説明

車両位置検知システム

【課題】駐車場内の空きスペースへの駐車を円滑に行う。
【解決手段】車両位置検知システム1において、携帯端末2は、駐車券発券機5の設置された駐車場の入口において駐車券の発券と同時に車両に提供され、清算機6の設置された駐車場の出口において車両から返却される。駐車場内にある車両には携帯端末2が搭載されるので、携帯端末2の位置が車両の位置として認識される。携帯端末2のディスプレイには、駐車場内における駐車区画及び車両の位置が表示される。基地局3は、見通しが利く範囲ごとに設置され、各携帯端末2が少なくとも1つの基地局3と通信可能にするとともに、携帯端末2との通信状態により当該携帯端末2の位置(方向と距離)を検知する。管理サーバ4は、各基地局3と通信可能であり、携帯端末2の位置データを受信し、駐車場内における各駐車区画及び各車両の位置を示す各階の配置図データを作成し、各階の基地局3にそれぞれ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場における空き駐車スペース、自車両及び他車両の位置を運転者に通知する車両位置検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車場の入口において、当該駐車場内に空きスペースがあるか否かを示すために、「満車」、「空車」等の表示が行われている場合がある。しかし、「満車」、「空車」だけの表示では、当該駐車場を利用しようとする者にとっては、実際に駐車場のどの位置に空きスペースがあるのか分からない。そのため、「空車」の表示に従って駐車場に進入したとしても、駐車場内の空きスペースを探して移動しなければならず、駐車できるまでに時間がかかることもある。この解決手法として、特許文献1には、駐車場に設置したカメラの画像から空きスペースの位置を視認できるような画像を生成し、生成された画像をカーナビゲーション装置に送信し、カーナビゲーション装置に空きスペースと自車両の現在位置を表示させる駐車場誘導システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−217835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術には、以下のような課題がある。
【0005】
(1)駐車場の空きスペースを誤認識するおそれがある。
駐車スペースに車両があるか否かを判定する方法として、予めシステムのハードディスクに記憶している駐車場の路面の色のデータと、当該駐車スペース内の撮影画像の色とを比較して、所定の閾値以上の差があれば、車両があると判定する。しかし、路面の色に近い色の車両が駐車された場合、閾値以下の差しか検出できないので、その駐車スペースに車両があるにもかかわらず車両なしと認識してしまうおそれがある。
【0006】
(2)自車両の位置を正確に把握できない。
自車両の位置をGPS(Global Positioning System)受信機、地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ等を有した位置検出器により検出するとしているが、これらは従来のカーナビゲーションと同等の技術であるため、誤差が数m以上ある。その誤差は駐車場内における車両の位置を特定するには大き過ぎるため、実際のレーンとは異なるレーンに自車両があると表示される可能性がある。
【0007】
(3)他車両の位置を確認できない。
運転者がカーナビゲーション装置で確認できるのは、駐車場内の空きスペースと自車両の位置のみであるため、目標とする空きスペースに到着した時には他車両が先にその空きスペースに入っている可能性がある。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、駐車場内の空きスペースへの駐車を円滑に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、車両位置検知システムであって、車両に搭載され、所定の信号を発信する端末と、駐車場内に設置され、前記端末から受信した信号に基づいて当該端末の位置を検知する基地局と、各基地局と通信可能なサーバと、を備え、前記基地局が、当該端末の位置を含む端末データを前記信号の発信元である前記端末及び前記サーバに送信し、前記サーバが、各基地局から前記端末データを受信し、各端末の位置を含む全端末データを作成し、作成した前記全端末データを前記基地局に送信し、前記基地局が、前記サーバから前記全端末データを受信し、受信した前記全端末データを前記端末に送信し、前記端末が、前記基地局が送信した前記端末データ及び前記全端末データを受信し、受信した前記全端末データに含まれる各端末の位置のうち、受信した前記端末データに含まれる端末の位置を自車の位置として特定することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、駐車場内における自車両及び他車両の位置を、運転者がリアルタイムかつ精確に把握できるので、円滑な駐車が可能になる。