説明

車両乗換案内装置及び車両乗換案内方法

【課題】目的地までの走行によってバッテリ残量を不足させることなく、また、走行の制限がされることのない利便性が高い効率的な車両の共有システムを実現した車両乗換案内装置及び車両乗換案内方法を提供する。
【解決手段】外部電源から充電を行うことなく目的地まで駆動モータ7を駆動源として走行できないと判定された乗換希望車両から乗り換え希望情報が乗換管理サーバ1へと送信され、乗換管理サーバ1は、乗換希望車両が乗換地点から乗換対象車両の目的地まで外部電源から充電を行うことなく駆動モータ7で走行可能となり、乗換対象車両が乗換地点から乗換希望車両の目的地まで外部電源から充電を行うことなく駆動モータ7で走行可能となる条件を満たすように、乗換地点及び乗換対象車両を検索し、検索された乗換地点を乗換希望車両及び乗換対象車両にそれぞれ案内するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両間における乗り換えの案内を行う車両乗換案内装置及び車両乗換案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
また、近年においては、エンジンを駆動源とするガソリン車以外にもバッテリから供給される電力に基づいて駆動されるモータを駆動源とする電気自動車や、モータとエンジンを併用して駆動源とするハイブリッド車両等が存在する。
【0003】
そして、このような電気自動車やハイブリッド車両が備えるバッテリの充電を行う方法としては、車両走行中において減速時や降坂路走行中に発生するモータの回生電力で充電を行う方法、エンジンに基づいて駆動される発電機を用いて充電を行う方法、自宅や専用の充電施設で充電を行う方法がある。また、このような電気自動車やハイブリッド車両では、バッテリが満充電の状態であっても、モータのみを駆動源として走行可能な距離はそれほど長くない。また、自宅や専用の充電施設で充電を行う場合において、バッテリの充電を行うのに必要な充電時間はガソリン車の給油時間と比較して非常に長い。従って、目的地までの走行途中に充電施設に立ち寄ってバッテリの充電を行うこととすると、目的地への到着時刻が遅くなる問題がある。
【0004】
また、従来より、地球温暖化が懸念されている現在、乗用車やトラックなどの車両を効率的に利用することが社会的な重要課題となっている。そこで、電気自動車やハイブリッド車両をユーザ個人の所有とするのではなく、不特定多数のユーザに共有させることにより効率化を図ることが考えられている。例えば、特開平11−313403号公報には、電気自動車やハイブリッド車両を複数のユーザに共有させるシステムにおいて、利用者が管理施設において目的地を入力すると、管理施設内にある複数の車両の中から目的地まで走行することが可能なバッテリ残量を備えた車両を選択してユーザに供給するシステムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−313403号公報(第3頁〜第5頁、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムでは、管理施設からユーザが入力した目的地までの走行についてバッテリ残量を保証するものであった。ここで、不特定多数のユーザに車両を共有させる場合には、管理施設以外の場所においても乗員の乗り換えなどを行うことによって、より動的な運用を行った方が効率的である。しかし、上記特許文献1に記載のシステムでは、乗り換えを行う場所が特定の管理施設に限定される為、適用できない問題があった。従って、例えばユーザが走行開始後にバッテリ残量が充足する他の車両に乗り換えを希望する場合であっても、管理施設に立ち寄る必要が生じていた。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、電気自動車やハイブリッド車両を不特定多数のユーザに共有させる共有システムにおいて、目的地への走行中において車両間の乗り換えを案内することによって、より動的で利便性の高い上記共有システムを実現した車両乗換案内装置及び車両乗換案内方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る車両乗換案内装置(1、2)は、第1車両の第1目的地を取得する第1目的地取得手段(20)と、前記第1車両が出発地から走行を開始する際の前記第1車両の第1駆動源(7)に電力を供給する第1車載バッテリ(6)のエネルギ残量を取得するエネルギ残量取得手段(43)と、前記第1車載バッテリのエネルギ残量に基づいて、前記第1車両が前記出発地から前記第1目的地まで、前記第1車載バッテリのエネルギ残量のみで走行できるか否か判定する走行判定手段(43)と、前記走行判定手段により前記第1車両が前記出発地から前記第1目的地まで、前記第1車載バッテリのエネルギ残量のみで走行できないと判定された場合に、乗換地点と、当該乗換地点から前記第1目的地まで当該乗換地点における第2車載バッテリ(6)の残エネルギ量のみで走行できる第2車両と、を検索する乗換対象検索手段(20)と、前記乗換地点を、前記第1車両及び前記第2車両それぞれに案内する乗換地点案内手段(43)と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る車両乗換案内装置(1、2)は、請求項1に記載の車両乗換案内装置であって、前記第2車両の第2目的地を取得する第2目的地取得手段(20)を有し、前記乗換対象検索手段(20)は、前記乗換地点における前記第1車載バッテリ(6)のエネルギ残量と前記第2車載バッテリ(6)のエネルギ残量とをそれぞれ予測し、前記乗換地点における第1車載バッテリのエネルギ残量が、前記乗換地点から前記第2目的地までの走行に必要なエネルギ量以上となり、且つ、前記乗換地点における第2車載バッテリのエネルギ残量が、前記乗換地点から前記第1目的地までの走行に必要なエネルギ量以上となる、条件を満たすように前記乗換地点及び前記第2車両を検索することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る車両乗換案内装置(1、2)は、請求項1又は請求項2に記載の車両乗換案内装置であって、前記第1車両の第1走行予定経路と当該第1走行予定経路上の各地点毎への到達予測時刻を取得する第1車両情報取得手段(20)と、前記第2車両の候補となる候補車両について、候補車両走行予定経路と当該候補車両走行予定経路上の各地点の走行時刻とを取得する候補車両情報取得手段(20)と、を有し、前記乗換対象検索手段(20)は、前記候補車両走行予定経路と前記候補車両走行予定