車両のECU配置構造
【課題】ECUに接続される配線を短縮し、かつECUの冷却効果が高められる車両のECU配置構造を提供する。
【解決手段】エンジン7を運転席18および助手席18aの後方かつ下方に配設する。ダクトカバー68は、車体前方側から車体上方側にかけて連続的な開口部68dが形成された箱状部68aを有する。吸気ダクト46は、その一端側をエンジン7の車体後方側に配設されたエアクリーナボックス45に接続すると共に、他端側をエンジン7の側方から車体前方側に延ばして、箱状部68aの車体後方側に接続する。ダクトカバー68の内部にECU66を配置する。ダクトカバー68の開口部68dを、助手席18aの背部80に対向するように配設されると共に複数のスリット50が形成された遮蔽板56に近接配置する。開口部68dの車体上方側を、荷台14の底板14aに近接配置する。
【解決手段】エンジン7を運転席18および助手席18aの後方かつ下方に配設する。ダクトカバー68は、車体前方側から車体上方側にかけて連続的な開口部68dが形成された箱状部68aを有する。吸気ダクト46は、その一端側をエンジン7の車体後方側に配設されたエアクリーナボックス45に接続すると共に、他端側をエンジン7の側方から車体前方側に延ばして、箱状部68aの車体後方側に接続する。ダクトカバー68の内部にECU66を配置する。ダクトカバー68の開口部68dを、助手席18aの背部80に対向するように配設されると共に複数のスリット50が形成された遮蔽板56に近接配置する。開口部68dの車体上方側を、荷台14の底板14aに近接配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のECU配置構造に係り、特に、外部と遮蔽されない車室を有する3輪または4輪車両に適した車両のECU配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の制御装置としてのECU(エンジン・コントロール・ユニット)が知られている。ECUには、エンジンに取り付けられた各種センサの出力信号を入力するための配線が多数接続されるので、ECUとエンジンとを離間させるほど、この配線が長くなって、車重や組み付け工数等が増大することとなる。そこで、配線の長さを抑えるためにECUをエンジンの近傍に配置することが考えられるが、これによって精密機器であるECUがエンジン熱の影響を受けないように配慮する必要があった。
【0003】
特許文献1には、エンジンの上部にエアクリーナボックスが設けられた自動二輪車において、エアクリーナボックスの内部にECUを配置することで、エンジン熱の影響を避けつつエンジンの近傍にECUを配置するようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4202610号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、外部と遮蔽されない車室を有し、荒れ地等の走行に適した多目的四輪車両:MUV(マルチ・ユーティリティ・ビークル)においては、車室の下方等にエンジンが配置され、エンジンの車体後方側にエアクリーナボックスが配置されることが多い。このような配置においては、走行時に車体後方側に流れるエンジン熱によってエアクリーナボックス廻りの温度が高くなるので、上記したMUVに対して、特許文献1に記載された技術をそのまま適用し、エアクリーナボックスの内部にECUを配置することは難しかった。また、エアクリーナボックスの内部にECUを配置すると、エアクリーナボックスの実容量も減少してしまうので、実容量を確保しなければならないという課題もあった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、ECUに接続される配線を短縮し、かつECUへの熱的影響を防ぐことができ、さらにはECUの冷却効果が高められる車両のECU配置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、エンジンの車体後方側に吸気通路を介してエアクリーナボックスが取り付けられ、該エアクリーナボックスに接続された吸気ダクトから外気を導入するようにした車両のECU配置構造において、前記吸気ダクトは、その一端側が前記エアクリーナボックスに接続されると共に、該エアクリーナボックスから車体前方側に延ばした形状とされており、少なくとも車体前方側に開口部が形成された箱状部を含むと共に、該箱状部の車体後方側に前記吸気ダクトの他端側が接続されるダクトカバーを具備し、該ダクトカバーを前記エンジンの側部に位置させると共に、エンジン制御装置としてのECUを、前記ダクトカバーの内部に配置した点に第1の特徴がある。
【0008】
また、 前記車両は、外部と遮蔽されない車室を有する多目的四輪車両であって、前記車両の車体前後方向略中央に乗員用座席が設けられ、前記エンジンは、前記乗員用座席の後方かつ下方の位置に配設されており、前記ダクトカバーの車体前方側の開口部は、前記乗員用座席の背部に対向するように設けられている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記乗員用座席は、車幅方向に並ぶ運転席および助手席からなり、前記ダクトカバーの車体前方側の開口部は、前記運転席または助手席のいずれかの背部に対向するように設けられている点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記乗員用座席の背部に対向するように配置され、かつ複数のスリットが形成された板部材を具備し、前記ダクトカバーは、前記板部材の車体後方側に近接配置されている点に第4の特徴がある。
【0011】
また、前記ダクトカバーの開口部は、車体前方側から車体上方側にかけて連続的に形成されており、前記車体前方側の開口部は、前記板部材に近接配置され、車体上方側の開口部は、前記車両の荷台の底板に近接配置されている点に第5の特徴がある。
【0012】
また、前記ECUが、略直方体の形状とされており、その面積が最も大きい面を車体前方側に向けて、前記ダクトカバーの内部で車体前方寄りの位置に配設されている点に第6の特徴がある。
【0013】
また、前記車両は、複数のフレームパイプを組み合わせて構成された車体フレームを有する4輪車両であり、前記ダクトカバーは、車幅方向の最も外側に位置するフレームパイプより車幅方向内側の位置に配設されており、前記ECUは、前記ダクトカバーの内部で車幅方向外側寄りに配設されている点に第7の特徴がある。
【0014】
また、前記ECUは、前記フレームパイプに取り付けられている点に第8の特徴がある。
【0015】
また、前記ECUは、車幅方向に配設される前記フレームパイプから下方に延出する取付ステーに対して、カバー部材を介して取り付けられている点に第9の特徴がある。
【0016】
また、前記ECUは、車体側面視で前記エンジンとオーバーラップする位置に配設されている点に第10の特徴がある。
【0017】
さらに、前記スリットは、前記ECUより車幅方向内側に配設されている点に第11の特徴がある。
【発明の効果】
【0018】
第1の特徴によれば、吸気ダクトは、その一端側がエアクリーナボックスに接続されると共に、該エアクリーナボックスから車体前方側に延ばした形状とされており、少なくとも車体前方側に開口部が形成された箱状部を含むと共に、該箱状部の車体後方側に吸気ダクトの他端側が接続されるダクトカバーを具備し、該ダクトカバーをエンジンの側部に位置させると共に、エンジン制御装置としてのECUを、ダクトカバーの内部に配置したので、ECUがエンジンの熱の影響を受けにくくなり、かつエアクリーナボックスへの外気導入の流れによってECUを積極的に冷却することができる。これにより、エンジンの近くにECUを配置することが可能となり、エンジンに取り付けられたセンサ類とECUとを連結する配線の長さを低減することができる。さらに、エアクリーナボックスとは別体のダクトカバーの内部にECUを配置したので、エアクリーナボックスの容量確保が容易となる。
【0019】
第2の特徴によれば、車両の車体前後方向略中央に乗員用座席が設けられ、エンジンは、乗員用座席の後方かつ下方の位置に配設されており、ダクトカバーの車体前方側の開口部は、乗員用座席の背部に対向するように設けられているので、乗員用座席の背部によって、ダクトカバーへの水や埃等の侵入を防ぐことが可能となり、ECUの保護効果を高めることができる。さらに、ダクトカバーの開口部を乗員用座席の背部に対向させたので、座席のシート高が高くなるのを防ぐことができる。
【0020】
第3の特徴によれば、乗員用座席は、車幅方向に並ぶ運転席および助手席からなり、ダクトカバーの車体前方側の開口部は、運転席または助手席のいずれかの背部に対向するように設けられているので、車幅方向左右のいずれかにオフセットした位置にダクトカバーを配設することが可能となる。これにより、例えば、エンジンが車幅方向中央に配設されるレイアウトにおいて、エンジンの車幅方向左右いずれかのスペースを有効利用してダクトカバーおよびECUを配設することができる。
