説明

車両制御システム、電子制御装置、及び通信方法

【課題】 車両の機器を制御する電子制御装置に多くのアンテナなどを設けることなく、携帯機等の電波送信体から送信される情報を、確実にその電子制御装置に届ける。
【解決手段】 本発明は、電波送信体から送信される情報を、車両に設けられた複数の電子制御装置で受信し、電子制御装置同士が無線でその情報の受け渡しを行い、車両の機器を制御する電子制御装置に電波送信体から送信される情報を届けることにより、電波送信体から送信される情報の受信精度を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システム、電子制御装置、及び通信方法に関し、特に、車両に備えられた複数の電子制御装置と無線信号により情報を送信する携帯機を備える車両制御システム、その電子制御装置、及びその通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両は、燃料噴射量などのエンジンに関する制御、変速機などの車両駆動に関する制御、ABS(Antilock Brake System)などの制動に関する制御、ドア、パワーウィンドウ、エアバッグなどの車体に関する制御など、数多くの電子制御装置(以下、「ECU」ともいう)により制御されている。このようなECUは、車両の各部を適切に制御するために、これらECU間の連係動作や情報の共有が必要不可欠となっており、ネットワークを介して相互に接続されて車載ネットワークシステムを構成している。
【0003】
ところが、ECUが車両の随所に配置されるようになり、バッテリとECU間を結ぶ電力線及び各ECU間を結ぶ通信線(CAN、LINなど)などのワイヤハーネスの数が増加し、配線取り回しスペースが増大し、車両に配線するのが難しくなってきている。また、ワイヤハーネスの重量の増加も無視できない問題となってきている。そのため、車両内のECU間での情報のやりとりを通信線を配線せずに行う構成が従来から知られている。
【0004】
例えば、特許文献1では、車両に各種ネットワーク用の多数の通信線を配線することなく、車両に搭載された各種電気的装置間で情報を送受信することを目的として、車両に搭載された各ECUに、電源線を介して各種情報を送受信可能な送受信部を設け、これら各送受信部は、各ECUが他のECUとの間で送受信すべき情報の種別毎に、異なる伝送周波数を用いて、多重通信できるように、1又は複数の送受信回路から構成した車両用通信システムが開示されている。
【0005】
また、特許文献2では、ケーブル等の敷設を伴わず、複数の電子制御装置間での無線方式による確実なデータ通信を可能とすることを目的として、無線方式による直接的な通信が可能となるエリア毎に、3台のECUを搭載し、各エリア間で相互の無線通信が可能になるように、車両の中心線上に3台の中継装置を並べて配置し、これら中継装置は、設定された送信レベルで情報を中継する車両制御システムが開示されている。
【0006】
また、従来から、使用者が携帯する携帯機(FOB)と車両に搭載されたECUとの双方向通信により、ドアの施錠・解錠などの状態を制御するキーレスエントリシステムやパッシブエントリシステム、また、エンジンの始動を許可したりする車載機器遠隔操作システムが知られている。
【0007】
例えば、特許文献3では、車室内送信機から送信されるリクエスト信号の到達範囲である検知エリアが車両ごとにばらついたり、車両が置かれた電波環境に応じて変化しても、常に望ましい検知エリアを確保することを目的として、望ましい車室内検知エリアの外縁位置に設置され、車室内LF送信機から送信される信号を受信する基準LF受信機を備え、基準LF受信機における受信結果に基づいて、車室内LF送信機の信号送信出力レベルを調整する車載機器遠隔操作システムが開示されている。
【0008】
しかし、上記の従来技術では、携帯機は特定のECUと通信を行うので、ノイズや遮蔽物などから通信品質を確保するためには、特定のECUに接続されたアンテナを車両周辺に複数設ける必要がある。また、携帯機とECU間の通信及び各ECU間の通信の両方を、同時に用いて連携して使用している技術はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−101557号公報
【特許文献2】特開2003−152737号公報
【特許文献3】特開2006−45908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の目的とするところは、車両の機器を制御する電子制御装置(ECU)に無線信号による情報を送受信するためのアンテナなどを多数設けることなく、携帯機等の電波送信体から送信される情報を、高い精度でその電子制御装置に届けることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、無線信号により情報を送信する電波送信体と、その電波送信体からの無線信号の受信を行う、第一電子制御装置と第二電子制御装置と、を備える車両制御システムであって、その第一電子制御装置は、無線信号の送受信を行う第一送受信部と、その第一送受信部が受信した無線信号から、電波送信体が送信した情報を取得する第一情報取得部と、その第一情報取得部が取得した情報を、その第一送受信部から無線信号を送信することにより、その第二電子制御装置に中継する情報中継部と、を備え、その第二電子制御装置は、電波送信体及び第一電子制御装置から無線信号の受信を行う第二送受信部と、第二送受信部が受信した無線信号から、電波送信体が送信した情報を取得する第二情報取得部と、第二送受信部が受信した無線信号から、第一電子制御装置が中継した情報を取得する第三情報取得部と、第二情報取得部又は第三情報取得部が取得した情報に基づき、車両の機器を制御する制御部と、を備える車両制御システムが提供される。