経路上の各地点の走行時刻とに基づいて、前記第1走行予定経路上の各地点毎への前記到達予想時刻に、当該地点の周囲を走行する予定の前記候補車両を特定し、前記候補車両特定手段によって特定された前記候補車両から前記第2車両を検索することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る車両乗換案内装置(1、2)は、請求項3に記載の走行案内装置であって、前記乗換対象検索手段(20)は、前記乗換地点及び前記第2車両の組合せが複数検索された場合、前記乗換地点における前記第1車両の到達予想時刻と前記走行時刻との差が最も小さい前記候補車両を前記第2車両として検索することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る車両乗換案内装置(1、2)は、請求項3又は請求項4に記載の走行案内装置であって、前記乗換対象検索手段(20)は、前記第2車両が周囲を走行する前記地点から最も近い駐車スペースのある施設を前記乗換地点として検索することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る車両乗換案内方法は、第1車両の第1目的地を取得する第1目的地取得ステップと、前記第1車両が出発地から走行を開始する際の前記第1車両の第1駆動源(7)に電力を供給する第1車載バッテリ(6)のエネルギ残量を取得するエネルギ残量取得ステップと、前記第1車載バッテリのエネルギ残量に基づいて、前記第1車両が前記出発地から前記第1目的地まで、前記第1車載バッテリのエネルギ残量のみで走行できるか否か判定する走行判定ステップと、前記走行判定ステップにより前記第1車両が前記出発地から前記第1目的地まで、前記第1車載バッテリのエネルギ残量のみで走行できないと判定された場合に、乗換地点と、当該乗換地点から前記第1目的地まで当該乗換地点における第2車載バッテリ(6)の残エネルギ量のみで走行できる第2車両と、を検索する乗換対象検索ステップと、前記乗換地点を、前記第1車両及び前記第2車両それぞれに案内する乗換地点案内ステップと、を有することを特徴とする。
【0014】
更に、請求項7に係るコンピュータプログラムは、第1車両の第1目的地を取得する第1目的地取得機能と、前記第1車両が出発地から走行を開始する際の前記第1車両の第1駆動源に電力を供給する第1車載バッテリのエネルギ残量を取得するエネルギ残量取得機能と、前記第1車載バッテリのエネルギ残量に基づいて、前記第1車両が前記出発地から前記第1目的地まで、前記第1車載バッテリのエネルギ残量のみで走行できるか否か判定する走行判定機能と、前記走行判定機能により前記第1車両が前記出発地から前記第1目的地まで、前記第1車載バッテリのエネルギ残量のみで走行できないと判定された場合に、乗換地点と、当該乗換地点から前記第1目的地まで当該乗換地点における第2車載バッテリの残エネルギ量のみで走行できる第2車両と、を検索する乗換対象検索機能と、前記乗換地点を、前記第1車両及び前記第2車両それぞれに案内する乗換地点案内機能と、を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の効果】
【0015】
前記構成を有する請求項1に記載の車両乗換案内装置によれば、電気自動車やハイブリッド車両を不特定多数のユーザに共有させる共有システムにおいて、目的地への走行中において車両間の乗り換えを案内することによって、より動的で利便性の高い上記共有システムを実現することが可能となる。
【0016】
また、請求項2に記載の車両乗換案内装置によれば、第1車両が乗換地点から第2車両の目的地である第2目的地まで走行可能となり、第2車両が乗換地点から第1車両の目的地である第1目的地まで走行可能となる条件を満たすように乗換地点及び第2車両を検索するので、車両の乗り換え後において乗り換えを行った各車両が目的地までバッテリ残量を不足させることなく走行を行わせることが可能となる。
【0017】
また、請求項3に記載の車両乗換案内装置によれば、第1車両や候補車両の走行予定経路及び走行時刻を考慮して、適切な車両を第2車両に特定することが可能となる。その結果、乗り換えを行う為にお互いの車両が本来の走行予定経路から大きく経路を外れることを防止できる。また、乗り換えに必要な時間も短縮することが可能となる。
【0018】
また、請求項4に記載の車両乗換案内装置によれば、乗り換えを行う為の各車両の待ち時間を短くすることが可能となる。その結果、スムーズな乗り換えが可能となり、目的地への到着の遅れを防止できる。
【0019】
また、請求項5に記載の車両乗換案内装置によれば、乗り換えを行う為にお互いの車両が本来の走行予定経路から大きく経路を外れることを防止できる。
【0020】
また、請求項6に記載の車両乗換案内方法によれば、電気自動車やハイブリッド車両を不特定多数のユーザに共有させる共有システムにおいて、目的地への走行中において車両間の乗り換えを案内することによって、より動的で利便性の高い上記共有システムを実現することが可能となる。
【0021】
更に、請求項7に記載のコンピュータプログラムによれば、電気自動車やハイブリッド車両を不特定多数のユーザに共有させる共有システムにおいて、目的地への走行中において車両間の乗り換えを案内させることによって、より動的で利便性の高い上記共有システムを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係る車両乗換システムを示した概略構成図である。
【図2】乗換管理情報DBの一例を示した図である。
【図3】本実施形態に係る車両乗換システムの特にナビゲーション装置の構成を示したブロック図である。
【図4】本実施形態に係る乗り換え案内処理プログラムのフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る乗り換え案内処理プログラムのフローチャートである。
【図6】ナビゲーション装置の液晶ディスプレイに表示される乗り換え案内画面を示した図である。
【図7】乗換希望車両の走行予定経路と、走行予定経路上の各地点における乗換希望車両の到達予想時刻を示した図である。
【図8】ステップ15及びステップ16の処理について説明した図である。
