車両ドア開閉の検知装置および検知方法

【課題】駅ホーム側だけで入線・停車した電車の車両ドアの開閉状態を検知することができ、外乱光や車両汚れの影響を受けず、高い検知精度で車両ドアの開閉状態に係る情報を取得でき、さらに、旅客の乗降状態および混雑状態を考慮して高い精度で車両ドアの開閉状態を検知できる車両ドア開閉の検知装置および検知方法を提供する。
【解決手段】この車両ドア開閉検知装置13は、駅ホーム11に停車した電車14の車両ドア15の開閉状態を検知する装置であり、乗降口41付近の車両床面42を含む範囲を測距対象範囲18と設定して駅ホーム側に設置された距離画像センサ21と、距離画像センサが取得した三次元距離画像44,45に基づいて車両ドアの開閉状態を判断する車両ドア開閉判断手段32とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両ドア開閉の検知装置および検知方法に関し、特に、駅ホーム側において外乱光や車両汚れの影響を受けず、旅客の乗降状態および混雑状態を考慮して高い精度で車両ドアの開閉状態を検知できる車両ドア開閉の検知装置および検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駅のプラットホーム(以下「駅ホーム」と記す)では旅客(乗客)の安全性の確保が問題になっている。駅ホームで、旅客が駅ホームから転落したり、駅ホームに入線・停車する電車と接触したり、或いは乗降口での乗降時に閉じた車両ドアに衣服や荷物が挟まれ、その後の車両の移動で旅客が引きずられることがあるからである。旅客の安全性を担保するためには、危険状態が発生することを予測する情報として、主に、旅客の転落・接触またはその可能性の情報(旅客の位置、移動、行動等)、電車の停車情報(停車時刻等)、停車した電車の車両ドア開閉状態に係る情報が必要となる。
【0003】
上記の3つの情報のうち、電車の車両ドア開閉状態に係る情報については、現状のシステムでは電車側から提供されるようになっていた。すなわち、電車では、その開口部に設置された車両ドアの開閉状態は車両ドアの位置を検知する検知手段(リミットスイッチ)によって検知され、これにより車両ドアの開閉状態に係る情報を得ることができる。そこで駅ホーム側には、通信システムを経由して電車側から車両ドアの開閉状態に係る情報が提供される。駅ホーム側では、電車側から提供された車両ドアの開閉状態に係る情報を利用して、電車に乗ろうとする駅ホームの旅客等に対して安全を担保するための情報を提供する。しかしながら、このような方式の場合には、駅ホーム側に、電車側との間の通信手段を備えていることが条件になる。かかる通信手段を備えていない路線の駅では、電車側から車両ドアの開閉状態に係る情報を得ることができない。
【0004】
駅ホーム側において電車の車両ドアの開閉状態に係る情報を取得する従来技術またはこれに関連する従来技術として、特許文献1〜4に記載された技術が存在する。
【0005】
特許文献1は、プラットホームドアの開閉動作を制御するために車両ドアの開閉状態を検知する手段を開示している。この検知の方式では、車両ドアの外面下側に目印を付け、当該目印の位置を検知手段で検知することによって車両ドアの開閉状態に係る情報を取得している。この車両ドア検知方式によれば、外乱光の影響があったり、目印に汚れがつくと、目印の判別が難しくなって検知精度が低下するという問題があった。また検知手段としてカメラを用いた場合には、目印のエッジ等の特徴点を抽出するため、当該特徴点が部分的に隠された場合には検知不能になるという問題も提起された。
【0006】
特許文献2は、駅ホームの安全柵のドアを適当なタイミングで開閉するために車両ドアの開閉検知方法を提案している。この車両ドアの開閉検知方法では、駅ホーム側に設けられたドア開閉状態検出センサで車両ドアの開閉状態を検知している。このドア開閉状態検出センサとして使用されるセンサは、光波距離計、光学式センサ(CCDカメラ等の撮像装置)、超音波式変位センサ、または過電流式変位センサである。いずれのセンサも、図から明らかなように、車両ドアの上方部分の領域を検知すべき対象領域として設定している。光波距離計を用いる場合には、一次元の測距センサとして機能し、水平なライン状の測距データで車両ドアの開閉状態を検知するようにしている(特許文献2の図3)。また光学式センサでは、車両のドアの外面にターゲットマークを描いて、このターゲットマークを撮像するようにしている(特許文献2の図5)。この光学式センサを利用した検知方式は、上記の特許文献1の問題と同様な問題を有している。
【0007】
