説明

車両制御装置

【課題】ドライバが安全確認の警告を無視した場合に車両を発進することができないようにする車両制御装置を提供する。
【解決手段】一時停止の必要がある場所では、車両が確実に停止させられるように警告もしくは制御介入を行い、その後、安全確認が実施されるまでアクセルを無効にして車両が発進させられないようにする。これにより、ドライバが安全確認の警告を無視して安全確認を怠っている場合に、車両を発進させることができないようにすることが可能となる。また、ドライバが安全確認を怠っているのにかかわらず車両を発進させようとした場合に、なお車両を発進させようとアクセルペダルを踏み込んでいるような場合には、教育ガイドを行うことで、ドライバに確実に安全確認を行わせる。このような教育ガイドを行うことにより、ドライバに安全確認を習慣付ける教育効果を得ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバの安全確認に応じた車両制御を行うことで、ドライバに確実に安全確認を行わせるようにする車両制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1において、一時停止が必要な場所でドライバへの警告や運転への制御介入を行うことにより、停止すべき位置で確実に車両を停止させるようにする車両制御装置が開示されている。具体的には、車両が一時停止の必要な場所に至ると、ドライバに対して警告を行ったり、車両を停止させる制御を行うことにより、停止すべき位置で確実に車両を停止させられるようにしている。また、特許文献1に示す車両装置では、一時停止が必要な場所において、安全確認すべき方向にドライバが視線を向けたか否かを判定し、安全確認を怠った場合に、ドライバに対して警告を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−63398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の車両制御装置では、安全確認を怠った場合にドライバに対して警告を行っているだけであり、ドライバが安全確認の警告を無視して車両を発進することもできる。このため、事故発生の防止には不十分であり、より事故発生を防止できるようにすることが望まれる。また、ドライバに対する安全確認の警告のみであるため、ドライバに安全確認を習慣付ける教育効果が少ない。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、ドライバが安全確認の警告を無視した場合に車両を発進することができないようにする車両制御装置を提供することを第1の目的とする。
【0006】
また、ドライバに安全確認を習慣付ける教育効果が得られる車両制御装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、一時停止場所判定手段(110にて一時停止が必要な場所であると判定されると、車両停止処理手段(120)で車両を停止させることの警告もしくは車両を停止させる制御を行う停止処理を実行し、車両停止処理手段(120)による停止処理が行われたのち、車両停止判定手段(130)にて車両が停止したか否かを判定する。また、車両停止判定手段(130)で車両が停止したと判定されると、安全確認警告手段(150)にてドライバに対して安全確認を促す警告を行い、この警告と共に、アクセル無効処理手段(210)にてアクセルを無効にする処理を行い、車両の停止状態を維持する。そして、アクセル無効手段(210)にてアクセルを無効にする処理が行われたあと、安全確認判定手段(220、275)によりドライバによる安全確認が行われたか否かを判定し、安全確認判定手段(220、275)にてドライバによる安全確認が行われたと判定されると、アクセル有効処理手段(270)にてアクセルを有効にする処理を行うことを特徴としている。
【0008】
このように、一時停止の必要がある場所では、車両が確実に停止させられるように警告もしくは制御介入を行い、その後、安全確認が実施されるまでアクセルを無効にして車両が発進させられないようにしている。このため、ドライバが安全確認の警告を無視して安全確認を怠っている場合に、車両を発進させることができないようにすることが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、安全確認判定手段(220、275)にてドライバによる安全確認が行われていないと判定されると、安全確認に関する教育ガイドを行わせる教育ガイド出力手段(240)を備えていることを特徴としている。
【0010】
また、ドライバが安全確認を怠っているのにかかわらず車両を発進させようとした場合に、なお車両を発進させようとアクセルペダルを踏み込んでいるような場合には、教育ガイドを行うことで、ドライバに確実に安全確認を行わせることが可能となる。このような教育ガイドを行うことにより、ドライバに安全確認を習慣付ける教育効果を得ることが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、安全確認判定手段(220、275)の判定結果に基づいて、ドライバによる安全確認が行われたか否かを履歴として記憶させておく履歴記憶手段(235、265、285、290)と、履歴記憶手段(235、265、285、290)に記憶された履歴に基づいて、アクセル無効処理手段(210)によるアクセルを無効にする処理を実行するべきか否かを判定する実行判定手段(205)とを備え、実行判定手段(205)にてアクセルを無効にする処理を実行するべきと判定されると、アクセル無効処理手段(210)によりアクセルを無効にすることを特徴としている。