【図9】ナビゲーション装置の液晶ディスプレイに表示される乗り換え選択画面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る車両乗換案内装置を乗換管理サーバ1とナビゲーション装置2とに具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係る乗換管理サーバ1とナビゲーション装置2とを含む車両乗換システム3の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る車両乗換システム3を示した概略構成図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る車両乗換システム3は、車両の乗り換えを希望する乗換希望車両や車両の乗り換え対象となる乗換対象車両を含む車両4の状況をリアルタイムで管理する乗換管理サーバ1と、ナビゲーション装置2を車載機として搭載した複数台の車両4とから基本的に構成されている。また乗換管理サーバ1とナビゲーション装置2とはネットワーク通信網5を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。
【0025】
ここで、乗換管理サーバ1は、予め登録された複数台の車両4の状況(現在位置、設定されている目的地及び案内経路(走行予定経路)、残バッテリ量等)を管理するとともに、いずれかの車両(乗換希望車両(第1車両))4から乗り換え希望情報を受信した場合に、他の車両4の内から乗換対象車両とするのに適当な車両4を検索し、検索された車両(乗換対象車両(第2車両))4に対して乗り換えの内容と乗り換えを許可できるかを確認する情報を配信する乗り換え支援装置である。
また、乗換管理サーバ1は、乗り換えの内容と乗り換えを許可できるかを確認する情報が配信された車両(乗換対象車両)4が乗り換えを許可した場合には、乗り換えを希望する車両(乗換希望車両)4と乗り換えを許可した車両(乗換対象車両)4に対して乗換案内に関する情報を配信する。それによって、乗り換えを希望する車両(乗換希望車両)4と乗り換えを許可した車両(乗換対象車両)4との間で乗り換えを行わせる。尚、乗換管理サーバ1の詳細については後述する。
【0026】
また、車両4は、電気エネルギを蓄電するとともに蓄電された電気エネルギを車両4に対して供給するバッテリ6と、バッテリ6から供給される電気エネルギにより駆動される駆動モータ7を備え、外部電源からバッテリ6を充電することができる車両とする。そして、外部電源からバッテリ6を充電することができる車両としては、モータのみを駆動源とする電気自動車や、モータとエンジンを併用して駆動源とするプラグインハイブリッド車両があるが、以下に説明する本実施形態では電気自動車を用いることとする。また、駆動モータ7は、エンジンブレーキ必要時及び制動停止時において回生ブレーキとしても機能し、車両慣性エネルギを電気エネルギとして回生して、バッテリ6を充電することが可能である。尚、ナビゲーション装置2の詳細については後述する。
【0027】
また、ネットワーク通信網5は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、ネットワーク通信網5の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある車両4と乗換管理サーバ1との間で通信を中継する役割を持つ。
【0028】
次に、車両乗換システム3を構成する乗換管理サーバ1の構成について図1を用いてより詳細に説明する。
【0029】
乗換管理サーバ1は、図1に示すように情報管理ECU20と、情報管理ECU20に接続された情報記録手段としての登録情報DB21と、乗換管理情報DB22と、地図情報DB23と、センタ通信装置24とを備える。
【0030】
情報管理ECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)20は、乗り換えを希望する車両(乗換希望車両)4の目的地を取得する乗換希望車両目的地取得処理、乗換希望車両が出発地から走行開始する際のバッテリ6のエネルギ残量を取得するエネルギ残量取得処理、乗換希望車両がバッテリ6のエネルギ残量のみで出発地から目的地まで走行できるか否か判定する走行判定処理、走行判定処理により乗換希望車両が出発地から目的地まで走行できないと判定された場合に、乗換地点と乗換地点で乗換希望車両から乗り換えることによって乗換地点から乗換希望車両の目的地までバッテリ6のエネルギ残量のみで走行できる車両(乗換対象車両)4とを検索する乗換対象検索処理、乗換対象検索処理によって検索された乗換地点を含む乗り換え案内情報を乗換希望車両及び乗換対象車両にそれぞれ送信する処理等の乗換管理サーバ1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU31、並びにCPU31が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか、後述の乗り換え案内処理プログラム(図4、図5)等が記録されたROM33、ROM33から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ34等の内部記憶装置を備えている。
【0031】
また、登録情報DB21は、車両乗換システム3で利用される車両4の登録情報及び車両乗換システム3を利用可能なユーザの登録情報を記憶した記憶手段である。尚、登録情報DB21に記憶される車両4の登録情報としては、車両4の登録ID、車種、ナンバー、通信アドレス等がある。また、ユーザの登録情報としては、識別ID、ユーザの氏名、連絡先等がある。
尚、車両4の通信アドレスとは、車両4に設置されるナビゲーション装置2の通信モジュールのアドレスが相当する。従って、乗換管理サーバ1は登録情報DB21に記憶された情報を参照することによって、特定のナビゲーション装置2(即ち車両4)に対して情報を送信できる。また、情報を受信した場合に送信元のナビゲーション装置2(即ち車両4)を特定することが可能となる。
また、識別IDはユーザの所有する携帯の識別IDを用いる。従って、携帯電話と通信することによって乗換管理サーバ1は識別IDを取得することが可能となる。
【0032】
また、乗換管理情報DB22は、車両4に現在乗車しているユーザを車両4毎に識別するユーザ情報、車両4の現在位置を管理する位置管理情報、車両4のナビゲーション装置2において設定されている目的地及び案内経路(走行予定経路)を管理する走行予定経路管理情報、車両4に搭載されるバッテリ6のエネルギ残量を管理するエネルギ管理情報を記憶する記憶手段である。