これによれば、電波送信体から送信される情報を、車両に設けられた複数の電子制御装置で受信し、電子制御装置同士が無線でその情報の受け渡しを行い、車両の機器を制御する電子制御装置に電波送信体から送信される情報を届けることにより、電波送信体から送信される情報の受信精度を高めた車両制御システムを提供できる。
【0012】
さらに、その車両には、互いに無線信号による通信を行う第一電子制御装置が複数備えられ、その第一電子制御装置は、第一送受信部で受信した無線信号の内容が、電波送信体からの情報なのか、自身の処理に関する内容なのか、自身には関係無い内容なのかを判定する判定部をさらに備えることを特徴としてもよい。
これによれば、電波送信体から送信される様々な情報を中継することにより、電波送信体から送信される情報の受信精度が高くかつ柔軟な車両制御システムを提供できる。
【0013】
さらに、その第二電子制御装置は、電波送信体に対して返信要求信号を送信する返信要求信号生成部をさらに有し、制御部は、その返信要求信号生成部が返信要求信号を送信した後、その第二情報取得部又はその第三情報取得部が情報を所定時間内に取得した場合、その情報に基づいて、車両の機器を制御することを特徴としてもよい。
これによれば、パッシブエントリシステムにおいて、電波送信体から送信される情報の受信精度を高めた車両制御システムを提供できる。
【0014】
別の観点によれば、上記課題を解決するために、中継機能を有する第一の電子制御装置と共に車両に備えられ、電波送信体が送信する情報に基づきその車両の機器を制御する第二の電子制御装置であって、その中継機能は、その第二の電子制御装置とその電波送信体との間で無線信号を送受信することにより、その情報を電波送信体からその第二の電子制御装置へ中継するものであり、その第二の電子制御装置は、その電波送信体及びその第一の電子制御装置と無線信号の送受信を行う送受信部と、その送受信部が受信した無線信号から、その電波送信体が送信し、その第二の電子制御装置が受信した情報を取得する第一情報取得部と、その送受信部が受信した無線信号から、その電波送信体が送信し、その第一の電子制御装置が受信し、その第二の電子制御装置に中継した情報を取得する第二情報取得部と、その第一情報取得部又はその第二情報取得部が取得した情報に基づき、車両の機器を制御する制御部と、を備える電子制御装置が提供される。
これによれば、電波送信体から送信される情報を、車両に設けられた複数の電子制御装置で受信し、電子制御装置同士が無線でその情報の受け渡しを行い、車両の機器を制御する電子制御装置に電波送信体から送信される情報を届けることにより、電波送信体から送信される情報の受信精度を高めた、電波送信体からの情報に基づき車両の機器を制御する電子制御装置を提供できる。
【0015】
さらに、その第二の電子制御装置は、電波送信体に対して返信要求信号を送信する返信要求信号生成部をさらに有し、その制御部は、その返信要求信号生成部が返信要求信号を送信した後、その第一情報取得部又はその第二情報取得部がその情報を所定時間内に取得した場合、その情報に基づいて、車両の機器を制御することを特徴としてもよい。
これによれば、パッシブエントリシステムにおいて、電波送信体から送信される情報の受信精度を高めた、電波送信体からの情報に基づき車両の機器を制御する電子制御装置を提供できる。
【0016】
別の観点によれば、上記課題を解決するために、電波送信体が送信する情報に基づき車両の機器を制御する、第二の電子制御装置と共に車両に複数備えられる第一の電子制御装置であって、その第一の電子制御装置は、電波送信体、他の第一の電子制御装置及び第二の電子制御装置と無線信号の送受信を行う送受信部と、その送受信部が受信した無線信号の内容が、その電波送信体が送信した情報なのか、自身の処理に関する内容なのか、自身には関係の無い内容なのかを判定する判定部と、その判定部から、その電波送信体が送信した情報を取得する情報取得部と、その情報取得部が取得した情報を、その送受信部から無線信号を送信することにより、その第二の電子制御装置に中継する情報中継部と、を備える電子制御装置が提供される。
これによれば、車両内に設けられた複数の電子制御装置同士が無線で情報のやりとりを柔軟に行うために、電波送信体から送信される様々な情報を中継する電子制御装置を提供できる。
【0017】
別の観点によれば、上記課題を解決するために、互いに無線通信を行う複数の電子制御装置を備える車両において、その車両に備えられた機器を制御するための情報を無線信号により送信する電波送信体と、その情報に基づきその機器を制御する、その複数の電子制御装置における第二の電子制御装置との通信方法であって、その複数の電子制御装置における第一の電子制御装置は、その電波送信体が送信した無線信号を受信した場合に、その無線信号に含まれる情報をその第二の電子制御装置に中継し、その第二の電子制御装置は、その電波送信体が送信し、その第二の電子制御装置が直接受信した情報、又は、その電波送信体が送信し、その第一の電子制御装置が受信し、その第二の電子制御装置に中継した情報を含む無線信号を受信する通信方法が提供される。
これによれば、電波送信体から送信される情報を、車両に設けられた複数の電子制御装置で受信し、電子制御装置同士が無線でその情報の受け渡しを行い、車両の機器を制御する電子制御装置に電波送信体から送信される情報を届けることにより、電波送信体から送信される情報の受信精度を高めた通信方法を提供できる。
