説明

車両前部構造

【課題】車両旋回時に作用する応力によるダッシュクロスメンバの変形を防止又は抑制できる車両前部構造を得る。
【解決手段】扁平な断面略三角形の筒状に形成されたメンバリインフォース110は、その前端側が上側へ立ち上がり、この立ち上がり部分はダッシュクロスメンバ50に接合され、メンバリインフォース110の後端側はフロアクロスメンバ30に接合される。さらに、立ち上がったメンバリインフォース110の前端側にはフロントサイドメンバ前部72の後端が接合される。このため、車両前突時等における荷重のような後方への荷重の荷重に対して高い機械的強度や剛性を有し、このような荷重によるボデーの変形を防止又は抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントサイドメンバ等を含めて構成された車両前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示された構成では、キャブアンダフレームを車両上方へ向けて開口した断面ハット形状とし、その内側に断面逆三角形状の筒形状に形成された補強部材を設けてキャブアンダフレームに溶接している。これにより、車両前突時等の衝撃等によるキャブアンダフレームの変形を低減でき、キャブの全体の変形を低減しているが、更なる車体の強度や剛性の向上が切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−235985号の公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、車体の強度や剛性を向上できる車両前部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明に係る車両前部構造は、車両のエンジンルームと室内との間に設けられたダッシュパネルと、前記エンジンルーム側で車両の左右方向側端側で前記車両の前後方向に沿って設けられたフロントサイドメンバ前部を有すると共に、前記フロントサイドメンバ前部の後端側から連続して形成されて前記ダッシュパネルに沿い前記車両の下側に延びたフロントサイドメンバ後部が、その長手方向中間部よりも後端側で前記車両の前後方向に沿ってフロアパネルの下側に設けられる左右一対のフロントサイドメンバと、前記ダッシュパネルの後ろ側に設けられ、長手方向が車両の左右方向に沿うように設けられたダッシュクロスメンバと、前記フロントサイドメンバ後部の上側で前記フロントサイドメンバ後部に沿って設けられると共に、前端側が前記ダッシュパネルよりも前側で前記フロントサイドメンバ後部の前端側に沿って上側へ立ち上がり、立ち上がり部分における前面が前記フロントサイドメンバ前部の後端に接合されると共に、前記立ち上がり部分が前記ダッシュクロスメンバの長手方向中間部に接合されるメンバリインフォースと、を備えている。
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る車両前部構造によれば、車両のエンジンルーム側における車両左右方向両端側にはフロントサイドメンバを構成するフロントサイドメンバ前部が車両の前後方向に沿って設けられる。このフロントサイドメンバ前部の後端側からは連続してフロントサイドメンバ後部が形成される。このフロントサイドメンバ後部は、車両のエンジンルームと室内との間に設けられたダッシュパネルに沿い下側に延び、更に、フロアパネルの下側で車両の前後方向に沿って設けられる。
【0007】
このフロントサイドメンバ後部の上側にはメンバリインフォースが設けられる。メンバリインフォースの前端側はフロントサイドメンバ後部の前端側に沿って上側へ立ち上がっている。このため、メンバリインフォースがない状態に比較して、フロントサイドメンバを含めてメンバ全体の図心がフロントサイドメンバの断面内で上昇する。このように立ち上がったメンバリインフォースの前端側における前面がフロントサイドメンバ前部の後端に接合される。
【0008】
一方、ダッシュパネルの後ろ側(室内側)にはダッシュクロスメンバが設けられる。このダッシュクロスメンバは長手方向が車両の左右方向に沿っており、このダッシュクロスメンバの長手方向中間部に上記のメンバリインフォースの立ち上がり部分が接合される。
【0009】
