説明

車両位置管理システム

【課題】車両の正確な位置を把握する。
【解決手段】 道路上に設置され固有のビーコンIDを有するDSRCアンテナと、車両に搭載された車載システムと、車両の位置を管理する管理センターと、を具備する車両位置管理システムであって、前記管理センターは、前記DSRCアンテナのビーコンIDと当該DSRCアンテナの設置位置に対応した第1位置情報とを対応付けしたデータベースを記憶する記憶部と、前記DSRCアンテナまたは前記車載システムから通知されたビーコンIDを受信する第1通信部と、前記第1通信部により受信したビーコンIDに基づき、前記データベースから当該ビーコンIDに対応する第1位置情報を検出する第1位置情報検出部と、を備えたことを特徴とする車両位置管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両位置管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置により把握した自車両の現在地に対応する位置情報を携帯電話などのデータ通信機器を用いて他の場所に送信し、データ処理することにより、各種サービスを提供するシステムがある。また、近年では、自車両に緊急事態が発生した場合(例えば、事故に遭遇した場合など)、上記のカーナビゲーション装置と連動するデータ通信機器を利用して、所管の警察署や消防署などの外部機関に対して、事故の発生位置などの情報を自動的に通報して、緊急車両等の出動を要請するシステムも提案されている。
【0003】
緊急車両等の出動要請に際しては、通報車両の正確な位置を把握することが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−271523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的は、車両の正確な位置を把握することが可能な車両位置管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、
道路上に設置され固有のビーコンIDを有するDSRCアンテナと、車両に搭載された車載システムと、車両の位置を管理する管理センターと、を具備する車両位置管理システムであって、前記管理センターは、前記DSRCアンテナのビーコンIDと当該DSRCアンテナの設置位置に対応した第1位置情報とを対応付けしたデータベースを記憶する記憶部と、前記DSRCアンテナまたは前記車載システムから通知されたビーコンIDを受信する第1通信部と、前記第1通信部により受信したビーコンIDに基づき、前記データベースから当該ビーコンIDに対応する第1位置情報を検出する第1位置情報検出部と、を備えたことを特徴とする車両位置管理システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本実施形態の第1構成例における車両位置管理システムの一構成例を概略的に示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施形態の第1構成例における第1位置情報を検出する一手法を説明するための図である。
【図3】図3は、本実施形態における緊急通報の一手法を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は、本実施形態の第2構成例における車両位置管理システムの一構成例を概略的に示すブロック図である。
【図5】図5は、本実施形態の第2構成例における第1位置情報を検出する一手法を説明するための図である。
【図6】図6は、本実施形態の第3構成例における車両位置管理システムの一構成例を概略的に示すブロック図である。
【図7】図7は、本実施形態の第3構成例における緊急通報時の一手法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
図1は、本実施形態の第1構成例における車両位置管理システム1の一構成例を概略的に示すブロック図である。
【0010】
本実施形態において、車両位置管理システム1は、道路上に設置されたDSRC(Dedicated Short Range Communication;「専用狭域通信」の略称)アンテナAT、車両に搭載された車載システム2、及び、車両の位置を管理する管理センター30によって構成されている。
【0011】
DSRCアンテナATは、DSRC通信機能を有している。このようなDSRCアンテナATは、高速道路などの各種道路上において、間隔をおいて設置されている。各DSRCアンテナATは、当該DSRCアンテナATを識別するための固有のビーコンIDを有している。
【0012】