特許文献3は、距離センサを利用して物体を検知する装置を開示している。この検知方式では、車両ドアに関して、ドアが出入りする領域を含む第1の監視領域、ドアパネル間の隙間の領域である第2の監視領域、開口部の外側で開口部から規定範囲内である第3の監視領域を規定する。視野領域に存在する物体までの距離を距離センサで計測し、画像生成手段で距離画像を生成し、当該距離画像に関して上記の3つの監視領域との間の所定の関係に基づいて、車両ドアが存在する場合であっても、車両ドアの移動と分離して、監視対象である物体の状態を判断することができる。
【0008】
特許文献4は、車両用戸挟み検知システム等を開示しており、駅ホーム側ではなく車両ドアの上方に設置された撮像装置により車両ドアを撮像し、撮像で得られた画像情報を基準情報と比較することにより、異物の存在の有無を判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−291742号公報
【特許文献2】特開2001−264013号公報
【特許文献3】特開2011−2339号公報
【特許文献4】特開2009−279970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載される車両ドア開閉状態検知方式によれば、車両ドアの外面下側に目印を付け、目印の位置を検知手段で検知することによって車両ドアの開閉状態に係る情報を取得する従来の検知方式である。この検知方式では、外乱光の影響、目印の汚れが原因で検知精度が低下する。またCCDカメラ等の撮像装置を利用して画像を得る場合には、画像処理上で正確に検知対象部を得ることができない場合もある。
【0011】
特許文献2に記載される車両ドア開閉状態検知方式によれば、光波距離計を用いる場合には、車両ドアの外面上所定の高さの水平な1ライン分の測距データで車両ドアの開閉状態を判断するので、検知の精度が低く、また光学式センサを用いる場合には、車両ドアの外面のターゲットマークを撮像して判断するので、上記特許文献1と同じ問題が起きる。さらに超音波式変位センサや過電流式変位センサを用いる場合にも、センサで得られる情報の制約の上で高い検知精度を得ることは容易ではない。
【0012】
また特許文献3に記載される物体検知装置は、車両ドアの開閉状態そのものを検知するものではない。さらに特許文献4に記載される車両用戸挟み検知システム等は、駅ホーム側ではなく車両側に装備される構成であり、また車両ドアの開閉状態を検知するためのものではない。
【0013】
そこで、現在、駅ホーム側だけで、外乱光や車両汚れの影響を受けず、高い検知精度で車両ドアの開閉状態に係る情報を取得できる検知装置が求められている。
【0014】
さらに、実際に車両ドアの開閉状態を検知・判断する場合には、当該車両ドアの開閉動作に関係して、乗降口(開口部)の内外の旅客の存在状態(乗降状態)および旅客の人数状態(混雑状態)が重要な要素となる。このため、旅客の乗降状態および混雑状態を考慮して高い精度で車両ドアの開閉状態を検知できる検知装置が求められている。
【0015】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、駅ホーム側だけで入線・停車した電車の車両ドアの開閉状態を検知することができ、外乱光や車両汚れの影響を受けず、高い検知精度で車両ドアの開閉状態に係る情報を取得でき、さらに、旅客の乗降状態および混雑状態を考慮して高い精度で車両ドアの開閉状態を検知できる車両ドア開閉の検知装置および検知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る車両ドア開閉の検知装置および検知方法は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0017】
第1の車両ドア開閉検知装置(請求項1に対応)は、駅ホームに停車した電車の車両ドアの開閉状態を検知する装置であり、乗降口付近の車両床面を含む範囲を測距対象範囲と設定して駅ホーム側に設置された距離画像センサと、距離画像センサが取得した三次元距離画像に基づいて車両ドアの開閉状態を判断する車両ドア開閉判断手段と、を備えることによって構成される。
【0018】
上記の車両ドア開閉検知装置では、三次元距離画像を計測できる距離画像センサを予め決定された所定箇所の測距対象範囲に向けるように配置することにより、当該距離画像センサによって取得された三次元距離画像センサの内容に基づいて車両ドアの開閉状態を高い検知精度で検知することが可能となる。
【0019】
第2の車両ドア開閉検知装置(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、距離画像センサは、車両ドアの外面に係る三次元距離画像または車両床面に係る三次元距離画像を取得し、車両ドア開閉判断手段は、車両ドアの外面に係る三次元距離画像が取得されたときに車両ドアが閉じていると判断し、車両床面に係る三次元距離画像が取得されたときに車両ドアが開いていると判断することを特徴としている。