また、サーバから端末に送信される全端末データは、どの端末にも適用できるので、一括して全端末に配信することができる。そして、全端末データは端末の位置だけを含んでいればいいので、通信データのサイズを抑えることができる。
【0011】
また、本発明は、車両位置検知システムであって、車両に搭載され、固有のIDを記憶し、当該IDを含む所定の信号を発信する端末と、駐車場内に設置され、前記端末から受信した信号に基づいて当該端末の位置を検知し、当該端末のID及び位置を含む端末データを送信する基地局と、各基地局から前記端末データを受信し、各端末のIDと、位置とが対応付けられた全端末データを作成するサーバと、を備え、前記サーバが、前記全端末データを前記基地局に送信し、前記基地局が、前記サーバから前記全端末データを受信し、受信した前記全端末データを前記端末に送信し、前記端末が、前記基地局が送信した前記全端末データを受信し、前記全端末データに含まれる各端末の位置のうち、当該端末に記憶されたIDに対応する位置を自車の位置として特定することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、駐車場内における自車両及び他車両の位置を、運転者がリアルタイムかつ精確に把握できるので、円滑な駐車が可能になる。また、サーバから端末に送信される全端末データは、どの端末にも適用できるので、一括して全端末に配信することができる。
【0013】
また、本発明は、車両位置検知システムであって、車両に搭載され、固有のIDを記憶し、当該IDを含む所定の信号を発信する端末と、駐車場内に設置され、前記端末から受信した信号に基づいて当該端末の位置を検知し、当該端末のID及び位置を含む端末データを送信する基地局と、各基地局から前記端末データを受信し、各端末のIDと、位置とが対応付けられた全端末データを作成するサーバと、を備え、前記端末が、前記サーバに当該端末IDを含む前記全端末データの要求を送信し、前記サーバが、前記端末から前記全端末データの要求を受信し、前記全端末データの要求に含まれる前記端末IDを取得し、前記全端末データに含まれる各端末の位置のうち、取得した前記端末IDに対応する位置を自車の位置として特定し、自車の位置が特定された前記全端末データを要求元の前記端末に送信することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、駐車場内における自車両及び他車両の位置を、運転者がリアルタイムかつ精確に把握できるので、円滑な駐車が可能になる。また、端末は、サーバから受信した全端末データに当該端末に対応する自車の位置が特定されているので、そのままディスプレイに表示することができる。
【0015】
また、本発明は、車両位置検知システムであって、前記サーバが、前記駐車場内において車両を駐車する領域である駐車区画が示された区画データを予め記憶し、前記端末の位置に応じて車両を表すマークを前記区画データ上にプロットし、当該区画データを前記基地局経由で前記端末に送信することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、駐車場内における空き駐車スペース(車両のマークがない駐車区画)、自車両及び他車両の位置を、運転者がリアルタイムかつ精確に把握できるので、円滑な駐車が可能になる。また、サーバが区画データを記憶するので、端末は区画データを記憶する必要がない。
【0017】
また、本発明は、車両位置検知システムであって、前記端末が、前記駐車場内において車両を駐車する領域である駐車区画が示された区画データを予め記憶し、前記端末の位置に応じて車両を表すマークを前記区画データ上にプロットし、当該区画データを表示することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、駐車場内における空き駐車スペース(車両のマークがない駐車区画)、自車両及び他車両の位置を、運転者がリアルタイムかつ精確に把握できるので、円滑な駐車が可能になる。また、端末が区画データを記憶するので、サーバは区画データを記憶する必要がない。