車載システム2は、道路上を走行可能な車両内に搭載可能なシステムであり、DSRC車載器10、及び、カーナビゲーション装置20によって構成されている。これらのDSRC車載器10とカーナビゲーション装置20との間では、各種情報のやり取りが可能である。このような車載システム2は、DSRCアンテナATとの間での無線通信(DSRC)により各種サービスを受けることを可能とするものである。
【0013】
なお、本実施形態で説明する車載システム2は、カーナビゲーション装置20が携帯電話などのデータ通信機器との接続を可能とする接続端子を具備するものやデータ通信部を内蔵したもので構成され、携帯電話会社の通信回線などを介して、外部とのデータ通信を可能とする機能を有している。
【0014】
管理センター30は、記憶部31、第1通信部32、第1位置情報検出部33などを備えている。このような管理センター30は、管轄する地域を走行する車両に対して共通に設けられた供給サーバーとして機能する。
【0015】
記憶部31は、各々のDSRCアンテナのビーコンIDと当該DSRCアンテナの設置位置に対応した第1位置情報とを対応付けしたデータベース31Aを記憶している。より具体的には、データベース31Aでは、ビーコンID(X1)に対応する第1位置情報(P1)、ビーコンID(X2)に対応する第1位置情報(P2)、…といったように、各ビーコンIDに対応する第1位置情報が紐付けされている。
【0016】
第1通信部32は、車載システム2から通知されたビーコンIDを受信する機能を有している。また、この第1通信部32は、ビーコンIDを通知した車載システム2に対して、(問い合わせのビーコンIDに対する返信として)対応する第1位置情報を通知する機能を有している。より具体的には、第1通信部32は、携帯電話会社の通信回線などを介して、車載システム2との間でのデータ通信が可能であり、このようなデータ通信の中で、車載システム2からのビーコンIDの受信、あるいは、車載システム2への第1位置情報の通知を行うものである。
【0017】
第1位置情報検出部33は、第1通信部32により受信したビーコンIDに基づいて、記憶部31に記憶されたデータベース31Aを参照し、このデータベース31Aから当該ビーコンIDに対応する第1位置情報を検出する機能を有している。第1位置情報検出部33により検出された第1位置情報は、第1通信部32による車載システム2との間のデータ通信により、ビーコンIDを通知してきた車載システム2に対して通知される。
【0018】
車載システム2のDSRC車載器10は、第2通信部11などを備えている。この第2通信部11は、DSRC通信機能を有している。すなわち、第2通信部11は、自車両が道路上を走行している時に、道路上のDSRCアンテナATとの間で無線通信(DSRC)を行い、この無線通信の中で当該DSRCアンテナATからそのビーコンIDを受信する機能を有している。
【0019】
車載システム2のカーナビゲーション装置20は、第3通信部21、第1位置情報記憶部22、第2位置情報検出部23、通報スイッチ24、通報部25などを備えている。
【0020】
第3通信部21は、第2通信部11により受信したビーコンIDを管理センター30に通知する機能を有している。また、この第3通信部21は、管理センター30から通知された第1位置情報を受信する機能を有している。より具体的には、第3通信部21は、携帯電話会社の通信回線などを介して、管理センター30との間でのデータ通信が可能であり、このようなデータ通信の中で、管理センター30へのビーコンIDの通知、あるいは、管理センター30からの第1位置情報の受信を行うものである。
【0021】
第1位置情報記憶部22は、第3通信部21により受信した第1位置情報を記憶する機能を有している。例えば、第1位置情報記憶部22は、次のビーコンIDに対応する第1位置情報を取得するまでの間(具体的には、第3通信部21が次のビーコンIDに対応した第1位置情報を受信するまでの間)、少なくとも直前に受信した第1位置情報を記憶している。
【0022】
第2位置情報検出部23は、自車両の現在地に対応した第2位置情報を検出する機能を有している。このような第2位置情報検出部23は、GPS(Global Positioning System;「全地球測位システム」の略称)衛星から受信したGPS信号の他に、加速度センサからの信号、ジャイロスコープからの信号、タイヤの回転に伴う車速信号などに基づいて、第2位置情報を検出する。
【0023】
通報スイッチ24は、自車両の緊急事態の発生を検知する機能を有している。この通報スイッチ24は、例えば、予め設置または表示されたボタンであり、自車両のユーザなどによる押下や接触を検知することにより、自車両の緊急事態の発生を検知する。尚、本実施形態では、緊急事態を想定しているが、緊急事態以外でも位置情報を通知するために上記の通報スイッチ24を用いても良い。
【0024】
