説明

車両内蔵型建物

【課題】地震等によって建物の少なくとも一部が倒壊したり、停電や断水が長時間に亙って生じている場合に、車両の中で一時的に容易に避難生活できる車両内蔵型建物を提供する。
【解決手段】建物本体1とコンテナ部14に、車両15が建物本体1内に収納された状態で、建物本体1内とコンテナ部14内とを行き来可能とする開口部6b,14bが互いに近接かつ対向して設けられ、車両15には、コンテナ部14内で使用される電気機器の電力を供給可能な蓄電池20aを有する給電設備20とコンテナ部14内に居る人が要する水を供給可能な貯水タンク21aを備えた給水設備21とが備えられているので、建物本体の少なくとも一部が倒壊したり、停電や断水が長時間に亙って生じている場合に、車両15のコンテナ部14内で一時的に容易に避難生活できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ部を有する車両を出し入れ可能に内蔵した車両内蔵型建物に関する。
【背景技術】
【0002】
キャンピングカー等の部屋を有する車両を、建物本体内に設けた車庫に収納して、車両の部屋を建物の部屋の一部を使用することができる車両内蔵型建物の一例として特許文献1に記載のものが知られている。
この車両内蔵型建物は、建物本体と、この建物本体内に設けられた車庫に出し入れ可能に収納され、かつ部屋を有する車両とを備え、建物本体と前記車両とには、この車両が前記車庫に収納された状態で、前記建物本体の部屋と前記車両の部屋とを行き来可能とする開口部が互いに近接かつ対向して設けられていることを特徴としている。
【0003】
このような車両内蔵型建物では、建物本体と車両とに、この車両が車庫に収納された状態で、建物本体の部屋と車両の部屋とを行き来可能とする開口部が互いに近接して設けられているので、車両の部屋と建物本体の部屋とを簡単に行き来でき、よって、車両の部屋を建物の部屋の一部として容易に使用できる。
また、車両は、蓄電池と、この蓄電池に蓄えられている電気によって駆動する電動モータと、この電動モータによって駆動される車輪とを備えているので、建物本体内の車庫に車両を静かにかつ排ガス等を出すことなく出し入れできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−203175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、大地震が発生して、住宅等の建物が破損、倒壊した場合、前記車両を建物から出してその中で一時的に避難生活をすることが考えられるが、地震によって停電や断水が長時間に亙って生じている場合、車両の中で避難生活するのは困難である。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、地震等によって建物の少なくとも一部が倒壊したり、停電や断水が長時間に亙って生じている場合に、車両の中で一時的に容易に避難生活できる車両内蔵型建物を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図8に示すように、建物本体1と、この建物本体1の外壁1aに形成された開口部11から前記建物本体1内に出し入れ可能に収納され、かつ収納室または部屋として使用可能な箱状のコンテナ部14を有する車両15とを備えた車両内蔵型建物において、
前記建物本体1と前記コンテナ部14には、前記車両15が前記建物本体1内に収納された状態で、前記建物本体1内と前記コンテナ部14内とを行き来可能とする開口部6b,14bが互いに近接かつ対向して設けられ、
前記車両15には、前記建物本体1への給電や給水が停止された際に、前記コンテナ部14内で使用される電気機器の電力を供給可能な蓄電池20aを有する給電設備20と前記コンテナ部14内に居る人が要する水を供給可能な貯水タンク21aを備えた給水設備21とが備えられていることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記コンテナ部14は、大地震等によって建物本体が倒壊して、その少なくとも一部の荷重がコンテナ部14に作用しても、当該コンテナ部14は前記荷重に耐え得るような十分な強度を有しているものが望ましい。