【0019】
その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、駐車場内の空きスペースへの駐車を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】車両位置検知システム1の構成を示す図である。
【図2】携帯端末2の構成を示す図である。
【図3】基地局3の構成を示す図である。
【図4】管理サーバ4の構成を示す図である。
【図5】携帯端末2及び基地局3に記憶されるデータの構成を示す図であり、(a)は携帯端末2の記憶部23に記憶される端末情報25Aの構成を示し、(b)は基地局3の記憶部33に記憶される基地局情報33Aの構成を示す。
【図6】管理サーバ4の記憶部45に記憶されるデータの構成を示す図であり、(a)は基地局情報45Aの構成を示し、(b)は駐車区画情報45Bの構成を示し、(c)は端末情報45Cの構成を示す。
【図7】車両位置検知システム1の処理を示すフローチャートである。
【図8】管理サーバ4の車両マークプロット処理を示すフローチャートである。
【図9】配置図データ45Dの内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施の形態に係る車両位置検知システムは、基地局から端末の方向及び距離を高精度に測定する方法を用いて、駐車場内の車両に搭載された端末の位置を検知し、その端末の位置を自車両及び他車両の位置として当該端末に表示するものである。その際、車両を駐車するために区切られた領域である駐車区画を含めて表示する。これにより、自車両及び他車両の位置を把握することができ、車両の表示されていない駐車区画を空きスペースとして認識することができる。
【0023】
≪システムの構成と概要≫
図1は、車両位置検知システム1の構成を示す図である。車両位置検知システム1は、携帯端末2、基地局3及び管理サーバ4を備える。携帯端末2は、駐車券発券機5の設置された駐車場の入口において駐車券の発券と同時に車両(利用者)に提供され、清算機6の設置された駐車場の出口において車両(利用者)から返却される。従って、駐車場内の車両には必ず携帯端末2が搭載されることになり、携帯端末2の位置が車両の位置として認識される。そして、携帯端末2のディスプレイには、駐車場内における駐車区画及び車両の位置が表示される。なお、携帯端末2の位置を検知する精度を確保するために、駐車場の利用者には、携帯端末2を車両のフロントガラスのところに置き、時速20km以下で車両を移動させるように依頼する。
【0024】
基地局3は、駐車場内の見通しが利く範囲ごと(例えば、照明灯の箇所等)に設置されることにより、駐車場内の各携帯端末2が少なくとも1つの基地局3と通信可能にするとともに、携帯端末2との通信状態により当該携帯端末2の位置(方向と距離)を検知する。駐車場が2階建て以上の場合、基地局3はフロアごとに設置され、車両が1階にいれば1階の駐車状況が分かり、2階にいれば2階の駐車状況が分かり、すなわち、現在車両のいるフロアの駐車状況が分かるようになっている。管理サーバ4は、各基地局3と通信可能であり、携帯端末2の位置データを受信し、駐車場内における各駐車区画及び各車両の位置を示す各階の配置図データを作成し、各階の基地局3にそれぞれ送信する。ここで、駐車場内における携帯端末2等の位置は、図1に示す基地局3aの位置を原点とし、横方向をx軸とし、縦方向をy軸とするxy座標によって特定されるものとする。
【0025】
なお、基地局3が携帯端末2の位置を高精度に測定する方法については、特開2006−23261(特許第3991081)号公報を参照のこと。
【0026】
≪装置の構成≫