通報部25は、通報スイッチ24により緊急事態の発生を検知したのに基づいて、第1位置情報記憶部22に記憶された第1位置情報及び第2位置情報検出部23によって検出された第2位置情報を通報する機能を有している。この通報部25は、カーナビゲーション装置20に接続されたデータ通信機器あるいはカーナビゲーション装置20に内蔵されたデータ通信部を利用して、通信回線を介して、外部に対して自車両の位置情報、すなわち、第1位置情報及び第2位置情報を通報する。
【0025】
通報部25が自車両の第1位置情報及び第2位置情報を通報する通報先としては、例えば、管理センター30である。この管理センター30では、通報部25から通報された第1位置情報及び第2位置情報に基づいて通報車両の位置を管理する。また、この管理センター30は、通報車両の第1位置情報及び第2位置情報に基づいて、所管の外部機関(例えば、警察署、消防署、道路管理会社など)を特定し、当該外部機関に対して通報車両の第1位置情報及び第2位置情報を通報する機能を有している。
【0026】
なお、通報部25が自車両の第1位置情報及び第2位置情報を通報する通報先として、所管の外部機関(例えば、警察署や消防署など)であってもよい。すなわち、通報部25は、第1位置情報及び第2位置情報に基づいて所管の外部機関を特定し、当該外部機関に対して通報車両の第1位置情報及び第2位置情報を通報する機能を有していてもよい。
【0027】
次に、本実施形態の第1構成例における第1位置情報を検出する手法の一例について説明する。
【0028】
図2は、本実施形態の第1構成例における第1位置情報を検出する一手法を説明するための図である。なお、本実施形態の車載システム1は、車両が走行可能な状態にあるときには、OFF操作をしない限り、作動しているものとする。
【0029】
まず、車載システム2では、DSRC車載器10の第2通信部11は、DSRCアンテナATの通信エリアに到達したか否かを判断する。そして、第2通信部11は、DSRCアンテナATの通信エリアに到達したと判断すると、DSRCアンテナATとの間での無線通信を開始する。このような無線通信を通じて、第2通信部11は、DSRCアンテナATからそのビーコンIDを受信する(ST1)。
【0030】
続いて、車載システム2において、カーナビゲーション装置20の第3通信部21は、第2通信部11によりビーコンIDを受信したのに基づいて、通信回線を介して管理センター30に接続し、管理センター30との間でのデータ通信を開始する。このデータ通信を通じて、第3通信部21は、第2通信部11により受信したビーコンIDを管理センター30に通知する(ST2)。
【0031】
続いて、管理センター30では、第1通信部32は、車載システム2との間でのデータ通信を通じて、車載システム2から通知されたビーコンIDを受信する(ST3)。そして、第1位置情報検出部33は、第1通信部32により受信したビーコンIDに基づき記憶部31のデータベース31Aを参照し、データベース31Aから当該ビーコンIDに対応する第1位置情報を検出する(ST4)。そして、第1通信部32は、車載システム2との間でのデータ通信を通じて、車載システム2に対して、第1位置情報検出部33によって検出された第1位置情報を通知する(ST5)。
【0032】
続いて、車載システム2では、第3通信部21は、管理センター30との間でのデータ通信を通じて、管理センター30から通知された第1位置情報を受信する(ST6)。そして、第1位置情報記憶部22は、第3通信部21により受信した第1位置情報を記憶する(ST7)。
【0033】
車両が走行している間、上記のフローにしたがって第1位置情報を検出し、記憶する動作を繰り返す。なお、このとき、第1位置情報記憶部22では、複数の第1位置情報を記憶している場合には、最も以前に検出し記憶した第1位置情報を削除する一方で、最新の第1位置情報を記憶する更新処理を行うことで、少なくとも直前に検出した第1位置情報が記憶される。
【0034】
次に、本実施形態の第1構成例における緊急通報の手法の一例について説明する。
【0035】
図3は、本実施形態の第1構成例における緊急通報の一手法を説明するためのフローチャートである。
【0036】
まず、通報スイッチ24は、その押下あるいは接触などのユーザ操作を検知したことにより、緊急事態が発生したことを検知する(ST11)。そして、通報部25は、通報スイッチ24により緊急事態の発生を検知すると(ST11、YES)、第1位置情報記憶部22に記憶された最新の第1位置情報、及び、第2位置情報検出部23により検出された最新の第2位置情報を取得する(ST12)。
【0037】
