開口部の縁部との間に衝撃吸収部材を設けているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−178861公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成では、蓋体と車体開口部の縁部との間に衝撃吸収部材を別途設けなければならない。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、蓋体と車体開口部の縁部との間に衝撃吸収部材を設けなくても、蓋体が閉止時にオーバーストロークした場合における車体開口部側への衝撃を抑えることができる車両の開閉部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明の車両の開閉部構造は、車両に設けられ、車体開口部に対し開口面に交差する方向に接離することで、前記車体開口部を開放する開放位置と前記車体開口部を閉止する閉止位置とを取り得る蓋体と、前記車体開口部の縁部に設けられ、前記蓋体が前記閉止位置を超えて前記開放位置とは反対側に移動する場合に前記蓋体側から荷重が入力される第一部材と、車体に取り付けられた第二部材と、前記第一部材と前記第二部材とを連結し、前記第一部材と連動して変位可能な連結部材と、前記連結部材、前記第一部材、及び前記第二部材のいずれかに設けられて前記蓋体側から前記第一部材に荷重が入力される場合の荷重入力方向に沿って長手方向とされた開口が形成された取付部と、前記連結部材、前記第一部材、及び前記第二部材のうち前記開口に対向する部位を備えた部材に形成されて前記開口内において前記開口の長手方向に沿って相対移動可能に配設された突部と、を備え、前記蓋体側から前記第一部材に荷重が入力された場合に前記開口に対する前記突部の相対移動を伴って前記第二部材に対する前記第一部材の相対移動を許容する移動許容手段と、前記蓋体が前記閉止位置に対する前記開放位置とは反対側の位置から前記閉止位置に戻る際に、前記連結部材の位置を前記蓋体側から前記第一部材に荷重が入力される前の位置に戻す復元手段と、を有する。
【0007】
請求項1に記載する本発明の車両の開閉部構造によれば、車両に設けられた蓋体は、車体開口部に対し開口面に交差する方向に接離することで、車体開口部を開放する開放位置と車体開口部を閉止する閉止位置とを取り得る。蓋体が閉止位置を超えて開放位置とは反対側に移動する場合(オーバーストロークする場合)には、車体開口部の縁部に設けられた第一部材に蓋体側から荷重が入力される。この第一部材と、車体に取り付けられた第二部材とは連結部材によって連結されており、連結部材は第一部材と連動して変位可能となっている。
【0008】
ここで、連結部材、第一部材、及び第二部材のいずれかには移動許容手段を構成する取付部が設けられかつ当該取付部には蓋体側から第一部材に荷重が入力される場合の荷重入力方向に沿って長手方向とされた開口が形成されると共に、連結部材、第一部材、及び第二部材のうち開口に対向する部位を備えた部材には移動許容手段を構成して開口内において当該開口の長手方向に沿って相対移動可能に配設された突部が形成されている。この取付部及び突部を備えた移動許容手段によって、蓋体側から第一部材に荷重が入力された場合には開口に対する突部の相対移動を伴って第二部材に対する第一部材の相対移動が許容される。このため、例えば、蓋体が強閉されてオーバーストロークした場合には、蓋体が第一部材と共に第二部材に対して相対移動して荷重を逃がすので、車体開口部側への衝撃が抑えられる。
【0009】
このとき、連結部材は第一部材と連動して変位しているが、蓋体が閉止位置に対する開放位置とは反対側の位置から閉止位置に戻る際に、連結部材の位置は復元手段によって蓋体側から第一部材に荷重が入力される前の位置に戻される。これに伴って第二部材に対する第一部材の相対位置も元の位置に戻され、その後に蓋体が強閉される場合にも車体開口部側への衝撃が抑えられる。
【0010】
請求項2に記載する本発明の車両の開閉部構造は、請求項1記載の構成において、前記連結部材は、前記蓋体側から前記第一部材に荷重が入力された場合に弾性変形する可撓部を備えると共に、前記可撓部が前記復元手段を兼ねている。
【0011】
請求項2に記載する本発明の車両の開閉部構造によれば、蓋体側から第一部材に荷重が入力された場合に、連結部材を構成して復元手段を兼ねる可撓部が弾性変形する。このとき、可撓部の弾性変形に伴って開口に対して突部が相対移動し、第二部材に対する第一部材の相対移動が許容される。その後、蓋体が閉止位置に対する開放位置とは反対側の位置から閉止位置に戻る際には、連結部材の位置は可撓部の復元力によって蓋体側から第一部材に荷重が入力される前の位置に戻される。このため、復元手段として別部材が配置されていなくても、その後に蓋体が強閉される場合における車体開口部側への衝撃が抑えられる。
【0012】
請求項3に記載する本発明の車両の開閉部構造は、請求項2記載の構成において、前記連結部材は、前記移動許容手段を構成する前記取付部又は前記突部を備えると共に、前記第二部材に固定される固定部を備える。