図2は、携帯端末2の構成を示す図である。携帯端末2は、通信部21、表示部22、入力部23、処理部24及び記憶部25を備える。通信部21は、無線により基地局3と通信を行う部分であり、例えば、アンテナやNIC(Network Interface Card)等によって実現される。表示部22は、処理部24からの指示によりデータを表示する部分であり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等によって実現される。入力部23は、駐車場の管理者がデータ(例えば、自端末のID等)を入力する部分であり、例えば、操作ボタンやタッチパネル等によって実現される。処理部24は、各部間のデータの受け渡しを行うととともに、携帯端末2全体の制御を行うものであり、CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部25は、処理部24からデータ(自端末のIDや位置等)を記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、フラッシュメモリやハードディスク装置等の不揮発性記憶装置によって実現される。
【0027】
図3は、基地局3の構成を示す図である。基地局3は、通信部31、処理部32及び記憶部33を備える。通信部31は、無線により携帯端末2及び管理サーバ4と通信を行う部分であり、例えば、アンテナやNIC等によって実現される。処理部32は、各部間のデータの受け渡しを行うととともに、基地局3全体の制御を行うものであり、CPUが所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部33は、処理部32からデータ(自基地局のIDや位置等)を記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、フラッシュメモリやハードディスク装置等の不揮発性記憶装置によって実現される。
【0028】
図4は、管理サーバ4の構成を示す図である。管理サーバ4は、通信部41、表示部42、入力部43、処理部44及び記憶部45を備える。通信部41は、無線により基地局3と通信を行う部分であり、例えば、アンテナやNIC等によって実現される。表示部42は、処理部44からの指示によりデータを表示する部分であり、例えば、液晶ディスプレイ等によって実現される。入力部43は、駐車場の管理者がデータ(例えば、基地局や駐車区画、携帯端末のデータ)を入力する部分であり、例えば、キーボードやマウス等によって実現される。処理部44は、各部間のデータの受け渡しを行うととともに、管理サーバ4全体の制御を行うものであり、CPUが所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部45は、処理部44からデータ(基地局等のデータ)を記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、フラッシュメモリやハードディスク装置等の不揮発性記憶装置によって実現される。
【0029】
≪データの構成≫
図5は、携帯端末2及び基地局3に記憶されるデータの構成を示す図である。図5(a)は、携帯端末2の記憶部25に記憶される端末情報25Aの構成を示す。端末情報25Aは、当該携帯端末2に関する情報であり、端末ID25A1及び端末位置25A2を含む。端末ID25A1は、携帯端末2に固有のIDであり、予め記憶されている。端末位置25A2は、携帯端末2の位置を座標(Xt、Yt)により示すものであり、基地局3による測定及び計算の結果が設定される。
【0030】
図5(b)は、基地局3の記憶部33に記憶される基地局情報33Aの構成を示す。基地局情報33Aは、当該基地局3に関する情報であり、基地局ID33A1及び基地局位置33A2を含む。基地局ID33A1は、基地局3に固有のIDであり、予め記憶されている。基地局位置33A2は、基地局3の位置を座標(Xk、Yk)により示すものであり、基地局2の設置された位置が予め記憶されている。
【0031】
図6は、管理サーバ4の記憶部45に記憶されるデータの構成を示す図である。図6(a)は、基地局情報45Aの構成を示す。基地局情報45Aは、駐車場の階ごとに設置された基地局を示すものであり、階番号45A1及び基地局ID45A2を含むレコードから構成される。階番号45A1は、各階に付けられた番号である。基地局ID45A2は、当該階番号45A1の階に設置された基地局3に固有のIDである。基地局情報45Aによれば、各基地局3が設置された階の番号が分かる。
【0032】