【0021】
第4の特徴によれば、乗員用座席の背部に対向するように配置され、かつ複数のスリットが形成された板部材を具備し、ダクトカバーは板部材の車体後方側に近接配置されているので、例えば、エンジン室と車室とを分ける遮蔽板に設けられたスリットから外気を導入することが可能となる。また、ダクトカバーの車体前方側の開口部への異物等の侵入を防止できる。
【0022】
第5の特徴によれば、ダクトカバーの開口部は、車体前方側から車体上方側にかけて連続的に形成されており、車体前方側の開口部は板部材に近接配置され、車体上方側の開口部は車両の荷台の底板に近接配置されているので、ダクトカバーの車体上方側に開口部を設けた形状であっても、荷台の底板によって上側開口部が覆われて、ダクトカバーへの埃や水分等の侵入を防止できると共に、ダクトカバーの車体前方側の開口部からのみの外気導入が可能となる。これにより、ダクトカバーの構成を簡略化することができ、その取付作業も簡単になる。
【0023】
第6の特徴によれば、ECUが略直方体の形状とされており、その面積が最も大きい面を車体前方側に向けて、ダクトカバーの内部で車体前方寄りの位置に配設されているので、ECUに外気が当たりやすくなり、ECUの冷却効果を高めることができる。
【0024】
第7の特徴によれば、車両は、複数のフレームパイプを組み合わせて構成された車体フレームを有する4輪車両であり、ダクトカバーは、車幅方向の最も外側に位置するフレームパイプより車幅方向内側の位置に配設されており、ECUは、ダクトカバーの内部で車幅方向外側寄りに配設されているので、ECUがエンジン熱の影響を受ける可能性をさらに低減しつつ、外部から力が加えられた際でもフレームパイプによってECUを保護することができる。
【0025】
第8の特徴によれば、ECUは、フレームパイプに取り付けられているので、重量物であるECUが車体フレーム側に支持されることにより、ECUの支持剛性を高めることができる。また、ダクトカバー側にECUを支持させる必要がないので、ダクトカバーの剛性を必要以上に高める必要がなく、ダクトカバーの軽量化を図ることができる。加えて、ECUを車体側に取り付けた状態でダクトカバーを取り付けることができるので、ダクトカバーを取り付ける際にECUの配線を曲げたりする必要がなく、組み立て性を向上させることができる。
【0026】
第9の特徴によれば、ECUは、車幅方向に配設される前記フレームパイプから下方に延出する取付ステーに対して、カバー部材を介して取り付けられているので、ECUに伝わる走行時の振動やエンジンの振動等を低減することが可能となる。
【0027】
第10の特徴によれば、ECUは、車体側面視でエンジンとオーバーラップする位置に配設されているので、エンジンにより近い位置にECUが配置されて、センサ類とECUとを連結する配線の長さをさらに低減することができる。
【0028】
第11の特徴によれば、スリットは、ECUより車幅方向内側に配設されているので、万一、スリットから水分や小さな異物や水分等が侵入した場合でも、これがECUに直接当たることを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両のECU配置構造を適用したMUVの左側面図である。
【図2】MUVの上面図である。
【図3】MUVの一部拡大斜視図である。
【図4】外装部品を取り外した状態のMUVの右側面図である。
【図5】外装部品を取り外した状態のMUVの上面図である。
【図6】車両後部の上面視拡大図である。
【図7】ダクトカバー取付部の拡大斜視図である。
【図8】図7の一部透視図である。
【図9】車体後方側から見たECUの取付状態図である。
【図10】ECUの取付ステーの斜視図である。
【図11】車体前方側から見たECUの取付状態図である。
【図12】ECUの取付ステーおよび吸気スリットの配置関係図である。
【図13】助手席を取り外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車両用スイッチの配置構造を適用した4輪車両1の側面図である。また、図2は、4輪車両1の上面図である。4輪車両1は、外部と遮蔽されない車室を有する2人乗りの多目的4輪車両(MUV:multi−utility vehicle)である。以下では、4輪車両1をMUV1と示すこともある。
【0031】
MUV1の車体フレーム2は、複数の鋼管(フレームパイプ)等を組み合わせて構成されている。車体フレーム2の車体後方側には、自動変速機が一体に設けられたエンジン7が取り付けられている。左右一対の前輪WFおよび後輪WRは、不図示のサスペンションアームと、前輪ショックアブソーバ8および後輪ショックアブソーバ9を介して車体フレーム2に支持されている。MUV1は4輪駆動車であり、エンジン7の駆動力は、後輪WRだけでなく、車体前後方向に配設されたプロペラシャフト(図3参照)36を介して前輪WFのディファレンシャルギヤにも伝達される。エンジン7の車体左側方には、マフラ16が配設されている。
【0032】
乗員用座席を構成する運転席18および助手席18aは、車体前後方向の略中央に配置されている。車体フレーム2には、車幅方向に並ぶ運転席18および助手席18aを支持するシートフレーム5が結合されている。シートフレーム5は、車幅方向に計4本が並んで配設されている。シートフレーム5の上方後方には、荷台14を支持するリヤフレーム6が結合されている。
【0033】
また、車体フレーム2の車幅方向中央には、車体前方に向かって前上がりに延びる補強フレーム4が設けられている。この補強フレーム4は、水平方向のフレームパイプと鉛直方向のフレームパイプとを筋交いを構成するように結合して、車体フレーム2の剛性を高めるものである。車体フレーム2の上部には、乗員の着座空間を確保するロールオーバーバー3が設けられており、車体前方側の端部にはバンパ10が結合されている。
【0034】
バンパ10の後方上方には、左右一対の前照灯12が取り付けられたフロントカバー11が配設されている。フロントカバー11の車幅方向左右には、操舵輪としての前輪WFを上方から覆うフロントフェンダ13が取り付けられている。また、荷台の車幅方向左右で後輪WRの上方には、リヤフェンダ15が取り付けられている。
【0035】
運転席18および助手席18aの車体前方側には、インストルメントパネル30およびハンドルコラム21からなる車体パネルが設けられている。インストルメントパネル30の車幅方向中央には、計器類や操作レバー等が配設されている。ステアリングホイール17のステアリングシャフト(不図示)を覆うハンドルコラム21は、インストルメントパネル30の車幅方向左方に、運転者側に向かって立設するように取り付けられている。また、運転席18と助手席18aとの間には、パーキングブレーキレバー19を支持するセンターコンソール48が形成されている。センターコンソール48の前方下方には、前記補強パイプ4やプロペラシャフト等を覆うフロアトンネル22が形成されている。運転席18および助手席18aの車幅方向外側には、車体前方側を軸にして開閉する乗降ドア20がそれぞれ取り付けられている。
【0036】
図3は、MUV1の一部拡大斜視図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。フロアトンネル22の車幅方向左右には、乗員の足乗せフロア23が形成されている。フロアトンネル22は、足乗せフロア23から車体上方に立設した形状とされており、このフロアトンネル22の内部に、略水平方向に指向するプロペラシャフト36、車体後方に向かって後ろ下がりに傾斜した補強フレーム4および該補強フレーム4に沿うように取り回されたメインハーネス24が配設されている。運転席18側の足乗せフロア23には、アクセルペダル25およびブレーキペダル26が設けられている。
【0037】
運転席18および助手席18aに対向するように配設されるインストルメントパネル30の車幅方向略中央には、速度計や距離計等を備えたメータ装置40および駆動力伝達装置を操作するための2本のレバーが設けられた突出部35が形成されている。車幅方向左側のシフトレバー31は、ドライブ(D)、リバース(R)、ニュートラル(N)、パーキング(P)を含むトランスミッションの作動状態を切り換えるための操作レバーであり、その右側に隣接するデフロックレバー32は、前後輪のディファレンシャルギアのロックとアンロックとを切り換えるための操作レバーである。
【0038】
