説明

車両内情報提示システム

【課題】要求に応じて乗客個別の案内情報を提示できる車両内情報提示システムを提供する。
【解決手段】表示手段7および位置情報を入力する入力手段8を有する表示入力部9と、外部情報を受信する情報発生部11と、入力される車両の状態に関連する情報と前記外部情報とから第二コンテンツ情報を選択して表示タイミングを発生するタイミング発生手段を有し、通常は、第一コンテンツ情報記憶部の第一コンテンツ情報から映像を供給し、前記位置情報が入力されたときは任意案内情報記憶部の任意案内情報を供給し、第一コンテンツ情報からの映像を表示しているときに表示タイミングが発生した場合は、第二コンテンツ情報から映像を供給し、任意案内情報を表示しているときに前記表示タイミングが発生した場合は、任意案内情報の優先度と第二コンテンツ情報の優先度とに基づいて選択して映像を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、定められた軌道上を移動する車両内の乗客に対して、運行情報や広告などの情報を提供する車両内情報提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両内情報提示システムにおいては、走行速度など車両の運行状態を示す情報を収集し、これを基に、表示情報選択部70は次に行先案内などの定型文章を表示すべきタイミングが到来するまでの空き時間の長さを求め、ニュースなどの文字情報を文章の途中で途切れることなく表示可能なだけの空き時間が存在するとき、当該ニュースなどの情報を車内の表示装置を通じて乗客へ提供している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、従来の車両内情報提示システムにおいては、車両の運行に関する運行情報を表示する第1の表示手段と、宣伝等の一般の情報を表示させる第2の表示手段とを車両内に配置している(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
上述の技術によれば、車両の各種案内情報は、決められた運行タイミングで乗客へ一方向に通知する動作を基本としており、そこで通知する情報は、全ての乗客に対して共通して有意であると考えられる情報のみである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−287242公報(第8頁、第1図)
【特許文献2】特開2004−70254公報(第6頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の車両内情報提示システムは、列車の運行状態に応じたタイミングで、情報を提示していたが、乗客の操作に応じて情報を提供することができなかった。また、乗客の操作に応じて個別案内情報を提供したとすると、その間は、他の重要な情報を提示できなくなる問題があった。
【0007】
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたもので、乗客からの要求に応じて乗客個別の案内情報を提供できる車両内情報システムを提供し、必要な情報がある場合には、当該必要な情報を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、映像を表示する表示手段および前記表示手段上の位置情報を入力する入力手段を有する表示入力部と、予め定められた映像データである第一コンテンツ情報を記憶する第一コンテンツ情報記憶部と、前記表示手段の表示内容および前記入力手段で入力される位置情報に応じて表示する任意案内情報を第一の優先度と共に記憶する任意案内情報記憶部と、無線通信装置を内部に有し、外部から発信された外部情報を受信する情報発生部と、前記外部情報または車両の状態に関連する情報に対応付けて予め定められた第二の映像データおよび第二の優先度を有する第二コンテンツ情報を記憶する第二コンテンツ情報記憶部と、入力される車両の状態に関連する情報と前記情報発生部からの前記外部情報とから該当する第二コンテンツ情報を選択して表示タイミングを発生するタイミング発生手段を有し、前記第一コンテンツ情報と前記任意案内情報と前記第二コンテンツ情報とから前記表示手段に入力する映像を供給する情報制御部とを備える車両内情報提示システムであって、前記情報制御部は、通常は、前記第一コンテンツ情報から映像を供給し、前記位置情報が入力されたときは前記任意案内情報を供給するものであって、前記第一コンテンツ情報からの映像を表示しているときに前記表示タイミングが発生した場合は、前記選択された第二コンテンツ情報から映像を供給し、前記任意案内情報を表示しているときに前記表示タイミングが発生した場合は、前記第一の優先度と前記選択された第二コンテンツ情報が有する第二の優先度とに基づいて前記任意案内情報と前記第二コンテンツ情報とから選択して映像を供給するものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、車両内に乗客からのアクセスが可能なタッチパネルによる入力手段を備えた表示入力部と、それを制御する情報制御部を備えたことにより、一方向に通知表示される案内情報とは別に、入力手段へアクセスした乗客個別の要求を満たす、任意案内情報を乗客が取得することができる。また、乗客の操作に応じて個別案内情報を提供していても、他の重要な情報があれば提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1を示すブロック構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示す表示入力部の車両内配置の平面図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示す任意案内情報の表示方法の説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1を示す優先案内情報の表示方法の説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1を示す各種案内情報表示領域の動作を示す説明図である。
【図6】従来の車両内情報提示システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1における車両内情報提供システムのブロック構成図を示すものである。本実施の形態1における車両内情報提示システムは、移動する車両内で乗客に対して案内する予め定められた第一コンテンツ情報を提示する車両内情報提示システムである。ここで、第一コンテンツ情報(案内情報とも呼ぶ。)とは、停車駅名、行き先案内、号車番号、現在時刻、設備案内、路線案内(現在車両位置案内)、乗換案内、マナー案内(携帯電話、優先席)、テロ警戒案内、開扉方向案内、女性専用車案内、乗換駅等の各種案内情報を映像化した情報である。
【0012】