図6(b)は、駐車区画情報45Bの構成を示す。駐車区画情報45Bは、駐車場の階ごとに設けられた駐車区画に関する情報であり、階番号45B1、区画ID45B2、区画範囲45B3及びプロット位置45B4を含むレコードから構成される。階番号45B1は、各階に付けられた番号である。区画ID45B2は、駐車区画に固有のIDである。区画範囲45B3は、矩形になっている駐車区画の範囲を示し、x座標の範囲及びy座標の範囲を含む。プロット位置45B4は、当該駐車区画に車両があった場合に、その旨を示す車両マークをプロットすべき、配置図データ上の位置を示す。プロット位置45B4により、図9の配置図データ45Dに示すように、駐車区画内に車両があると認識した場合、その車両の位置にかかわらず、表示された当該駐車区画の中心位置に車両マークがプロットされる。これは、駐車区画内に関しては車両位置の精度より駐車車両の有無が分かることが利用者にとって重要であり、駐車車両があることを示す車両マークを駐車区画の中心位置に一律表示することにより、利用者が配置図データ45Dを見やすくするためである。
【0033】
図6(c)は、端末情報45Cの構成を示す。端末情報45Cは、駐車場内の車両に搭載された携帯端末2に関する情報であり、端末ID45C1、基地局ID45C2及び端末位置45C3を含むレコードから構成される。端末ID45C1は、携帯端末2に固有のIDであり、駐車場の入口の駐車場発券機5で利用者に渡された携帯端末2のIDのレコードが追加され、駐車場の出口の清算機6で利用者から返却された携帯端末2のIDのレコードが削除される。基地局ID45C2は、管理サーバ4が受信した端末位置データの送信元である基地局4に固有のIDである。端末位置45C3は、端末位置データに含まれる当該携帯端末2の位置である。
【0034】
なお、管理サーバ4の記憶部45には、図9に示す配置図データ45Dも記憶される。配置図データ45Dは、駐車場の階ごとに駐車区画の範囲及び車両の位置を示し、携帯端末2の表示部22に表示されるデータであり、画像のドットデータでもよいし、表示パターン及びその表示位置を含むデータであってもよい。
【0035】
≪システムの処理≫
図7は、車両位置検知システム1の処理を示すフローチャートである。本処理では、基地局3が携帯端末2の位置を検知、計算し、端末位置データを管理サーバ4に送信する。管理サーバ4は、基地局3から端末位置データを受信し、駐車区画を示す配置図データ上に端末位置をプロットしたものを基地局3経由で携帯端末2に送信する。携帯端末2は、配置図データを受信し、表示する。以下、詳細に説明する。
【0036】
まず、駐車場内の各車両に搭載された携帯端末2は、記憶部25に記憶された端末ID25A1を読出し、所定の電波により随時送信する(S701)。これは、送信した端末IDが基地局3に受信されることによって、当該携帯端末2の位置がリアルタイムに把握されるようにするためである。
【0037】
基地局3は、携帯端末2から所定の電波により端末IDを受信し(S702)、当該携帯端末2の方向及び距離を検知する(S703)。方向及び距離の検知については、特開2006−23261号公報を参照のこと。次に、検知した携帯端末2の方向θ(当該方向のx軸に対する角度)及び距離L、記憶部33に記憶された基地局位置33A2(Xk、Yk)から、当該携帯端末2の位置(Xt、Yt)を計算する(S704)。以下の式1及び式2により、携帯端末2の位置(Xt、Yt)が算出される。
Xt=Xk+L*cosθ ・・・ 式1
Yt=Yk+L*sinθ ・・・ 式2
【0038】
そして、基地局3は、記憶部33に記憶された基地局ID33A1、受信した端末ID及び計算した携帯端末2の位置を含む端末位置データを携帯端末2及び管理サーバ4に送信する(S705)。この際、端末位置データを送信する先の携帯端末2は、S701で端末IDを送信した元の携帯端末2に限るようにしてもよい。
【0039】
携帯端末2は、基地局3から端末位置データを受信し(S706)、受信した端末位置データに含まれる端末IDと、記憶部25に記憶された端末ID25A1とが一致するか否かを判定する(S707)。これは、受信した端末位置データが自端末のものか否かを判断するためである。当該2つの端末IDが一致しなければ(S707のN)、端末位置データの受信(S706)に戻り、一致すれば(S707のY)、端末位置データに含まれる携帯端末2の位置を記憶部25の端末位置25A2に記憶する(S708)。記憶された端末位置25A2は、別途受信する配置図データ45D上の他車両マークの中から、自車両を示すものを特定するのに用いられる。なお、S705で端末位置データを送信する先の携帯端末2を限定すれば、S707の端末IDの一致判定は不要になる。
【0040】