突出部35の車幅方向左方には、ステアリングホイール17を支持するハンドルコラム21が車体後方に向かって立設している。このハンドルコラム21と突出部35との間には、前照灯12の作動状態を切り換えるライトスイッチおよびエンジンを始動するスタータスイッチを含むスイッチボックス70と、携帯キーと協働操作することで主電源のオンオフを切り換えるメインスイッチ33とが、上下に並んで配設されている。
【0039】
図4は、外装部品を取り外した状態のMUV1の右側面図である。また、図5は、外装部品を取り外した状態のMUV1の上面図、図6は、図5の一部拡大図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。なお、図4では、前後輪のホイールWF1,WR2を示している。
【0040】
ロールオーバーバー3の下端部は、乗員用座席の背部80に沿うように後傾してロアフレーム72に結合される後側支持パイプ37と、ステアリングホイール17の前方で前傾してロアフレーム72に結合される前側支持パイプ71とにそれぞれ連結されている。これにより、車体側面視でフレームパイプによるループが形成されることとなる。この車幅方向左右一対のループは、エンジン7の上方において車幅方向に延設する連結パイプ38等(図5参照)で互いに連結されている。
【0041】
ステアリングホイール17の車体前方側で、車幅方向中央の位置には、車載バッテリ62およびヒューズボックス等の電装部品を収納するバッテリボックス61が配設されている。バッテリボックス61は、乗員用座席より車体上方側の高い位置に配設されており、走行時のタイヤからの泥や水はね等から電装部品を保護しやすい。また、バッテリボックス61が、メータ装置40の車体前方側に近接配置されることにより、メータ装置40とバッテリボックス61との間の配線を短縮することができる。
【0042】
エンジン7は、車幅方向略中央で、運転席18および助手席18aの後方かつ下方の位置に配設されている。本実施形態では、エンジン7が、乗員用座席の座部81の後端部より車体後方側に配設されているが、例えば、エンジン7は、車体上面視で乗員用座席の座部81とオーバーラップするように配設してもよい。
【0043】
エンジン制御装置としてのECU66は、助手席18aの後方に配設されている。ECU66とバッテリボックス61との間は、複数の配線の束であるメインハーネス24で接続されている。メインハーネス24は、取り回しが簡単で、かつ全長が短いことが好ましい。本実施形態では、バッテリボックス61を車幅方向中央に配置すると共に、バッテリボックス61から伸びるメインハーネス24を、車幅方向中央を通して、車体後方側のECU66に接続するようにしたので、例えば、車幅方向外側に迂回させる構成に比して、メインハーネス24の全長を大幅に短縮することを可能としている。
【0044】
メインハーネス24は、バッテリボックス61から車体下方に伸ばされた後、補強フレーム4に支持されて車体後方下方へ導かれる。この補強フレーム4に沿った部分およびその後方の立ち上がり部分が、フロアトンネル22(図3参照)の内側に配設されることとなる。フロアトンネル22内で、補強フレーム4はプロペラシャフト36より車体上方に位置するので、メインハーネス24とプロペラシャフト36とが干渉することはない。
【0045】
フロアトンネル22内を通過したメインハーネス24は、シートフレーム5の高さにまで持ち上げられて、乗員用座席の下面に沿って車体後方側に配索される。そして、メインハーネス24は、シートフレーム5の後端部近傍でさらに上方に向けられて、助手席18aの車体後方に位置するECU66に接続されている。また、車体側面視でリヤフレーム6とオーバーラップする位置には、荷台14の底板14aが配設されている。
【0046】
図5を参照して、プロペラシャフト36は車幅方向中央に配設されており、補強フレーム4は、プロペラシャフト36より車幅方向右側に配設されている。助手席18aの下方には、燃料タンク64が配設されている。メインハーネス24は、補強フレーム4に沿って車体後方に導かれた後、燃料タンク64の後方で車幅方向右側に屈曲してECU66に接続される。エンジン7は、排気管65が接続される排気ポート(不図示)を車体前方側に向けて配置されている。車体前方側に延出する排気管65は、車幅方向左側で車体後方側に向けて湾曲されて、マフラ16に接続されている。
【0047】
エンジン7の後方側に設けられた吸気ポート(不図示)には吸気管43が接続されている。吸気管43には、吸気量を調整するスロットルバルブ(不図示)が収納されたスロットルボディ44が取り付けられている。吸気管43の後端部には、エアクリーナボックス45が接続されており、エアクリーナボックス45には、エアクリーナボックス45に外気を導入する吸気ダクト64の一端側が接続されている。
【0048】
吸気ダクト64は、エンジン7の車幅方向右側から車体前方側に延出されて、その他端側が、エンジン7の側部に設けられたダクトカバー68の後方側に挿入接続されている。吸気ダクト64の他端側には、ラビリンス構造を有する吸気蓋67が取り付けられている。ダクトカバー68には、車体前方側から車体上方側にかけて連続的な開口部68d(図13参照)が形成されており、その車体前方側は、車幅方向右側に位置する助手席18aの背部80に対向するように配置されている。そして、エンジン制御装置としてのECU66は、吸気蓋67の車体前方側でダクトカバー68の内部に配設されている。
【0049】
エンジン7の上方で車幅方向に指向する連結パイプ38は、車幅方向左右一対の後側支持パイプ37を、その上下方向略中央の位置で連結するように構成されている。ECU66は、この連結パイプ38に取付ステー52(図11参照)を介して固定されている。また、連結パイプ38と後側支持パイプ37との接続部の近傍には、ダクトカバー68の一部と重なるようにして車幅方向中央側に伸びる補強パイプ70が接続されている。
【0050】
図6を合わせて参照して、ECU66には、外部端末を接続してECU66の故障診断等を行うためのチェックカプラ41が接続されている。MUV1の荷台14には、その車体前方側の端部に、エンジン冷却水の補充口キャップ57にアクセスできる整備用窓49が設けられている。整備用窓49は、通常時には不図示の蓋部材で覆われている。配線42を介してECU66と接続されるチェックカプラ41は、整備用窓49の車幅方向略中間の位置に配設されている。
【0051】
吸気ダクト46には、吸気音の低減等の機能を有する2つの球形レゾネータ47が取り付けられている。前記したように、吸気ダクト46は、車幅方向右側から車体前方に延出して、ダクトカバー68の背面部に挿入接続されるように構成されている。ECU66およびダクトカバー68は、それぞれ独立して車体フレーム2側に固定されている。
【0052】
前記した車体フレーム2のうち、車幅方向で最も外側には、ロアフレーム72が配設されており、その内側に後側支持パイプ37やリヤフレーム6が配設されている。ダクトカバー68およびダクトカバー68に覆われるECU66は、各フレーム部材より車幅方向内側に配設されているので、車体外方から力が加えられた場合でもダクトカバー68およびECU66に影響がおよぶ可能性を低減することができる。
【0053】
図7は、ダクトカバー68の取り付け部分の拡大斜視図である。また、図8は、図7の一部透視図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。前記したように、樹脂等からなるダクトカバー68は、車体前方側から車体上方側にかけて連続的な開口部68a(図13参照)が形成された箱状部68aを有し、その車体後方側に吸気ダクト46が挿入接続される構成を有している。さらに、箱状部68aの下部には、燃料タンク64の後方側を保護する板状カバー部68bを一体に設けられている。箱状部68aの上端部には、補強パイプ70を通過させるための切欠部68cが形成されている。
【0054】
本実施形態に係るダクトカバー68は、車体上方側の開口部が荷台14の底板14a(図4,6参照)に近接配置されることで、車体上方側の開口部が蓋をされるように覆われる構造とされている。そして、詳細は後述するが、ダクトカバー68の車体前方側の開口部は、助手席18aの背面側に設けられてエンジン室と車室とを遮蔽する板部材としての遮蔽板に近接配置されることで蓋がされるように覆われて、エアクリーナボックス45への外気の導入は、主にこの遮蔽板に形成されたスリットから行われる。
【0055】
ECU66は、連結パイプ38に固定された取付ステー52に取り付けられている。ECU66には、配線54に連結されたコネクタ53が接続されている。配線54は、前記メインハーネス24に接続されている。
【0056】
ダクトカバー68の車幅方向内側には、車体上下方向に延設するフレームパイプ58が配設されている。また、燃料タンク64の後方には、車体上下方向に延設されてその上端を連結パイプ38、下端をロアフレーム73に連結するフレームパイプ59と、前記シートフレーム5(図4参照)とが車幅方向に並んで配設されている。ダクトカバー68の板状カバー部68b側は、シートフレーム5およびフレームパイプ59に対して、計4個の取付ネジ等の締結部材69によって固定されている。また、箱状部68a側は、取付ネジ等の締結部材39によって取付ステー52に固定されている。