ここで、本実施形態に係る車両乗換システム3では、所定時間(例えば60sec)毎に各車両4から乗換管理サーバ1へと登録ID、GPSにより検出した自車の現在位置座標に関する情報、ナビゲーション装置2で設定されている目的地及び案内経路に関する情報、及びバッテリ6のエネルギ残量に関する情報が送信される。そして、乗換管理サーバ1は各車両4から送信された情報に基づいて、乗換管理情報DB22に記憶された位置管理情報、走行予定経路管理情報、エネルギ管理情報を順次更新する。また、ユーザが車両4の乗車を開始した際には、該当する車両4に対応づけて乗車を開始したユーザの識別IDが記憶される。また、車両4の乗り換えを行った場合には、乗り換えとなった各車両4に対応づけて記憶されていたユーザの識別IDが乗り換え後のユーザに対応する識別IDに変更される。図2は乗換管理情報DB22の一例を示した図である。
そして、乗換管理サーバ1は乗換管理情報DB22を参照することによって車両に乗車するユーザ、車両4の現在位置、車両4に搭載されたバッテリ6のエネルギ残量、走行予定経路等をリアルタイムで管理することが可能となる。
【0033】
また、地図情報DB23は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0034】
一方、センタ通信装置24は車両4とネットワーク通信網5を介して通信を行う為の通信装置である。
【0035】
次に、車両乗換システム3を構成する車両4に搭載されたナビゲーション装置2の概略構成について図3を用いて説明する。図3は本実施形態に係るナビゲーション装置2を示したブロック図である。
【0036】
図3に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置2は、自車の現在位置を検出する現在位置検出部41と、各種のデータが記録されたデータ記録部42と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU43と、操作者からの操作を受け付ける操作部44と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ45と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ46と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ47と、乗換管理サーバ1やVICSセンタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール48と、から構成されている。また、ナビゲーション装置2には、車両4に搭載されバッテリ6や駆動モータ7を含む車両4の全体の制御を行う電子制御ユニットである車両制御ECU49が双方向通信可能に接続されている。
【0037】
以下に、ナビゲーション装置2を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部41は、GPS51、車速センサ52、ステアリングセンサ53、ジャイロセンサ54等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ52は、車両4の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両4の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU43に出力する。そして、ナビゲーションECU43は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置2が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置2が備える構成としても良い。
【0038】
また、データ記録部42は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録されたナビ地図情報DB56や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0039】
ここで、ナビ地図情報DB56は、基本的に乗換管理サーバ1の有する地図情報DB23と同様の構成を有しており、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0040】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)43は、目的地が選択された場合に現在位置から目的地までの案内経路を設定する案内経路設定処理、乗り換え希望情報を乗換管理サーバ1に対して送信する処理、乗換管理サーバ1から乗り換え可否情報を受信した場合にユーザの操作に基づいて乗り換えを許可するか拒否するかを選択する処理、乗換管理サーバ1から乗り換え案内情報を受信した場合に乗換地点等の乗り換えに関する情報を案内する乗換案内処理等のナビゲーション装置2の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU61、並びにCPU61が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM62、制御用のプログラムのほか、後述の乗り換え案内処理プログラム(図4、図5)等が記録されたROM63、ROM63から読み出したプログラムを記録するフラッシュメモリ64等の内部記憶装置を備えている。
【0041】
操作部44は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU43は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、液晶ディスプレイ45の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0042】
液晶ディスプレイ45は、車両の室内のセンターコンソール又はパネル面に備え付けられ、通常時において自車位置周辺の地図画像を表示する。また、目的地への案内経路が設定された場合には、地図画像に重畳して案内経路を示す画像を表示する。また、本実施形態に係るナビゲーション装置2では、乗り換え案内情報を乗換管理サーバ1から受信した場合に乗換地点や乗り換え時刻等の乗り換えに関する案内についても表示する。
【0043】
また、スピーカ46は、ナビゲーションECU43からの指示に基づいて走行予定経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0044】
また、DVDドライブ47は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいてナビ地図情報DB56の更新等が行われる。
【0045】
