説明

車両ランプ用工具

【課題】車両ランプのバルブを交換する際に利用し得る工具を提供する。
【解決手段】バルブ13が装着されたソケット17をハウジングに回転させて着脱する際に使用し得る車両ランプ用工具1であって、ハウジングから突出するソケット17の一端部に回転方向への回転が規制された状態で嵌合する嵌合部2と、嵌合部2から延出するアーム4と、ソケット17の一端部から延出する電源ケーブル21を逃がすための逃がし部5を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ランプのバルブを交換する際に使用し得る車両ランプ用工具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両ランプのバルブを交換する場合、例えばヘッドランプのバルブを交換する場合は、先ず車両のフードを開ける。次に、作業者がエンジンルームの隙間に手を挿入してバルブが取付けられたソケットを掴み、ソケットをランプハウジングに対し回転して嵌合解除する。そしてソケットをバルブ交換ができる場所まで引っ張り出して、古いバルブをソケットから取外し、新しいバルブをソケットに装着する。そして逆の手順でソケットをランプハウジングに取付ける。また構造上、エンジンルーム内でのバルブ交換が難しいために、車両ランプ全体を車体から取外して、その状態でソケットをランプハウジングから取外してバルブ交換を行っているものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−61464号公報
【特許文献2】実開平5−88127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、特に乗用車では、乗員の利便性及び快適性向上のために、車室空間を可能な限り、広く確保する傾向にある。その背反として、エンジンルーム内は次第に狭くなり、バルブ交換作業が従来以上に難しくなってきた。具体的には、エンジンルーム内に作業者が手を差し込むための十分な隙間が確保出来ていない、或いは、他の装備品が近接して配置され、エンジンルーム側よりバルブを視認できない、等といった問題が生じている。このような問題は、ランプ全体を取外すことで回避可能だが、現在主流のコンビネーションランプでは、ランプユニット全体を車両より取外す必要があり、作業が大掛かりとなる。この場合、専用工具が必要な場合も多く、基本的に整備工場での作業となり、車両の利用者自身による交換は困難である。
【0005】
従来、車両部品用工具も知られている。例えばフォグランプ等の光軸調整用ボルトを回転させるための工具(特許文献1参照)や、車載用音響装置の電源線材を把持する工具(特許文献2参照)等が知られている。しかし車両ランプのバルブを交換する際に使用し得る有用な工具は従来知られていなかった。そこで本発明は、車両ランプのバルブを交換する際に利用し得る新規な工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明は、各請求項に記載の通りの構成を備える車両ランプ用工具であることを特徴とする。請求項1に記載の発明によると、バルブが装着されたソケットをハウジングに回転させて着脱する際に使用し得る車両ランプ用工具であって、ハウジングから突出するソケットの一端部に回転方向への回転が規制された状態で嵌合する嵌合部と、嵌合部から延出するアームと、ソケットの一端部から延出する電源ケーブルを逃がすための逃がし部を有している。
【0007】
したがって嵌合部をソケットに嵌合させた状態で工具を回転させることで、ソケットをハウジングに対して回転させることができる。また工具は、嵌合部から延出するアームを有しているために、手を挿入することが容易でない隙間に嵌合部を挿入することができる。そのため狭い空間内でソケットをハウジングに回転させて着脱させ得る。またソケットから延出する電源ケーブルは、逃がし部によって工具とソケットとに挟まれることが防止され得る。そのため電源ケーブルが破損することが逃がし部によって防止され得る。
【0008】
請求項2に記載の発明によると、車両ランプ用工具は合成樹脂製であり、嵌合部は、ソケットが挿入される開口部と、ソケットの側面を覆う略筒状の側壁部とを有している。側壁部は、開口部側の内周径が大きくかつ他端部側の内周径が小さくなるテーパ状の内周面を有している。
【0009】