図において、車両内情報提示システムは、映像コンテンツを表示する表示手段7および表示手段7上の位置情報を入力する入力手段8を有する表示入力部9と、第一コンテンツ情報を表示手段7に表示し、入力手段8によって入力された位置情報に応じて表示手段7に表示する表示内容を任意案内情報に変える情報制御部10とを備える。
【0013】
第一コンテンツ情報は、第一コンテンツ情報記憶部21に記憶されている。表示手段7は、第一コンテンツ情報記憶部21から第一コンテンツ情報を順次読み出して、第一コンテンツ情報の表示内容を表示する。また、情報制御部10の指示に基づいて、第一コンテンツ情報記憶部21から第一コンテンツ情報を読み出して、表示手段7へ出力表示するようにしても良い。
【0014】
任意案内情報は、任意案内情報記憶部22に記憶される。任意案内情報は、当該任意案内情報を表示する表示条件とともに任意案内情報記憶部22に記憶される。任意案内情報を表示する表示条件は、表示手段7に表示されている第一コンテンツ情報の表示内容を特定する情報と、その表示内容に対応する入力手段8の入力範囲を示す情報である。例えば、表示内容を特定する情報は、表示映像が動画像の場合、第一コンテンツ情報の映像の開始時からの経過時間によって期間を特定できる。また、表示映像が静止画像をある特定の期間毎に切替えて順次表示するような場合、表示映像の第一コンテンツ情報記憶部21に格納されたファイル名によって表示内容を特定できる。また、入力範囲は、入力手段8の座標によって表現したバウンディングボックスにより定義できる。
【0015】
情報制御部10は、第一コンテンツ情報を表示中に入力手段8に入力があると、任意案内情報記憶部22に記憶された表示条件に合致する任意案内情報を検索する。合致する任意案内情報があれば、表示手段7に当該任意案内情報を出力するように、任意案内情報記憶部22を制御する。具体的には、表示映像が動画像であった場合の表示内容を特定する表示条件として、(1)第一コンテンツ情報の映像の開始時からの経過時間によって特定される期間に入っており、かつ(2)入力手段8で入力された位置情報が、表示条件の入力範囲内にある任意案内情報を検索する。また、表示映像が、静止画像をある特定の期間毎に切替えて順次表示するような場合の表示内容を特定する表示条件として、(1)第一コンテンツ情報の表示映像のファイル名が、ある特定されるファイル名に入っており、かつ(2)入力手段8で入力された位置情報が、表示条件の入力範囲内にある任意案内情報を検索する。
【0016】
情報制御部10は、第一のコンテンツ情報と異なる第二コンテンツ情報(優先案内情報とも呼ぶ。)の、表示手段7への出力表示制御動作を行う。ここで、第二コンテンツ情報は、第一コンテンツ情報より優先して表示する予め定められた、又は外部から受信した映像データである。
【0017】
第二コンテンツ情報の予め定められた映像データとしては、例えば急停車案内やドア開閉時案内等に代表される、第一コンテンツ情報よりも車両運行上において緊急性が高く、かつ全ての乗客に対して優先的に伝達すべきと考えられる情報が含まれる。また、これらの情報は第二コンテンツ情報記憶部23に予め格納される。また、第二コンテンツ情報の予め定められた映像データを表示するタイミングは、情報制御部10が車両が急停止した状態やドアを開閉している状態を示す情報などから求める。
【0018】
第二コンテンツ情報の外部から受信した映像データとしては、情報発生部11において受信する特定の案内情報(運行情報や緊急情報を含む)が含まれる。また、第二コンテンツ情報の外部から受信した映像データを表示するタイミングは、情報発生部11において受信する特定の案内情報に含まれる。また、情報発生部11において案内情報を受信したときを映像データの表示タイミングとしても良い。
【0019】
情報制御部10は、表示手段7に表示している第一コンテンツ情報の優先度より高い優先度を持つ第二コンテンツ情報を表示するタイミングが発生した場合には、入力手段8の入力を遮断して第二コンテンツ情報を優先的に第二コンテンツ情報記憶部23から読み出し、表示手段7に出力表示する制御動作を行う。
【0020】
図2は、列車を例にして、表示入力部9の車両内の配置場所を示す平面図である。図において、車両2には、乗客が乗降する開閉扉3が、車両2の両側面に複数個が設けられている。車両2には、他の車両2との間を行き来する連絡扉4が設けられている。
【0021】
図において、液晶パネル等のデバイスで代表される表示手段7及びタッチパネルに基づく入力手段8で構成される表示入力部9の設置場所は、開閉扉3の周辺部の開閉扉設置場所5および連絡扉設置場所6である。さらに具体的には、開閉扉上部左側5a、開閉扉上部中央5b、開閉扉上部右側5c、開閉扉左側側壁5d、開閉扉右側側壁5eおよび連絡扉4の連絡扉左側側壁6a、連絡扉右側側壁6bである。また、表示入力部9は、上記開閉扉3の上部や側壁、連絡扉4の側壁以外にも、乗客から容易に見えてアクセスできる場所に設置してもよい。ここでは、列車を例にして説明したが、車両2は、バスなどの移動体でも良い。
【0022】
表示手段7は、液晶パネル等に代表される表示デバイスで構成された、表示モニタとしての機能を持つ。表示手段7には、停車駅名、行き先案内、乗換駅等の案内情報を、ある決められた運行タイミングで一方向に乗客へ映像化して表示したり、入力手段8へアクセスした乗客個別の要求を満たす任意案内情報を表示したり、特定の案内情報や緊急情報等の優先案内情報を表示したりする。
【0023】
入力手段8は、タッチパネル等のセンシングデバイスで代表される入力素子で構成され、表示手段7の表示面全領域又は一部領域を覆うことで、乗客からの入力情報を得ることができる。
【0024】
表示入力部9は、表示手段7と入力手段8とで構成された表示入力機器の総称を意味する。
【0025】
情報制御部10は、予め走行速度や走行位置、時刻、駅間距離、駅間走行所要時間、ドアの開閉状態等の車両の状態に関連する各種情報を収集し、車両の運行状況に応じて停車駅名、行き先案内、乗換駅等の運行に関連する各種案内情報を、ある決められた運行タイミングで一方向に乗客へ逐次出力するよう、第一コンテンツ情報記憶部21に対して映像データの出力制御を行う。さらに、入力手段8への乗客からのアクセス状況(入力操作)に関する情報が、入力手段8から情報制御部10へ入力される。すると、情報制御部10は、乗客個別の要求を満たす任意案内情報の出力表示制御及びその他優先案内情報を表示手段7へ出力する出力表示制御を行う。
【0026】
情報制御部10が扱う各種案内情報(案内情報、任意案内情報、優先案内情報)は、必要に応じて更新される。更新方法としては、車両運行休止中に直接各種情報記憶部に対して不図示のメモリ等の各種記憶媒体を経由して更新する方法や、情報発生部11が備える外部との無線通信装置を介して、各種情報記憶部に対して更新内容をダウンロードする等の方法が考えられる。後者の場合は車両走行中や駅停車中に更新してもよい。
【0027】