このように、メンバ全体の図心がフロントサイドメンバの断面内で上昇した状態でメンバリインフォースがフロントサイドメンバ前部に接合され、更に、このメンバリインフォースがダッシュクロスメンバに接合される。これにより、車体の機械的強度が増し、特に、車両前突時等、フロントサイドメンバの前端に対して作用した後方への荷重に対して高い機械的強度及び剛性を得ることができる。
【0010】
請求項2に記載の本発明に係る車両前部構造は、請求項1に記載の本発明において、前記ダッシュクロスメンバの長手方向端部を前記車両のフロントピラーに接合している。
【0011】
請求項2に記載の本発明に係る車両前部構造によれば、メンバリインフォースが接合されたダッシュクロスメンバの長手方向端部が車両のフロントピラーに接合される。このため、車体の機械的強度及び剛性が更に向上する。
【0012】
請求項3に記載の本発明に係る車両前部構造は、請求項1又は請求項2に記載の本発明において、車両の左右方向側端側に設けられたロッカに長手方向両端が接合されると共に、長手方向中間部にて前記メンバリインフォースに接合されるフロアクロスメンバを備えている。
【0013】
請求項3に記載の本発明に係る車両前部構造によれば、車両の左右方向両側のロッカの間には長手方向が車両左右方向に沿ったフロアクロスメンバが設けられ、このフロアクロスメンバの両端が両ロッカに接合される。このフロアクロスメンバの長手方向中間部には上記のメンバリインフォースの後端側が接合される。このため、車体の機械的強度及び剛性が更に向上する。
【0014】
請求項4に記載の本発明に係る車両前部構造は、車両のエンジンルームと室内との間に設けられたダッシュパネルと、前記エンジンルーム側で車両の左右方向側端側で前記車両の前後方向に沿って設けられたフロントサイドメンバ前部を有すると共に、前記フロントサイドメンバ前部の後端側から連続して形成されて前記ダッシュパネルに沿い前記車両の下側に延びたフロントサイドメンバ後部が、その長手方向中間部よりも後端側で前記車両の前後方向に沿ってフロアパネルの下側に設けられる左右一対のフロントサイドメンバと、前記ダッシュパネルの後ろ側に設けられ、長手方向が車両の左右方向に沿うように設けられたダッシュクロスメンバと、車両の左右方向側端側に設けられたロッカに長手方向両端が接合されたフロアクロスメンバと、前記フロントサイドメンバ後部の上側で前記フロントサイドメンバ後部に沿って設けられると共に、前端側が前記ダッシュパネルよりも前側で前記フロントサイドメンバ後部の前端側に沿って上側へ立ち上がり、立ち上がり部分における前面が前記フロントサイドメンバ前部の後端に接合されると共に、前記立ち上がり部分が前記ダッシュクロスメンバの長手方向中間部に接合され、後端側が前記フロアクロスメンバの長手方向中間部に接合されるメンバリインフォースと、を備えている。
【0015】
請求項4に記載の本発明に係る車両前部構造によれば、車両のエンジンルーム側における車両左右方向両端側にはフロントサイドメンバを構成するフロントサイドメンバ前部が車両の前後方向に沿って設けられる。このフロントサイドメンバ前部の後端側からは連続してフロントサイドメンバ後部が形成される。このフロントサイドメンバ後部は、車両のエンジンルームと室内との間に設けられたダッシュパネルに沿い下側に延び、更に、フロアパネルの下側で車両の前後方向に沿って設けられる。
【0016】
このフロントサイドメンバ後部の上側にはメンバリインフォースが設けられる。メンバリインフォースの前端側はフロントサイドメンバ後部の前端側に沿って上側へ立ち上がっている。このため、メンバリインフォースがない状態に比較して、フロントサイドメンバを含めてメンバ全体の図心がフロントサイドメンバの断面内で上昇する。このように立ち上がったメンバリインフォースの前端側における前面がフロントサイドメンバ前部の後端に接合される。
【0017】
一方、車両の左右方向両側端に設けられたロッカの間にはフロアクロスメンバが設けられる。このフロアクロスメンバの両端は両ロッカに接合され、更に、上記のメンバリインフォースの後端側がフロアクロスメンバの長手方向中間部に接合される。
【0018】
このように、メンバ全体の図心がフロントサイドメンバの断面内で上昇した状態でメンバリインフォースがフロントサイドメンバ前部に接合され、更に、このメンバリインフォースの後端側がフロアクロスメンバに接合される。これにより、車体の機械的強度が増し、特に、車両前突時等、フロントサイドメンバの前端に対して作用した後方への荷重に対して高い機械的強度及び剛性を得ることができる。