【0013】
請求項3に記載する本発明の車両の開閉部構造によれば、連結部材は、移動許容手段を構成する取付部又は突部を備えると共に、固定部が第二部材に固定されており、蓋体側から第一部材に荷重が入力された場合には、固定部が第二部材に固定された状態で、復元手段を兼ねる可撓部が弾性変形する。このとき、連結部材の可撓部の弾性変形に伴って、連結部材に設けられる開口及び突部のいずれかの一方と、他部材(第一部材や第二部材)に設けられる開口及び突部のいずれかの他方とが、開口の長手方向に沿って相対移動し、第二部材に対する第一部材の相対移動が許容される。これによれば、第一部材や第二部材に設ける移動許容手段の構成要素が最小限に抑えられる。
【0014】
請求項4に記載する本発明の車両の開閉部構造は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の構成において、前記蓋体がフードとされ、前記第一部材がバンパカバーとされると共に、前記第二部材が前記バンパカバーに隣接して配置されたランプとされている。
【0015】
請求項4に記載する本発明の車両の開閉部構造によれば、蓋体がフード、第一部材がバンパカバー、第二部材がバンパカバーに隣接して配置されたランプとなっている。このため、例えば、フードが強閉されてオーバーストロークした場合には、ランプに対するバンパカバーの相対移動が許容され、フードがバンパカバーと共にランプに対して相対移動して荷重を逃がすので、車体開口部側への衝撃が抑えられる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両の開閉部構造によれば、蓋体と車体開口部の縁部との間に衝撃吸収部材を設けなくても、蓋体が閉止時にオーバーストロークした場合における車体開口部側への衝撃を抑えることができるという優れた効果を有する。
【0017】
請求項2に記載の車両の開閉部構造によれば、部品点数を抑えながら、蓋体が閉止時にオーバーストロークした場合における車体開口部側への衝撃を抑えることができるという優れた効果を有する。
【0018】
請求項3に記載の車両の開閉部構造によれば、第一部材や第二部材に設ける移動許容手段の構成要素を最小限に抑えながら、蓋体が閉止時にオーバーストロークした場合における車体開口部側への衝撃を抑えることができるという優れた効果を有する。
【0019】
請求項4に記載の車両の開閉部構造によれば、フードと車体開口部の縁部との間に衝撃吸収部材を設けなくても、フードが閉止時にオーバーストロークした場合における車体開口部側への衝撃を抑えることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両前部開閉部構造が適用された車両前部の一部を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る車両前部開閉部構造において取付ブラケットがヘッドランプに取り付けられた状態を示す斜視図である(フロントバンパカバーの一部を二点鎖線で示す。)。
【図3】図1の3−3線(図2の3L−3L線)に沿った拡大断面図である。
【図4】図1の4−4線(図2の4L−4L線)に沿った拡大断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る車両前部開閉部構造においてフードがオーバーストロークした状態を示す側断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る車両前部開閉部構造における取付ブラケットを示す斜視図である(弾性変形した状態を二点鎖線で示す。)。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る車両前部開閉部構造を示す側断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る車両前部開閉部構造においてフードがオーバーストロークした状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る車両の開閉部構造が適用された車両前部開閉部構造10について図1〜図6を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
【0022】
図1には、車両前部開閉部構造10が適用された車両前部12(自動車前部)の一部が正面図にて示されており、図3には、図1の3−3線(後述する図2の3L−3L線)に沿った拡大断面図が示されている。これらの図に示されるように、車両前部12には、車体開口部としてのエンジンルーム(「エンジンコンパートメント」ともいう)開口部14が設けられている。エンジンルーム開口部14は、その車両上向きの開口端が、蓋体としてのフード(「エンジンフード」ともいう)16によって開閉されるようになっている。
【0023】