管理サーバ4は、基地局3からの端末位置データから各車両の位置をプロットした配置図データ45Dを作成し、各階の基地局3に送信する処理を行う。まず、階別の配置図データ45D上の車両マーク(自車両、他車両ともに)を消去する(S709)。この際、記憶部45の端末情報45Cの基地局ID45C2及び端末位置45C3をクリアする。次に、基地局3から送信された端末位置データを受信し、端末情報45Cのうち、当該端末ID45C1に対応するレコード(基地局ID45C2、端末位置45C3)として、端末位置データに含まれる基地局ID及び端末位置を記憶する(S710)。
【0041】
そして、基地局ID及び端末位置に基づいて、階別の配置図データ45D上に他車両マークをプロットする(S711)。この処理の詳細は、図8のフローチャートで別途説明する。その後、駐車場内の車両に搭載されたすべての端末の位置を受信し、プロットしたか否かを判定する(S712)。具体的には、記憶部45の端末情報45Cの基地局ID45C2及び端末位置45C3がすべての端末ID45C1について設定されているか否かを判定する。すべての端末位置が処理されていなければ(S712のN)、端末位置データの受信、記憶(S710)に戻る。すべての端末位置が処理されていれば(S712のY)、各階に設置された基地局3に各階の配置図データ45Dをそれぞれ送信する(S713)。S709〜S713の処理は定期的に行われ、リアルタイムに更新された配置図データ45Dが逐次送信される。
【0042】
基地局3は、自らが設置された階の配置図データ45Dを受信し(S714)、受信した配置図データ45Dを携帯端末2に送信する(S715)。
【0043】
携帯端末2は、同じ階にある基地局3から送信された配置図データ45Dを受信する(S716)。次に、その配置図データ45D上の他車両マーク(図9では●)のうち、記憶部25に記憶された端末位置25A2に対応する位置にプロットされている他車両マークを自車両マーク(図9では★)に変更する(S717)。そして、自車両マーク及び他車両マークのプロットされた配置図データ45Dを表示部22に表示する(S718)。これによれば、自車両の位置と、それ以外の他車両の位置とを区別することができる。
【0044】
図8は、図7のS711の処理である車両マークプロット処理を示すフローチャートである。管理サーバ4は、まず、記憶部45の基地局ID45C2により、当該携帯端末2が位置する階番号を特定する(S801)。この階番号の特定は、記憶部45の基地局情報45Aを参照して、該当する基地局ID45A2に対応する階番号45A1を特定してもよいし、基地局ID45C2の一部(例えば、先頭文字)が階番号を示す場合に、その階番号を抽出してもよい。次に、記憶部45の端末位置45C3が当該階番号の駐車区画の範囲内にあるか否かを判定する(S802)。この判定処理では、記憶部45の駐車区画情報45Bのうち、当該階番号45B1に含まれる各区画範囲45B3を用いて、端末位置45C3がいずれかの区画範囲45B3に含まれるか否かを逐次判定する。
【0045】
端末位置45C3が含まれる区画範囲45B3があれば(S802のY)、当該携帯端末2が搭載された車両が駐車区画にあることを示しており、当該区画範囲45B3を当該携帯端末2が位置する駐車区画として特定し(S803)、当該階番号の配置図データ45D上、区画範囲45B3に対応する駐車区画のプロット位置45B4に他車両マークをプロットする(S804)。これによれば、配置図データ45D上の駐車区画に他車両マークが表示されていれば、当該駐車区画は既に駐車されていることが分かる。
【0046】
端末位置45C3が含まれる区画範囲45B3がなければ(S802のN)、当該携帯端末2が搭載された車両が駐車区画にないことを示しており、当該階番号の配置図データ45D上、記憶部45の端末位置45C3に対応する位置に他車両マークをプロットする(S805)。
【0047】
なお、上記実施の形態では、図1に示す車両位置検知システム1内の各装置(携帯端末2、基地局3及び管理サーバ4)を機能させるために、各装置の処理部で実行されるプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録し、その記録したプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより、本発明の実施の形態に係る車両位置検知システム1が実現されるものとする。この場合、プログラムをインターネット等のネットワーク経由でコンピュータに提供してもよいし、プログラムが書き込まれた半導体チップ等をコンピュータに組み込んでもよい。