【0019】
請求項5に記載の本発明に係る車両前部構造は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の本発明において、前記フロントサイドメンバ後部を上側へ向けて開口した断面凹形状に形成すると共に、前記メンバリインフォースの少なくとも一部を前記フロントサイドメンバ後部の内側に入り込ませた状態で前記メンバリインフォースを前記フロントサイドメンバ後部に接合している。
【0020】
請求項5に記載の本発明に係る車両前部構造によれば、フロントサイドメンバ後部が上側へ向けて開口した断面凹形状に形成される。メンバリインフォースは少なくともその一部がフロントサイドメンバ後部の内側に入り込んだ状態でフロントサイドメンバ後部に接合される。このため、フロントサイドメンバ後部の上端からのメンバリインフォースの突出量が少なくなり、ひいては、車両室内側へのメンバリインフォースの突出量が少なくなる。
【発明の効果】
【0021】
以上、説明したように、請求項1に記載の本発明に係る車両前部構造によれば、フロントサイドメンバ前部の後端がメンバリインフォースの立ち上がり部に接合されて、この立ち上がり部がダッシュクロスメンバに接合されるため車体の機械的強度及び剛性が向上する。
【0022】
請求項2に記載の本発明に係る車両前部構造は、メンバリインフォースが接合されたダッシュクロスメンバの長手方向端部が車両のフロントピラーに接合されるため車体の機械的強度及び剛性が更に向上する。
【0023】
請求項3に記載の本発明に係る車両前部構造は、両端がロッカに接合されたフロアクロスメンバにメンバリインフォースの後端側が接合されるため車体の機械的強度及び剛性が更に向上する。
【0024】
請求項4に記載の本発明に係る車両前部構造によれば、フロントサイドメンバ前部の後端がメンバリインフォースの立ち上がり部に接合されて、このメンバリインフォースがフロアクロスメンバに接合されているため車体の機械的強度及び剛性が向上する。
【0025】
請求項5に記載の本発明に係る車両前部構造は、フロントサイドメンバ後部の上端からのメンバリインフォースの突出量を少なくでき、ひいては、車両室内側へのメンバリインフォースの突出量を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車両前部構造を適用した車両の車体を車両室内側から車幅方向前外方へ傾斜した向きにみた概略的な斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る車両前部構造を適用した車両の車体を車両室内側からみた概略的な側面図である。
【図3】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿った断面図である。
【図5】メンバリインフォースの斜視図である。
【図6】図2のC−C線に沿った断面図である。
【図7】フロアクロスメンバとダッシュクロスメンバとメンバリインフォースとが接合されてアッセンブリ化された状態を示す概略的な斜視図である。
【図8】アッセンブリ化されたフロアクロスメンバ、ダッシュクロスメンバ、メンバリインフォースにフロアパネルを接合して更にアッセンブリ化したものを、フロントサイドメンバとダッシュパネルとを接合してアッセンブリ化したものへ組み付けることを示す概略的な斜視図で、図7図示状態からの組立順を示す図ある。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態を図1から図8の各図を用いて説明する。なお、各図において適宜示される矢印FRは本実施の形態が適用される車両10の前方を示し、矢印UPは本実施の形態が適用される車両10の上方を示し、矢印INは本実施の形態が適用された車幅方向内側を示している。
【0028】
<本実施の形態の構成>
図1には本実施の形態に係る車両前部構造を適用した車両10のボデーの構造が概略的な斜視図により示されており、図2には車両10のボデーの構造が車両10の幅(左右)方向内側からの概略的な側面断面図により示されている。
【0029】