また、通信モジュール48は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。また、本実施形態では乗換管理サーバ1との間で情報を送受信する際にも用いられる。
【0046】
続いて、前記構成を有する車両乗換システム3を構成する乗換管理サーバ1及びナビゲーション装置2において実行する乗り換え案内処理プログラムについて図4、図5に基づき説明する。図4及び図5は本実施形態に係る乗り換え案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、乗り換え案内処理プログラムはナビゲーション装置2が搭載された車両4のACCがONされた後に実行され、乗り換えを希望する車両(乗換希望車両)4から乗り換え希望情報を受信した場合に、他の車両4の内から乗換対象車両とするのに適当な車両4を検索し、乗換希望車両と乗換対象車両とに乗り換え案内に関する情報をそれぞれ案内するプログラムである。尚、以下の図4及び図5にフローチャートで示されるプログラムは、RAM32又はRAM62等に記憶されており、CPU31又はCPU61により実行される。
【0047】
先ず、乗り換えを希望する車両(乗換希望車両)4が搭載するナビゲーション装置2において実施される乗り換え案内処理プログラムについて説明する。
ステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU61は、乗換希望車両の目的地と、目的地へと乗換希望車両が走行を開始する出発地及び出発時刻と、バッテリ6の残エネルギ量とを取得する。尚、目的地としてはナビゲーション装置2においてユーザにより設定された目的地を取得する。また、出発地としては車両の現在位置、自宅又はユーザの設定した任意の地点を取得する。また、出発時刻としては乗換希望車両が既に走行を開始している場合には、走行を開始した時刻を取得し、出発時刻とする。一方、乗換希望車両がまだ走行を開始していない場合には、走行を開始する予定時刻をユーザの入力操作に基づいて取得し、出発時刻とする。また、バッテリ6の残エネルギ量は車両制御ECU49から取得する。
【0048】
次に、S2においてCPU61は、バッテリ6に外部電源から充電することなく乗換希望車両が駆動モータ7を駆動源として出発地(例えば乗換希望車両の現在位置や自宅)から目的地まで走行できるか否か判定する。尚、バッテリ6に外部電源から充電することなく乗換希望車両が駆動モータ7を駆動源として出発地から目的地まで走行できるか否かについては、前記S1で取得したバッテリ6の残エネルギ量と、目的地までの距離、電費(単位エネルギ量当たりの走行距離)、走行中に充電される回生エネルギ量等を考慮して判定する。
【0049】
そして、バッテリ6に外部電源から充電することなく乗換希望車両が駆動モータ7を駆動源として出発地から目的地まで走行できると判定された場合(S2:YES)には、乗り換えに関する案内を行うことなく当該乗り換え案内処理プログラムを終了する。それに対して、バッテリ6に外部電源から充電することなく乗換希望車両が駆動モータ7を駆動源として出発地から目的地まで走行できないと判定された場合(S2:NO)には、S3へと移行する。
【0050】
S3においてCPU61は、乗換管理サーバ1に対して乗り換え希望情報を送信する。尚、乗り換え希望情報には、乗換希望車両の登録IDと前記S1で取得された出発時刻に関する情報を含む。
【0051】
その後、S4においてCPU61は、後述のS20において乗換管理サーバ1から送信された乗り換え案内情報を受信する。尚、乗り換え案内情報は、乗換希望車両と乗換対象車両との間で乗り換えを行う乗換地点、乗換地点までの経路、乗換希望車両及び乗換対象車両が乗換地点に到達する時刻、乗換希望車両及び乗換対象車両を特定する情報(車種、ナンバー)から構成される。
【0052】
次に、S5においてCPU61は、前記S4で受信した乗り換え案内情報に基づいて乗り換えの案内を行う。ここで、図6は前記S5において液晶ディスプレイ45に表示される乗り換え案内画面71を示した図である。
【0053】
図6に示すように、乗り換え案内画面71は、乗換希望車両の周辺の地図画像72と、乗換希望車両の現在位置を示す現在位置マーク73と、乗換地点を示す地点マーク74と、乗り換えに関する案内(乗換地点、乗換対象車両が乗換地点に到達する時刻、乗換対象車両を特定する情報(車種、ナンバー))が表示される情報ウィンドウ75とから構成される。そして、ユーザは乗り換え案内画面71を視認することによって、車両の乗り換えを行うために必要な情報を把握することが可能となる。また、CPU61は、乗り換え案内情報に含まれる乗換地点までの経路をナビゲーション装置2に案内経路として設定する。それによって、乗換希望車両は適切なルートで乗換地点へと到達することが可能となり、また、乗り換えをスムーズに行うことが可能となる。
【0054】
また、CPU61は乗換地点で乗り換えが行われた後は、乗換対象車両において目的地に設定されていた地点を新たに目的地に設定し、新たに設定された目的地までの案内経路を設定する。それによって、乗り換えが行われた後は、乗換対象車両に乗車していたユーザの希望する目的地まで走行を案内することが可能となる。尚、乗換対象車両において目的地に設定されていた地点については乗換管理サーバ1から送信される。
【0055】
次に、乗換管理サーバ1において実施される乗り換え案内処理プログラムについて説明する。
S11において、CPU31は、前記S3において乗換希望車両から送信された乗り換え希望情報を受信する。尚、乗り換え希望情報は、乗換希望車両の登録ID、出発時刻に関する情報を含む。
【0056】
次に、S12においてCPU31は、前記S11で取得した乗り換え希望情報と乗換管理情報DB22(図2)とに基づいて、乗換希望車両のナビゲーション装置2に設定されている案内経路を、乗換希望車両の走行予定経路として取得する。
【0057】
続いて、S13においてCPU31は、前記S12で取得した走行予定経路を乗換希望車両が走行する際において、経路上の各地点における乗換希望車両の到達予想時刻を算出する。ここで、経路上の各地点とは、ノードでも良いし、所定距離(例えば500m)毎に設定された点であっても良い。
【0058】
また、S14においてCPU31は、乗換管理情報DB22(図2)に基づいて、登録されている各車両4に関する車両情報(現在位置、バッテリ残量、目的地、案内経路等)を取得する。尚、乗換管理情報DB22は前記したように所定時間(例えば60sec)毎に各車両4から送信される情報に基づいてリアルタイムに更新される。
【0059】
