説明

車両制御装置および携帯情報端末用コンピュータプログラム

【課題】 携帯情報端末を用いて直感的に車両開閉体を制御する。
【解決手段】 車両制御装置は、タッチパネル210を備えた携帯情報端末2と無線通信を行う無線通信手段101、102と、車両開閉体の状態を前記タッチパネル210に表示するための車両ステータス情報を前記携帯情報端末に送信するとともに、前記タッチパネルから入力されたコマンドを受信し、当該コマンドに基づき車両の開閉体を制御する制御手段100とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報端末を用いて車両の開閉体を制御するための車両制御装置および携帯情報端末用コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用ドアのキーシリンダに直接にキーを挿入することなく、電子キーを用いて車両用ドアを開閉する車両制御装置が広く用いられている。電子キーは電波発信機を備え、電波発信機からの電波を車両制御装置に向けて発し、車両制御装置はこの電波を受信することによって車両用ドアの開閉を行うことができる。また、近年の無線通信技術の発達に伴い、車両を遠隔操作するための様々な装置が案出されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2003−304339号公報)は、携帯電話機の表示パネルに車両の各機能を表示するとともに、携帯電話機のカーソルボタンを用いてコマンドを車両に送信する制御装置に関する。
【0004】
特許文献2(特開2002−180744号公報)は、車両に搭載されたカメラによって正規ユーザの近接を判断し、携帯電話機を携帯しているユーザが車両に近接または接触すると、ドアを自動的に開く車両の開閉体制御装置に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−304339号公報
【特許文献2】特開2002−180744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の文献に記載の装置はいずれも携帯電話機、若しくは専用の電子キーを用いたものであるため、以下のような問題が生じる。
【0007】
例えば、特許文献1および特許文献2に記載の装置は、携帯電話機のLCD表示パネルに車両の各機能を表示するとともに、携帯電話機のスイッチボタンを用いてコマンドを入力している。このため、ユーザは携帯の表示画面を見ながら、画面とは異なる位置にあるボタンを操作しなければならず、直感的な操作をすることが困難である。また、カーソルボタンによる操作は、カーソル移動に時間がかかり、即座に車両に乗り込むことが困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明に係る車両制御装置は、タッチパネルを備えた携帯情報端末と無線通信を行う無線通信手段と、車両開閉体の状態を前記タッチパネルに表示するための車両ステータス情報を前記携帯情報端末に送信するとともに、前記タッチパネルから入力されたコマンドを受信し、当該コマンドに基づき車両の開閉体を制御する制御手段とを備える。
【0009】
また、前記携帯情報端末が前記車両に近接したことを前記携帯情報端末に通知する。前記携帯情報端末がアプリケーションプログラムを実行中であっても、前記通知が前記タッチパネル上に表示される。
【0010】
前記携帯情報端末はネットワークを介して受信した天候情報に基づき前記コマンドを変更し、前記無線通信手段は変更された前記コマンドを受信する。前記携帯情報端末はモーションセンサによって検出したユーザの動作に基づきコマンドを検出し、前記無線通信手段は前記コマンドを受信する。
【0011】
また、本発明に係る携帯情報端末用コンピュータプログラムは、タッチパネルを備えた携帯情報端末によって実行可能であって、車両に設けられた車両制御装置と無線通信を行うステップと、車両開閉体の状態を表す車両状態情報を前記車両制御装置から受信するステップと、前記車両状態情報を前記タッチパネルに表示するステップと、前記タッチパネルにおける接触座標を検出し、前記車両開閉体を操作するためのコマンドを決定するステップと、当該コマンドを車両制御装置に送信するステップとを備える。
【0012】
前記携帯情報端末用コンピュータプログラムは、前記携帯情報端末が前記車両に近接したことを通知するステップとをさらに備える。前記携帯情報端末がアプリケーションプログラムを実行中であっても、前記通知は前記タッチパネル上に表示される。
【0013】
前記携帯情報端末用コンピュータプログラムは、ネットワークを介して受信した天候情報に基づき前記コマンドを変更するステップをさらに備える。
【0014】
さらに、前記携帯情報端末用コンピュータプログラムは、モーションセンサによって検出したユーザの動作に基づきコマンドを決定するステップを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無線通信手段は、タッチパネルを備えた携帯情報端末と無線通信を行い、制御手段は、車両開閉体の状態を前記タッチパネルに表示するための車両ステータス情報を前記携帯情報端末に送信するとともに、前記タッチパネルから入力されたコマンドを受信し、当該コマンドに基づき車両の開閉体を制御する。従って、ユーザは、タッチパネルに表示された車両状態情報を見ながらコマンドを入力することができ、直感的な操作を行うことが可能となる。
【0016】
また、携帯情報端末が車両に近接したことを携帯情報端末に通知することにより、ユーザに車両の開閉体の操作を促すことができる。さらに、携帯情報端末がアプリケーションプログラムを実行中であっても、通知をタッチパネル上に表示することにより、車両に近接したことをユーザに確実に通知することができる。
【0017】
携帯情報端末はネットワークを介して受信した天候情報に基づきコマンドを変更することによって、天候に応じて開閉体を適切に操作することが可能となる。また、天候情報は携帯情報端末の通信機能を利用して天候情報を受信できるため、天候を検出するためのセンサを車両に設ける必要がない。
【0018】