そして、通報部25は、取得した第1位置情報及び第2位置情報を通報する(ST13)。このとき、通報部25は、通信回線を介して管理センター30などの外部に接続し、管理センター30などの外部に対して通報車両の第1位置情報及び第2位置情報を通報してもよいし、取得した第1位置情報及び第2位置情報に基づいて所管の警察署や消防署などの外部機関を特定し、特定した外部機関に通信回線を介して接続し、接続した外部機関に対して通報車両の第1位置情報及び第2位置情報を通報してもよい。いずれにしても、所管の外部機関には、緊急事態の車両からの第1位置情報及び第2位置情報が通報される。
【0038】
上述した本実施形態の第1構成例によれば、カーナビゲーション装置20の第2位置情報検出部22において、GPS信号などに基づいて検出した車両の現在地に対応する第2位置情報に加えて、車両走行時にDSRCアンテナATとの交信によって得られるアンテナ固有のビーコンIDに基づいてDSRCアンテナATの設置位置に対応する第1位置情報を取得することが可能となる。このような第1位置情報は、車両がどこの道路をどの方向に走行していたかを判断するのに利用することができる。
【0039】
特に、DSRCアンテナATのビーコンIDと、その設置位置に対応した第1位置情報とを対応付けしたデータベース31Aは、管理センター30において一括管理されている。このため、DSRCアンテナATの交換に伴ってビーコンIDが変更された場合や、DSRCアンテナATが撤去された場合、DSRCアンテナATが新設された場合などにおいても、管理センター30のデータベース31Aを更新することにより、各種道路上の車両側では、DSRCアンテナATのビーコンIDを受信した際に最新の第1位置情報を取得することが可能となる。
【0040】
したがって、このような車両位置管理システムにおいては、車両の正確な位置を把握することが可能となる。また、この車両位置管理システムを利用する車両のユーザにとっては、車載システム2における更新作業を必要としないため、ユーザの負荷を軽減することが可能となる。さらに、この車両位置管理システムを利用するすべての車両のユーザにとっては、常に最新のデータベース31Aを同一条件で利用することが可能となり、同一条件のサービスを受けることが可能となる。
【0041】
また、本実施形態の第1構成例においては、道路上で緊急事態が発生した(あるいは遭遇した)場合、通報スイッチ24を押下する等のユーザ操作により、第2位置情報に最新の第1位置情報を付加して外部に通報する。これにより、外部に対して車両の正確な位置情報を通報することが可能となる。このため、第2位置情報のみでは車両の現在地を2次元的な位置情報でしか把握することができなかったが、この第2位置情報に最新の第1位置情報が付加されたことにより、道路の高さ方向の位置の違いも把握することが可能となる。
【0042】
例えば、互いに進行方向が逆向きでありながら上下2層構造となっている区間や、立体交差している地点、さらには、高速道路と一般道とが並走している区間などにおいて、車両に緊急事態が発生した場合であっても、第1位置情報及び第2位置情報を通報することにより、通報車両がいずれの道路上に位置しているかを正確に報知することが可能となる。また、これらの第1位置情報及び第2位置情報の通報を受けた外部機関では、通報車両の正確な位置を把握することが可能となり、緊急車両等が通報車両の元へ短時間で向かうことが可能となる。
【0043】
第1位置情報及び第2位置情報の通報先が、車両の位置を管理する管理センター30である場合、管理センター30では、通報された第1位置情報及び第2位置情報に基づいて所管の外部機関に通報車両の正確な位置情報を報知することが可能である。また、第1位置情報及び第2位置情報の通報先が、所管の外部機関である場合、緊急車両等が通報車両の元へ向かう所要時間をさらに短縮することが可能となる。
【0044】
次に、本実施形態の第2構成例について説明する。なお、第1構成例と同一構成については同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
図4は、本実施形態の第2構成例における車両位置管理システム1の一構成例を概略的に示すブロック図である。
【0046】
この第2構成例は、第1構成例と比較して、DSRCアンテナATが管理センター30に対してビーコンIDを通知し、管理センター30がDSRCアンテナATに対して対応する第1位置情報を通知するように構成した点で相違している。
【0047】
車載システム2のDSRC車載器10は、第1構成例と同様に、第2通信部11などを備えている。この第2通信部11は、自車両が道路上を走行している時に、道路上のDSRCアンテナATとの間で無線通信(DSRC)を行う機能を有している。このような無線通信の中で、第2通信部11は、DSRCアンテナATとの間で各種情報のやり取りを行う。
【0048】