【0012】
このように、安全確認の警告を行った場合に、安全確認の警告に無視してアクセルペダルを踏み込んだか、それともその警告に従って安全確認を行ったかを履歴として残すようにしている。そして、その履歴に基づいてアクセルを無効にすべきか否かを判定することで、警告を無視した頻度に応じてアクセルを無効にするか否かを変更することができる。これにより、安全確認の警告を無視するたびに毎回アクセルを無効にせず、警告を無視した頻度が高い場合にのみアクセルを無効にすることが可能となる。したがって、ドライバに対して煩わしさを与えることを軽減できる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、アクセル有効処理手段(270)は、アクセル操作が為されているか否かを判定するアクセル操作判定手段(270a)を備え、該アクセル操作判定手段(270a)にてアクセル操作が為されていないと判定されたときにアクセルを有効にする処理を行うことを特徴としている。
【0014】
このように、アクセルを有効にする際に、それに先立ってアクセルペダルが踏み込まれていないことを確認するようにしている。これにより、ドライバによる安全確認の実施が確認されたときに既にアクセルペダルが踏み込まれた状態になっていても、車両が急発進してしまわないように、アクセルペダルが離されてからアクセルを有効にすることができる。これにより、車両が急発進することを防止することが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明では、アクセル無効処理手段(210)にてアクセルを無効にする処理が行われている期間中、ブレーキランプを点灯させるブレーキランプ点灯手段を備えていることを特徴としている。
【0016】
このように、ブレーキランプを点灯させることにより、後続車に対して、アクセルが無効になっている期間中、まだ車両が発進せず停止していることを知らせることが可能となる。
【0017】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる車両制御装置を含む車両制御システムの全体構成を示したブロック図である。
【図2】車両制御処理の全体を表したフローチャートである。
【図3】前提処理の詳細を示したフローチャートである。
【図4】走行制御処理の詳細を示したフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる車両制御装置を含む車両制御システムの全体構成を示したブロック図である。
【図6】教育ガイド出力処理の詳細を示したフローチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態で説明する走行制御処理の詳細を示したフローチャートである。
【図8】本発明の第4実施形態で説明するアクセルを有効にするための処理の詳細を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0020】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる車両制御装置を含む車両制御システムの全体構成を示したブロック図である。以下、この図を参照して車両制御装置の詳細について説明する。
【0021】
図1に示す車両制御システムは、マイコン1、アクセルペダルセンサ2、ナビゲーションシステム3、ドライバセンサ4、車速センサ5、スピーカ6、ディスプレイ7およびエンジンECU(電子制御装置)8を有して構成されている。この車両制御システムは、アクセルペダルセンサ2、ナビゲーションシステム3、ドライバセンサ4、車速センサ5から伝えられる信号に基づいてマイコン1がスピーカ6、ディスプレイ7およびエンジンECU8を制御することにより、一時停止の必要がある場所での車両制御やドライバの安全確認に対応する車両制御を行う。
【0022】
マイコン1は、本発明における車両制御装置に相当するものであり、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータであり、ROMなどに記憶されたプログラムに基づいて車両制御処理を実行する。例えば、マイコン1は、アクセルペダルセンサ2、ナビゲーションシステム3、ドライバセンサ4、車速センサ5から伝えられる信号に基づいて各種演算を行うことで、一時停止する必要がある場所であるか否かの判定やドライバの安全確認の状況を把握する。そして、マイコン1は、スピーカ6やディスプレイ7を用いて安全確認を促したり、エンジンECU8に制御信号を出力することで、スロットルバルブ8aを制御するなどの車両制御を行う。この車両制御の詳細については後述する。