また、コンテナ部14には、当該コンテナ部14に設けられた開口部11を開閉するシャッタ17等の開閉部材や、採光や通風のための窓等を設けるのが望ましい。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、大地震等の災害時に、車両15を建物本体1から引き出し、または車両15を建物本体1内に収納したままの状態で、コンテナ部14内に避難できる。コンテナ部14内では、給電設備20によって電気機器を使用でき、給水設備21によって水を使用できるので、建物本体1の少なくとも一部が倒壊したり、停電や断水が長時間に亙って生じている場合に、車両15のコンテナ部14内で一時的に容易に避難生活できる。
また、大地震によって建物本体1の少なくとも一部が倒壊して、建物本体1から車両を引き出せなくなっても、コンテナ部14内で安全に生活できる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両内蔵型建物において、
前記車両15が前記建物本体1内に収納された状態で、前記車両15の近傍に位置する前記建物本体1の床6aと前記コンテナ部14の床14aとが面一でかつ連続していることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、建物本体1の床6aと前記コンテナ部14の床14aとが面一でかつ連続しているので、建物本体1内とコンテナ部14内とを開口部6b,14bを通して容易に行き来でき、コンテナ部14内を収納室や部屋として容易に使用できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の車両内蔵型建物において、
前記コンテナ部14の正面には、前記建物本体1に使用されている外装材と同様の外装材19が取り付けられ、
前記車両15が前記建物本体1内に前記開口部11から収納された状態で、前記コンテナ部14の正面の外装材19と前記建物本体1の前記開口部周囲の外装材とが面一でかつ連続していることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、車両15が建物本体1内に開口部11から収納された状態で、コンテナ部14の正面の外装材19と建物本体1の開口部周囲の外装材とが面一でかつ連続しているので、建物を外観した場合に、コンテナ部14と建物本体1とが一体的に見え、建物の意匠性を損なうことがない。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両内蔵型建物において、
前記給水設備21は、前記貯水タンク21aに給水する給水管30を有しており、
前記コンテナ部14の背面または側面に、建物本体1内に設けられた水道管32が接続される給水口31が設けられており、この給水口31に前記給水管30が接続されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、コンテナ部14の背面または側面に設けられた給水口31に給水管30が接続されているので、通常時にこの給水口31に水道管32を接続することによって、貯水タンク21aに水を容易に貯めることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両内蔵型建物において、
前記コンテナ部14の正面には、ハイブリッド車または電気自動車の蓄電池に電力を供給するためのケーブルを繋ぐコンセント22cが設けられており、このコンセント22cに前記給電設備20が接続されていることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、コンテナ部14の正面に設けられたコンセント22cに給電設備20が接続されているので、このコンセント22cにハイブリッド車または電気自動車の蓄電池に電力を供給するためのケーブルを繋ぐことによって、当該蓄電池に容易に充電できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、大地震等の災害時に、車両を建物本体から引き出し、または車両を建物本体内に収納したままの状態でコンテナ部内に避難できる。コンテナ部内では、給電設備によって電気機器を使用でき、給水設備によって水を使用できるので、建物本体の一部が倒壊したり、停電や断水が長時間に亙って生じている場合に、車両のコンテナ部内で一時的に容易に避難生活できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る車両内蔵型建物の一例を示すもので、車両が内蔵された状態の車両内蔵型建物の内部を透視した斜視図である。