さらに、本発明によれば、携帯情報端末に設けられたモーションセンサによってユーザの動作を検出したユーザの動作に基づきコマンドを検出することができる。ユーザの動作は携帯情報端末に予め設けられたモーションセンサによって検出されるため、車両にカメラ等のセンサを設ける必要がなく、車両の製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両制御システムの概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置および駆動装置等のブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る携帯情報端末のブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る携帯情報端末の画面表示例である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る携帯情報端末のコマンド入力画面である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る携帯情報端末のコマンド入力画面である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る携帯情報端末のコマンド入力画面である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る携帯情報端末のコマンド入力画面である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る携帯情報端末のコマンド入力画面である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る携帯情報端末のコマンド入力画面である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置の処理の詳細を表すフローチャートである。
【図12】本発明の第1実施形態に係る携帯情報端末の処理の詳細を表すフローチャートである。
【図13】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置と携帯情報端末との間における通信を表すタイミングチャートである。
【図14】本発明の第1実施形態に係る車両制御装置におけるコマンド実行処理を表すフローチャートである。
【図15】本発明の第1実施形態に係る携帯情報端末におけるコマンド決定処理を表すフローチャートである。
【図16】本発明の第2実施形態に係る携帯情報端末の処理の詳細を表すフローチャートである。
【図17】本発明の第2実施形態に係る携帯情報端末の処理の詳細を表すフローチャートである。
【図18】本発明の第3実施形態に係る携帯情報端末の処理の詳細を表すフローチャートである。
【図19】本発明の第4実施形態に係る車両制御システムを説明するための図である。
【図20】本発明の第4実施形態に係る車両制御システムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
[第1実施形態]
(車両制御システムの概略構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両制御システムの概略図である。
【0022】
車両制御システムは車両1、携帯情報端末2、携帯ネットワーク3から構成されている。車両1は、制御装置10、車両本体11、フロントドア12、スライドドア13、サンルーフ14、バックドア15、ウィンドウ16、17を備えている。スライドドア13、サンルーフ14、バックドア15、ウィンドウ16、17は後述する駆動部によって自動的に開閉可能である。制御装置10は車両本体11内部に設けられており、無線LAN通信機能を有している。また、制御装置10は、携帯情報端末2からのコマンドに従い、スライドドア13、サンルーフ14、バックドア15、ウィンドウ16、17のそれぞれの駆動部を制御するとともに、照明、空調、エンジン等を制御することができる。
【0023】
携帯情報端末2はいわゆるスマートフォンと呼ばれ、携帯電話のための無線通信ユニット以外に、無線LANユニット、GPSユニット、モーションセンサ(加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロ)等を備えている。携帯情報端末2のディスプレイは感触センサを備えたタッチパネルを構成しており、ユーザはタッチパネルに表示されたアイコン、スライドボタン等を指で触れることにより、所望のコマンドを直感的に入力することができる。
【0024】
携帯ネットワーク3は、基地局31、加入者交換機32、中継交換機33、ゲートウェイ34、インターネット5を備えて構成されている。基地局31は多角形に区画された複数の無線サービスエリア内にそれぞれ設置されており、携帯情報端末2との無線通信を行う。携帯情報端末2が移動した場合には、いわゆるハンドオーバーがなされ、複数の基地局31のうちで携帯情報端末2が最も強い電波を受ける基地局31との無線通信が行われる。
【0025】
加入者交換機32は基地局31に接続され、加入者回線を収容している。複数の加入者交換機32は中継交換局33に接続され、中継交換局33はさらにゲートウェイ34を介してインターネット35に接続されている。ゲートウェイ34は、携帯情報端末2、基地局31等の無線通信システムの通信プロトコルとインターネット35の通信プロトコル間で、各レイヤーの情報要素をマッピングすることにより、無線通信システムとインターネット35との間の通信を可能にする。
【0026】
(車両制御装置)
図2は車両制御装置10および駆動装置等のブロック図である。車両制御装置10は、制御部100、無線LANユニット101、無線通信ユニット102を備えており、車載ネットワーク110に接続されている。制御部100はCPU、メモリ、インターフェース等を備え、携帯情報端末2から与えられたコマンドを実行するとともに、エンジン、空調、照明等の各機能を制御する機能を有している。
【0027】
無線LANユニット101は、例えばOFDM (Orthogonal Frequency Division Multiple) 方式による物理レイヤを用いて、携帯情報端末2と直接に無線通信を行うためのものである。携帯情報端末2との無線通信可能距離は、車両から見渡せる程度の距離、すなわち数メートル若しくは数十メートル程度であることが好ましい。
【0028】