その後、S15においてCPU31は、前記S14で取得した車両4の車両情報に基づいて、前記S13で算出された走行予定経路上の各地点の到達予想時刻において各地点の周辺に位置すると予測される車両4を検索する。具体的には、各車両4の走行予定経路及び該走行予定経路上の各地点の走行時刻を予測し、予測結果と乗換希望車両の走行予定経路上の各地点の到達予想時刻とを比較して検索する。ここで、図7は、乗換希望車両81の走行予定経路82と、走行予定経路82上の各地点における乗換希望車両81の到達予想時刻を示した図である。図7に示す例では、乗換希望車両81は出発地を10時00分に出発し、地点Aに10時05分に到達し、地点Bに10時09分に到達すると予測される。従って、前記S15の処理では、CPU31は、地点Aの周辺(例えば500km以内)に10時05分前後(例えば、前後10分以内)に存在する車両4を検索する。また、地点Bの周辺(例えば500m以内)に10時09分前後(例えば、前後10分以内)に存在する車両4を検索する。同様に地点C以降の各地点についても検索する。但し、乗換希望車両81のバッテリ6の残エネルギ量が駆動モータ7によって走行ができなる下限値(例えば、バッテリ容量の30%)に到達する走行終了地点以降の地点(図7では地点H)については検索対象としない。
【0060】
続いて、S16においてCPU31は前記S15の検索結果と前記S14で取得した車両4の車両情報に基づいて、乗換対象車両及び乗換希望車両と乗換対象車両との間で乗り換えを行う乗換地点とをそれぞれ特定する。尚、CPU31は、乗換希望車両が乗換地点から乗換対象車両の目的地まで外部電源から充電を行うことなく駆動モータ7で走行可能となり、乗換対象車両が乗換地点から乗換希望車両の目的地まで外部電源から充電を行うことなく駆動モータ7で走行可能となる条件を満たすように、乗換地点及び乗換対象車両を検索し、条件を満たす乗換地点及び乗換対象車両の組み合せを特定する。
具体的には、CPU31は以下の(A)〜(D)の処理を実行する。
(A)前記S15において検索された車両4を乗換対象車両の候補車両とする。
(B)候補車両毎に、乗換希望車両が乗換地点から候補車両の目的地まで外部電源から充電を行うことなく駆動モータ7で走行可能となり、候補車両が乗換地点から乗換希望車両の目的地まで外部電源から充電を行うことなく駆動モータ7で走行可能となる条件(即ち、乗換地点における乗換希望車両のバッテリ6のエネルギ残量が乗換地点から候補車両の目的地までの走行に必要なエネルギ量以上であり、且つ、乗換地点における候補車両のバッテリ6のエネルギ残量が乗換地点から乗換希望車両の目的地までの走行に必要なエネルギ量以上となる条件)を満たす乗換地点を設定できるか否か判定する。尚、判定には、以下の(1)〜(6)のパラメータが用いられる。(1)乗換地点における乗換希望車両と候補車両のバッテリ残量、(2)乗換地点から乗換希望車両の目的地までの距離と乗換地点から候補車両の目的地までの距離、(3)乗換希望車両の電費、(4)乗換対象車両の電費、(5)乗換希望車両の走行中に充電される回生エネルギ量、(6)乗換対象車両の走行中に充電される回生エネルギ量。また、乗換地点は、前記S15で検索基準となった乗換希望車両の走行予定経路上の地点、即ち、乗換希望車両と候補車両が所定時間内(例えば、10分以内)に所定距離以内(例えば500km以内)に接近すると判定された地点から最も近い駐車スペースのある施設とする。
(C)乗換地点が設定できた場合には、候補車両と設定できた乗換地点とを組み合わせて記憶する。
(D)全ての候補車両について、(B)及び(C)の処理を行った後、候補車両と乗換地点の組み合せが複数ある場合には、乗換地点への乗換希望車両の到達予想時刻と候補車両の走行時刻の差が最も小さくなる組合せを選択する。そして、選択された組合せを乗換地点と乗換対象車両にそれぞれ特定する。
【0061】
以下に、図8を用いて前記S15、S16の処理について具体例を挙げて説明する。図8は、乗換希望車両81が走行予定経路82を走行して目的地83へと走行する予定であって、交換対象車両への乗り換えを希望した場合の例を示した図である。図8に示す例では、前記S15の処理で地点Dの周辺(例えば500km以内)に10時18分前後(例えば、前後10分以内)に存在する候補車両84と、地点Fの周辺(例えば500km以内)に10時28分前後(例えば、前後10分以内)に存在する候補車両85とが検索された場合を示す。その場合において、候補車両85については、地点Fから最も近い駐車スペースのある施設86で乗り換えを行った場合に、乗換希望車両81が施設86から候補車両85の目的地87まで外部電源から充電を行うことなく駆動モータ7で走行可能できない。従って、候補車両85と施設86の組合せは乗換対象車両と乗換地点から除外される。一方、候補車両84については、地点Dから最も近い駐車スペースのある施設88で乗り換えを行った場合に、乗換希望車両81が施設88から候補車両84の目的地89まで外部電源から充電を行うことなく駆動モータ7で走行可能できる。更に、候補車両84についても施設88から乗換希望車両81の目的地83まで外部電源から充電を行うことなく駆動モータ7で走行可能できる。従って、候補車両84と施設88の組合せは乗換対象車両と乗換地点として特定される。
【0062】
その後、S17においてCPU31は、前記S16で特定された乗換対象車両に対して、乗り換えを許可するか否かを確認する為の乗り換え可否情報を送信する。尚、乗り換え可否情報には、乗換希望車両の車種、乗換地点、乗換地点に乗換希望車両が到達する時刻等が含まれる。そして、乗り換え可否情報が送信された乗換対象車両は、後述のように受信した乗り換え可否情報に基づいて乗り換えを許可するか否かの判断を行う。
【0063】
次に、S18においてCPU31は、前記S17で乗り換え可否情報を送信した乗換対象車両から折り返し送信された乗り換え許可情報又は乗り換え拒否情報を受信する。
【0064】
そして、S19においてCPU31は、前記S18で受信した情報が乗り換え許可情報又は乗り換え拒否情報のいずれであるか判定する。ここで、乗り換え許可情報は乗り換え可否情報が送信された乗換対象車両が乗り換えを許可した場合に、乗換対象車両から送信(S25)される情報である。一方、乗り換え拒否情報は乗り換え可否情報が送信された乗換対象車両が乗り換えを拒否した場合に、乗換対象車両から送信(S27)される情報である。
【0065】
そして、前記S18で受信した情報が乗り換え許可情報であると判定された場合(S19:YES)には、S20へと移行する。一方、前記S18で受信した情報が乗り換え拒否情報であると判定された場合(S19:NO)には、当該乗り換え案内処理プログラムを終了する。尚、前記S18で受信した情報が乗り換え拒否情報であると判定された場合(S19:NO)には、乗換希望車両に対して乗換対象車両が存在しないことを案内するように構成しても良い。