【0057】
上記した構成によって、ECU66およびダクトカバー66は、それぞれ別個のフレームパイプに固定されることとなる。これにより、重量物であるECU66が車体フレーム2側に支持されて、ECU66の支持剛性が高められる。また、ダクトカバー68にECU66を支持させる剛性が不要となるので、ダクトカバー68の軽量化を図ることができる。加えて、ECU66を車体側に取り付けた状態でダクトカバー68を取り付けることができるので、ダクトカバー68を取り付ける際にECU66の配線を曲げたりする必要がなく、組み立て性を向上させることができる。
【0058】
図9は、車体後方側から見たECU66の取付状態図である。また、図10は、ECU66の取付ステー52の斜視図であり、図11は、車体前方側から見たECU66の取付状態図である。ECU66は、樹脂等で形成されたカバー部材50に保持されており、カバー部材50の車体上下方向に形成された取付部50aおよび50bによって取付ステー52に保持されている。取付部50a,50bには、取付ステー52に形成された差込突起52a,52bが挿入されるスリット(不図示)が形成されている。
【0059】
図10を参照して、取付ステー52は、鋼板等で形成されており、本実施形態では、その上端部を連結パイプ38の下面に溶接することで固定されている。取付ステー52の上下には、前記取付部50a,50bのスリットに挿入する差込突起52a,52bが形成されている。また、取付ステー52の側部には、前記ダクトカバー68の締結部材39が係合する係合孔52bが形成されている。
【0060】
図11を参照して、取付ステー52およびこれに保持されるECU66は、前記後側支持パイプ37の近傍、換言すれば、車幅方向外側寄りの位置に配設されている。これにより、ECU66がエンジン熱の影響を受ける可能性をさらに低減しつつ、外部から力が加えられた際でも後側支持パイプ37等のフレームパイプによってECU66を保護することが可能となる。また、略直方体のECU66は、その面積が最も大きい面を車体前方側に向けて配設されている。これにより、ダクトカバー68の開口部から導入される外気による冷却効果を高めることが可能となる。さらに、取付ステー52には、上から、大、中、小の貫通孔が設けられ、外気が直接ECU66に当たる面積の拡大が図られている。
【0061】
図12は、ECU66の取付ステー52および吸気スリット55の配置関係図である。また、図13は、助手席18aを取り外した状態を示す斜視図である。前記と同一記号は、同一または同等部分を示す。助手席18aは、台座部57に取り付けられる。運転席18および助手席18aの背面側には、エンジン室と車室とを分ける遮蔽板56が設けられている。この遮蔽板56に、ダクトカバー68に外気を導入するためのスリット55が形成されている。ダクトカバー68は、その開口部68dの車体前方側が遮蔽盤56に近接配置するように取り付けられている。これにより、開口部68dが蓋をされるように覆われることとなり、外気導入を主にスリット55によって行うことが可能となる。
【0062】
また、スリット55は、図13に示すように、取付ステー52より車幅方向内側に配設されている。これにより、万一、スリット55から水分や小さな異物や水分等が侵入した場合でも、これがECU66に直接当たることを防ぐことが可能となる。
【0063】
なお、ダクトカバー、吸気ダクト、ECU、取付ステー、車体フレーム、乗員用シート、遮蔽板、遮蔽板に形成されるスリットの形状や構造、ダクトカバーの開口部の形状、エンジンの配置等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ダクトカバーの車体前方側および車体上方側に連続的な開口部が設けられていたが、開口部は、車体前方側のみに設けてもよい。また、ダクトカバーを車幅方向左側に配設して、運転席の後部から外気導入を行うように構成してもよい。本発明に係る車両のECU配置構造は、座部と背部からなる乗員用座席を有する種々の三輪車や四輪車等に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…MUV(車両)、2…車体フレーム、7…エンジン、14…荷台、17…ステアリングホイール、18…運転席(乗員用座席)、18a…助手席(乗員用座席)、24…メインハーネス、36…プロペラシャフト、37…後側支持パイプ、38…連結パイプ、40…メータ装置、45…エアクリーナボックス、52…取付ステー、64…吸気ダクト、66…ECU、68…ダクトカバー、68a…箱状部、68b…板状カバー部、68d…開口部、55…スリット、56…遮蔽板(板部材)、72…ロアフレーム、14a…荷台の底板、80…背部、81…座部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のECU配置構造に係り、特に、外部と遮蔽されない車室を有する3輪または4輪車両に適した車両のECU配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の制御装置としてのECU(エンジン・コントロール・ユニット)が知られている。ECUには、エンジンに取り付けられた各種センサの出力信号を入力するための配線が多数接続されるので、ECUとエンジンとを離間させるほど、この配線が長くなって、車重や組み付け工数等が増大することとなる。そこで、配線の長さを抑えるためにECUをエンジンの近傍に配置することが考えられるが、これによって精密機器であるECUがエンジン熱の影響を受けないように配慮する必要があった。
【0003】
特許文献1には、エンジンの上部にエアクリーナボックスが設けられた自動二輪車において、エアクリーナボックスの内部にECUを配置することで、エンジン熱の影響を避けつつエンジンの近傍にECUを配置するようにした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4202610号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、外部と遮蔽されない車室を有し、荒れ地等の走行に適した多目的四輪車両:MUV(マルチ・ユーティリティ・ビークル)においては、車室の下方等にエンジンが配置され、エンジンの車体後方側にエアクリーナボックスが配置されることが多い。このような配置においては、走行時に車体後方側に流れるエンジン熱によってエアクリーナボックス廻りの温度が高くなるので、上記したMUVに対して、特許文献1に記載された技術をそのまま適用し、エアクリーナボックスの内部にECUを配置することは難しかった。また、エアクリーナボックスの内部にECUを配置すると、エアクリーナボックスの実容量も減少してしまうので、実容量を確保しなければならないという課題もあった。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、ECUに接続される配線を短縮し、かつECUへの熱的影響を防ぐことができ、さらにはECUの冷却効果が高められる車両のECU配置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、エンジンの車体後方側に吸気通路を介してエアクリーナボックスが取り付けられ、該エアクリーナボックスに接続された吸気ダクトから外気を導入するようにした車両のECU配置構造において、前記吸気ダクトは、その一端側が前記エアクリーナボックスに接続されると共に、該エアクリーナボックスから車体前方側に延ばした形状とされており、少なくとも車体前方側に開口部が形成された箱状部を含むと共に、該箱状部の車体後方側に前記吸気ダクトの他端側が接続されるダクトカバーを具備し、該ダクトカバーを前記エンジンの側部に位置させると共に、エンジン制御装置としてのECUを、前記ダクトカバーの内部に配置した点に第1の特徴がある。
【0008】
また、 前記車両は、外部と遮蔽されない車室を有する多目的四輪車両であって、前記車両の車体前後方向略中央に乗員用座席が設けられ、前記エンジンは、前記乗員用座席の後方かつ下方の位置に配設されており、前記ダクトカバーの車体前方側の開口部は、前記乗員用座席の背部に対向するように設けられている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記乗員用座席は、車幅方向に並ぶ運転席および助手席からなり、前記ダクトカバーの車体前方側の開口部は、前記運転席または助手席のいずれかの背部に対向するように設けられている点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記乗員用座席の背部に対向するように配置され、かつ複数のスリットが形成された板部材を具備し、前記ダクトカバーは、前記板部材の車体後方側に近接配置されている点に第4の特徴がある。