無線通信ユニット102は携帯ネットワーク3との無線通信を行うためのものである。携帯ネットワーク3との無線通信によって、携帯ネットワーク3を介して携帯情報端末2との通信を確立することができる。
【0029】
車載ネットワーク110は、CAN(Controller Area Network)等のプロトコルに従い、車両の各ユニット間におけるデータの送受信を行うためのデータバスである。なお、車載ネットワーク110を用いることなく、各ユニットを直接に制御部100に接続しても良い。
【0030】
車載ネットワーク110には、ドア駆動部103、バックドア駆動部104、サンルーフ駆動部105、パワーウィンドウ106、照明ユニット107、空調ユニット108、イグニッション装置109が接続されている。
【0031】
ドア駆動部103は、スライドドア13の開閉を行うアクチュエータと開閉状態を検出するセンサとを備えている。すなわち、アクチュエータは制御部100からの信号に基づきスライドドア13の開閉を行い、センサはスライドドア13の開閉状態を制御装置100に送信することができる。同様にバックドア開閉部104は、バックドア15の開閉を行うアクチュエータと開閉状態を検出するセンサとを備えている。サンルーフ駆動部105、パワーウィンドウ106もアクチュエータとセンサとを備え、制御部100からの信号に従い開閉動作を行うとともに、開閉状態を制御部100に送信することができる。
【0032】
照明ユニット107は、制御部100からの信号に従いルームランプ、スモールライト等のオン、オフを制御する機能を有している。空調ユニット108はコンプレッサ、温度センサを備え、制御部100によって任意の温度に車内温度を制御することができる。イグニッション装置109はエンジンキーに連動しており、制御部100からの信号によってエンジンを始動することができる。
【0033】
(携帯情報端末)
図3は携帯情報端末2のブロック図である。携帯情報端末2はCPU200、メモリ201、GPSユニット202、加速度センサ203、地磁気センサ204、ジャイロ205、無線LANユニット206、無線通信ユニット207、タッチパネル210、座標検出回路211、グラフィックコントローラ212、スピーカ213、マイクロフォン214、バイブレータ215、イメージセンサ216、バス217を備える。
【0034】
CPU200はCPUコア、キャッシュメモリを備え、携帯情報端末2の各部を制御する。メモリ201は不揮発性メモリからなり、アプリケーションプログラムおよびコマンド入力プログラムを格納するとともに、CPU200のワークエリアとして使用される。
【0035】
GPSユニット202は位置計測用の衛星からの電波を受信することにより、携帯情報端末2の位置および高度を計測する機能を有している。加速度センサ203は、圧電素子または静電容量検出素子等から構成されており、携帯情報端末2に引加された加速度を検出することができる。地磁気センサ204は地磁気を検出することにより、携帯情報端末2の方位を把握することができる。また、ジャイロ205は携帯情報端末2の向きを検出する機能を備える。これらのGPSユニット202、加速度センサ203、地磁気センサ204、ジャイロ205からの信号を総合的に判断することにより、携帯情報端末2を有するユーザの動作を高精度に検出することができる。
【0036】
タッチパネル210はタッチセンサ210a、ディスプレイ210bから構成されている。ディスプレイ210bは液晶ディスプレイからなり、画像、動画、テキスト、アイコン等を表示可能である。タッチセンサ210aはディスプレイ210b上に設けられ、透明なマトリクス状の電極を備えている。タッチセンサ210aに触れることにより、電極における静電容量が変化する。座標検出回路211は、静電容量変化を検出することにより、ユーザの指の接触位置を算出する。グラフィックコントローラ212は、CPU200からの画像データに基づき、ディスプレイ210bを構成する各画素の輝度を制御する。これにより、ディスプレイ210b上に所望の画像等を表示することができる。
【0037】
スピーカ213は電磁式若しくは圧電式の振動ユニットを備え、図示されていないD/A変換器、ドライバに接続されている。スピーカ213は音声通話のみならず、音楽再生、車両に近接したことをユーザに通知するためにも使用される。マイクロフォン214は電磁式若しくは静電容量式であって、音声通話のみならず、ボイスレコーダ等、広い用途に用いられる。
【0038】
バイブレータ215は機械振動を発生させるための小型モータを備え、着信をユーザに知らせる際に使用される。また、ユーザが車両に近づいた際に振動を発生させることも可能である。イメージセンサ216はCCDまたはCMOSを備え、静止画、動画の撮影のために用いられる。
【0039】
(コマンド入力画面)
図4はアプリケーションプログラム実行時における携帯情報端末2の画面2Aを表している。アプリケーションプログラムを実行中において、携帯情報端末2が車両1に近接すると、タッチパネル210上にはアイコン2aが表示される。アイコン2aは、ユーザが直感的に認識できるように、車両のイラストによって表されている。ユーザはアプリケーション実行中においても、車両に近接したことを即座に察知することが可能である。
【0040】
図5はコマンド入力のための画面を表している。この画面2Bは、ユーザが上述のアイコン2aに触れた後にタッチパネル210に表示されるものである。画面2Bは、車両のイラスト若しくは画像上に、フロントドア、スライドドア、サンルーフ、バックドア、ウィンドウ、照明等の各状態を視覚的に表している。このように、アイコン2Aを操作した直後に、車両ステータス情報を表示することにより、ユーザはいかなる操作を行えばよいかを判断することができる。
【0041】
操作対象の指定は、画面2Bにおいてユーザが所望の部位に触れることにより行われる。また、図6の画面2Cに示されたように、車両の部位を表すアイコン2cを表示し、ユーザが所望のアイコンに触れることによって操作対象を指定することも可能である。アイコン2cは、フロントドア、スライドドア等の操作対象毎に用意され、画面の任意の場所に配置することができる。
【0042】
