説明

車両前端部アッセンブリおよびその組立方法

車両の前端部アッセンブリは、フレーム部材(12)と、ヘッドライトアッセンブリ(16)と、フェンダ・パネル(14)と、ステー(18)と、を備えることができる。フェンダ・パネル(14)は、ヘッドライトアッセンブリ(16)に沿ってその上に延びるノーズ(22)を含む。ステー(18)は、フェンダのノーズ(22)の内部表面(28)から間隙(6)だけ隔置されると共にフレーム部材(12)に固定された当接面(26)を含む。ステー(18)は、ノーズ(22)がたわんでステー(18)と接触したときに、フェンダのノーズ(22)に加えられた外力をフレーム部材(12)に伝達し、フェンダのノーズ(22)のたわみを制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における開示の対象は、車体パネルの剛性を高めるのに有用な装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両には、車体パネルを固定するフレーム構造体を含むものがある。フレーム構造体は車両に構造的完全性をもたらし、車体パネルは車両の外観表面を規定することができる。従来の車体パネルは、金属、プラスチック、および/または複合材料からなる薄板で形成されている。
【0003】
こういった従来の車体パネルの1つの特徴は、人がもたれたり押したりすることにより、または当たってくる物体からの軽い衝撃力により、場合によってはたわんだり変形したりし易いことである。車体パネルがたわみ易くかつ/または変形し易い場合、車両の知覚品質が不満足であるとみなされることがある。同様に、その塑性限界までたわみ易いまたは変形し易い車体パネルでは、不当な修理コストがかかる可能性もある。特に、車体パネルを押したりもたれたり、または物体が衝突することによって偶発的な負荷が生じると、場合により修理や交換が必要になる。
【0004】
従来の車体パネルでは、車体パネルの軽いたわみまたは変形を防止するために、リベット、ボルト、溶接、接着剤などで1つまたは複数の構造材を車体パネルの内面に固定することにより剛性が高めてきた。しかしながらこの手法では製造が複雑になり、工作機械器具設備(tooling)に対してさらなる資本投資が必要となったり、組立時間が増大したりし、車両重量が増大する可能性もある。
【0005】
また一方、車体パネルの剛性は完璧にすべきではなく、車体パネルには、一定量のエネルギー吸収を可能にする能力が存在する必要がある。例えば、車体パネルおよびそれに取り付けられる任意の構造材の剛性は、軽い力に対しては過大にたわむかつ/または変形することなく十分な耐性を有するべきであるが、衝突時にはたわみ、変形してエネルギーを吸収するような設計もされるべきである。
【0006】
周知の車両前端部は、車両の前部から側部まで湾曲しまたは包むヘッドライトアッセンブリを含む。かかる車両のフェンダは、ヘッドライトアッセンブリの一部分に沿って延びて覆う、前方に配置されたノーズ部分を含むことができる。その結果、かかるフェンダのノーズ部分は、軽い負荷の下で(例えば人がノーズ部分にもたれることから)望ましくないたわみが生じやすい。このようなたわみを制限するために、かかるフェンダのノーズ部分はその下にヘッドライトアッセンブリに固定された支持部材を含むことが知られている。ただし、かかるフェンダ支持部材からヘッドライトアッセンブリに負荷が直ちに伝達されると、ヘッドライトアッセンブリに望ましくない応力が加わる可能性がある。例えば、支持部材の連結位置に隣接するヘッドライトアッセンブリがたわむことにより、ヘッドライトレンズのシール(一般にヘッドライトレンズとヘッドライトハウジングの間に画成されたシール溝に延びる接着接合部)が破損する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、組立、重量、もしくはコスト検討事項に対してマイナスの影響をあまり及ぼすことなく、かつ他の車両構成部品に損害を与えるような負荷を与えることなく、軽いたわみ/変形に耐えるように車体パネルの剛性を高めることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の開示の一態様によると、車両の前端部アッセンブリはフレーム部材、ヘッドライトアッセンブリ、フェンダパネル、およびステーを含むことができる。上記ヘッドライトアッセンブリは、上記フレーム部材に固定され、そこから延びることができる。上記フェンダパネルは、本体、ノーズ、および内面を含むことができる。上記本体は、上記フレーム部材に沿って延び、それに固定されることができる。