次に動作について説明する。図3、図4は、車両内情報システムにおける表示手段7に表示される各種案内情報の表示内容、及び表示方法について示す説明図である。
【0028】
図3は、任意案内情報の表示方法の説明図である。まず、従来の車両内情報提示システム(例えば、特許文献2参照。)と同様に、通常の案内情報表示画面の動作を行う。図において、車両2が、運行スケジュールに沿って運行されると、ある決められた運行タイミングに応じて、情報制御部10からの制御に基づいて、第一コンテンツ情報記憶部21から案内情報を出力する。
【0029】
ここで、「ある決められた運行タイミングに応じて」とは、例えば、基準点からの車両2の位置(例えばある基準とする駅から車両までの距離:Km等)に対して、特定の案内情報の映像データを表示することが第一コンテンツ情報記憶部21に予め定められており、基準点からの車両2の位置が、第一コンテンツ情報記憶部21に予め定められた位置に到達すると、対応する特定の案内情報の映像データを表示することである。なお、車両2の現在位置は、基準点からの速度を積分した移動距離、時間、GPSによる現在位置取得などの現在位置取得手段を用いても良い。
【0030】
次に、代表的な案内情報の表示例について、図3を用いて説明する。表示手段7の表示区分701領域には主にテキスト文字を表示し、次の停車駅を「次は○○駅です」のように表示(現在駅、次駅表示機能)する。また、列車の行き先情報、号車番号および現在時刻等を表示する。この領域に表示される次の停車駅名や停車中の駅名、現在時刻等の各表示情報内容は、上記の現在位置取得手段によって得られた列車の運行位置および現在時刻によって逐次切り替えて表示する。
【0031】
また、表示手段7の表示区分702の領域には、主に車両2の運行状態に応じたタイミングで、あらかじめ用意された定型文章や定型図の静止画像を逐次切り替えて表示する。例えば、図3では、表示区分702の領域の上部に、次停車駅の設備案内の表示703を表示した例について示している。ここでは、次の停車駅におけるエスカレータや階段に対応した出口の設備案内の表示703の図を示している。また、表示区分702領域の下部には、次停車駅の乗換案内の表示704を表示した例について示している。ここでは、次の停車駅で乗客が乗換えた場合、乗換可能となる各路線(A線,B線,C線,Dモノレール)について示している。
【0032】
表示区分702領域に表示する他の案内情報としては、ここで示した設備案内や乗換案内の他に、路線図(現在の車両の位置を提示する表示を含む)、マナー案内(携帯電話、優先席)、テロ警戒案内、開扉方向案内、運行情報、急停車案内、ドア開閉時案内、女性専用車案内等の情報がある。これら夫々の情報は、情報制御部10が、第一のコンテンツ情報記憶部に記憶された情報に基づいて、基準点からの車両の位置(例えばある基準とする駅から車両までの距離:Km等)に応じて、予め定められた映像データを案内情報として逐次切替えて出力する。また、これらの情報は、現在乗車している乗客全員に対して共通して有意と考えられる情報となる。
【0033】
以上、車両2が運行スケジュールにより運行されている場合に、従来動作と同じ通常時における案内情報表示画面の動作について述べた。次に、任意案内情報を表示する場合の動作について図3を用いて説明する。ここでは、車両2に乗車している乗客が、車両2内のいずれかの設置場所に設置された表示入力部9近くに接近し、その入力手段8の一部領域にアクセスする(入力手段8の画面に触れる等の動作)ことで、任意案内情報を取得表示する例の動作について以下に示す。
【0034】
通常の案内情報表示中において、表示手段7の表示区分702領域下部に、乗換案内が表示されている場合を例として説明する。ここで、乗換案内の各路線を表示する領域を、タッチパネルで構成される入力手段8の入力情報検知領域としておく。
【0035】
車両2内のいずれかの場所に設置された表示入力部9に接近した乗客が、その入力手段8の入力情報検知領域にアクセスする(触れる)と、その情報を入力手段8が情報制御部10に送る。情報制御部10は、当該表示入力部9の入力手段8に入力されたことを検出し、乗客がアクセスした入力手段8を持つ表示入力部9のみに対して、これまで出力していた通常の案内情報表示の全て、又は一部表示を中止し、アクセスした入力情報検知領域の情報に相当する任意案内情報を出力する。
【0036】
ここで、「入力情報検知領域」は、予め個別に識別できる識別子が付与されおり、「アクセスした入力情報検知領域の情報に相当する任意案内情報」は、予め任意案内情報記憶部23に、入力情報検知領域の識別子に関連付けられて、任意案内情報が記憶されている。情報制御部10は、入力された入力情報検知領域の識別子に基づいて、任意案内情報記憶部23に記憶された関連する任意案内情報を求めて、当該任意案内情報を表示手段7へ出力する。
【0037】
出力された任意案内情報は、表示手段7において映像の情報データとして再生されて、任意案内情報として表示する。この時、表示手段7には複数の映像データを同時表示したり、拡大縮小表示を行えるグラフィックス・プロセッサとしての機能を持たせることで、これまで表示していた通常の案内情報表示の全てに切替えて任意案内情報を表示する動作だけでなく、通常の案内情報表示の一部を消去又は縮小表示し、その消去した部分、又は縮小表示した以外の領域部分に任意案内情報を同時に表示したりしてもよい。このような表示方法の切替え制御は、情報制御部10が表示手段7に対して行う。また、この場合、乗客がアクセスしていない他の設置場所にある表示入力部9の表示手段7には、通常の案内情報(第一のコンテンツ情報)を表示し続ける動作を行う。ここで、情報制御部10が、複数の表示入力部9を制御するように構成しても良いし、表示制御部10を表示入力部9に1個づつ設けるように構成しても良い。
【0038】
次に、表示手段7に表示された任意案内情報の表示切換え動作について詳しく説明する。次の停車駅(例えば○○駅とする)において、Dモノレールに乗換予定の乗客が、表示手段7の表示区分702領域下部に表示された乗換案内の表示704のうち、「Dモノレール」検出領域にアクセスした(触れた)場合、情報制御部10は、表示705で示されるような、Dモノレールの路線図、経由時間、A駅時刻表等の、アクセスした乗客が所望するDモノレールに関するさらに詳しい情報を、表示手段7の表示区分702領域に出力する。
【0039】
また、表示706で示される「リターン」検出領域のような領域部分を設けることで、表示706の領域にアクセスした場合は、表示区分702領域に表示していた前情報画面(この場合は、表示703、704が表示された通常の案内情報前画面)に戻る動作を行う。
【0040】
さらに、表示707で示される「A駅(Dモノレール)時刻表」検出領域を設けることで、表示707の領域にアクセスした場合は、表示708で示される次の停車駅(○○駅)に接続するA駅(Dモノレール)の時刻表情報を出力する。または、さらに詳しい任意案内情報として切換えて出力する。