【0048】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、駐車場内の駐車区画、自車両及び他車両の位置を含む配置図データ45Dを携帯端末2がリアルタイムかつ精確に表示するので、運転者が駐車場内における空き駐車スペース(他車両のマークがない駐車区画)、自車両及び他車両の位置を把握できるため、円滑な駐車が可能になる。また、駐車場の階ごとに位置する車両に搭載された携帯端末2の位置を当該階の配置図データ45D上にプロットするので、階ごとに車両の位置を示す配置図データ45Dを作成することができる。
【0049】
≪その他の実施の形態≫
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、以下のような実施の形態が考えられる。
【0050】
(1)上記実施の形態では、駐車場の入口で携帯端末2を車両(利用者)に提供するように記載したが、駐車場内の車両が携帯端末2の機能を持つようにすれば、他の形態であってもよい。例えば、車両が備え付けの端末を有し、駐車場の入口で当該端末に駐車場用ソフトウェアをダウンロードして起動し、駐車場の出口で当該端末から駐車場用ソフトウェアを消去するようにしてもよい。
【0051】
(2)車両のナビゲーション端末に携帯端末2の機能を標準又はオプションとして備え付けることが考えられる。その場合、携帯端末2の機能を持っていない車両に携帯端末2を渡すようにしてもよいし、駐車場を携帯端末2の機能の端末が備わる車両の専用駐車場にしてもよい。例えば、テナントビルの駐車場ならば、テナント関係者の車両には携帯端末2の機能の端末を必須とし、顧客の車両には携帯端末2を渡すようにしてもよい。
【0052】
(3)上記実施の形態では、携帯端末2の位置が駐車区画内にあった場合に、配置図データ45D上、駐車区画の中心位置に他車両マークをプロットするように記載したが、駐車区画内にあるか否かにかかわらず、携帯端末2の位置に対応する位置にそのままプロットするようにしてもよい。
【0053】
(4)自車両を他車両と区別する方法として、管理サーバ4が、端末IDごとに当該端末位置の他車両マークを自車両マークに変更した配置図データ45Dを作成し、当該端末IDとともに発信する。そして、携帯端末2は、受信した配置図データ45Dのうち、端末IDが自端末のIDであるものを表示する。また、携帯端末2は、高精度な自車両位置の測定機能を有し、他車両マークのプロットされた配置図データ45Dを受信し、他車両マークのうち、自車両位置に対応する位置の他車両マークを自車両マークに変更して表示してもよい。
【0054】
(5)自車両を他車両と区別する別の方法として、管理サーバ4が、各携帯端末2の端末IDと、位置との対応付けを含む配置図データを基地局3経由で携帯端末2に送信する。携帯端末2は、管理サーバ4から受信した配置図データに含まれる各携帯端末2の位置のうち、自端末の端末IDに対応する位置を自車の位置とし、その位置に自車を表すマークをプロットする。
【0055】
(6)管理サーバ4が作成する配置図データ45Dには駐車区画が含まれるように説明したが、携帯端末2が駐車区画のデータを予め記憶し、管理サーバ4からは駐車区画を除く端末位置等のデータを受信し、駐車区画のデータに対して端末位置に応じて車両マークをプロットするようにしてもよい。この場合、携帯端末2は、自車両が位置する駐車場の階が変わるごとに、当該階の駐車区画のデータを取得するものとする。
【0056】
(7)携帯端末2が基地局3経由で管理サーバ4に対して配置図データ45Dの要求を送信し、管理サーバ4が携帯端末2から受信した要求に応じて最新の配置図データ45Dを当該携帯端末2に送信することが考えられる。この場合、管理サーバ4は、携帯端末2から受信した要求に含まれる端末IDを取得し、配置図データ45D上の当該端末IDに対応する位置に自車を表すマークをプロットし、自車マークがプロットされた配置図データ45Dを基地局3経由で要求元の携帯端末2に送信する。この場合、携帯端末2は、管理サーバ4から配置図データ45Dを受信し、自車マークをプロットすることなく、そのまま表示することになる。なお、携帯端末2と、管理サーバ4との間のデータ送受信は、必ずしも基地局3経由で行わなくてもよく、直接通信してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 車両位置検知システム
