説明

車両制御装置

【課題】運転開始時における運転者の状態を考慮した上で運転モードを切り換えることで、安全性の向上を図ることのできる車両制御装置を提供する。
【解決手段】経路案内部23は、目的地への経路案内に関する案内音声を所定の報知タイミングにて出力させる通常モード、及び、この通常モードよりも報知タイミングが早い安全走行モードを有する。また、モード切替部26は、車両の駐車場所が当該車両の使用者の自宅であり、且つ、車両がその駐車場所で駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が第1所定時間よりも短い場合、通常モードから安全走行モードに切り換える。さらに、モード切替部26は、車両の駐車場所が当該車両の使用者の勤務先であり、且つ、車両がその駐車場所で駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が第2所定時間よりも長い場合、通常モードから安全走行モードに切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、その車両の車両制御を行う車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両制御装置としては、従来、車両の運転時間が長時間にわたると、当該車両の運転者に休憩を促す通知をする車載ナビゲーション装置の一部として具体化された車両制御装置が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。これら文献に記載の技術を含めた、従来一般に知られている車両制御装置は、連続して車両を運転している時間または距離に関する情報である連続運転情報を取得する連続運転情報取得部と、車両の現在地における渋滞状況に関する情報である渋滞情報を取得する渋滞情報取得部と、連続運転している時間または距離が所定値以上となった場合であって、現在地が渋滞していないと判断されるとき、休憩案内を行う一方、現在地が渋滞していると判断されるとき、休憩案内を行わない報知部とを備える。これにより、休憩案内を運転中に適切に行うことができるようになる。
【特許文献1】特開平7−215089号公報
【特許文献2】特開2006−177735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術では、長時間走行時か否かに着目されているだけであり、運転開始時における運転者の状態まで考慮されていない。
【0004】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであって、その目的は、運転開始時における運転者の状態を考慮した上で運転モードを切り換えることで、安全性の向上を図ることのできる車両制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車両の運転開始時に、車両の駐車場所及びその駐車場所に応じた駐車時間に基づく所定のモード切替条件が成立するか否かを判定し、前記モード切替条件が成立する旨判定される場合、通常モードから、その通常モードよりも安全性の高い制御を行う安全走行モードへ切り換えるモード切替部と、前記モード切替部にて切り換えられたモードに応じた車両制御を行う車両制御部とを備えることを特徴とする。
【0006】
例えば車両の駐車場所が当該車両の使用者の自宅であり、且つ、車両がその駐車場所で駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が短い場合、車両の運転者は、運転開始時に、十分に睡眠を取れていない睡眠不足な状態にあると考えることができる。あるいは、車両の駐車場所が当該車両の使用者の勤務先であり、且つ、車両がその駐車場所で駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が長い場合、車両の運転者は、運転開始時に、かなり疲労している状態にあると考えることができる。このように、車両が実際に駐車されている場所及びその駐車時間から、運転開始時の運転者の状態を知ることが可能である。また、睡眠不足な状態や疲労状態においては、車両の運転者はその注意力が散漫となっている可能性が高い。そのため、通常よりも安全に運転することが望ましい。
【0007】
その点、上記請求項1に記載の構成では、モード切替部によって、車両の運転開始時に、車両の駐車場所及びその駐車場所に応じた駐車時間に基づく所定のモード切替条件が成立するか否かが判定される。そして、モード切替条件が成立する旨判定される場合、モード切替部によって、通常モードから、その通常モードよりも安全性の高い制御を行う安全走行モードへ切り換えられる。これにより、運転開始時における運転者の状態を考慮した上で運転モードを切り換えることで、安全性の向上を図ることができるようになる。
【0008】
具体的には、請求項2に記載の発明のように、前記車両制御部は、前記通常モードにおいても、また、前記安全走行モードにおいても、経路案内に関する案内音声を出力させるものであり、前記安全走行モードにおいては、前記通常モードよりも前記案内音声を出力させる報知タイミングが早くなっていることが望ましい。これにより、運転開始時の運転者の状態を考慮した上で適切な報知タイミングで経路を案内することができるようになる。
