説明

車両制御装置

【課題】生体情報を生成可能な装置において、使用者一人一人の状況に応じた生体情報を生成すること。
【解決手段】生体情報生成処理では、医療情報を取得し(S130:YES)、その医療情報中の治療予定時刻に基づいて、治療予定時刻の前後の一定時間内での計測間隔が短い間隔となるように計測タイミングを設定する(S140)。そして、計測タイミングとなると、全種類の生体信号を計測して(S170)、それらの計測された生体信号それぞれ、及び血圧、心拍数を生体情報として生成し(S190)、今回の生体情報と前回の生体情報との差分(即ち、生体情報変化量)を算出する(S200)。その算出した生体情報変化量に基づいて、運転者の体調(S220)や治療内容が実行されたか否か(S270)を判定し、生体情報と体調判定結果と治療実行判定結果とを送信情報として医療機関設置装置群に送信する(S300)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を制御する車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両を運転する運転者の心拍数や血圧を生体情報として取得し、その取得した生体情報に基づいて、運転者の体調を判定する体調判定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の体調判定装置の中には、取得した生体情報そのものや、運転者の体調の判定結果を、医療機関に設置された情報処理装置に送信して、車両内で取得した生体情報や体調の判定結果を医療行為に用いるようになされたものが提案されている。
【0004】
このように、車両内で取得した生体情報や体調の判定結果を医療行為に用いるための体調判定装置では、生体情報を取得するタイミングとして、運転者が着座した後、運転が開始されるまでの期間内(例えば、特許文献2参照)や、通勤経路の走行中(例えば、特許文献3参照)が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−242945号公報
【特許文献2】特開2005−168908号公報
【特許文献3】特開2006−302206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため、従来の体調判定装置から、医療機関に設置された情報処理装置に収集される生体情報は、予め規定されたタイミングのみで取得されたものとなる。これにより、医師等の医療関係者は、生体情報を取得した時の状況の一つとして、その生体情報を取得したタイミングについては把握可能であるものの、例えば、運転前に薬を服用している可能性や、運転前に運動していた可能性等の使用者の行動を把握することはできなかった。
【0007】
したがって、従来の体調判定装置によって取得された生体情報は、その取得したタイミング以外の状況が不明確であり、医療機関に設置された情報処理装置に収集されたとしても、それらの収集された生体情報等に基づいて、医療行為を正確に行うことが困難であるという問題があった。
【0008】
つまり、従来の体調判定装置では、使用者一人一人の状況に応じた情報の取得が行われていないという問題があった。
そこで、本発明は、車両に搭載される装置において、使用者一人一人の状況に応じた情報を取得し制御を実行可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車両制御装置である。
つまり、車両の走行状態を制御する発明装置は、車両の乗員が患者として医療行為を受けた医療機関にて生成され、医療行為に関連する情報を医療情報とし、その医療情報を医療情報取得手段が取得すると、少なくとも、その取得した医療情報に基づいて、車両制御手段が、車両の操縦に影響を及ぼす可能性である操縦影響力が予め設定された設定値以上であるか否かを判定し、操縦影響力が設定値以上であれば、走行時の危険を低下させるように車両を制御するように構成されている。
【0010】
したがって、発明装置では、乗員毎に生成された医療情報に基づいた操縦影響力が設定値以上であれば、走行時の危険が低下するように車両を制御する。
これにより、本発明の車両制御装置では、乗員一人一人の状況に応じた車両の制御を実行できる。特に、本発明の車両制御装置によれば、乗員が医療機関にて医療行為を受ける等、乗員が疾病を有している場合に、乗員が健康な状態の時に比べて、危険がより低下、即ち、より安全に車両を走行させることができる。
【0011】
ところで、例えば、車両の乗員が医療機関にて点滴を受けたような場合には、車両の乗員は、点滴を受ける必要があるほど体調が悪いと言える。このような場合、乗員は、乗員の体調が正常な(即ち、良い)時に比べて、車両を走行させるために必要な判断能力等が低下している可能性が高く、通常の運転時に比べて、より安全に車両を運転することが求められる。
【0012】
このため、本発明における車両制御手段は、複数の項目についての情報が含まれ、医療情報取得手段で取得された医療情報の中に、車両の操縦に影響を及ぼす可能性のある治療に関する強影響力治療情報が含まれているか否かを解析し、解析の結果、強影響力治療情報が含まれている場合、操縦影響力が設定値以上であるものとするように構成されていることが望ましい。
【0013】
なお、ここで言う強影響力治療情報とは、医療機関にて点滴を受けたことや、正常な体調の時に比べて著しく体調が悪いと医療機関にて診察されたこと等、車両の操縦に影響を及ぼす可能性のある診察(診断)を医療機関にてなされた旨を含むものである。
【0014】
また、例えば、乗員が、副作用として覚醒度が低下する可能性が高い薬(以下、大副作用薬と称す)を服用するように指示を受け、その大副作用薬を車両を運転する直前や、運転中に服用した場合、乗員は、車両の運転中に覚醒度が低下する可能性があり、通常の運転時に比べて、より安全に車両を運転することが求められる。
【0015】
このため、本発明の装置は、生体情報生成手段が、予め規定された規定間隔で、車両の乗員から検出される生体信号に基づき、乗員の状態を表す生体情報を生成し、その生成した生体情報を、生体情報蓄積制御手段が記憶部に蓄積する。そして、車両制御手段では、変化量導出手段が、記憶部に記憶され、かつ異なるタイミングで生成した生体情報から、それらの生体情報の変化量を導出すると共に、治療実行判定手段が、変化量導出手段で導出された変化量が、車両の操縦に影響を及ぼす可能性のある治療が実行された時に変化すべき生体情報の基準変動量以上であるか否かを判定することで、強影響力治療が実行されたか否かを判定し、判定の結果、強影響力治療が実行された場合、操縦影響力が設定値以上であるものとするように構成されていることが望ましい。
【0016】
ところで、乗員が大副作用薬を服用したとしても、車両の運転中に乗員の覚醒度が低下しない可能性もあり、覚醒度が低下しなかった場合に、危険が低下するように車両を制御すると、交通の妨げとなる可能性がある。
【0017】
このため、車両制御装置は、実際に車両を操縦している乗員の操縦影響力を推定して、その推定した操縦影響力が設定値以上である場合に、危険を低下させるように車両を制御するように構成されることが望ましい。
【0018】
ただし、このように構成された車両制御装置であっても、乗員が大副作用薬を服用した場合には、車両の走行時の危険をより確実に低下させることが求められる。このため、乗員が大副作用薬を服用した場合、車両を操縦中の乗員の操縦影響力は、通常の運転時に比べて、より覚醒度が低下したものとして推定されることが望ましい。
【0019】
つまり、本発明における車両制御手段では、状況推定手段が、生体情報生成手段で生成した生体情報が、設定された判定閾値以上であるか否かを判定することで、操縦影響力を推定するように構成された上で、閾値設定手段が、変化量が基準変動量以上であるか否かを判定することで、強影響力治療が実行されたか否かを判定し、その判定の結果、強影響力治療が実行された場合、強影響力治療が実行されていない時の操縦影響力に比べて、操縦影響力が大きくなるように、判定閾値を設定するように構成されていることが望ましい。
【0020】
なお、ここで言う強影響力治療とは、副作用として覚醒度が低下する可能性が高い薬や、副作用として貧血を引き起こす可能性が高い薬等、車両の操縦に影響を及ぼす可能性のある薬の服用するように指示されることを含むものである。
【0021】
なお、本発明における生体情報とは、乗員の眼球運動、瞬き、心拍変動、血圧、脈波、顔面画像、脈波伝播時間のうち、少なくとも一つであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】生体情報管理システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】車両内における計測装置の配置を示す説明図である。