【0023】
アクセルペダルセンサ2は、ドライバによる図示しないアクセルペダルの操作状態を検出するものであり、アクセルペダルの操作量に応じた出力を発生させる。このアクセルペダルセンサ2の検出信号がマイコン1に伝えられることで、マイコン1でアクセルペダルの操作状態が把握できるようになっている。
【0024】
ナビゲーションシステム3は、位置検出器や地図情報を記憶しているデータベースなどを有している。位置検出器は、地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機などによって構成され、自車両の現在位置を正確に検出する。ナビゲーションシステム3は、この位置検出器で検出される自車両の現在位置とデータベースに記憶されている地図情報をマイコン1に出力している。このため、マイコン1では、自車両の現在位置と地図情報とに基づいて、現在の車両の位置が一時停止の必要がある場所であるか否かを判定したり、一時停止の必要である場所であると判定した場合の安全確認の方法の選択を行ったりしている。
【0025】
なお、ここではマイコン1で現在の車両の位置が一時停止の必要がある場所であるか否かの判定や安全確認の方法の選択を行う場合について説明したが、それらをナビゲーションシステム3で行い、その判定結果や選択結果をマイコン1に出力するという形態としても構わない。この場合、ナビゲーションシステム3のうちこのような処理を行う部分も、本発明でいう車両制御装置の一部を構成することになる。
【0026】
ドライバカメラ4は、ドライバの様子を確認するものであり、ドライバカメラ4の撮影データがマイコン1に出力されるようになっている。このドライバカメラ4からの撮影データに基づいて、マイコン1はドライバの安全確認の実施の有無を判定している。例えば、撮影データからドライバの視線を検出し、視線の方向を確認することにより、ドライバが安全確認したか否かを判定している。右左右を順に確認する左右確認を行うような場合には、マイコン1は、ドライバの視線が車両右前方の所定範囲に入った後、車両左前方の所定範囲に入り、続いて車両右前方の所定範囲に入ったことが確認されれば、左右確認による安全確認が実施されたと判定している。
【0027】
車速センサ5は、車速を検出し、その検出信号をマイコン1に出力している。この車速センサ5からの検出信号に基づいて、マイコン1は車速を求め、車両が停止しているか否かの判定などを行う。なお、ここでは車速センサ5の検出信号がマイコン1に入力されるようにしているが、メータECU等では車速センサ5の検出信号から求めた車速もしくは車輪速度センサの検出信号に基づいて演算した車速(推定車体速度)の情報を扱っているため、メータECUから車速に関する情報がマイコン1に伝えられるようにしても良い。
【0028】
スピーカ6は、音声によってドライバに対する警告を行うものである。マイコン1から安全確認を行うための制御信号が伝えられると、スピーカ6にてその制御信号に対応する音声を出力することでドライバに所望の安全確認を行わせる旨の警告を行い、安全確認を促す。
【0029】
ディスプレイ7は、視覚的にドライバに対する警告を行うものである。マイコン1から安全確認を行うための制御信号が伝えられると、ディスプレイ7にてその制御信号に対応する画面表示を行うことでドライバに所望の安全確認を行わせる旨の警告を行い、安全確認を促す。
【0030】
エンジンECU8は、エンジン制御装置に相当するものであり、エンジン制御を実行している。本実施形態では、エンジンECU8は、マイコン1からの制御信号に基づくエンジン制御も実行しており、マイコン1からアクセルを無効にすることを示す制御信号が伝えられると、アクセルペダルが操作されていても、その操作に伴うスロットルバルブ8aの開度調整を行わないようにし、アクセルが無効になるようにしている。なお、エンジンECU8では、アクセルペダルの操作量も常時検出しているため、上述したアクセルペダルセンサ2の検出信号がマイコン1に伝えられるようにするのではなく、エンジンECU8で取り扱われているアクセルペダルの操作量に関する情報がマイコン1に伝えられるようにしても良い。
【0031】
以上のような構造により、本実施形態にかかる車両制御システムが構成されている。次に、このように構成された車両制御システムによる車両制御処理の詳細について説明する。図2は車両制御処理の全体を表したフローチャートであり、図3および図4は、図2に示す各処理の詳細を示すフローチャートである。
【0032】
まず、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替えられてマイコン1への電源投入が行なわれると、マイコン1は、初期化処理などを行ったのち、図2に示す車両制御処理を実行する。本処理は、予め決められた制御周期毎に実行される。
【0033】
図2に示すステップ100では、前提処理を実行する。ここでいう前提処理とは、一時停止が必要な場所において車両を停止させ、ドライバに対して安全確認を行わせるための処理である。図3は、この前提処理の詳細を示したフローチャートである。
【0034】