【0020】
第3の車両ドア開閉検知装置(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、車両床面は車両ドアのレールの設置領域を含む車両床面であることを特徴とする。
【0021】
第4の車両ドア開閉検知装置(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、測距対象範囲に旅客が存在するときに、車両ドア開閉判断手段は、距離画像センサが取得した三次元距離画像での旅客画像の位置および数を考慮して車両ドアの開閉状態を判断することを特徴とする。
【0022】
第5の車両ドア開閉検知装置(請求項5に対応)は、上記の構成において、好ましくは、車両ドア開閉判断手段は、旅客画像の数に基づき非混雑時と判断したとき、車両ドアのレールの設置領域を含む車両床面に係る画像と旅客画像の位置とに基づき車両ドアが開いていると判断することを特徴とする。
【0023】
第1の車両ドア開閉検知方法(請求項6に対応)は、駅ホームに停車した電車の車両ドアの開閉状態を検知する方法であり、駅ホーム側に設置されかつ乗降口付近の車両床面を含む範囲を測距対象範囲として設定された距離画像センサによって、車両ドアの外面または車両床面に係る三次元距離画像を取得する第1ステップと、車両ドアの外面に係る三次元距離画像を取得したとき車両ドアは閉状態であると判断し、車両床面に係る三次元距離画像を取得したとき車両ドアは開状態であると判断する第2ステップと、を有することを特徴としている。
【0024】
第2の車両ドア開閉検知方法(請求項7に対応)は、上記の方法において、好ましくは、第1ステップで、距離画像センサの測距対象範囲は、車両ドアのレールの設置領域を含む車両床面に設定されていることを特徴とする。
【0025】
第3の車両ドア開閉検知方法(請求項8に対応)は、上記の方法において、好ましくは、車両ドアの外面に係る三次元距離画像または車両床面に係る三次元距離画像に旅客画像が含まれるか否かを判断する第3ステップと、旅客画像の位置と数を考慮に入れて車両ドアの開閉状態を判断する第4ステップと、を有することを特徴としている。
【0026】
第4の車両ドア開閉検知方法(請求項9に対応)は、上記の方法において、好ましくは、第4ステップは、旅客画像の数に基づき混雑時または非混雑時を判断する第5ステップと、第5ステップで非混雑時と判断したとき、車両ドアのレールの設置領域を含む車両床面に係る画像と旅客画像の位置とに基づき車両ドアが開いていると判断する第6ステップと、を有することを特徴としている。
【0027】
第5の車両ドア開閉検知方法(請求項10に対応)は、上記の方法において、好ましくは、第5ステップで混雑時と判断したとき、車両ドアのレールの設置領域を含む車両床面に係る画像のみに基づき車両ドアが開いていると判断する第7ステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る車両ドア開閉の検知装置および検知方法によれば、駅ホームに入線し停車した電車の車両ドアの開閉状態について、所定場所に測距対象範囲を設定した距離画像センサを設けることにより当該距離画像センサで取得される三次元距離画像の内容に基づいて、電車側からドア開閉情報を受信することなく、駅ホームの側だけで、車両ドアの開閉状態を正確に判別して検知することができ、外乱光や車両汚れの影響を受けず、高い検知精度で車両ドアの開閉状態に係る情報を取得することができる。また距離画像センサで得られた三次元距離画像の画像処理において旅客の位置および数を検知することができ、旅客の乗降状態および混雑状態の情報を取得することができ、旅客の混雑状態を考慮して高い精度で車両ドアの開閉状態を検知することができる。さらに、車両ドアが閉まった場合において物や人が挟まれた場合、これを高精度で検知することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る車両ドア開閉検知装置の設置状態を示す外観図である。
【図2】車両ドア開閉検知装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理部の機能的な内部構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る車両ドア開閉検知方法の原理について、車両ドアが閉じている状態の例(A)と、開いている状態の例(B)とを説明する図である。