2 携帯端末(端末)
24 処理部
25 記憶部
25A1 端末ID
25A2 端末位置
3 基地局
32 処理部
33 記憶部
33A1 基地局ID
33A2 基地局位置
4 管理サーバ(サーバ)
44 処理部
45 記憶部
45A 基地局情報
45A1 階番号(階)
45A2 基地局ID
45D 配置図データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、所定の信号を発信する端末と、
駐車場内に設置され、前記端末から受信した信号に基づいて当該端末の位置を検知する基地局と、
各基地局と通信可能なサーバと、
を備え、
前記基地局は、当該端末の位置を含む端末データを前記信号の発信元である前記端末及び前記サーバに送信し、
前記サーバは、各基地局から前記端末データを受信し、各端末の位置を含む全端末データを作成し、作成した前記全端末データを前記基地局に送信し、
前記基地局は、前記サーバから前記全端末データを受信し、受信した前記全端末データを前記端末に送信し、
前記端末は、前記基地局が送信した前記端末データ及び前記全端末データを受信し、受信した前記全端末データに含まれる各端末の位置のうち、受信した前記端末データに含まれる端末の位置を自車の位置として特定する
ことを特徴とする車両位置検知システム。
【請求項2】
車両に搭載され、固有のIDを記憶し、当該IDを含む所定の信号を発信する端末と、
駐車場内に設置され、前記端末から受信した信号に基づいて当該端末の位置を検知し、当該端末のID及び位置を含む端末データを送信する基地局と、
各基地局から前記端末データを受信し、各端末のIDと、位置とが対応付けられた全端末データを作成するサーバと、
を備え、
前記サーバは、前記全端末データを前記基地局に送信し、
前記基地局は、前記サーバから前記全端末データを受信し、受信した前記全端末データを前記端末に送信し、
前記端末は、前記基地局が送信した前記全端末データを受信し、前記全端末データに含まれる各端末の位置のうち、当該端末に記憶されたIDに対応する位置を自車の位置として特定する
ことを特徴とする車両位置検知システム。
【請求項3】
車両に搭載され、固有のIDを記憶し、当該IDを含む所定の信号を発信する端末と、
駐車場内に設置され、前記端末から受信した信号に基づいて当該端末の位置を検知し、当該端末のID及び位置を含む端末データを送信する基地局と、
各基地局から前記端末データを受信し、各端末のIDと、位置とが対応付けられた全端末データを作成するサーバと、
を備え、
前記端末は、前記サーバに当該端末IDを含む前記全端末データの要求を送信し、
前記サーバは、前記端末から前記全端末データの要求を受信し、前記全端末データの要求に含まれる前記端末IDを取得し、前記全端末データに含まれる各端末の位置のうち、取得した前記端末IDに対応する位置を自車の位置として特定し、自車の位置が特定された前記全端末データを要求元の前記端末に送信する
ことを特徴とする車両位置検知システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の車両位置検知システムであって、
前記サーバは、前記駐車場内において車両を駐車する領域である駐車区画が示された区画データを予め記憶し、前記端末の位置に応じて車両を表すマークを前記区画データ上にプロットし、当該区画データを前記基地局経由で前記端末に送信する
ことを特徴とする車両位置検知システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の車両位置検知システムであって、
前記端末は、前記駐車場内において車両を駐車する領域である駐車区画が示された区画データを予め記憶し、前記端末の位置に応じて車両を表すマークを前記区画データ上にプロットし、当該区画データを表示する
ことを特徴とする車両位置検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−286956(P2010−286956A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138999(P2009−138999)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】