前提処理では、図3に示す各処理が実行される。ステップ110では、一時停止が必要な場所であるか否かを判定する。一時停止が必要な場所であるか否かについては、上述したようにナビゲーションシステム3から伝えられる自車両の現在位置と地図情報とに基づいて判定している。
【0035】
続くステップ120では、停止処理を実行する。ここでいう停止処理とは、一旦停止が必要な場所において車両を停止させるための制御を実行するものである。例えば、マイコン1からスピーカ6やディスプレイ7に制御信号を出力することにより、もう直ぐ一時停止が必要である場所であることを音声や画面表示によってドライバに警告している。また、本実施形態では車両制御システムとしてブレーキ制御を行うためのブレーキECUを含めていないが、ブレーキECUが含まれているような場合であれば、ブレーキ制御により、車両を一時停止の停止位置で停止させるという制御介入を行うことも可能である。
【0036】
そして、ステップ130に進み車両が停止したか否かを判定する。例えば、マイコン1に入力される車速センサ5の検出信号に基づいて車両の停止を判定しており、車速が0であれば車両が停止したと判定している。ただし、車両の停止については、車速センサ5の検出信号とは異なる手法によって判定するようにしても良く、例えば車速が所定速度以下のときにブレーキの踏み込み量が所定の閾値以上であれば車両が停止していると想定し、車両が停止していると判定しても良い。ここで肯定判定されればステップ140に進み、否定判定されればステップ120に戻って停止処理を繰り返す。これにより、確実に車両を停止させることが可能となる。
【0037】
ステップ140では、安全確認の実施の有無、つまり安全確認したか否かを判定する。上述したように、安全確認の有無についてはマイコン1に入力されるドライバカメラ4の撮影データに基づいて行われる。安全確認の方法は、ナビゲーションシステム3からの地図データに基づいて選択され、例えば十字路での一時停止であれば安全確認の方法として左右確認が選択される。そして、選択された安全確認の方法に則した安全確認が行われれば肯定判定されてステップ110に戻って上記各処理が繰り返され、安全確認が行われておらず否定判定されるとステップ150に進む。そして、ステップ150に進み、マイコン1からスピーカ6やディスプレイ7に制御信号を出力することにより、安全確認を行わせるための警告を行う。安全確認を促すだけの警告であっても構わないし、「左右確認を行って下さい」などのように、具体的な安全確認の手法が分かるような警告であっても良い。
【0038】
このようにして、図2のステップ100に示した前提処理が終了となる。そして、前提処理が終了すると、ステップ200に進んで走行制御処理を実行する。図4は、この走行制御処理の詳細を示したフローチャートである。
【0039】
まず、図4のステップ210では、アクセルを無効にして車両の停止を維持する処理を行う。走行制御処理が実行されるのは、図2のステップ100で示した前提処理においてドライバが安全確認を行っていない場合である。このため、ステップ210では、安全確認を行っていない場合に、ドライバが車両を発進させようとしても発進させられないようにして車両の停止が維持されるようにすべく、アクセルを無効にする。すなわち、アクセルペダルが操作されていても、その操作に伴うスロットルバルブ8aの開度調整を行わないようにすることで、アクセルを無効にする。これにより、車両が発進しないようにすることが可能となる。
【0040】
次に、ステップ220に進み、安全確認したか否かを判定する。この判定は、図3のステップ140と同様の手法によって行われる。そして、安全確認がされていなければステップ220に進んでステップ220〜260の各処理を実行し、安全確認がされていればステップ270に進む。
【0041】
ステップ230では、アクセルペダルを踏み込んだか否かを判定する。アクセルペダルの踏み込みは、アクセルペダルセンサ2の検出信号に基づいて判定される。ここで肯定判定される場合とは、安全確認を怠っているのにアクセルペダルを踏み込んで車両を発進させようとしている場合であるため、この場合にはステップ240に進んで教育ガイド出力処理を行う。教育ガイド出力処理では、安全確認の教育ガイドを音声や画面表示にて行うことで、ドライバに安全確認について教育する。例えば一時停止する場所の状況に応じた場面ごとの安全確認の手法について、自動車運転免許教習所での教育内容と同様の内容を案内すると共に、その必要性について案内する。教育ガイドの内容についてはマイコン1のROM等のメモリに場面毎に記憶してある。このため、マイコン1は、選択された安全確認の手法に対応する場面の教育ガイドをメモリから読み出したのち、読み出した内容と対応する制御信号をスピーカ6やディスプレイ7に出力することで、教育ガイドを音声や画面表示にて行うことができる。
【0042】
その後、ステップ250に進み、ガイドが終了したか否かを判定する。ガイドが終了したことは、ガイド開始から読み出した教育ガイドの所用時間が経過したことを判定することにより行われ、教育ガイドの所用時間は教育ガイドの内容と共にマイコン1のROM等のメモリに記憶してある。そして、ガイドが終了したことが確認されると、ステップ260に進んで再びステップ140と同様の手法によって安全確認したか否かを判定し、安全確認するまで待つ。ここで安全確認がなされると、ステップ270に進む。