【図5】図4で解説した2つの例(A),(B)について各々の測距の状態と両者の差異とを説明する図である。
【図6】本実施形態に係る車両ドア開閉検知方法の原理について、乗降口での旅客(人間)の混雑状態に依存した場合の画像処理の例を説明する図である。
【図7】本実施形態に係る車両ドア開閉検知方法の基本的な処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】旅客画像を含む三次元距離画像の場合の全体的な処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0031】
図1において、11は駅のプラットホーム(以下「駅ホーム」と記す)、12は駅ホーム11に設けられた支柱、13は支柱12の上部に設置された車両ドア開閉検知装置である。駅ホーム11の一方の線路軌道には電車(または列車)14が入線し、停車した状態が示されている。図1では、特に、停車した電車14の車両における1つの車両ドア15が示されている。車両ドア15は左右に開閉する構造を有している。支柱12の上部に設置された車両ドア開閉検知装置13は内部に距離画像センサを備えている。距離画像センサは、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)等を利用して実現された測距センサとしての機能を有し、さらに三次元距離画像に係る情報を得る機能を有している。車両ドア開閉検知装置13の正面部に設けられた領域16は、距離画像センサのレーザ光出力部である。レーザ光出力部16からはパルスレーザ光17が放射される。放射されるパルスレーザ光17は走査制御され、その結果、当該パルスレーザ光17に基づいて、レーザ光先端部の領域では測距対象範囲18が決定される。図1中で斜線領域で示された測距対象範囲18は、駅ホーム11の一部および電車14の車両ドア15の一部(下側部分)を含むように、それらの上に設定される。車両ドア開閉検知装置13から出力されるパルスレーザ光17の走査は二次元で行われるため、測距対象範囲18はほぼ矩形の範囲となり、かつ停車した電車14の車両ドア15の下側部分の領域を含んでいる。車両ドア15が開いた状態にある場合には、測距対象範囲18は、車両ドア15に対応する乗降口(開口部)の付近の車両内部の車両床面を含む範囲となっている。他方、車両ドア15が閉じた状態にある場合には、測距対象範囲18は、車両ドア15の下側部分の外面を含む範囲となっている。
なお、車両ドア開閉検知装置13に内蔵された距離画像センサから出力されるパルスレーザ光17の放射領域の全体で見ると、車両ドア15が閉じている状態では、後述する図5に示されるように、車両ドア15の外面の全部(下側部分、中央部分、上側部分)にパルスレーザ光17が照射されている。このため、距離画像センサで取得される三次元距離画像によれば、車両ドア15の外面における下側部分、中央部分、上側部分の各々の距離データを得ることができる。
【0032】
上記の車両ドア開閉検知装置13は、その距離画像センサによって得られる測距対象範囲18の三次元距離画像に基づいて、当該測距対象範囲18に含まれる車両ドア15の開閉の状態を検知するための装置であり、車両ドア15が閉じている状態、または車両ドア15が開いている状態を検知することができる。車両ドア15が閉じている状態は車両ドア15の外面の三次元距離画像が計測されることにより検知され、車両ドア15が開いている状態は電車14の車両内部の乗降口付近の車両床面の三次元距離画像が計測されることにより検知される。
【0033】
上記の車両ドア開閉検知装置13は、駅ホーム11に停車した電車14の各車両の全ての車両ドア15に対応して設置されている。これにより、各車両ドア15に対応する車両ドア開閉検知装置13に基づいて電車14の全ての車両ドア15の開閉状態をそれぞれ独立に検知することが可能となる。
【0034】
図2に示すように、車両ドア開閉検知装置13は、測距対象範囲18を計測して三次元距離画像を取得する距離画像センサ21と、距離画像センサ21が取得した三次元距離画像に係るデータを画像処理する画像処理部22と、距離画像センサ21と画像処理部22に必要な電力を供給しこれらを能動状態にするための電源23を内蔵している。距離画像センサ21は、そのレーザ光出力部16から測距対象範囲18に対して走査制御されたパルスレーザ光17を出力し、測距対象範囲内に存在する対象物の三次元距離画像を取得する。画像処理部22は、距離画像センサ21が測距対象範囲18に関して取得した三次元距離画像の内容(車両ドアの外面の三次元距離画像または車両床面の三次元距離画像)を判別し、三次元距離画像の内容の判別に基づいて車両ドア15の開閉状態を判断する処理を実行し、その判断の処理結果を出力する機能を有している。画像処理部22から処理結果が出力される。当該処理結果は、管理サーバ等を介して駅係員に対して提供される。
