説明

車両前部構造

【課題】フード跳ね上げ時に車両前部で干渉が生じた際に、エネルギ吸収性能の安定化、駆動手段の作動の安定化、修理金額の改善を図ることができる車両前部構造を提供すること。
【解決手段】車両の前部に設けられたフードを、前端部3aを支点として後端部を駆動手段により跳ね上げる跳ね上げ機構が設けられた車両の車両前部構造であって、跳ね上げ機構によるフード跳ね上げ時の前端部3aの下方移動に伴い干渉が生じるカバー部材12を、前端部3aからの入力で角部12cから折れ曲がることで、前端部3aに作用する反力を低減させる構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前面に障害物が衝突した際に、フード後端部を跳ね上げるフード跳ね上げ装置が搭載された車両に適用する車両前部構造であって、フード前端部付近の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行中の車両が障害物に衝突した際に、フード後端部を跳ね上げてエンジンルーム内の構造物とフードとの間のクリアランスを確保し、フード上面に障害物が2次衝突した場合の衝撃を吸収・緩和するフード跳ね上げ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来技術は、フードの後端部にフード開閉時に支点となるヒンジが設けられており、このヒンジは、フードに車両前方からの入力で結合が外れるようになっている。
【0004】
また、フード後端部には、駆動手段によりフードを跳ね上げる跳ね上げ機構が設けられている。この跳ね上げ機構は、車両前部に障害物が衝突したことが検出されると作動し、作動時には、フード前端部のフードロックを支点として、フード後端部が跳ね上げられ、フードに障害物が二次衝突した際の衝撃を緩和することができる。
【特許文献1】特開平11−263191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術は、フードロックなどのフード跳ね上げ時の支点となる部分は、フード前端よりも車両後方に配置されている。
【0006】
このため、フード跳ね上げ時に、支点部分よりも車両前方に位置するフード前端部が、車両下方に押し下げられ、グリルなどの車両前端部に設けられた部材と干渉していた。
【0007】
このようにフード前端部と他部品とが干渉した場合、この干渉前と干渉後とではフードに障害物が衝突した際のエネルギ吸収特性が変化するおそれがあり、エネルギ吸収性能が不安定になるおそれがあった。しかも、上記干渉が生じた時には、フード後端部を跳ね上げる駆動手段に負担がかかるおそれがあり、この負担でアクチュエータの作動が不安定になるおそれがあった。
【0008】
さらに、上述のようにフード前端部とグリルとが干渉すると、フード前端部とグリルとの両方が破損することになる。このため、フード跳ね上げ手段が誤作動した場合であっても、フードとグリルとの交換が必要となり、誤作動時の修理金額が悪化するという問題もある。
【0009】
そこで、本発明は、フード跳ね上げ時に車両前部で干渉が生じた際に、エネルギ吸収性能の安定化、駆動手段の作動の安定化、修理金額の改善を図ることができる車両前部構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述事情に鑑みなされたもので、本発明の車両前部構造は、跳ね上げ機構によるフード跳ね上げ時のフード前端部の下方移動に伴い干渉が生じる部位に、フード前端部に作用する反力を低減させる反力低減手段が設けられていることを特徴とする車両前部構造である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、跳ね上げ機構によりフードを跳ね上げてフード前部が下方移動して干渉が生じた場合、この干渉が生じる部位に設けられた反力低減手段により、フード前部に作用する反力が低減する。
【0012】
したがって、フードのエネルギ吸収性能の安定化を図ることができ、かつ、跳ね上げ機構の駆動手段に与える負担を低減させて駆動手段の作動安定化を図ることができる。また、フード前部などの損傷を抑え、誤作動時の修理金額の改善を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この実施の形態の車両前部構造は、車両(MB)の前部に設けられたフード(3)を、フード前部(3a)を支点としてフード後部(3b)を駆動手段により跳ね上げる跳ね上げ機構が設けられた車両の車両前部構造であって、前記跳ね上げ機構(7)によるフード跳ね上げ時のフード前部(3a)の下方移動に伴い干渉が生じる部位(12)に、フード前端部(3a)に作用する反力を低減させる反力低減手段が設けられていることを特徴とする車両前部構造。