したがって嵌合部は、開口部側において内周径が大きいためにソケットを開口部側から受け入れやすい。また嵌合部は、他端側において内周径が小さいために、他端側がソケットに近接してソケットを安定良く保持し得る。さらに工具は、合成樹脂製であるために、金属製等に比べて弾性変形しやすい。そのため嵌合部が弾性変形し得るために、嵌合部がソケットを受入れやすくかつ保持しやすい。また嵌合部がソケットを保持しやすいために、嵌合部が視認し難い位置においてソケットを保持し、ソケットを工具によって視認しやすい位置まで移動させ得る。そのためソケットが狭い場所でしかも視認し難い場所に位置する場合であっても、工具によってソケットをハウジングから取外しかつソケットをバルブを交換し得る位置まで移動させ得る。
【0010】
請求項3に記載の発明によると、嵌合部は、ソケットが挿入される開口部と、ソケットの側面を覆う側壁部を有している。逃がし部は、嵌合部の開口部側の一端部から他端部に延出する第一スリット部と、第一スリット部から延出してアームに延出しかつ第一スリット部よりもスリット幅の狭い第二スリット部を有している。そしてソケットから延出する電源ケーブルがアームの内側から外側に第二スリット部を通って延出され得る。したがって嵌合部にソケットを嵌合させる際に、電源ケーブルの一部が第一スリット部と第二スリット部によってアーム内に設置され得る。しかもスリット幅が第二スリット部よりも第一スリット部において広くなるために、電源ケーブルが第一スリット部から受け入れられやすく、かつ第二スリット部側へ案内されやすい。そして電源ケーブルの一部が第二スリット部によってアームの内側から外側へ延出され得る。また逃がし部は、第一スリット部と第二スリット部を連続して有するために、簡易でかつ安価に形成され得る。
【0011】
請求項4に記載の発明によると、嵌合部は、ソケットが挿入される開口部を有するとともに、アームの両端に配置される。一方の嵌合部の外周面には、他方の嵌合部をソケットに挿入する際の工具の向きに関する挿入情報が示されている。したがってアームの両端に形状の異なる嵌合部を設けることで、工具は二種類のソケットに対応し得る。また一方の嵌合部を外方から視認し難い場所にあるソケットに嵌合させる場合には、他方の嵌合部に示された挿入情報を利用しつつ工具の向きを決定し得る。そのため外方から視認し難い場所にあるソケットに対しても嵌合部を容易に嵌合させ得る。
【0012】
請求項5に記載の発明によると、アームは、ソケットをハウジングに回転させて着脱する際の回転軸と略平行に延出している。アームと嵌合部の少なくとも一つの外周面には、径方向に突出するリブが形成されている。したがって工具は、リブを利用して回転されることでアームを回転中心とするトルクを受けやすい。そのため工具は、ソケットにトルクを加えやすく、ソケットをハウジングに回転して着脱させやすい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】車両ランプ用工具の斜視図である。
【図2】車両ランプ用工具の正面図である。
【図3】車両ランプ用工具の一部とソケットとバルブの正面図である。
【図4】ソケットを嵌合部に嵌合させた状態の車両ランプ用工具の一部とソケットとバルブの正面図である。
【図5】車両ランプ用工具の一部上面図である。
【図6】車両ランプ用工具の一部下面図である。
【図7】車両の一部斜視図である。
【図8】ヘッドランプユニットの斜視図である。
【図9】ヘッドランプユニットの一部背面図である。
【図10】車両のエンジンルームの一部と工具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態を図1〜10にしたがって説明する。図7に示すように車両10は、前側左右部に一対のヘッドランプユニット(車両ランプ)11を有している。ヘッドランプユニット11は、図8に示すようにハウジング12と、ハウジング12に装着されるソケット17〜20と、ソケット17〜20に取付けられるバルブ13〜16を有している。図1,2に示す車両ランプ用工具1は、バルブ13,15を交換する際に使用し得る工具である。
【0015】
工具1は、図1,2に示すようにアーム4と、アーム4の両端に形成された嵌合部2,3と、リブ7,8を有しており、これらが合成樹脂材料によって一体成形される。嵌合部2は、略筒状の側壁部2bを有しており、先端部に開口部2aを有している。側壁部2bは、図3に示すように開口部2aから挿入されたソケット17の側面を覆う。側壁部2bの内周面は、ソケット17の側面に対応する形状を有しており、かつ断面非円形である。そのため側壁部2bは、ソケット17を回転規制した状態で保持し得る。