【0011】
また、前記ダクトカバーの開口部は、車体前方側から車体上方側にかけて連続的に形成されており、前記車体前方側の開口部は、前記板部材に近接配置され、車体上方側の開口部は、前記車両の荷台の底板に近接配置されている点に第5の特徴がある。
【0012】
また、前記ECUが、略直方体の形状とされており、その面積が最も大きい面を車体前方側に向けて、前記ダクトカバーの内部で車体前方寄りの位置に配設されている点に第6の特徴がある。
【0013】
また、前記車両は、複数のフレームパイプを組み合わせて構成された車体フレームを有する4輪車両であり、前記ダクトカバーは、車幅方向の最も外側に位置するフレームパイプより車幅方向内側の位置に配設されており、前記ECUは、前記ダクトカバーの内部で車幅方向外側寄りに配設されている点に第7の特徴がある。
【0014】
また、前記ECUは、前記フレームパイプに取り付けられている点に第8の特徴がある。
【0015】
また、前記ECUは、車幅方向に配設される前記フレームパイプから下方に延出する取付ステーに対して、カバー部材を介して取り付けられている点に第9の特徴がある。
【0016】
また、前記ECUは、車体側面視で前記エンジンとオーバーラップする位置に配設されている点に第10の特徴がある。
【0017】
さらに、前記スリットは、前記ECUより車幅方向内側に配設されている点に第11の特徴がある。
【発明の効果】
【0018】
第1の特徴によれば、吸気ダクトは、その一端側がエアクリーナボックスに接続されると共に、該エアクリーナボックスから車体前方側に延ばした形状とされており、少なくとも車体前方側に開口部が形成された箱状部を含むと共に、該箱状部の車体後方側に吸気ダクトの他端側が接続されるダクトカバーを具備し、該ダクトカバーをエンジンの側部に位置させると共に、エンジン制御装置としてのECUを、ダクトカバーの内部に配置したので、ECUがエンジンの熱の影響を受けにくくなり、かつエアクリーナボックスへの外気導入の流れによってECUを積極的に冷却することができる。これにより、エンジンの近くにECUを配置することが可能となり、エンジンに取り付けられたセンサ類とECUとを連結する配線の長さを低減することができる。さらに、エアクリーナボックスとは別体のダクトカバーの内部にECUを配置したので、エアクリーナボックスの容量確保が容易となる。
【0019】
第2の特徴によれば、車両の車体前後方向略中央に乗員用座席が設けられ、エンジンは、乗員用座席の後方かつ下方の位置に配設されており、ダクトカバーの車体前方側の開口部は、乗員用座席の背部に対向するように設けられているので、乗員用座席の背部によって、ダクトカバーへの水や埃等の侵入を防ぐことが可能となり、ECUの保護効果を高めることができる。さらに、ダクトカバーの開口部を乗員用座席の背部に対向させたので、座席のシート高が高くなるのを防ぐことができる。
【0020】
第3の特徴によれば、乗員用座席は、車幅方向に並ぶ運転席および助手席からなり、ダクトカバーの車体前方側の開口部は、運転席または助手席のいずれかの背部に対向するように設けられているので、車幅方向左右のいずれかにオフセットした位置にダクトカバーを配設することが可能となる。これにより、例えば、エンジンが車幅方向中央に配設されるレイアウトにおいて、エンジンの車幅方向左右いずれかのスペースを有効利用してダクトカバーおよびECUを配設することができる。
【0021】
第4の特徴によれば、乗員用座席の背部に対向するように配置され、かつ複数のスリットが形成された板部材を具備し、ダクトカバーは板部材の車体後方側に近接配置されているので、例えば、エンジン室と車室とを分ける遮蔽板に設けられたスリットから外気を導入することが可能となる。また、ダクトカバーの車体前方側の開口部への異物等の侵入を防止できる。
【0022】
第5の特徴によれば、ダクトカバーの開口部は、車体前方側から車体上方側にかけて連続的に形成されており、車体前方側の開口部は板部材に近接配置され、車体上方側の開口部は車両の荷台の底板に近接配置されているので、ダクトカバーの車体上方側に開口部を設けた形状であっても、荷台の底板によって上側開口部が覆われて、ダクトカバーへの埃や水分等の侵入を防止できると共に、ダクトカバーの車体前方側の開口部からのみの外気導入が可能となる。これにより、ダクトカバーの構成を簡略化することができ、その取付作業も簡単になる。
【0023】
第6の特徴によれば、ECUが略直方体の形状とされており、その面積が最も大きい面を車体前方側に向けて、ダクトカバーの内部で車体前方寄りの位置に配設されているので、ECUに外気が当たりやすくなり、ECUの冷却効果を高めることができる。
【0024】
第7の特徴によれば、車両は、複数のフレームパイプを組み合わせて構成された車体フレームを有する4輪車両であり、ダクトカバーは、車幅方向の最も外側に位置するフレームパイプより車幅方向内側の位置に配設されており、ECUは、ダクトカバーの内部で車幅方向外側寄りに配設されているので、ECUがエンジン熱の影響を受ける可能性をさらに低減しつつ、外部から力が加えられた際でもフレームパイプによってECUを保護することができる。
【0025】
第8の特徴によれば、ECUは、フレームパイプに取り付けられているので、重量物であるECUが車体フレーム側に支持されることにより、ECUの支持剛性を高めることができる。また、ダクトカバー側にECUを支持させる必要がないので、ダクトカバーの剛性を必要以上に高める必要がなく、ダクトカバーの軽量化を図ることができる。加えて、ECUを車体側に取り付けた状態でダクトカバーを取り付けることができるので、ダクトカバーを取り付ける際にECUの配線を曲げたりする必要がなく、組み立て性を向上させることができる。
【0026】
第9の特徴によれば、ECUは、車幅方向に配設される前記フレームパイプから下方に延出する取付ステーに対して、カバー部材を介して取り付けられているので、ECUに伝わる走行時の振動やエンジンの振動等を低減することが可能となる。
【0027】
第10の特徴によれば、ECUは、車体側面視でエンジンとオーバーラップする位置に配設されているので、エンジンにより近い位置にECUが配置されて、センサ類とECUとを連結する配線の長さをさらに低減することができる。
【0028】
第11の特徴によれば、スリットは、ECUより車幅方向内側に配設されているので、万一、スリットから水分や小さな異物や水分等が侵入した場合でも、これがECUに直接当たることを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両のECU配置構造を適用したMUVの左側面図である。
【図2】MUVの上面図である。
【図3】MUVの一部拡大斜視図である。
【図4】外装部品を取り外した状態のMUVの右側面図である。
【図5】外装部品を取り外した状態のMUVの上面図である。
【図6】車両後部の上面視拡大図である。
【図7】ダクトカバー取付部の拡大斜視図である。
【図8】図7の一部透視図である。
【図9】車体後方側から見たECUの取付状態図である。
【図10】ECUの取付ステーの斜視図である。
【図11】車体前方側から見たECUの取付状態図である。
【図12】ECUの取付ステーおよび吸気スリットの配置関係図である。
【図13】助手席を取り外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車両用スイッチの配置構造を適用した4輪車両1の側面図である。また、図2は、4輪車両1の上面図である。4輪車両1は、外部と遮蔽されない車室を有する2人乗りの多目的4輪車両(MUV:multi−utility vehicle)である。以下では、4輪車両1をMUV1と示すこともある。
【0031】
MUV1の車体フレーム2は、複数の鋼管(フレームパイプ)等を組み合わせて構成されている。車体フレーム2の車体後方側には、自動変速機が一体に設けられたエンジン7が取り付けられている。左右一対の前輪WFおよび後輪WRは、不図示のサスペンションアームと、前輪ショックアブソーバ8および後輪ショックアブソーバ9を介して車体フレーム2に支持されている。MUV1は4輪駆動車であり、エンジン7の駆動力は、後輪WRだけでなく、車体前後方向に配設されたプロペラシャフト(図3参照)36を介して前輪WFのディファレンシャルギヤにも伝達される。エンジン7の車体左側方には、マフラ16が配設されている。
【0032】