【0041】
また、本出力情報においても、表示706で示される「リターン」検出領域にアクセスした場合は、表示区分702領域に表示していた前情報画面(この場合は、表示705,706,707が表示された任意案内情報前画面)に戻る動作を行う。
【0042】
前情報画面に戻る方法として、ここでは代表的な「リターン」検出領域(表示706)のような領域部分を設け、その特定領域へのアクセスを行う方法について示した。このような特定領域を表示手段7上に設けなくとも、例えば、入力手段8の全ての領域、又はあらかじめ明示されたある特定領域部分を、単位時間内にある特定回数触れたり、トレースしたりするような、ある決まった特定の入力操作を情報制御部10は検出することで、前画面に戻る動作を行っても良い。
【0043】
以上説明した、任意案内情報の表示動作について、表示手段7の一部領域(表示区分702領域)についてのみ任意案内情報の表示領域とし、他の領域(表示区分701領域)については、従来と同じ通常の案内情報を表示する場合について示したが、表示手段7の全領域を任意案内情報の表示領域としても良い。その場合を含む他の表示形態については後述する。
【0044】
また、任意案内情報の表示領域を、表示手段7の一部領域(例えば表示区分702領域)に限定する場合は、透過性のあるタッチパネルで構成した入力手段8は、表示手段7の全ての画面領域を覆う構成とする以外に、一部画面領域(例えば表示区分702領域)のみを覆う構成としてもよい。
【0045】
次に、優先案内情報表示画面の動作について図2,図3,図4を用いて説明する。表示手段7の表示区分702の領域には、図3で示した次停車駅の設備案内(表示703の内容)や乗換案内(表示704の内容)情報の他にも、路線案内、マナー案内(携帯電話、優先席)、テロ警戒案内、開扉方向案内、運行情報、緊急情報、急停車案内、ドア開閉時案内、女性専用車案内等の様々な情報が車両の運行状態に応じたタイミングで表示される。従来の動作では、これら全ての情報を同じ第一コンテンツ情報として取り扱って表示する動作が一般的であった。
【0046】
そこで、情報制御部10は、予めこれらの情報の中から、任意案内情報に対して優先的に表示すべき内容であると考えられる情報を、優先案内情報としてあらかじめ定義し、それら情報の映像データを、第二コンテンツ情報記憶部23にあらかじめ格納、又は情報発生部11により外部から入力後に格納する。例えば、あらかじめ格納される優先案内情報の一例としては、表示内容が予め決まっている急停車案内やドア開閉時案内のような案内情報が考えられる。また、外部から入力後に格納される優先案内情報の一例としては、表示内容が時間的状況により刻々と変化する、運行情報や緊急情報のような案内情報が考えられる。
【0047】
例えば、急停車案内情報は、車両運行中において緊急性が高いと考えられる情報であり、全ての乗客に対して、一斉に伝達すべき情報である。そこで、急停車案内情報を優先案内情報としてあらかじめ定義し、車両運行中にこのような情報を急遽表示する必要が生じた場合は、たとえ任意案内情報表示中であっても、情報制御部10が、優先的に表示させる動作を行う必要がある。
【0048】
また、ドア開閉時案内情報は、主に車両停車中や停車前後において表示される情報である。ドア開閉時案内情報を表示する時には、開閉扉3付近に、乗客の乗り降り(増減)が発生する。そこで、表示入力部9の設置場所が、開閉扉3付近の開閉扉設置場所5(図2の開閉扉上部左側5a、開閉扉上部中央5b、開閉扉上部右側5c、開閉扉左側側壁5d、開閉扉右側側壁5e)のような場所である場合、さらにその入力手段8へのアクセスを目指す、又はアクセス中である乗客がいた場合は、乗り降りする乗客の迷惑になる事が考えられる。また、降車する乗客を考えた場合、ドア開閉時案内情報を優先的に表示させる事が望ましい。
【0049】
そこで、ドア開閉時案内情報を優先案内情報としてあらかじめ定義し、ドア開閉時案内情報を表示するタイミングが生じた場合は、たとえ任意案内情報の表示中であっても、情報制御部10が、優先的にドア開閉時案内情報を表示させる動作を行う必要がある。また、任意案内情報については、情報制御部10が、入力手段8への乗客からのアクセス操作を禁止したり、それまで表示されていた任意案内情報を消去、又は縮小表示したりする動作を行う必要がある。
【0050】
さらに、運行情報や緊急情報のような、車両運行中に無線装置を介して外部から入力されてくる情報も、急停車案内情報と同じく緊急性が高い情報であることが多い。そこで、外部から入力される情報の一部、又は全てに対しても、優先案内情報としてあらかじめ定義することで、たとえ任意案内情報表示中であっても、情報制御部10が優先的に表示させる動作を行う必要がある。
【0051】
以上の優先案内情報を表示する場合の動作の一例として、ドア開閉時案内情報を優先案内情報として予め定義した場合の動作について詳しく説明する。また、参考までに急停車案内情報と、外部から入力される運行情報や緊急情報を優先案内情報として定義した場合の動作についても簡単に説明する。図4は、優先案内情報として予め定義されたドア開閉時案内情報を、表示709で示した代表的な定型図で表示した場合について示している。
【0052】
情報制御部10は、車両2内の特定の場所に設置された表示入力部9に対して乗客からのアクセスが無い場合、表示709で示されるドア開閉時案内情報データを、前述した通常の案内情報表示画面の動作と同様に予め決められた運行タイミングで第二コンテンツ情報記憶部23から読み出して表示手段7へ出力する。ドア開閉時案内情報を表示709へ表示するタイミングは、次駅停車時およびその前後となる事が一般的に考えられる。なお、ドア開閉時案内情報データは、優先案内情報として定義された画像データとして、あらかじめ第二コンテンツ情報記憶部23へ格納しておく。
【0053】
このドア開閉時案内情報を表示手段7の表示709へ出力表示中に、乗客が表示入力部9に対してアクセスする事例は2種類存在する。
【0054】
第1の事例は、優先案内情報として定義されたドア開閉時案内情報の表示709の表示中に、任意案内情報を取得しようとした乗客が、初めて表示入力部9にアクセスした場合の状況である。
【0055】
第2の事例は、乗客が既に表示入力部9にアクセス中で、図3の表示705,706,707,708に示されるような各種任意案内情報を表示手段7に表示中に、優先案内情報として定義されたドア開閉時案内情報(表示709)を表示するタイミングが訪れた時の状況である。この2種類の事例に対して、情報制御部10は、以下に示す制御動作をそれぞれ行う。
【0056】
第1の事例が発生した場合には、情報制御部10は、入力手段8からのタッチパネル入力を受け付けず、乗客が表示入力部9に対してアクセスしても、任意案内情報を任意案内情報記憶部22から出力しない制御動作を行う。これとともに、情報制御部10は、優先案内情報として定義されたドア開閉時案内情報の表示709の表示用データを、第二コンテンツ情報記憶部23から読み出して表示手段7へ出力し続けるように制御する。