【0016】
ソケット17は、図3に示すようにバルブ13が装着されるバルブ側部材17aと、電源ケーブル21が接続される電源ケーブル側部材17bを有している。バルブ側部材17aと電源ケーブル側部材17bの外周面には、径方向に突出する位置合せ用凸部17a1,17b1が形成されている。これら凸部17a1,17b1が一致する位置においてバルブ側部材17aと電源ケーブル側部材17bが嵌合される。そのためバルブ側部材17aに対して他の電源ケーブル側部材等が誤って組付けられることが防止されている。
【0017】
嵌合部2は、図1,3に示すようにソケット17の凸部17a1,17b1に対応する凹部2cを有している。凹部2cには、凸部17a1,17b1が挿入される。そのため嵌合部2は、凹部2cと凸部17a1,17b1の協働によってソケット17を回転規制した状態で保持し得る。側壁部2bの内周面は、開口部2a側において内周径が大きく、他端部側において内周径が小さくなるように、略全周においてテーパを有している。
【0018】
アーム4は、図1,2に示すように略直線状であって、各嵌合部2,3の開口部2a,3aの反対側端部の略中央から延出している。アーム4は、嵌合部2,3の外周径よりも小さく、断面略略楕円形である。アーム4には、嵌合部2の近傍位置に一対のリブ7が形成されており、リブ7は、アーム4の断面長手直径の両端部から径方向に突出している。嵌合部2,3も断面略楕円形であって、嵌合部3側には一対のリブ8が形成されている。リブ8は、嵌合部3とアーム4の境界部に位置しており、嵌合部3とアーム4の断面長手直径の両端部から径方向に突出している。
【0019】
工具1には、図2に示すように逃がし部5,6が形成されている。逃がし部5は、図3,4に示すようにソケット17から延出する電源ケーブル21を逃がすために第一スリット部5aと第二スリット部5bを有している。第一スリット部5aは、嵌合部2の開口部2a側の端部から他端部側に略直線状に向かい、開口部2a側の端部において最もスリット幅が大きく、次第にスリット幅が狭くなる。第二スリット部5bは、第一スリット部5aから略直線状に延出し、アーム4の一端部側に位置する。第二スリット部5bのスリット幅は、第一スリット部5aよりも狭く、第一スリット部5a側が最も広く、次第に狭くなっている。アーム4は、第二スリット部5bにおいて略筒状になっており、電源ケーブル21の一部を収容し得る。
【0020】
そのため図3,4に示すように嵌合部2にソケット17を嵌合する場合、ソケット17から延出する電源ケーブル21の一部が開口部2aと幅の広い第一スリット部5aを通る。そして電源ケーブル21の一部が工具1に挟まれることなくアーム4内に設置され、アーム4の内側から外側へ幅の狭い第二スリット部5bを通って延出され得る。したがって電源ケーブル21の端部が視認できない位置にあっても、工具1とソケット17に挟まれることなく、嵌合部2にソケット17が嵌合され得る。
【0021】
嵌合部2と逃げ部5は、ソケット17に対応する形状、すなわち図8に示すターンシグナルランプ11aのソケット17に対応する形状を有している。ターンシグナルランプ11aは、車両左右両側にて左右対称に配設される。これに対応して工具1には、図5,6に示すように印1a〜1dが設けられている。印1a,1bは、嵌合部2の外周面の一側に設けられており、印1c,1dは、その反対側に設けられる。
【0022】
車両左側のターンシグナルランプ11aに対して工具1を使用する場合、印(三角印)1aを上側にした状態で嵌合部2をソケット17に嵌合する。次に、印1bが示す方向に工具1を回転させることでソケット17をハウジング12から係合解除し得る(図8,10参照)。車両右側のターンシグナルランプ11aに対して工具1を使用する場合、印(丸印)1cを上側にした状態で工具1の嵌合部2をソケット17に嵌合し、印1dが示す方向に工具1を回転させることでソケット17をハウジング12から係合解除し得る。
【0023】
したがって外方から視認し難い位置にあるソケット17に嵌合部2を嵌合させる場合であっても、他端の嵌合部3の外周面に設けられた印1cを利用することで、工具1の周方向の位置を決定し、嵌合部2をソケット17に容易に挿入させ得る。そして印1dを利用することで工具1の回転方向を決定し、ソケット17をハウジング12に対して容易に係止解除し得る。
【0024】