【0009】
また、請求項3に記載のように、前記車両制御部は、前記安全走行モードにおいては、前記車両が蛇行しているか否かを判定し、蛇行していると判定される場合、所定の蛇行防止制御を実行する一方、前記通常モードにおいては、蛇行しているか否かの判定および蛇行防止制御を実行しないことが望ましい。これにより、蛇行していると判定される場合、所定の蛇行防止制御を実行するため、安全性の向上を図ることができるようになる。なお、車両制御部は、こうした蛇行防止制御として例えば車両の運転者に音声にて警告してもよく、当該車両の走行車線を左右に逸脱しないように当該車両を自動操舵してもよい。
【0010】
上記請求項1〜3に記載の構成において、請求項4に記載の発明では、前記モード切替部は、前記モード切替条件として、前記車両の駐車場所が当該車両の使用者の自宅であり、且つ、前記車両がその駐車場所に駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が第1所定時間よりも短いことを採用することとした。また、請求項5に記載の発明では、前記モード切替部は、前記モード切替条件として、前記車両の駐車場所が当該車両の使用者の勤務先であり、且つ、前記車両がその駐車場所で駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が第2所定時間よりも長いことを採用することとした。ちなみに、請求項4に記載の構成によれば、既述したように、車両の運転者は、運転開始時に、十分に睡眠を取れていない睡眠不足な状態にあると判断することができるようになり、請求項5に記載の構成によれば、既述したように、車両の運転者は、運転開始時に、かなり疲労している状態にあると判断することができるようになる。
【0011】
ただし、車両の駐車時における運転者が車両の移動開始時における運転者と交代することもある。運転者が交代した場合にあっては、たとえ、車両の駐車場所が当該車両の使用者の自宅であり、且つ、車両がその駐車場所で駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が短くても、車両の運転者は、運転開始時に、睡眠不足な状態にあるとは限らない。あるいは、たとえ、車両の駐車場所が当該車両の使用者の勤務先であり、且つ、車両がその駐車場所で駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が長くても、車両の運転者は、運転開始時に、疲労している状態にあるとは限らない。したがって、通常モードから安全走行モードへ切り換える必要はなく、切り換える必要が無いにもかかわらず切り換えると、車両の運転者の状態にそぐわないモードとなる。
【0012】
その点、請求項6に記載の発明のように、前記車両の運転者を認識する運転者認識部を備え、前記モード切替部は、前記車両の駐車時に前記運転者認識部によって認識された運転者と、前記車両の移動開始時に前記運転者認識部によって認識された運転者とを比較して、運転者が交代したか否かを判定し、交代した旨判定される場合、前記モード切替条件が成立しても、前記通常モードから前記安全走行モードへ切り換えず、前記通常モードを維持することが望ましい。これにより、運転者が交代した旨判定される場合、モード切替条件が成立しても通常モードを維持することができる。
【0013】
また、初めて訪れた場所を運転することは、走り慣れた場所を運転するよりも、より運転による疲れが大きい。その点、請求項7に記載の発明のように、前記車両の走行履歴を記憶保持する記憶保持部を備え、前記モード切替部は、前記記憶保持部に記憶されている走行履歴に基づいて、前記車両の駐車場所が初めて走行する場所に含まれるか否かを判定し、初めて走行する場所に含まれる旨判定される場合、前記切替実行条件が成立していない場合であっても、前記通常モードから前記安全走行モードへ切り換えることが望ましい。これにより、初めて走行する場所に含まれる旨判定される場合、モード切替条件が成立しなくても安全走行モードに切り換えるため、安全性の更なる向上を図ることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る車両制御装置の一実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。なお、本実施の形態の車両制御装置は、車載ナビゲーション装置の一部として具体化されており、図1は、本実施の形態の全体構成を示すブロック図である。はじめに、この図1を参照して車両制御装置(車載ナビゲーション装置)について説明する。
【0015】
図1に示されるように、車両制御装置1は、GPS情報取得部11、位置検出部12、地図情報格納部13、メモリ部14、表示部15、音声出力部16及び車両制御部20を備えており、車両制御部20は、経路計算部21、地図データ取得部22、経路案内部23、描画部24、マップマッチング部25及びモード切替部26を備える。そして、この車両制御装置1は、図示しない車両に搭載されている。
【0016】