【図3】ステアリングに設置された計測装置を示す説明図である。
【図4】第一実施形態における生体情報生成処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図5】第二実施形態における生体情報生成処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図6】第三実施形態における車両制御処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図7】第一、及び第二実施形態における判定結果を模式的に例示した説明図である。
【図8】第三実施形態における生体情報管理システムの概略構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第一実施形態]
図1は、本発明が適用された生体情報管理システムの全体構成、及び生体情報管理システムを構成する各装置の概略構成を示したブロック図である。
【0024】
なお、生体情報管理システム1は、医療機関にて、医師や歯科医師ら(以下、医療関係者)の診察や処置を受けた自動車の乗員(即ち、患者)から、その乗員の心身の状態を表す生体情報を収集すると共に、収集した生体情報を該当する乗員に対する医療行為に用いるためのものである。
【0025】
その生体情報管理システム1は、運転者の体調を判定するために、運転者から生体信号を計測して生体情報を生成するように、少なくとも一台の車両に搭載された車載装置5と、車載装置5にて生成した生体情報を収集するように、医療機関に設置された医療機関設置装置群60とからなる。
〈生体情報管理システムの構成〉
そして、医療機関設置装置群60は、図1に示すように、各種情報を入力するための入力機器66と、通信回線を介して車載装置5との間で情報通信を行う通信機器65と、情報(即ち、データ)を記憶する記憶機器61とを備えている。さらに、医療機関設置装置群60は、情報を音声にて出力する音声出力機器62と、情報を映像にて表示する表示機器63と、記憶媒体にデータを書き込むためのデータ書込機器64と、入力機器66にて入力された情報や通信機器65にて受信した情報に従って、当該医療機関設置装置群60を構成する各機器(即ち、記憶機器61、音声出力機器62、表示機器63、データ書込機器64、通信機器65)を制御する制御機器70とを備えている。
【0026】
このうち、入力機器66は、マウスやキーボード等の周知の外部入力装置からなり、各種情報を制御機器70に入力するため、制御機器70に接続されている。
また、表示機器63は、液晶ディスプレイ等の周知の表示デバイスからなり、制御機器70から出力される信号に従って画像を表示するように制御機器70に接続されている。さらに、音声出力機器62は、制御機器70からの信号に従って音声を出力するスピーカーからなり、制御機器70に接続されている。
【0027】
そして、記憶機器61は、ハードディスクドライブやフラッシュEEPROM等(即ち、書き換え可能な不揮発性)の周知の記憶装置からなり、制御機器70からの指令に従って、各種情報の書込み及び読み出しを実行するように構成されている。
【0028】
また、データ書込機器64は、情報を書き換え可能なICタグやフラッシュEEPROM等(即ち、書き換え可能な記憶媒体、以下、医療情報記憶媒体と称す)に、制御機器70からの指令に従って、各種情報の書込みを実行するように構成されている。なお、医療情報記憶媒体は、医療機関設置装置群60が設置された医療機関の診察券(即ち、カード状の媒体)に埋め込まれていることが望ましい。
【0029】
さらに、通信機器65は、制御機器70からの指令に従って、一般通信回線を介して、車載装置5との間で双方向の情報通信を実行するように構成されている。
次に、制御機器70は、電源を切断しても記憶内容を保持する必要のあるデータやプログラムを格納するROM71と、処理途中で一時的に生じたデータを格納するRAM72と、ROM71やRAM72に記憶された処理プログラムを実行するCPU73と、これらを接続するバスとを少なくとも備えた周知のマイクロコンピュータを中心に構成されたものである。
【0030】
そして、ROM71には、通信機器65を介して車載装置5から取得した生体情報を記憶機器61に記憶し、車載装置5から取得もしくは記憶機器61に記憶した生体情報を、表示機器63や音声出力機器62から出力する情報出力処理をCPU73が実行するための処理プログラムが格納されている。
【0031】
さらに、ROM71には、入力機器66を介して入力される情報を受け付け、その受け付けた情報に基づいて、医療機関設置装置群60が設置された医療機関での運転者に対する医療行為に関する情報(以下、医療情報と称す)を生成すると共に、その生成した医療情報をデータ書込装置を介して医療情報記憶媒体に書き込む、もしくは通信機器65を介して車載装置5に出力する医療情報生成処理をCPU73が実行するための処理プログラムが格納されている。
【0032】
なお、本実施形態における医療情報には、医療関係者が患者を診察した結果である診察結果や、その診察に従って実行される診断の結果(以下、診断結果)、その診断に従ってなされる処置に関する情報(以下、処置情報と称す)、次回の受診予約日時(即ち、この医療機関で次回診察などを受ける日時)を少なくとも含むものである。
【0033】
そして、診断結果には、診断をした患者の傷病名、患者の体調がどの程度悪化しているのかを示す情報(例えば、患者が正常な状態である時と診断時との比率)、車載装置5にて運転者の体調を判定するために用いられる体調判定閾値、点滴を投与したことを示す情報、運転者が実行したリハビリ等が含まれている。
【0034】
さらに、処置情報には、運転者が医療機関以外の場所で実行する必要のある治療の内容(即ち、治療内容)、その治療を実行すべき時刻(即ち、治療予定時刻)、その治療を運転者が実行することで変化すべき生体情報の変動量(以下、設定閾値とする)が含まれている。なお、ここでいう治療としては、薬の服用が考えられ、この場合、治療内容としては、患者が服用すべき薬の名称(以下、薬名)、治療予定時刻としては、薬の服用予定時刻が有り、さらに、その薬を服用することで表出する可能性のある副作用についての情報(以下、副作用情報)が少なくとも含まれている。
【0035】
ただし、副作用情報とは、例えば、服用することで、覚醒度が低下する可能性があること(もしくは、覚醒度の低下度合い)を示す情報や、貧血を引き起こす可能性があること(もしくは、貧血を引き起こす度合い)を示す情報等である。
【0036】
つまり、医療機関設置装置群60では、車載装置5にて生成された生体情報を通信機器65を介して収集し、記憶機器61に記憶して、それらの収集した生体情報を表示機器63や音声出力機器62を介して医療関係者らに報知する。これと共に、医療関係者が、入力機器66を介して入力した情報に従って、車載装置5が搭載された車両の運転者(即ち、患者)に対する医療情報を生成する。
【0037】
換言すれば、医療機関設置装置群60は、車載装置5が搭載された車両の運転者(即ち、患者)を医療機関にて診察した時や、車載装置5にて生成された生体情報を収集し、それらの収集した生体情報を医療機関内に報知した時に、医療情報を生成可能な情報処理装置として構成されたものである。
〈車載装置の構成〉
次に、車載装置の構成について説明する。
【0038】
車載装置5は、運転者の生体信号を計測する計測装置20と、通信回線を介して、医療機関設置装置群60とデータ通信するための通信装置18と、データを記憶する記憶装置16と、時刻を計時する計時装置(図示せず)と、医療情報記憶媒体に書き込まれた医療情報を読取るデータ読取装置17とを備えている。さらに、車載装置5は、運転者の行動状況を表す行動情報を生成すると共に、目的地までの走行予定経路をナビゲートするナビゲーション装置30と、車載装置5を構成する各装置(計測装置20、通信装置18、ブレーキ制御装置19、記憶装置16、データ読取装置17、ナビゲーション装置30)を制御する制御装置10とを備えている。
【0039】
このうち、計測装置20は、運転者の心電信号を計測する心電センサ21と、運転者の脈波信号を計測する脈波センサ22と、運転者の皮膚温を計測する皮膚温センサ23と、運転者の血糖値を計測する血糖値センサ24と、少なくとも運転者の顔面を含む領域を被写体とした画像を撮影する撮影装置25とを備えている。
【0040】
心電センサ21は、図2,3に示すように、自車両のステアリングSにおいて、右手で把持される部位,及び左手で把持される部位にそれぞれ埋め込まれた各一対の電極DR1,DR2,DL1,DL2を検出電極として、心電信号を計測するように構成されている。
【0041】
また、脈波センサ22は、図2,3に示すように、ステアリングSにおいて、掌が接触する部位に内蔵され、血管の容積変化を光学的に検出する周知の光学式容積脈波計からなり、脈波信号を計測するように構成されている。