図7、図8はスライドドアを開閉するためのコマンド入力画面を表している。これらの入力画面は、図5の画面2B若しくは図6の画面2Cにおいて、ユーザがスライドドアを操作対象として選択することによって表示されるものである。図7に示された画面2Dにおいて、スライドドアの部分はハイライト表示されており、操作対象がスライドドアであることをユーザに視覚的に知らせることができる。また、画面2Dの下部には、スライドドアを開くためのスクロールバーが表示されている。このスクロールバーは、「DOOR OPEN」の文字、および矢印のボタンを有している。ユーザがボタンを矢印の方向、すなわち画面右側に指で移動させることにより、スライドドアを開くためのコマンドが入力される。このようにして入力されるコマンドは、制御対象データ、および制御対象の駆動量を表す駆動量データを含んでいる。
【0043】
図8に示された画面2Eは、スライドドアを閉める際に表示される画面である。画面2Eにおいて、スライドドアはハイライト表示されるとともに、開いた状態となっている。また画面2Eの下部には、スライドドアを閉じるためのスクロールバーが表示されている。このスクロールバーは、「DOOR CLOSE」の文字、および矢印のボタンを有している。ユーザがボタンを矢印の方向、すなわち画面左側に指で移動させることにより、スライドドアを閉じるためのコマンドが車両1に送信される。
【0044】
図9、図10はバックドアを開閉するためのコマンド入力画面を表している。図9の画面2Fはバックドアを開く際に表示されるものであって、バックドアがハイライト表示されるとともに、閉じた状態となっている。また、図10の画面2Gはバックドアを閉じる際に表示されるものであって、バックドアは開いた状態となっている。これらの画面2F、2Gの下部には、上下に移動可能なスクロールバーが表示されており、スクロールバーを指で移動させることにより、バックドアを開閉するためのコマンドを車両1に送信することができる。
【0045】
続いて、本実施形態に係る車両制御装置10および携帯情報端末2の動作を説明する。
(車両制御装置の処理の概要)
図11は、車両制御装置10の動作を表すフローチャートである。まず、制御部100は無線LANユニット101が携帯情報端末2からビーコン電波を受信したか否かを判断する(ステップS10)。ビーコン電波が受信されない場合には(ステップS10でNO)、無線LANユニット101は所定周期でビーコン電波の受信を繰り返す。車両1の待機電流を削減するため、実用上差し支えない範囲で受信周期を長くすると良い。
【0046】
無線LANユニット101がビーコン電波を受信した場合(ステップS10でYES)には、制御部10は携帯情報端末2の認証処理を実行する(ステップS11)。車両側の無線LANユニット101の識別コードおよび暗号キーが予め携帯情報端末2に登録されている場合には、携帯情報端末2は車両側の無線LANユニット101との間で通信される信号を正しく暗号化および復号化することができる。この結果、制御部10は携帯情報端末2を正しく認証する(ステップS12でYES)。
【0047】
一方、携帯情報端末2に車両側の識別コードおよび暗号キーが登録されていない場合には、携帯情報端末2は車両側の無線LANユニット101との間で通信を確立することはできず、制御部10は携帯情報端末2を正しく認証することができない(ステップS12でNO)。認証が正しくなされない場合には、制御部10はステップS10の処理に戻り、新たに携帯情報端末2からのビーコン電波の受信を待つ。
【0048】
認証が正しくなされた場合(ステップS12でYES)には、制御部10は車両1と携帯情報端末2との距離を推定する(ステップS13)。距離の推定は、例えば受信電波強度によって行うことが可能である。すなわち、受信電波強度が所定レベル以下である場合には、制御部10は、携帯情報端末2が車両1に十分に近接していないと判断する(ステップウS14でNO)。そして、制御部10は、電波強度が所定レベルに達するまで待機する(ステップS15でNO)。所定時間が経過した後においても、電波強度が十分でない場合(ステップS15でYES)には、制御部10はステップS10の処理に戻り、携帯情報端末2からのビーコン電波の受信を待つ。なお、認証が正しくなされた場合(ステップS12でYES)、携帯情報端末2が車両1に近接していると判断してもよい。この場合には、ステップS13〜S15の処理を省略することができる。また、GPSユニットによって検出された座標により、近接を判断しても良い。
【0049】
携帯情報端末2が車両1に近接したと判断された場合(ステップS14でYES)には、制御部10は車両ステータス情報を携帯情報端末2に送信する(ステップS16)。携帯情報端末2は、車両ステータス情報を受信すると、車両に近接したことを通知するためのアイコン2Aを表示する(図4)。また、ステータス情報は、携帯情報端末2のタッチパネル上に図5のようにイラストとして表示される。
【0050】
続いて、制御部10は携帯情報端末2からのコマンドが受信されるまで待機する(ステップS17)。所定時間経過した後においてもコマンドが受信されない場合(ステップS17でNO、ステップS18でYES)には、制御部10はステップS10の処理に戻る。制御部10が携帯情報端末2からコマンドを受信した場合(ステップS17でYES)には、制御部10は受信したコマンドを解析する(ステップS19)。すなわち、制御部10はコマンドに含まれる制御対象データおよび駆動量データを抽出する。制御部10はコマンドの解析結果に基づき、コマンドを実行する(ステップS20)。すなわち、制御部10は、制御対象データで示された部位(スライドドア等)を駆動量データで示された量だけ駆動する。コマンドの実行が終了すると(ステップS21)、制御部10はステップS17に戻り、新たなコマンドを待機する。
【0051】
(携帯情報端末の処理概要)
図12は携帯情報端末2における動作を表すフローチャートである。先ず、携帯情報端末2の無線LANユニット206は所定時間毎にビーコン電波を送信する(ステップS40)。車両1との接続が確立しない場合(ステップS41でNO)には、無線LANユニット206は所定周期毎にビーコン電波を送信し続ける(ステップS40)。車両1との接続が確立すると(ステップS41でYES)、CPU200は車両1からのステータス情報を受信する(ステップS42)。ステータス情報を受信すると、CPU200は実行中のアプリケーションプログラムの画面上に、図4に示されたようにアイコン2Aをポップアップ表示する(ステップS43)。同時に、スピーカ213からアラーム音を発するとともに、バイブレータ215によって振動を発生させてもよい。これにより。ユーザは車両に近接したことを察知することができる。