【実施例1】
【0014】
図1〜図3に基づいて本発明の最良の実施の形態の実施例1の車両前部構造について説明する。
【0015】
まず、構成について説明する。
この実施例1の車両前部構造は、図2に示す車両MBに適用されている。この車両MBの車両前部には、下部に衝撃吸収用のバンパ1が設けられ、かつ、エンジンルーム2(図3参照)を開閉するフード3が設けられている。また、このフード3の前端部3aとバンパ1との間には、ラジエータグリル4が設けられている。
【0016】
フード3は、その後端部3bの左右両側が、図示を省略したヒンジ機構により、車体5の所定位置に拘束され、かつ、この所定位置を支点として上下方向に回転可能に支持されている。
【0017】
なお、図示を省略したヒンジ機構は、上記従来技術と同様に、フード3に車両後方向きの荷重が入力された際には、フード3の後端部3bの車体5に対する拘束を解除可能に構成されている。
【0018】
フード3の前端部3aは、図1に示すように、フードロック6によって、図示のエンジンルーム2を閉じた状態でロックされて上下回動を規制されている。なお、フードロック6は、ストライカ6aと、このストライカ6aと係脱可能なロック本体6bとを備えている。ストライカ6aは、フード3の前端部3aの下面に閉断面形状に形成されて車幅方向に延在された骨部3cに固定されている。一方、ロック本体6bは、閉断面形状に形成されて車体5に一体的に結合された図示を省略したラジエータコアサポートに固定されている。
【0019】
フード3の後端部3bには、図3に示すように、後端部3bを車両上方へ跳ね上げるアクチュエータ7aを備えた跳ね上げ機構7が設けられている。この跳ね上げ機構7は、同図(b)に示すように、アクチュエータ7aが伸長方向に作動した際には、フード3を、フードロック6により拘束された前端部3aを支点として、後端部3bを跳ね上げる。
【0020】
また、アクチュエータ7aは、コントローラ8に作動を制御される。このコントローラ8には、図外の車速センサからの車速信号Vsと、車両MBの前面衝突を検出する衝突センサ9,10(図2参照)からの衝突信号S1,S2が入力されている。そして、コントローラ8は、所定車速以上での前面衝突を検出したときに、アクチュエータ7aを作動させる。
【0021】
図1に戻り、同図(a)に示すように、閉状態のフード3の前端部3aとラジエータグリル4との間には、空間部11が設けられている。この空間部11は、その上下方向寸法が、図3(b)に示すように跳ね上げ機構7のアクチュエータ7aが最大限に伸長してフード3を跳ね上げた状態で、フード3の前端部3aがラジエータグリル4と干渉しない寸法に形成されている。
【0022】
さらに、フード3の前端部3aの下面には、樹脂製のカバー部材12が設けられている。このカバー部材12は、空間部11を覆うことで、車両前方から見てフード3の前端部3aとラジエータグリル4との間に隙間が生じるのを防いで外観品質を高めているもので、上壁片12aと前壁片12bとにより、縦断面形状が略逆L字状に形成されている。
【0023】
上壁片12aは、フード3の前端部3aの下面に沿って車幅方向に延在され、かつ、車両前後方向に所定の幅を有した薄板状に形成されている。また、前壁片12bは、上壁片12aの前端から下方へ連続する上壁片12aと一体の薄板状に形成され、その下端がラジエータグリル4に近接されている。
【0024】
また、上壁片12aと前壁片12bとの間に形成された角部12cは、角部12cの角度αが、90度よりも大きな鈍角に形成され、同図(b)に示すようにフード3が下方へ移動した際に、角部12cが折れ点となってカバー部材12が折れるよう形成されている。そして、カバー部材12の素材および両片12a,12bの板厚などは、フード3の前端部3aが下方に移動した際に、生じる反力がラジエータグリル4で生じる反力よりも低反力になるように設定されている。すなわち、ラジエータグリル4とカバー部材12とがフード3の跳ね上げ時に干渉する部材であり、かつ、カバー部材12が反力低減手段として、フード3からの入力により角部12cで折れ曲がる構造となっている。
【0025】
さらに、前壁片12bの車両前方を向いた前面は、フード3と同じ色に塗装され、フード3と一体的に見えるようになっている。
【0026】
次に、実施例1の作用を説明する。
車両MBが所定速度以上の走行状態で、障害物と前面衝突したときには、コントローラ8が、車速信号Vsおよび衝突信号S1,S2に基づいて前面衝突を検出し、跳ね上げ機構7のアクチュエータ7aを作動させる。
