説明

車両前部の構造

【課題】フロントグリルとヘッドランプとフェンダーパネルとの組立作業を改善し、フロントグリルとフェンダーパネルとの間の位置決め精度を高め、優れた外観を有する車両前部の構造を提供する。
【解決手段】車両前面に配置されるフロントグリル2と、車両側面に配置され、フロントグリル2に隣接するフェンダーパネル4と、フロントグリル2の車両前方表面2a上に設けられ、かつフロントグリル2の車幅方向側縁部2b近傍に配置されるヘッドランプ3と、ヘッドランプ3のハウジング10とを備える車両前部1の構造において、ヘッドランプ3の前部3a周縁がフロントグリル2に取り囲まれ、フロントグリル2がフェンダーパネル4側の側縁部2bにフェンダーパネル4に向かって突出する突起部9を備え、ハウジング10がフェンダーパネル4側の側部にフェンダーパネル4に向かって突出する係合部11を備え、係合部11が突起部9と係合可能に構成される、車両前部1の構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントグリルとフェンダーパネルとヘッドランプとを備える車両前部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な車両前部の構造では、車両の前面の車幅方向の両端にヘッドランプがそれぞれ設けられ、各ヘッドランプ間にフロントグリルが設けられている。
【0003】
このような車両前部の構造について、特許文献1では、一対のヘッドランプのランプハウジングを、フロントグリルの車幅方向の両側縁部にそれぞれ取付ける構造が開示されている。詳細には、フロントグリルの上縁全体にフランジが設けられ、フロントグリルの両側縁部の車両下方寄りに係止片がそれぞれ設けられている。一方で、フロントグリルと隣接するランプハウジングの車幅方向の側部には、フランジの車幅方向の端部に対応して座板が設けられ、さらにフロントグリルの係止片に対応して係止枠が設けられている。
【0004】
このようなランプハウジングの座板および係止枠が、ねじによって、フロントグリルのフランジの端部および側縁部の係止片にそれぞれ取付けられて、ランプハウジングがフロントグリルに取付けられることとなる。また、車両の車幅方向の側面に設けられるフェンダーパネルは、一般的に、このようなヘッドランプの車幅方向の外側に隣接して配置されている。
【特許文献1】特開2001−213252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両前部の構造においては、デザイン上、フロントグリルからフェンダーパネルまでの外観を滑らかに繋げて、外観に一体感を出す必要がある。しかしながら、特許文献1の車両前部の構造では、フロントグリルとフェンダーパネルとの間にヘッドランプが配置されている。そのため、ヘッドランプの位置決め精度などの低下によって、フロントグリルからフェンダーパネルまでの外観の一体感がなくなり、車両の前部の外観が損なわれるおそれがある。
【0006】
また、特許文献1の車両前部の構造では、ヘッドランプとフェンダーパネルとの間に見切部が形成されることとなる。この見切部は、特に、デザイン上、フロントグリルからフェンダーパネルまでの外観を滑らかに繋げて、外観に一体感を出すために重要である。しかしながら、この見切部の幅は、フロントグリルとヘッドランプとの間の位置精度などによるバラツキや、組立作業時にヘッドランプとフェンダーパネルとの接触を防ぐことを考慮すると、大きくする必要がある。この見切部の幅が大きい場合、見切部から車両の内部が見え、車両の外観が損なわれるおそれがある。
【0007】
さらに、特許文献1の車両前部の構造では、組立やメンテナンスに際して、フロントグリルとヘッドランプとの位置決めのために、座板およびフランジの端部の取付と、係止枠および係止片の取付とのためにねじ止めをする必要がある。このねじの脱着作業は、煩雑であり、省略することが望ましい。
【0008】
そこで、本発明の目的は、フロントグリルとヘッドランプとフェンダーパネルとの間の位置決め精度を高め、外観を改善し、組立性を改善するように構成された車両前部の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