これらの図に示されるように、車両10はダッシュパネル12を備えている。ダッシュパネル12は厚さ方向が概ね車両10の前後方向(以下、単に前後方向と称する)に沿った縦壁部14を備えている。ダッシュパネル12は縦壁部14の下端部からは斜壁部16が車両10の後下方へ延出されている。車両10は、ダッシュパネル12の縦壁部14及び斜壁部16よりも前側がエンジンルームとされ、ダッシュパネル12の縦壁部14及び斜壁部16よりも後方が車両10の室内とされる。
【0030】
ダッシュパネル12の斜壁部16の下端(斜壁部16の縦壁部14とは反対側の端部)からは横壁部18が後方へ延出されている。このような構成のダッシュパネル12における車両10の左右方向(以下、単に左右方向と称する)両端部からは車両10の上下方向(以下、単に上下方向渡渉する)上方へ接合壁20が延出されており、車両10における左右方向両端側に設けられたフロントピラー22に接合壁20がスポット溶接等の接合手段又はねじやボルト等の締結手段により一体的に固定されている。
【0031】
また、ダッシュパネル12を構成する横壁部18の後側には車両10のフロアパネル24が設けられている。このフロアパネル24の前端は横壁部18の後端にスポット溶接等の接合手段又はねじやボルト等の締結手段により一体的に固定されている。また、フロアパネル24の左右方向両端部からは上方へ接合壁26が延出されており、フロントピラー22よりも後方で車両10における左右方向両端側に設けられたロッカ28に接合壁26がスポット溶接等の接合手段又はねじやボルト等の締結手段により一体的に固定されている。
【0032】
このフロアパネル24上にはフロアクロスメンバ30が設けられている。フロアクロスメンバ30は横壁部32を備えている。横壁部32は長手方向が左右方向に沿い幅方向が前後方向に沿った板状に形成されている。この横壁部32の幅方向前端からは下方へ向けて脚壁部34が延出されており、この脚壁部34の下端(脚壁部34の横壁部32とは反対側の端部)からは前方へ向けて接合壁36が延出されている。これに対して、横壁部32の幅方向後端からは下方へ向けて脚壁部38が延出されており、この脚壁部38の下端(脚壁部38の横壁部32とは反対側の端部)からは後方へ向けて接合壁40が延出されている。これらの接合壁36、40がスポット溶接等の接合手段によりフロアパネル24に一体的に接合されている。
【0033】
また、横壁部32の長手方向端部からは上方へ向けて接合壁42が延出されている。また、脚壁部38の長手方向端部からは後方へ向けて接合壁44が延出されている。さらに、図示は省略するが脚壁部34の長手方向端部からは前方へ向けて接合壁が延出されている。これらのフロアクロスメンバ30の長手方向端部に形成された接合壁42、44はスポット溶接等の接合手段により上記のロッカ28に一体的に接合されている。
【0034】
一方、ダッシュパネル12を構成する縦壁部14の後ろ側にはダッシュクロスメンバ50が設けられている。ダッシュクロスメンバ50は縦壁部52を備えている。縦壁部52は全体的な長手方向が左右方向に沿い幅方向が上下方向に沿った板状に形成されている。また、縦壁部52の長手方向両端側は上下方向を軸方向とする軸周りに後方へ向けて湾曲している。この縦壁部52の幅方向上端からは前方へ向けて脚壁部54が延出されており、この脚壁部54の前端(脚壁部54の縦壁部52とは反対側の端部)からは上方へ向けて接合壁56が延出されている。
【0035】
これに対して、縦壁部52の幅方向下端からは前方へ向けて脚壁部58が延出されており、この脚壁部58の前端(脚壁部58の縦壁部52とは反対側の端部)からは下方へ向けて接合壁60が延出されている。これらの接合壁56、60がスポット溶接等の接合手段によりダッシュパネル12の縦壁部14に一体的に接合されている。
【0036】
さらに、ダッシュクロスメンバ50の長手方向両端には厚さ方向が左右方向に沿った接合壁62が形成されており、この接合壁62がスポット溶接等の接合手段により上述したフロントピラー22に一体的に接合されている。
【0037】
一方、車両10はフロントサイドメンバ70を備えている。フロントサイドメンバ70はフロントサイドメンバ前部72を構成する前部本体74を備えている。図3及び図4に示されるように、前部本体74は縦壁部76を備えている。縦壁部76は長手方向が前後方向に沿い幅方向が上下方向に沿った板状とされている。
【0038】