【0066】
S20においてCPU31は、乗り換え希望情報の送信元である乗換希望車両と乗り換えを許可した乗換対象車両に対して乗り換え案内情報をそれぞれ送信する。尚、乗り換え案内情報は、乗換希望車両と乗換対象車両との間で乗り換えを行う乗換地点、乗換地点までの経路、乗換希望車両及び乗換対象車両が乗換地点に到達する時刻、乗換希望車両及び乗換対象車両を特定する情報(車種、ナンバー)から構成される。乗り換え案内情報を受信した乗換希望車両は、上述したように受信した乗り換え案内情報に基づいて乗り換えの案内を行う(S5)。同じく、乗り換え案内情報を受信した乗換対象車両は、受信した乗り換え案内情報に基づいて乗り換えの案内を行う(S26)。
【0067】
続いて、前記S16で乗換対象車両に特定された車両4が搭載するナビゲーション装置2において実施される乗り換え案内処理プログラムについて説明する。
S21において、CPU61は、前記S17において乗換管理サーバ1から送信された乗り換え可否情報を受信する。尚、乗り換え可否情報には、乗換希望車両の車種、乗換地点、乗換地点に乗換希望車両が到達する時刻等が含まれる。
【0068】
その後、S22においてCPU61は、前記S21で受信した乗り換え可否情報に基づいて、乗り換えを許可するか否かをユーザに選択させる乗り換え選択画面を液晶ディスプレイ45に表示する。ここで、図9は前記S22においてナビゲーション装置2の液晶ディスプレイ45に表示される乗り換え選択画面91を示した図である。
【0069】
図9に示すように乗り換え選択画面91は、自車周辺の地図画像とともに、乗換地点を示すマーク92と、乗換地点と乗換希望車両に関する情報を示す情報ウィンドウ93が表示される。また、情報ウィンドウ93には、乗り換えを許可するか否かの選択肢についても表示される。そして、乗換対象車両のユーザは、情報ウィンドウ93に表示された選択肢を選択することにより、乗り換えを許可するか拒否するかを選択する。
【0070】
次に、S23においてCPU61は、乗換対象車両のユーザが乗り換えを許可したか否かを判定する。そして、乗換対象車両のユーザが乗り換えを許可したと判定された場合(S23:YES)には、乗り換え許可情報を乗換管理サーバ1へと送信する(S24)。その後、S25へと移行する。それに対して、乗換対象車両のユーザが乗り換えを拒否したと判定された場合(S23:NO)には、乗り換え拒否情報を乗換管理サーバ1へと送信する(S27)。その後、当該乗り換え案内処理プログラムを終了する。
【0071】
S25においてCPU61は、前記S20において乗換管理サーバ1から送信された乗り換え案内情報を受信する。乗換希望車両と乗換対象車両との間で乗り換えを行う乗換地点、乗換地点までの経路、乗換希望車両及び乗換対象車両が乗換地点に到達する時刻、乗換希望車両及び乗換対象車両を特定する情報(車種、ナンバー)から構成される。
【0072】
次に、S26においてCPU61は、前記S25で受信した乗り換え案内情報に基づいて乗り換えの案内を行う。具体的には、乗換地点、乗換地点までの経路、乗換希望車両が乗換地点に到達する時刻、乗換希望車両を特定する情報(車種、ナンバー)等が案内される。それによって、乗換対象車両は適切なルートで乗換地点へと到達することが可能となり、また、乗り換えをスムーズに行うことが可能となる。
【0073】
また、CPU61は乗換地点で乗り換えが行われた後は、乗換希望車両において目的地に設定されていた地点を新たに目的地に設定し、新たに設定された目的地までの案内経路を設定する。それによって、乗り換えが行われた後は、乗換希望車両に乗車していたユーザの希望する目的地まで走行を案内することが可能となる。尚、乗換希望車両において目的地に設定されていた地点については乗換管理サーバ1から送信される。
【0074】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る乗換管理サーバ1、ナビゲーション装置2、及び各装置により実行される車両乗換案内方法では、外部電源から充電を行うことなく目的地まで駆動モータ7を駆動源として走行できないと判定された乗換希望車両から乗り換え希望情報が乗換管理サーバ1へと送信され(S3)、乗換管理サーバ1は、乗換希望車両が乗換地点から乗換対象車両の目的地まで外部電源から充電を行うことなく駆動モータ7で走行可能となり、乗換対象車両が乗換地点から乗換希望車両の目的地まで外部電源から充電を行うことなく駆動モータ7で走行可能となる条件を満たすように、乗換地点及び乗換対象車両を検索し(S15、S16)、検索された乗換地点を乗換希望車両及び乗換対象車両にそれぞれ案内する(S5、S26)ので、電気自動車やハイブリッド車両を不特定多数のユーザに共有させる共有システムにおいて、目的地への走行中において車両間の乗り換えを案内することによって、より動的で利便性の高い上記共有システムを実現することが可能となる。
また、乗換希望車両が乗換地点から乗換対象車両の目的地まで走行可能となり、乗換対象車両が乗換地点から乗換希望車両の目的地まで走行可能となる条件を満たすように乗換地点及び乗換対象車両を検索するので、車両の乗り換え後において乗り換えを行った各車両が目的地までバッテリ残量を不足させることなく走行を行わせることが可能となる。
また、乗換希望車両が走行予定経路を走行した際の到達予想時刻を走行予定経路上の地点毎に予測し(S13)、乗換対象車両の候補となる候補車両について走行予定経路と走行予定経路の走行時刻を取得し(S14)、到達予想時刻に地点の周囲を走行する予定の候補車両を特定し、特定された候補車両から乗換対象車両を検索する(S15、S16)ので、乗換希望車両や候補車両の走行予定経路及び走行時刻を考慮して、適切な車両を乗換対象車両に特定することが可能となる。その結果、乗り換えを行う為にお互いの車両が本来の走行予定経路から大きく経路を外れることを防止できる。また、乗り換えに必要な時間も短縮することが可能となる。
また、候補車両の内、乗換地点への乗換希望車両の到達予想時刻と候補車両の走行時刻の差が最も小さい候補車両を乗換対象車両として検索するので、乗り換えを行う為の各車両の待ち時間を短くすることが可能となる。その結果、スムーズな乗り換えが可能となり、目的地への到着の遅れを防止できる。
また、乗換対象車両が周囲を走行する地点から最も近い駐車スペースのある施設を乗換地点として検索するので、乗り換えを行う為にお互いの車両が本来の走行予定経路から大きく経路を外れることを防止できる。