【0018】
さらに、その第二の電子制御装置は、電波送信体に対して返信要求信号を無線信号により送信し、その電波送信体は、その返信要求信号に対して、その情報を含む無線信号を返信することを特徴としてもよい。
これによれば、パッシブエントリシステムにおいて、電波送信体から送信される情報の受信精度を高めた通信方法を提供できる。
【0019】
さらに、その第二の電子制御装置は、その第一の電子制御装置に対してその電波送信体が送信した無線信号を受信したか否かを問い合わせる問い合わせ信号を送信し、その第一の電子制御装置は、所定時間内にその電波送信体が送信した無線信号を受信した場合に、その問い合わせ信号に対して、情報を含む無線信号を返信することを特徴としてもよい。
これによれば、電子制御装置同士が無線でその情報の確実な受け渡しを行うことにより、電波送信体から送信される情報の受信精度を高めた通信方法を提供できる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、電波送信体から送信される情報を、車両に設けられた複数の電子制御装置で受信し、電子制御装置同士が無線でその情報の受け渡しを行い、車両の機器を制御する電子制御装置に電波送信体から送信される情報を届けることにより、電波送信体から送信される情報の受信精度を高めた車両制御システム、電子制御装置、及び通信方法を提供することができる。
その結果、電波送信体と電子制御装置の間の通信は、無線信号による情報を送受信するためのアンテナなどを別個に設けなくとも高い精度で行うことができる。また、各電子制御装置の間に情報を送受信するためのワイヤハーネスを配置する必要がないので、車両内の空間に余裕ができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る第一実施例を示すブロック図。
【図2】本発明に係る第一実施例を車両に搭載した場合を示す図。
【図3】本発明に係る第一実施例におけるフローチャート図。
【図4】本発明に係る第二実施例を示すブロック図。
【図5】本発明に係る第二実施例におけるフローチャート図。
【図6】本発明に係る第二実施例の変形例におけるフローチャート図。
【図7】従来技術に係る車両制御システムを車両に搭載した場合を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1は、本発明に係る第一実施例における車両制御システム1のブロック図を示す。車両制御システム1は、車両Cに備えられた電子制御装置2と、無線信号により情報を送信する電波送信体である携帯機3(別名をFOBともいう)を有する。ここで、携帯機3は、車両の使用者により保持される物であるが、これに限定されず、例えば、他の車両に搭載された通信機や、建物等の施設に備え付けられた通信機であってもよい。即ち、本明細書のおける電波送信体は、車載の電子制御装置と無線通信を行うことにより車両の制御を行う通信機一般を含む。
【0023】
電子制御装置2は車両Cに複数備えられ、その一部又は全部は、携帯機3と無線通信を行うための通信機能を有する。通信機能を有する電子制御装置2は、携帯機3の制御対象である車両Cに搭載された機器Eに対して制御を行う第二電子制御装置20(図中携帯機用ECU)と、機器Eに対して直接制御を行わないが、携帯機3が送信した制御情報等を含む無線信号を電子制御装置20に中継する第一電子制御装置10を含む。
【0024】
携帯機3が送信する情報とは、機器Eを制御するための情報であり、例えば、機器Eが車両のドアである場合は施錠/解錠の制御情報であり、機器Eがエンジンである場合はエンジンスタート/ストップの制御情報である。また、電波送信体が他の車両に搭載された通信機である場合、電波送信体が送信する情報とは、例えば、車両同士が交換するデータやそのデータを処理するための制御情報である。また、電波送信体が建物等の施設に備え付けられた通信機である場合、電波送信体が送信する情報とは、例えば、車両の電子制御装置で使用されるデータやプログラムである。
【0025】
第一電子制御装置10は、無線信号の送受信を行う第一送受信部11と、その第一送受信部11が受信した無線信号から、携帯機3が送信した情報を取得する第一情報取得部12と、その第一情報取得部12が取得した情報を第一送受信部11から無線信号を送信することにより、第二電子制御装置20に中継する情報中継部13を、それぞれ有する。本実施例では、車両Cに3つの第一電子制御装置10が備えられているが、もちろんこれに限定されず、一台の車両Cに何台の第一電子制御装置10があってもよい。
【0026】
第一送受信部11は、典型的にはアンテナであり、携帯機3と無線信号の送受信及び通信機能を有する他の電子制御装置2との無線信号の送受信を行う。但し、第一送受信部11は、電波送信体である携帯機3との送受信にのみ使用されるものでなくてもよく、他の電波送信体である通信機との通信を行うものであってもよい。第一送受信部11は、一つの第一電子制御装置10に一つ設けられているが、送受信の感度をさらに向上させるために、複数設けられてもよい。また、使用される帯域は、一般的には、携帯機3から第一送受信部11へはRF帯、第一送受信部11から携帯機3へはLF帯であるが、これに限定されない。
【0027】