【0027】
そこで、フード3が、図3(b)に示すように、フードロック6を支点として、跳ね上げられる。このフード3の跳ね上げ時には、フード3の前端部3aは、跳ね上げ支点となるフードロック6よりも車両前方に位置するため、ラジエータグリル4に向かって下降する方向へ移動する。
【0028】
このフード3の前端部の下方移動により、図1(b)に示すように、前端部3aの下面に設けられたカバー部材12とラジエータグリル4とが干渉する。そして、この干渉により、カバー部材12の前壁片12bに対して下向きの荷重が加わる。このカバー部材12は、ラジエータグリル4よりも低反力に形成されており、ラジエータグリル4が変形あるいは損傷する前に、角部12cの位置で図示のように折れる。
【0029】
しかも、フード3の前端部3aとラジエータグリル4との間には、フード3の跳ね上げ時に、フードの前端部3aとラジエータグリル4とが直接干渉することのないだけの空間部11が設定されているため、カバー部材12が折れた後に、前端部3aとラジエータグリル4とが干渉することはない。よって、フード3に対して、ラジエータグリル4の反力が作用することがない。
【0030】
以上のように、実施例1の車両前部構造では、跳ね上げ機構7によりフード3を跳ね上げた際に、フード3の前端部3aと直接ラジエータグリル4と干渉しないように、両者の間に空間部11を設けた。さらに、フード3の跳ね上げ時には、フード3側のカバー部材12とラジエータグリル4とが干渉する構造とし、カバー部材12を、反力低減手段としてラジエータグリル4よりも低反発に形成した。
【0031】
したがって、実施例1では、フード3の前端部3aが直接ラジエータグリル4と干渉する場合に比べて、フード3の前端部3aに作用する反力が低減できる。よって、フード3の障害物に対するエネルギ吸収性能の安定化を図ることができ、かつ、跳ね上げ機構7のアクチュエータ7aに与える負担を低減させてアクチュエータ7aの作動安定化を図ることができる。
【0032】
加えて、軽衝突時や誤作動時やなど、フード3が障害物による損傷を受けない場合、跳ね上げ機構7の作動で変形するのは、カバー部材12のみで、従来と比較して、フード3やラジエータグリル4の損傷を低減できる。したがって、軽衝突時や誤作動時などの修理金額の改善を図ることが可能となる。
【0033】
さらに、上述したようにフード3の前端部3aとラジエータグリル4との間に空間部11を設定したため、車両前方から見た場合に、両者3a,4の間に隙が生じるが、この隙はカバー部材12により覆われているため、外観品質を高く保つことができる。
【0034】
しかも、カバー部材12の前壁片12bの前面は、フード3と同じ塗装を行なっているため、カバー部材12がフード3と一体化されて見え、外観品質の向上を図ることができる。
【実施例2】
【0035】
次に、図4に基づいてこの発明の実施の形態の実施例2の車両前部構造について説明する。なお、前記実施例1と同一ないし均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、実施例1と相違する部分を中心として説明する。
【0036】
この実施例2の車両前部構造は、図4に示すように、フード3の前端部3aと、その車両下方のラジエータグリル204とが近接して設けられている。すなわち、図外の跳ね上げ機構7が跳ね上げ作動を行なった場合には、フード3の前端部3aとラジエータグリル204とが干渉する配置となっている。
【0037】
ラジエータグリル204の下端部は、バンパ1の内側に設けられているベース1aにクリップ13で取り付けられている。このクリップ13は、フード3の前端部3aからの入力によりラジエータグリル204を下方へ移動させることを可能とする手段であって、所定の荷重で断裂してラジエータグリル204をベース1aから切り離し、ラジエータグリル204の下方移動を許す。
【0038】
このような実施例2の車両前部構造では、跳ね上げ機構7が作動して図4(b)に示すようにフード3の前端部3aが下方へ移動したときには、この前端部3aがラジエータグリル204の上端部と干渉する。この干渉で、ラジエータグリル204に下向きに荷重が入力すると、クリップ13が断裂し、ラジエータグリル204が車体5に対して下方へ移動する。
【0039】
したがって、フード3の前端部3aに対して作用するラジエータグリル204からの反力が低く抑えられる。
【0040】