課題を解決するために本発明の車両前部の構造は、車両の前面に配置されるフロントグリルと、前記車両の車幅方向の側面に配置され、かつ車両前方で前記フロントグリルに隣接するフェンダーパネルと、前記フロントグリルの車両前方の表面上に設けられ、かつ前記フロントグリルの車幅方向の側縁部近傍に配置されるヘッドランプとを備えている車両前部の構造において、前記ヘッドランプの前部周縁が前記フロントグリルに取り囲まれており、前記フロントグリルが前記フェンダーパネル側の前記側縁部に前記フェンダーパネルに向かって突出する突起部を備え、前記ヘッドランプに設けられるハウジングが前記フェンダーパネル側の車幅方向の側部に前記フェンダーパネルに向かって突出する係合部を備え、前記係合部が前記フロントグリルの突起部と係合可能に構成されている。
【0010】
本発明の車両前部の構造では、前記ハウジングと前記フェンダーパネルとの第1取付部が、前記フロントグリルの車両上方に配置されるフードに隣接して設けられ、前記ハウジングと前記フェンダーパネルとの第2取付部が、前記フロントグリルの車両下方に配置されるバンパーに隣接して設けられ、前記フロントグリルの突起部と前記ハウジングの係合部とが、前記第1取付部と前記第2取付部との間で、かつ前記フェンダーパネルと前記フロントグリルとの見切部近傍で係合している。
【0011】
本発明の車両前部の構造では、前記ハウジングの係合部が前記フロントグリルの突起部と係合するための爪部を備え、前記爪部が前記フェンダーパネルに向かって撓むことができるように構成されている。
【0012】
本発明の車両前部の構造では、前記突起部より前記フェンダーパネル側に位置し、かつ前記見切部に対応する前記係合部の部分が、前記フェンダーパネルの車両前方の前縁部に設けられるフランジによって覆われている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両前部の構造によれば、以下の効果を得ることができる。本発明の車両前部の構造は、車両の前面に配置されるフロントグリルと、前記車両の車幅方向の側面に配置され、かつ車両前方で前記フロントグリルに隣接するフェンダーパネルと、前記フロントグリルの車両前方の表面上に設けられ、かつ前記フロントグリルの車幅方向の側縁部近傍に配置されるヘッドランプとを備えている車両前部の構造において、前記ヘッドランプの前部周縁が前記フロントグリルに取り囲まれており、前記フロントグリルが前記フェンダーパネル側の前記側縁部に前記フェンダーパネルに向かって突出する突起部を備え、前記ヘッドランプに設けられるハウジングが前記フェンダーパネル側の車幅方向の側部に前記フェンダーパネルに向かって突出する係合部を備え、前記係合部が前記フロントグリルの突起部と係合可能に構成されている。そのため、前記フロントグリルと前記フェンダーパネルとが隣接して配置されることによって、前記フロントグリルから前記フェンダーパネルまでの外観が滑らかに繋がって、外観に一体感が得られることとなる。また、前記ヘッドランプと前記フェンダーパネルとの間の狭いスペースでも、前記フロントグリルの突起部を前記ハウジングの係合部と係合することによって、前記フロントグリルと前記ヘッドランプとを位置決めできる。そのため、前記フロントグリルが前記フェンダーパネルの近傍で位置決めされることとなり、前記フロントグリルと前記フェンダーパネルとの間の位置決め精度を高めることができる。また、前記見切部近傍で、前記フロントグリルと前記ヘッドランプのハウジングとが位置決めされるため、前記フロントグリルと前記フェンダーパネルとの接触を防止しながら、前記フロントグリルを取付けることができる。従って、前記フロントグリルと前記フェンダーパネルとの前記見切部の幅を小さくすることができる。よって、前記車両の内部が前記見切部から見え難くなり、前記車両の外観が向上することとなる。さらに、前記フロントグリルと前記ヘッドランプとの位置決めに際して、クリップ、ねじ、ボルトなどを用いる必要がなく、前記フロントグリルと前記ヘッドランプとの組立作業が、容易になり、改善されることとなる。
【0014】