この縦壁部76の幅方向上端部からは車幅方向外方へ向けて横壁部78が延出されており、この横壁部78の車幅方向外側(横壁部78の縦壁部76とは反対側)の端部からは上方へ向けて接合壁80が延出されている。これに対して、縦壁部76の幅方向下端部からは車幅方向外方へ向けて横壁部82が延出されており、この横壁部82の車幅方向外側(横壁部82の縦壁部76とは反対側)の端部からは下方へ向けて接合壁84が延出されている。すなわち、前部本体74は車幅方向外方へ向けて開口した断面ハット形状とされている。
【0039】
この前部本体74の車幅方向外側には縦板86が設けられている。縦板86は長手方向が前後方向に沿い幅方向が上下方向に沿った板状とされている。縦板86は、その幅方向上端側で車幅方向に接合壁80と対向しており、縦板86はスポット溶接等の接合手段により接合壁80に一体的に接合されている。また、縦板86は、その幅方向下端側で車幅方向に接合壁84と対向しており、縦板86はスポット溶接等の接合手段により接合壁84に一体的に接合されている。これにより、図3に示されるように前部本体74の開口端が縦板86により閉止され、フロントサイドメンバ前部72の断面形状が閉じた矩形状とされている。
【0040】
図1に示されるように、フロントサイドメンバ前部72の後端側にはフロントサイドメンバ前部72と共にフロントサイドメンバ70を構成するフロントサイドメンバ後部92が設けられている。図6に示されるように、フロントサイドメンバ後部92は底壁部94を備えている。底壁部94は前後方向中間部よりも後側において長手方向が前後方向に沿い幅方向が左右方向に沿った板状とされている。
【0041】
底壁部94は前後方向中間部において左右方向を軸方向とする軸周りに湾曲又は屈曲しており、この部分では厚さ方向がダッシュパネル12における斜壁部16の厚さ方向に沿った板状とされている。この厚さ方向が斜壁部16の厚さ方向に沿った部分の前端にて底壁部94は横壁部82の後端に繋がっている。この底壁部94の車幅方向内側の端部からは上方へ向けて脚壁部96が延出されている。この脚壁部96の上端部(脚壁部96の底壁部94とは反対側の端部)からは車幅方向内側へ向けて接合壁98が延出されている。
【0042】
これに対して、底壁部94の車幅方向外側の端部からは上方へ向けて脚壁部100が延出されている。この脚壁部100の上端部(脚壁部100の底壁部94とは反対側の端部)からは車幅方向外側へ向けて接合壁102が延出されている。すなわち、フロントサイドメンバ後部92は上方へ向けて開口した断面ハット形状とされており、上述したダッシュパネル12を構成する斜壁部16及び横壁部18の下側に設けられている。
【0043】
以上の構成のフロントサイドメンバ70はフロントサイドメンバ前部72とフロントサイドメンバ後部92とを別体で構成したうえで、フロントサイドメンバ前部72の横壁部82とフロントサイドメンバ後部92の底壁部94とを各々の厚さ方向に対向させた状態でスポット溶接等の接合手段によって一体的に接合し、フロントサイドメンバ前部72の縦壁部76とフロントサイドメンバ後部92の脚壁部96とを各々の厚さ方向に対向させた状態でスポット溶接等の接合手段によって一体的に接合することでフロントサイドメンバ70を形成してもよいし、フロントサイドメンバ前部72を構成する前部本体74とフロントサイドメンバ後部92とが一枚の金属板からプレス成形等により形成されている構成であってもよい。
【0044】
一方、図1に示されるように、車両10はメンバリインフォース110を備えている。図5の斜視図に示されるように、メンバリインフォース110は上壁部112を備えている。上壁部112は上壁後部114、上壁中部116、及び上壁前部118により構成されている。
【0045】
上壁後部114は長手方向が前後方向に沿い幅方向が左右方向に沿った平板状に形成されている。この上壁後部114の前端部からは連続して上壁中部116が形成されている。上壁中部116は厚さ方向がダッシュパネル12の斜壁部16に沿い幅方向が左右方向に沿った平板状に形成されている。この上壁中部116の前端部からは上方へ上壁前部118が延出されている。上壁前部118は長手方向が上下方向に沿い幅方向が左右方向に沿った板状に形成されている。
【0046】