第一情報取得部12は、携帯機3が送信した無線信号中コード化された制御情報等を取得する。第一情報取得部12は、第一送受信部11で無線信号を受信すると、その無線信号の内容が携帯機3が送信した無線信号なのか確認し、その情報を取得する。その際、第一情報取得部12は、無線信号に付与されている携帯機3に特有のコード信号に基づいて確認しても良いし、無線信号の内容の全体から確認しても良いし、又は受信した無線信号の周波数など信号特性に基づいて確認するなどしても良い。
【0028】
情報中継部13は、第一送受信部11から無線信号を送信することにより、第二電子制御装置20に対して、第一情報取得部12が取得した情報を中継する。情報中継部13は、第一情報取得部12で取得した携帯機3からの信号情報を第一送受信部11から無線信号を送信することにより、第二電子制御装置20へ中継する。その際、情報中継部13は、第一送受信部11で受信した携帯機3からの信号情報をそのままにして、それに自身を示す特有のコードを付与して送信するようにしても良い。また、情報中継部13は、第一情報取得部12から得た内容を再度コード化し、携帯機3に特有のコード信号とともに自身に特有のコード信号を付与して送信するようにしても良い。
【0029】
第二電子制御装置20は、携帯機3及び第一電子制御装置10と無線信号の送受信を行う第二送受信部21と、第二送受信部21が受信した無線信号から、携帯機3が送信した情報を取得する第二情報取得部22と、第二送受信部21が受信した無線信号から、第一電子制御装置10が中継した情報を取得する第三情報取得部23と、第二情報取得部22又は第三情報取得部23が取得した情報に基づき、車両Cの機器Eを制御する制御部24とを備える。
【0030】
第二電子制御装置20は、本実施例では、車両Cに一つ備えられているが、一つの機器Eに対して複数備えられていてもよく、また、別の機器E’(図示せず)に対して一つ又は複数備えられていてもよい。
【0031】
第一送受信部21は、典型的にはアンテナであり、携帯機3と無線信号の送受信及び第一電子制御装置10との無線信号の送受信を行う。但し、第一送受信部21は、電波送信体である携帯機3との送受信にのみ使用されるものでなくてもよく、他の電波送信体である通信機との通信を行うものであってもよい。第一送受信部21は、一つの第二電子制御装置20に一つ設けられているが、送受信の感度をさらに向上させるために、複数設けられてもよい。また、使用される帯域は、一般的には、携帯機3から第一送受信部21へはRF帯、第一送受信部21から携帯機3へはLF帯であるが、これに限定されない。
【0032】
第二電子制御装置20では、第一送受信部21が受信した無線信号が携帯機3からの無線信号である場合は、第二情報取得部22がその無線信号から携帯機3が送信した情報を取得し、第一送受信部21が受信した無線信号が第一電子制御装置10からの無線信号である場合は、第三情報取得部23がその無線信号から第一電子制御装置10が中継した情報を取得する。
【0033】
制御部24は、第二情報取得部22又は第三情報取得部23が取得した、しかしいずれであっても最初は携帯機3から送信された制御情報に基づき、車両Cの機器Eを制御する。このように、本実施例に係る車両制御システム1は、第二電子制御装置20の制御部24が、携帯機3から直接受信し第二情報取得部22が取得した情報、又は第一電子制御装置10の情報中継部13を経由して第三情報取得部23が取得した情報に基づいて、車両Cの機器Eを制御できる。
【0034】
この結果、車両制御システム1においては、携帯機3から送信される情報を、車両Cに設けられた複数の電子制御装置2で受信し、電子制御装置2同士が無線でその情報の受け渡しを行い、第二電子制御装置20に携帯機3から送信される情報を届けることにより、携帯機3から送信される情報の受信精度を高めることができる。従って、携帯機3と機器Eを制御する第二電子制御装置20の間の通信は、別個にアンテナなど設けなくとも高い精度で行うことができる。また、各電子制御装置2の間にワイヤハーネスを配線する必要がないので、車両C内の配線取り回しに余裕ができ、車両の設計・製造において自由度を増大せることができ、さらに、車体重量の低減が図られる。
【0035】
なお、機器Eを制御する第二電子制御装置20とその他の第一電子制御装置10の両方が携帯機3からの無線信号を受信し、携帯機3からの情報が第一電子制御装置10から第二電子制御装置20へ中継された場合、第二電子制御装置20は、第一送受信部21が携帯機3から直接受信した情報に基づき、制御してもよい。携帯機3から直接受信する無線信号の方が、速く第二電子制御装置20に到達するし、信号の品質も経由するのに比し信頼性が高い。但し、これに限定されるものではなく、多数の第一電子制御装置10が中継した無線信号の中から、例えば多数決により、どの無線信号に基づき制御するのかを決めてもよい。
【0036】
第二電子制御装置20は、中継機能を有する第一電子制御装置10と共に車両Cに備えられ、携帯機3が送信する情報に基づき車両Cの機器Eを制御するため、送受信部、情報取得部、及び制御部を備える電子制御装置である。その送受信部は、携帯機3及び第一電子制御装置10と無線信号の送受信を行うものである。その情報取得部は2種類を有し、第一は、送受信部が受信した無線信号から、携帯機3が送信し、第二電子制御装置20が受信した情報を取得するもの、第二は、送受信部が受信した無線信号から、携帯機3が送信し、第一電子制御装置10が受信し、第二電子制御装置20に中継した情報を取得するものである。また、制御部は、第一の情報取得部又は第二の情報取得部が取得した情報に基づき、車両Cの機器Eを制御する。なお、中継機能とは、第二電子制御装置20と携帯機3との間で無線信号を送受信することにより、情報を携帯機3から第二電子制御装置20へ中継する機能を言う。