本発明の車両前部の構造では、前記ハウジングと前記フェンダーパネルとの第1取付部が、前記フロントグリルの車両上方に配置されるフードに隣接して設けられ、前記ハウジングと前記フェンダーパネルとの第2取付部が、前記フロントグリルの車両下方に配置されるバンパーに隣接して設けられ、前記フロントグリルの突起部と前記ハウジングの係合部とが、前記第1取付部と前記第2取付部との間で、かつ前記フェンダーパネルと前記フロントグリルとの見切部近傍で係合しており、前記見切部が車幅方向で前記第1取付部および前記第2取付部の近傍に配置され、かつ前記第1取付部および前記第2取付部によって上下方向で確実に保持されることとなる。そのため、前記ヘッドランプと前記フェンダーパネルとの間の位置精度が向上し、前記ヘッドランプに取付けられた前記フロントグリルと前記フェンダーパネルとの前記見切部の位置精度もまた向上することとなる。その結果、前記見切部近傍で、前記フロントグリルと前記ヘッドランプのハウジングとが位置決めされるため、前記フロントグリルと前記フェンダーパネルとの接触を防止しながら、前記フロントグリルを取付けることができる。従って、前記フロントグリルと前記フェンダーパネルとの前記見切部の幅を小さくすることができる。よって、前記車両の内部が前記見切部から見え難くなり、前記車両の外観が向上することとなる。さらに、前記フロントグリルの位置決めに用いられる前記ハウジングが、前記フードおよび前記フロントバンパの近傍で取付けられるため、前記フロントグリルと、前記ヘッドランプと、前記フェンダーパネルと、前記フードと、前記フロントバンパとの間の位置決め精度を高めることができる。
【0015】
本発明の車両前部の構造では、前記ハウジングの係合部が前記フロントグリルの突起部と係合するための爪部を備え、前記爪部が前記フェンダーパネルに向かって撓むことができるように構成されており、前記フロントグリルと前記ヘッドランプとの位置決めのために、前記フロントグリルと前記ヘッドランプとを留める際に、前記ヘッドランプと前記フェンダーパネルとの間に前記爪部の撓み量分スペースを確保すれば十分となる。そのため、前記ヘッドランプと前記フェンダーパネルとの間のスペースを狭くすることができ、前記見切部の幅を狭くすることができる。その結果、前記車両の内部が前記見切部から見え難くなり、前記車両の前部の外観をさらに向上させることができる。
【0016】
本発明の車両前部の構造では、前記突起部より前記フェンダーパネル側に位置し、かつ前記見切部に対応する前記係合部の部分が、前記フェンダーパネルの車両前方の前縁部に設けられるフランジによって覆われており、前記係合部の部分が確実に隠れることとなり、前記車両の外観をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態における車両前部の構造を以下に説明する。図1は、本発明の実施形態における車両前部1の構造の概略を示す斜視図である。車両の前面の車幅方向全体に渡ってフロントグリル2が配置されている。フロントグリル2は、車幅方向を長手方向とする略長方形状に形成され、この略長方形状の角部は湾曲して形成されている。
【0018】
フロントグリル2の意匠面である車両前方の表面2a上には、一対のヘッドランプ3,3が設けられている。この一対のヘッドランプ3,3は、車幅方向に間隔を空けて、フロントグリル2の車幅方向の側縁部2b近傍にそれぞれ配置されている。また、ヘッドランプ3の前部3aの周縁はフロントグリル2に取り囲まれている。
【0019】
フロントグリル2の車幅方向の側縁部2bから、車両の車幅方向の側面沿って、車両後方に延設されるように、フェンダーパネル4が設けられている。フェンダーパネル4の車両前方の前縁部4aは、フロントグリル2の側縁部2bに対応して、凹状に形成されている。このフェンダーパネル4は、前縁部4a近傍で車両側面から車両前面に向かって湾曲するように形成され、フェンダーパネル4の前縁部4aがフロントグリル2の車幅方向の側縁部2bに隣接して配置されている。フェンダーパネル4の前縁部4aとフロントグリル2の側縁部2bとの間には、見切部5が形成されることとなる。
【0020】
フロントグリル2の上縁部2cから車両後方に向かって延設されるように、フード6が設けられている。そのため、フード6の車両前方の前縁部6aはフロントグリル2の上縁部2cに隣接して配置されることとなる。また、フード6の車幅方向の側縁部6bはフェンダーパネル4の上縁部4bに隣接して配置されている。
【0021】