工具1は、図1,2に示すように嵌合部2と逃げ部5と同様に形成された嵌合部3と逃げ部6を有している。嵌合部3は、図8に示すクリアランスランプ11cのソケット19に対応する形状を有しており、開口部3aと側壁部3bを有している。逃げ部6は、逃げ部5と同様に形成されており、第一スリット部6aと第二スリット部6bを有している。
【0025】
ヘッドランプユニット11は、図8に示すようにハウジング12と複数のバルブ13〜16を有している。ハウジング12は、前後に延出する筒状の第一〜第三のハウジング部12a〜12cを有している。ハウジング12の前側部には、前側部の略全面を覆う透明のカバー12gが取付けられている。ハウジング部12a〜12cの内周面には、光を反射するリフレクタが設けられており、前部にはレンズ12d〜12fが取付けられている。
【0026】
第一のハウジング部12aの側部には、図8,9に示すようにターンシグナルランプ11aのバルブ13が装着されたソケット17が取付けられる。ソケット17は、図3に示すようにバルブ側部材17aの外周面に複数の取付凸部17cを有している。取付凸部17cは、第一のハウジング部12aに挿入された状態で回転されることで第一のハウジング部12aに形成された係合部12a1に係合する(図9参照)。
【0027】
第二のハウジング部12bの後部(背部)には、図8に示すようにハイビーム11bとクリアランスランプ11cのバルブ14,15が装着されたソケット18,19が回転して取付けられる。第三のハウジング部12cの後部には、ロービーム11dのバルブ16が装着されたソケット20が回転して取付けられる。ソケット17〜20のバルブ側部材17a〜20aには、車両側に配設された電源ケーブル側部材(例えば17b)が接続される。これにより車両バッテリからの電力がバルブ13〜16に供給され得る。
【0028】
バルブ13〜16は、フィラメント(例えば図3に示す13a)を有している。バルブ13〜16は、フィラメントが切れた場合などにおいてハウジング12に対して交換され、工具1を利用してバルブ13,15が交換され得る。バルブ13を交換する場合、先ず、図7,10に示すように車両10のフード10bを開ける。次に、エンジンルーム10aの上方からヘッドランプユニット11の後部に工具1を挿入する。工具1は、アーム4によってヘッドランプユニット11とその近傍部品(ラジエター,ラジエターサポート等)の隙間に嵌合部2が挿入され得る。そしてハウジング12から突出するソケット17の一端部に嵌合部2を嵌合させる。
【0029】
次に、図10に示すようにリブ8を利用してアーム4を軸中心に回転させ、工具1によってソケット17をハウジング12に対して回転させる。これによりソケット17がハウジング12から係止解除される。次に、工具1を軸方向に移動させる。この時、嵌合部2は、その内周面の摩擦抵抗によってソケット17を保持している。そのためソケット17とバルブ13が工具1によってハウジング12から引き抜かれる。バルブ13を交換し得る位置までソケット17を移動させて、古いバルブ13をソケット17から取外し、新しいバルブ13をソケット17に装着する。
【0030】
次に、ソケット17を嵌合部2に嵌合し、工具1によってソケット17をハウジング12に挿入して回転させる。これによりソケット17がハウジング12に装着される。かくしてターンシグナルランプ11aのバルブ13が交換され得る。同様に、工具1の嵌合部3とリブ7とを利用して、クリアランスランプ11cのバルブ15を交換することができる。
【0031】
以上のように工具1は、図3に示すようにソケット17の一端部に回転方向への回転が規制された状態で嵌合する嵌合部2と、嵌合部2から延出するアーム4と、ソケット17の一端部から延出する電源ケーブル21を逃がすための逃がし部5を有している。
【0032】
したがって嵌合部2をソケット17に嵌合させた状態で工具1を回転させることで、ソケット17をハウジング12に対して回転させることができる(図10参照)。また工具1は、嵌合部2から延出するアーム4を有しているために、手を挿入することが容易でない隙間に嵌合部2を挿入することができる。そのため狭い空間内でソケット17をハウジング12に回転させて着脱させ得る。またソケット17から延出する電源ケーブル21は、逃がし部5によって工具1とソケット17とに挟まれることが防止され得る。そのため電源ケーブル21が破損することが逃がし部5によって防止され得る。
【0033】