【0052】
続いて、ユーザがアイコン2aに触れることにより、遠隔操作プログラムが起動し、CPU200はタッチパネル210に車両ステータスを表示する。車両ステータス情報は、図5に示された車両のイラスト上に表示可能である。例えば、車両1のスライドドア13が開いている場合には、車両イラスト上のスライドドアも開いた状態で表示される。このように、実際の車両1の状態を視覚的にタッチパネル210に表示することにより、ユーザは直感的に車両1の状態を把握することが可能となる。
【0053】
さらに、CPU200はタッチパネル210において画面操作がなされたか否かを判断する(ステップS44)。画面の操作が所定時間なされなかった場合(ステップS46でNO)には、CPU200は遠隔操作プログラムを終了し、実行を中断していたアプリケーションプログラムを復帰させる(ステップS50)。
【0054】
一方、画面の操作がなされた場合(ステップS44でYES)には、CPU200は画面の操作に対応するコマンドを決定する(ステップS46)。図5に示された車両のイラスト上において、ユーザが操作しようとする部位に触れることにより、操作対象が選択される。また、図6に示されたように、操作対象の部位毎に複数のアイコンをタッチパネル210上に表示し、ユーザが所望のアイコンに触れることによって、操作対象を選択しても良い。このようして、操作対象を選択することにより、コマンドのうちの操作対象データが決定される。
【0055】
操作対象が選択されると、CPU200は当該操作対象のコマンド入力画面をタッチパネル210に表示する(図7〜図10参照)。例えば、ユーザが図5の車両のイラストにおいてスライドドアに触れると、図7または図8の画面が表示される。これらの画面において、ユーザがスライドボタンに触れながら移動させると、CPU200は指の動きを検出するとともに、スライドボタンの表示位置を変更する。また、CPU200はスライドボタンの移動に応じて、駆動量データを決定する。
【0056】
CPU200は、上述のようにして求めた操作対象データおよび駆動量データをコマンドとして、車両1に送信する(ステップS47)。車両1においてコマンドの実行がなされると、車両1から新たな車両ステータス情報が送信される。CPU200は、受信した車両ステータス情報に従い、コマンド実行後における部位の状態を表示する(ステップS48)。例えば、タッチパネル210には、所定量だけ開いたスライドドアが表示される。
【0057】
続いて、CPU200は、ユーザがタッチパネル210上において遠隔操作プログラムを終了させたか否かを判断する(ステップS49)。遠隔操作プログラムが終了していない場合(ステップS49でNO)には、CPU200はステップS44〜S48の処理を繰り返し実行する。一方、遠隔操作プログラムが終了した場合(ステップSでYES)には、CPU200は実行を中断していたアプリケーションプログラムを復帰させ(ステップS50)、ステップ40の処理に戻る。
【0058】
(通信処理)
図13は、車両制御装置10と携帯情報端末2との間における通信を表すタイミングチャートである。時刻T1において携帯情報端末2がビーコン電波を送信しながら車両1に近接すると、車両制御装置10はビーコン電波を受信し(時刻T2)、認証処理を実行する(時刻T3)。認証が正しくなされた場合には、車両制御装置10は接続が確立したことの通知を携帯情報端末2に送信する(時刻T4)。携帯情報端末が当該通知を受信すると、正しく受信したことを表すACK信号を車両制御装置10に送信する(時刻T5、T6)。
【0059】
続いて、車両制御装置10は車両の車両ステータス情報を携帯情報端末2に送信する(時刻T7)。携帯情報端末2が車両ステータス情報を受信すると(時刻T8)、携帯情報端末2は車両1に近接したことを表すアイコン2Aをポップアップ表示する。さらに、携帯情報端末2は車両ステータス情報を受信したことを表すACK信号を車両制御装置10に送信する(時刻T8、T9)。
【0060】
携帯情報端末2において、ユーザがタッチパネル210を操作することにより、コマンド入力がなされると、携帯情報端末2は入力されたコマンドを車両1に送信する(時刻T10)。車両制御装置10はコマンドを受信し(時刻T11)、ACK信号を携帯情報端末2に送信する(時刻T12)。
【0061】
車両制御装置10はコマンドを実行した後(時刻T13)、新たな車両ステータス情報を携帯情報端末2に送信する(時刻T14)。携帯情報端末2は車両ステータス情報を受信し(時刻T15)、ACK信号を車両制御装置10に返信する(時刻T16)。また、携帯情報端末2は受信した車両ステータス情報に基づき、タッチパネル上の表示を変更する。これにより、ユーザは視覚的に車両の各部位を遠隔操作することが可能となる。
【0062】
(コマンド実行処理)
図14は、車両制御装置10におけるコマンド実行処理(図11のステップS20)の詳細を現すフローチャートである。
【0063】
ステップS201において、車両制御装置10は携帯情報端末2から受信したコマンドから制御対象データおよび駆動量データを抽出し、制御対象および駆動量を決定する(ステップS201)。例えば、制御対象としてスライドドア13が決定され、駆動量として50%開くことが決定される。
【0064】
車両制御装置10は、決定された制御対象および駆動量に基づき、アクチュエータを駆動する(ステップS202)。制御対象がスライドドア13である場合には、ドア駆動部103のアクチュエータが駆動される。アクチュエータの駆動と同時に、センサは制御対象の実際の移動量を検出する(ステップS203)。車両制御装置10は、検出された移動量が制御目標値である駆動量(例えば50%)に達していなければ(ステップS204でNO)、ステップS202〜S203の処理を実行し続ける。このようにして、スライドドア13が50%だけ開かれる。検出された移動量が制御目標値に達すると(ステップS204でYES)、車両制御装置10は車両ステータス情報を携帯情報端末2に送信し、図11のフローチャートに戻る。
【0065】
(コマンド入力処理)
図15は、携帯情報端末2のコマンド決定処理(図12のステップS46)の詳細を表すフローチャートである。
【0066】