【図2】同、車両が建物本体から引き出された状態の車両内蔵型建物の内部を透視した斜視図である。
【図3】同、車両が内蔵された状態の車両内蔵型建物の1階の平面図である。
【図4】同、車両が建物本体から引き出された状態の車両内蔵型建物の1階の平面図である。
【図5】同、車両の側面図である。
【図6】同、車両の正面図である。
【図7】同、車両のコンテナ部の平断面図である。
【図8】同、操作盤の正面図である。
【図9】同、各電気機器の制御を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明に係る車両内蔵型建物の実施の形態について説明する。
図1および図2は、本実施の形態の車両内蔵型建物の内部を透視した斜視図であり、図1は車両が建物本体に内蔵された状態を示し、図2は車両が建物本体から引き出された状態を示している。また、図3および図4は、本実施の形態の車両内蔵型建物の1階の平面図であり、図3は車両が建物本体に内蔵された状態を示し、図4は車両が建物本体から引き出された状態を示している。
【0021】
図1〜図4に示すように、本実施の形態の車両内蔵型建物は2階建ての住宅であり、建物本体1の1階にはリビングダイニング2aとキッチン2bとが東西に隣接して配置されており、キッチン2bの北側に隣接して玄関3が配置され、玄関3の北側に隣接して浴室4aと洗面室4bが配置されている。また、洗面室4bの東側に隣接してトイレ4cが配置されている。
また、リビングダイニング2aの北側に隣接して低天井の収納室6が配置されている。この収納室6の天井高は0.9m〜1.4m程度となっており、その床6aの床面は1階の他の部屋等の床面と面一になっている。収納室6は1階と2階との間にスキップ床5を設け、このスキップ床5と1階の床との間に設けられたもので、スキップ床5上には部屋7が設けられている。この部屋7には1階と2階の間に設けられた階段8の踊り場から出入りできるようになっている。
【0022】
前記収納室6とリビングダイニング2aとを仕切る壁には、開口部6bが形成されており、この開口部6bを通して収納室6とリビングダイニング2aとを行き来可能となっている。また、収納室6とホール9とを仕切る壁には、開口部6cが形成されており、この開口部6cを通して収納室6とホール9とを行き来可能となっている。さらに、収納室6と外部とを仕切る外壁には窓6dが設けられており、この窓6dから収納室6に採光できるようになっている。
前記収納室6の略中央には、床の無い部分が平面視矩形状に設けられており、この床の無い部分に位置する地盤には、コンクリートが平板状に打設されており、この平板状のコンクリートからなる床版10の上面は外部の地盤面とほぼ面一になっている。
前記床版10の周囲には、収納室6の床6aが平面視において略コ字形に配置されており、この床6aと床版10の上面とには床下の高さ分の段差がある。
【0023】
前記建物本体1の東側の外壁1aには、開口部11が前記収納室6に面して形成されている。この開口部11はその下端が地盤面とほぼ等しい位置にあり、上端は前記スキップ床5の直下に位置している。つまり、開口部11は地盤面とスキップ床5の間に位置する外壁1aおよび基礎を正面視矩形状に切り欠くことによって矩形状に形成されている。この開口部11によって収納室6と外部とが連通している。
また、開口部11の左右の幅は前記収納室6にある床版10の左右の幅ほぼ等しくなっており、収納室6には開口部11を通して箱状のコンテナ部14を有する車両15が出し入れ可能に収納されている。車両15は収納室6に収納された状態において、前記床版10上に配置されている。また、コンテナ部14の幅は前記開口部11の幅とほぼ等しいか若干小さくなっており、コンテナ部14の長さは前記床版10の長さ(図4において左右の長さ)とほぼ等しいか若干小さくなっている。さらに、コンテナ部14の高さは、前記開口部11の上縁部の高さとほぼ等しいか若干小さくなっている。
【0024】
車両15は、図5〜図7に示すように、箱状のコンテナ部14と、このコンテナ部14を下方から支持する平面視矩形枠状の図示しないフレームを有し、フレームの下面四隅部にそれぞれ車輪16が設けられている。
コンテナ部14は鉄板等の金属板によって形成された矩形箱状のものであり、その四隅や天井には図示しない補強柱や補強梁が設けられ、これによって、地震等によって建物本体が倒壊して、その少なくとも一部の荷重がコンテナ部14に作用しても、当該コンテナ部14は前記荷重に耐え得るような十分な強度を有している。