【0042】
さらに、皮膚温センサ23は、ステアリングSにおいて、掌が接触する部位に固定された熱電対やサーミスタ等の周知の温度センサーからなり、ステアリングSを把持した運転者の皮膚温(即ち、体温)を計測するように構成されている。
【0043】
そして、血糖値センサ24は、運転者の手に対し多波長の光を照射し、その反射スペクトルを分析することで血糖値を計測する周知の光学式血糖値センサーであり、運転者の血糖値を計測するように構成されている。
【0044】
そして、撮影装置25は、運転者の顔面を含む領域を被写体とするように運転席にレンズを向けてダッシュボード上やルームミラー内に配置され、カラー画像を撮影可能に構成されたものである。以下では、撮影装置25で撮影されたカラー画像を顔面画像と称す。
【0045】
つまり、計測装置20は、生体信号として、心電信号、脈波信号、皮膚温、血糖値、顔面画像等を計測して、その計測結果(即ち、サンプリング値や顔面画像)を制御装置10に出力するようにされている。
【0046】
次に、記憶装置16は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置(例えば、ハードディスクドライブやフラッシュEPROM等)であり、制御装置10からの指令に従って、各種データの書込み及び読み出しを実行するように構成されている。
【0047】
また、通信装置18は、通信回線を介して、医療機関設置装置群60から医療情報等を受信し、その受信した情報を制御装置10に出力すると共に、制御装置10からの指令に従って、制御装置10で生成した情報を医療機関設置装置群60へと送信するように構成されている。
【0048】
そして、データ読取装置17は、医療情報記憶媒体に書き込まれた情報(例えば、医療情報)を読取り、その読取った情報を制御装置10に出力するように構成されている。
〈ナビゲーション装置の構成〉
次に、ナビゲーション装置について説明する。
【0049】
ナビゲーション装置30は、自車両の現在位置を検出する位置検出部31と、ユーザーからの各種指示を入力するための操作スイッチ部32と、情報を表示する表示部33と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部35と、地図データ等の各種データを格納する記憶部34と、位置検出部31、及び操作スイッチ部32等の入力に従って、記憶部34、表示部33、及び音声出力部35等のナビゲーション装置30を構成する各部を制御する制御部36とを備えている。
【0050】
なお、位置検出部31は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信して、その受信信号を出力するGPS受信機や、自車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロセンサ、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ等を少なくとも備えている。
【0051】
また、表示部33は、制御部36からの信号に基づく映像を表示するカラー表示装置(例えば、液晶ディスプレイ,有機ELディスプレイ,CRT)として構成されており、音声出力部35は、制御部36からの信号に基づく音声を出力するスピーカとして構成されている。
【0052】
そして、操作スイッチ部32は、表示部33の表示面と一体に構成されたタッチパネル、及び表示部の周囲に設けられたキースイッチ等から構成されている。
さらに、記憶部34は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置(例えば、ハードディスクドライブや、フラッシュメモリ等)として構成されたものであり、地図データ(ノードデータ、リンクデータ、コストデータ、道路データ、地形データ、マークデータ、交差点データ、施設データ等)、案内用の音声データ、音声認識データ等が予め記憶されている。ただし、施設データとは、該当する施設がどのような施設であるのか(例えば、現在位置や目的地として設定された施設が、スポーツジム等の運動施設であるのか、レストラン等の飲食施設であるのか)を示す情報が含まれるものである。
【0053】
なお、制御部36は、制御装置10からの指令に従って、位置検出部(即ち、GPS受信機、及び各センサ)31の出力信号から、自車両の現在位置、進行方向の方位等を、予め規定された規定時間間隔(例えば、1秒間隔)で算出すると共に、目的地までの走行予定経路を報知するナビゲート処理を実行するように構成されている。このほか、制御部36は、制御装置10からの指令に従って行動情報を生成し、その生成した行動情報を制御装置10に出力するように構成されている。
【0054】
ただし、行動情報は、自車両が予め規定された時間(例えば、15分)以上継続して駐車された場合には、自車両の現在位置や、現在位置に存在する施設データ、その現在位置に駐車していた時間(以下、活動時間とする)を含むものであり、自車両が走行している場合には、自車両の現在位置や、走行を継続している時間を含むものである。
【0055】
つまり、ナビゲーション装置30は、制御装置10からの指令に従って、行動情報を制御装置10に出力すると共に、制御装置10からの制御指令に基づいて、表示部33や音声出力部35等を制御するように構成されている。
〈制御装置の構成〉
次に、制御装置について説明する。
【0056】
制御装置10は、電源を切断しても記憶内容を保持する必要のあるデータやプログラムを格納するROM11と、処理途中で一時的に生じたデータを格納するRAM12と、ROM11やRAM12に記憶された処理プログラムを実行するCPU13と、これらを接続するバスとを少なくとも備えた周知のマイクロコンピュータを中心に構成されたものである。
【0057】
このうち、ROM11には、医療情報に基づいて、運転者から生体信号を検出する検出タイミングを設定し、その検出タイミングで検出した生体信号それぞれに従って生体情報を生成し、その生成した生体情報を医療機関設置装置群60に送信すると共に、その生体情報と、医療情報に基づく体調判定閾値とを比較することで、運転者の体調を判定する生体情報生成処理をCPU13が実行するための処理プログラムが格納されている。
【0058】
なお、ROM11には、生体信号を計測する計測タイミングの初期値や、生体情報取得処理にて、運転者の状態を判定するために用いられる体調判定閾値の初期値が格納されている。ただし、体調判定閾値は、生体情報毎に設定されるものである。
【0059】
つまり、制御装置10は、医療情報に基づく検出タイミングで検出した生体信号に従って生体情報を生成し、その生成した生体情報を医療機関設置装置群60に送信すると共に、その生体情報と、医療情報に基づく体調判定閾値とを比較することで、運転者の体調を判定するように構成されている。
〈生体情報生成処理〉
次に、CPU13が実行する生体情報生成処理の処理手順について説明する。
【0060】
ここで、図4は、第一実施形態における生体情報生成処理の処理手順を示したフローチャートである。
この生体情報生成処理は、自車両の内燃機関が始動(本実施形態では、イグニッション信号が入力)されると、予め規定された起動タイミング毎に起動されるものである。
【0061】
そして、生体情報生成処理は、起動されると、図4に示すように、まず、S110では、ナビゲーション装置30から行動情報を取得したか否かを判定し、判定の結果、取得していなければ、行動情報を取得するまで待機し、行動情報を取得すると、S120へと進む。
【0062】
そして、S120では、医療情報が取得済みであるか否か、即ち、前回以前に本生体情報生成処理が実行された時に、医療情報が取得されたか否かを判定し、判定の結果、医療情報を取得済みでなければ、S130へと進む。
【0063】
そのS130では、医療情報を取得するまで待機し、医療情報を取得すると、その医療情報をRAM12もしくは記憶装置16に記憶して、S140へと進む。
具体的に、本実施形態では、診察券に埋設された医療情報記憶媒体がICタグであれば、データ読取装置の通信範囲内に医療情報記憶媒体が存在する場合に、医療情報を取得し、医療情報記憶媒体がフラッシュEEPROMであれば、データ読取装置17に医療情報記憶媒体が装着された場合に、医療情報を取得する。
【0064】
そのS140では、医療情報に含まれている治療予定時刻に基づいて、生体信号を計測する計測タイミング(計測タイミング)を設定する。
具体的に、本実施形態では、計測間隔を予め規定された規定間隔(即ち、初期値)とし、治療予定時刻の前後の一定時間内での計測間隔を、規定間隔よりも短い間隔として、計測タイミングを設定する。さらに、医療情報中に、受診予約日時が含まれていれば、受診予約日時が近づくほど、計測間隔を短くするように、即ち、受診予約日時が近づくほど、計測回数が増加するように計測タイミングを設定する。ただし、計測間隔は、起動タイミングの間隔よりも長い間隔に設定されている。
【0065】
続く、S150では、体調判定閾値をROM11に格納された初期値から、医療情報に含まれる体調判定閾値へと変更して、S160へと進む。
そのS160では、計時装置から現時刻を取得し、その取得した現時刻が、S140で設定された計測タイミングであるか否かを判定し、判定の結果、計測タイミングでなければ、計測タイミングとなるまで待機し、計測タイミングとなると、S170へと進む。
【0066】
そして、S170では、計測対象として予め設定された全種類の生体信号を計測して、S180へと進む。なお、具体的に、本実施形態では、心電信号、脈波信号、皮膚温(即ち、体温)の少なくとも三つを、生体信号として計測する。
【0067】
そのS180では、全種類の生体信号が計測されたか否かを判定し、判定の結果、全種類の生体信号が計測されていなければ、S170へと戻り、全種類の生体信号が計測されるまで、生体信号の計測を繰り返し、全生体信号の計測がされると、S190へと進む。なお、本実施形態において、心電信号や脈波信号が計測されない場合としては、例えば、運転者がステアリングSから片手を離して、自車両のシフトレバーを操作している場合等が考えられる。
【0068】
さらに、S190では、S170で計測された生体信号それぞれ、及びS170で計測された心電信号、脈波信号の両方を周知の方法で解析することで生成した血圧、心拍数を生体情報として生成し、S200へと進む。そのS200では、S190での生体情報の生成時の時刻と対応付けて、記憶装置16に記憶して、S210へと進む。
【0069】
そして、S210では、今回起動された生体情報生成処理にて生成された生体情報それぞれと、前回起動された生体情報生成処理にて生成された生体情報それぞれとの差分を、生体情報変化量として算出する。
【0070】
続く、S220では、S210で算出された生体情報変化量それぞれと、S150で設定された体調判定閾値それぞれとを比較することで、運転者の体調を判定し、判定の結果、運転者の体調が悪ければ、S230へと進む。
【0071】
なお、本実施形態では、具体的に、一つの生体情報変化量と体調判定閾値との差分が予め規定された規定値以上である場合や、予め規定された規定数以上の生体情報変化量が、体調判定閾値よりも体調が悪いと判断される側である場合に、運転者の体調が悪いものと判断するようにされている。また、例えば、図7(A)に示すように、生体情報の中で、心拍数を用いて運転者の体調を判定する場合には、心拍数が体調判定閾値以上となった時点で、体調が悪いものと判断するようにされていても良い。
【0072】
そして、S230では、運転者の体調が悪い旨を示す緊急情報を、通信装置18を介して医療機関設置装置群60へと送信して、S240へと進む。
一方、S220での判定の結果、運転者の体調が悪くない(ここでは、体調が良い、もしくは、通常と同様(即ち、正常)であることを含む)ものと判定されると、S230を実行することなく、S240へと進む。
【0073】
そして、S240では、S220での判定結果を、表示部33に表示して、さらに、音声出力部35から音声にて出力するように、ナビゲーション装置30に対して、指令を出力する。これにより、表示部33及び音声出力部35を介して、体調判定の結果が自車両内に報知される。
【0074】
続くS250では、ナビゲーション装置30から取得された行動情報に基づいて、運転者への負担を表す行動負担度を算出する。例えば、本実施形態では、ナビゲーション装置30から取得される行動情報が、自車両が走行していることを表している場合には、走行を継続している期間と、自車両の運転での肉体への負担を表す負担係数、及び自車両の運転でのストレスを表すストレス係数それぞれとの積を行動負担度として導出する。
【0075】
なお、負担係数、及びストレス係数は、医療関係者が医療行為の一つとして運転者に対して行った問診によって、活動内容毎に予め設定され、記憶装置16に記憶されたものである。例えば、ストレス係数であれば、活動内容が、会社での仕事、ジムでの運動、自車両の運転の順に、負担係数であれば、活動内容が、ジムでの運動、自車両の運転、会社での仕事の順に小さくなるように設定されている。
【0076】
そして、S260では、S250で導出した行動負担度を表示部33に表示し、さらに、音声出力部35から音声にて出力するように、ナビゲーション装置30に対して、指令を出力する。これにより、表示部33及び音声出力部35を介して、行動負担度が自車両内に報知される。
【0077】
続く、S270では、S210で算出した生体情報変化量と、医療情報に含まれる設定閾値とを比較することで、医療情報中の治療内容が実行されたか否かを判定(以下、治療実行判定と称す)し、判定の結果、治療内容が実行されていなければ、S280へと進む。
【0078】
例えば、治療内容として降圧剤の服用が設定されており、治療予定時刻として降圧剤の服用予定時刻が設定されている場合には、図7(B)に示すように、服薬予定時刻が経過してから、予め規定された規定回数にわたって生成した生体情報(即ち、血圧)が、上昇し続ければ(即ち、生体情報変化量が設定閾値よりも規定値以上低下していなければ)、降圧剤が服用されていない(即ち、治療内容が実行されていない)ものと判定しても良い。
【0079】
そして、S280では、治療内容を実行するように促す旨を示す治療案内を自車両内に報知して、S290へと進む。即ち、治療案内や治療予定時刻を、表示部33に表示し、さらに、音声出力部35から音声にて出力するように、ナビゲーション装置30の制御部36に対して指令を出力する。
【0080】
一方、S270での治療実行判定の結果、医療情報中の治療内容が実行されていればS280を実行すること無く、S290へと進む。
そのS290では、今サイクルのS190で生成された生体情報それぞれと、S220での運転者の体調判定の判定結果(以下、体調判定結果と称す)と、S250で算出された行動負担度と、S270での治療内容を実行したか否かの判定結果(以下、治療判定結果と称す)とを送信情報として設定して、S300へと進む。
【0081】
そして、S300では、S290で設定した送信情報を、通信装置18を介して医療機関設置装置群60へと送信する。
その後、本生体情報生成処理を終了し、次の起動タイミングまで待機する。
【0082】
なお、S120での判定の結果、前回のサイクル以前に、医療情報が取得済みである場合には、S310へと進み、そのS310では、医療機関設置装置群60から出力されたアドバイス情報を取得したか否かを判定する。
【0083】
なお、ここで言うアドバイス情報とは、車載装置5からの送信情報に基づいて、医療関係者が運転者に対して行う警告や忠告等であり、医療機関設置装置群60にて、医療情報の一つとして生成され、通信機器65を介して送信される情報である。
【0084】
そして、S310での判定の結果、アドバイス情報を取得していれば、S320へと進み、そのS320では、アドバイス情報を自車両内に報知する。即ち、アドバイス情報を表示部33に表示し、さらに、音声出力部35から音声にて出力するように、ナビゲーション装置30の制御部36に対して指令を出力する。
【0085】
その後、S160へと進む。
一方、S310での判定の結果、アドバイス情報を取得していなければ、S320を実行することなく、S160へと進む。
【0086】
つまり、本実施形態の生体情報生成処理では、運転者毎に医療機関にて生成される医療情報に基づく計測タイミングを設定し、その計測タイミングで計測された生体信号に従って生体情報を生成すると共に、その生成した生体情報に基づいて、運転者の体調や、運転者が治療内容を実行したか否かを判定する。そして、運転者の行動に基づいて行動負担度を算出し、さらに、生体情報と、体調判定の結果と、治療実行判定の結果と、行動負担度とを送信情報として、医療機関設置装置群60に送信する。
[第一実施形態の効果]
以上、説明したように、本実施形態の車載装置5によれば、運転者毎に生成される医療情報に基づく計測タイミングを設定するので、医療関係者が望む生体情報を乗員一人一人の状況に応じて生成することができる。そして、本実施形態の車載装置5によれば、生成した生体情報を医療機関設置装置群60に送信するため、医療関係者が望む生体情報を医療機関設置装置群60に収集させることができ、その収集された生体情報を医療行為に反映させることで、医療行為(例えば、診察等)の正確性を向上させることができる。
【0087】
特に、本実施形態の生体情報生成処理によれば、医療情報中の治療予定時刻に基づく計測タイミングを設定するため、医療機関設置装置群60に収集された生体情報を医療関係者が分析することで、治療内容の効果を検証することができ、以降の医療行為に反映することができる。つまり、医療関係者は、降圧剤等の服用した薬の効果や、医療機関で投与された点滴の効果などを確認することができる。