【0043】
ステップ270では、アクセルを有効にする。すなわち、ステップ210においてアクセルを無効にしていることから、アクセルを有効に戻す。これにより、アクセルペダルの操作状況に応じてエンジンECU8がスロットルバルブ8aを制御することになるため、ドライバは車両を発進させることが可能となる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両制御システムによれば、一時停止の必要がある場所では、車両が確実に停止させられるように警告もしくは制御介入を行い、その後、安全確認が実施されるまでアクセルを無効にして車両が発進させられないようにしている。このため、ドライバが安全確認の警告を無視して安全確認を怠っている場合に、車両を発進させることができないようにすることが可能となる。
【0045】
また、ドライバが安全確認を怠っているのにかかわらず車両を発進させようとした場合に、なお車両を発進させようとアクセルペダルを踏み込んでいるような場合には、教育ガイドを行うことで、ドライバに確実に安全確認を行わせることが可能となる。このような教育ガイドを行うことにより、ドライバに安全確認を習慣付ける教育効果を得ることが可能となる。
【0046】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して後続車の有無に対応した教育ガイドが行えるように、車両制御システムの構成や教育ガイドの出力方法を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0047】
図5は、本実施形態にかかる車両制御装置を含む車両制御システムの全体構成を示したブロック図である。この図に示すように、本実施形態にかかる車両制御システムには、後続車センサ9が備えられている。後続車センサ9は、例えば、車両後方を映し出すカメラやレーザレーダ、超音波ソナーなどで構成される。後続車センサ9の画像データもしくは検出信号がマイコン1に入力されるようになっており、マイコン1で後続車の有無を把握できるようにされている。
【0048】
このような車両制御システムでも、マイコン1により、第1実施形態と同様の車両制御処理が実行されるが、図4のステップ240に示した教育ガイド出力処理についてのみ、その処理方法が異なっている。
【0049】
図6は、本実施形態の教育ガイド出力処理の詳細を示したフローチャートである。この図に示されるように、教育ガイド出力処理が開始されると、ステップ240aにおいて後続車がいるか否かを判定する。後続車がいるか否かは、マイコン1が入力された後続車センサ9からの画像データもしくは検出信号に基づいて判定する。ここで否定判定されればステップ240bに進み、肯定判定されればステップ240cに進む。
【0050】
教育ガイドが行われる場合、教育ガイドの期間中車両を発進できなくなる。このため、後続車がいる場合に、教育ガイドが長いと後続車に迷惑が掛かることになり、後続車のドライバに不快感を与えかねない。このため、マイコン1のROM等のメモリに、場面毎に対応する教育ガイドの内容を後続車有りの場合の内容と後続車無しの場合の二種類記憶しておき、後続車の有無に応じて、教育ガイドの内容を変更し、時間的に長い教育ガイドが出力される場合と短い教育ガイドが出力される場合とに分けるようにする。したがって、ステップ240bでは時間的に長い教育ガイドが出力されるようにし、ステップ240cでは時間的に短いガイドが出力されるようにする。
【0051】
このように、後続車の有無に応じて、教育ガイドの内容、つまり時間的に長さが異なる教育ガイドを出力するようにすることで、後続車への迷惑を軽減することが可能となる。
【0052】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して走行制御処理を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
上記したように、第1実施形態では、走行制御処理が実行されたときにはすべての場合に一旦はアクセルを無効にするようにしている。しかしながら、ドライバが安全確認の警告を無視した頻度に応じてアクセルを無効にするか否かを得るようにしても良い。すなわち、ドライバが安全確認の警告を無視したときに、毎回、教育ガイドが音声や画面表示で流されると、ドライバにとっては煩わしさを与えることになる。このため、ドライバが安全確認の警告を無視した場合と警告に従った場合とを履歴として残しておき、警告を無視した頻度に応じてアクセルを無効にするか否かを変更する。
【0054】
図7は、本実施形態の車両制御システムにおけるマイコン1が実行する走行制御処理の詳細を示したフローチャートである。なお、走行制御処理の基本的な内容については第1実施形態の図4で示したものと同様であるため、同じ内容については図4と同様の符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0055】