【0025】
コンテナ部14には床14aが設けられており、この床14aとコンテナ部14の天井との間の距離、すなわち、天井高さは0.9m〜1.4m程度となっている。また、コンテナ部14の床14aと地面との間の距離、すなわち、床14aの高さは、前記収納室6の床6aと床版10の上面との間の距離(床6aの高さ)と等しくなっている。
さらに、コンテナ部14を含む車両15の平面視における形状、大きさは前記収納室6にある床版10の形状、大きさと等しく、かつ、収納室6のコ字形の床6aによって囲まれた部分の形状、大きさとほぼ等しいか若干小さくなっている。したがって、コンテナ部14を有する車両15を前記開口部11から収納室6内に挿入して収納すると、平面視において収納室6のコ字形の床6aの内側に車両15が若干の隙間をもって嵌まり、コンテナ部14の上壁部は前記スキップ床5の直下に若干の隙間をもって配置される。
【0026】
また、コンテナ部14の一方の側面(左側面)には、大きな開口部14bが形成されている。この開口部14bは、前記収納室6とリビングダイニング2aとを仕切る壁に形成された開口部6bより若干大きく形成されており、この開口部14bを通してコンテナ部14内に出入りできるようになっている。この開口部14bはシャッタ17によって開閉できるようになっている。なお、このシャッタ17は開口部14bを開いた状態では、コンテナ部14の上壁部とその下の天井との間に収納されており、そこから引き出して開口部14bの縦縁に沿って引き下げることによって、開口部14bを閉じるようになっている。
【0027】
また、コンテナ部14の他方の側面(右側面)には、引違い式の窓18が設けられており、この窓18からコンテナ部14内に採光可能となっている。
さらに、コンテナ部14の背面には、開口部14cが形成されている。この開口部14cは開口部14bより小さいが、この開口部14cを通してもコンテナ部14内に出入りできるようになっている。なお、この開口部14cも前記シャッタ17と同様のシャッタによって開閉できるようになっている。
また、コンテナ部14の正面には、図6に示すように、建物本体1の外壁1aに使用されている外装材と同様の外装材19が取り付けられている。さらに、コンテナ部14の正面には、車両15を建物本体1の収納室6から引き出す際に、牽引ロープを引掛けるフック15aが取り付けられている。
【0028】
そして、上記のようなコンテナ部14を有する車両15は、外壁1aに形成された開口部11から前記収納室6の床版10上に挿入され、車両15が収納室6に収納された状態で、コンテナ部14の正面の外装材19と建物本体1の開口部11の周囲の外装材とが面一でかつ連続している。
また、車両15を収納室6に収納した状態で、収納室6への出入口である開口部6bとコンテナ部14に設けられた開口部14bとが互いに近接かつ対向して設けられている。同様に、車両15を収納室6に収納した状態で、収納室6への出入口である開口部6cとコンテナ部14に設けられた開口部14cとが互いに近接かつ対向して設けられている。
さらに、車両15を収納室6に収納した状態で、車両15の近傍に位置する建物本体1の床(収納室6の床6a)とコンテナ部14の床14aとが面一でかつ連続している。したがって、建物本体1内とコンテナ部14内とが容易に行き来可能となっている。
【0029】
上記のようなコンテナ部14を有する車両15には、大地震等の災害の際に、建物本体1への給電や給水が停止された際に、コンテナ部14内で使用される電気機器の電力を供給可能な蓄電池20aを有する給電設備20と、コンテナ部14内に居る人が要する水を供給可能な貯水タンク21aを備えた給水設備21とが備えられている。
すなわちまず、コンテナ部14の床14aの床下には、蓄電池20aが設置されており、この蓄電池20aは、コンテナ部14の側壁の内面に取り付けられた操作盤22に接続されている。
【0030】
この操作盤22には、図9に示すように、制御部23が内蔵されており、この制御部23によって、蓄電池20aの充放電が制御されるようになっている。建物本体1の屋根には太陽電池パネル(PV)24が設けられ、この太陽電池パネル24と商用電源25とが前記蓄電池20aに接続されている。なお、太陽電池パネル24は、日中は建物本体1内に設けられている各種電気機器に電力を供給するが、これは建物本体1に設けられたパワーコンディショナーによって交流に変換したうえで行われる。