フロントグリル2およびフェンダーパネル4の下方には、フロントバンパ7が設けられている。フロントバンパ7は、車両の前面において車幅方向に沿って延設されるとともに、車両の前面における車幅方向の両端から、車両の側面に沿って車両後方に延設されるように形成されている。そのため、フロントバンパ7の上縁部7aは、車両の前面でフロントグリル2の下縁部2dに隣接して配置され、車両の側面でフェンダーパネル4の下縁部4cに隣接して配置されることとなる。
【0022】
図2は、本発明の実施形態におけるフロントグリル2の側縁部2b近傍の概略を示す斜視図である。フロントグリル2の表面2aの側縁部2b近傍には、車両前後方向に貫通するランプ取付孔8が設けられている。このランプ取付孔8は略四角形状に形成され、この四角形状の角部は湾曲して形成されている。
【0023】
フロントグリル2の側縁部2bは、フロントグリル2の表面2aから車両後方に延出するように形成されている。側縁部2bの表面は、意匠面であるフロントグリル2の表面2aと滑らかな曲線形状で連続するように形成されている。
【0024】
また、側縁部2bの車両上下方向の略中央には、車両後方に向かって突出する突起部9が設けられている。突起部9は、フロントグリル2と一体成形されており、突起部9の表面は、側縁部2bの表面と滑らかな曲線形状で連続するように形成されている。さらに、突起部9には車幅方向に貫通する嵌合孔9aが設けられており、この嵌合孔9aは略四角形状に形成されている。
【0025】
図3は、本発明の実施形態におけるヘッドランプ3の概略を示す斜視図である。ヘッドランプ3の前部3aは、車両前方から見て、略四角形状に形成されており、この四角形状の角部は湾曲して形成されている。ヘッドランプ3は、この前部3aから光を発するように構成されている。
【0026】
ヘッドランプ3の前部3aより車両後方の部分を覆うようにハウジング10が設けられている。車幅方向の外側に位置するハウジング10の側部10aには、車幅方向の外側に向かって突出する係合部11が設けられている。
【0027】
また、ハウジング10には第1取付部12と第2取付部13とが設けられており、第1取付部12と第2取付部13との間に係合部11が位置することとなる。第1取付部12は、ハウジング10の上部から車両上方に向かって延出し、先端部では車両後方に向かって延出するように形成されている。また、第1取付部12は、車幅方向でハウジング10の側部10aに近接するように配置されている。さらに、第1取付部12の先端部には、車両上下方向に貫通する第1取付孔12aが設けられている。
【0028】
第2取付部13は、ハウジング10の側部10aの下端から車幅方向の外側に向かって突出している。さらに、第2取付部13の先端部には、車幅方向に貫通する第2取付穴13aが設けられている。
【0029】
図4(a)は、図3のB部を拡大した図であり、図4(b)は、図4(a)の矢印Cから見た図である。ここで、図4(a)および図4(b)を参照しながら、係合部11について説明する。係合部11は、ボックス形状に形成され、フロントグリル2の突起部9と係合可能に車両前側で開口している。
【0030】
係合部11の車幅方向外側の側壁部11aには、車両前方の前端から車両後方に向かって2箇所の切欠きを設けることによって、フロントグリル2に向かって突出する爪部11bが設けられている。この爪部11bは、側壁部11aの車両上下方向の略中央に配置されている。また、爪部11bは車幅方向の外側に向かって撓むことができるように構成されている。爪部11bの先端には、係合部11の内部に向かって突出する嵌合突起11cが設けられている。
【0031】
側壁部11aには、車両前方の前端から車両後方に向かうに従って、係合部11の内部に向かって傾斜するテーパ部が設けられている。側壁部11aのうち嵌合突起11cには、爪部11bの先端から車両後方に向かうに従って、係合部11の内部に向かって傾斜するテーパ部が設けられている。また、係合部11の車幅方向内側の側壁部11dにも、側壁部11dの車両前方の前端から車両後方に向かうに従って、係合部11の内部に向かって傾斜するテーパ部が設けられている。係合部11の車両後方側の後壁部には、車両前後方向に貫通する貫通孔11eが設けられている。
【0032】
図5は、本発明の実施形態におけるフェンダーパネル4の概略を示す斜視図である。フェンダーパネル4の上縁部4bの車両前方寄りには、車幅方向の内側に向かって突出する上側取付部14が設けられている。この上側取付部14には、車両上下方向に貫通する上側取付孔14aが設けられている。