すなわち、第2通信部11は、DSRCアンテナATからそのビーコンIDを受信する機能を有している。また、この第2通信部11は、DSRCアンテナATからビーコンIDを受信したのに基づいて、当該DSRCアンテナATに対して受信したビーコンIDに対応する第1位置情報の取得を要求する(あるいは受信したビーコンIDを投げ返す)機能を有している。さらに、この第2通信部11は、管理センター30からDSRCアンテナATに通知された第1位置情報をこのDSRCアンテナATから受信する機能を有している。
【0049】
車載システム2のカーナビゲーション装置20は、第1位置情報記憶部22、第2位置情報検出部23、通報スイッチ24、通報部25などを備えている。
【0050】
第1位置情報記憶部22は、第2通信部11により受信した第1位置情報を記憶する機能を有している。例えば、第1位置情報記憶部22は、次のビーコンIDに対応する第1位置情報を取得するまでの間(具体的には、第2通信部11が次のビーコンIDに対応した第1位置情報を受信するまでの間)、少なくとも直前に受信した第1位置情報を記憶している。
【0051】
第2位置情報検出部23は、自車両の現在地に対応した第2位置情報を検出する機能を有している。通報スイッチ24は、自車両の緊急事態の発生を検知する機能を有している。通報部25は、通報スイッチ24により緊急事態の発生を検知したのに基づいて、第1位置情報記憶部22に記憶された第1位置情報及び第2位置情報検出部23によって検出された第2位置情報を通報する機能を有している。
【0052】
一方、DSRCアンテナATは、車載システム2の第2通信部11との間での無線通信の中で第2通信部11との間で各種情報のやり取りを行う他に、管理センター30との間で無線通信を行い、管理センター30との間で各種情報のやり取りを行う機能を有している。
【0053】
より具体的には、DSRCアンテナATは、通信エリアに到達した車両の車載システム2に対してそのビーコンIDを通知し、また、その車載システム2から第1位置情報の取得の要求を受信する機能を有している。また、このDSRCアンテナATは、車載システム2からの第1位置情報取得要求を受信したのに基づいて、管理センター30に対してDSRCアンテナATのビーコンIDを通知する機能を有している。
【0054】
さらに、このDSRCアンテナATは、管理センター30から通知された第1位置情報を受信する機能を有している。また、このDSRCアンテナATは、管理センター30からの第1位置情報を受信したのに基づいて、車載システム2に対して受信した第1位置情報を通知する機能を有している。
【0055】
管理センター30は、第1構成例と同様に、データベース31Aを記憶した記憶部31、第1通信部32、第1位置情報検出部33などを備えている。
【0056】
第1通信部32は、DSRCアンテナATから通知されたビーコンIDを受信する機能を有している。また、この第1通信部32は、ビーコンIDを通知したDSRCアンテナATに対して、(問い合わせのビーコンIDに対する返信として)対応する第1位置情報を通知する機能を有している。
【0057】
第1位置情報検出部33は、第1通信部32により受信したビーコンIDに基づき記憶部31に記憶されたデータベース31Aを参照し、このデータベース31Aから当該ビーコンIDに対応する第1位置情報を検出する機能を有している。第1位置情報検出部33により検出された第1位置情報は、第1通信部32によるDSRCアンテナATとの間の無線通信により、ビーコンIDを通知してきたDSRCアンテナATに対して通知される。
【0058】
次に、本実施形態の第2構成例における第1位置情報を検出する手法の一例について説明する。
【0059】
図5は、本実施形態の第2構成例における第1位置情報を検出する一手法を説明するための図である。
【0060】
まず、車載システム2では、DSRC車載器10の第2通信部11は、DSRCアンテナATの通信エリアに到達したと判断すると、DSRCアンテナATとの間での無線通信を開始し、この無線通信を通じて、DSRCアンテナATからそのビーコンIDを受信する(ST21)。そして、第2通信部11は、DSRCアンテナATとの間での無線通信を通じて、当該DSRCアンテナATに対して、受信したビーコンIDに対応する第1位置情報の取得を要求する(ST22)。このとき、第2通信部11は、受信したビーコンIDをDSRCアンテナATに対して投げ返してもよい。
【0061】
続いて、DSRCアンテナATは、車載システム2との間での無線通信を通じて、車載システム2から第1位置情報取得要求を受信する(ST23)。そして、DSRCアンテナATは、第1位置情報取得要求を受信すると、管理センター30との間での無線通信を開始し、この無線通信を通じて、管理センター30に対して、自身のビーコンIDもしくは車載システム2から投げ返されたビーコンIDを通知する(ST24)。
【0062】