そして、前記制御部23は、蓄電池20aに充電する電力として、太陽電池パネル24と商用電源25とのいずれかを自動的に選択する制御を行う。例えば、制御部23は、日中は太陽電池パネル24で発電される発電電力が建物本体1内で使用される使用電力より多くなる傾向があるので、その余剰の電力を蓄電池20aに充電するように制御する。一方、夜間は太陽電池パネル24で発電されないので、商用電源からの電力を図示しないコンバータ等によって直流に変換したうえで蓄電池20aに充電するように制御する。蓄電池20aは自然放電によって徐々に蓄電量が減少していくので、常に蓄電池20aがフル充電状態となるように前記制御部23が充填を制御する。
【0031】
また、コンテナ部14の天井には照明26が設けられ、床14aの隅部にはミニキッチン27が設けられ、これら照明26やミニキッチン27の電気コンロ27aが前記蓄電池20aに接続されている。
そして、前記制御部23は、大地震等の災害時に停電した場合、蓄電池20aから照明26やミニキッチン27の電気コンロ27aに電力をインバータ等によって交流に変換したうえで供給するように制御する。なお、コンテナ部14に換気扇やエアコン等を設けて、これらを蓄電池20aに接続するとともに、制御部23によって電力の供給を制御してもよい。
また、操作盤22には、図8に示すように、内部コンセント22aとLAN端子22bが設けられており、内部コンセント22aには、商用電源25と蓄電池20aとが接続されている。そして、内部コンセント22aには、通常時は商用電源25から電力が供給されるように制御部23が商用電源25を制御し、大地震等の災害時は蓄電池20aから電力が供給されるように制御部23が蓄電池20aを制御する。なお、蓄電池20aから内部コンセント22aに電力を供給する場合、インバータ等によって交流に変換したうえで供給する。
【0032】
さらに、前記コンテナ部14の上壁部の上面には、小型の太陽電池パネル(PV)28が設置され、この太陽電池パネル28は前記蓄電池20aに接続されている。
そして、制御部23は車両15が建物本体1の収納室6から外部に引き出された際に、太陽電池パネル28で発電された発電電力を交流に変換して前記照明26や電気コンロ27aに供給し、余剰の発電電力は蓄電池20aに充電するように制御する。
また、コンテナ部14の正面には、図6に示すように、外部コンセント22cが設けられており、外部コンセント22cには、商用電源25と蓄電池20aとが接続されている。そして、外部コンセント22cには、通常時は商用電源25から電力が供給されるように制御部23が商用電源25を制御し、大地震等の災害時は蓄電池20aから供給されるように制御部23が蓄電池20aを制御する。
【0033】
外部コンセント22cは、ハイブリッド車または電気自動車の蓄電池に電力を供給するためのケーブルが繋がれるものである。
また、操作盤22には、各種操作ボタン22dやモニタ22eが設けられており、所定の操作ボタン22dを操作することによって太陽電池パネル28の起動をON・OFFでき、また、他の所定の操作ボタン22dを操作することによって外部コンセント22cへの給電をON・OFFできるようになっている。さらに、モニタ22eには、蓄電池20aの充電状態や、太陽電池パネル28の発電状態が表示されるようになっている。
【0034】
前記給水設備21の貯水タンク21aは、コンテナ部14の床14aの床下に設置されている。また、床14aの床下には、貯水タンク21aに隣接して排水タンク21bが設置されている。
貯水タンク21aには、当該貯水タンク21aに給水する給水管30の一端部が接続されており、この給水管30の他端部はコンテナ部14の背面に設けられた給水口31に接続されている。この給水口31には、車両15を収納室6に収納した状態において、建物本体1内に設けられた水道管32が接続されている。この水道管32は、建物本体1の水廻り(浴室4a、洗面室4b、トイレ4c)の床下に配管され、トイレ4cと隣り合う収納室6の床面を貫通して立ち上げられたうえで、前記給水口31に接続されている。前記給水管30には電磁弁30aが取り付けられており、貯水タンク21aが満水になると、この満水状態を図示しないセンサで検出し、この検出信号によって、前記制御部23が電磁弁30aを閉じるように制御する。
