説明

車両ルーフの調整可能な閉鎖要素のための制御棒

【課題】本発明は、車両ルーフ(12)の調整可能な閉鎖要素(16)のための制御棒(18)に関するものである。
【解決手段】調整可能な閉鎖要素(16)は、選択的に、閉鎖位置においてルーフ開口部(14)を閉鎖するように、又は、別の位置においてルーフ開口部を少なくとも部分的に開放するように設計されている。制御棒(18)は引き抜きばね鋼線から形成されている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ルーフの調整可能な閉鎖要素のための制御棒に関する。
【背景技術】
【0002】
車両ルーフの閉鎖要素に使用するための、更にまた、他の運動学的連続工程を制御するための制御棒は、薄鋼板から製作することができる。薄鋼板は、適当な形状を形成するために、及び、別の要素、例えばスライド体及び制御要素を固定するために、スタンピング加工及び曲げ加工することができる。薄鋼板のスタンピング加工は、非常に複雑なスタンピング工具を必要とすることがあり、このようなスタンピング工具は非常に大きな費用がかかる可能性がある。また、スタンピング加工中の大きな機械力が原因で、スタンピング工具の耐用年数が非常に短くなる恐れがある。従って、これらの制御棒を製造するために薄鋼板をスタンピング加工する費用は、非常に高くなる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、信頼性のある正確な動作を可能にし、且つ、費用対効果に優れた製造が可能である、車両ルーフの調整可能な閉鎖要素のための制御棒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、車両ルーフの調整可能な閉鎖要素のための制御棒によって解決される。調整可能な閉鎖要素は、選択的に、閉鎖位置においてルーフ開口部を閉鎖するように、又は、別の位置においてルーフ開口部を少なくとも部分的に開放するように設計されている。制御棒は、引き抜きばね鋼線から形成されている。
【0005】
調整可能な閉鎖要素は、特に、スライドルーフパネル、チルトスライドパネル又はスライド式天井であることが可能である。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る制御棒の利点は、ばね鋼線が適切に構成された半製品として既に入手できることである。従って、ばね鋼線をスタンピング加工することはもはや必要ではない。ばね鋼線は、圧延、押圧、据え込み及びその他の成形方法によって簡単に所望の最終形状に成形できる。従って、ばね鋼線を加工するための工具の長い耐用年数を実現することができる。更に、制御棒を製造する際の材料損失は、低く抑えられる。その結果、制御棒のために必要とされる材料消費はわずかになる。従って、費用対効果に優れた方式で制御棒を製造することが可能である。
【0007】
有利な1実施形態では、引き抜きばね鋼線が角線である。角線は、特に正確に曲げ加工することができる。更に、角線は、押圧又は据え込みによって容易に所定の高さ及び幅にすることができる。
【0008】
本発明のその他の有利な実施形態は、従属請求項に記されている。
【0009】
本発明について、以下において、実施例を参照しながら更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】車両ルーフの斜視図を示す。
【図2】車両ルーフの調整可能な閉鎖要素の制御棒及びその他の部品の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図のいずれにおいても、同じ構造又は機能の要素は同じ参照番号によって表示されている。
【0012】
車両ルーフ12を具備する自動車10が図1に示されている。車両ルーフ12は、自動車10の車体の一部を形成し、ルーフ開口部14を備えている。ルーフ開口部14は、ルーフ開口部14の領域で変位可能である閉鎖要素16を用いて選択的に閉鎖すること、又は部分的に開放することができる。
【0013】
ここに示された実施形態では、閉鎖要素16はスライドルーフパネルであり、これは、例えば、内部又は外部で案内されるスライドルーフパネルとして構成することができる。また、車両ルーフ12の別の実施形態では、スライドルーフパネルの代わりにチルトスライドルーフ又はスライド式天井を配置することもできる。また、車両ルーフ12は、更に別のスライドルーフパネル、チルトスライドパネル又はスライド式天井を具備していてもよい。
【0014】
調整可能な閉鎖要素16は制御棒18に連結されている。制御棒18はスライド体20に連結されている。更に、自動車10を基準にして、制御棒18は、後方制御要素22及び前方制御要素24に連結されている。
【0015】