【0037】
これによれば、携帯機3から送信される情報を、車両Cに設けられた複数の電子制御装置で受信し、電子制御装置同士が無線でその情報の受け渡しを行い、車両の機器を制御する電子制御装置に携帯機3から送信される情報を届けることにより、携帯機3から送信される情報の受信精度を高めた、携帯機3からの情報に基づき車両の機器を制御する電子制御装置を提供できる。
【0038】
図2は、本発明に係る第一実施例を実際に車両に搭載した場合を示す図である。図2では、バッテリと共に、電子制御装置20(第二電子制御装置、図中携帯用ECU)が一つ、第一電子制御装置10が4つ備えられている。それぞれの電子制御装置は、バッテリと電源線により接続され、電力の提供を受けている。
【0039】
ここで、従来技術と対比するため、図7を参照する。図7は、従来技術に係る車両制御システムを車両に搭載した場合を示す図である。図2と同様、バッテリと共に、電子制御装置20に相当する機器を制御する電子制御装置(図中キーレスECU)が一つ、他の電子制御装置が4つ備えられている。それぞれの電子制御装置は、バッテリと電源線により接続され、電力の提供を受けている。さらに、それぞれのECUの間で通信を行うCAN(Controller Area Network)のためのワイヤハーネス、並びにローカル通信を行うLIN(Local Interconnect Network)のためのワイヤハーネスが配置されている。
【0040】
このように、従来技術では、多くのワイヤハーネスが必要とされる一方、本発明に係る本実施例では、第二電子制御装置20と第一電子制御装置10の間で無線通信が行われるので、従来技術では必要であったワイヤハーネスをほとんど必要としない。これにより、車両C内の配線取り回しに余裕ができ、車両の設計・製造において自由度を増大せることができ、さらに、車体重量の低減が図られる。
【0041】
また、図7では、FOB(携帯機)は、キーレスECUとのみ通信を行うことができ、他のECUは通信し情報を受け渡すことはできない。従って、FOBの位置が、車両内でのキーレスECUの場所から無線信号が届きにくい位置である場合、FOBとキーレスECUの間の通信精度(受信精度)は低いものとなる。また、車両内の別の場所にアンテナを設置してFOBとの通信精度を向上させるなどしなくてはならない。一方、図2における本実施例では、FOBは、第二電子制御装置20だけでなく、車両Cの各所に配置された第一電子制御装置10とも無線通信を行い、必要な情報を第二電子制御装置20に届けることができるので、FOBの位置により無線信号が届きにくくなることが、従来技術に比し少ない。さらに、車両内に別途アンテナ設けるなどしなくても良い。従って、車両制御システム1においては、携帯機3から送信される情報の受信精度を高めることができ、確実にその情報を第二電子制御装置20に届けることが可能となる。
【0042】
図3は、本実施例におけるフローチャートを示す。なお、ステップをSと略して記載する。第二電子制御装置20(図中携帯機用ECU)は、S10にて、FOBの無線信号を受信した場合、S11にて、その無線信号に含まれる情報を基に車載機器を制御する。一方、第一電子制御装置10(図中携帯機用ECU以外のECU)は、S20にて、FOBの無線信号を受信した場合、S21にて、FOBの無線信号に含まれる情報を無線信号により第二電子制御装置20(携帯機用ECU)に送信する。第二電子制御装置20は、S22にて、第一電子制御装置10が送信した無線信号を受信し、その無線信号から情報を取得し、S23にて、その情報を基に車載機器を制御する。
【0043】
これらのステップは、互いに無線通信を行う複数の電子制御装置である第一電子制御装置10と第二電子制御装置20を備える車両Cにおいて、携帯機3が送信する車両Cに備えられた機器Eを制御するための情報に基づき、第二電子制御装置20が機器Eを制御する制御方法である。より具体的には、第二電子制御装置20は、携帯機3が送信し、第二電子制御装置20が直接受信した情報、又は、携帯機3が送信し、第一電子制御装置10が受信し、第二電子制御装置20に中継した情報に基づき、機器Eを制御する。
【0044】
例えば、機器Eがドアである場合、携帯機3が送信する情報はドアを施錠/解錠する制御情報であり、第二電子制御装置20がドアを施錠/解錠する制御方法である。即ち、第二電子制御装置20は、携帯機3が送信し、第二電子制御装置20が直接受信したドアを施錠/解錠する制御情報、又は、携帯機3が送信し、第一電子制御装置10が受信し、第二電子制御装置20に中継したドアを施錠/解錠する制御情報に基づき、ドアの施錠/解錠を制御する。
【0045】
また、これらのステップは、互いに無線通信を行う複数の電子制御装置である第一電子制御装置10と第二電子制御装置20を備える車両Cにおいて、車両Cに備えられた機器Eを制御するための情報を無線信号により送信する携帯機3と、その情報に基づき機器Eを制御する第二電子制御装置20との通信方法でもある。より具体的には、第一電子制御装置10は、携帯機3が送信した無線信号を受信した場合に、無線信号に含まれる情報を第二電子制御装置20に中継し、第二電子制御装置20は、携帯機3が送信し、第二電子制御装置20が直接受信した情報、又は、携帯機3が送信し、第一電子制御装置10が受信し、第二電子制御装置20に中継した情報を含む無線信号を受信する。
【0046】