図3に示されるように、フード16は、フードアウタパネル16Aとフードインナパネル16Bとが周縁部においてヘミング加工等によって接合されることで、車両上下方向に偏平な中空板状体として形成されている。フード16は、その車両後端側における車幅方向両端部が図示しないフードヒンジを介して車体に支持されており、該フードヒンジの車両幅方向に沿った軸線回りに回転することで、エンジンルーム開口部14を開閉するようになっている。
【0024】
すなわち、車両前部12に設けられたフード16は、フードヒンジの回転軸線回りに回転することによって開閉移動可能となっており、エンジンルーム開口部14に対し開口面14Aに交差する方向(矢印A方向、矢印B方向参照)に接離することで、エンジンルーム開口部14を開放する開放位置(図示省略)と、エンジンルーム開口部14を閉止する閉止位置16X(図1参照)と、を取り得るようになっている。また、フード16に対応して車体側には図示しない合成ゴム製等のフードストッパが設けられ、フード16が開放位置から閉止位置16Xに移動した状態ではこのフードストッパに突き当たるようになっている。このため、フード16は、閉止時にオーバーストロークしても(閉止位置16Xを超えて開放位置とは反対側の位置に移動しても)フードストッパの復元力で閉止位置に復帰する(戻る)ようになっている。
【0025】
図1に示されるように、閉止位置16Xのフード16の外縁と、エンジンルーム開口部14の開口縁部との間には、見切り隙G(図3参照)が設定された見切り部Pが形成されている。エンジンルーム開口部14の開口前縁部は、第一部材としてのフロントバンパカバー20(バンパ)及びラジエータグリル22を含んで構成されている。
【0026】
フロントバンパカバー20は、車両前部12の前端部に設けられて意匠面を構成し、全体として車両幅方向に沿って帯状に配置されている。フロントバンパカバー20の車両幅方向中央領域には、車両上方側から凹状にえぐられるように切り欠かれた切欠部20Aが形成されており、車両正面視でその上方側にラジエータグリル22が配設されている。また、フロントバンパカバー20の長手方向(車両幅方向)の両端部は、車両後方側へ緩やかに曲げられた三次元形状を成している。なお、フロントバンパカバー20の長手方向の両端部にはフロントフェンダパネル24が隣接しており、このフロントフェンダパネル24は、略車両前後方向に沿って配置されている。また、フロントバンパカバー20の長手方向の両端部には、車両上方側から凹状にえぐられるように切り欠かれた切欠部20Bが形成されており、車両正面視でその上方側に隣接して第二部材かつランプとしてのヘッドランプ28が配置されている。
【0027】
フロントバンパカバー20において、切欠部20Aと切欠部20Bとの間は、車両上方側に突出した略矩形状の凸片部20Cとされている。図3に示されるように、凸片部20Cの上端部からエンジンルーム開口部14の内側へは内側フランジ部20Dが水平に屈曲(延出)されている。内側フランジ部20Dは、凸片部20Cの上端部と共に、エンジンルーム開口部14の開口縁部を構成している。内側フランジ部20Dの車両前方側の部位には、その上面にフードシールゴム26が取り付けられており、このフードシールゴム26によって閉止状態のフード16の外縁と内側フランジ部20Dとの間の隙間がシールされるようになっている。内側フランジ部20Dの車両後方側の部位は、フロントバンパカバー20を車体側へ取り付けるための部位とされている(詳細後述)。
【0028】
このフロントバンパカバー20には、フード16が閉止位置16Xを超えて開放位置とは反対側に(矢印A方向に)移動する場合にフード16側から(フードシールゴム26を介して)荷重が入力されるようになっている。
【0029】
図4には、図1の4−4線(後述する図2の4L−4L線)に沿った拡大断面図が示されている。図3及び図4に示されるように、ヘッドランプ28は、その車両後方側において光源(図示省略)を収容するランプハウジング30を備えており、このランプハウジング30は、ブラケット(図示省略)を介して車体を構成するラジエータサポートアッパ(図示省略、広義には「車体骨格部材」として把握される要素である。)に取り付けられて固定されている。また、ランプハウジング30は、車体前方側の開口端の外周側にシール溝部30Aが形成されており、シール溝部30Aにはランプレンズ32の車両後方側の開口端が挿入されている。このシール溝部30A内に充填されたホットメルト材31にてランプレンズ32がランプハウジング30に固定されている。
【0030】
ヘッドランプ28のランプレンズ32は、透明な硬質材料(例えば、PC(ポリカーボネート)等の剛性の高い樹脂材料)によって形成されており、図1に示されるフロントバンパカバー20の切欠部20Bの車両正面視で上方側に露出した部位が意匠面32Aを構成している。また、図3及び図4に示されるように、ランプレンズ32は、フロントバンパカバー20の凸片部20Cの車両後方側において車両前方側に凸状に突出した突出部32Bを備えている。
【0031】