このため、実施例2の車両前部構造では、実施例1と同様に、フード3の障害物に対するエネルギ吸収性能の安定化を図ることができ、かつ、跳ね上げ機構7のアクチュエータ7aに与える負担を低減させてアクチュエータ7aの作動安定化を図ることができる。
【0041】
加えて、軽衝突時や誤作動時やなど、フード3が障害物による損傷を受けない場合、跳ね上げ機構7の作動で変形するのは、クリップ13のみで、従来と比較して、フード3やラジエータグリル204の損傷を低減できる。したがって、軽衝突時や誤作動時などの修理金額の改善を図ることが可能となる。
【0042】
さらに、フード3の前端部3aとラジエータグリル204とは近接して配置しているため、両者3a,204の間の隙間が小さく、外観品質を高く保つことができる。
【0043】
しかも、ラジエータグリル204の下方移動可能とするのを、ラジエータグリル204の取付用のクリップ13で行なっているため、既存の構造に対する変更点が少なく、上記効果を得ることを安価に達成できる。
【実施例3】
【0044】
次に、図5に基づいてこの発明の実施の形態の実施例3の車両前部構造について説明する。なお、前記実施例1,2と同一ないし均等な部分については、同一符号を付して説明を省略し、実施例1,2と相違する部分を中心として説明する。
【0045】
図5(a)に示すように、ラジエータグリル504の上下方向中間部には、車両上方から入力があった際にこの位置で折れ曲がるように板厚を薄く切れ込みを入れることで形成された、反力低減手段としての脆弱部505が設けられている。
【0046】
したがって、同図(b)に示すフード3の跳ね上げ時には、フード3の前端部3aとラジエータグリル504とが干渉し、この前端部3aからの入力によりラジエータグリル504が脆弱部505で折れ曲がる。
【0047】
よって、フード3への反力が低減されることで、フード3のエネルギ吸収性能の安定化を図ることができ、かつ、跳ね上げ機構7のアクチュエータ7aに与える負担を低減させてアクチュエータ7aの作動安定化を図ることができる。また、誤作動時などのフード3の前端部3aの損傷を抑え、誤作動時の修理金額の改善を図ることが可能となる。
【0048】
また、実施例2と同様に、フード3の前端部3aとラジエータグリル4とは近接して配置しているため、両者3a,4の間の隙間が小さく、外観品質を高く保つことができる。
【0049】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態および実施例1ないし実施例3を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態および実施例1ないし実施例3に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0050】
例えば、実施例1では、カバー部材12を樹脂により形成し、跳ね上げ機構7の作動時に、カバー部材12が折れる例を示したが、これに限定されない。すなわち、カバー部材12をゴムなどの低反発の素材により形成し、フード3の跳ね上げ時に、カバー部材12が、低反発力で弾性変形するようにしてもよい。この場合、カバー部材12が復元するため、修理費用をさらに低減させることが可能となる。
【0051】
また、実施例1では、反力低減手段としてのカバー部材12をフード3の前端部3aに取り付けた例を示したが、このようなカバー部材は、ラジエータグリル4などのグリルに設けてもよいし、あるいは、フード3とラジエータグリル4との両方に取り付けてもよい。特に、上記のようにカバー部材として、低反発の弾性部材で形成した場合に、このように構成するのが容易である。
【0052】
また、実施例1では、反力低減手段として、ラジエータグリル4よりも脆弱なカバー部材12を示し、実施例2では、反力低減手段をラジエータグリル204に設けた例を示したが、これらを組み合わせることもできる。すなわち、実施例2のようにラジエータグリル204がフード3の跳ね上げ時にフード3と干渉する位置に配置されている場合には、ラジエータグリル204を下方に移動させる手段と、反力低減手段としての脆弱あるいは低反発の弾性を有した構成のカバー部材と、を組み合わせた構造とすることができる。
【0053】
また、車両前部の干渉する部材を下方に移動させる手段として、ラジエータグリル4を下方に移動可能なクリップ13を示したが、この下方に移動する部材としてはラジエータグリル4に限定されるものではない。例えば、ラジエータグリップ4の上端部にカバー部材を設け、このカバー部材が、フード3の前端部3aと干渉したときに、下方に移動するようにしてもよい。
【0054】