まず、ステップ205では、アクセルを無効にすべきか否かを判定する。ここでは、マイコン1のRAM等のメモリに記憶された安全確認の警告を無視したか、警告に従ったかの履歴に基づいてアクセルを無効にすべき状況であるか否かを判定している。具体的には、後述するステップ235、265、285、290での記憶内容に応じた履歴が残されるため、その履歴から、安全確認の警告を連続で複数回(例えば5回)無視した場合や所定回数のうちの一定数(例えば10回中5回)無視した場合に、アクセルを無効にすべき状況であると判定している。
【0056】
ここで肯定判定されれば、第1実施形態と同様にステップ210〜270の処理を実行する。ただし、ステップ230で肯定判定されると、ステップ235に進んで警告無視を登録してからステップ240に進むようにし、ステップ220で肯定判定されたらステップ265で警告に従ったことを登録してからステップ270に進むようにしている。このようにして、アクセルを無効にした場合に、さらに安全確認したか否かを履歴として残すことができる。
【0057】
一方、ステップ205で否定判定されると、ステップ275に進み、図3のステップ140と同様の手法により、アクセルを無効にしない場合でも安全確認を行ったか否かを判定する。そして、安全確認を行っていない場合にはステップ280に進み、ステップ230と同様の手法によってアクセルを踏んだか否かを判定する。ここで肯定判定されるとステップ285に進んで警告無視を登録して処理を終了する。また、ステップ275で肯定判定されるとステップ290に進んで警告に従ったことを登録して処理を終了する。このようにして、アクセルを無効にしなかった場合にも、安全確認したか否かを履歴として残すことができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態では、安全確認の警告を行った場合に、安全確認の警告に無視してアクセルペダルを踏み込んだか、それともその警告に従って安全確認を行ったかを履歴として残すようにしている。そして、その履歴に基づいてアクセルを無効にすべきか否かを判定することで、警告を無視した頻度に応じてアクセルを無効にするか否かを変更することができる。これにより、安全確認の警告を無視するたびに毎回アクセルを無効にせず、警告を無視した頻度が高い場合にのみアクセルを無効にすることが可能となる。したがって、ドライバに対して煩わしさを与えることを軽減できる。
【0059】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して走行制御処理においてアクセルを有効に戻す際の処理を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0060】
、第1実施形態では、図4のステップ270に示したように、ドライバが安全確認を行うとアクセルを有効に戻すようにしている。しかしながら、ドライバによる安全確認の実施が確認されたときに既にアクセルペダルが踏み込まれた状態になっていると、車両が急発進してしまう可能性がある。このため、アクセルを有効にする際に車両が急発進しないようにするための処理を行う。なお、本実施形態では、図4のステップ270に代えて、アクセルを有効にするための処理を行うものである。
【0061】
図8は、本実施形態のアクセルを有効にするための処理の詳細を示したフローチャートである。この図に示されるように、本処理が実行されると、ステップ270aにおいてアクセルペダルを踏んでいるか否か、つまりアクセル操作が為されているか否かを判定する。この判定は、アクセルペダルセンサ2の検出信号に基づいて行われる。そして、アクセルペダルが踏まれていればステップ270bに進み、アクセルペダルから足を離すように音声で注意して再びステップ270aに戻る。そして、ステップ270aでアクセルペダルを踏んでいないと判定されると、ステップ270cに進み、アクセルを有効にする。
【0062】
このように、アクセルを有効にする際に、それに先立ってアクセルペダルが踏み込まれていないことを確認するようにしている。これにより、ドライバによる安全確認の実施が確認されたときに既にアクセルペダルが踏み込まれた状態になっていても、車両が急発進してしまわないように、アクセルペダルが離されてからアクセルを有効にすることができる。これにより、車両が急発進することを防止することが可能となる。
【0063】
(他の実施形態)
上記第2〜第4実施形態では、第1実施形態に対する変更について説明したが、各実施形態それぞれを組み合わせて実施することも可能である。例えば、第2実施形態のように後続車の有無に応じて教育ガイドの長さを変更するものを第3、第4実施形態に対して適用することもできる。また、第3実施形態のように安全確認の警告を無視したか警告に従ったかの履歴に基づいて、アクセルを無効にすべきか否かを変更するものを第4実施形態に対して適用することもできる。
【0064】
また、上記各実施形態において、アクセルを無効にする際には、その期間中、ブレーキペダルが踏み込まれていなくても、ブレーキランプを点灯させるようにすることもできる。このようにすれば、後続車に対して、アクセルが無効になっている期間中、まだ車両が発進せず停止していることを知らせることが可能となる。