【0035】
また、貯水タンク21aには、取水管33の一端部が接続されており、この取水管33の他端部は前記ミニキッチン27の蛇口27cに接続されている。取水管33には電動ポンプ34が取り付けられており、この電動ポンプ34によって貯水タンク21a内の水を蛇口27cまで供給するようになっている。また、前記制御部23は、大地震等の災害時に、蓄電池20aから電動ポンプ34に電力を供給するように前記蓄電池20aおよび電動ポンプ34を制御する。
なお、通常時、電動ポンプ34は作動しないが、前記操作盤22の所定の操作ボタン22dを操作することによって、蓄電池20aから電動ポンプ34に電力を供給することで、電動ポンプ34を作動させて、蛇口27cから水を出すこともできる。
さらに、前記貯水タンク21aには取水管35の一端部が接続されており、この取水管35の他端部はコンテナ部14の側面に設けられた取水口35aに接続されている。この取水口35aには図示しない手動の開閉バルブが設けられており、この開閉バルブを開けることによって、貯水タンク21a内の水を外部に取り出すことができる。
【0036】
前記排水タンク21bには排水管36の一端部が接続されており、この排水管36の他端部は前記ミニキッチン27のシンク27bに接続されている。したがって、シンク27bで使用された水は排水管36を通して排水タンク21bに貯留できる。
また、排水タンク21bには排水管37の一端部が接続されており、この排水管37の他端部はコンテナ部14の側面に設けられた排水口37aに接続されている。この排水口37aには図示しない手動の開閉バルブが設けられており、この開閉バルブを開けることによって、排水タンク21b内の排水を外部に取り出すことができる。
【0037】
また、前記車両15の車輪16の回転軸には、当該回転軸を回転駆動させるモータ40の駆動軸が接続されており、このモータ40は前記蓄電池20aに接続されている。そして、制御部23は蓄電池20aからモータ40に電力を供給するように前記蓄電池20aおよびモータ40を制御する。この制御は、前記操作盤22の所定の操作ボタン22dを操作することによって、蓄電池20aからモータ40に電力を供給することにより行う。
【0038】
上記のような車両を備えた車両内蔵型建物では、大地震等の災害時に、建物本体1からコンテナ部14内に逃げ込み、このコンテナ部14内で一時的に避難できる。建物本体1が倒壊していない場合は、建物本体1内に車両15を残したままで、コンテナ部14内で避難でき、また、建物本体1の少なくとも一部が倒壊している場合、車両15を建物本体1から引き出して建物本体1の外部で避難できる。車両15を建物本体1から引き出す場合、乗用車等が使用可能であれば、この乗用車と車両15のフック15aとを牽引ロープで繋ぎ、当該乗用車によって車両15を引き出すことができる。また、乗用車等が使用不能であれば、モータ40を駆動させて車輪16を回転させることによって、自走で建物本体1から出ることができる。
そして、建物本体1の内外のいずれの場合でも、コンテナ部14内では、給電設備20によって電気機器を使用でき、給水設備21によって水を使用できるので、建物本体1の一部が倒壊したり、停電や断水が長時間に亙って生じている場合に、当該コンテナ部14内で一時的に容易に避難生活できる。
また、大地震によって建物本体1」の少なくとも一部が倒壊して、建物本体1から車両15を引き出せなくなっても、コンテナ部14内で安全に生活できる。
さらに、車両15を建物本体1から引き出すことがきれば、コンテナ部14内での避難生活中に蓄電池20aの電力が使用されても、太陽電池パネル28から蓄電池20aに充電できるとともに、日中は太陽電池パネル28の発電電力によって、コンテナ部14内の電気機器を使用できる。
【0039】
また、通常時は、車両15が建物本体1内に収納された状態で、建物本体1の床(収納室6の床6a)とコンテナ部14の床14aとが面一でかつ連続しているので、建物本体1内とコンテナ部14との間を開口部6b,14bを通して容易に行き来でき、コンテナ部14内を収納や部屋として容易に使用できる。
また、コンテナ部14の正面には、建物本体1に使用されている外装材と同様の外装材19が取り付けられ、車両15が建物本体1内に開口部11から収納された状態で、コンテナ部14の正面の外装材19と建物本体1の開口部11の周囲の外装材とが面一でかつ連続しているので、建物を外観した場合に、コンテナ部14と建物本体1とが一体的に見え、建物の意匠性を損なうことがない。
【0040】
さらに、給水設備21は、貯水タンク21aに給水する給水管30を有しており、コンテナ部14の背面に、建物本体1内に設けられた水道管32が接続される給水口31が設けられており、この給水口31に給水管30が接続されているので、通常時にこの給水口に水道管32を接続することによって、貯水タンク21aに水を容易に貯めることができる。
加えて、コンテナ部14の正面には、ハイブリッド車または電気自動車の蓄電池に電力を供給するためのケーブルを繋ぐ外部コンセント22cが設けられており、このコンセント22cに給電設備20が接続されているので、この外部コンセント22cにハイブリッド車または電気自動車の蓄電池に電力を供給するためのケーブルを繋ぐことによって、当該蓄電池に容易に充電できる。
【0041】
なお、本実施の形態では、コンテナ部14を有する車両15を建物本体1の収納室6に開口部11から出し入れ可能としたが、これに限らず、例えば建物本体1の1階に、外壁に面した四畳半程度の部屋がある場合、当該外壁に開口部を設け、この部屋の一部または全部にコンテナ部を有する車両を開口部を通して出し入れ可能に収納してもよい。
この場合、コンテナ部14の天井が高くなるので、避難時の生活が行い易いという利点がある。
【符号の説明】
【0042】
1 建物本体
1a 外壁
6 収納室
6a 床面
6b 開口部
11 開口部
14 コンテナ部
14a 床
14b 開口部
15 車両
19 外装材
20 給電設備
20a 蓄電池
21 給水設備
21a 貯水タンク
30 給水管
31 給水口
32 水道管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物本体と、この建物本体の外壁に形成された開口部から前記建物本体内に出し入れ可能に収納され、かつ収納室または部屋として使用可能な箱状のコンテナ部を有する車両とを備えた車両内蔵型建物において、
前記建物本体と前記コンテナ部には、前記車両が前記建物本体内に収納された状態で、前記建物本体内と前記コンテナ部内とを行き来可能とする開口部が互いに近接かつ対向して設けられ、
前記車両には、前記建物本体への給電や給水が停止された際に、前記コンテナ部内で使用される電気機器の電力を供給可能な蓄電池を有する給電設備と前記コンテナ部内に居る人が要する水を供給可能な貯水タンクを備えた給水設備とが備えられていることを特徴とする車両内蔵型建物。
【請求項2】
請求項1に記載の車両内蔵型建物において、
前記車両が前記建物本体内に収納された状態で、前記車両の近傍に位置する建物本体の床と前記コンテナ部の床とが面一でかつ連続していることを特徴とする車両内蔵型建物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両内蔵型建物において、
前記コンテナ部の正面には、前記建物本体に使用されている外装材と同様の外装材が取り付けられ、
前記車両が前記建物本体内に前記開口部から収納された状態で、前記コンテナ部の正面の外装材と前記建物本体の前記開口部周囲の外装材とが面一でかつ連続していることを特徴とする車両内蔵型建物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両内蔵型建物において、
前記給水設備は、前記貯水タンクに給水する給水管を有しており、
前記コンテナ部の背面または側面に、建物本体内に設けられた水道管が接続される給水口が設けられており、この給水口に前記給水管が接続されていることを特徴とする車両内蔵型建物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両内蔵型建物において、
前記コンテナ部の正面には、ハイブリッド車または電気自動車の蓄電池に電力を供給するためのケーブルを繋ぐコンセントが設けられており、このコンセントに前記給電設備が接続されていることを特徴とする車両内蔵型建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−113070(P2013−113070A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263164(P2011−263164)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】