【0035】
図3に画像処理部22の内部構成を示す。画像処理部22は、機能要素として、測距対象範囲18に関する三次元距離画像の内容が車両ドアの外面の三次元距離画像かまたは車両床面の三次元距離画像かを判別する画像内容判別手段31と、三次元距離画像の内容の判別に基づいて車両ドア15の開閉状態を判断する車両ドア開閉判断手段32と、その判断の処理結果を出力する処理結果出力手段33とを有している。
【0036】
次に図4と図5を参照して、車両ドア開閉検知装置13で実行される車両ドア15の開閉状態を検知する方法の基本的な考え方を説明する。
図4において(A)は車両ドア15が閉じている場合が示され、(B)は車両ドア15が開いている場合が示されている。また図4の(A),(B)において(1)は測距対象範囲18内の計測対象物を示し、(2)は計測対象物の三次元距離画像を示している。図4の(A)の計測対象物は閉じた車両ドア15の外面であり、図4の(B)の計測対象物は開いた車両ドア15の状態で乗降口(開口部)の付近の車両床面および旅客の身体の一部である。なお図4に示した車両ドア開閉検知装置13内の距離画像センサ21によるパルスレーザ光17の放射領域では、測距対象範囲18との関係のみが強調して示されている。
また図5では、車両ドア開閉検知装置13と横断面図で示した駅ホーム11および電車14との位置関係において、車両ドア閉時測距距離D1と車両ドア開時測距距離D2を示している。図5で明らかなように、車両ドア開閉検知装置内の距離画像センサ21によるパルスレーザ光17の放射領域は、車両14の車両ドア15の外面の全部(下側部分、中央部分、上側部分)を含んでいる。このため、距離画像センサ21で取得される三次元距離画像によれば、車両ドア15の外面における下側部分、中央部分、上側部分の各々の距離データを得ることができる。但し図5では、特に車両ドア閉時測距距離D1と車両ドア開時測距距離D2の対比関係を示しており、この対比関係の意味では車両ドア15の外面の下側部分の距離データが重視される。
【0037】
図1で説明した通り、車両ドア開閉検知装置13は、内蔵された距離画像センサ21によって駅ホーム11と当該駅ホーム11に停車した電車14の車両ドア15とに対して所定の場所に設定された測距対象範囲18を計測できるように、設置されている。図4の(A),(B)の各々の(1)において、同じ所定の場所に設定された測距対象範囲18が描かれている。図4の(A)では、測距対象範囲18の中に車両ドア15の下部の外面と駅ホーム11の床面の一部とが存在している。従って図4の(A)の場合、すなわち車両ドア15が閉じている場合には、主たる測距対象物は車両ドア15の外面となる。図4の(B)では、測距対象範囲18の中に乗降口(開口部)41の付近の車両床面42と、2人の旅客43の身体の一部と、駅ホーム11の床面の一部とが存在している。従って図4の(B)の場合、すなわち車両ドア15が開いている場合には、主たる測距対象物は車両床面42である。この車両床面42は、車両ドア15のレールが設置された領域を含む車両床面である。また旅客43が存在する場合には、車両床面42上の旅客43の身体の一部も測距対象物になる。
上記の結果、図4の(A)の場合には、車両ドア開閉検知装置13の距離画像センサ21において、その図4(A)の(2)に示された三次元距離画像44が取得される。三次元距離画像44は車両ドア15の外面を表す三次元距離画像である。図4の(B)の場合には、車両ドア開閉検知装置13の距離画像センサ21において、その図4(B)の(2)に示された三次元距離画像45が取得される。三次元距離画像45は車両床面42を表す三次元距離画像である。また図4(B)の(2)では、2人の旅客43の身体の一部を表す三次元距離画像46も含まれている。
【0038】
上記の2つの状態(図4の(A)の場合と(B)の場合)を図5を参照して説明する。図4の(A)で示した状態では、車両ドア開閉検知装置13の距離画像センサ21は車両ドア閉時測距距離D1で三次元距離画像を取得する。その結果、車両ドア5の外面の三次元距離画像44が得られることになる。また図4の(B)で示した状態では、車両ドア開閉検知装置13の距離画像センサ21は車両ドア開時測距距離D2で三次元距離画像を取得する。その結果、主に車両床面42の三次元距離画像45が得られることになる。車両ドア閉時測距距離D1と車両ドア開時測距距離D2との間には距離D3の差異があり、これにより三次元距離画像44と三次元距離画像45とは大きく異なることになる。
【0039】