例えば、機器Eがエンジンである場合、携帯機3が送信する情報はエンジンをスタート/ストップする制御情報である。従って、これらのステップは、車両Cにおいて、エンジンのスタート/ストップを制御するための制御情報を無線信号により送信する携帯機3と、その制御情報に基づきエンジンを制御する第二電子制御装置20との通信方法でもある。より具体的には、第一電子制御装置10は、携帯機3が送信した無線信号を受信した場合に、無線信号に含まれるエンジンのスタート/ストップ制御情報を第二電子制御装置20に中継する。そして、第二電子制御装置20は、携帯機3が送信し、第二電子制御装置20が直接受信したエンジンのスタート/ストップ制御情報、又は、携帯機3が送信し、第一電子制御装置10が受信し、第二電子制御装置20に中継したエンジンのスタート/ストップ制御情報を含む無線信号を受信する。
【0047】
これによれば、携帯機3から送信される情報を、車両Cに設けられた複数の電子制御装置で受信し、電子制御装置同士が無線でその情報の受け渡しを行い、車両の機器を制御する電子制御装置に携帯機3から送信される情報を届けることにより、携帯機3から送信される情報の受信精度を高めた通信方法を提供できる。
【0048】
<第二実施例>
図4は、本発明に係る第二実施例における車両制御システム1Aのブロック図を示す。以下の説明では、第二実施例と異なる部分のみを述べる。車両制御システム1Aは、複数の第一電子制御装置10Aが車両Cに備えられ、互いに無線信号により通信を行う。第一電子制御装置10Aは、さらに、第一送受信部12Aで受信した無線信号の内容が、携帯機3Aからの情報なのか、第一電子制御装置10A自身の処理に関する内容なのか、第一電子制御装置10A自身には関係無い内容なのかを判定する判定部14Aを備える。
【0049】
判定部14Aは、第一送受信部12Aで受信し、第一情報取得部で取得した無線信号の送信元を確認する。その際には、例えば、無線信号に付与された特有のコードにより送信元を確認しても良いし、無線信号の内容の全体から確認しても良いし、又は受信した無線信号の周波数などの信号特性に基づいて確認するなどしても良い。
【0050】
判定部14Aは、無線信号の送信元が携帯機3Aであると確認できた場合には、取得した情報を中継すべき情報であると判定し、情報中継部13Aを介して第二電子制御装置20Aにその情報を送信する。また、判定部14Aは、例えば、無線信号の送信元が予め定めている特定の他の第一電子制御装置10Aなどであると確認できた場合には、取得した情報が第一電子制御装置10A自身の処理に関する情報であると判定し、第一電子制御装置10A自身が使用する。さらに、判定部14Aは、無線信号の送信元が予め定めている自身に関係のない装置であると確認できた場合や、無線信号の送信元が確認でない場合には、取得した情報が自身には関係の無い情報であると判定し、受信した無線信号に含まれる情報に対して何も行わない。
【0051】
その結果、携帯機3Aから送信される様々な情報が中継されて、第二電子制御装置20へ送信されることにより、携帯機3Aから送信される情報の受信精度が高くかつ柔軟な車両制御システムを提供できる。例えば、第二電子制御装置20がドアの施錠/解錠を制御する電子制御装置であり、第一電子制御装置10の一つがエンジンのスタート/ストップを制御する電子制御装置である場合、携帯機3Aからドアを施錠する旨の無線信号が送信されてきた場合は、第一電子制御装置10Aはその制御情報を第二電子制御装置20Aへ中継する。一方、携帯機3Aからエンジンをスタートする旨の無線信号が送信されてきた場合、今度はドアの施錠/解錠を制御する電子制御装置が第一電子制御装置10として受信した情報を中継し、エンジンのスタート/ストップを制御する電子制御装置が第二電子制御装置20として機能し、エンジンをスタートする制御を行うためにその信号の情報を使用する。
【0052】
また、車両制御システム1Aにおいては、さらに、第二電子制御装置20Aは、携帯機3Aに対して返信要求信号を送信する返信要求信号生成部25Aを有し、制御部24Aは、返信要求信号生成部25Aが返信要求信号を送信した後、第二情報取得部22A又は第三情報取得部23Aが携帯機3Aからの情報を所定時間内に取得した場合、その情報に基づいて、車両Cの機器Eを制御する。これにより、車両制御システム1Aがパッシブエントリシステムであっても、携帯機3Aから送信される情報の受信精度を高めることができる。なお、パッシブエントリシステムとは、たとえ携帯機が使用者のカバンなどに入ったままでも、例えば使用者がドアのハンドルを握るとドアが解錠される、携帯機での操作が不要なシステムを言う。
【0053】
第二電子制御装置20Aの返信要求信号生成部25Aが携帯機3Aに返信要求信号を送信すると、その返信要求信号を受信した携帯機3Aは、通常一定の時間内(例えば、数ミリ秒から数秒程度)にその返信要求に応えて、返信要求信号を送信した第二電子制御装置20Aに返信する。第二電子制御装置20Aは、所定時間内にこの返信がなければ、携帯機3Aが通信可能な領域にないと判断し、ドアを解錠等することはない。逆に、第二電子制御装置20Aは、所定の時間内に携帯機3Aから返信があった場合、他の条件(例えば、使用者がドアのセンサに触れるなど)がそろえば、ドアを解錠する。
【0054】