【0057】
第2の事例が発生した場合には、情報制御部10は、図3の表示705,706,707,708に示されるような任意案内情報を任意案内情報記憶部22から出力表示するよう、既に制御中である。この場合、情報制御部10は、既に表示されていた任意案内情報を消去、又は縮小表示し、その代わりにドア開閉時案内情報の表示709の表示用データを優先的に第二コンテンツ情報記憶部23から出力するように制御する。
【0058】
以上、ドア開閉時案内情報を優先案内情報として定義した場合の動作について述べた。次に、急停車案内情報を優先案内情報として定義した場合の動作について、異なる動作内容について述べる。
【0059】
急停車案内情報は、車両が突発的な状況により何らかの急停車を行わなければならないような状況が発生した時に、表示手段7に対して急遽表示する案内情報となる。よって、予め決められた運行タイミングで優先案内情報として表示するドア開閉時案内情報の場合と比べると、その表示発生動作が異なる。つまり、車両が急停車する突発的な状況の発生を情報制御部10が判断した場合に、情報制御部10は優先案内情報として定義された急停車案内情報を、あらかじめ映像データとして格納された第二コンテンツ情報記憶部23から読み出して表示手段7へ出力表示させる動作を行う。
【0060】
ここで、急停車以外にも、車両の様々な突発的状況を知らせる信号(急発進、突発的な緊急停車が永遠に続く状況等)を情報制御部10へ入力し、それに対応する映像データを、第二コンテンツ情報記憶部23へ格納しておくことで、突発的に発生する車両の様々な状況を優先的に乗客に伝えることができる。
【0061】
次に、外部から受信する運行情報や緊急情報を優先案内情報として定義した場合の動作についても、異なる表示発生動作内容について述べる。運行情報や緊急情報のような各種情報は、情報発生部11に備える無線装置を介して外部からのデータとして受信する。情報発生部11において受信したデータは映像データとして構築され、一旦第二コンテンツ情報記憶部23に格納されるとともに、情報発生部11は情報制御部10に対して外部からのデータ受信、及びその内容を伝える。外部からのデータ受信を知った情報制御部10は、通常はすぐに第二コンテンツ情報記憶部23から受信した映像データ(運行情報や緊急情報等)を読み出して、表示手段7へ優先案内情報として出力表示させる動作を行う。
【0062】
ここでは車両運行中を想定し、外部から受信した緊急情報のような突発性の高い情報を、優先運行情報として受信後すぐに表示する動作について示したが、例えば外部から受信した情報の出力表示タイミングを受信直後ではなく、情報制御部10がその情報内容を判断して別の異なるタイミングで出力表示するように制御してもよい。
【0063】
また、上記説明では、外部から受信する情報の全てを優先案内情報として定義した場合を想定しているが、受信情報の一部を通常の案内情報として取扱っても良い。この場合、外部からの受信情報が通常の案内情報であるか、それとも優先案内情報であるかの判断は、受信するデータの一部にどちらの情報であるかを示す情報を送信側で付加しておき、その付加情報を情報発生部11が読み取って判断するような方法が考えられる。そこで、受信情報が通常の案内情報であると判断した情報発生部11は、情報制御部10へデータ受信とその情報内容を伝えるとともに、第一コンテンツ情報記憶部21に映像データとして格納する。また、本データの案内情報としての出力表示制御方法は、既にこれまで述べた通常の案内情報と同じ動作を行う。上記動作を応用することで、例えば既に格納された各種情報記憶部に対して更新内容をダウンロードする等の作業を行うことができる。
【0064】
以上の動作を行う事により、一方向に伝達される案内情報(第一のコンテンツ情報)を表示入力部9に出力表示中、その入力手段8へ乗客がアクセスすることで、乗客個別の要求を満たす任意案内情報を取得することができるとともに、優先案内情報と任意案内情報の表示動作が重なった時には、任意案内情報の取得表示制御動作に優先して優先案内情報を表示することで、緊急案内情報のような情報に代表される優先案内情報を確実に取得することができる。
【0065】
また、ドア開閉時案内情報などの優先情報を表示する間、情報制御部10は、アクセス操作禁止の状態であることを伝えるような定型文または定型図を表示手段7に同時出力表示するように制御する。これによって、表示入力部9の入力手段8に対してアクセスすることができないことを、乗客は把握することができる。
【0066】
また、上述の優先案内情報の表示動作と任意案内情報の表示動作が重なった場合の情報制御部10が行う制御内容について、これまでの説明では乗客による任意案内情報の取得表示制御動作に対して、優先案内情報の表示動作を必ず優先的に行うものとしてきたが、個々の表示入力部9の設置場所毎に、また優先案内情報と任意案内情報の内容毎に、優先案内情報と任意案内情報の制御優先順位内容を変えても良い。これにより、優先案内情報の内容に応じて、任意案内情報に対する細かな表示優先順位の設定を、表示される設置場所毎に行うことができる。
【0067】
具体的には、優先案内情報として定義されたドア開閉時案内情報の表示709の出力表示動作が発生した場合、情報制御部10は、上記第1、第2どちらの事例発生時においても、開閉扉3から離れた連絡扉4の連絡扉設置場所6a,6bに設置された表示入力部9に対しては任意案内情報を優先的に出力表示し、入力手段8からのアクセスを許可する制御動作を行っても良い。すなわち、上記設置場所へドア開閉時案内情報を表示する時は、情報制御部10は、優先的な出力表示動作を行わない。つまり、この場合のドア開閉時案内情報の表示709は、あくまでも開閉扉3付近に設置された表示入力部9に出力する時のみに対して、優先案内情報として取扱われ、連絡扉設置場所のようなその他の設置場所に表示する時には、通常の案内情報として取扱われるように制御しても良い。この場合の表示入力部9と情報制御部10の構成内容について、通常は車両2内に存在する一つの情報制御部10が、複数の表示入力部9をまとめて制御する方法が考えられるが、他方の構成として、車両2内に存在する個々の表示入力部9毎に情報制御部10を備え、夫々の情報制御部10が対応する表示入力部9を制御する構成にすることもできる。
【0068】
上記動作を実現する為に考えられる代表的な方法を以下に示す。まず、任意案内情報記憶部22に格納された任意案内情報と、第二コンテンツ情報記憶部23に格納された優先案内情報の各々の映像データ内部に、各設置場所に対する優先度を示す情報を情報制御部10が予め付加しておく。ただし、優先案内情報が外部から受信する情報データの場合については、情報データ送信側で優先度を示す情報を付加しておくか、受信後に第二コンテンツ情報記憶部23に格納された映像データに情報制御部10がアクセスすることで付加してもよい。