コマンド入力画面(図5〜図10)において、ユーザがタッチパネル210に触れると、CPU200はタッチパネル210上における接触位置の座標を算出する(ステップS460)。接触位置がスライドバーにおける操作ボタン上にない場合(ステップS461でNO)には、CPU200は接触位置の座標を検出し続ける(ステップS460)。一方、
接触位置がスライドバーにおける操作ボタン上にある場合(ステップS461でYES)には、CPU200は所定時間毎に接触位置を検出することにより、接触位置の移動量を算出する(ステップS462)。
【0067】
さらに、CPU200は、算出された移動量に基づき、操作ボタンの表示位置を変更すすることにより、操作ボタンは指の接触に従って移動する(ステップS463)。この後、CPU200は図12のフローチャートに処理を戻す。コマンド決定処理は一定時間毎(例えば10msec毎)に実行され、一定時間毎の指の接触位置に基づきコマンドが決定される。従って、ユーザが操作ボタンをすばやく移動させた場合には、スライドドア13の開閉速度が速くなり、ユーザが操作ボタンをゆっくり移動させた場合には、スライドドア13の開閉速度は遅くなる。すなわち、指の移動速度に応じて、スライドドアの開閉速度および開閉量を任意に操作することが可能となる。
【0068】
以上、述べたように、本実施形態によれば、タッチパネルを有する携帯情報端末を用いてコマンドを車両制御装置に送信することにより、ユーザは直感的に操作を行うことができる。また、ユーザが既に所有している携帯情報端末を用いることで、新たな装置を購入する必要がなくなるため、低コストで高機能の車両遠隔システムを構築することが可能となる。さらに、携帯情報端末に予め用意されているスクロールバー、ボタン等のインタフェースを利用することが可能となり、ユーザは慣れ親しんだ画面を見ながら車両を遠隔操作することができる。
【0069】
なお、上述の説明では、スライドドア13、バックドア15の開閉体を例に説明したが、サンルーフ14、ウィンドウ16、17、照明ユニット107、空調ユニット108、イグニッション装置109、ドアのロックおよびアンロックについても、本実施形態を適用することができる。
【0070】
例えば、携帯情報端末2のタッチパネル210に車両1の各照明の状態を表示し、ユーザの接触操作によって所望の照明をオン、オフしても良い。また、タッチパネル21に、空調の操作ボタン、設定温度ボタン、車内温度および車外温度等を表示するとともに、ユーザの接触操作によって空調を遠隔操作することも可能である。さらに、ドアのロックおよびアンロックのボタンをタッチパネル210に表示することにより、ユーザの接触操作によってドアのロックおよびアンロックを行うこともできる。
【0071】
また、上述の説明では、無線LANを用いて車両制御装置10と携帯情報端末2との通信を行っているが、携帯無線回線を用いても良い。この場合、車両制御装置10、携帯情報端末2のそれぞれの位置情報に基づき、車両制御装置10は携帯情報端末2の近接を判断することができる。
【0072】
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態に係る車両制御システムを説明する。本実施形態に係る車両制御システムは、天候に応じて開閉方法等を変更可能である。本実施形態に係る車両制御システムは第1実施形態に係る車両制御システムと略同様に構成されているため、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0073】
図16、図17は本実施形態に係る携帯情報端末2における処理の概要を表すフローチャートである。先ず、携帯情報端末2の無線LANユニット206は所定時間毎にビーコン電波を送信する(ステップS500)。車両1との接続が確立しない場合(ステップS501でNO)には、無線LANユニット206は所定周期毎にビーコン電波を送信し続ける(ステップS500)。車両1との接続が確立すると(ステップS501でYES)、CPU200は車両ステータス情報を受信する(ステップS502)。車両ステータス情報を受信すると、CPU200は実行中のアプリケーションプログラムの画面上に、図4に示されたようにアイコン2aをポップアップ表示する(ステップS503)。同時に、スピーカ213からアラーム音を発するとともに、バイブレータ215によって振動を発生させてもよい。ユーザがアイコン2aに触れると、遠隔操作プログラムが起動し、CPU200は車両ステータス情報をタッチパネル210に表示する。
【0074】
続いて、無線通信ユニット207は基地局31と通信を行う(ステップS504)。所定時間経過後においても通信が確立しない場合(ステップS505でNO,S506でYES)には、CPU200はステップS517以後の処理を実行する。一方、基地局31との通信が確立すると(ステップS505でYES)、携帯情報端末2はIPアドレスを取得し(ステップS506)、ネットワーク35を介して天気サーバに接続する(ステップS507)。さらに、CPU200はGPSユニット202から携帯情報端末2の位置座標を取得し、当該位置座標を天気サーバに送信する(ステップS508)。
【0075】
天気サーバは受信した位置座標における天気情報をネットワーク35を介して携帯情報端末2に送信する。CPU200は天候情報を受信し(ステップS510)、タッチパネル210上に表示する(ステップS511)。天候情報が降雨を示す場合(ステップS515でYES)には、CPU200はスライドドア13、サンルーフ14、バックドア15、ウィンドウ16,17等の開閉方法を変更する(ステップS516)。例えば、CPU200はサンルーフ14、バックドア15、ウィンドウ16、17の開閉量(駆動量)を制限する。また、バックドア15、ウィンドウ16、17等の開閉量を制限するだけでなく、開閉速度を変えても良い。さらに、降雨の場合に、サンルーフ14の開閉を禁止することも可能である。また、外気温、湿度の情報に応じて、ウィンドウ16,17の開閉量を変更しても良い。
【0076】
続いて、CPU200は、タッチパネル210に車両ステータス情報を表示する(図5参照)。さらに、CPU200はタッチパネル210において画面操作がなされたか否かを判断する(ステップS517)。画面の操作が所定時間なされなかった場合(ステップS517でNO)には、CPU200は実行を中断していたアプリケーションを復帰させる(ステップS524)。
【0077】