フロントバンパカバー20とヘッドランプ28とは、連結部材としての取付ブラケット40によって連結されている。図2には、取付ブラケット40がヘッドランプ28に取り付けられた状態の斜視図にて示され、図6には、取付ブラケット40が斜視図にて示されている。これらの図に示される取付ブラケット40は、図2に示されるヘッドランプ28に対するフロントバンパカバー20の位置決め手段としての役割を果たしている。また、取付ブラケット40は、図3に示されるフード16側からフロントバンパカバー20に荷重が入力された場合には図6の二点鎖線で示されるように弾性変形する(撓む)可撓部40Aを備えており、可撓部40Aは、図3に示されるフード16が閉止位置16Xに対する開放位置(図示省略)とは反対側の位置16Z(図5参照)から閉止位置16Xに戻る際には取付ブラケット40の位置をフード16側からフロントバンパカバー20に荷重が入力される前の位置(正規状態の正規位置)に戻す復元手段を兼ねている。換言すれば、取付ブラケット40は、可撓部40Aによってばね性を備えた構造になっている。
【0032】
図2〜図4に示されるように、取付ブラケット40は、屈曲板状に形成されている。図2に示されるように、取付ブラケット40の上部は略水平に配置される上板部42とされている。上板部42は、略車両幅方向の内側端部が車両後方側へ屈曲した略L字状に形成されており、ランプレンズ32の縁部の車両前方側に配設された前部42Aを備えると共に、ランプレンズ32及びランプハウジング30の側方側(略車両幅方向内側)に配設された後部42Bを備えている。上板部42の前部42A側は可撓部40Aの一部を構成している。上板部42の前部42Aの上面には、フロントバンパカバー20の内側フランジ部20Dが重ね合わせられており、図3に示されるように、クリップ34によって上板部42の前部42Aにフロントバンパカバー20の内側フランジ部20Dが固定されている。これにより、取付ブラケット40は、フロントバンパカバー20と連動して変位可能になっている。
【0033】
図2に示されるように、取付ブラケット40は、上板部42の略車両幅方向内側の端部から略車両下方側へ屈曲されて垂下された固定部としての固定板部44を備えている。図2及び図4に示されるように、固定板部44は、ボルト等の締結具36によってヘッドランプ28のランプハウジング30に固定されている。これによって、ヘッドランプ28に対する取付ブラケット40の位置及び姿勢が保持されている。また、この固定板部44は、前述した可撓部40Aの一部を構成している。
【0034】
また、図2及び図3に示されるように、取付ブラケット40は、上板部42の車両前方側の端部から略車両下方側へ屈曲されて垂下された前板部46を備えている。この前板部46は、前述した可撓部40Aの一部を含んで構成され、フロントバンパカバー20の凸片部20Cに対向するように配設されており、その下部側にランプレンズ32への取付用とされる取付部としての可変取付部46Aを備えている。この可変取付部46Aには、前板部46の板厚方向へ貫通して開口としての長孔48(長穴)が形成されている。この長孔48は、略車両上下方向に沿って長手方向とされた、換言すれば、フード16(図3参照)側からフロントバンパカバー20に荷重が入力される場合の荷重入力方向(換言すればオーバーストローク方向)に沿って、長手方向とされた貫通孔となっており、位置決め孔及び逃げ孔としての役割を担っている(位置決め形状及び逃げ形状の付与)。長孔48の長手方向の寸法は、想定されるフード16のオーバーストローク量に応じて設定されている。
【0035】
図3に示されるように、ヘッドランプ28のランプレンズ32は、取付ブラケット40の長孔48に対向する部位を備えており、突部としての位置決めピン32Cが突出部32Bから突出形成されて長孔48内の下部に配設されている。位置決めピン32Cは、長孔48の長手方向に直交する方向の幅寸法よりも僅かに小径に設定されており、長孔48内をその長手方向に沿って(案内されるように)相対移動可能に配設されている位置決めピン32Cの上面と長孔48の上端下向き面との間の間隔Lは、フード16のオーバーストローク時における位置決めピン32Cと長孔48との相対移動可能量(干渉回避が可能な長さ)になっている。また、位置決めピン32C及び長孔48は、取付ブラケット40のヘッドランプ28に対する幅方向(略車両幅方向)の位置決め用とされている(図4参照)。
【0036】
ここで、位置決めピン32C及び可変取付部46Aは、移動許容手段としての移動許容構造部50を構成しており、移動許容構造部50が位置決めピン32C及び可変取付部46Aを備えることによって、フード16側からフロントバンパカバー20に荷重が入力された場合には、位置決めピン32Cに対して長孔48側(可変取付部46A)が相対的に車両下方側に移動して(換言すれば長孔48に対する位置決めピン32Cの相対移動を伴って)、ヘッドランプ28に対するフロントバンパカバー20の相対移動を許容するようになっている。
【0037】
(作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0038】