このような上壁後部114、上壁中部116、上壁前部118により構成された上壁部112は、上壁部112における長手方向中間部の2箇所で上壁部112の幅方向を軸方向とする軸周りに上壁部112を湾曲又は屈曲させることで114、上壁中部116、上壁前部118が形成されている。
【0047】
この上壁部112の幅方向一端部からは上壁部112の厚さ方向一方の側、すなわち、上壁部112の上壁後部114側においては下方、上壁部112の上壁前部118側では前方へ向けて縦壁部122が延出されており、上壁部112の幅方向他端部からは上壁部112の厚さ方向一方の側へ向けて縦壁部124が延出されている。これらの縦壁部122、124は長手方向が上壁部112の長手方向に沿い幅方向が上壁部112からの延出方向に沿った板状に形成されており、特に、本実施の形態では、縦壁部122、124の幅寸法、すなわち、上壁部112からの縦壁部122、124の延出寸法が上壁部112の幅寸法に比べて十分に短く設定されている。
【0048】
また、縦壁部122の上壁部112とは反対側の端部からは斜壁部126が延出されている。縦壁部122からの斜壁部126の延出方向は上壁部112の幅方向に対して傾斜しており、斜壁部126は縦壁部122から離間するにつれて上壁部112からも離間する。一方、縦壁部124の上壁部112とは反対側の端部からは斜壁部128が延出されている。縦壁部124からの斜壁部128の延出方向は上壁部112の幅方向に対して傾斜しており、斜壁部128は縦壁部124から離間するにつれて上壁部112からも離間する。
【0049】
この斜壁部128の縦壁部124とは反対側の端部は斜壁部126の縦壁部122とは反対側の端部に繋がっている。このため、メンバリインフォース110は全体的に筒形状とされ、メンバリインフォース110を上壁部112の長手方向に対して直交する向きに切った断面形状は、上壁後部114側では下方、上壁前部118側では前方を頂点側とする比較的扁平な五角形の筒形状とされている。特に、上壁部112からの縦壁部124、126の延出寸法が上壁部112の幅寸法よりも十分に短いことからメンバリインフォース110の断面形状を扁平な略二等辺三角形状とみることもできる。
【0050】
このメンバリインフォース110は、例えば、焼入れを施すことによって超高強度化されている(すなわち、所謂、超高張力鋼と同程度の機械的強度や剛性を有している)。なお、本実施の形態においてメンバリインフォース110はその長手方向前端から後端への任意の箇所での断面形状は基本的に同じであるが、例えば、ハイドロフォーム加工等によってメンバリインフォース110をその長手方向の任意の箇所で断面形状を変えるようにしてもよい。
【0051】
また、メンバリインフォース110の断面形状を、縦壁部124、126を備えず、上壁部112と斜壁部126、128で構成した三角形状としてもよい。このようなメンバリインフォース110の断面形状を三角形状とする場合、その一例としては、上記のような二等辺三角形状があげられるが、二等辺三角形状に限定されるものではない。
【0052】
さらに、また、本実施の形態では、メンバリインフォース110の断面形状を扁平な五角形としたが、メンバリインフォース110の断面形状が扁平形状に限定されるものではなく、上壁部112からの縦壁部124、126の延出寸法を充分に長くした(例えば、縦壁部124、126の延出寸法を上壁部112や斜壁部126、128の幅寸法と同程度まで長くした)五角形としてもよい。このように、縦壁部124、126の延出寸法を充分に長くすることでメンバリインフォース110の剛性や機械的強度が向上するので好ましい。
【0053】
図1及び図6に示されるように、このメンバリインフォース110に対応してフロアパネル24には凹部132が形成されている。凹部132は下方へ向けて張り出し、上方へ向けて開口した凹形状とされている。図6に示されるように、この凹部132の開口幅寸法はメンバリインフォース110における上壁部112の幅寸法以上とされており、凹部132の内側にメンバリインフォース110を配置できる。また、凹部132の底壁部134は斜壁136と斜壁138とを備えている。斜壁136は凹部132の内側にメンバリインフォース110を配置した際に斜壁部126の外面が当接するようにフロアパネル24の室内側の面に対して傾斜し、斜壁138は凹部132の内側にメンバリインフォース110を配置した際に斜壁部128の外面が当接するようにフロアパネル24の室内側の面に対して傾斜している。