【0088】
また、本実施形態の生体情報生成処理では、生体情報変化量それぞれと、医療情報中の体調判定閾値それぞれとを比較することで、運転者の体調を判定する。このため、本実施形態の生体情報生成処理によれば、運転者が医療機関にて診断を受けた直後である場合には、その時点での乗員の身体状況に則した適切な体調の判定ができる。
【0089】
さらに、本実施形態の生体情報生成処理によれば、体調判定の結果を自車両内に報知するため、車両の乗員に運転者の体調を認識させることができ、より安全な車両の運転を行わせることができる。
【0090】
また、本実施形態の生体情報生成処理では、生体情報変化量と、医療情報に含まれる設定閾値とを比較することで、治療実行判定を行い、運転者が治療内容を実行していない場合、治療内容を実行するように促す旨を自車両内に報知する。このため、本実施形態の生体情報生成処理によれば、運転者に治療内容をより確実に実行させることができ、運転者の健康維持につなげることができる。
【0091】
さらに、本実施形態の生体情報生成処理によれば、運転者の行動情報に基づく行動負担度を導出して、その行動負担度を自車両内に報知するため、行動負担度を乗員に認識させることができ、運転者が過剰に活動することを抑制できる。
【0092】
ところで、本実施形態の生体情報生成処理によれば、生体情報に加えて、体調判定の結果と、治療実行判定の結果と、行動負担度とを医療機関設置装置群60に送信するため、医療行為を行う時の判断材料として、体調判定の結果、治療実行判定の結果、行動負担度を用いることができる。つまり、本実施形態の生体情報生成処理によれば、医療行為を行う時の判断材料を増加することができ、医療行為の正確性をより向上させることができる。
【0093】
また、本実施形態の生体情報生成処理によれば、受診予定日時が近づくほど、より多くの生体情報を生成するため、医療関係者の判断材料を増やすことができる。
特に、本実施形態の生体情報生成処理によれば、行動負担度を数値化して導出するため、医療関係者に容易に認識させることができる。さらに、本実施形態の生体情報生成処理によれば、負担係数及びストレス係数それぞれを用いて、行動負担度を算出するため、乗員に加わるストレスや、乗員の肉体に加わる負荷を導出することができ、医療関係者が医療行為を行う際に、肉体面と精神面との両方から運転者の状態を、医療関係者に把握させることができる。
【0094】
さらに、本実施形態の生体情報管理システム1では、医療機関設置装置群60に収集された生体情報等に基づく医療行為の結果(即ち、アドバイス情報)を、車載装置5が取得して自車両内に報知する。このため、本実施形態の生体情報管理システム1によれば、自車両の乗員に、現時点でのより正確な運転者の状態を認識させることができ、この結果、より安全な車両の運転を行わせることができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0095】
本実施形態の生体情報管理システムと、第一実施形態の生体情報管理システム1とでは、制御装置10のROM11に格納された処理プログラム、及びCPU13が実行する処理が異なるのみである。このため、第一実施形態と同様な構成には、同一符号を付して説明を省略し、第一実施形態とは異なる処理を中心に説明する。
【0096】
本実施形態の制御装置10は、ROM11と、RAM12と、CPU13と、これらを接続するバスとを少なくとも備えた周知のマイクロコンピュータを中心に構成されたものである。
【0097】
このうち、ROM11には、ナビゲーション装置30から取得した行動情報に基づいて、運転者の活動内容を推定し、その活動内容の前後に運転者から生体信号を検出して生体情報を生成すると共に、その活動内容での運転者への負担(以下、活動負担度とする)を導出して、それらの生体情報及び活動負担度を医療機関設置装置群60へと送信する生体情報生成処理をCPU13が実行するための処理プログラムが格納されている。
〈生体情報生成処理〉
次に、CPU13が実行する生体情報生成処理の処理手順について説明する。
【0098】
ここで、図5は、第二実施形態における生体情報生成処理の処理手順を示したフローチャートである。
この生体情報生成処理は、自車両の内燃機関が始動(本実施形態では、イグニッション信号が入力)されると起動されるものである。
【0099】
そして、生体情報生成処理は、起動されると、図5に示すように、まず、S410にて、後述する第一タイミングにて生体情報を取得済みであるか否かを判定し、判定の結果、第一タイミングにて生体情報を取得していなければ、S420へと進む。
【0100】
そのS420では、ナビゲーション装置30から行動情報を取得したか否かを判定し、判定の結果、取得していなければ、行動情報を取得するまで待機し、行動情報を取得すると、S430へと進む。
【0101】
続くS430では、S420で取得した行動情報に基づいて、運転者が実行予定である活動内容を推定する。具体的に、本実施形態では、行動情報に含まれている目的地の施設データがジム等の運動施設であれば、活動内容として運動を、目的地の施設データがレストラン等の飲食施設であれば、活動内容として食事を実行予定と推定する。
【0102】
そして、S440では、S430で推定された活動内容の前の予め規定された規定時間を第一タイミングとし、活動内容を実行してから後の予め規定された規定時間を第二タイミングとして設定する。具体的に、本実施形態では、目的地に到着する規定時間前(例えば、飲食施設に到着する10分前)を第一タイミングとし、目的地を出発してから規定時間後(例えば、飲食施設を出発した10分後)を第二タイミングとする。
【0103】
続く、S450では、計時装置から現時刻を取得し、その取得した現時刻が、S440で設定された第一タイミングであるか否かを判定し、判定の結果、第一タイミングでなければ、第一タイミングとなるまで待機し、第一タイミングとなると、S460へと進む。
【0104】
そして、S460では、計測対象として予め設定された全種類の生体信号を計測して、S470へと進む。なお、具体的に、本実施形態では、心電信号、脈波信号、血糖値の少なくとも三つを、生体信号として計測する。
【0105】
そのS470では、全種類の生体信号が計測されたか否かを判定し、判定の結果、全種類の生体信号が計測されていなければ、S460へと戻り、全種類の生体信号が計測されるまで、生体信号の計測を繰り返し、全生体信号の計測がされると、S480へと進む。なお、本実施形態において、生体信号が計測されない場合としては、例えば、運転者がステアリングSから片手を離して、自車両のシフトレバーを操作していることが考えられる。
【0106】
さらに、S480では、S450で計測された生体信号それぞれ、及びS450で計測された心電信号、脈波信号の両方を周知の方法で解析することで生成した血圧、心拍数等を生体情報として、それらの生体情報を取得した時刻と対応付けて(以下、第一生体情報とする)記憶装置16に記憶し、S490へと進む。
【0107】
そして、S490では、計時装置から現時刻を取得し、その取得した現時刻が、S440で設定された第二タイミングであるか否かを判定する。
ただし、活動内容が、運動施設での運動や、飲食施設での食事である場合には、S480で生体情報を記憶装置16に記憶してから第二タイミングとなる前に、自車両が駐車される(即ち、自車両の内燃機関が停止される)ことになり、本生体情報生成処理を終了する。そして、活動内容が終了し、再度、イグニッション信号が入力されて、本生体情報生成処理が起動されると、S410にて、第一タイミングにて生体情報を取得済みであるものと判定して、S490から本生体情報生成処理を再開する。
【0108】
そのS490での判定の結果、第二タイミングでなければ、第二タイミングとなるまで待機し、第二タイミングとなると、S500へと進む。
そして、S500では、計測対象として予め設定された全種類の生体信号を計測して、S510へと進み、そのS510では、全種類の生体信号が計測されたか否かを判定する。そして、判定の結果、全種類の生体信号が計測されていなければ、S500へと戻り、全種類の生体信号が計測されるまで、生体信号の計測を繰り返し、全生体信号の計測がされると、S520へと進む。
【0109】
そのS520では、S500で計測された生体信号それぞれ、及びS500で計測された心電信号、脈波信号の両方を周知の方法で解析することで生成した血圧、心拍数等を、第二生体情報として生成する。
【0110】
続く、S530では、S520で生成された第二生体情報それぞれと、記憶装置16に記憶された第一生体情報それぞれとの差分を、生体情報変化量として算出する。
そして、S540では、S530で算出した生体情報変化量と、S420で推定した活動内容とを対応付けた情報(本発明の特定情報の一例、以下、活動負担度と称す)を生成
して、S550へと進む。具体的に、本実施形態における活動負担度は、生体情報変化量そのものを、その生体情報変化量を算出した時の活動内容そのものと、一対一の対応関係にて関連付けただけのものである。つまり、例えば、活動内容が食事で有り、生体情報が血糖値であれば、活動負担度は、「血糖値の変化量:XX(ここでいうXXは、変化量の数値) 活動内容:食事」のようなものとなる。
【0111】
そのS550では、S540で生成した活動負担度を自車両内に報知する。即ち、活動負担度を表示部33に表示して、音声出力部35から出力するように、ナビゲーション装置30の制御部36に対して指令を出力する。
【0112】
続く、S560では、生体情報変化量そのものと、活動負担度とを送信情報として設定して、S570へと進み、そのS570では、S560で設定した送信情報を、通信装置18を介して医療機関設置装置群60へと送信する。
【0113】
そして、その後、本生体情報生成処理を終了する。
つまり、本実施形態の生体情報生成処理では、運転者毎に推定される活動内容に基づく複数回の計測タイミングを設定し、それらの計測タイミングで計測された生体信号に従って生体情報を生成すると共に、それらの生体情報から生体情報変化量を導出する。そして、生体情報変化量と、活動内容とを対応付けた活動負担度を生成して、活動負担度と、生体情報変化量とを送信情報として、医療機関設置装置群60に送信する。
[第二実施形態の効果]
以上、説明したように、本実施形態の車載装置5によれば、医療機関設置装置群60に活動負担度を送信することで、医療機関設置装置群60に活動負担度を収集させることができ、その収集された活動負担度を医療行為に反映させることで、医療行為(例えば、診察等)の正確性を向上させることができる。
【0114】
例えば、飲食施設での食事が活動内容として推定され、さらに、運転者の血糖値を生体情報として導出する場合を想定する。
このような場合、本実施形態の車載装置5では、食事の前後に血糖値を取得して、その血糖値の変化量を、食事をした旨を示す情報と共に、医療機関に送信する。したがって、医療関係者は、血糖値が変化した理由や、その変化量が適切な範囲内であるのか否かを認識できる。
【0115】
ところで、本実施形態の生体情報生成処理によれば、活動負担度を自車両内に報知するため、生体情報変化量を乗員に認識させることができ、運転者が過剰に活動することを抑制できる。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
【0116】
本実施形態の生体情報管理システムと、第一実施形態の生体情報管理システム1とでは、車載装置5の一部の構成と、制御装置10のROM11に格納された処理プログラム、及びCPU13が実行する処理が異なるのみである。このため、第一実施形態と同様の構成には、同一符号を付して説明を省略し、第一実施形態とは異なる処理を中心に説明する。
〈車載装置の構成〉
ここで、図8は、本実施形態における生体情報管理システム1、及び生体情報管理システム1を構成する医療機関設置装置群60、車載装置5の概略構成を示すブロック図である。
【0117】
車載装置5は、計測装置20と、通信装置18と、記憶装置16と、計時装置(図示せず)と、データ読取装置17と、自車両に搭載されたブレーキ機構を制御するブレーキ制御装置19と、制御装置10とを備えている。
【0118】
このうち、ブレーキ制御装置19は、制御装置10からの指令に従って、自車両の制動力を増加させるようにブレーキ機構を制御するものである。
また、制御装置10は、ROM11と、RAM12と、CPU13と、これらを接続するバスとを少なくとも備えた周知のマイクロコンピュータを中心に構成されたものである。
【0119】
そして、ROM11には、運転者から検出した生体信号に従って生成した生体情報、及び医療情報に基づいて、運転者が治療を行ったか否かや、運転者の覚醒状態を判定すると共に、それらの判定結果に従って、走行時の危険性が低下するように自車両を制御する車両制御処理をCPU13が実行するための処理プログラムが格納されている。
【0120】
なお、ROM11には、生体信号を計測する計測タイミングの初期値(本実施形態では30秒間隔とする)や、車両制御処理にて、運転者の覚醒状態を判定するために用いられ、実験等により予め規定された眠気判定閾値が格納されている。
〈車両制御処理〉
次に、CPU13が実行する車両制御処理について説明する。
【0121】
ここで、図6は、車両制御処理の処理手順を示したフローチャートである。
この車両制御処理は、自車両の内燃機関が始動(本実施形態では、イグニッション信号が入力)されると、規定間隔毎に起動されるものである。
【0122】
そして、車両制御処理が起動されると、図6に示すように、まず、S610では、医療情報が取得済みであるか否か、即ち、前回以前に本車両制御処理が実行された時に、医療情報が取得されたか否かを判定し、判定の結果、医療情報を取得済みでなければ、S620へと進む。
【0123】
そのS620では、医療情報を取得するまで待機し、医療情報を取得すると、その医療情報をRAM12もしくは記憶装置16に記憶して、S630へと進む。
そのS630では、計時装置から現時刻を取得し、その取得した現時刻が、ROM11に格納された計測タイミングであるか否かを判定し、判定の結果、計測タイミングでなければ、計測タイミングとなるまで待機し、計測タイミングとなると、S640へと進む。
【0124】
そして、S640では、計測対象として予め設定された全種類の生体信号を計測して、S650へと進む。なお、具体的に、本実施形態では、心電信号、脈波信号、皮膚温(即ち、体温)、顔面画像の少なくとも四つを、生体信号として計測する。
【0125】
そのS650では、全種類の生体信号が計測されたか否かを判定し、判定の結果、全種類の生体信号が計測されていなければ、S640へと戻り、全種類の生体信号が計測されるまで、生体信号の計測を繰り返し、全生体信号の計測がされると、S660へと進む。なお、本実施形態において、心電信号や脈波信号が計測されない場合としては、例えば、運転者がステアリングSから片手を離して、自車両のシフトレバーを操作している場合等が考えられる。
【0126】
さらに、S660では、S640で計測された生体信号それぞれ、及びS640で計測された心電信号、脈波信号の両方を周知の方法で解析することで生成した血圧、心拍数を生体情報として生成する。そして、S670では、S660で生成した生体情報を、S660での生体情報の生成時刻と対応付けて、記憶装置16に記憶して、S680へと進む。
【0127】
そのS680では、今回起動された車両制御処理にて生成された生体情報それぞれと、前回以前に起動された車両制御処理にて生成され、記憶装置16に記憶された生体情報それぞれとの差分を、生体情報変化量として算出する。
【0128】
続く、S690では、医療情報に含まれる設定閾値の中で、自車両の運転に影響を及ぼす可能性のある治療に対する設定閾値(以下、治療判定閾値と称す)と、S680で算出した生体情報変化量とを比較することで、医療情報中の治療内容が実行されたか否かを判定し、判定の結果、医療情報中の治療内容が実行されたものと判定された場合、S700へと進む。
【0129】
例えば、治療内容として解熱剤の服用が設定されており、副作用情報として、覚醒度が低下する可能性があること(もしくは、覚醒度の低下度合い)を示す情報が含まれている場合を想定する。そして、予め規定された規定回数にわたって生成した生体情報(即ち、体温)が、治療判定閾値よりも小さくなれば、解熱剤が服用されたものと判定しても良い。ただし、解熱剤の服用によって達成されるべき運転者の体温を治療判定閾値とすることが望ましい。
【0130】
そして、S700では、後述する覚醒状態判定において、覚醒度が低下した状態として推定されるように、眠気判定閾値を初期値から変更する。これは、S690での判定の結果、医療情報に含まれる治療内容を運転者が実行(例えば、覚醒度が低下する可能性のある薬を服用)したことから、乗員は、車両の運転中に覚醒度が低下する可能性があり、薬を服用していない状態での運転時に比べて、より安全に車両を運転することが求められるためである。
【0131】
続く、S710では、予め規定された第一規定速度(例えば、30km/h)まで自車両の速度を低下させるように、ブレーキ制御装置19に指令を出力する第一車両制御を実行して、S720へと進む。この第一車両制御により、治療内容を運転者が実行(例えば、覚醒度が低下する可能性のある薬を服用)した場合には、車速が第一規定速度まで低下されることになる。
【0132】
一方、S690での判定の結果、医療情報中の治療内容が実行されていないものと判定された場合には、S700及びS710を実行することなく、S720へと進む。