【0069】
次に、ある場所に設置された表示手段7への優先案内情報の出力表示動作が発生した時に、情報制御部10は、その設置場所に対する優先度を示す情報を映像データ内部から読み取る。そして優先案内情報が持つ優先度が表示手段7に表示している任意案内情報の優先度より高いと情報制御部10が判断した場合には、その入力手段8への乗客からの入力を遮断して優先案内情報を優先的に表示する動作を行う。
【0070】
一方、優先案内情報が持つ優先度が表示手段7に表示している任意案内情報の優先度より低いと判断した場合には、その入力手段8への乗客からの入力を許可して任意案内情報を優先的に表示する動作を行う。
【0071】
これらの優先判断動作を、車両2内の全設置場所に対して情報制御部10が行うことで、例えば開閉扉3付近に設置された表示入力部9へはドア開閉時案内情報を優先的に表示し、それ以外の場所に設置された表示入力部9へは任意案内情報を優先的に表示させるような、優先案内情報内容と個々の設置場所に応じた表示優先動作が実現できる。
【0072】
これまで示した動作例では、任意案内情報と優先案内情報の表示領域について、表示手段7の一部領域(例えば、表示区分702)を表示領域とし、他の領域(例えば、表示区分701)については通常の案内情報を表示する場合のみについて示した。以下は、表示する各種案内情報内容や表示入力部9の設置場所に応じて、表示画面領域の動作を変えても良い。ここでは各種案内情報表示画面領域の動作について示す。
【0073】
図5は、各種案内情報表示画面領域の動作について説明した図である。具体的には、表示画面の遷移を説明した図である。これまで述べた通常時の案内情報を表示する表示手段7の様子が、図5の表示画面750に示されている。表示手段7の画面領域は、列車の行き先情報(次停車駅)や号車番号、現在時刻等のテキスト文字情報を表示する表示区分701と、その他の各種案内情報を表示する表示区分702に分けられることは前述した。
【0074】
図において、中段に示される表示画面751,752,753は、それぞれ任意案内情報の表示画面を表示するときの代表的な3種類の表示画面を表している。これらいずれの表示画面を表示するかは、情報制御部10が、任意案内情報を出力表示する時に、表示案内情報の内容または表示入力部9の設置場所に応じて選択する。
【0075】
例えば、これまで述べた任意案内情報の出力表示形態を示した表示画面は751に示されている。これは任意案内情報が、表示手段7の部分画面領域となる表示区分702全体に、階層化されて表示される様子を示している。ここで、階層化された表示とは、図3を用いて説明した、各任意案内情報が乗客からの入力手段8へのアクセスによって切り替えて表示される動作を意味する。
【0076】
また、表示画面752に示される出力表示形態では、任意案内情報が表示される時には、表示区分701,702のどちらをも含む、表示手段7の全画面領域に階層化されて出力表示される様子を示している。
【0077】
また、表示画面753に示される出力表示形態では、任意案内情報が表示される時には、表示区分702領域の一部領域に小さな子画面領域として出力表示する。この子画面以外の表示区分702には、任意案内情報を表示することにより表示できなかった通常時の案内情報を、圧縮して表示する様子を示している。
【0078】
以上説明した任意案内情報の各出力表示画面751,752,753は、情報制御部10が、各種案内情報の内容や表示入力部9の設置場所に応じて選択的に制御する。例えば、情報制御部10が、表示画面752の出力表示形態を選択することで、ある特定の場所に設置された表示入力部9にアクセスした乗客は、より大きな表示画面領域で所望する任意案内情報を取得することができる。この出力表示形態が推奨される設置場所としては、連絡扉4付近(図2の連絡扉設置場所6a,6b)のような場所に設置する場合が考えられる。これは、任意案内情報を取得することを目的とする乗客以外の他の乗客が、表示手段7に表示される案内情報を殆ど見ないと考えられからである。
【0079】
具体的には、任意案内情報記憶部22に蓄積された任意案内情報のある映像データに対して、表示入力部9の設置場所が、連絡扉設置場所6a,6bについては、表示画面752を選択することを示す情報を予め付与しておく。つまり、夫々の各映像データに、各設置場所に対応した出力表示形態(表示画面領域の動作内容)を示す情報を予め付与しておくことで、情報制御部10は付与された情報を読み取り、表示入力部9の各設置場所に対応した任意案内情報の出力表示形態を取得する。例えば、この場合については、情報制御部10が、付与された連絡扉設置場所6a,6bについての表示画面752を選択するという情報を読み出して、この情報に従って、表示画面752の形態で任意案内情報を出力するように表示手段7を制御する。
【0080】
また、表示画面753の出力表示形態を採ることで、通常の案内情報と任意案内情報の両方の情報を、アクセスした乗客は同時に取得することができる。この出力表示形態が推奨される設置場所としては、任意案内情報を取得することを目的とする乗客以外の他の乗客も、表示手段7に表示される案内情報を良く見る開閉扉3側壁付近(図2の開閉扉設置場所5d,5e)のような場所に設置する場合が考えられる。
【0081】
上述したように、情報制御部10は、任意案内情報の各出力表示形態を、表示する各種案内情報の内容と表示入力部9の各設置場所の情報に応じて、選択的に制御する。このように制御することによって、車両2内の異なる設置環境における、様々な車両内情報システムの利用形態を反映した任意案内情報の出力表示ができる。
【0082】
従来技術(例えば、特許文献1、2)によれば、走行速度や走行位置、時刻、駅間距離、駅間走行所要時間、ドアの開閉状態等の各種情報を収集し、車両の運行状態に応じたタイミングであらかじめ用意された定型文章や定型図を表示することで、運行情報、路線案内、乗換案内、次停車駅の設備案内等の各種案内情報を、乗客に対して一方向に通知する。また、各種宣伝(CM)やニュース等の一般情報を、同じ表示手段上に重畳して表示したり、別個に用意された表示手段に表示したりすることで、乗客に様々な情報を伝える。
【0083】
図6は、従来の鉄道車両内に設置された車両内情報システム(例えば、特許文献2)の案内情報を表示する表示手段を示す説明図である。図において、液晶モニタに代表される表示手段1の画面を上下に2等分し、第1の表示区分1aには、主にテキスト文字を表示し、次の停車駅を「次は○○駅です」のように表示したり(現在駅、次駅表示機能)、列車の行き先情報や、号車番号と現在時刻を表示したりする機能を備えている。さらに第2の表示区分1bには、車両の運行状態に応じたタイミングで、あらかじめ用意された定型文章や定型図の静止画像を逐次切り替えて表示する。この画面区分1bでは、路線案内、乗換案内、設備案内、マナー案内(携帯電話、優先席)、テロ警戒案内、開扉方向案内、運行情報、急停車案内、ドア開閉時案内、女性専用車案内等の情報を表示する。図6の表示区分1bには、表示される定型図の一例として、次停車駅直前付近で表示される設備案内と乗換案内について表示した例が示されている。