続いて、管理センター30では、第1通信部32は、DSRCアンテナATとの間での無線通信を通じて、DSRCアンテナATから通知されたビーコンIDを受信する(ST25)。そして、第1位置情報検出部33は、第1通信部32により受信したビーコンIDに基づき記憶部31のデータベース31Aを参照し、データベース31Aから当該ビーコンIDに対応する第1位置情報を検出する(ST26)。そして、第1通信部32は、ビーコンIDを通知したDSRCアンテナATとの間での無線通信を通じて、当該DSRCアンテナATに対して、第1位置情報検出部33により検出した第1位置情報を通知する(ST27)。
【0063】
続いて、DSRCアンテナATは、管理センター30との間での無線通信を通じて、管理センター30から通知された第1位置情報を受信する(ST28)。そして、DSRCアンテナATは、第1位置情報の取得を要求した車載システム2との間での無線通信を通じて、当該車載システム2に対して、受信した第1位置情報を通知する(ST29)。
【0064】
続いて、車載システム2では、第2通信部11は、DSRCアンテナATとの間での無線通信を通じて、DSRCアンテナATから通知された第1位置情報を受信する(ST30)。そして、第1位置情報記憶部22は、第2通信部11により受信した第1位置情報を記憶する(ST31)。
【0065】
本実施形態の第2構成例における緊急通報の手法については、第1構成例と同様であり、説明を省略する。
【0066】
上述した本実施形態の第2構成例によれば、上記の第1構成例と同様の効果が得られる。しかも、この第2構成例によれば、車両側では、車載システム2とDSRCアンテナATとの間での通信のみで、第1位置情報を取得することが可能となる。すなわち、この第2構成例においては、第1構成例と比較すると、第1位置情報を取得するのに際して、車載システム2と管理センター30との間での通信が不要となる。このため、車載システム2と管理センター30とを接続するための通信料が不要となるため、このような車両位置管理システムを利用する車両のユーザの負担を軽減することが可能となる。
【0067】
次に、本実施形態の第3構成例について説明する。なお、第1構成例及び第2構成例と同一構成については同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0068】
図6は、本実施形態の第3構成例における車両位置管理システム1の一構成例を概略的に示すブロック図である。
【0069】
この第3構成例は、第1構成例及び第2構成例と比較して、車載システム2が第1位置情報に代えてビーコンIDを記憶し、緊急通報時に記憶していたビーコンIDと現在地に対応する第2位置情報とを管理センター30に通知するように構成した点で相違している。
【0070】
車載システム2のDSRC車載器10は、第1構成例と同様に、第2通信部11などを備えている。この第2通信部11は、自車両が道路上を走行している時に、道路上のDSRCアンテナATとの間で無線通信(DSRC)を行う機能を有している。このような無線通信の中で、第2通信部11は、DSRCアンテナATからそのビーコンIDを受信する機能を有している。
【0071】
車載システム2のカーナビゲーション装置20は、第3通信部21、第2位置情報検出部23、通報スイッチ24、ID記憶部26などを備えている。
【0072】
ID記憶部26は、第2通信部11により受信したビーコンIDを記憶する機能を有している。例えば、ID記憶部26は、第2通信部11が次のビーコンIDを受信するまでの間、少なくとも直前に受信したビーコンIDを記憶している。
【0073】
第2位置情報検出部23は、自車両の現在地に対応した第2位置情報を検出する機能を有している。通報スイッチ24は、自車両の緊急事態の発生を検知する機能を有している。
【0074】
第3通信部21は、通報スイッチ24により緊急事態の発生を検知したのに基づいて、ID記憶部26に記憶されたビーコンID及び第2位置情報検出部23によって検出された第2位置情報を管理センターに対して通知する機能を有している。より具体的には、第3通信部21は、携帯電話会社の通信回線などを介して、管理センター30との間でのデータ通信が可能であり、このようなデータ通信の中で、管理センター30へのビーコンID及び第2位置情報の通知を行うものである。
【0075】
DSRCアンテナATは、車載システム2の第2通信部11との間での無線通信の中で第2通信部11との間で各種情報のやり取りを行い、通信エリアに到達した車両の車載システム2に対してそのビーコンIDを通知する機能を有している。
【0076】
管理センター30は、データベース31Aを記憶した記憶部31、第1通信部32、第1位置情報検出部33、通報部34などを備えている。
【0077】