【0065】
なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。具体的には、マイコン1のうちステップ110に示す処理を実行する部分が一時停止場所判定手段、ステップ120に示す処理を実行する部分が車両停止処理手段、ステップ130に示す処理を実行する部分が車両停止判定手段、ステップ150に示す処理を実行する部分が安全確認警告手段、ステップ205に示す処理を実行する部分が実行判定手段、ステップ210に示す処理を実行する部分がアクセル無効処理手段、ステップ220、275に示す処理を実行する部分が安全確認判定手段、ステップ270に示す処理を実行する部分がアクセル有効処理手段、ステップ240に示す処理を実行する部分が教育ガイド出力手段、ステップ235、265、285、290に示す処理を実行する部分が履歴記憶手段、ステップ270aに示す処理を実行する部分がアクセル操作判定手段に相当する。また、図示していないが、マイコン1のうちアクセルを無効にする処理が行われている期間中、ブレーキランプを点灯させる処理を行う部分がブレーキランプ点灯手段に相当する。
【符号の説明】
【0066】
1 マイコン
2 アクセルペダルセンサ
3 ナビゲーションシステム
4 ドライバカメラ
5 車速センサ
6 スピーカ
7 ディスプレイ
8 エンジンECU
8a スロットルバルブ
9 後続車センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一時停止が必要な場所であるか否かを判定する一時停止場所判定手段(110)と、
前記一時停止判定手段(110)にて一時停止が必要な場所であると判定されると、車両を停止させることの警告もしくは車両を停止させる制御を行う停止処理を実行する車両停止処理手段(120)と、
前記車両停止処理手段(120)による停止処理が行われたのち、車両が停止したか否かを判定する車両停止判定手段(130)と、
前記車両停止判定手段(130)にて前記車両が停止したと判定されたのち、ドライバに対して安全確認を促す警告を行う安全確認警告手段(150)と、
前記安全確認警告手段(150)による警告と共に、アクセルを無効にする処理を行い、前記車両の停止状態を維持するアクセル無効処理手段(210)と、
前記アクセル無効手段(210)にて前記アクセルを無効にする処理が行われたあと、前記ドライバによる安全確認が行われたか否かを判定する安全確認判定手段(220、275)と、
前記安全確認判定手段(220、275)にて前記ドライバによる安全確認が行われたと判定されると、前記アクセルを有効にする処理を行うアクセル有効処理手段(270)と、を備えていることを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記安全確認判定手段(220、275)にて前記ドライバによる安全確認が行われていないと判定されると、安全確認に関する教育ガイドを行わせる教育ガイド出力手段(240)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記安全確認判定手段(220、275)の判定結果に基づいて、前記ドライバによる安全確認が行われたか否かを履歴として記憶させておく履歴記憶手段(235、265、285、290)と、
前記履歴記憶手段(235、265、285、290)に記憶された前記履歴に基づいて、前記アクセル無効処理手段(210)による前記アクセルを無効にする処理を実行するべきか否かを判定する実行判定手段(205)とを備え、
前記実行判定手段(205)にて前記アクセルを無効にする処理を実行するべきと判定されると、前記アクセル無効処理手段(210)による前記アクセルを無効にすることを特徴とする請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記アクセル有効処理手段(270)は、アクセル操作が為されているか否かを判定するアクセル操作判定手段(270a)を備え、該アクセル操作判定手段(270a)にてアクセル操作が為されていないと判定されたときに前記アクセルを有効にする処理を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記アクセル無効処理手段(210)にて前記アクセルを無効にする処理が行われている期間中、ブレーキランプを点灯させるブレーキランプ点灯手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載を車両制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−198731(P2012−198731A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61861(P2011−61861)
【出願日】平成23年3月21日(2011.3.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】