【0033】
フェンダーパネル4の下縁部4cの車両前方寄りには、車両下方に向かって突出する下側取付部15が設けられている。さらに、下側取付部15には、車幅方向に貫通する下側取付孔15aが設けられている。
【0034】
図6は、本発明の実施形態において、フロントグリル2とヘッドランプ3との組立状態の概略を示す斜視図である。ヘッドランプ3の前部3a周縁の形状とフロントグリル2のランプ取付孔8の形状とは対応しており、ヘッドランプ3の前部3aはフロントグリル2のランプ取付孔8に挿通されている。そのため、ヘッドランプ3の前部3aは、フロントグリル2の表面2aで露出した状態となっている。
【0035】
また、ハウジング10の係合部11のボックス形状は、フロントグリル2の突起部9の形状に対応して形成されており、係合部11は突起部9と係合可能に開口している。このような係合部11に突起部9が挿入されている。
【0036】
図7は、図1のA−A断面図である。フロントグリル2の突起部9は、フェンダーパネル4に向かって突出しており、ハウジング10の係合部11は、フェンダーパネル4側に向かって突出している。突起部9が係合部11の開口から挿入されて、突起部9がフロントグリル2とフェンダーパネル4との間の見切部5近傍で係合部11と係合している。この状態で、係合部11の爪部11bの嵌合突起11cが突起部9の嵌合孔9aに嵌合している。
【0037】
フェンダーパネル4の前縁部4aには、ハウジング10の係合部11に向かって車両内部に曲げられたフランジ4dが設けられている。フロントグリル2の突起部9とハウジング10の係合部11とは、フェンダーパネル4に覆われて、車両外部から視認できないように構成されている。特に、突起部9よりフェンダーパネル4側に位置し、かつ見切部5に対応する係合部11の部分、例えば、側壁部11a、爪部11bなどは、フランジ4dによって覆われている。
【0038】
また、フロントグリル2の突起部9の挿入時に、爪部11bがフェンダーパネル4に向かって撓むことができるように、係合部11の爪部11bとフェンダーパネル4とは間隔を空けて配置されている。
【0039】
図8は、本発明の実施形態において、ヘッドランプ3とフェンダーパネル4との取付作業を説明する図である。車体に取付けられているフェンダーパネル4に、ヘッドランプ3のハウジング10を取付ける作業を説明する。
【0040】
フェンダーパネル4の上側取付部14に、ハウジング10の第1取付部12を車両上方から当接させる。また、ハウジング10の第2取付部13を、フェンダーパネル4の下側取付部15に車幅方向内側から当接させ、フロントバンパ7の取付用のバンパホルダ16を、フェンダーパネル4の下側取付部15に車幅方向外側から当接させる。そのため、下側取付部15は、第2取付部13とバンパホルダ16とに挟まれた状態となる。
【0041】
この状態で、第1取付部12の第1取付孔12aと、上側取付部14の上側取付孔14aとが一致しており、第2取付部13の第2取付孔13aと、下側取付部15の下側取付孔15aと、バンパホルダ16に設けられたホルダ取付孔16aとが一致することとなる。
【0042】
そこで、第1取付孔12aと上側取付孔14aとにクリップ17が挿通され、第1取付部12と上側取付部14とがクリップにより固定される。また、第2取付孔13aと下側取付孔15aとホルダ取付孔16aとにボルト18が挿通され、第2取付部13と下側取付部15とがボルト締結される。このような作業によって、ヘッドランプ3を取付けたハウジング10とフェンダーパネル4とが取付けられることとなる。
【0043】
図9は、本発明の実施形態において、フロントグリル2の取付作業を説明する図である。車体に取付けられたヘッドランプ3に、フロントグリル2を取付ける作業を説明する。
【0044】
フロントグリル2に予めフロントバンパ7を取付ける。このフロントグリル2を、フロントグリル2の側縁部2bとフェンダーパネル4の前縁部4aとを位置合わせしながら、車両前方から車体に近づける。フロントグリル2とフェンダーパネル4との見切部5から確認しながら、フロントグリル2のランプ取付孔8にヘッドランプ3の前部3aを挿入するとともに、フロントグリル2の突起部9をヘッドランプ3のハウジング10の係合部11に挿入する。