第1通信部32は、車載システム2から通知されたビーコンID及び第2位置情報を受信する機能を有している。より具体的には、第1通信部32は、携帯電話会社の通信回線などを介して、車載システム2との間でのデータ通信が可能であり、このようなデータ通信の中で、車載システム2からのビーコンID及び第2位置情報の受信を行うものである。
【0078】
第1位置情報検出部33は、第1通信部32により受信したビーコンIDに基づき記憶部31に記憶されたデータベース31Aを参照し、このデータベース31Aから当該ビーコンIDに対応する第1位置情報を検出する機能を有している。
【0079】
通報部34は、第1通信部32により車載システム2から通知されたビーコンID及び第2位置情報を受信したのに基づいて、受信したビーコンIDに基づき第1位置情報検出部33により検出された当該ビーコンIDに対応する第1位置情報と、第1通信部32により受信した第2位置情報とに基づいて所管の外部機関を特定し、当該外部機関に対して第1位置情報及び第2位置情報を通報する機能を有している。
【0080】
図7は、本実施形態の第3構成例における緊急通報時の一手法を説明するための図である。
【0081】
まず、車載システム2では、DSRC車載器10の第2通信部11は、DSRCアンテナATの通信エリアに到達したと判断すると、DSRCアンテナATとの間での無線通信を開始し、この無線通信を通じて、DSRCアンテナATからそのビーコンIDを受信する(ST41)。そして、ID記憶部26は、第2通信部11により受信したビーコンIDを記憶する(ST42)。
【0082】
続いて、車載システム2において、通報スイッチ24は、その押下あるいは接触などのユーザ操作を検知したことにより、緊急事態が発生したことを検知する(ST43)。そして、第3通信部21は、ID記憶部26に記憶された最新のビーコンID、及び、第2位置情報検出部23により検出された最新の第2位置情報を取得する(ST44)。そして、第3通信部21は、通信回線を介して管理センター30に接続し、管理センター30との間でのデータ通信を開始する。このデータ通信を通じて、第3通信部21は、取得したビーコンID及び第2位置情報を管理センター30に通知する(ST45)。
【0083】
続いて、管理センター30では、第1通信部32は、車載システム2との間でのデータ通信を通じて、車載システム2から通知されたビーコンID及び第2位置情報を受信する(ST46)。そして、第1位置情報検出部33は、第1通信部32により受信したビーコンIDに基づき記憶部31のデータベース31Aを参照し、データベース31Aから当該ビーコンIDに対応する第1位置情報を検出する(ST47)。
【0084】
そして、通報部34は、第1位置情報検出部33により検出された第1位置情報、及び、第1通信部32により受信した第2位置情報を取得する(ST48)。そして、通報部34は、取得した第1位置情報及び第2位置情報に基づいて所管の警察署や消防署などの外部機関を特定し、特定した外部機関に通信回線を介して接続し、接続した外部機関に対して通報車両の第1位置情報及び第2位置情報を通報する(ST49)。
【0085】
上述した本実施形態の第3構成例によれば、上記の第1構成例と同様の効果が得られる。しかも、この第3構成例によれば、DSRCアンテナATとの無線通信の都度、当該DSRCアンテナATのビーコンIDに対応した第1位置情報を検出するのではなく、車載システム2において受信したビーコンIDを記憶している。このため、車両に緊急事態が発生した場合に、記憶していたビーコンID及び車両の現在地に対応する第2位置情報を管理センター30に通知することにより、管理センター30において、通知されたビーコンIDに対応する第1位置情報が検出され、通知された第2位置情報とともに所管の外部機関に通報することが可能となる。
【0086】
すなわち、この第3構成例においては、第1構成例及び第2構成例と比較すると、DSRCアンテナATとの無線通信の都度、当該DSRCアンテナATのビーコンIDに対応する第1位置情報を取得するための通信が不要となるため、通信回数を低減することが可能となる。このため、車両位置管理システム1と、この車両位置管理システム1を利用する車両のユーザとの双方の負担を軽減することが可能となる。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、車両の正確な位置を把握することが可能な車両位置管理システムを提供することが可能となる。
【0088】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1…車両位置管理システム
AT…DSRCアンテナ
2…車載システム
10…DSRC車載器 11…第2通信部
20…カーナビゲーション装置
21…第3通信部
22…第1位置情報記憶部
23…第2位置情報検出部
24…通報スイッチ
25…通報部