また工具1は合成樹脂製であり、図3に示すように嵌合部2は、開口部2aと側壁部2bを有している。側壁部2bは、開口部2a側の内周径が大きくかつ他端部側の内周径が小さくなるテーパ状の内周面を有している。したがって嵌合部2は、開口部2a側において内周径が大きいためにソケット17を開口部2a側から受入れやすい。また嵌合部2は、他端側において内周径が小さいために、他端側がソケット17に近接してソケット17を安定良く保持し得る。さらに工具1は、合成樹脂製であるために、金属製等に比べて弾性変形しやすい。そのため嵌合部2が弾性変形し得るために、嵌合部2がソケット17を受入れやすくかつ保持しやすい。また嵌合部2がソケット17を保持しやすいために、嵌合部2が視認し難い位置においてソケット17を保持し、ソケット17を工具1によって視認しやすい位置まで移動させ得る。そのためソケット17が狭い場所でしかも視認し難い場所に位置する場合であっても、工具1によってソケット17をハウジング12から取外しかつソケット17をバルブ13を交換し得る位置まで移動させ得る。
【0034】
また逃がし部5は、図3に示すように第一スリット部5aと第一スリット部5aよりもスリット幅の狭い第二スリット部5bを有している。したがって嵌合部2にソケット17を嵌合させる際に、電源ケーブル21の一部が第一スリット部5aと第二スリット部5bによってアーム4内に設置され得る。しかもスリット幅が第二スリット部5bよりも第一スリット部5aにおいて広くなるために、電源ケーブル21が第一スリット部5aから受け入れられやすく、かつ第二スリット部5b側へ案内されやすい。そして電源ケーブル21の一部が第二スリット部5bによってアーム4の内側から外側へ延出され得る。また逃がし部5は、第一スリット部5aと第二スリット部5bを連続して有するために、簡易でかつ安価に形成され得る。
【0035】
また第一スリット部5aと第二スリット部5bは、図3に示すように開口部5a側から除々にスリット幅が小さくなっている。また嵌合部2aの内周面も開口部5a側から除々に内周径が小さくなっている。したがって第一スリット部5aおよび第二スリット部5bと嵌合部2aは、成形する際に開口部2a側への抜き方向のライド型によって成形され得る。
【0036】
また嵌合部2,3は、図1に示すようにアーム4の両端に配置される。図4,5に示すように一方の嵌合部2,3の外周面には、他方の嵌合部2,3をソケット17,19に挿入する際の工具1の向きに関する挿入情報(1a,1c)が示されている。したがってアーム4の両端に形状の異なる嵌合部2,3を設けることで、工具1は二種類のソケット17,19に対応し得る。また一方の嵌合部2,3を外方から視認し難い場所にあるソケット17,19に嵌合させる場合には、他方の嵌合部2,3に示された挿入情報(1a,1c)を利用しつつ工具1の向きを決定し得る。そのため外方から視認し難い場所にあるソケット17,19に対しても嵌合部2,3を容易に嵌合させ得る。
【0037】
アーム4は、図1に示すように嵌合部2,3の開口部2a,3aと反対側の端部から開口部2a,3aと反対側へ略直線状に延出している。したがってアーム4を軸方向(延出方向)に移動させることで、嵌合部2,3をソケット17,19(図8参照)に嵌合させることができる。そのためアーム4が曲がっている形態に比べて、嵌合部2,3をソケット17,19に位置決めしやすく、かつ嵌合する方向へ力を加えやすい。かくしてソケット17,19を嵌合部2,3に嵌合させやすい。
【0038】
またアーム4は、図1,10に示すようにソケット17をハウジング12に対して回転させる際の回転軸と略平行に延出している。アーム4と嵌合部3の外周面には、径方向に突出するリブ7,8が形成されている。したがって工具1は、リブ7,8を利用して回転されることでアーム4を回転中心とするトルクを受けやすい。そのため工具1は、ソケット17にトルクを加えやすく、ソケット17をハウジング12に対して着脱させやすい。
【0039】
(他の実施の形態)
本発明は、上記実施の形態に限定されず、以下の形態等であっても良い。
(1)上記実施の形態の工具1は、ヘッドランプユニット11のターンシグナルランプ11aとクリアランスランプ11cのソケット17,19に対応する嵌合部2,3を有している。しかし工具が他のランプ(ハイビーム、ロービーム)のソケットに対応する嵌合部を有する形態等であっても良い。
(2)上記実施の形態の工具1は、ヘッドランプユニット11のランプに対応するソケットに嵌合する嵌合部2,3を有している。しかしテールランプユニットなどに設けられるターンシグナルランプ、バックランプ、ストップランプ等に対応するソケットに嵌合し得る嵌合部を有する工具であっても良い。