図3に示される車両前部12に設けられたフード16は、エンジンルーム開口部14に対し開口面14Aに交差する方向(矢印A方向、矢印B方向参照)に接離することで、エンジンルーム開口部14を開放する開放位置とエンジンルーム開口部14を閉止する閉止位置16Xとを取り得る。図5に示されるように、フード16が閉止位置16X(図3参照)を超えて開放位置とは反対側に(矢印A方向に)移動する場合(オーバーストロークする場合)には、エンジンルーム開口部14の縁部に設けられたフロントバンパカバー20にフード16側から荷重が入力される。このフロントバンパカバー20と、車体に取り付けられたヘッドランプ28とは取付ブラケット40によって連結されており、取付ブラケット40はフロントバンパカバー20と連動して変位可能となっている。
【0039】
ここで、図2に示される取付ブラケット40は、可撓部40Aを備え、固定板部44がヘッドランプ28に固定され、長孔48が可変取付部46Aに形成されているのに対し、ヘッドランプ28には位置決めピン32Cが形成されて取付ブラケット40の長孔48内に配設されている。これらにより、図5に示されるように、フード16側からフロントバンパカバー20に荷重が入力された場合に、取付ブラケット40は、固定板部44(図2参照)がヘッドランプ28に固定された状態で可撓部40Aが車両下方側へ弾性変形する(撓む)。このとき、取付ブラケット40の可撓部40Aの弾性変形に伴って、取付ブラケット40における可変取付部46Aの長孔48と、ヘッドランプ28における位置決めピン32Cとが、長孔48の長手方向に沿って相対移動することで、ヘッドランプ28に対するフロントバンパカバー20の相対移動が許容される。
【0040】
このため、例えば、フード16が強閉されてオーバーストロークした場合には、フード16がフロントバンパカバー20及び取付ブラケット40と共にヘッドランプ28に対して相対移動して荷重を逃がすので、エンジンルーム開口部14側への衝撃が抑えられる。つまり、フード16のオーバーストロークに伴う車両下方側への荷重は、ヘッドランプ28側へは殆ど作用することなく、車両下方側へ逃がされる。
【0041】
ここで、対比構造と比較しながら補足説明すると、例えば、フードとエンジンルーム開口部の縁部との間に弾性変形可能な衝撃吸収部材を設けた対比構造では、フードのオーバーストローク時にフード側から荷重を受けた衝撃吸収部材が撓むことでフードとエンジンルーム開口部の縁部との見切り部の干渉を避けることができると共に、その後に、衝撃吸収部材のバネ力によってフードを閉止位置(換言すれば見切り部の隙詰めをした位置)に戻すことができる。しかしながら、このような対比構造では、フードとエンジンルーム開口部の縁部との間に衝撃吸収部材を別途設けなければならないうえ、バンパカバーと隣接するヘッドランプに対して精度良く位置決めすることが以下の理由により難しくなる。
【0042】
すなわち、ヘッドランプに対してバンパカバーを精度良く位置決めするためには、ヘッドランプの外表面を構成するランプレンズとバンパカバーとの位置決めを設定する必要があり、ランプレンズとバンパカバーとが連結されることになる。しかしながら、フード側からバンパカバーが荷重を受けた場合にバンパカバーが撓んでも、剛性の高いランプレンズは殆ど撓むことができないので、ランプレンズや、当該ランプレンズとランプハウジングとの連結部位に設けられたホットメルト材に大きな荷重が作用してしまう。ここで、このような荷重を抑えるために、ランプレンズとバンパカバーとを連結しないとヘッドランプに対してバンパカバーを精度良く位置決めすることができず、一方、衝撃吸収部材を大型化すると、見切り部の隙間を小さくすることができず、隙間寸法もばらつきやすい。
【0043】
これに対して、本実施形態に係る車両前部開閉部構造10では、図3に示されるように、フード16とエンジンルーム開口部14の縁部との間に衝撃吸収部材を設けないうえ、フード16のオーバーストロークに伴う車両下方側への荷重が、ヘッドランプ28側へは殆ど作用しないので、対比構造における不都合を解消することができ、見切り部Pの隙間(見切り隙G)を低減することも可能になる。
【0044】
一方、本実施形態に係る車両前部開閉部構造10においては、図5に示されるように、フード16のオーバーストローク時には取付ブラケット40はフロントバンパカバー20と連動して変位しているが、フード16が閉止位置16X(図3参照)に対する開放位置とは反対側の位置16Zからフードストッパ(図示省略)の復元力で閉止位置16Xに戻る際には、取付ブラケット40の位置は可撓部40Aの復元力によって、図3に示されるフード16側からフロントバンパカバー20に荷重が入力される前の位置(換言すれば元の形状)に戻される。これに伴ってヘッドランプ28に対するフロントバンパカバー20の相対位置も元の位置に戻され、その後にフード16が強閉される場合にもエンジンルーム開口部14側への衝撃が抑えられる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る車両前部開閉部構造10によれば、フード16とエンジンルーム開口部14の縁部との間に衝撃吸収部材を設けなくても、フード16が閉止時にオーバーストロークした場合におけるエンジンルーム開口部14側への衝撃を抑えることができる。
【0046】
また、本実施形態に係る車両前部開閉部構造10によれば、部品点数が抑えられ、かつ取付ブラケット40以外に設ける移動許容構造部50の構成要素が最小限に抑えられるので加工性も良い。
【0047】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る車両の開閉部構造が適用された車両前部開閉部構造60について、図7及び図8を用いて説明する。図7には、本発明の第2の実施形態に係る車両前部開閉部構造60が側断面図(第1の実施形態の図3に相当する図)にて示されており、図8には、車両前部開閉部構造60でフード16が強閉された状態が側断面図(第1の実施形態の図5に相当する図)にて示されている。
【0048】
これらの図に示されるように、車両前部開閉部構造60は、長孔48に挿入される位置決めピン32C(図3参照)に代えて長孔48に挿入されるピン20Eをフロントバンパカバー20に形成すると共に、取付ブラケット40における長孔48の上方側に側断面視でC字状の可撓部62を形成した点で、第1の実施形態に係る車両前部開閉部構造10(図3参照)とは異なる。他の構成は、第1の実施形態とほぼ同様の構成となっている。よって、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
図7に示されるように、取付ブラケット40の前板部46には、長孔48の下方側に位置決め孔46Cが貫通形成されている。ヘッドランプ28のランプレンズ32は、取付ブラケット40の位置決め孔46Cに対向する部位を備えており、位置決め孔46Cに嵌合される位置決めピン32Eが突出部32Bから突出形成されている。位置決めピン32E及び位置決め孔46Cは、取付ブラケット40のヘッドランプ28に対する位置決め用とされている。
【0050】
また、フロントバンパカバー20の凸片部20Cは、取付ブラケット40の長孔48に対向する部位を備えており、突部としてのピン20Eが車両後方側の面から突出形成されて長孔48内の上部に配設されている。ピン20Eは、長孔48の長手方向に直交する方向の幅寸法よりも僅かに小径に設定されており、長孔48内をその長手方向に沿って相対移動可能に配設されている。
【0051】
ここで、ピン20E及び可変取付部46Aは、移動許容手段としての移動許容構造部64を構成しており、移動許容構造部64がピン20E及び可変取付部46Aを備えることによって、フード16側からフロントバンパカバー20に荷重が入力された場合に、図8に示されるように、長孔48に対するピン20Eの相対移動を伴ってヘッドランプ28に対するフロントバンパカバー20の相対移動を許容するようになっている。
【0052】
また、図7に示されるように、取付ブラケット40の前板部46には、長孔48の上方側に側断面視でC字状の可撓部62が形成されている。取付ブラケット40は、フード16側からフードシールゴム26を介してフロントバンパカバー20に荷重が入力された場合に、図8に示されるように、可撓部62が弾性変形するように設定されている。また、可撓部62は、フード16が閉止位置16X(図7参照)に対する開放位置(図示省略)とは反対側の位置16Zから図7に示される閉止位置16Xに戻る際には取付ブラケット40の位置をフード16側からフロントバンパカバー20に荷重が入力される前の位置(正規状態の正規位置)に戻す復元手段を兼ねている。
【0053】
このような構成によれば、フード16側からフロントバンパカバー20に荷重が入力された場合には、取付ブラケット40の可撓部62が弾性変形すると共に、ピン20Eが長孔48に対して長孔48の長手方向に沿って相対移動することでヘッドランプ28に対するフロントバンパカバー20の相対移動が許容される。
【0054】
このため、例えば、フード16が強閉されてオーバーストロークした場合には、フード16がフロントバンパカバー20と共にヘッドランプ28に対して相対移動して荷重を逃がすので、エンジンルーム開口部14側への衝撃が抑えられる。すなわち、本実施形態の構成によっても、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0055】
[他の実施形態]
なお、他の実施形態として、例えば、図3等に示される第1の実施形態の変形例を示すと、取付ブラケット40(連結部材)の長孔48(開口)に代えてヘッドランプ28(第二部材)に開口を形成すると共に、ヘッドランプ28(第二部材)の位置決めピン32C(突部)に代えて取付ブラケット40(前記開口に対向する部位を備えた連結部材)に突部を形成して前記開口内に配設してもよい。
【0056】
すなわち、ヘッドランプ28(第二部材)のランプレンズ32における取付ブラケット40(連結部材)との対向部に取付部を設けかつこの取付部にはフード16(蓋体)側からフロントバンパカバー20(第一部材)に荷重が入力される場合の荷重入力方向に沿って長手方向とされた開口が形成され、一方、取付ブラケット40(連結部材)には、ヘッドランプ28(第二部材)の前記開口内において前記開口の長手方向に沿って相対移動可能に配設された突部が形成されるような構成とし、フード16(蓋体)側からフロントバンパカバー20(第一部材)に荷重が入力された場合にヘッドランプ28(第二部材)の前記開口に対する取付ブラケット40(連結部材)の前記突部の相対移動を伴ってヘッドランプ28(第二部材)に対するフロントバンパカバー20(第一部材)の相対移動を許容する構造としてもよい。