例えば、スライド体20は、車両ルーフ12に連結された案内レール内をスライドすることができる。これらの案内レールは、特に自動車10を基準にして、ルーフ開口部14の右側方及び左側方に配置することができる。スライド体20が案内レール内をスライドすることにより、スライド体は、制御棒18が車両の長手方向に移動できることを可能にする。
【0016】
後方制御要素22は、好ましくは制御駆動部に連結されており、この制御駆動部を用いることで、制御棒18は車両の長手方向に変位可能であり、制御棒18の位置を車両の長手方向に固定することができる。
【0017】
前方制御要素24は、制御棒18が閉鎖要素16に連結されることを可能にする。車両ルーフ12を基準とした車両の長手方向における閉鎖要素16の相対移動は、車両ルーフ12の案内レールの中を制御棒18を案内することによって実現される。この相対移動によって、閉鎖要素16は、車両の長手方向に変位及び/又は上昇又は下降することができ、これにより、ルーフ開口部14を閉鎖又は部分的に開放することが可能となる。
【0018】
制御棒18は、引き抜きばね鋼線から形成されている。引き抜きばね鋼線から製作された制御棒18の場合、ばね鋼線をスタンピングによって加工する必要がない。ばね鋼線は、圧延、押圧又は据え込みによって簡単に所望の形状に成形することが可能である。従って、ばね鋼線を曲げ加工することによって、前記ばね鋼線は、制御棒18にとって望ましい形態を有することができる。
【0019】
ばね鋼線を押圧すること、又は局所的に圧延することによって、制御棒18は、所望の箇所に所望の高さ及び幅を得ることができる。従って、特に、制御棒18の高さ又は幅を局所的に小さくすることができる。また、ばね鋼線を据え込み加工することによって、選定した領域において、制御棒18は、当初のばね鋼線に比して拡大された断面を有することができる。
【0020】
選定した領域において、適切なスライド体20並びに後方制御要素22及び前方制御要
素24は、制御棒18に設置することができる。
【0021】
スライド体20は、特に適切な確動結合、例えば螺入又は装着によって制御棒18に連結できる。或いはまた、スライド体20は、制御棒18の周囲に射出成形により形成して、制御棒に結合することもできる。
【0022】
ばね鋼線が圧延、押圧又は据え込みによって加工される場合、ばね鋼線を加工するための工具の長い耐用年数が実現できる。ばね鋼線の場合、材料除去加工が必要ではなく、従って廃材が生じないので、制御棒18にばね鋼線を用いることによって、制御棒18に対する材料消費を非常に低く抑えることができる。従って、制御棒18を製造する際に、材料使用量の点でもその製造方法の実施の点でも低コストが実現できる。
【0023】
更に、曲げ、圧延又は押圧のための諸工具を用いることによって、ばね鋼線を加工するための工具の長い耐用年数が実現できる。
【0024】
制御棒18のための引き抜きばね鋼線は、特に角線として構成されている。角線は、非常に精密に曲げ加工又は圧延加工することができる。
【0025】
更に、ばね鋼線を押圧又は据え込み加工することによって、ばね鋼線の、ひいては制御棒18の所定の高さ及び/又は幅を容易に得ることができる。
【0026】
本発明は、上述した実施例に限定されるわけではない。特に、様々な実施例の諸特徴を互いに組み合わせることも可能であり、従って、この種の構成もまた本発明に含まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ルーフ(12)の調整可能な閉鎖要素(16)のための制御棒(18)であって、調整可能な閉鎖要素(16)が、選択的に、閉鎖位置においてルーフ開口部(14)を閉鎖するように、又は、別の位置において前記ルーフ開口部を少なくとも部分的に開放するように設計されている制御棒において、
制御棒(18)が引き抜きばね鋼線から形成されていることを特徴とする制御棒(18)。
【請求項2】
引き抜きばね鋼線が角線であることを特徴とする請求項1に記載の制御棒(18)。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−505168(P2013−505168A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530125(P2012−530125)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際出願番号】PCT/DE2010/001101
【国際公開番号】WO2011/035763
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(506027147)ヴェバスト ソシエタス エウロペア (7)
【氏名又は名称原語表記】Webasto Societas Europaea