【0075】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、車両4を、バッテリ6から供給される電気エネルギに基づいて駆動される駆動モータ7のみを駆動源として走行する電気自動車に適用した例について説明したが、充電施設からバッテリを充電可能な構成を備える車両であれば他の車両であっても良い。例えば、プラグインハイブリッド車両に適用しても良い。尚、プラグインハイブリッド車両はエンジンを駆動源としても走行可能であるが、できる限り駆動モータを駆動源として走行したいという要望があるので、本願発明はプラグインハイブリッド車両に対しても有効な発明となる。
【0076】
また、本実施形態では乗換地点と乗換対象車両を検索する処理(S13〜S16)を乗換管理サーバ1が実施する構成としているが、ナビゲーション装置2が実施する構成としても良い。
【符号の説明】
【0077】
1 乗換管理サーバ
2 ナビゲーション装置
3 車両乗換システム
4 車両
6 バッテリ
7 駆動モータ
6 バッテリ装置
20 情報管理ECU
31 CPU
32 RAM
33 ROM
43 ナビゲーションECU
61 CPU
62 RAM
63 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車両の第1目的地を取得する第1目的地取得手段と、
前記第1車両が出発地から走行を開始する際の前記第1車両の第1駆動源に電力を供給する第1車載バッテリのエネルギ残量を取得するエネルギ残量取得手段と、
前記第1車載バッテリのエネルギ残量に基づいて、前記第1車両が前記出発地から前記第1目的地まで、前記第1車載バッテリのエネルギ残量のみで走行できるか否か判定する走行判定手段と、
前記走行判定手段により前記第1車両が前記出発地から前記第1目的地まで、前記第1車載バッテリのエネルギ残量のみで走行できないと判定された場合に、乗換地点と、当該乗換地点から前記第1目的地まで当該乗換地点における第2車載バッテリの残エネルギ量のみで走行できる第2車両と、を検索する乗換対象検索手段と、
前記乗換地点を、前記第1車両及び前記第2車両それぞれに案内する乗換地点案内手段と、を有することを特徴とする車両乗換案内装置。
【請求項2】
前記第2車両の第2目的地を取得する第2目的地取得手段を有し、
前記乗換対象検索手段は、
前記乗換地点における前記第1車載バッテリのエネルギ残量と前記第2車載バッテリのエネルギ残量とをそれぞれ予測し、
前記乗換地点における第1車載バッテリのエネルギ残量が、前記乗換地点から前記第2目的地までの走行に必要なエネルギ量以上となり、且つ、
前記乗換地点における第2車載バッテリのエネルギ残量が、前記乗換地点から前記第1目的地までの走行に必要なエネルギ量以上となる、条件を満たすように前記乗換地点及び前記第2車両を検索することを特徴とする請求項1に記載の車両乗換案内装置。
【請求項3】
前記第1車両の第1走行予定経路と当該第1走行予定経路上の各地点毎への到達予測時刻を取得する第1車両情報取得手段と、
前記第2車両の候補となる候補車両について、候補車両走行予定経路と当該候補車両走行予定経路上の各地点の走行時刻とを取得する候補車両情報取得手段と、を有し、
前記乗換対象検索手段は、
前記候補車両走行予定経路と前記候補車両走行予定経路上の各地点の走行時刻とに基づいて、前記第1走行予定経路上の各地点毎への前記到達予想時刻に、当該地点の周囲を走行する予定の前記候補車両を特定し、
前記候補車両特定手段によって特定された前記候補車両から前記第2車両を検索することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両乗換案内装置。
【請求項4】
前記乗換対象検索手段は、
前記乗換地点及び前記第2車両の組合せが複数検索された場合、前記乗換地点における前記第1車両の到達予想時刻と前記走行時刻との差が最も小さい前記候補車両を前記第2車両として検索することを特徴とする請求項3に記載の車両乗換案内装置。
【請求項5】
前記乗換対象検索手段は、前記第2車両が周囲を走行する前記地点から最も近い駐車スペースのある施設を前記乗換地点として検索することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車両乗換案内装置。
【請求項6】
第1車両の第1目的地を取得する第1目的地取得ステップと、
前記第1車両が出発地から走行を開始する際の前記第1車両の第1駆動源に電力を供給する第1車載バッテリのエネルギ残量を取得するエネルギ残量取得ステップと、
前記第1車載バッテリのエネルギ残量に基づいて、前記第1車両が前記出発地から前記第1目的地まで、前記第1車載バッテリのエネルギ残量のみで走行できるか否か判定する走行判定ステップと、
前記走行判定ステップにより前記第1車両が前記出発地から前記第1目的地まで、前記第1車載バッテリのエネルギ残量のみで走行できないと判定された場合に、乗換地点と、当該乗換地点から前記第1目的地まで当該乗換地点における第2車載バッテリの残エネルギ量のみで走行できる第2車両と、を検索する乗換対象検索ステップと、
前記乗換地点を、前記第1車両及び前記第2車両それぞれに案内する乗換地点案内ステップと、を有することを特徴とする車両乗換案内方法。
【請求項7】
コンピュータに搭載され、
第1車両の第1目的地を取得する第1目的地取得機能と、
前記第1車両が出発地から走行を開始する際の前記第1車両の第1駆動源に電力を供給する第1車載バッテリのエネルギ残量を取得するエネルギ残量取得機能と、
前記第1車載バッテリのエネルギ残量に基づいて、前記第1車両が前記出発地から前記第1目的地まで、前記第1車載バッテリのエネルギ残量のみで走行できるか否か判定する走行判定機能と、
前記走行判定機能により前記第1車両が前記出発地から前記第1目的地まで、前記第1車載バッテリのエネルギ残量のみで走行できないと判定された場合に、乗換地点と、当該乗換地点から前記第1目的地まで当該乗換地点における第2車載バッテリの残エネルギ量のみで走行できる第2車両と、を検索する乗換対象検索機能と、
前記乗換地点を、前記第1車両及び前記第2車両それぞれに案内する乗換地点案内機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−214895(P2011−214895A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81141(P2010−81141)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】