【0045】
なお、図9に示されていないが、突起部9を係合部11に挿入する際には、係合部11の爪部11bが、フェンダーパネル4に向かって撓みながら突起部9を避けることとなる。さらに、突起部9の嵌合孔9aが爪部11bの嵌合突起11cの位置まで移動すると、爪部11bが元の状態に復帰し、嵌合突起11cと嵌合孔9aとが嵌合することとなる。このような作業によって、フロントグリル2とフェンダーパネル4とが位置合わせされ、フロントグリル2とヘッドランプ3とが位置決めされる。このような状態で、フロントグリル2はボルト締結などによって車体のフレームなどに取付けられることとなる。
【0046】
以上のように本発明の実施形態によれば、フロントグリル2とフェンダーパネル4とが隣接して配置されることによって、フロントグリル2からフェンダーパネル4までの外観が滑らかに繋がって、外観に一体感が得られることとなる。また、ヘッドランプ3とフェンダーパネル4との間の狭いスペースでも、フロントグリル2の突起部9をハウジング10の係合部11と係合することによって、フロントグリル2とヘッドランプ3とを位置決めできる。そのため、フロントグリル2がフェンダーパネル4の近傍で位置決めされることとなり、フロントグリル2とフェンダーパネル4との間の位置決め精度を高めることができる。また、見切部5近傍で、フロントグリル2とヘッドランプ3のハウジング10とが位置決めされるため、フロントグリル2とフェンダーパネル4との接触を防止しながら、フロントグリル2を取付けることができる。従って、フロントグリル2とフェンダーパネル4との見切部5の幅を小さくすることができる。よって、車両の内部が見切部5から見え難くなり、車両の外観が向上することとなる。さらに、フロントグリル2とヘッドランプ3との位置決めに際して、クリップ、ねじ、ボルトなどを用いる必要がなく、フロントグリル2とヘッドランプ3との組立作業が、容易になり、改善されることとなる。
【0047】
本発明の実施形態によれば、見切部5が車幅方向で第1取付部12および第2取付部13の近傍に配置され、かつ第1取付部12および第2取付部13によって上下方向で確実に保持されることとなる。そのため、ヘッドランプ3とフェンダーパネル4との間の位置精度が向上し、ヘッドランプ3に取付けられたフロントグリル2とフェンダーパネル4との見切部5の位置精度もまた向上することとなる。その結果、見切部5近傍で、フロントグリル2とヘッドランプ3のハウジング10とが位置決めされるため、フロントグリル2とフェンダーパネル4との接触を防止しながら、フロントグリル2を取付けることができる。従って、フロントグリル2とフェンダーパネル4との見切部5の幅を小さくすることができる。よって、車両の内部が見切部5から見え難くなり、車両の外観が向上することとなる。さらに、フロントグリル2の位置決めに用いられるハウジング10が、フード6およびフロントバンパ7の近傍で取付けられるため、フロントグリル2と、ヘッドランプ3と、フェンダーパネル4と、フード6と、フロントバンパ7との間の位置決め精度を高めることができる。
【0048】
本発明の実施形態によれば、フロントグリル2とヘッドランプ3との位置決めのために、フロントグリル2とヘッドランプ3とを留める際に、ヘッドランプ3とフェンダーパネル4との間に爪部11bの撓み量分スペースを確保すれば十分となる。そのため、ヘッドランプ3とフェンダーパネル4との間のスペースを狭くすることができ、見切部5の幅を狭くすることができる。その結果、車両の内部が見切部5から見え難くなり、車両前部1の外観をさらに向上させることができる。
【0049】
本発明の実施形態によれば、フロントグリル2の突起部9よりフェンダーパネル4側に位置し、かつ見切部5に対応する係合部11の部分が、フランジ4dによって覆われることによって、係合部11の部分が確実に隠れることとなり、車両の外観をさらに向上させることができる。
【0050】
ここまで本発明の実施形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0051】