【0057】
また、他の実施形態として、例えば、図7等に示される第2の実施形態の変形例を示すと、取付ブラケット40(連結部材)の長孔48(開口)に代えてフロントバンパカバー20(第一部材)に開口を形成すると共に、フロントバンパカバー20(第一部材)のピン20E(突部)に代えて取付ブラケット40(前記開口に対向する部位を備えた連結部材)に突部を形成して前記開口内に配設してもよい。
【0058】
すなわち、フロントバンパカバー20(第一部材)における取付ブラケット40(連結部材)との対向部に取付部を設けかつこの取付部にはフード16(蓋体)側からフロントバンパカバー20(第一部材)に荷重が入力される場合の荷重入力方向に沿って長手方向とされた開口が形成され、一方、取付ブラケット40(連結部材)には、フロントバンパカバー20(第一部材)の前記開口内において前記開口の長手方向に沿って相対移動可能に配設された突部が形成されるような構成とし、フード16(蓋体)側からフロントバンパカバー20(第一部材)に荷重が入力された場合にフロントバンパカバー20(第一部材)の前記開口に対する取付ブラケット40(連結部材)の前記突部の相対移動を伴ってヘッドランプ28(第二部材)に対するフロントバンパカバー20(第一部材)の相対移動を許容する構造としてもよい。
【0059】
さらに、他の実施形態として、例えば、図7等に示される第2の実施形態の他の変形例を示すと、取付ブラケット40(連結部材)の長孔48(開口)に代えてヘッドランプ28(第二部材)に開口を形成すると共に、フロントバンパカバー20(前記開口に対向する部位を備えた第一部材)のピン20E(突部)の位置及び長さを変更して前記開口内に配設してもよい。
【0060】
すなわち、ヘッドランプ28(第二部材)のランプレンズ32におけるフロントバンパカバー20(第一部材)との対向部に取付部を設けかつこの取付部にはフード16(蓋体)側からフロントバンパカバー20(第一部材)に荷重が入力される場合の荷重入力方向に沿って長手方向とされた開口が形成され、一方、フロントバンパカバー20(第一部材)には、ランプレンズ32の前記開口内において前記開口の長手方向に沿って相対移動可能に配設されたピン(突部)が形成されるような構成とし、フード16(蓋体)側からフロントバンパカバー20(第一部材)に荷重が入力された場合にヘッドランプ28(第二部材)の前記開口に対するフロントバンパカバー20(第一部材)の前記ピン(突部)の相対移動を伴ってヘッドランプ28(第二部材)に対するフロントバンパカバー20(第一部材)の相対移動を許容する構造としてもよい。
【0061】
さらにまた、他の実施形態として、例えば、図7等に示される第2の実施形態のさらに他の変形例を示すと、取付ブラケット40(連結部材)の長孔48(開口)に代えてフロントバンパカバー20(第一部材)に開口を形成すると共に、フロントバンパカバー20(第一部材)のピン20E(突部)に代えてヘッドランプ28(前記開口に対向する部位を備えた第二部材)のランプレンズ32に突部を形成して前記開口内に配設してもよい。
【0062】
すなわち、フロントバンパカバー20(第一部材)におけるランプレンズ32との対向部に取付部を設けかつこの取付部にはフード16(蓋体)側からフロントバンパカバー20(第一部材)に荷重が入力される場合の荷重入力方向に沿って長手方向とされた開口が形成され、一方、ヘッドランプ28(第二部材)のランプレンズ32には、フロントバンパカバー20(第一部材)の前記開口内において前記開口の長手方向に沿って相対移動可能に配設された突部が形成されるような構成とし、フード16(蓋体)側からフロントバンパカバー20(第一部材)に荷重が入力された場合にフロントバンパカバー20(第一部材)の前記開口に対するヘッドランプ28(第二部材)の前記突部の相対移動を伴ってヘッドランプ28(第二部材)に対するフロントバンパカバー20(第一部材)の相対移動を許容する構造としてもよい。
【0063】
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態では、車両の開閉部構造が車両前部開閉部構造10、60に適用されているが、車両の開閉部構造は、例えば、車両後部において、ドアヒンジの回転軸線回りに回転して開閉移動することでバックドア開口部(車体開口部)に対して開放位置と閉止位置とを取り得るバックドア(蓋体)と、バックドア開口部の縁部に設けられたリヤバンパカバー(第一部材)と、車体に取り付けられたブレーキランプ(第二部材)と、リヤバンパカバーとブレーキランプとを連結するブラケット(連結部材)とを含んで構成された車両後部開閉部構造等のような他の車両の開閉部構造に適用されてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、フロントバンパカバー20(第一部材)とヘッドランプ28(第二部材)とが取付ブラケット40(連結部材)によって連結された構成において、フード16(蓋体)側からフロントバンパカバー20に荷重が入力された場合にヘッドランプ28に対するフロントバンパカバー20の相対移動を移動許容構造部50、64(移動許容手段)が許容する構造になっているが、例えば、可撓性を備えたフロントグリル(第一部材)とヘッドランプ(第二部材)とがブラケット(連結部材)によって連結された構成において、フード(蓋体)側からフロントグリルに荷重が入力された場合にヘッドランプに対するフロントグリルの相対移動を移動許容構造部(移動許容手段)が許容する構造であってもよい。
【0065】
さらに、上記実施形態では、取付ブラケット40(連結部材)にて移動許容構造部50、64(移動許容手段)を構成する可変取付部46Aに形成された開口が貫通形成された長孔48とされているが、移動許容手段を構成する取付部に形成される開口は、貫通していない長溝状の長穴や逆U字状の切欠部等のような他の開口でもよい。
【0066】
さらにまた、上記実施形態では、取付ブラケット40(連結部材)の可撓部40A、62が復元手段を兼ねているが、復元手段は、例えば、連結部材とは別体であって、蓋体が閉止位置に対する開放位置とは反対側の位置から閉止位置に戻る際に、連結部材の位置を蓋体側から第一部材に荷重が入力される前の位置に戻す付勢手段(例えば、板バネや圧縮コイルスプリング)等のような他の復元手段であってもよい。
【0067】
なお、請求項1の「第一部材と連動して変位可能な連結部材」の概念には、第1の実施形態のように「第一部材と連動して部材全体が変位可能な連結部材」が含まれる他、第2の実施形態のように「第一部材と連動して部材の一部が変位可能な連結部材」も含まれる。
【符号の説明】
【0068】
10 車両前部開閉部構造(車両の開閉部構造)
14 エンジンルーム開口部(車体開口部)
16 フード(蓋体)
16X 閉止位置
20 フロントバンパカバー(第一部材)
20E ピン(突部)
28 ヘッドランプ(第二部材)
32C 位置決めピン(突部)
40 取付ブラケット(連結部材)
40A 可撓部(復元手段)
44 固定板部(固定部)
46A 可変取付部(取付部)
48 長孔(開口)
50 移動許容構造部(移動許容手段)
60 車両前部開閉部構造(車両の開閉部構造)
62 可撓部(復元手段)
64 移動許容構造部(移動許容手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、車体開口部に対し開口面に交差する方向に接離することで、前記車体開口部を開放する開放位置と前記車体開口部を閉止する閉止位置とを取り得る蓋体と、
前記車体開口部の縁部に設けられ、前記蓋体が前記閉止位置を超えて前記開放位置とは反対側に移動する場合に前記蓋体側から荷重が入力される第一部材と、
車体に取り付けられた第二部材と、
前記第一部材と前記第二部材とを連結し、前記第一部材と連動して変位可能な連結部材と、
前記連結部材、前記第一部材、及び前記第二部材のいずれかに設けられて前記蓋体側から前記第一部材に荷重が入力される場合の荷重入力方向に沿って長手方向とされた開口が形成された取付部と、前記連結部材、前記第一部材、及び前記第二部材のうち前記開口に対向する部位を備えた部材に形成されて前記開口内において前記開口の長手方向に沿って相対移動可能に配設された突部と、を備え、前記蓋体側から前記第一部材に荷重が入力された場合に前記開口に対する前記突部の相対移動を伴って前記第二部材に対する前記第一部材の相対移動を許容する移動許容手段と、
前記蓋体が前記閉止位置に対する前記開放位置とは反対側の位置から前記閉止位置に戻る際に、前記連結部材の位置を前記蓋体側から前記第一部材に荷重が入力される前の位置に戻す復元手段と、
を有する車両の開閉部構造。
【請求項2】
前記連結部材は、前記蓋体側から前記第一部材に荷重が入力された場合に弾性変形する可撓部を備えると共に、前記可撓部が前記復元手段を兼ねている請求項1記載の車両の開閉部構造。
【請求項3】
前記連結部材は、前記移動許容手段を構成する前記取付部又は前記突部を備えると共に、前記第二部材に固定される固定部を備える請求項2記載の車両の開閉部構造。
【請求項4】
前記蓋体がフードとされ、前記第一部材がバンパカバーとされると共に、前記第二部材が前記バンパカバーに隣接して配置されたランプとされている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両の開閉部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−241375(P2010−241375A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94980(P2009−94980)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】