一方、画面の操作がなされた場合(ステップS517でYES)には、CPU200は画面の操作に対応するコマンドを決定する(ステップS520)。図5に示された車両のイラスト上において、ユーザが操作しようとする部位に触れることにより、操作対象が選択される。また、図6に示されるようにアイコンに触れることにより、操作対象を選択しても良い。なお、ステップS516において、操作対象が制限されている場合には、ユーザが所望の部位に触れたとしても、当該部位を選択することはできない。例えば、サンルーフの開閉が制限されている場合には、車両イラスト上のサンルーフに触れたとしても、サンルーフを操作対象データとして指定することはできない。
【0078】
操作対象が選択されると、CPU200は当該操作対象のコマンド入力画面をタッチパネル210に表示する(図7〜図10参照)。例えば、ユーザが図5の車両のイラストにおいてスライドドアに触れると、図7または図8の画面が表示される。これらの画面において、ユーザがスライドボタンに触れながら移動させると、CPU200は指の動きを検出するとともに、スライドボタンの表示位置を変更する。また、CPU200はスライドボタンの移動に応じて、駆動量データを決定する。なお、上述のステップS516において開閉方法が変更されている場合には、CPU200は駆動量データの上限値を制限する。
【0079】
CPU200は、上述のようにして求めた操作対象データおよび駆動量データをコマンドとして、車両1に送信する(ステップS521)。車両1においてコマンドの実行がなされると、車両1から新たな車両ステータス情報が送信される。CPU200は、受信した車両ステータス情報に従い、コマンド実行後における部位の状態を表示する(ステップS522)。例えば、タッチパネル210には、所定量だけ開いたスライドドアが表示される。
【0080】
上述したように、ステップS516において、降雨に応じてスライドドア13、サンルーフ14、バックドア15、ウィンドウ16,17等の開閉量が制限されているため、制限された開閉量を超えてスライドドア13、サンルーフ14、バックドア15、ウィンドウ16,17等が開かれることはなない。例えば、図9、図10の操作画面2F、2Gにおいて、操作ボタンを上限まで移動させたとしても、スライドドア13等の開閉量は制限される。このため、車内が降雨によって濡れるのを最小限に抑えることができる。
【0081】
CPU200は、ユーザがタッチパネル210上において遠隔操作プログラムを終了させたか否かを判断する(ステップS523)。遠隔操作プログラムが終了していない場合(ステップS523でNO)には、CPU200はステップS517〜S522の処理を繰り返し実行する。一方、遠隔操作プログラムが終了した場合(ステップS523でYES)には、CPU200は実行を中断していたアプリケーションプログラムを復帰させ(ステップS524)、ステップ500の処理に戻る。携帯情報端末2の他の処理、および車両制御装置10における処理は第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0082】
本実施形態によれば、天候情報に基づき、スライドドア13等の開閉方法を変更することにより、天候に応じた最適な制御が可能となる。また、天候情報は携帯情報端末2に予め搭載されているGPSユニットを利用して取得できるため、車両1に天気情報を取得するためのハードウェアおよびソフトウェアを用意せずに済む。このため、車両のコスト増を抑えることができる。
【0083】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る車両制御システムは、ユーザの動作を検出することにより、車両を遠隔操作するものである。
【0084】
図18は本実施形態に係る携帯情報端末2における処理の概要を表すフローチャートである。先ず、携帯情報端末2の無線LANユニット206は所定時間毎にビーコン電波を送信し(ステップS600)、車両1との接続が確立すると(ステップS601でYES)、車両ステータス情報を受信する(ステップS602)。同時に、CPU200は、実行中のアプリケーションの画面上に、図4に示されたようにアイコン2aをポップアップ表示するとともに、スピーカ213からアラーム音を発する(ステップS603)。これにより、ユーザは車両に近接したことを察知することができる。ユーザがアイコン2aに触れると、遠隔操作プログラムが起動し、CPU200は車両ステータス情報をタッチパネル210に表示する。
【0085】
続いて、ユーザは携帯情報端末2を持ちながら所定の動作を行うことにより、コマンド入力を行う。すなわち、CPU200は、加速度センサ203、地磁気センサ204、ジャイロ205からの信号に基づき、携帯情報端末2の加速度、向き等を検出し(ステップS604)、ユーザの動作を推定する(ステップS605)。
【0086】
CPU200は、推定された動作が予め登録された動作に該当するか否かを判断する(ステップS606)。推定された動作が予め登録された動作に該当する場合(ステップS605でYES)、CPU200は当該動作に対応するコマンドを決定する(ステップS608)。例えば、携帯情報端末2を持ち上げる動作がなされた場合、バックドア15を開くコマンドを決定しても良い。また、携帯情報端末2をスライドドア13に向けながら横に振ることによって、スライドドア13を開閉するコマンドを決定しても良い。さらに、複数の動作の組み合わせによって、所望のコマンドを決定することも可能である。
【0087】
ユーザの動作によりコマンドの決定がなされると、CPU200は、入力されたコマンドを車両に送信する(ステップS609)。続いて、CPU200は、ユーザの動作に従い、タッチパネル210の表示を変更する(ステップS610)。一方、ステップS606において、所定時間内に登録された動作がなされなかった場合(ステップS606でNO,ステップS607でYES)には、CPU200は実行を中断していたアプリケーションプログラムを復帰し、ステップS600以後の処理を実行する。
【0088】
ステップS611において、CPU200は、ユーザが遠隔操作プログラムを終了したか否かを判断し、遠隔操作プログラムが終了していない場合(ステップS611でNO)には、CPU200はステップS606〜S611の処理を繰り返し実行する。一方、遠隔操作プログラムが終了した場合(ステップS611でYES)には、CPU200は実行を中断していたアプリケーションプログラムを復帰させ(ステップS524)、ステップ600の処理に戻る。