【0084】
上記のように、従来技術における車両の各種案内情報は、決められた運行タイミングで乗客へ一方向に通知する動作を基本としており、そこで通知する情報は、全ての乗客に対して共通して有意であると考えられる情報のみである。
【0085】
したがって、従来技術によると、各乗客が望む個別の情報を表示する事はできない。例えば、従来の車両内情報システムにおける、図6の画面領域1bに示される乗換案内表示を例にした場合、次停車駅に接続する一般的な乗換路線名(A線、B線、C線、Dモノレール)を表示するのみであり、各乗換路線についての詳細情報内容までを個別に表示することはできない。つまり、次停車駅で降車する乗客が、Dモノレールに乗り換える場合を想定した場合、次に乗るDモノレールの路線情報や時刻表等に代表される乗客個別のさらに詳しい案内情報を、降車するその乗客が欲したとしても、表示することはできないという問題点があった。
【0086】
これに対して、本実施の形態によれば、情報制御部10は、任意案内情報の各出力表示形態を表示する各種案内情報の内容と表示入力部9の各設置場所の情報に応じて、選択的に制御するので、車両2内の異なる設置環境における、様々な車両内情報システムの利用形態を反映した任意案内情報の出力表示ができる。具体的には、上記の例において、次停車駅で降車する乗客が、Dモノレールに乗り換える場合を想定した場合、次に乗るDモノレールの路線情報や時刻表等に代表される乗客個別のさらに詳しい案内情報を提示できる効果がある。
【0087】
また、従来技術に追加して、乗客の操作に応じて個別案内情報を提供したとしても、乗客個別の案内情報を提供する間は、他の重要な情報を提示できなくなる問題があった。
【0088】
本実施の形態によれば、乗客個別の任意案内情報を表示中に、重要な優先案内情報を表示するタイミングが生じた場合に、情報制御部10は、既に表示されていた任意案内情報を消去、又は縮小表示し、優先案内情報を優先的に出力するので、乗客個別の任意案内中にも、重要な情報を提示できる効果がある。
【0089】
次に、図5の下段に示される表示画面761,762は、それぞれに優先案内情報の表示画面を表示するときに代表的な2種類の表示画面を表している。これらいずれの表示画面を表示するかは、情報制御部10が、優先案内情報を出力表示する時に、案内情報内容や表示入力部9の設置場所に応じて選択する。
【0090】
例えば、優先案内情報表示画面の動作について図4を用いて既に述べた、優先案内情報の出力表示形態を示した図は、表示画面761に示されている。これは、優先案内情報が、表示手段7の部分画面領域となる表示区分702全体に、任意案内情報の代わりに表示される様子を示している。この表示画面761では、図4の表示710で示される、表示入力部9へのアクセス不可状況を伝えるような定型文、又は定型図を、表示手段7に同時出力表示させるようにしてもよい。
【0091】
また、表示画面762に示される出力表示形態では、優先案内情報が表示される時には、表示区分702領域の一部領域に優先案内情報を出力表示する。それ以外の表示区分702には、任意案内情報を縮小表示することで、両方の情報を同時表示した場合について示している。この出力表示形態の場合、優先案内情報表示中でも任意案内情報を同時に表示できるため、任意案内情報に対して乗客から入力手段8へのアクセスを受け付ける制御を、表示される優先案内情報の内容または設置場所に応じて、情報制御部10が行うようにしても良い。
【0092】
以上説明した優先案内情報の各出力表示画面761,762の形態は、情報制御部10が、優先案内情報の内容または表示入力部9の設置場所に応じて選択的に制御する。例えば、表示画面762の出力表示形態を選択することで、ある特定の場所に設置された表示入力部9にアクセスした乗客は、優先案内情報と任意案内情報の両方の情報を同時に取得することができる。さらに、優先案内情報を見ながら、隣に表示される任意優先情報へのアクセス操作を継続することもできる。この出力表示形態が推奨される設置場所は、例えば連絡扉4付近(図2の連絡扉設置場所6a,6b)のような場所に設置する場合が考えられる。これは、駅停車時におけるドア開閉時案内情報(表示709)等の優先案内情報表示時に、任意案内情報へのアクセスを行う乗客がいても、他の乗客の迷惑(邪魔)にならない設置場所であると考えられるからである。
【0093】
上記動作を実現する為に考えられる代表的な方法を以下に示す。まず、第二コンテンツ情報記憶部23に格納された優先案内情報の各々の映像データ内部に、各設置場所に対する出力表示形態を示す情報を情報制御部10が予め付加しておく。ただし、優先案内情報が外部から受信する情報データの場合については、情報データ送信側で出力表示形態を示す情報を付加しておくか、受信後に第二コンテンツ情報記憶部23に格納された映像データに情報制御部10がアクセスすることで付加してもよい。
【0094】
次に、ある場所に設置された表示手段7への優先案内情報の出力表示動作が発生した時に、情報制御部10は、その設置場所に対する出力表示形態を示す情報を映像データ内部から読み取り、出力表示形態の制御を表示手段7に対して行う。
【0095】
以上述べたように、表示する各種案内情報の内容や表示入力部9の各設置場所の情報に応じて、情報制御部10が任意案内情報表示中の優先案内情報の各出力表示形態を選択的に制御することによって、車両内の異なる設置環境における、様々な車両内情報システムの利用形態を反映した優先案内情報の出力表示ができる。また、同時に、このような制御をすることによって、優先案内情報表示中においても乗客は任意優先情報にアクセスすることができる効果がある。
【0096】
具体的には、例えば緊急案内情報のような優先案内情報の中でも最優先で乗客全員へ表示されるべき案内情報については、表示画面761の出力表示形態でもって車両内全ての表示入力部9に対して表示を行うことで、乗客からの任意案内情報へのアクセスを受け付けない動作を行う一方、ドア開閉時案内情報のような優先案内情報の場合については、例えば連絡扉4付近(図2の連絡扉設置場所6a,6b)に設置された一部の表示入力部9に対してだけ、表示画面762の出力表示形態でもって表示を行い、乗客からの任意案内情報へのアクセスをその設置場所だけは可能とするような動作が実現できる。
【0097】
乗客が表示入力部9に接近し、その入力手段8へアクセスすることで、任意案内情報を取得する動作についてはこれまで述べた。また、その時、表示手段7に表示される、任意案内情報表示画面領域の動作については、図5の表示画面751,752,753に示される3種の出力表示形態があり、その他の形態として、優先案内情報出力表示中でも表示画面762に示される出力表示形態を採ることで、任意案内情報も同時に出力表示できる動作について示した。次に、任意案内情報を取得していた乗客が、何らかの理由により表示入力部9へのアクセスができなくなり、表示画面751,752,753,762の各出力表示形態で表示中の任意案内情報が、そのまま放置された場合の動作について、図5を用いて以下に説明する。