上記ノーズは、上記本体から延びることができ、上記フレーム部材から隔置し、取り外すことができ、上記ヘッドライトアッセンブリに沿ってその上に延びることができる。上記内面は、少なくとも上記ノーズ部分に沿って延びることができ、上記フレーム部材に面することができる。上記ステーは、上記フレーム部材上の上記本体から隔置された位置に固定されることができ、上記ヘッドライトアッセンブリに固定されることができ、上記フレーム部材から上記内部表面の方に延びることができ、上記内面から一定の間隙だけ隔置することができる。外力が上記ノーズに加えられたときのそのノーズのたわみおよび変形の少なくとも一方を制限するために、上記内面が外力により移動して間隙を通過し上記ステーと係合すると、上記ノーズに加えられた外力を上記ステーにより上記フレーム部材に伝達することができる。
【0009】
本明細書における開示の対象の一態様によると、車両前端部のフェンダを支持する方法が、フレーム、ノーズを含んだフェンダ、ヘッドライトアッセンブリ、およびステーを提供するステップと、上記ノーズが上記フレームから隔置されるように上記フェンダを上記フレームに固定するステップと、上記ヘッドライトアッセンブリを上記フレームにそのフレームと上記ノーズとの間のスペースに隣接して固定するステップと、上記ステーを上記ノーズから一定の間隙だけ隔置するステップと、上記ステーが上記間隙だけ隔置されたときに上記ステーを上記フェンダおよび上記ヘッドライトのそれぞれに固定するステップと、上記ノーズを外力によって移動させて上記間隙を通過させ、上記ステーに接触させるステップと、上記ノーズが上記ステーに接触したときに上記ステーを介して上記外力を上記フレームに伝達するステップと、を備えることができる。
【0010】
本明細書における開示の対象の他の態様によると、車両の前端部の組立方法が、フレーム、主部およびそこから延びるノーズ部分を含んだフェンダ、ヘッドライトアッセンブリ、およびステーを提供するステップと、上記ノーズ部分を上記フレームから一定の距離だけ隔置して上記主部を上記フレームに固定するステップと、上記ヘッドライトアッセンブリを、上記フレームと上記ノーズ部分の間のスペースに隣接して延び、上記ノーズ部分に沿ってその下に延びるように上記フレームに連結するステップと、上記ノーズから上記フレームまでの距離よりもかなり短い間隙だけ、上記ステーを上記ノーズから隔置するステップと、上記ステーが上記間隙だけ隔置されたときに上記ステーを上記フレーム部材および上記ヘッドライトアッセンブリのそれぞれに固定するステップと、を備えることができる。
【0011】
本明細書における開示の対象の他の態様によると、車両のためのフェンダアッセンブリが、本体およびノーズ部分を含んだフェンダを備えることができ、上記本体が上記車両のフレームに固定され、上記ノーズ部分が、上記本体から上記車両のヘッドライトアッセンブリに沿ってその上に延びる。上記車両のためのフェンダアッセンブリはまた、外部負荷によって上記フェンダのノーズ部分がたわんだときに上記フェンダのノーズ部分と接触するように配置された当接面を含んだフェンダ支持部材を備えることができ、上記ノーズ部分のたわみが制限されるように上記フェンダのノーズ部分に加えられた負荷を上記車両フレームに伝達するために、上記フェンダ支持部材が、上記車両フレームの主取付位置に固定される本体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本明細書における開示の対象の原理に従って作られた車両前端部の一部分の平面図である。
【図2】図1の線A−Aに沿った断面図である。
【図3】図1に示されているフェンダステーの斜視図である。
【図4】本明細書における開示の対象の原理に従って作られたフェンダステーの別の例の斜視図である。
【図5】図1のフェンダステーを図4のフェンダステーに置き換えた、図1の線A−Aに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本明細書における開示の対象について、例として示される装置および方法の例示的実施形態と添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本明細書における開示の対象の原理に従って作られた車両前端部10の実施形態を示している。図1は車両前端部10の左側すなわち米国の運転手側部分を示している。車両前端部10の右側部分は、左側部分の鏡像として構成することができ、詳細に説明せず、図面の図にも示さない。
【0015】
図1および2を参照すると、前端部10は、フレーム部材12、フェンダパネル14、ヘッドライトアッセンブリ16、およびステー18などのフェンダ支持部材を含むことができる。フェンダパネル14およびヘッドライトアッセンブリ16は、図1に見やすいように想像線で示されている。前端部10のフード20は、見やすいように図1から省略されている。フェンダパネル14は、Aピラー(図示せず)からバンパ(図示せず)まで、かつフード20(図2のみ)の下にまたがる車両の外観表面を画成することができる。ヘッドライトアッセンブリ16は、車両の前面に沿って延びることができ、フード20から下方に隔置されかつフェンダパネル14の外側表面とほぼ(厳密に、またはほとんど)同一平面の位置でその一部分が車両の外側側部に沿って延びるように、車両の左前コーナを包み込むことができる。
【0016】
フェンダパネル14のノーズ22は、フード20とヘッドライトアッセンブリ16の少なくとも一部分との間に延びることができる。人が全般に下方かつ/またはフレーム部材12の方向にノーズ22を押すまたはそれにもたれた場合、あるいはそういった方向に物体がノーズ22に軽い力で衝突した場合に、フレーム部材12がノーズ22のたわみおよび/または変形を直ちに制限できないように、ノーズ22をフレーム部材12から隔置することができる。
【0017】
ステー18は、任意の適した方法でフレーム部材12に固定することができ、フェンダパネル14のノーズ22のたわみおよび/または変形を十分に制限できるようフレーム部材12からノーズ22の方に延びるように構成、寸法決めすることができる。図1および2に示されている実施形態では、ステー12はファスナアッセンブリ24によってフレーム部材12に固定することができる。
【0018】
図2を参照すると、ステー18は、ノーズ22の内面28に近接してそこから隔置できる当接面26を含むことができる。ノーズ22に加えられた力により、ノーズ22は、内面28と当接面26の間の間隙(矢印Gで示す)内に移動またはその間隙を通過し、最終的に当接面26に接触することができる。間隙Gは、ノーズ22の望ましくない大きなたわみおよび/または変形を防止する一方、ノーズ22の小さな弾性たわみを可能にするように寸法決めすることができる。この望ましくないたわみの量は、ノーズ22のたわみの弾性範囲内の量にすることができ、あるいは十分にその範囲内に収まる量にすることができる。単なる例として、間隙Gは3.7mmにほぼ等しくすることができる。
【0019】
ステー18の当接面26が第1の領域を画成し、フェンダ14のノーズ22の内面が第2の領域を画成する。この当接面の領域全体を、ノーズ22がステー18の方へ弾性変形している間の一貫した支持を実現するために、ノーズ22の内面の第2の領域の少なくとも一部分とほぼ平行に延びるよう構成することができる。第1の領域と第2の領域の比は5%〜100%の間の値をとることができる。特に、上記当接面の第1の領域は、たわみ中のノーズ22に対する十分な支持を実現するために、ノーズ22の第2の領域の少なくとも10%になるよう構成することができる。当然ながら、比をそれより高くすると(例えば20〜40%以上)より大きな支持を実現できるが、製造コストが高くなり、車両内で占める場所が大きくなるはずである。この特定の比は、特定の車両を設計する際の様々な要因に応じて決定することができる。
【0020】
上記領域を定義するために、ノーズ22の第2の領域は、フェンダ14の、車両内のヘッドライトアッセンブリ16の上方のそれに沿って延びる部分だけと境界を接しているとみなすことができる。当接面26の第1の領域は、当接面26の、ノーズ22の内面とほぼ平行に延びる全範囲とみなすことができる。
【0021】
図3を参照すると、ステー18は、本体30を含むことができる。当接面26は、本体30の一方の端部に形成することができ、取付穴32が、当接面26と対向する本体30のもう一方の端部に本体30を貫いて延びることができる。図2に示されているように、ファスナアッセンブリ24が、取付穴32と、フレーム部材12に形成された取付穴13を貫通することができる。本体30およびファスナアッセンブリ24により、ノーズ22の内面28が当接面26と係合したときにノーズ22に加えられる力をフレーム部材12に伝達できる負荷経路を規定することができる。本体30は、人がノーズ22にもたれる、または押したときに、あるいは物体がノーズ22に軽い力で衝突したときにたわむかつ/または変形することなくノーズ22からフレーム部材12へ力を伝達するのに十分な剛性を有することができる。
【0022】
フレーム部材12へのステー18の組み立てを容易にするために、ステー18は、本体取付穴32をフレーム部材取付穴13の上に位置合わせするための第1ロケータ42および第2ロケータ44を含むことができる。下記に詳細に説明するように、第1および第2ロケータ42、44は、ステー18についてと、ステー18を取り付ける前にフレーム部材12に固定されている前端部10の別の構成部品について、それぞれ協働構造を含むことができる。第1および第2のロケータによりステー18をフレーム部材12に対して配置すると、組立者がファスナアッセンブリ24のねじ付きボルト25をさらに調節することなく取付穴13、32に挿通できるように、本体取付穴32をフレーム部材取付穴13に自動的に位置合わせすることができる。第1および第2ロケータは、本体取付穴32をフレーム部材取付穴13に適切に位置合わせし、間隙Gのための所定の距離を設けることができるように任意の製造公差に対応するよう構成、寸法決めすることができる。
【0023】
第1ロケータ42は、ステー18の位置を車両の横方向および長手方向に固定することができる。この固定を実現するために、第1ロケータ42は、フレーム部材12(またはフレーム部材12に対して固定された別の車両構成部品15)に形成された基準取付穴(図からは見えない)と、ステー18に形成された第1ロケータ穴31と、ヘッドライトアッセンブリ16の第1のヘッドライト取付ブラケット17に形成されたヘッドライトロケータ穴(図からは見えない)と、プラスチックロケータクリップ19とを含むことができる。第1ロケータ穴31は、本体取付穴32から隔置することができる。プラスチックロケータクリップ19は、第1ロケータ穴31、ヘッドライトロケータ穴、および基準取付穴に挿通することができる。ステー18は、車両アッセンブリに対するその衝撃を、基準取付穴およびロケータクリップ19をヘッドライトアッセンブリ16と共有することによって最小にすることができる。
【0024】
第2ロケータ44は、ステー18の位置を車両の横方向に対して固定することができる。例えば、第2ロケータ44は、第2ロケータ穴34および基準ピン36を含むことができる。図3に示されているように、第2ロケータ穴34は、ステー18の、本体取付穴32および第1ロケータ穴31のそれぞれから隔置された位置に形成することができる。基準ピン36は、ヘッドライトアッセンブリ16の第2のヘッドライト取付ブラケット38に形成することができる。第1ロケータによってステー18をフレーム部材12に対して配置すると、第2ロケータ穴34の位置が基準ピン36と合うまで、そのステー18を第1ロケータの周りに回転させることができる。次いで、図1に示されているように基準ピン36が第2ロケータ穴34を貫通して延びるように、ステー18を第2のヘッドライト取付ブラケット38に対して下げることができる。
【0025】
基準ピン36を第2ロケータ穴34に挿通させると、本体取付穴32が取付穴13(図2)に自動的に位置合わせされる。その後、ねじ付きボルト25を取付穴32、13に挿通させてからファスナアッセンブリ24のナット27で締め付けることによって、ステー18をフレーム部材12に固定することができる。
【0026】
図3を参照すると、ステー18は、本体30の、当接面26に隣接する一方の端部から延びるアーム40を含むことができる。アーム40は第1ロケータ42のフランジを含むことができる。第1ロケータ42のフランジを貫いて第1ロケータ穴31を形成することができる。図のように、第1ロケータ42は、アーム40の、本体30から最も離れた端部に配置することができる。
【0027】
図のように、ステー18の第2ロケータ44もまたフランジを含むことができる。第2ロケータ44のフランジは、本体30の、アーム40が延びる端部と対向する端部における、アーム40が延びる側部と対向する側部から、延びることができる。第2ロケータのフランジは本体30上の本体取付穴32の近くに配置することができる。第2ロケータ44のフランジを貫いて第2ロケータ穴34を形成することができる。
【0028】
ステー18は、プラスチック材料から均質の単一構成部品として一体的に成形することができる。例示的実施形態では、ステー18をプラスチック材料の射出成形で製造することができる。したがって、ステー18は容易に製造することができ、車両への重量追加を最小限にすることができる。ただしステー18の製造には、押出成形、鋳造、金型成形などのその他のプロセスを利用したり、金属、セラミックなどのその他の材料を利用したりすることもできる。
【0029】
図2および3を参照すると、本体30は、I形鋼と同様の断面構造を有することができる。つまり、本体30は、ウェブ46およびその外周に延びる周壁48を含むことができる。ウェブ46は、周壁48にその上縁と下縁の中間で連結することができる。ウェブ46の大部分は、一方の端部で傾斜部分50とほぼ平面状にすることができる。傾斜部分50は、ウェブ46のほぼ平面の部分に対して傾斜した角度で延びることができる。周壁48は、ウェブ46のほぼ平面の部分に対してほぼ垂直に延びることができる。周壁48の隣接部分52が、当接面26を画成することができ、ウェブ46のほぼ平面の部分に対して傾斜して延びることができる。隣接部分52は、ウェブ46の傾斜部分50に当接し、そこからほぼ垂直に延びることができる。
【0030】
周壁48の湾曲部分54が、本体30からアーム40へ移行するように湾曲することができる。湾曲部分54は、本体30とのアーム40の接合部全体に沿って延びることができる。さらに湾曲部分54は、ウェブ46の傾斜部分50に当接することができる。
【0031】
図2および3の例示的実施形態では、本体30は、複数の横方向のリブ56、58、60、62、長手方向のリブ64、および連結リブ66を含む。リブ56、58、60、62、64、66はウェブ46の剛性を高めることができる。リブの数と、各リブのウェブ46/周壁48/残りの各リブに対する向きは、本体30の所望の剛性を得るように値を変えることができる。
【0032】
複数の横方向のリブ56、58、60、62は、ウェブ46の上部表面および下部表面を横切って延び、本体30の長手方向に示されているように周壁48上のそれぞれ対向する位置に間隔をあけて当接することができる。横方向のリブ56、58、60、62はそれぞれ、周壁48に対して、ならびに互いに対して一定の角度で延びることができる。
【0033】
図3に示されているように、長手方向のリブ64は、第1の横方向のリブ56から周壁48の隣接部分52まで延びることができる。長手方向のリブ64は、横方向のリブ56、58、60、62とそれぞれの鈍角で交差することができる。この実施形態では、長手方向のリブ64はほぼ直線状であり、曲線部分68を含む。曲線部分68は、ウェブの傾斜部分50に沿って延び、周壁48の隣接部分52に当接する。
【0034】
連結リブ66は、第1の横方向のリブ56から第2の横方向のリブ58まで延びるように構成することができる。連結リブ66は、第1の横方向のリブ56に、その第1の横方向のリブ56と周壁48との接合部の近くで当接することができる。連結リブ66はまた、第2の横方向のリブ58に、その第2の横方向のリブ58と長手方向のリブ64との交点で当接することができる。図3に示されているように、連結リブ66は、第1の横方向のリブ56からほぼ直角に延び、第2の横方向のリブ58および長手方向のリブ64と鈍角で交差することができる。
【0035】
本体30は、ウェブ46に沿って間隔をあけてそのウェブ46を貫いて形成された複数のドレイン穴70を含むことができる。このドレイン穴70により、本体30から車両の運転中にそこに蓄積された流体を排出することが可能になる。ドレイン穴70は、特定の設計要件に応じて様々な位置に配置することができる。例えば、横方向のリブ56、58、60、62のそれぞれに沿った位置や、長手方向のリブ64と横方向のリブ56、58、60、62との交点、連結リブ66と第1の横方向のリブ56との交点、第2の横方向のリブ58との連結リブ66と長手方向のリブ64との交点などにドレイン穴70を設けることができる。ドレイン穴70はまた、周壁48の隣接部分52に沿って、ウェブ46を貫いて形成することもできる。
【0036】
アーム40は、アームウェブ72、側壁76、78の対、および中心リブ80を含むことができる。側壁76、78は、中心リブ80と協働してアーム40の剛性を高めるように構成することができる。
【0037】
アームウェブ72は、周壁48の湾曲部分54に一体的にまたはその他の方法で連結することができる。アームウェブ72は、そのアームウェブ72の、周壁48の湾曲部分54に対向する端部で、傾斜部分74とほぼ平面状にすることができる。傾斜部分74は、第1ロケータ42に当接することができる。
【0038】
この実施形態の側壁76、78の対は、アームウェブ72の両側部と接する。側壁76、78は、第1ロケータ42から周壁48まで延びる。第1の側壁76は、第3の横方向のリブ60と位置合わせすることができる。第2の側壁78は、周壁48の隣接部分52に当接することができる。
【0039】
中心リブ80は、第1ロケータ42から周壁48まで延びることができ、アームウェブ72の傾斜部分74に沿って延びることができる。中心リブ80は、示されている実施形態では第4の横方向のリブ62と位置合わせされる。
【0040】
図4および5を参照すると、例示的実施形態によるフェンダステー118が示されている。フェンダステー118は、普通ならステーの上面に存在する水トラップ位置を限定するためにほぼ同じ高さの上側表面119、121、123を含んでいる点が図1〜3のステー18と異なる。ステー18と同様に、ステー118は、そのフェンダステー118を車両のフレーム部材に固定するためにファスナを受けるための取付穴132を画成する本体130を含む。ただし、図5に示されているように、本体は、取付穴に隣接する、ステー18のものと比較して厚みが増した部分131を含む。この領域の増した厚みは、フェンダステー118の主取付位置近傍の補強に役立つ。
【0041】
その他の点では、フェンダステー118は、構造および機能の点でステー18とほぼ同様である。フェンダステー118は、第1ロケータ142および第1ロケータ穴131を画成するアーム140を含む。フェンダステー118は、第2ロケータ穴134を画成する第2ロケータ144を含む。ステー18と同様に、フェンダステー118は、フェンダ14の内面と相補形をなす当接面126を含む。フェンダステー118はまた、周壁148、アーム140上の中心リブ180、および本体130上のリブ156、158、160を含む(図5参照)。
【0042】
本明細書における開示の対象の特定の実施形態について上記で説明したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなしに多数の様々な方法で本発明を実施、構成できることを理解されたい。例えば、ステー18は、箱形やCチャネル形などの他の断面形状を有することができる。ステー18は、リベット、溶接、接着剤、およびそれらの組合せなどのその他様々な適当な構造および材料でフレーム部材に固定することができる。さらに、第1および第2ロケータに、ノッチや嵌合突起機構やデテントアッセンブリなどのその他の嵌合係合を使用することもできる。第1および第2ロケータがステー18に含まれないことも考えられる。必要なら当接面26がある程度上方に向くように、フレーム12から延びるステー18の向きに水平成分だけでなく垂直成分を含めることもできる。各図面に示されているステー18上には1箇所の連結位置および2箇所の基準位置が存在するが、連結位置の数は増やすことができるよう企図されており、基準位置の数は所望の製造プロセスに応じて増やしたり減らしたり、無くすこともできる。
【0043】
本明細書の対象についてその例示的実施形態を参照して詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱することなしに様々な変更を行い、均等物を用いることができることが当業者には明らかだろう。上記の背景技術の項で述べた関連技術の全参考文献は、その全体を参照によりここに援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム部材と、前記フレーム部材に固定されて前記フレーム部材から延びるヘッドライトアッセンブリと、フェンダ・パネルと、ステーと、を備える、車両前端部アッセンブリであって、
前記フェンダ・パネルが、
前記フレーム部材に沿って延び、前記フレーム部材に固定される本体と、
前記本体から延び、前記フレーム部材から隔置され、前記ヘッドライトアッセンブリに沿って前記ヘッドライトアッセンブリ上で延びるノーズと、
前記ノーズに沿って延び、前記フレーム部材に面する内面と、を含み、
前記ステーが、前記フェンダ・パネルの前記本体から隔置された位置で前記フレーム部材に固定され、前記ステーが、前記フレーム部材から前記フェンダの前記ノーズの前記内面の方へ延び、
前記ステーが、前記ノーズが非弾性的にたわむより前に前記ステーと前記ノーズの内面との間で接触が生じるように寸法決めされた間隙だけ前記ノーズの前記内面から分離され、
前記ステーが、前記ノーズのたわみを制限するために、前記ステーと前記ノーズとの間の接触に続いて前記ノーズに加えられた外力を前記フレーム部材に伝達するようになっている、前端部アッセンブリ。
【請求項2】
前記ステーが、前記フェンダの前記ノーズから前記間隙だけ隔置された当接面を含み、
前記当接面が、前記フェンダの前記ノーズの一部がたわんだときに前記ノーズの前記内面に接触するよう構成され、
前記当接面が、前記フェンダの前記ノーズの前記内面と略平行に延びる、請求項1に記載の前端部アッセンブリ。
【請求項3】
前記当接面が第1の領域を画成し、前記フェンダの前記ノーズの前記内面が第2の領域を画成し、
前記当接面の前記第1の領域全体が、前記内面の前記第2の領域の少なくとも一部と略平行に延び、
前記第1の領域が前記第2の領域の少なくとも5%である、請求項1に記載の前端部アッセンブリ。
【請求項4】
前記当接面が、前記ノーズの前記内面と相補形をなす、請求項2に記載の前端部アッセンブリ。
【請求項5】
前記ステーを前記フレーム部材に固定するように構成されたファスナと、
前記ファスナから隔置された第1ロケータと、をさらに備え、
前記第1ロケータが、
前記ヘッドライトアッセンブリに設けられた第1基準部材と、
前記ステーに設けられた第1ロケータ部材と、を含み、
前記第1ロケータ部材が、前記第1基準部材と係合して、前記ステーを前記フレーム部材に対して前記車両の長手方向および横方向にそれぞれ位置決めするように構成される、請求項1に記載の前端部アッセンブリ。
【請求項6】
前記第1ロケータがロケータ・クリップを含み、
前記第1基準部材が、前記ヘッドライトアッセンブリおよび前記フレーム部材のそれぞれに形成された基準穴を含み、
前記第1ロケータ部材が第1ロケータ穴を含み、
前記ロケータ・クリップが、前記基準穴および前記第1ロケータ穴のそれぞれを貫いて延びる、請求項5に記載の前端部アッセンブリ。
【請求項7】
前記ステーが、
前記ノーズが前記ステーと係合したときに前記外力を前記ノーズから前記フレーム部材まで伝達するステー本体と、
前記ステー本体に連結され、前記第2の端部から隔置された、第1ロケータ部材と、
前記ステー本体に連結され、前記ヘッドライトアッセンブリと係合して、前記フレーム部材に対して前記横方向に前記ステーを位置決めする第2ロケータ部材と、をさらに含み、
前記ステー本体が、
前記ノーズの前記内面に隣接し、前記ノーズの前記内面から前記間隙だけ隔置された第1の端部と、
前記第1の端部から隔置されて前記第1の端部と対向する、前記フレーム部材に固定された第2の端部と、を有し、
前記第2ロケータ部材が、前記ヘッドライトアッセンブリと係合して、前記フレーム部材に対して前記車両の横方向および長手方向のそれぞれに前記ステーを位置決めする、請求項1に記載の前端部アッセンブリ。
【請求項8】
前記ヘッドライトアッセンブリが、
ブラケット穴を有する第1の取付ブラケットと、
前記第1の取付ブラケットを前記フレーム部材に固定するために前記ブラケット穴を貫いて前記フレーム部材内に延びるクリップと、
前記第1の取付ブラケットから隔置され、前記フレーム部材に固定される第2の取付ブラケットと、を含み、
前記第1ロケータ部材が前記ブラケット穴と位置合わせされた第1ロケータ穴を有し、前記クリップが前記第1ロケータ穴を貫いて延びる、請求項7に記載の前端部アッセンブリ。
【請求項9】
前記第2の取付ブラケットがロケータピンを含み、
前記第2ロケータ部材が、前記ロケータピンと係合する第2ロケータ穴を含む、請求項8に記載の前端部アッセンブリ。
【請求項10】
ファスナをさらに備え、
前記フレーム部材が取付穴を含み、
前記ステーが、前記第2の端部を貫いて形成された取付穴を含み、
前記ファスナが、前記フレーム部材を前記ステーに固定するために、前記フレーム部材取付穴およびステー取付穴のそれぞれを貫いて延びる、請求項9に記載の前端部アッセンブリ。
【請求項11】
前記ステー本体が、略平坦なウェブと、前記ウェブの周辺に連結されて前記ウェブの周辺の周りに延びる周壁と、をさらに有し、
前記周壁が前記第1の端部に当接面を有し、前記当接面が前記ノーズの前記内面から前記間隙だけ隔置され、前記当接面が前記ノーズの前記内面と相補的であり、
前記第1ロケータおよび前記第2ロケータのそれぞれが前記周壁に連結され、
前記当接面および前記ウェブが、前記ノーズが前記ステーと係合したときに前記外力が伝達される負荷経路を定める、請求項7に記載の前端部アッセンブリ。
【請求項12】
前記ステー本体が、
間隔をあけて前記ウェブを横切って延び、前記周壁に当接する複数の横方向のリブと、
前記複数の横方向のリブのうちの1つから前記周壁上の前記当接面を形成する位置まで延び、前記複数の横方向のリブのそれぞれと交差する長手方向のリブと、
前記複数の横方向のリブのうちの1つから前記複数の横方向のリブのうちの他の1つまで延び、前記長手方向のリブに当接する連結リブと、をさらに含む、請求項11に記載の前端部アッセンブリ。
【請求項13】
前記ステーが、
前記ステー本体の一方の側部に沿って、前記第1の端部および前記当接面に隣接する前記周壁に連結された第2のウェブと、
前記第2のウェブの第1および第2の側部に沿って延びる第1および第2の側壁と、を含み、
前記第1の壁が前記複数の横方向のリブのうちの1つと位置合わせされ、前記第2の側壁が前記当接面に当接し、
前記第1の側壁と前記第2の側壁の中間位置で前記第2のウェブを横切って中心リブが延び、
前記第1ロケータが前記第2のウェブに連結された第1フランジを有し、
前記第1ロケータ穴が前記第1フランジを貫いて形成され、
前記第2ロケータが、前記第2のウェブに対向する前記ステー本体の側部にあり前記第2の端部に隣接した、前記周壁に連結された第2フランジを含み、前記第2フランジが前記周壁および前記略平坦なウェブから延び、
前記第2ロケータ穴が前記第2フランジを貫いて形成される、請求項12に記載の前端部アッセンブリ。
【請求項14】
車両フレームに固定された本体と、前記車両のヘッドライトアッセンブリに沿って前記本体から前記車両のヘッドライトアッセンブリの上に延びるノーズ部分と、を含むフェンダと、
外部負荷によって前記フェンダのノーズ部分がたわんだときに前記フェンダ・ノーズ部分と接触するように配置された当接面を含むフェンダ支持部材と、を備える、車両フェンダアッセンブリであって、
前記フェンダ支持部材が、前記フェンダのノーズ部分のたわみを制限するように、主取付位置で前記車両フレームに固定されて前記ノーズ部分に加えられた負荷を前記車両フレームに伝達する本体を含む、車両フェンダアッセンブリ。
【請求項15】
前記フェンダ支持部材が、前記フェンダ支持部材を前記車両フレームに対して位置決めするために第1基準部材および第2基準部材とそれぞれ係合するようになっている第1ロケータおよび第2ロケータを含み、
前記基準部材のそれぞれが、前記ヘッドライトアッセンブリおよび前記車両フレームのうちのいずれか一方に配置され、
前記フェンダ支持部材から前記ヘッドライトアッセンブリへの負荷の伝達が制限されるように、前記フェンダ支持部材に加えられた前記外部負荷の大部分が前記フェンダ支持部材から前記車両フレームへと前記主取付位置で伝達されるように、前記フェンダ支持部材が配置される、請求項14に記載のフェンダアッセンブリ。
【請求項16】
前記フェンダ支持部材の前記第1ロケータが、前記ヘッドライトアッセンブリによって画成された基準穴で受けるようになっているロケータ・クリップを含む、請求項15に記載のフェンダアッセンブリ。
【請求項17】
前記フェンダのノーズ部分が無負荷状態にあるときに前記支持部材と前記フェンダのノーズ部分の間に間隙が画成されるように、前記フェンダおよび前記支持部材が配置され、
外部から加えられた負荷が前記フェンダ支持部材から前記車両フレームに伝達されるまで、前記フェンダのノーズ部分のたわみ量を前記間隙によって制限することができる、請求項14に記載のフェンダアッセンブリ。
【請求項18】
フレームと、主部および前記主部から延びるノーズ部分を含むフェンダと、ヘッドライトアッセンブリと、当接面を含むステーと、を準備するステップと、
前記フェンダの前記ノーズ部分が前記フレームからある距離だけ隔置されるように、前記フェンダの前記主部を前記フレームに固定するステップと、
前記ヘッドライトアッセンブリが前記フェンダの前記ノーズ部分に沿って前記ノーズ部分の下に延びるように、前記ヘッドライトアッセンブリを前記フレームに連結するステップと、
前記フェンダの前記ノーズから前記フレームまでの距離よりもかなり短い間隙距離だけ、前記フェンダの前記ノーズから前記ステーの前記当接面を隔置するステップと、
前記ステーの前記当接面が前記フェンダの前記ノーズから前記間隙距離だけ隔置されるように、前記フレーム部材に前記ステーを固定するステップと、を備える、車両前端部の組立方法。
【請求項19】
前記ステーの前記当接面を隔置するステップが、前記ヘッドライトアッセンブリを基準として使用して前記ステーを前記フレームに対して位置合わせするステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ステーを位置合わせするステップが、
前記ヘッドライトアッセンブリに第1基準部材および第2基準部材を設けるステップと、
前記ステーに第1ロケータ部材および第2ロケータ部材を設けるステップと、
前記第1基準部材を前記第1ロケータ部材と係合させるステップと、
前記第1ロケータ部材が前記第1基準部材と係合しているときに、前記第2基準部材を前記第2ロケータ部材と係合させるステップと、を含み、
前記ステーを固定するステップが、前記第2ロケータが前記第2基準部材と係合しているときに前記ステーおよび前記フレームのそれぞれにファスナを締め付けるステップを含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−506345(P2012−506345A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533291(P2011−533291)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/061450
【国際公開番号】WO2010/048266
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】