図4と図5の説明に基づけば、車両ドア開閉検知装置13の距離画像センサ21の計測で取得される測距対象範囲18について三次元距離画像によって、電車14の車両ドア15の開閉状態を判別し検知することができる。すなわち、距離画像センサ21が三次元距離画像44を取得したのであれば、車両ドア15は閉じていると判断でき、一方、距離画像センサ21が三次元距離画像45を取得したのであれば、車両ドア15は開いていると判断できる。こうして車両ドア開閉検知装置13の距離画像センサ21が出力する測距対象範囲18に係る三次元距離画像に係る情報に基づき、測距対象物が何であるかに基づいて、車両ドア15の開閉状態を、外光や汚れ等の環境影響を受けることなく、高い検知精度で検知することができる。
【0040】
図7に、車両ドア開閉検知装置13に設けられた距離画像センサ21での画像の取得、および画像処理部22での画像処理の流れを示したフローチャートを示す。この画像処理の流れは、本発明に係る車両ドア開閉検知方法の基本的な処理な流れであり、駅ホーム11に停車した電車14の車両ドア15の開閉状態を検知するための処理の流れである。この画像処理は、図3に示した画像内容判別手段31、車両ドア開閉判断手段32、および処理結果出力手段33によって実行される。
最初のステップS11では、距離画像センサ21によって測距対象範囲18を計測し、測距対象範囲18内に存在する測距対象物の三次元距離画像を取得する。この三次元距離画像の内容は、前述した通り、車両ドア15の外面に係る三次元距離画像44、または車両床面42に係る三次元距離画像45である。
次の判断ステップS12では、距離画像センサ21から提供される三次元距離画像の内容が判断される。判断ステップS12で、三次元距離画像44であると判断された場合には「車両ドア閉」であるという判断の出力処理がなされ(ステップS13)、三次元距離画像45であると判断された場合には「車両ドア開」であるという判断の出力処理がなされる(ステップS14)。
【0041】
次に、車両ドア開閉検知装置13の距離画像センサ21による測距対象範囲18内に旅客が存在する場合を考慮した車両ドア開閉検知の方法について説明する。
【0042】
図6に示すように、旅客51は電車14の乗降口41の周辺部に存在することになる。旅客51は、駅ホーム11上にも、電車14の車両内にも存在する。図6では車両ドア15は開いた状態にある。52は、車両床面に設置された、車両ドア15を案内するためのレールである。乗降口41の周辺において前述の通りに設定された測距対象範囲18によれば、当該測距対象範囲18の中に例えば5人の旅客51の各々についての画像を含む三次元距離画像を得ることができる。この三次元距離画像によれば、旅客画像に基づいて複数の旅客51の各々の位置と全体の人数に係る情報を取得することができる。従って当該三次元距離画像によって混雑度の情報を得ることができる。
図6に示すような比較的に混雑度が高い場合であっても、前述したレール52の設置された車両床面領域は、車両ドア15が開いた状態で乗降を行っている旅客が停留して存在する場所ではないので、測距対象範囲18に係る三次元距離画像領域において画像として明確に認識し得る領域である。従って、原則的に、混雑度が高い場合にもレール52が設置された車両床面42を測距対象物に設定することにより、車両ドア15の開閉状態を検知することができる。
【0043】
次に、図8のフローチャートを参照して、混雑度を考慮した車両ドア開閉検知の方法を説明する。なおフローチャート中では、簡略化のため、車両ドア15を「ドア」と記している。
ステップS21では距離画像センサ21で測距が行われる。
判断ステップS22では、車両ドア15までの距離との差分を見てより近いものがあるか否かが判断される。判断ステップS22は、駅ホーム11側に人物や挟まれた物体が存在するかを検知するためのステップである。判断ステップS22でNOの場合には判断ステップS31に移行し、YESの場合には判断ステップS51に移行する。
【0044】
判断ステップS31では、車両ドア15の内側(車両内部)の距離データの平均値が一定距離未満であるか否かが判断される。この判断ステップS31は、混雑具合を検知するための判断ステップである。判断ステップS31でNOである場合には判断ステップS32に移行し、YESである場合には判断ステップS33に移行する。
判断ステップS32では、距離が一定以下の塊(旅客または人物)の画素数が定めた範囲内であるか否かが判断される。この判断ステップS32は、車両内にいる旅客51の形状を検知するための判断ステップである。判断ステップS32でNOである場合には判断ステップS34に移行し、YESである場合には車両ドア15が開いている(フローチャート中「ドア開」と記す。以下同じ)という検知処理結果が出力される(ステップS35)。