このうち、GPS情報取得部11は、例えばGPSアンテナ等によって構成されており、図示しないGPS衛星から発せられるGPS信号(GPS情報)を受信する。位置検出部12は、GPS情報取得部11によって取得されたGPS情報を利用して当該装置1の現在地を検出(特定)する。
【0017】
地図情報格納部13は、例えばハードディスクドライブ装置等の適宜の記憶保持手段によって構成されており、地図情報を記憶保持する。経路計算部21は、地図情報格納部13に記憶保持されている地図情報を地図データ取得部22を通じて読み出すとともに、当該装置1のユーザによって図示しない入力部に入力される目的地を取得する。そして、経路計算部21は、これら地図情報及び目的地に基づいて、当該装置1の現在地から目的地への経路を計算する。
【0018】
経路案内部23は、上記経路計算部21によって計算された経路を当該装置1のユーザに案内するべく、ユーザが視認できるように描画部24を通じて表示部15に表示したり、音声出力部16を通じて目的地への経路を音声にて案内したりする。なお、マップマッチング部25は、当該装置1を搭載する車両の速度及び角速度を取得し、これら速度及び角速度並びに地図情報に基づき周知のマップマッチングを実行する。
【0019】
また、経路案内部23は、所定の報知タイミングにて目的地への経路案内に関する案内音声を出力させる通常モードと、通常モードよりも早い報知タイミングにて目的地への経路案内に関する案内音声を出力させる安全走行モードを有する。具体的には、経路案内部23は、通常モードに設定されている場合、例えば左折すべき交差点の500m手前の地点に達したタイミングで、交差点を左折する旨の案内図を表示部15に拡大出力したり、音声出力部16から案内音声を出力したりする。一方、経路案内部23は、安全走行モードに設定されている場合、例えば左折すべき交差点の800m手前の地点に達したタイミングで、交差点を左折する旨の案内図を表示部15に拡大出力したり、音声出力部16から案内音声を出力したりする。このように、安全走行モードは、通常モードよりも、経路案内図の拡大表示タイミングや案内音声の出力タイミングが早目に設定されている。
【0020】
モード切替部26は、当該車両の駐車場所及びその駐車場所に応じた駐車時間に基づく所定のモード切替条件が成立するか否かを判定し、モード切替条件が成立する旨判定される場合、上記通常モードから上記安全走行モードへ切り換える。
【0021】
具体的には、本実施の形態では、モード切替条件として、車両の駐車場所が当該車両の使用者の自宅であり、且つ、車両がその駐車場所で駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が第1所定時間(例えば「6時間」)よりも短いことを採用している。こうしたモード切替条件を採用することで、この条件が成立する場合、車両の運転者は、運転開始時に、十分に睡眠を取れていない睡眠不足な状態にあると考えることができる。
【0022】
また、本実施の形態では、モード切替条件として、車両の駐車場所が当該車両の使用者の勤務先であり、且つ、車両がその駐車場所で駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が第2所定時間(例えば「18時間」)よりも長いことを採用している。こうしたモード切替条件を採用することで、この条件が成立する場合、車両の運転者は、運転開始時に、かなり疲労している状態にあると考えることができる。
【0023】
こうした睡眠不足な状態や疲労状態においては、車両の運転者はその注意力が散漫となっている可能性が高いため、通常モードよりも早い報知タイミングにて、経路案内に関する案内音声を出力する安全走行モードに切り換える。
【0024】
なお、本実施の形態では、第1所定時間として例えば「6時間」を採用したがこれに限らない。要は、車両の使用者が寝不足な状態にあると考えることのできる時間であれば良い。そのため、例えば駐車された時刻が深夜(例えば23時以降)〜早朝(例えば4時〜6時)であることを追加条件としてもよい。また、本実施の形態では、第2所定時間として例えば「18時間」を採用したがこれに限らない。要は、車両の使用者が疲労状態にあると考えることのできる時間であれば良い。
【0025】
また、第1所定時間及び第2所定時間を固定しなくてもよい。例えば車両が駐車場所に駐車された時刻及び次に移動開始される時刻の少なくとも一方に応じて可変としてもよい。具体的には、駐車場所が勤務先であり、且つ、その駐車場所に駐車された時刻が夕方であるとともに次に移動開始される時刻が朝方である場合、車両の運転者は夜勤であったと考えられる。夜勤は日勤よりも疲労しやすいため、第2所定時間をより短く設定して、モード切替条件が成立しやすくしてもよい。
【0026】
メモリ部14は、当該車両の使用者の自宅の位置情報、当該車両の使用者の勤務先の位置情報、上記時間間隔を算出するために必要なイグニッションスイッチがオフとされた時刻を記憶保持する。
【0027】
以上のように構成された車両制御装置1の動作について、図2を参照しつつ説明する。なお、図2は、モード切替部26によって実行されるモード切替処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0028】