(3)上記実施の形態の工具1のアーム4は、嵌合部2,3から略直線状に軸方向に延出している。しかしアームが嵌合部から湾曲または屈曲して延出する形態、あるいは嵌合部の外周面から延出する形態であっても良い。
(4)上記実施の形態の工具1の逃げ部5,6は、嵌合部2,3とアーム4に形成され、電源ケーブル21が工具1とソケット等に挟まれることを防止している。しかし逃げ部が嵌合部のみに形成されており、アームが電源ケーブルの邪魔にならない位置において延出している形態であっても良い。あるいは逃げ部がアームのみに形成され、嵌合部がソケットの側方から嵌合される形態等であっても良い。
(5)上記実施の形態の嵌合部2,3の側壁部2b,3bは、開口部2a,3a側の内周径が大きく、他端側の内周径が小さくなるテーパを備える内周面を有している。しかし内周面がテーパではなく、開口部側から他端部側へ段々と内周径が小さくなる形状を有していても良い。
(6)上記実施の形態の工具1は、嵌合部2,3とアーム4を一体に有している。しかしアームと、アームに脱着可能に取付けられる嵌合部を有する形態であっても良い。これにより一つのアームに複数種類の嵌合部を取付けることができる。
(7)上記実施の形態の嵌合部2,3は、ソケット17,19を回転軸方向に受入れる開口部2a,3aを有している。しかし嵌合部がソケットをソケットの側方から受入れる開口部を有する形態であっても良い。
(8)上記実施の形態の工具1は、アーム4の両端部に嵌合部2,3を有している。しかし一端部のみに嵌合部を有している形態であっても良い。
【符号の説明】
【0040】
1…車両ランプ用工具
1a,1c…印(挿入情報)
2,3…嵌合部
2a,3a…開口部
2b,3b…側壁部
4…アーム
5,6…逃がし部
5a,6a…第一スリット部
5b,6b…第二スリット部
7,8…リブ
10…車両
11…ヘッドランプユニット
11a…ターンシグナルランプ(車両ランプ)
11b…ハイビーム(車両ランプ)
11c…クリアランスランプ(車両ランプ)
11d…ロービーム(車両ランプ)
12…ハウジング
13〜16…バルブ
17〜20…ソケット
17a〜20a…バルブ側部材
17b…電源ケーブル側部材
21…電源ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブが装着されたソケットをハウジングに回転させて着脱する際に使用し得る車両ランプ用工具であって、
前記ハウジングから突出する前記ソケットの一端部に前記回転方向への回転が規制された状態で嵌合する嵌合部と、前記嵌合部から延出するアームと、前記ソケットの前記一端部から延出する電源ケーブルを逃がすための逃がし部を有する車両ランプ用工具。
【請求項2】
請求項1に記載の車両ランプ用工具であって、
前記車両ランプ用工具は合成樹脂製であり、
嵌合部は、ソケットが挿入される開口部と、前記ソケットの側面を覆う略筒状の側壁部とを有し、
前記側壁部は、前記開口部側の内周径が大きくかつ他端部側の内周径が小さくなるテーパ状の内周面を有している車両ランプ用工具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両ランプ用工具であって、
嵌合部は、ソケットが挿入される開口部と、前記ソケットの側面を覆う側壁部を有し、
逃がし部は、前記嵌合部の前記開口部側の一端部から他端部に延出する第一スリット部と、前記第一スリット部から延出してアームに延出しかつ前記第一スリット部よりもスリット幅の狭い第二スリット部を有し、前記ソケットから延出する電源ケーブルが前記アームの内側から外側に前記第二スリット部を通って延出され得る車両ランプ用工具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の車両ランプ用工具であって、
嵌合部は、ソケットが挿入される開口部を有するとともに、アームの両端に配置され、
一方の嵌合部の外周面には、他方の嵌合部をソケットに挿入する際の工具の向きに関する挿入情報が示されている車両ランプ用工具。
【請求項5】
請求項4に記載の車両ランプ用工具であって、
アームは、ソケットをハウジングに回転させて着脱する際の回転軸と略平行に延出し、
前記アームと嵌合部の少なくとも一つの外周面には、径方向に突出するリブが形成されている車両ランプ用工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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