【0098】
情報制御部10は、表示画面751,752,753,762のような各出力表示形態で、任意案内情報を出力表示している場合には、その表示時間をカウントする。カウントされる表示時間が予め定められた一定時間を越え、乗客から入力手段8へのアクセスが無い場合には、情報制御部10は、任意案内情報の表示を中止する。任意案内情報の表示を中止した後、情報制御部10は、通常の案内情報画面、又は優先案内情報表示画面に戻る動作を行う。
【0099】
例えば、表示画面751,752,753,762に示す各出力表示形態のまま(入力手段8への入力なく)放置され、乗客から任意案内情報表示領域への新たなアクセスが予め定めた一定時間無いと、情報制御部10が判断した場合には、表示されていた任意案内情報を消去する。これととともに、情報制御部10は、表示画面751,752,753の場合には、表示画面750で示された通常の案内情報表示画面に戻る制御動作を行う。また、任意案内情報の表示中に優先案内情報が表示される表示画面762の場合には、情報制御部10は表示画面761で示された優先案内情報表示画面に戻る制御動作を行う。
【0100】
上記任意案内情報消去後に通常の案内情報表示画面に戻って表示する表示内容には、2通りの表示方法が考えられる。まず任意案内情報を表示する前に表示されていた案内情報内容に戻って表示する方法があり、次に、任意案内情報を表示しなかった場合に表示することになる内容を表示する方法が考えられる。また、どちらの表示方法についても、表示優先度の高い優先案内情報を表示中の場合は、任意案内情報消去後も優先案内情報を表示手段7へ優先的に表示する動作に変わりは無い。
【0101】
以上の動作を行うことにより、これまで入力手段8へアクセスしていた乗客が表示入力部9から離れ、それまで表示していた任意案内情報を放置したままにしたとしても、予め決められた一定時間後には、表示手段7の表示画面領域全体に、通常の案内情報や優先案内情報を自動的に表示する動作を行うことで、他の乗客が必要とする通常の案内情報や優先案内情報を取得することができる。
【符号の説明】
【0102】
2 車両、3 開閉扉、4 連絡扉、5 開閉扉設置場所、6 連絡扉設置場所、7 表示手段、8 入力手段、9 表示入力部、10 情報制御部、11 情報発生部、21 第一コンテンツ情報記憶部、22 第二コンテンツ情報記憶部、23 任意案内情報記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示手段および前記表示手段上の位置情報を入力する入力手段を有する表示入力部と、
予め定められた映像データである第一コンテンツ情報を記憶する第一コンテンツ情報記憶部と、
前記表示手段の表示内容および前記入力手段で入力される位置情報に応じて表示する任意案内情報を第一の優先度と共に記憶する任意案内情報記憶部と、
無線通信装置を内部に有し、外部から発信された外部情報を受信する情報発生部と、
前記外部情報または車両の状態に関連する情報に対応付けて予め定められた第二の映像データおよび第二の優先度を有する第二コンテンツ情報を記憶する第二コンテンツ情報記憶部と、
入力される車両の状態に関連する情報と前記情報発生部からの前記外部情報とから該当する第二コンテンツ情報を選択して表示タイミングを発生するタイミング発生手段を有し、前記第一コンテンツ情報と前記任意案内情報と前記第二コンテンツ情報とから前記表示手段に入力する映像を供給する情報制御部とを備える車両内情報提示システムであって、
前記情報制御部は、
通常は、前記第一コンテンツ情報から映像を供給し、前記位置情報が入力されたときは前記任意案内情報を供給するものであって、
前記第一コンテンツ情報からの映像を表示しているときに前記表示タイミングが発生した場合は、前記選択された第二コンテンツ情報から映像を供給し、
前記任意案内情報を表示しているときに前記表示タイミングが発生した場合は、前記第一の優先度と前記選択された第二コンテンツ情報が有する第二の優先度とに基づいて前記任意案内情報と前記第二コンテンツ情報とから選択して映像を供給するものであることを特徴とする車両内情報提示システム。
【請求項2】
前記表示入力部を複数備え、
前記第二の優先度は、それぞれの前記表示入力部の設置場所に対応付けて異なる優先度をもつものであって、
前記情報制御部は、それぞれの前記表示入力部の設置場所に対応付けた前記第二の優先度を用いて該当する前記表示入力部へ映像を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両内情報提示システム。
【請求項3】
前記情報発生部を介してまたは記憶媒体を介して、前記第一コンテンツ情報と前記任意案内情報と前記第二コンテンツ情報とのそれぞれを更新する更新部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両内情報提示システム。
【請求項4】
前記情報制御部は、前記任意案内情報を表示しているときに前記表示タイミングが発生した場合に、前記第二コンテンツ情報を選択する際は、前記表示手段に操作禁止を伝える表示をする
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両内情報提示システム。
【請求項5】
前記情報制御部は、前記任意案内情報を表示しているときに入力手段への入力が所定の時間以上ない場合に前記任意案内情報の表示を終了させる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両内情報提示システム。
【請求項6】
前記情報制御部は、前記任意案内情報の表示を終了する場合は、前記任意案内情報を表示する前の表示内容に戻す
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両内情報提示システム。
【請求項7】
前記情報制御部は、一方の映像を縮小して他方の映像画面の前に表示する映像処理手段を有し、前記任意案内情報を縮小して表示する映像を供給する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両内情報提示システム。
【請求項8】
前記情報制御部は、前記表示手段の画面領域を分割し、一方の画像領域で常に第一コンテンツ情報を表示する映像を供給する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両内情報提示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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