乗員用座席を構成する運転席18および助手席18aは、車体前後方向の略中央に配置されている。車体フレーム2には、車幅方向に並ぶ運転席18および助手席18aを支持するシートフレーム5が結合されている。シートフレーム5は、車幅方向に計4本が並んで配設されている。シートフレーム5の上方後方には、荷台14を支持するリヤフレーム6が結合されている。
【0033】
また、車体フレーム2の車幅方向中央には、車体前方に向かって前上がりに延びる補強フレーム4が設けられている。この補強フレーム4は、水平方向のフレームパイプと鉛直方向のフレームパイプとを筋交いを構成するように結合して、車体フレーム2の剛性を高めるものである。車体フレーム2の上部には、乗員の着座空間を確保するロールオーバーバー3が設けられており、車体前方側の端部にはバンパ10が結合されている。
【0034】
バンパ10の後方上方には、左右一対の前照灯12が取り付けられたフロントカバー11が配設されている。フロントカバー11の車幅方向左右には、操舵輪としての前輪WFを上方から覆うフロントフェンダ13が取り付けられている。また、荷台の車幅方向左右で後輪WRの上方には、リヤフェンダ15が取り付けられている。
【0035】
運転席18および助手席18aの車体前方側には、インストルメントパネル30およびハンドルコラム21からなる車体パネルが設けられている。インストルメントパネル30の車幅方向中央には、計器類や操作レバー等が配設されている。ステアリングホイール17のステアリングシャフト(不図示)を覆うハンドルコラム21は、インストルメントパネル30の車幅方向左方に、運転者側に向かって立設するように取り付けられている。また、運転席18と助手席18aとの間には、パーキングブレーキレバー19を支持するセンターコンソール48が形成されている。センターコンソール48の前方下方には、前記補強パイプ4やプロペラシャフト等を覆うフロアトンネル22が形成されている。運転席18および助手席18aの車幅方向外側には、車体前方側を軸にして開閉する乗降ドア20がそれぞれ取り付けられている。
【0036】
図3は、MUV1の一部拡大斜視図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。フロアトンネル22の車幅方向左右には、乗員の足乗せフロア23が形成されている。フロアトンネル22は、足乗せフロア23から車体上方に立設した形状とされており、このフロアトンネル22の内部に、略水平方向に指向するプロペラシャフト36、車体後方に向かって後ろ下がりに傾斜した補強フレーム4および該補強フレーム4に沿うように取り回されたメインハーネス24が配設されている。運転席18側の足乗せフロア23には、アクセルペダル25およびブレーキペダル26が設けられている。
【0037】
運転席18および助手席18aに対向するように配設されるインストルメントパネル30の車幅方向略中央には、速度計や距離計等を備えたメータ装置40および駆動力伝達装置を操作するための2本のレバーが設けられた突出部35が形成されている。車幅方向左側のシフトレバー31は、ドライブ(D)、リバース(R)、ニュートラル(N)、パーキング(P)を含むトランスミッションの作動状態を切り換えるための操作レバーであり、その右側に隣接するデフロックレバー32は、前後輪のディファレンシャルギアのロックとアンロックとを切り換えるための操作レバーである。
【0038】
突出部35の車幅方向左方には、ステアリングホイール17を支持するハンドルコラム21が車体後方に向かって立設している。このハンドルコラム21と突出部35との間には、前照灯12の作動状態を切り換えるライトスイッチおよびエンジンを始動するスタータスイッチを含むスイッチボックス70と、携帯キーと協働操作することで主電源のオンオフを切り換えるメインスイッチ33とが、上下に並んで配設されている。
【0039】
図4は、外装部品を取り外した状態のMUV1の右側面図である。また、図5は、外装部品を取り外した状態のMUV1の上面図、図6は、図5の一部拡大図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。なお、図4では、前後輪のホイールWF1,WR2を示している。
【0040】
ロールオーバーバー3の下端部は、乗員用座席の背部80に沿うように後傾してロアフレーム72に結合される後側支持パイプ37と、ステアリングホイール17の前方で前傾してロアフレーム72に結合される前側支持パイプ71とにそれぞれ連結されている。これにより、車体側面視でフレームパイプによるループが形成されることとなる。この車幅方向左右一対のループは、エンジン7の上方において車幅方向に延設する連結パイプ38等(図5参照)で互いに連結されている。
【0041】
ステアリングホイール17の車体前方側で、車幅方向中央の位置には、車載バッテリ62およびヒューズボックス等の電装部品を収納するバッテリボックス61が配設されている。バッテリボックス61は、乗員用座席より車体上方側の高い位置に配設されており、走行時のタイヤからの泥や水はね等から電装部品を保護しやすい。また、バッテリボックス61が、メータ装置40の車体前方側に近接配置されることにより、メータ装置40とバッテリボックス61との間の配線を短縮することができる。
【0042】
エンジン7は、車幅方向略中央で、運転席18および助手席18aの後方かつ下方の位置に配設されている。本実施形態では、エンジン7が、乗員用座席の座部81の後端部より車体後方側に配設されているが、例えば、エンジン7は、車体上面視で乗員用座席の座部81とオーバーラップするように配設してもよい。
【0043】
エンジン制御装置としてのECU66は、助手席18aの後方に配設されている。ECU66とバッテリボックス61との間は、複数の配線の束であるメインハーネス24で接続されている。メインハーネス24は、取り回しが簡単で、かつ全長が短いことが好ましい。本実施形態では、バッテリボックス61を車幅方向中央に配置すると共に、バッテリボックス61から伸びるメインハーネス24を、車幅方向中央を通して、車体後方側のECU66に接続するようにしたので、例えば、車幅方向外側に迂回させる構成に比して、メインハーネス24の全長を大幅に短縮することを可能としている。
【0044】
メインハーネス24は、バッテリボックス61から車体下方に伸ばされた後、補強フレーム4に支持されて車体後方下方へ導かれる。この補強フレーム4に沿った部分およびその後方の立ち上がり部分が、フロアトンネル22(図3参照)の内側に配設されることとなる。フロアトンネル22内で、補強フレーム4はプロペラシャフト36より車体上方に位置するので、メインハーネス24とプロペラシャフト36とが干渉することはない。
【0045】
フロアトンネル22内を通過したメインハーネス24は、シートフレーム5の高さにまで持ち上げられて、乗員用座席の下面に沿って車体後方側に配索される。そして、メインハーネス24は、シートフレーム5の後端部近傍でさらに上方に向けられて、助手席18aの車体後方に位置するECU66に接続されている。また、車体側面視でリヤフレーム6とオーバーラップする位置には、荷台14の底板14aが配設されている。
【0046】
図5を参照して、プロペラシャフト36は車幅方向中央に配設されており、補強フレーム4は、プロペラシャフト36より車幅方向右側に配設されている。助手席18aの下方には、燃料タンク64が配設されている。メインハーネス24は、補強フレーム4に沿って車体後方に導かれた後、燃料タンク64の後方で車幅方向右側に屈曲してECU66に接続される。エンジン7は、排気管65が接続される排気ポート(不図示)を車体前方側に向けて配置されている。車体前方側に延出する排気管65は、車幅方向左側で車体後方側に向けて湾曲されて、マフラ16に接続されている。
【0047】
エンジン7の後方側に設けられた吸気ポート(不図示)には吸気管43が接続されている。吸気管43には、吸気量を調整するスロットルバルブ(不図示)が収納されたスロットルボディ44が取り付けられている。吸気管43の後端部には、エアクリーナボックス45が接続されており、エアクリーナボックス45には、エアクリーナボックス45に外気を導入する吸気ダクト64の一端側が接続されている。
【0048】
吸気ダクト64は、エンジン7の車幅方向右側から車体前方側に延出されて、その他端側が、エンジン7の側部に設けられたダクトカバー68の後方側に挿入接続されている。吸気ダクト64の他端側には、ラビリンス構造を有する吸気蓋67が取り付けられている。ダクトカバー68には、車体前方側から車体上方側にかけて連続的な開口部68d(図13参照)が形成されており、その車体前方側は、車幅方向右側に位置する助手席18aの背部80に対向するように配置されている。そして、エンジン制御装置としてのECU66は、吸気蓋67の車体前方側でダクトカバー68の内部に配設されている。
【0049】