図2に示すように、車両制御装置1(詳しくはモード切替部26)は、まず、ステップS1の判断処理を通じて、イグニッションスイッチIGSWがオフとされるまで待機する。すなわち、車両制御装置1は、当該装置1が搭載される車両のエンジンが停止され、駐車されるまで待機する。
【0029】
ここで、イグニッションスイッチIGSWがオフとされると(ステップS1の判断処理で「Yes」)、モード切替部26は、続くステップS2の処理として、イグニッションスイッチIGSWがオフとされた時刻をメモリ部14に記憶保持する。
【0030】
イグニッションスイッチIGSWがオフとされた時刻をメモリ部14に記憶保持すると、次に、モード切替部26は、続くステップS3の判断処理を通じて、イグニッションスイッチIGSWがオンとされ、車両のエンジンが始動されるまで待機する。
【0031】
車両のエンジンが始動されると(ステップS3の判断処理で「Yes」)、モード切替部26は、続くステップS4の処理として、イグニッションスイッチIGSWオフ時からイグニッションスイッチIGSWオン時までの時間間隔を算出し、続くステップS5の処理として、GPS情報取得部11がGPS情報を取得するとともに、位置検出部12が車両の現在地(駐車場所)を特定する。
【0032】
このように駐車場所を特定すると、次に、モード切替部26は、続くステップS6の判断処理として、駐車場所は自宅か否かを判断する。ここで駐車場所が自宅であると判断される場合(ステップS6の判断処理で「Yes」)、モード切替部26は、続くステップS7の判断処理として、先のステップS5において算出した上記時間間隔が第1所定時間より短いか否かを判断する。上記時間間隔が第1所定時間よりも短いと判断される場合(ステップS7の判断処理で「Yes」)、車両の使用者は寝不足な状態にあると考えられるため、モード切替部26は、続くステップS8の処理として、上記安全走行モードにて目的地への経路案内に関する案内音声を出力させる。一方、上記時間間隔が第1所定時間よりも長いと判断される場合(ステップS7の判断処理で「No」)、車両の使用者は寝不足な状態にあると考えられないため、モード切替部26は、続くステップS9の処理として、上記通常モードにて目的地への経路案内に関する案内音声を出力させる。
【0033】
先のステップS6の判断処理において駐車場所は自宅でないと判断される場合(ステップS6の判断処理で「No」)、モード切替部26は、続くステップS10の判断処理として、駐車場所は勤務先であるか否かを判断する。ここで駐車場所が勤務先であると判断される場合(ステップS10の判断処理で「Yes」)、モード切替部26は、続くステップS11の判断処理として、先のステップS5の処理において算出した上記時間間隔が第2所定時間よりも長いか否かを判断する。
【0034】
上記時間間隔が第2所定時間よりも長いと判断される場合(ステップS11の判断処理で「Yes」)、車両の使用者は疲労状態にあると考えられるため、モード切替部26は、続くステップS8の処理として、上記安全走行モードにて目的地への経路案内に関する案内音声を出力させる。一方、上記時間間隔が第2所定時間よりも短いと判断される場合(ステップS11の判断処理で「No」)、あるいは、先のステップS10の判断処理で、駐車場所が勤務先ではないと判断される場合(ステップS10の判断処理で「No」)、続くステップS9の処理として、上記通常モードにて目的地への経路案内に関する案内音声を出力させる。このようにして通常モードあるいは安全走行モードに設定されると、モード切替部26は、モード切替処理を終了する。
【0035】
以上説明した本実施の形態の車両制御装置1では、経路案内部23は、目的地への経路案内に関する案内音声を所定の報知タイミングにて出力させる通常モード、及び、この通常モードよりも報知タイミングが早い安全走行モードを有する。また、モード切替部26は、車両の駐車場所が当該車両の使用者の自宅であり、且つ、車両がその駐車場所で駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が第1所定時間よりも短い場合、車両の運転者は、運転開始時に、十分に睡眠を取れていない睡眠不足な状態にあると考えることができるため、通常モードから安全走行モードに切り換えることとした。また、モード切替部26は、車両の駐車場所が当該車両の使用者の勤務先であり、且つ、車両がその駐車場所で駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が第2所定時間よりも長い場合、車両の運転者は、運転開始時に、かなり疲労している状態にあると考えることができるため、通常モードから安全走行モードに切り換えることとした。これにより、運転開始時の運転者の状態を考慮した上で運転モードを切り換えることで、安全性の向上を図ることができるようになる。
【0036】
なお、本発明に係る車両制御装置は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
【0037】