26…ID記憶部
30…管理センター
31…記憶部 31A…データベース
32…第1通信部
33…第1位置情報検出部
34…通報部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上に設置され固有のビーコンIDを有するDSRCアンテナと、車両に搭載された車載システムと、車両の位置を管理する管理センターと、を具備する車両位置管理システムであって、
前記管理センターは、
前記DSRCアンテナのビーコンIDと当該DSRCアンテナの設置位置に対応した第1位置情報とを対応付けしたデータベースを記憶する記憶部と、
前記DSRCアンテナまたは前記車載システムから通知されたビーコンIDを受信する第1通信部と、
前記第1通信部により受信したビーコンIDに基づき、前記データベースから当該ビーコンIDに対応する第1位置情報を検出する第1位置情報検出部と、
を備えたことを特徴とする車両位置管理システム。
【請求項2】
前記第1通信部は、ビーコンIDを通知した前記DSRCアンテナまたは前記車載システムに対して、前記第1位置情報検出部により検出した第1位置情報を通知することを特徴とする請求項1に記載の車両位置管理システム。
【請求項3】
前記車載システムは、
自車両の走行時に前記DSRCアンテナからそのビーコンIDを受信する第2通信部と、
前記第2通信部により受信したビーコンIDを前記管理センターに通知するとともに前記管理センターから通知された第1位置情報を受信する第3通信部と、
前記第3通信部により受信した第1位置情報を記憶する第1位置情報記憶部と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両位置管理システム。
【請求項4】
前記車載システムは、
自車両の走行時に前記DSRCアンテナからそのビーコンIDを受信したのに基づいて前記DSRCアンテナに対して受信したビーコンIDに対応する第1位置情報の取得を要求するとともに、前記管理センターから前記DSRCアンテナに通知された第1位置情報を前記DSRCアンテナから受信する第2通信部と、
前記第2通信部により受信した第1位置情報を記憶する第1位置情報記憶部と、を備え、
前記DSRCアンテナは、
前記車載システムから第1位置情報の取得の要求を受信したのに基づいて前記管理センターに対して当該DSRCアンテナのビーコンIDを通知するとともに、前記管理センターから通知された第1位置情報を受信したのに基づいて前記車載システムに対して受信した第1位置情報を通知することを特徴とする請求項1または2に記載の車両位置管理システム。
【請求項5】
前記第1位置情報記憶部は、次のビーコンIDに対応する第1位置情報を取得するまでの間、少なくとも直前に受信した第1位置情報を記憶することを特徴とする請求項3または4に記載の車載システム。
【請求項6】
前記車載システムは、さらに、
自車両の現在地に対応した第2位置情報を検出する第2位置情報検出部と、
自車両の緊急事態の発生を検知する通報スイッチと、
前記通報スイッチにより緊急事態の発生を検知したのに基づいて、前記第1位置情報記憶部に記憶された第1位置情報及び前記第2位置情報検出部によって検出された第2位置情報を通報する通報部と、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の車両位置管理システム。
【請求項7】
前記車載システムは、
自車両の走行時に前記DSRCアンテナからそのビーコンIDを受信する第2通信部と、
前記第2通信部により受信したビーコンIDを記憶するID記憶部と、
自車両の現在地に対応した第2位置情報を検出する第2位置情報検出部と、
自車両の緊急事態の発生を検知する通報スイッチと、
前記通報スイッチにより緊急事態の発生を検知したのに基づいて、前記ID記憶部に記憶されたビーコンID及び前記第2位置情報検出部によって検出された第2位置情報を前記管理センターに通知する第3通信部と、を備え、
前記管理センターは、
前記第1通信部により前記車載システムから通知されたビーコンID及び第2位置情報を受信し、受信したビーコンIDに基づき前記第1位置情報検出部により検出された当該ビーコンIDに対応する第1位置情報と、受信した第2位置情報とに基づいて所管の外部機関を特定し、当該外部機関に対して第1位置情報及び第2位置情報を通報する通報部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両位置管理システム。
【請求項8】
前記ID記憶部は、前記第2通信部が次のビーコンIDを受信するまでの間、少なくとも直前に受信したビーコンIDを記憶することを特徴とする請求項7に記載の車載システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate