説明

車両前部構造

【課題】衝突体に作用する衝突荷重を効率的に吸収する。
【解決手段】車両前部構造10では、ワイパピボット30に取り付けられた嵩上げカバー42がフード22とワイパピボット30との間の間隙に配置されて、フード22とワイパピボット30との間の空間44が狭くされている。このため、ワイパピボット30の上側におけるフード22に衝突体46が上側から衝突した際に、フード22がワイパピボット30に嵩上げカバー42を介して早期に干渉でき、ワイパピボット30がカウルトップ18から容易に脱落できると共に、衝突体46に高い衝突荷重が作用する時間を短くできて、衝突体46に作用する衝突荷重を効率的に吸収できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フードの下側にワイパピボットが設けられた車両前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両前部構造としては、ワイパピボットが車体から脱落可能にされたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、このような車両前部構造において、ワイパピボットの上側にフードが配置される場合には、衝突体がフードに上側から衝突した際にフードがワイパピボットに早期に干渉する構成にすることで、ワイパピボットが車体から容易に脱落できると共に、衝突体に高い衝突荷重が作用する時間を短くできて、衝突体に作用する衝突荷重を効率的に吸収できる。
【特許文献1】特開2005−112184公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、衝突体に作用する衝突荷重を効率的に吸収できる車両前部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の車両前部構造は、車両の前部に設けられたフードと、前記フード下側の車体に設けられ、車両のワイパを支持するワイパピボットと、前記フード、ワイパピボット及び車体の少なくとも1つに設けられ、前記フードと前記ワイパピボットとの間の間隙に配置された配置部材と、を備えている。
【0006】
請求項2に記載の車両前部構造は、請求項1に記載の車両前部構造において、前記配置部材に設けられ、前記ワイパピボットの軸方向に略垂直にされた垂直面を備えた、ことを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の車両前部構造は、請求項1又は請求項2に記載の車両前部構造において、前記フードの内部に設けられ、前記フードを補強すると共に、前記フード下側のフードインナ上面から前記フード上側のフードアウタ下面へ向けて延伸されて前記フードアウタ下面に結合された縦壁が設けられ、かつ、前記縦壁を支持する支持部位が前記ワイパピボットの軸方向上方に配置されたリインフォースを備えた、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の車両前部構造では、車両の前部にフードが設けられると共に、フード下側の車体にワイパピボットが設けられており、ワイパピボットは車両のワイパを支持している。
【0009】
ここで、フード、ワイパピボット及び車体の少なくとも1つに設けられた配置部材が、フードとワイパピボットとの間の間隙に配置されている。このため、衝突体がフードに上側から衝突した際にフードがワイパピボットに配置部材を介して早期に干渉することで、衝突体に高い衝突荷重が作用する時間を短くできて、衝突体に作用する衝突荷重を効率的に吸収できる。
【0010】
請求項2に記載の車両前部構造では、配置部材に設けられた垂直面が、ワイパピボットの軸方向に略垂直にされている(ワイパピボットの軸方向に対する角度を例えば90°±10°以内にされている)。このため、衝突体がフードに上側から衝突した際に配置部材によってフードからワイパピボットへ衝突体の衝突荷重を効果的に伝達することができる。
【0011】
請求項3に記載の車両前部構造では、フードの内部に設けられたリインフォースが、フードを補強している。
【0012】
ここで、リインフォースに設けられた縦壁が、フード下側のフードインナ上面からフード上側のフードアウタ下面へ向けて延伸されて、フードアウタ下面に結合されている。さらに、リインフォースの縦壁を支持する支持部位がワイパピボットの軸方向上方に配置されている。このため、衝突体がフードに上側から衝突した際にフードから配置部材を介してワイパピボットへ衝突体の衝突荷重を効果的に伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る車両前部構造10が車両左方(車幅方向内方)から見た断面図(図3の1−1線断面図)にて示されており、図2には、車両前部構造10が車両前方から見た断面図(図3の2−2線断面図)にて示されている。さらに、図3には、車両前部構造10が車両前斜め上方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両右方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示す。
【0014】
本実施の形態に係る車両前部構造10では、車両12における車室14の上側部分の車両前側において、窓部材としてのフロントウインドシールドガラス16が設けられており、フロントウインドシールドガラス16は、車両後方へ向かうに従い上方へ向かう方向へ傾斜されている。
【0015】
フロントウインドシールドガラス16の下端(車両前側端)の下側には、支持部材としての断面略U字形長尺板状のカウルトップ18が設けられており、カウルトップ18は、フロントウインドシールドガラス16の下端に沿って車幅方向へ延伸されると共に、上面が開口されている。カウルトップ18の車両前側端とフロントウインドシールドガラス16の下端との間には、閉鎖部材としての長尺板状のカウルトップガーニッシュ20が架け渡されており、カウルトップガーニッシュ20は、フロントウインドシールドガラス16と共にカウルトップ18の上面開口を閉鎖している。
【0016】
車両12の前部の上端には、フード22が設けられており、フード22は、カウルトップガーニッシュ20の上側を被覆すると共に、車両12の前部のエンジンルーム(図示省略)の上側を被覆して閉鎖している。フード22には、車両上側(車両外側)の上壁としてのフードアウタ22Aと、車両下側(車両内側)の下壁としてのフードインナ22Bと、が設けられており、フードアウタ22Aとフードインナ22Bとが外周において結合されて、フード22が構成されている。
【0017】
フード22の車両後側端部は、車幅方向両側端において、支持部材としてのフードヒンジ24によって、車体側に対し回動可能に支持されている。フードヒンジ24の回動部24Aは、フードインナ22Bに下側において結合されると共に、車体側に結合されたフードヒンジ24の支持部(図示省略)に車両後側端において回動可能に支持されており、フード22が回動されることで、フード22が開閉されて、車両12のエンジンルームの上側を開閉可能にされている。
【0018】
フードインナ22Bの上面には、フードヒンジ24の回動部24Aの結合部分の上側において、リインフォースとしての板状のヒンジリインフォース26が結合されており、ヒンジリインフォース26は、フードインナ22Bを、フードヒンジ24の回動部24Aの結合部分において、補強している。ヒンジリインフォース26の車幅方向両端部には、縦壁26Aが形成されており、縦壁26Aは、フードインナ22B上面からフードアウタ22A下面へ向けて上側へ延伸されている。
【0019】
車両12の前部には、ワイパ装置28が設けられている。
【0020】
ワイパ装置28には、ワイパピボット30が設けられており、ワイパピボット30は、カウルトップ18内に配置されると共に、カウルトップガーニッシュ20を貫通されて、フード22(フードインナ22B)の車両後側端部の下側に配置されている。また、ワイパピボット30は、ヒンジリインフォース26の車幅方向内側の縦壁26Aの下方に配置されており、ワイパピボット30の軸方向上方には、ヒンジリインフォース26の当該縦壁26Aを支持する支持部位26Bが配置されている。
【0021】
ワイパピボット30には、保持部材としての略円筒状のピボットホルダ32が設けられており、ピボットホルダ32がカウルトップ18に支持されることで、ワイパピボット30がカウルトップ18に支持されている。
【0022】
ピボットホルダ32の内部には、回転部材としての略円軸状のピボットシャフト34が回転可能に保持されており、ピボットシャフト34は、ピボットホルダ32から上側及び下側に突出されている。ピボットシャフト34の下端には、伝達手段としてのリンク機構36が固定されており、リンク機構36は、駆動手段としてのワイパモータ(図示省略)に連絡されている。これにより、ワイパモータが駆動されることで、ワイパモータの駆動力がリンク機構36を介してピボットシャフト34に伝達されて、ピボットシャフト34が往復回転可能にされている。
【0023】
ピボットシャフト34の上端には、固定手段としてのナット38が螺合(結合)されており、ピボットシャフト34の上端近傍には、ナット38によって、ワイパを構成するワイパアーム40の基端が固定されている。ワイパアーム40の先端には、ワイパを構成するワイパブレード(図示省略)が支持されており、ワイパブレードは、フロントウインドシールドガラス16に接触されている。これにより、上述の如くピボットシャフト34が往復回転されることで、ワイパアーム40及びワイパブレードが往復回動されて、ワイパブレードがフロントウインドシールドガラス16を払拭可能にされている。
【0024】
ナット38には、配置部材(隙詰め部材、嵩上げ部材)としての樹脂製で略有底円筒状の嵩上げカバー42(クリップ)が取り付けられており、嵩上げカバー42は、内部にナット38が嵌合されて、ナット38の全周及び上側を被覆している。嵩上げカバー42は、フード22(フードインナ22B)とワイパピボット30(ナット38)との間の間隙に配置されており、嵩上げカバー42によってワイパピボット30が嵩上げされてフード22(フードインナ22B)とワイパピボット30(ナット38)との間の空間44が狭くされている。嵩上げカバー42の垂直面としての上面42Aは、ワイパピボット30(ピボットシャフト34)の軸方向に対して略垂直にされている。
【0025】
また、ワイパピボット30に最低脱落荷重以上の荷重が作用した際には、ワイパピボット30がカウルトップ18から脱落(ワイパピボット30のカウルトップ18による支持が解除)可能にされている。さらに、当該最低脱落荷重(ワイパピボット30がカウルトップ18から脱落するためにワイパピボット30に作用させる必要がある最低荷重)は、積雪したフロントウインドシールドガラス16をワイパブレードが払拭する際にワイパピボット30がカウルトップ18から脱落しないようにすること等から設定されるため、当該最低脱落荷重は、ある程度高い荷重に設定されている。
【0026】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0027】
以上の構成の車両前部構造10では、ワイパピボット30の上側におけるフード22に衝突体46(例えば歩行者の頭部)が上側から衝突した際に、フード22が下側に変形されると共に、フード22がワイパピボット30に干渉してワイパピボット30が下側へ移動されることで、衝突体46の衝突荷重が吸収される。
【0028】
ここで、ワイパピボット30のナット38に取り付けられた嵩上げカバー42がフード22(フードインナ22B)とワイパピボット30(ナット38)との間の間隙に配置されて、フード22(フードインナ22B)とワイパピボット30(ナット38)との間の空間44が狭くされている。
【0029】
このため、フード22のフードインナ22Bやフードアウタ22B(意匠面)とワイパピボット30とが上下方向に大きく離間した構造であっても、図4及び図5に実線Aで示す如く、上述の如くフード22に衝突体46が上側から衝突した際に、フード22がワイパピボット30に嵩上げカバー42を介して早期に干渉することができる。これにより、衝突体46の速度が速い衝突初期の段階でワイパピボット30に衝突体46の衝突荷重が作用するため、ワイパピボット30がカウルトップ18から容易に脱落できると共に、衝突体46の衝突初期における短い時間のみに衝突体46に高い衝突荷重が作用して衝突体46の衝突後期には衝突体46に作用する衝突荷重を低くできる。したがって、図5の範囲Cの期間における衝突体46に作用する衝突荷重の平均を低くできて、衝突体46に作用する衝突荷重を効率的に吸収することができる。
【0030】
さらに、嵩上げカバー42の上面42Aは、ワイパピボット30(ピボットシャフト34)の軸方向に対して略垂直にされている。このため、上述の如くフード22に衝突体46が上側から衝突した際に、フード22から嵩上げカバー42を介してワイパピボット30へ衝突体46の衝突荷重を効果的に伝達することができる。これにより、ワイパピボット30がカウルトップ18から一層容易に脱落できて、衝突体46に作用する衝突荷重を一層効率的に吸収することができる。
【0031】
しかも、ワイパピボット30がヒンジリインフォース26の車幅方向内側の縦壁26Aの下方に配置されている。このため、上述の如くフード22に衝突体46が上側から衝突した際に、当該縦壁26Aによってフード22から嵩上げカバー42を介してワイパピボット30へ衝突体46の衝突荷重を効果的に伝達することができる。これにより、ワイパピボット30がカウルトップ18から一層容易に脱落できて、衝突体46に作用する衝突荷重を一層効率的に吸収することができる。
【0032】
一方、ワイパピボット30(ナット38)に嵩上げカバー42を取り付けない場合には、図4及び図5に破線Bで示す如く、上述の如くフード22に衝突体46が上側から衝突した際に、フード22がワイパピボット30に衝突体46の衝突後期で干渉する。これにより、衝突体46の速度が遅い衝突後期の段階でワイパピボット30に衝突体46の衝突荷重が作用するため、ワイパピボット30がカウルトップ18から脱落できない可能性があると共に、衝突体46の衝突後期に衝突体46に作用する衝突荷重が高くなって長い時間衝突体46に高い衝突荷重が作用する可能性がある。したがって、図5の範囲Cの期間における衝突体46に作用する衝突荷重の平均が高くなって、衝突体46に作用する衝突荷重を効率的に吸収することができない可能性がある。
【0033】
[第2の実施の形態]
図6には、本発明の第2の実施の形態に係る車両前部構造60が車幅方向内方から見た断面図(図3の1−1線断面図に相当)にて示されている。
【0034】
本実施の形態に係る車両前部構造60は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0035】
本実施の形態に係る車両前部構造60では、上記第1の実施の形態における嵩上げカバー42が設けられていない。
【0036】
フード22のフードインナ22Bには、配置部材(隙詰め部材、嵩上げ部材)としての略柱状の嵩上げ部品62が取り付けられており、嵩上げ部品62は、樹脂製(金属製等であってもよい)にされている。嵩上げ部品62は、フードインナ22Bから下側へ突出して、フード22(フードインナ22B)とワイパピボット30(ナット38)との間の間隙に配置されており、嵩上げ部品62によってフード22(フードインナ22B)とワイパピボット30(ナット38)との間の空間44が狭くされている。嵩上げ部品62の垂直面としての下面62Aは、ワイパピボット30(ピボットシャフト34)の軸方向に対して略垂直にされており、嵩上げ部品62の下面62Aは、ワイパピボット30のナット38上面と略平行にされている。
【0037】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0038】
特に、嵩上げ部品62の下面62Aが、ワイパピボット30の軸方向に対して略垂直にされると共に、ワイパピボット30のナット38上面と略平行にされている。このため、ワイパピボット30の上側におけるフード22に衝突体46が上側から衝突した際に、嵩上げ部品62によってフード22からワイパピボット30へ衝突体46の衝突荷重を効果的に伝達することができる。これにより、ワイパピボット30がカウルトップ18から一層容易に脱落できて、衝突体46に作用する衝突荷重を一層効率的に吸収することができる。
【0039】
[第3の実施の形態]
図7には、本発明の第3の実施の形態に係る車両前部構造70が車両前方から見た断面図(図3の2−2線断面図に相当)にて示されている。
【0040】
本実施の形態に係る車両前部構造70は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0041】
本実施の形態に係る車両前部構造70では、上記第1の実施の形態における嵩上げカバー42が設けられていない。
【0042】
フード22のフードインナ22Bには、配置部材(隙詰め部材、嵩上げ部材)としての金属製で断面略U字形板状の嵩上げブラケット72が取り付けられており、嵩上げブラケット72は、車幅方向両端部においてフードインナ22Bに溶接されている。嵩上げブラケット72は、フードインナ22Bから下側へ突出して、フード22(フードインナ22B)とワイパピボット30(ナット38)との間の間隙に配置されており、嵩上げブラケット72によってフード22(フードインナ22B)とワイパピボット30(ナット38)との間の空間44が狭くされている。嵩上げブラケット72の垂直面としての下面72Aは、ワイパピボット30(ピボットシャフト34)の軸方向に対して略垂直にされており、嵩上げブラケット72の下面72Aは、ワイパピボット30のナット38上面と略平行にされている。
【0043】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0044】
特に、嵩上げブラケット72の下面72Aが、ワイパピボット30の軸方向に対して略垂直にされると共に、ワイパピボット30のナット38上面と略平行にされている。このため、ワイパピボット30の上側におけるフード22に衝突体46が上側から衝突した際に、嵩上げブラケット72によってフード22からワイパピボット30へ衝突体46の衝突荷重を効果的に伝達することができる。これにより、ワイパピボット30がカウルトップ18から一層容易に脱落できて、衝突体46に作用する衝突荷重を一層効率的に吸収することができる。
【0045】
[第4の実施の形態]
図8には、本発明の第4の実施の形態に係る車両前部構造80が車両前方から見た断面図(図3の2−2線断面図に相当)にて示されている。
【0046】
本実施の形態に係る車両前部構造80は、上記第1の実施の形態と、ほぼ同様の構成であるが、以下の点で異なる。
【0047】
本実施の形態に係る車両前部構造80では、ヒンジリインフォース26の車幅方向内側の縦壁26Aが、フードインナ22B上面からフードアウタ22A下面へ向けて上側へ延伸(延長)されて、先端部において接着剤82(マスチック等)によってフードアウタ22A下面に接着(結合)されている。
【0048】
ここで、本実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0049】
さらに、ワイパピボット30の上方に配置されるヒンジリインフォース26の車幅方向内側の縦壁26Aが、フードインナ22B上面からフードアウタ22A下面へ向けて上側へ延伸されて、先端部において接着剤82によってフードアウタ22A下面に接着されている。しかも、ヒンジリインフォース26の当該縦壁26Aを支持する支持部位26Bがワイパピボット30の軸方向上方に配置されている。このため、ワイパピボット30の上側におけるフード22に衝突体46が上側から衝突した際に、ワイパピボット30の上方に配置される当該縦壁26Aによってフード22から嵩上げカバー42を介してワイパピボット30へ衝突体46の衝突荷重を効果的に伝達することができる。これにより、ワイパピボット30がカウルトップ18から一層容易に脱落できて、衝突体46に作用する衝突荷重を一層効率的に吸収することができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、本実施の形態に係るヒンジリインフォース26を上記第1の実施の形態に適用した構成としたが、本実施の形態に係るヒンジリインフォース26を上記第2の実施の形態又は第3の実施の形態に適用した構成としてもよい。
【0051】
また、上記第1の実施の形態及び第4の実施の形態では、ワイパピボット30のナット38に、配置部材として、樹脂製の嵩上げカバー42を取り付けた構成としたが、ワイパピボット30のナット38に、配置部材として、金属製でナット状の嵩上げナットを取り付けた構成としてもよい。
【0052】
さらに、上記第1の実施の形態及び第4の実施の形態では、ワイパピボット30に配置部材として嵩上げカバー42を取り付けた構成とし、上記第2の実施の形態及び第3の実施の形態では、フード22に配置部材として嵩上げ部品62又は嵩上げブラケット72を取り付けた構成としたが、車体に配置部材を取り付けてフード22とワイパピボット30との間の間隙に配置部材を配置した構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両前部構造を示す車幅方向内方から見た断面図(図3の1−1線断面図)である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る車両前部構造を示す車両前方から見た断面図(図3の2−2線断面図)である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る車両前部構造を示す車両前斜め上方から見た斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る車両前部構造(実線A)及び嵩上げカバーが設けられていない車両前部構造(破線B)においてフードに衝突体が上側から衝突した際における衝突体の移動ストローク(横軸)と衝突体に作用する衝突荷重(縦軸)との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る車両前部構造(実線A)及び嵩上げカバーが設けられていない車両前部構造(破線B)においてフードに衝突体が上側から衝突した際における衝突体の衝突時間(横軸)と衝突体に作用する衝突荷重(縦軸)との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る車両前部構造を示す車幅方向内方から見た断面図(図3の1−1線断面図に相当)である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る車両前部構造を示す車両前方から見た断面図(図3の2−2線断面図に相当)である。
【図8】本発明の第4の実施の形態に係る車両前部構造を示す車両前方から見た断面図(図3の2−2線断面図に相当)である。
【符号の説明】
【0054】
10 車両前部構造
12 車両
22 フード
22A フードアウタ
22B フードインナ
26 ヒンジリインフォース(リインフォース)
26A 縦壁
26B 支持部位
30 ワイパピボット
40 ワイパアーム(ワイパ)
42 嵩上げカバー(配置部材)
42A 上面(垂直面)
60 車両前部構造
62 嵩上げ部品(配置部材)
62A 下面(垂直面)
70 車両前部構造
72 嵩上げブラケット(配置部材)
72A 下面(垂直面)
80 車両前部構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に設けられたフードと、
前記フード下側の車体に設けられ、車両のワイパを支持するワイパピボットと、
前記フード、ワイパピボット及び車体の少なくとも1つに設けられ、前記フードと前記ワイパピボットとの間の間隙に配置された配置部材と、
を備えた車両前部構造。
【請求項2】
前記配置部材に設けられ、前記ワイパピボットの軸方向に略垂直にされた垂直面を備えた、ことを特徴とする請求項1記載の車両前部構造。
【請求項3】
前記フードの内部に設けられ、前記フードを補強すると共に、前記フード下側のフードインナ上面から前記フード上側のフードアウタ下面へ向けて延伸されて前記フードアウタ下面に結合された縦壁が設けられ、かつ、前記縦壁を支持する支持部位が前記ワイパピボットの軸方向上方に配置されたリインフォースを備えた、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−29165(P2009−29165A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192119(P2007−192119)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】