上記実施の形態では、モード切替条件として、車両の駐車場所が当該車両の使用者の自宅であり、且つ、車両がその駐車場所で駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が第1所定時間よりも短いこと、及び、車両の駐車場所が当該車両の使用者の勤務先であり、且つ、車両がその駐車場所で駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が第2所定時間よりも長いことを双方とも採用していたが、これに限らない。いずれか一方のみを採用することとしてもよい。また、これらモード切替条件にも限らない。要は、当該車両の駐車場所及びその駐車場所に応じた駐車時間に基づたモード切替条件であればよい。こうしたモード切替条件を採用すれば、運転開始時の運転者の状態を考慮した上で適切なタイミングで経路を案内することができるようになる。
【0038】
また、車両の駐車時における運転者が車両の運転開始時に別の運転者と交代することもある。その場合、上記モード切替条件が成立したところで、車両の運転者は、運転開始時に、睡眠不足な状態あるいは疲労した状態にあるとは限らない。そのため、車両制御装置は、車両の運転者を認識する運転者認識部をさらに備え、モード切替部26は、車両の駐車時に運転者認識部によって認識された運転者と、車両の移動開始時に運転者認識部によって認識された運転者とを比較して、運転者が交代したか否かを判定し、交代した旨判定される場合、上記モード切替条件が成立しても、通常モードから安全走行モードへ切り換えず、通常モードを維持することとしてもよい。これにより、運転者が交代した旨判定される場合、モード切替条件が成立しても通常モードを維持するため、適切なタイミングでの経路案内を維持することができるようになる。ちなみに、運転者認識部は、例えばパスワードをメモリ部14に運転者毎に予め登録しておき、運転者がイグニッションスイッチをオン操作するにあたりそのパスワードの入力を求めることで運転者を認識してもよい。他にも、運転者認識部は、例えばバイオメトリクス情報をメモリ部14に運転者毎に予め登録しておき、運転者がイグニッションスイッチをオン操作するにあたり身体的特徴に基づき運転者を認識してもよい。要は、運転者認識部は、運転者を認識することができれば、その認識方法や原理は任意である。
【0039】
また、初めて訪れた場所で車両を運転することは、走り慣れた場所で車両を運転することよりも、運転による疲労が大きい。したがって、経路案内図の拡大表示タイミングや案内音声の出力タイミングを早めに行うことが望ましい。その点、車両制御部20は、車両の走行履歴を記憶保持するメモリ部(記憶保持部)14を備え、モード切替部26は、メモリ部14に記憶保持されている走行履歴に基づいて、車両の駐車場所が初めて走行する場所に含まれるか否かを判定し、初めて走行する場所に含まれる旨判定される場合、切替実行条件が成立していない場合であっても、通常モードから安全走行モードへ切り換えてもよい。これにより、初めて走行する場所に含まれる旨判定される場合には、モード切替条件が成立しなくても安全走行モードに切り換えるため、安全性の更なる向上を図ることができるようになる。
【0040】
また、車両制御部20は、安全走行モードにおいては、車両が蛇行しているか否かを判定し、蛇行していると判定される場合、所定の蛇行防止制御を実行する一方、通常モードにおいては、蛇行しているか否かの判定および蛇行防止制御を実行しないこととしてもよい。これにより、蛇行していると判定される場合、所定の蛇行防止制御を実行するため、安全性の向上を更に図ることができるようになる。なお、こうした蛇行防止制御としては、例えば車両の運転者に音声にて警告したり、当該車両の走行車線を中心とした所定範囲から左右に逸脱しないように当該車両を自動操舵したりしてもよい。これにより、安全性の向上を図ることができるようになる。なお、蛇行しているか否かについての判定方法は任意である。その判定方法として、例えばマップマッチングを含む逐次の自車位置検出によって車両の走行軌跡を算出し、その走行軌跡が当該車両の走行車線を中心とした所定範囲から左右に逸脱している場合、当該車両が蛇行していると判断する方法を採用してもよい。他にも、蛇行しているか否かについての判定方法として、例えばヨーレートセンサの検出値に基づき当該車両が蛇行していると判断する方法を採用してもよい。
【0041】
上記実施の形態では、経路案内部23は、通常モードに設定されている場合、例えば左折すべき交差点の500m手前の地点に達したタイミングで、交差点を左折する旨の案内図を表示部15に拡大出力したり、音声出力部16から案内音声を出力したりする一方、安全走行モードに設定されている場合、例えば左折すべき交差点の800m手前の地点に達したタイミングで、交差点を左折する旨の案内図を表示部15に拡大出力したり、音声出力部16から案内音声を出力したりしていたが、これに限らない。他に例えば、経路案内部23は、通常モードに設定されている場合、例えば左折すべき交差点の500m手前の地点、200m手前の地点、100m手前の地点及び交差点の地点に達したタイミングで、交差点を左折する旨の案内図を表示部15に拡大出力したり、音声出力部16から案内音声を出力したりする一方、安全走行モードに設定されている場合、例えば左折すべき交差点の800m手前の地点、500m手前の地点、300m手前の地点、200m手前の地点、100m手前の地点及び交差点の地点に達したタイミングで、交差点を左折する旨の案内図を表示部15に拡大出力したり、音声出力部16から案内音声を出力したりしてもよい。要は、通常モードよりも報知タイミングを早めるだけでなく、あるいは、早めることに替えて、通常モードよりも報知頻度を高めることとしてもよい。