そのS720では、現時点よりも過去の予め設定された設定時間分での顔面画像を解析して、運転者の覚醒度を算出する。具体的に、本実施形態では、周知の画像解析手法により、上まぶたと下まぶたとの開度が大きいほど覚醒度が高いものとして算出する。
【0133】
続く、S730では、S720で算出した覚醒度が、S730へと進んだ時点で設定されている眠気判定閾値以下であるか否かを判定し、判定の結果、覚醒度が眠気判定閾値以下であれば、運転者が眠気を感じているものとして、S740へと進む。なお、S730で用いられる眠気判定閾値は、S700を経由してS730へと進んだ場合(即ち、自車両の運転に影響を及ぼす可能性のある治療が実行された場合)には、覚醒度が低下した状態として推定されるように変更されたものである。また、S700を経由することなくS730へと進んだ場合(即ち、自車両の運転に影響を及ぼす可能性のある治療が実行され
ていない場合)には、初期値である。
【0134】
そして、S740では、第一規定速度よりも低い速度として予め設定された第二規定速度(例えば、10km/h)まで自車両の速度を低下させるように、ブレーキ制御装置19に指令を出力する第二車両制御を実行する。この第二車両制御により、運転者が眠気を感じている場合には、第二規定速度まで車速が低下されることになる。
【0135】
そして、その後、本車両制御処理を終了する。
一方、S730での判定の結果、覚醒度が眠気判定閾値よりも大きければ、運転者が眠気を感じていないものとして、S720を実行することなく本車両制御処理を終了する。
【0136】
つまり、本実施形態の車両制御処理では、運転者から計測した生体信号に従って生体情報を生成して、その生成した生体情報に基づいて、医療機関にて運転者毎に生成される医療情報中の治療内容が実行されたか否かを判定し、判定の結果、治療内容が実行されていれば、自車両の車速が低下するようにブレーキ機構を制御する。そして、治療内容が実行されていれば、覚醒状態判定で覚醒度が低下した状態として判定されるように眠気判定閾値を変更し、その変更した眠気判定閾値よりも運転者の覚醒度が低ければ、さらに、自車両の車速が低下するようにブレーキ機構を制御する。
[第三実施形態の効果]
以上、説明したように、本実施形態の車載装置5によれば、運転者が治療内容を実行したか否かや、運転者の覚醒状態など、運転者の状況に応じた車両の制御を実行することができる。
【0137】
例えば、運転者が、副作用として覚醒度が低下する可能性が高い薬(以下、大副作用薬と称す)を、車両を運転する直前や運転中に服用した場合を想定する。
このような場合、本実施形態の車両制御処理では、生体情報変化量に基づいて大副作用薬が服用されたものと判定すると、車両の速度が低下するように車両を制御する。このため、本実施形態の車載装置5によれば、運転者が大副作用薬を服用した場合には、通常(即ち、薬を服用していない場合)の運転時に比べて、走行時の危険性が低下するように車両を制御することができる。
【0138】
さらに、本実施形態の車両制御処理では、生体情報変化量に基づいて大副作用薬が服用されたものと判定されると、覚醒状態判定で覚醒度が低下した状態として判定されるように眠気判定閾値を変更する。このため、本実施形態の車両制御処理によれば、運転者が大副作用薬を服用した場合には、走行時の危険をより確実に低下させることができる。
【0139】
なお、本実施形態の車両制御処理におけるS620が、本発明の医療情報取得手段に相当し、S630からS740までが車両制御手段に相当する。さらに、S660が生体情報生成手段に相当し、S670が生体情報蓄積制御手段に相当し、S680が変化量導出手段に相当し、S690が治療実行判定手段に相当し、S730が状況推定手段に相当し、S700が閾値設定手段に相当する。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において様々な態様にて実施することが可能である。
【0140】
例えば、上記第一実施形態の生体情報生成処理におけるS140では、服用予定時刻(即ち、治療予定時刻)の前後の一定時間での計測間隔を、規定間隔よりも短い間隔として、計測タイミングを設定したが、計測タイミングの設定は、これに限るものではなく、服用予定時刻の前の予め規定された複数の規定時間のみでも良いし、服用予定時刻から複数の規定時間が経過した時点でも良い。
【0141】
また、上記第一実施形態の生体情報生成処理におけるS280では、運転者が治療内容を実行していなければ、直ちに、治療案内を報知していたが、治療案内の報知は、規定回数以上繰り返し、生体情報変化量が設定閾値以上である場合に実行するようにしても良い。
【0142】
このようにすれば、計測誤差などによって、一回だけ誤って、生体情報変化量が設定閾値以上となり、治療案内が報知されることで、運転者らが煩わしさを感じる可能性を低減できる。
【0143】
なお、上記第一実施形態の生体情報生成処理で実行された全てのステップが実行される必要はなく、例えば、S250及びS260は省略されていても良いし、S270及びS280が省略されていても良い。さらに、S310及びS320は省略されていても良い。
【0144】
ところで、上記第二実施形態の生体情報生成処理におけるS560では、生体情報変化量そのものと、活動負担度とを、送信情報として設定したが、S560で設定される送信情報は、これに限るものではなく、例えば、第一生体情報及び第二生体情報そのものと、活動内容とであっても良い。つまり、活動内容が食事であり、生体情報として血糖値を生成している場合、食事前の血糖値である第一生体情報と、食事後の血糖値である第二生体情報と、活動内容が食事である旨を示す情報とを送信情報として生成しても良い。
【0145】
また、上記第二実施形態における生体情報生成処理では、生体情報変化量そのものと、活動内容そのものとを一対一の対応関係にて関連付けただけのものを活動負担度として生成したが、生体情報生成処理にて生成される活動負担度は、これに限るものではなく、活動内容によって、生体情報が生体情報変化量分だけ変化したことを識別可能な態様にて、新たに生成した情報であっても良い。この場合、例えば、活動内容が食事であり、生体情報が血糖値であれば、活動負担度は、「今回の食事により、血糖値がXX増加しました」というような情報となる。
【0146】
上記第二実施形態の生体情報生成処理におけるS540では、生体情報変化量と、活動内容とを対応付けることで、活動負担度を生成していたが、活動負担度の生成方法は、これに限るものではなく、ナビゲーション装置30の操作スイッチ部32を介して入力された情報を、生体情報変化量と活動内容とに追加しても良い。つまり、例えば、活動内容が食事である場合に、どのような食事をしたのかを操作スイッチ部32を介して運転者らに入力させ、活動内容が食事である旨と、その食事の内容(例えば、摂取したエネルギー量)と、生体情報変化量としての血糖値の変化量とを対応付けた情報を活動負担度として生成しても良い。
【0147】
さらに、上記第二実施形態の生体情報生成処理においても、第一実施形態の生体情報生成処理と同様に、車載装置5からの送信情報に基づいて、医療関係者が運転者に対して行う警告や忠告(即ち、アドバイス情報)を取得して、その取得したアドバイス情報を自車両内に報知するようにしても良い。
【0148】
なお、上記第二実施形態における生体情報生成処理では、自車両の現在位置や、現在位置に存在する施設データ、活動時間を行動情報として、ナビゲーション装置30から取得していたが、行動情報は、ナビゲーション装置30から取得するものに限らない。
【0149】
例えば、車載装置とは別体に設けられ、運転者が活動を予定している施設に設置された
周知の情報処理装置や通信機器から行動情報を取得しても良い。この場合、取得される行動情報は、情報処理装置等が設置された施設で運転者がどのような活動を行っていたのかを示す情報(例えば、運動施設であれば、どのような運動を行い、消費エネルギはどの程度なのか、飲食施設であれば、どのような食事をし、摂取エネルギはどの程度なのか)であることが望ましい。
【0150】
また、ナビゲーション装置30に備えられた周知のスケジューリング機能や、運転者が所持しているスケジューラ等から、運転者のスケジュールを行動情報として取得しても良い。このような場合、活動内容の推定精度を向上させることができる。
【0151】
さらには、上記実施形態における血糖値センサ24は、反射スペクトルを分析することで血糖値を計測する周知のものであったが、血糖値センサ24は、これに限るものではなく、例えば、運転者から血液を採取する針状の挿管部と、挿管部にて採取した血液を解析することで、血糖値を計測する解析部とを備えた周知のセンサーであっても良い。
【0152】