【0089】
携帯情報端末2の他の処理、および車両制御装置10における処理は第1実施形態と略同様である。なお、車両1が走行中である場合には、携帯情報端末2からコマンドを受信したとしても、車両制御装置10はコマンドの実行を禁止することが望ましい。例えば、走行中にユーザが無意識に携帯情報端末2を左右に振ってしまったとしても、スライドドア13が走行中に開くのを防止することができる。
【0090】
本実施形態によれば、携帯情報端末2を用いてユーザの動作を検出することにより、タッチパネル210を直接に操作することなく、コマンドを入力することが可能となる。また、ユーザの動作を検出するための加速度センサ203等は予め携帯情報端末2に搭載されているため、コストの増加を抑えることができる。
【0091】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る車両制御システムは、第3実施形態に係る車両制御システムの変形例である。本実施形態におけるドア12の側面には表示部21が設けられている。表示部21は3つのLEDを含み、それぞれの発光の組み合わせによって、認証、スライドドア13の開動作等をユーザに知らせることができる。例えば、携帯情報端末2の認証がなされた場合には、車両制御装置10は図20の(A)に示されたように左側のLEDを点灯させる。また、認証後にスライドドア13を開く準備がなされた場合には、車両制御装置10は図20の(B)のように左側および中央のLEDを点灯させる。この状態において、ユーザは携帯情報端末2を横に振ることにより、スライドドア13を開くコマンドを入力することができる。この後、スライドドア13がドア駆動部103によって開きはじめると、車両制御装置10は左側、中央、右側の3つのLEDをすべて点灯させる。なお、表示部21による認証等の表示をタッチパネル210に表示しても良い。
【0092】
本実施形態によれば、ユーザは携帯情報端末2のタッチパネル210を見ることなく、車両1に設けられた表示部21を見ることにより遠隔動作の状態を確認することができる。すなわち、ユーザの動作によってコマンドを入力する場合であっても、ユーザは認証、コマンド入力が正しくなされたかを表示部21によって確認することができる。
【0093】
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施可能である。例えば、第1〜第4実施形態に係る構成を組み合わせることにより、複数のコマンド入力方法の中から所望の方法を選択しても良い。
【符号の説明】
【0094】
1 車両
2 携帯情報端末
3 携帯ネットワーク
10 車両制御装置
13 スライドドア(開閉体)
14 サンルーフ(開閉体)
15 バックドア(開閉体)
16、17 ウィンドウ(開閉体)
101 無線LANユニット
102 無線通信ユニット
200 CPU
202 GPSユニット
203 加速度センサ
204 地磁気センサ
205 ジャイロ
206 無線LANユニット
210 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを備えた携帯情報端末と無線通信を行う無線通信手段と、
車両開閉体の状態を前記タッチパネルに表示するための車両ステータス情報を前記携帯情報端末に送信するとともに、前記タッチパネルから入力されたコマンドを受信し、当該コマンドに基づき車両の開閉体を制御する制御手段とを備えた車両制御装置。
【請求項2】
前記携帯情報端末が前記車両に近接したことを前記携帯情報端末に通知する請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記携帯情報端末がアプリケーションプログラムを実行中であっても、前記通知が前記タッチパネル上に表示される請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記携帯情報端末はネットワークを介して受信した天候情報に基づき前記コマンドを変更し、前記無線通信手段は変更された前記コマンドを受信する請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記携帯情報端末はモーションセンサによって検出したユーザの動作に基づきコマンドを検出し、前記無線通信手段は前記コマンドを受信する請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
タッチパネルを備えた携帯情報端末によって実行可能な携帯情報端末用コンピュータプログラムであって、
車両に設けられた車両制御装置と無線通信を行うステップと、
車両開閉体の状態を表す車両ステータス情報を前記車両制御装置から受信するステップと、
前記車両ステータス情報を前記タッチパネルに表示するステップと、
前記タッチパネルにおける接触座標を検出し、前記車両開閉体を操作するためのコマンドを決定するステップと、
当該コマンドを車両制御装置に送信するステップとを備えた携帯情報端末用コンピュータプログラム。
【請求項7】
前記携帯情報端末が前記車両に近接したことを通知するステップとをさらに備える請求項6に記載の携帯情報端末用コンピュータプログラム。
【請求項8】
前記携帯情報端末がアプリケーションプログラムを実行中であっても、前記通知を前記タッチパネル上に表示する請求項7に記載の携帯情報端末用コンピュータプログラム。
【請求項9】
ネットワークを介して受信した天候情報に基づき前記コマンドを変更するステップをさらに備える請求項6〜8のいずれか1項に記載の携帯情報端末用コンピュータプログラム。
【請求項10】
携帯情報端末に設けられたモーションセンサによって検出したユーザの動作に基づきコマンドを決定するステップをさらに備える請求項6〜9のいずれか1項に記載の携帯情報端末用コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−49952(P2013−49952A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186837(P2011−186837)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】