また、グリルを下方に移動させる反力低減手段として、実施例2で示したクリップ13を用いるほかに、ラジエータグリル204を車体5に対して上下にスライド可能に支持し、所定の入力で断列するクリップ13やその他の手段で車体5に固定する構造としてもよい。
【0055】
また、実施例1〜3では、フード3の跳ね上げ時に、フードロック6を支点として跳ね上がる構造を示したが、フードの開閉時の回動支点がフードの前端部に設けられている構造に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態の実施例1の車両前部構造の概略を示す断面図であって、(a)はフード3の跳ね上げ前を示し、(b)はフード3の跳ね上げ時を示している。
【図2】本発明の実施の形態の実施例1の車両前部構造を適用した車両MBを示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態の実施例1の車両前部構造の作動の説明図であり、(a)はフード3の跳ね上げ前を示し、(b)はフード3の跳ね上げ時を示している。
【図4】本発明の実施の形態の実施例2の車両前部構造の概略を示す断面図であって、(a)はフード3の跳ね上げ前を示し、(b)はフード3の跳ね上げ時を示している。
【図5】本発明の実施の形態の実施例3の車両前部構造の概略を示す断面図であって、(a)はフード3の跳ね上げ前を示し、(b)はフード3の跳ね上げ時を示している。
【符号の説明】
【0057】
3 フード
3a 前端部
3b 後端部
4 ラジエータグリル
5 車体
6 フードロック
7 跳ね上げ機構
7a アクチュエータ(駆動手段)
11 空間部
12 カバー部材(反力低減手段)
12a 上壁片
12b 前壁片
12c 角部
13 クリップ(反力低減手段)
204 ラジエータグリル
504 ラジエータグリル
505 脆弱部(反力低減手段)
MB 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に設けられたフードを、フード前部を支点としてフード後部を駆動手段により跳ね上げる跳ね上げ機構が設けられた車両前部構造であって、
前記フード跳ね上げ時のフード前端部の下方移動に伴い干渉が生じる部位に、フード前端部に作用する反力を低減させる反力低減手段が設けられていることを特徴とする車両前部構造。
【請求項2】
車両の前部において、前記フード前部の車両下方位置にフード前部との間に空間部を介在させてグリルが設けられ、
前記干渉が生じる部位として、前記空間の少なくとも一部を塞いで前記フード前部とグリルとの少なくとも一方に取り付けられたカバー部材が含まれ、
このカバー部材が、前記反力低減手段として前記グリルよりも低反力に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両前部構造。
【請求項3】
前記空間部は、フード跳ね上げ時にフード前部とグリルとが直接干渉しないだけの寸法を有していることを特徴とする請求項2に記載の車両前部構造。
【請求項4】
前記カバー部材の車両前方を向いた前面は、フードとグリルのいずれか一方と同じ色に塗装されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両前部構造。
【請求項5】
前記干渉が生じる部位として、前記フード前部の車両下方位置に設けられたグリルが含まれ、
前記グリルに、反力低減手段として、前記フード前部から入力される荷重によって変形と破断との少なくとも一方が可能な脆弱部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両前部構造。
【請求項6】
前記反力低減手段が、前記干渉が生じる部位に設けられた部材を、前記フード前部からの入力により下方へ移動可能とする手段であることを特徴とする請求項1に記載の車両前部構造。
【請求項7】
前記干渉が生じる部位に設けられた部材として、フード前端部の車両下方位置に設けられたグリルが含まれ、
前記反力低減手段が、前記グリルを車体に支持し、かつ、前記フード前部からの入力時には、変形あるいは破断してグリルが下方へ移動可能とする手段であることを特徴とする請求項6に記載の車両前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−153258(P2007−153258A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−354594(P2005−354594)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】