また、上記第三実施形態の車両制御処理では、S710にて第一規定車速まで車速を低下させ、S740にて第二規定車速へと車速を低下させるように制御していたが、車両の制御は、これに限るものではなく、例えば、S690、S730共に肯定判定である時にのみ、車速を低下させるように制御しても良い。
【0153】
ところで、例えば、運転者が医療機関にて点滴を受けたような場合、運転者は、点滴を受ける必要があるほど体調が悪いと言える。このような場合、運転者は、体調が正常な(即ち、良い)時に比べて、車両を走行させるために必要な判断能力等が低下している可能性が高く、通常の運転時に比べて、より安全に車両を運転することが求められる。
【0154】
このため、上記第三実施形態の車両制御処理では、医療情報を取得すると、その医療情報の診断結果の中に、自車両の運転に影響を及ぼす可能性が高い処置(即ち、医療機関での点滴の投与や、正常な体調の時に比べて著しく体調が悪いと医療機関にて診察されたこと等)がなされたことを示すものが含まれていれば、直ちに、車速を低下させるように制御しても良い。
【0155】
また、上記第三実施形態の車両制御処理におけるS730では、運転者の状態として、覚醒状態を判定したが、S730で判定される運転者の状態は、覚醒状態に限るものではなく、運転者の体調や注意力であっても良い。
【0156】
なお、上記第三実施形態の車両制御処理では、自車両の走行時の危険性を低下させるための制御として、車両の速度を低下させていたが、車両走行時の危険性を低下させるための制御は、これに限るものではなく、例えば、治療が実行された時や覚醒度が低下した場合には、治療が実行されていない場合や覚醒度が高い時に比べて、車間距離を広げるように制御しても良い。ただし、このように車両制御を行う場合、周知のクルーズコントロールシステムが自車両に搭載されており、制御装置10は、クルーズコントロールシステムに対して、車間距離を広げるように指令を出力する必要がある。
【0157】
ところで、上記実施形態(ここでは、第一、第二、第三の全て)の生体情報生成処理、もしくは車両制御処理では、計測タイミングで生体信号を計測し、その計測した生体信号から生体情報を生成していたが、生体情報の生成に利用する生体信号は、これに限るものではない。例えば、一定間隔(例えば、一分間隔)で計測され、記憶装置16等に記憶された生体信号の中から、計測タイミングで計測された生体信号を抽出して、その抽出した生体信号から生体情報を生成しても良いし、計測タイミング間で計測された生体信号の平均から生体情報を生成しても良い。
【0158】
さらに、上述した生体情報生成処理や、車両制御処理にて生成された生体情報は、心電信号、脈波信号、体温、心拍数、血圧、顔面画像等であったが、生成される生体情報は、これに限るものではなく、例えば、脈波信号、及び心電信号を解析することで導出される脈波伝播時間等の血管硬さを表す指標や、自律神経の活動状態を表す自律神経活動指標、運転者の発汗状態、眼球運動、呼吸等を生体情報として生成するようにしても良い。
【0159】
なお、上記実施形態(ここでは、第一、第二、第三の全て)の生体情報生成処理、もしくは車両制御処理では、ナビゲーション装置30に指令を出力して、ナビゲーション装置30の表示部33や音声出力部35を制御することで、各種報知を実行していたが、報知を行うための表示装置や音声出力装置は、ナビゲーション装置30を構成するものに限らず、車載装置5専用に備えられていても良い。
【符号の説明】
【0160】
1…生体情報管理システム 5…車載装置 10…制御装置 11…ROM 12…RAM 13…CPU 16…記憶装置 17…データ読取装置 18…通信装置 19…ブレーキ制御装置 20…計測装置 21…心電センサ 22…脈波センサ 23…皮膚温センサ 24…血糖値センサ 25…撮影装置 30…ナビゲーション装置 31…位置検出部 32…操作スイッチ部 33…表示部 34…記憶部 35…音声出力部 36…制御部 60…医療機関設置装置群 61…記憶機器 62…音声出力機器 63…表示機器 64…データ書込機器 65…通信機器 66…入力機器 70…制御機器 71…ROM 72…RAM 73…CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行状態を制御する車両制御装置であって、
前記車両の乗員が患者として医療行為を受けた医療機関にて生成され、医療行為に関連する情報を医療情報とし、前記医療情報を取得する医療情報取得手段と、
前記車両の操縦に影響を及ぼす可能性を操縦影響力とし、少なくとも、前記医療情報取得手段で取得した医療情報に基づいて、前記操縦影響力が予め設定された設定値以上であるか否かを判定し、その判定の結果、前記操縦影響力が前記設定値以上であれば、走行時の危険を低下させるように前記車両を制御する車両制御手段と
を備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記医療情報取得手段で取得される医療情報には、複数の項目についての情報が含まれており、
前記車両制御手段は、
前記車両の操縦に影響を及ぼす可能性のある治療に関する情報を強影響力治療情報とし、前記医療情報取得手段で取得された医療情報の中に、前記強影響力治療情報が含まれているか否かを解析し、解析の結果、前記医療情報の中に前記強影響力治療情報が含まれている場合、前記操縦影響力が前記設定値以上であるものとすることを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記医療情報取得手段で取得される医療情報には、前記乗員が実行すべき治療の内容である実行治療情報が含まれており、
予め規定された規定間隔で、車両の乗員から検出される生体信号に基づき、前記乗員の状態を表す生体情報を生成する生体情報生成手段と、
前記生体情報生成手段で生成された生体情報を、記憶部に蓄積する生体情報蓄積制御手段と
を備え、
前記車両制御手段は、
前記記憶部に記憶され、かつ異なるタイミングで前記生体情報生成手段にて生成した生体情報から、それらの生体情報の変化量を導出する変化量導出手段と、
前記車両の操縦に影響を及ぼす可能性のある治療を強影響力治療とし、前記強影響力治療が実行された時に変化すべき生体情報の変動量を基準変動量として、前記変化量導出手段で導出された変化量が、前記基準変動量以上であるか否かを判定することで、前記強影響力治療が実行されたか否かを判定し、判定の結果、前記強影響力治療が実行された場合、前記操縦影響力が前記設定値以上であるものとする治療実行判定手段と
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記医療情報取得手段で取得される医療情報には、前記乗員によって実行される治療の内容が含まれており、
予め規定された規定間隔で、車両の乗員から検出される生体信号に基づき、前記乗員の状態を表す生体情報を生成する生体情報生成手段と、
前記生体情報生成手段で生成された生体情報を、記憶部に蓄積する生体情報蓄積制御手段と
を備え、
前記車両制御手段は、
前記生体情報生成手段で生成した生体情報が、設定された判定閾値以上であるか否かを判定することで、前記操縦影響力を推定する状況推定手段と、
前記記憶部に記憶され、かつ異なるタイミングで前記生体情報生成手段にて生成した生体情報から、それらの生体情報の変化量を導出する変化量導出手段と、
前記車両の操縦に影響を及ぼす可能性のある治療を強影響力治療とし、前記強影響力治療が実行された時に変化すべき生体情報の変動量を基準変動量として、前記変化量導出手段で導出された変化量が、前記基準変動量以上であるか否かを判定することで、前記強影響力治療が実行されたか否かを判定し、その判定の結果、前記強影響力治療が実行された場合、前記強影響力治療が実行されていない時の前記操縦影響力に比べて、前記操縦影響力が大きくなるように、前記判定閾値を設定する閾値設定手段と
を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記生体情報生成手段は、
前記乗員の眼球運動、瞬き、心拍変動、血圧、脈波、顔面画像、脈波伝播時間のうち、少なくとも一つを前記生体情報として生成することを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかに記載の車両制御装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−10501(P2013−10501A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−165911(P2012−165911)
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【分割の表示】特願2008−59636(P2008−59636)の分割
【原出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】