【0042】
結局のところ、車両の運転開始時に、車両の駐車場所及びその駐車場所に応じた駐車時間に基づく所定のモード切替条件が成立するか否かを判定し、モード切替条件が成立する旨判定される場合、通常モードから、その通常モードよりも安全性の高い制御を行う安全走行モードへ切り換え、その切り換えられたモードに応じた車両制御を行えば、安全性の向上を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る車両制御装置の一実施の形態について、その全体構成を示すブロック図。
【図2】本実施の形態によって実行されるモード切替処理について、その処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0044】
1…車両制御装置(車載ナビゲーション装置)、11…GPS情報取得部、12…位置検出部、13…地図情報格納部、14…メモリ部(記憶保持部)、15…表示部、16…音声出力部、20…車両制御部、21…経路計算部、22…地図データ取得部、23…経路案内部、24…描画部、25…マップマッチング部、26…モード切替部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転開始時に、車両の駐車場所及びその駐車場所に応じた駐車時間に基づく所定のモード切替条件が成立するか否かを判定し、前記モード切替条件が成立する旨判定される場合、通常モードから、その通常モードよりも安全性の高い制御を行う安全走行モードへ切り換えるモード切替部と、
前記モード切替部にて切り換えられたモードに応じた車両制御を行う車両制御部とを備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記車両制御部は、前記通常モードにおいても、また、前記安全走行モードにおいても、経路案内に関する案内音声を出力させるものであり、前記安全走行モードにおいては、前記通常モードよりも前記案内音声を出力させる報知タイミングが早くなっていることを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記車両制御部は、前記安全走行モードにおいては、前記車両が蛇行しているか否かを判定し、蛇行していると判定される場合、所定の蛇行防止制御を実行する一方、前記通常モードにおいては、蛇行しているか否かの判定および蛇行防止制御を実行しないことを特徴とする請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記モード切替部は、前記モード切替条件として、前記車両の駐車場所が当該車両の使用者の自宅であり、且つ、前記車両がその駐車場所に駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が第1所定時間よりも短いことを採用する請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記モード切替部は、前記モード切替条件として、前記車両の駐車場所が当該車両の使用者の勤務先であり、且つ、前記車両がその駐車場所で駐車されてから次に移動開始されるまでの時間間隔が第2所定時間よりも長いことを採用する請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記車両の運転者を認識する運転者認識部を備え、
前記モード切替部は、前記車両の駐車時に前記運転者認識部によって認識された運転者と、前記車両の移動開始時に前記運転者認識部によって認識された運転者とを比較して、運転者が交代したか否かを判定し、交代した旨判定される場合、前記モード切替条件が成立しても、前記通常モードから前記安全走行モードへ切り換えず、前記通常モードを維持することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記車両の走行履歴を記憶保持する記憶保持部を備え、
前記モード切替部は、前記記憶保持部に記憶されている走行履歴に基づいて、前記車両の駐車場所が初めて走行する場所に含まれるか否かを判定し、初めて走行する場所に含まれる旨判定される場合、前記切替実行条件が成立していない場合であっても、前記通常モードから前記安全走行モードへ切り換えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−281832(P2009−281832A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133565(P2008−133565)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】