第一電子制御装置10Aは、携帯機3Aが送信する情報に基づき車両Cの機器Eを制御する、第二電子制御装置20Aと共に車両Cに複数備えられ、送受信部、判定部、情報取得部、及び情報中継部を有する電子制御装置である。その送受信部は、携帯機3A、他の第一電子制御装置10A及び第二電子制御装置20Aと無線信号の送受信を行う。判定部は、送受信部が受信した無線信号の内容が、携帯機3Aが送信した情報なのか、第一電子制御装置10A自身の処理に関する内容なのか、第一電子制御装置10A自身には関係の無い内容なのかを判定する。情報取得部は、判定部から、携帯機3Aが送信した情報を取得する。情報中継部は、情報取得部が取得した情報を、送受信部から無線信号を送信することにより、第二電子制御装置20Aに中継する。これによれば、車両内に設けられた複数の電子制御装置同士が無線で情報のやりとりを柔軟に行うために、携帯機から送信される様々な情報を中継する電子制御装置を提供できる。
【0055】
図5は、本実施例におけるパッシブエントリに関するフローチャート図を示す。第二電子制御装置20Aの返信要求信号生成部25Aは、S30にて、携帯機3Aに対して返信要求信号を送信する。また、第二電子制御装置20Aは、S31にて、送信後、何回返信要求信号を送信するかのリトライ回数を設定する。第二電子制御装置20Aは、S32にて、第二送受信部21Aが携帯機3Aからの無線信号(返信)を受信したか否かをチェックする。受信した場合には、制御部24Aは、S33にて、受信した無線信号に含まれる情報に基づいて機器Eを制御する。
【0056】
所定時間内に受信しなかった場合、第二電子制御装置20Aは、S34にて、第一電子制御装置10Aから携帯機3Aからの無線信号(返信)を受信した旨の連絡があったか否かをチェックする。受信した旨の連絡があった場合には、制御部24Aは、S33にて、受信した無線信号に含まれる情報に基づいて機器Eを制御する。
【0057】
受信した旨の連絡がなかった場合、第二電子制御装置20Aは、S35にて、S31で設定したリトライ回数を実行したか否かをチェックする。まだリトライ回数を実行していない場合はS32に戻り、リトライ回数を実行した場合には、携帯機3Aとの通信はできないとして、機器Eへの制御は行わずに終了する。
【0058】
これらのステップは、第二電子制御装置20Aが、携帯機3Aに対して返信要求信号を無線信号により送信し、携帯機3Aが、その返信要求信号に対して無線信号を返信する通信方法を表わしている。これにより、パッシブエントリシステムにおいて、携帯機3Aから送信される情報の受信精度を高めた通信方法を提供できる。
【0059】
図6は、本実施例の変形例におけるパッシブエントリに関するフローチャート図を示す。第二電子制御装置20Aの返信要求信号生成部25Aは、S40にて、携帯機3Aに対して返信要求信号を送信する。また、第二電子制御装置20Aは、S41にて、送信後、何回返信要求信号を送信するかのリトライ回数を設定する。第二電子制御装置20Aは、S42にて、第二送受信部21Aが携帯機3Aからの無線信号(返信)を受信したか否かをチェックする。受信した場合には、制御部24Aは、S43にて、受信した無線信号に含まれる情報に基づいて機器Eを制御する。
【0060】
所定時間内に受信しなかった場合、第二電子制御装置20Aの返信要求信号生成部25Aは、S44にて、第一電子制御装置10Aに対して、第一電子制御装置10Aが携帯機3Aからの無線信号(返信)を受信したか否かを問い合わせる信号を送信する。第二電子制御装置20Aは、S45にて、第一電子制御装置10Aから携帯機3Aからの無線信号(返信)を受信した旨の連絡があったか否かをチェックする。受信した旨の連絡があった場合には、制御部24Aは、S43にて、受信した無線信号に含まれる情報に基づいて機器Eを制御する。
【0061】
受信した旨の連絡がなかった場合、第二電子制御装置20Aは、S46にて、S41で設定したリトライ回数を実行したか否かをチェックする。まだリトライ回数を実行していない場合はS42に戻り、リトライ回数を実行した場合には、携帯機3Aとの通信はできないとして、機器Eへの制御は行わずに終了する。
【0062】
これらのステップは、第二電子制御装置20Aが、第一電子制御装置10Aに対して携帯機3Aが送信した無線信号を受信したか否かを問い合わせる問い合わせ信号を送信し、第二電子制御装置20Aが、所定時間内に携帯機3Aが送信した無線信号を受信した場合に、その問い合わせ信号に対して無線信号を返信する通信方法を表わしている。これによれば、電子制御装置同士が無線でその情報の確実な受け渡しを行うことにより、携帯機3A電波送信体から送信される情報の受信精度を高めた通信方法を提供できる。
【0063】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 車両制御システム
2 電子制御装置
3 電波送信体
C 車両
E 機器
10 第一電子制御装置
11 第一送受信部
12 第一情報取得部
13 情報中継部
14 判定部
20 第二電子制御装置
21 第二送受信部
22 第二情報取得部
23 第三情報取得部
24 制御部
25 返信要求信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号により情報を送信する電波送信体と、前記電波送信体からの無線信号の受信を行う、第一電子制御装置と第二電子制御装置と、を備える車両制御システムであって、
前記第一電子制御装置は、
無線信号の送受信を行う第一送受信部と、
前記第一送受信部が受信した無線信号から、前記電波送信体が送信した前記情報を取得する第一情報取得部と、
前記第一情報取得部が取得した前記情報を、前記第一送受信部から無線信号を送信することにより、前記第二電子制御装置に中継する情報中継部と、
を備え、
前記第二電子制御装置は、
前記電波送信体及び前記第一電子制御装置から無線信号の受信を行う第二送受信部と、