判断ステップS34では、車両ドア開閉判断手段32(フローチャート中「ドア開閉判定部」と記す)で車両床面42まで測距できている画素数が一定画素以上であるか否かが判断される。判断ステップS34で、NOである場合には車両ドア15が閉じている(フローチャート中「ドア閉」と記す。以下同じ)という検知処理結果が出力され(ステップS36)、YESである場合には「ドア開」という検知処理結果が出力される(ステップS37)。
他方、上記の判断ステップS33では、車両ドア開閉判断手段32(フローチャート中「ドア開閉判定部」と記す)で車両床面42まで測距できている画素数が一定画素以上であるか否かが判断される。この判断ステップS33は、車両床面42と車両ドア15の外面との距離差(D3)から車両ドア15の開閉状態を判別するための判断ステップである。判断ステップS33で、NOである場合には「ドア閉」という検知処理結果が出力され(ステップS38)、YESである場合には「ドア開」という検知処理結果が出力される(ステップS39)。
【0045】
次に上記の判断ステップS51では、車両ドア15の内側(車両内部)の距離データの平均値が一定距離未満であるか否かが判断される。この判断ステップS51は、混雑具合を検知するための判断ステップである。判断ステップS51でNOである場合には判断ステップS52に移行し、YESである場合には判断ステップS53に移行する。
判断ステップS52では、距離が一定以下の塊(旅客または人物)の画素数が定めた範囲内であるか否かが判断される。この判断ステップS52は、車両内にいる旅客51の形状を検知するための判断ステップである。判断ステップS52でNOである場合には判断ステップS54に移行し、YESである場合には「ドア開」という検知処理結果が出力される(ステップS55)。
判断ステップS54では、車両ドア開閉判断手段32(フローチャート中「ドア開閉判定部」と記す)で車両床面42まで測距できている画素数が一定画素以上であるか否かが判断される。判断ステップS54で、NOである場合には車両ドア15が閉じた結果、何か物体が挟まれている(フローチャート中「挟まれ」と記す)という検知処理結果が出力され(ステップS56)、YESである場合には「ドア開」という検知処理結果が出力される(ステップS57)。
【0046】
他方、上記の判断ステップS53では、車両ドア15の中央部分に車両ドア15より近いものが存在するか否かが判断される。この判断ステップS53は、車両ドア15の中心部分に旅客51が存在するかを検知するための判断ステップである。当該場所に旅客51がいると、車両ドア15の開閉の微妙な判断が難しくなるからである。判断ステップS53でNOである場合には判断ステップS58に移行し、YESである場合には判断ステップS59に移行する。
判断ステップS58では、車両ドア開閉判断手段32(フローチャート中「ドア開閉判定部」と記す)で車両床面42まで測距できている画素数が一定画素以上であるか否かが判断される。判断ステップS58で、NOである場合には「ドア閉」という検知処理結果が出力され(ステップS60)、YESである場合には「ドア開」という検知処理結果が出力される(ステップS61)。
他方、上記の判断ステップS59では、車両ドア開閉判断手段32(フローチャート中「ドア開閉判定部」と記す)で車両床面42まで測距できている画素数が一定画素以上であるか否かが判断される。この判断ステップS59は、車両床面42と車両ドア15の外面との距離差(D3)から車両ドア15の開閉状態を判別するための判断ステップである。判断ステップS59で、NOである場合には判断ステップS62に移行し、YESである場合には「ドア開」という検知処理結果が出力される(ステップS63)。
判断ステップS62では、車両ドア15の上側部分までの距離データの平均値が一定距離以上であるか否かが判断される。この場合には、車両ドア15の下側部分に関する三次元距離画像に係るデータから車両床面情報を得ることが難しくなるので、距離画像センサ21で取得された三次元距離画像の中に含まれる車両ドア15の上側部分の距離データに基づいて判断が行われる。判断ステップS62は、物が挟まれた状態で車両ドア15が閉まりきっていない場合に、車両ドア15の上部を用いて車両ドア15の開閉状態を判断・検知するための判断ステップである。判断ステップS62で、N0である場合には「挟まれ」という検知処理結果が出力され(ステップS64)、YESである場合には「ドア開」という検知処理結果が出力される(ステップS65)。
【0047】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る車両ドア開閉の検知装置および検知方法は、電車側と無線通信が行えない駅ホームにおいて入線・停車した電車の車両ドアの開閉状態を正確に検知するのに利用され、さらに、旅客の混雑度にも配慮して正確に車両ドアの開閉検知を行うことに利用される。
【符号の説明】
【0049】
11 駅ホーム(駅のプラットホーム)
12 支柱
13 車両ドア開閉検知装置
14 電車(列車)
15 車両ドア
16 レーザ光出力部
17 パルスレーザ光
18 測距対象範囲
21 距離画像センサ
22 画像処理部
23 電源
31 画像内容判別手段
32 車両ドア開閉判断手段
33 処理結果出力手段
41 乗降口(開口部)
42 車両床面
43 旅客
44,45 三次元距離画像
51 旅客
52 レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅ホームに停車した電車の車両ドアの開閉状態を検知する装置において、
乗降口付近の車両床面を含む範囲を測距対象範囲と設定して前記駅ホーム側に設置された距離画像センサと、
前記距離画像センサが取得した三次元距離画像に基づいて前記車両ドアの開閉状態を判断する車両ドア開閉判断手段と、
を備えることを特徴とする車両ドア開閉検知装置。
【請求項2】
前記距離画像センサは、前記車両ドアの外面に係る三次元距離画像または前記車両床面に係る三次元距離画像を取得し、
前記車両ドア開閉判断手段は、前記車両ドアの外面に係る三次元距離画像が取得されたときに前記車両ドアが閉じていると判断し、前記車両床面に係る三次元距離画像が取得されたときに前記車両ドアが開いていると判断することを特徴とする請求項1記載の車両ドア開閉検知装置。
【請求項3】
前記車両床面は前記車両ドアのレールの設置領域を含む車両床面であることを特徴とする請求項1または2記載の車両ドア開閉検知装置。
【請求項4】
前記測距対象範囲に旅客が存在するときに、前記車両ドア開閉判断手段は、前記距離画像センサが取得した前記三次元距離画像での旅客画像の位置および数を考慮して前記車両ドアの開閉状態を判断することを特徴とする請求項1記載の車両ドア開閉検知装置。
【請求項5】
前記車両ドア開閉判断手段は、前記旅客画像の数に基づき非混雑時と判断したとき、前記車両ドアのレールの設置領域を含む車両床面に係る画像と前記旅客画像の位置とに基づき前記車両ドアが開いていると判断することを特徴とする請求項4記載の車両ドア開閉検知装置。
【請求項6】
駅ホームに停車した電車の車両ドアの開閉状態を検知する方法において、
前記駅ホーム側に設置されかつ前記乗降口付近の車両床面を含む範囲を測距対象範囲として設定された距離画像センサによって、前記車両ドアの外面または前記車両床面に係る三次元距離画像を取得する第1ステップと、
前記車両ドアの外面に係る前記三次元距離画像を取得したとき前記車両ドアは閉状態であると判断し、前記車両床面に係る三次元距離画像を取得したとき前記車両ドアは開状態であると判断する第2ステップと、
を有することを特徴とする車両ドア開閉検知方法。
【請求項7】
前記第1ステップで、前記距離画像センサの前記測距対象範囲は、前記車両ドアのレールの設置領域を含む車両床面に設定されていることを特徴とする請求項6記載の車両ドア開閉検知方法。
【請求項8】
前記車両ドアの外面に係る前記三次元距離画像または前記車両床面に係る前記三次元距離画像に旅客画像が含まれるか否かを判断する第3ステップと、
前記旅客画像の位置と数を考慮に入れて前記車両ドアの開閉状態を判断する第4ステップと、
を有することを特徴とする請求項6記載の車両ドア開閉検知方法。
【請求項9】
前記第4ステップは、
前記旅客画像の数に基づき混雑時または非混雑時を判断する第5ステップと、
前記第5ステップで非混雑時と判断したとき、前記車両ドアのレールの設置領域を含む車両床面に係る画像と前記旅客画像の位置とに基づき前記車両ドアが開いていると判断する第6ステップと、
を有することを特徴とする請求項8記載の車両ドア開閉検知方法。
【請求項10】
第5ステップで混雑時と判断したとき、前記車両ドアのレールの設置領域を含む車両床面に係る画像のみに基づき前記車両ドアが開いていると判断する第7ステップを有することを特徴とする請求項9記載の車両ドア検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−100008(P2013−100008A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244638(P2011−244638)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】