例えば本発明の実施形態の第1変形例として、フロントグリル2とフロントバンパ7とが一体に成形されていてもよい。本発明の実施形態と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態における車両前部の構造の概略を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態におけるフロントグリルの側縁部近傍の概略を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態におけるヘッドランプの概略を示す斜視図である。
【図4】(a)図3のB部を拡大した図である。(b)図4(a)の矢印Cから見た図である。
【図5】本発明の実施形態におけるフェンダーパネルの概略を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態において、フロントグリルとヘッドランプとの組立状態の概略を示す斜視図である。
【図7】図1のA−A断面図である。
【図8】本発明の実施形態において、ヘッドランプをフェンダーパネルに取付ける作業を説明する図である。
【図9】本発明の実施形態において、フロントグリルをヘッドランプおよびフェンダーパネルに取付ける作業を説明する図である。
【符号の説明】
【0053】
1 車両前部
2 フロントグリル
2a 表面
2c 上縁部
2d 下縁部
3 ヘッドランプ
3a 前部
4 フェンダーパネル
4a 前縁部
4b 上縁部
4c 下縁部
4d フランジ
5 見切部
6 フード
6a 前縁部
6b 側縁部
7 フロントバンパ
7a 上縁部
8 ランプ取付孔
9 突起部
9a 嵌合孔
10 ハウジング
10a 側部
11 係合部
11a 側壁部
11b 爪部
11c 嵌合突起
11d 側壁部
11e 貫通孔
12 第1取付部
12a 第1取付孔
13 第2取付部
13a 第2取付孔
14 上側取付部
14a 上側取付孔
15 下側取付部
15a 下側取付孔
16 バンパホルダ
16a ホルダ取付孔
17 クリップ
18 ボルト

C 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前面に配置されるフロントグリルと、前記車両の車幅方向の側面に配置され、かつ車両前方で前記フロントグリルに隣接するフェンダーパネルと、前記フロントグリルの車両前方の表面上に設けられ、かつ前記フロントグリルの車幅方向の側縁部近傍に配置されるヘッドランプとを備えている車両前部の構造において、
前記ヘッドランプの前部周縁が前記フロントグリルに取り囲まれており、前記フロントグリルが前記フェンダーパネル側の前記側縁部に前記フェンダーパネルに向かって突出する突起部を備え、前記ヘッドランプに設けられるハウジングが前記フェンダーパネル側の車幅方向の側部に前記フェンダーパネルに向かって突出する係合部を備え、前記係合部が前記フロントグリルの突起部と係合可能に構成されている、車両前部の構造。
【請求項2】
前記ハウジングと前記フェンダーパネルとの第1取付部が、前記フロントグリルの車両上方に配置されるフードに隣接して設けられ、前記ハウジングと前記フェンダーパネルとの第2取付部が、前記フロントグリルの車両下方に配置されるバンパーに隣接して設けられ、前記フロントグリルの突起部と前記ハウジングの係合部とが、前記第1取付部と前記第2取付部との間で、かつ前記フェンダーパネルと前記フロントグリルとの見切部近傍で係合している、請求項1に記載の車両前部の構造。
【請求項3】
前記ハウジングの係合部が前記フロントグリルの突起部と係合するための爪部を備え、前記爪部が前記フェンダーパネルに向かって撓むことができるように構成されている、請求項2に記載の車両前部の構造。
【請求項4】
前記突起部より前記フェンダーパネル側に位置し、かつ前記見切部に対応する前記係合部の部分が、前記フェンダーパネルの車両前方の前縁部に設けられるフランジによって覆われている、請求項3に記載の車両前部の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−47183(P2010−47183A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214433(P2008−214433)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】