前記第二送受信部が受信した無線信号から、前記電波送信体が送信した前記情報を取得する第二情報取得部と、
前記第二送受信部が受信した無線信号から、前記第一電子制御装置が中継した前記情報を取得する第三情報取得部と、
前記第二情報取得部又は前記第三情報取得部が取得した前記情報に基づき、前記車両の機器を制御する制御部と、
を備える、
車両制御システム。
【請求項2】
前記車両には、互いに無線信号による通信を行う前記第一電子制御装置が複数備えられ、
前記第一電子制御装置は、前記第一送受信部で受信した無線信号の内容が、前記電波送信体からの前記情報なのか、自身の処理に関する内容なのか、自身には関係無い内容なのかを判定する判定部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記第二電子制御装置は、前記電波送信体に対して返信要求信号を送信する返信要求信号生成部をさらに有し、
前記制御部は、前記返信要求信号生成部が前記返信要求信号を送信した後、前記第二情報取得部又は前記第三情報取得部が前記情報を所定時間内に取得した場合、前記情報に基づいて、前記車両の機器を制御することを特徴とした請求項1又は2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
中継機能を有する第一の電子制御装置と共に車両に備えられ、電波送信体が送信する情報に基づき前記車両の機器を制御する第二の電子制御装置であって、
前記中継機能は、前記第二の電子制御装置と前記電波送信体との間で無線信号を送受信することにより、前記情報を前記電波送信体から前記第二の電子制御装置へ中継するものであり、
前記第二の電子制御装置は、
前記電波送信体及び前記第一の電子制御装置と無線信号の送受信を行う送受信部と、
前記送受信部が受信した無線信号から、前記電波送信体が送信し、前記第二の電子制御装置が受信した前記情報を取得する第一情報取得部と、
前記送受信部が受信した無線信号から、前記電波送信体が送信し、前記第一の電子制御装置が受信し、前記第二の電子制御装置に中継した前記情報を取得する第二情報取得部と、
前記第一情報取得部又は前記第二情報取得部が取得した前記情報に基づき、前記車両の機器を制御する制御部と、
を備える、
電子制御装置。
【請求項5】
前記第二の電子制御装置は、前記電波送信体に対して返信要求信号を送信する返信要求信号生成部をさらに有し、
前記制御部は、前記返信要求信号生成部が前記返信要求信号を送信した後、前記第一情報取得部又は前記第二情報取得部が前記情報を所定時間内に取得した場合、前記情報に基づいて、前記車両の機器を制御することを特徴とした請求項4に記載の電子制御装置。
【請求項6】
電波送信体が送信する情報に基づき車両の機器を制御する、第二の電子制御装置と共に車両に複数備えられる第一の電子制御装置であって、
前記第一の電子制御装置は、
前記電波送信体、他の前記第一の電子制御装置及び前記第二の電子制御装置と無線信号の送受信を行う送受信部と、
前記送受信部が受信した無線信号の内容が、前記電波送信体が送信した前記情報なのか、自身の処理に関する内容なのか、自身には関係の無い内容なのかを判定する判定部と、
前記判定部から、前記電波送信体が送信した前記情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記情報を、前記送受信部から無線信号を送信することにより、前記第二の電子制御装置に中継する情報中継部と、
を備える、
電子制御装置。
【請求項7】
互いに無線通信を行う複数の電子制御装置を備える車両において、
前記車両に備えられた機器を制御するための情報を無線信号により送信する電波送信体と、前記情報に基づき前記機器を制御する、前記複数の電子制御装置における第二の電子制御装置との通信方法であって、
前記複数の電子制御装置における第一の電子制御装置は、前記電波送信体が送信した前記無線信号を受信した場合に、前記無線信号に含まれる前記情報を前記第二の電子制御装置に中継し、
前記第二の電子制御装置は、前記電波送信体が送信し、前記第二の電子制御装置が直接受信した前記情報、又は、前記電波送信体が送信し、前記第一の電子制御装置が受信し、前記第二の電子制御装置に中継した前記情報を含む無線信号を受信する、
通信方法。
【請求項8】
前記第二の電子制御装置は、前記電波送信体に対して返信要求信号を無線信号により送信し、
前記電波送信体は、前記返信要求信号に対して、前記情報を含む無線信号を返信することを特徴とする請求項7に記載の通信方法。
【請求項9】
前記第二の電子制御装置は、前記第一の電子制御装置に対して前記電波送信体が送信した無線信号を受信したか否かを問い合わせる問い合わせ信号を送信し、
前記第一の電子制御装置は、所定時間内に前記電波送信体が送信した無線信号を受信した場合に、前記問い合わせ信号に対して、前記情報を含む無線信号を返信することを特徴とする請求項7又は8に記載の通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−18318(P2013−18318A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151293(P2011−151293)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(510123839)オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社 (110)
【Fターム(参考)】