エンジン7の上方で車幅方向に指向する連結パイプ38は、車幅方向左右一対の後側支持パイプ37を、その上下方向略中央の位置で連結するように構成されている。ECU66は、この連結パイプ38に取付ステー52(図11参照)を介して固定されている。また、連結パイプ38と後側支持パイプ37との接続部の近傍には、ダクトカバー68の一部と重なるようにして車幅方向中央側に伸びる補強パイプ70が接続されている。
【0050】
図6を合わせて参照して、ECU66には、外部端末を接続してECU66の故障診断等を行うためのチェックカプラ41が接続されている。MUV1の荷台14には、その車体前方側の端部に、エンジン冷却水の補充口キャップ57にアクセスできる整備用窓49が設けられている。整備用窓49は、通常時には不図示の蓋部材で覆われている。配線42を介してECU66と接続されるチェックカプラ41は、整備用窓49の車幅方向略中間の位置に配設されている。
【0051】
吸気ダクト46には、吸気音の低減等の機能を有する2つの球形レゾネータ47が取り付けられている。前記したように、吸気ダクト46は、車幅方向右側から車体前方に延出して、ダクトカバー68の背面部に挿入接続されるように構成されている。ECU66およびダクトカバー68は、それぞれ独立して車体フレーム2側に固定されている。
【0052】
前記した車体フレーム2のうち、車幅方向で最も外側には、ロアフレーム72が配設されており、その内側に後側支持パイプ37やリヤフレーム6が配設されている。ダクトカバー68およびダクトカバー68に覆われるECU66は、各フレーム部材より車幅方向内側に配設されているので、車体外方から力が加えられた場合でもダクトカバー68およびECU66に影響がおよぶ可能性を低減することができる。
【0053】
図7は、ダクトカバー68の取り付け部分の拡大斜視図である。また、図8は、図7の一部透視図である。前記と同一符号は、同一または同等部分を示す。前記したように、樹脂等からなるダクトカバー68は、車体前方側から車体上方側にかけて連続的な開口部68a(図13参照)が形成された箱状部68aを有し、その車体後方側に吸気ダクト46が挿入接続される構成を有している。さらに、箱状部68aの下部には、燃料タンク64の後方側を保護する板状カバー部68bを一体に設けられている。箱状部68aの上端部には、補強パイプ70を通過させるための切欠部68cが形成されている。
【0054】
本実施形態に係るダクトカバー68は、車体上方側の開口部が荷台14の底板14a(図4,6参照)に近接配置されることで、車体上方側の開口部が蓋をされるように覆われる構造とされている。そして、詳細は後述するが、ダクトカバー68の車体前方側の開口部は、助手席18aの背面側に設けられてエンジン室と車室とを遮蔽する板部材としての遮蔽板に近接配置されることで蓋がされるように覆われて、エアクリーナボックス45への外気の導入は、主にこの遮蔽板に形成されたスリットから行われる。
【0055】
ECU66は、連結パイプ38に固定された取付ステー52に取り付けられている。ECU66には、配線54に連結されたコネクタ53が接続されている。配線54は、前記メインハーネス24に接続されている。
【0056】
ダクトカバー68の車幅方向内側には、車体上下方向に延設するフレームパイプ58が配設されている。また、燃料タンク64の後方には、車体上下方向に延設されてその上端を連結パイプ38、下端をロアフレーム73に連結するフレームパイプ59と、前記シートフレーム5(図4参照)とが車幅方向に並んで配設されている。ダクトカバー68の板状カバー部68b側は、シートフレーム5およびフレームパイプ59に対して、計4個の取付ネジ等の締結部材69によって固定されている。また、箱状部68a側は、取付ネジ等の締結部材39によって取付ステー52に固定されている。
【0057】
上記した構成によって、ECU66およびダクトカバー66は、それぞれ別個のフレームパイプに固定されることとなる。これにより、重量物であるECU66が車体フレーム2側に支持されて、ECU66の支持剛性が高められる。また、ダクトカバー68にECU66を支持させる剛性が不要となるので、ダクトカバー68の軽量化を図ることができる。加えて、ECU66を車体側に取り付けた状態でダクトカバー68を取り付けることができるので、ダクトカバー68を取り付ける際にECU66の配線を曲げたりする必要がなく、組み立て性を向上させることができる。
【0058】
図9は、車体後方側から見たECU66の取付状態図である。また、図10は、ECU66の取付ステー52の斜視図であり、図11は、車体前方側から見たECU66の取付状態図である。ECU66は、樹脂等で形成されたカバー部材50に保持されており、カバー部材50の車体上下方向に形成された取付部50aおよび50bによって取付ステー52に保持されている。取付部50a,50bには、取付ステー52に形成された差込突起52a,52bが挿入されるスリット(不図示)が形成されている。
【0059】
図10を参照して、取付ステー52は、鋼板等で形成されており、本実施形態では、その上端部を連結パイプ38の下面に溶接することで固定されている。取付ステー52の上下には、前記取付部50a,50bのスリットに挿入する差込突起52a,52bが形成されている。また、取付ステー52の側部には、前記ダクトカバー68の締結部材39が係合する係合孔52bが形成されている。
【0060】
図11を参照して、取付ステー52およびこれに保持されるECU66は、前記後側支持パイプ37の近傍、換言すれば、車幅方向外側寄りの位置に配設されている。これにより、ECU66がエンジン熱の影響を受ける可能性をさらに低減しつつ、外部から力が加えられた際でも後側支持パイプ37等のフレームパイプによってECU66を保護することが可能となる。また、略直方体のECU66は、その面積が最も大きい面を車体前方側に向けて配設されている。これにより、ダクトカバー68の開口部から導入される外気による冷却効果を高めることが可能となる。さらに、取付ステー52には、上から、大、中、小の貫通孔が設けられ、外気が直接ECU66に当たる面積の拡大が図られている。
【0061】
図12は、ECU66の取付ステー52および吸気スリット55の配置関係図である。また、図13は、助手席18aを取り外した状態を示す斜視図である。前記と同一記号は、同一または同等部分を示す。助手席18aは、台座部57に取り付けられる。運転席18および助手席18aの背面側には、エンジン室と車室とを分ける遮蔽板56が設けられている。この遮蔽板56に、ダクトカバー68に外気を導入するためのスリット55が形成されている。ダクトカバー68は、その開口部68dの車体前方側が遮蔽盤56に近接配置するように取り付けられている。これにより、開口部68dが蓋をされるように覆われることとなり、外気導入を主にスリット55によって行うことが可能となる。
【0062】
また、スリット55は、図13に示すように、取付ステー52より車幅方向内側に配設されている。これにより、万一、スリット55から水分や小さな異物や水分等が侵入した場合でも、これがECU66に直接当たることを防ぐことが可能となる。
【0063】
なお、ダクトカバー、吸気ダクト、ECU、取付ステー、車体フレーム、乗員用シート、遮蔽板、遮蔽板に形成されるスリットの形状や構造、ダクトカバーの開口部の形状、エンジンの配置等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ダクトカバーの車体前方側および車体上方側に連続的な開口部が設けられていたが、開口部は、車体前方側のみに設けてもよい。また、ダクトカバーを車幅方向左側に配設して、運転席の後部から外気導入を行うように構成してもよい。本発明に係る車両のECU配置構造は、座部と背部からなる乗員用座席を有する種々の三輪車や四輪車等に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…MUV(車両)、2…車体フレーム、7…エンジン、14…荷台、17…ステアリングホイール、18…運転席(乗員用座席)、18a…助手席(乗員用座席)、24…メインハーネス、36…プロペラシャフト、37…後側支持パイプ、38…連結パイプ、40…メータ装置、45…エアクリーナボックス、52…取付ステー、64…吸気ダクト、66…ECU、68…ダクトカバー、68a…箱状部、68b…板状カバー部、68d…開口部、55…スリット、56…遮蔽板(板部材)、72…ロアフレーム、14a…荷台の底板、80…背部、81…座部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(7)の車体後方側に吸気通路(43,44)を介してエアクリーナボックス(45)が取り付けられ、該エアクリーナボックス(45)に接続された吸気ダクト(46)から外気を導入するようにした車両のECU配置構造において、
前記吸気ダクト(46)は、その一端側が前記エアクリーナボックス(45)に接続されると共に、該エアクリーナボックス(45)から車体前方側に延ばした形状とされており、
少なくとも車体前方側に開口部(59)が形成された箱状部(68a)を含むと共に、該箱状部(68a)の車体後方側に前記吸気ダクト(46)の他端側が接続されるダクトカバー(68)を具備し、
該ダクトカバーを前記エンジンの側部に位置させると共に、エンジン制御装置としてのECU(66)を、前記ダクトカバー(68)の内部に配置したことを特徴とする車両のECU配置構造。
【請求項2】
前記車両は、外部と遮蔽されない車室を有する多目的四輪車両(1)であって、前記車両の車体前後方向略中央に乗員用座席(18,18a)が設けられ、
前記エンジン(7)は、前記乗員用座席の後方かつ下方の位置に配設されており、
前記ダクトカバー(68)の車体前方側の開口部(59)は、前記乗員用座席の背部(80)に対向するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両のECU配置構造。
【請求項3】
前記乗員用座席は、車幅方向に並ぶ運転席(18a)および助手席(18)からなり、
前記ダクトカバー(68)の車体前方側の開口部(59)は、前記運転席(18a)または助手席(18)のいずれかの背部(80)に対向するように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両のECU配置構造。
【請求項4】
前記乗員用座席(18,18a)の背部(80)に対向するように配置され、かつ複数のスリット(55)が形成された板部材(56)を具備し、
前記ダクトカバー(68)は、前記板部材(56)の車体後方側に近接配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両のECU配置構造。
【請求項5】
前記ダクトカバー(68)の開口部(59)は、車体前方側から車体上方側にかけて連続的に形成されており、
前記車体前方側の開口部(59)は、前記板部材(56)に近接配置され、
車体上方側の開口部(59)は、前記車両の荷台(14)の底板(14a)に近接配置されていることを特徴とする請求項4に記載の車両のECU配置構造。
【請求項6】
前記ECU(66)が、略直方体の形状とされており、その面積が最も大きい面を車体前方側に向けて、前記ダクトカバー(68)の内部で車体前方寄りの位置に配設されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の車両のECU配置構造。
【請求項7】
前記車両は、複数のフレームパイプを組み合わせて構成された車体フレーム(2)を有する4輪車両であり、
前記ダクトカバー(68)は、車幅方向の最も外側に位置するフレームパイプ(37)より車幅方向内側の位置に配設されており、
前記ECU(66)は、前記ダクトカバー(68)の内部で車幅方向外側寄りに配設されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の車両のECU配置構造。
【請求項8】
前記ECU(66)は、前記フレームパイプ(38)に取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載の車両のECU配置構造。
【請求項9】
前記ECU(66)は、車幅方向に配設される前記フレームパイプ(38)から下方に延出する取付ステー(52)に対して、カバー部材(50)を介して取り付けられていることを特徴とする請求項7または8に記載の車両のECU配置構造。
【請求項10】
前記ECU(66)は、車体側面視で前記エンジン(7)とオーバーラップする位置に配設されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の車両のECU配置構造。
【請求項11】
前記スリット(55)は、前記ECU(66)より車幅方向内側に配設されていることを特徴とする請求項4に記載のECU配置構造。
【請求項1】
エンジン(7)の車体後方側に吸気通路(43,44)を介してエアクリーナボックス(45)が取り付けられ、該エアクリーナボックス(45)に接続された吸気ダクト(46)から外気を導入するようにした車両のECU配置構造において、
前記吸気ダクト(46)は、その一端側が前記エアクリーナボックス(45)に接続されると共に、該エアクリーナボックス(45)から車体前方側に延ばした形状とされており、
少なくとも車体前方側に開口部(59)が形成された箱状部(68a)を含むと共に、該箱状部(68a)の車体後方側に前記吸気ダクト(46)の他端側が接続されるダクトカバー(68)を具備し、
該ダクトカバーを前記エンジンの側部に位置させると共に、エンジン制御装置としてのECU(66)を、前記ダクトカバー(68)の内部に配置したことを特徴とする車両のECU配置構造。
【請求項2】
前記車両は、外部と遮蔽されない車室を有する多目的四輪車両(1)であって、前記車両の車体前後方向略中央に乗員用座席(18,18a)が設けられ、
前記エンジン(7)は、前記乗員用座席の後方かつ下方の位置に配設されており、
前記ダクトカバー(68)の車体前方側の開口部(59)は、前記乗員用座席の背部(80)に対向するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両のECU配置構造。
【請求項3】
前記乗員用座席は、車幅方向に並ぶ運転席(18a)および助手席(18)からなり、
前記ダクトカバー(68)の車体前方側の開口部(59)は、前記運転席(18a)または助手席(18)のいずれかの背部(80)に対向するように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両のECU配置構造。
【請求項4】
前記乗員用座席(18,18a)の背部(80)に対向するように配置され、かつ複数のスリット(55)が形成された板部材(56)を具備し、
前記ダクトカバー(68)は、前記板部材(56)の車体後方側に近接配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載の車両のECU配置構造。
【請求項5】
前記ダクトカバー(68)の開口部(59)は、車体前方側から車体上方側にかけて連続的に形成されており、
前記車体前方側の開口部(59)は、前記板部材(56)に近接配置され、
車体上方側の開口部(59)は、前記車両の荷台(14)の底板(14a)に近接配置されていることを特徴とする請求項4に記載の車両のECU配置構造。
【請求項6】
前記ECU(66)が、略直方体の形状とされており、その面積が最も大きい面を車体前方側に向けて、前記ダクトカバー(68)の内部で車体前方寄りの位置に配設されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の車両のECU配置構造。
【請求項7】
前記車両は、複数のフレームパイプを組み合わせて構成された車体フレーム(2)を有する4輪車両であり、
前記ダクトカバー(68)は、車幅方向の最も外側に位置するフレームパイプ(37)より車幅方向内側の位置に配設されており、
前記ECU(66)は、前記ダクトカバー(68)の内部で車幅方向外側寄りに配設されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の車両のECU配置構造。
【請求項8】
前記ECU(66)は、前記フレームパイプ(38)に取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載の車両のECU配置構造。
【請求項9】
前記ECU(66)は、車幅方向に配設される前記フレームパイプ(38)から下方に延出する取付ステー(52)に対して、カバー部材(50)を介して取り付けられていることを特徴とする請求項7または8に記載の車両のECU配置構造。
【請求項10】
前記ECU(66)は、車体側面視で前記エンジン(7)とオーバーラップする位置に配設されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の車両のECU配置構造。
【請求項11】
前記スリット(55)は、前記ECU(66)より車幅方向内側に配設されていることを特徴とする請求項4に記載のECU配置構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−215165(P2010−215165A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66255(P2009−66255)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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