【0054】
また、図1に示されるように、凹部132が形成されたフロアパネル24の前端側の下側で横壁部18の後端側が重なるダッシュパネル12には、メンバリインフォース110に対応して凹部142が形成されている。図1及び図4に示されるように、凹部142は車両10の室内側へ向けて開口し、縦壁部14側では前側(すなわち、エンジンルーム側)へ向けて張り出し、横壁部18側では下方へ向けて張り出した凹形状とされている。この凹部142の開口幅寸法はメンバリインフォース110における上壁部112の幅寸法以上とされており、凹部142の内側にメンバリインフォース110を配置できる。
【0055】
また、図4に示されるように、凹部142の底壁部144は斜壁146と斜壁148とを備えている。斜壁146は凹部142の内側にメンバリインフォース110を配置した際に斜壁部126の外面が当接するようにダッシュパネル12の室内側の面に対して傾斜し、斜壁148は凹部142の内側にメンバリインフォース110を配置した際に斜壁部128の外面が当接するようにダッシュパネル12の室内側の面に対して傾斜している。この凹部142のうち、ダッシュパネル12の横壁部18やフロアパネル24に形成された部分では、斜壁146の斜壁部126とは反対側の面にフロントサイドメンバ70におけるフロントサイドメンバ後部92の接合壁98が接し、斜壁148の斜壁部128とは反対側の面にフロントサイドメンバ70におけるフロントサイドメンバ後部92の接合壁102が接している。
【0056】
さらに、詳細な図示は省略するが、ダッシュパネル12を構成する横壁部18の後端側では、フロアパネル24の凹部132が凹部142の内側に入り込んだ状態で凹部132と凹部142とが重なっている。
【0057】
また、図5に示されるように、上述したメンバリインフォース110を構成する上壁部112には複数の透孔156が形成されている。これらの透孔156の内径寸法はスポット溶接用の電極棒が通過できるような大きさに設定されている。この透孔156を通過した電極棒がメンバリインフォース110の内側から斜壁部126に当接し、接合壁98の斜壁136とは反対側の面に別の電極が当接した状態で電極棒と別の電極との間に所定の大きさの電流を流すことにより接合壁98と斜壁部126と斜壁136とがスポット溶接される。また、透孔156を通過した電極棒がメンバリインフォース110の内側から斜壁部128に当接し、接合壁102の斜壁138とは反対側の面に別の電極が当接した状態で電極棒と別の電極との間に所定の大きさの電流を流すことにより接合壁102と斜壁部128と斜壁138とがスポット溶接される。
【0058】
なお、図5に示されるように、本実施の形態では、透孔156の形成位置を上壁部112の幅方向両端側の各々で上壁部112の長手方向に沿って所定間隔毎に形成し、且つ、上壁部112の幅方向一端側において上壁部112の長手方向に隣り合う透孔156の間に上壁部112の幅方向他端側の透孔156を形成している(すなわち、本実施の形態では、上壁部112の長手方向に透孔156を千鳥状に形成している)。しかしながら、透孔156の形成位置がこのような構成に限定されるものではなく、溶接後の強度等を考慮して、適宜に設定すればよい。
【0059】
また、図1に示されるように、メンバリインフォース110の後端側では、メンバリインフォース110がフロアクロスメンバ30の下側を通過している。平面視でメンバリインフォース110とフロアクロスメンバ30とが交差した部分では、フロアクロスメンバ30の接合壁36、40とメンバリインフォース110の上壁部112(上壁後部114)とがスポット溶接等の接合手段又はねじやボルト等の締結手段により一体的に固定されている。
【0060】
さらに、凹部142においてダッシュパネル12の縦壁部14に形成された部分では、その前側に上述したフロントサイドメンバ70のフロントサイドメンバ前部72が位置している。図4に示されるように、凹部132の斜壁136、138に対応して前部本体74(フロントサイドメンバ前部72)を構成する横壁部78、82の前端には後方へ向けて開口した略V字形状の凹部142(横壁部82の凹部142に関しては図示省略)が形成されおり、この凹部142にてフロントサイドメンバ前部72が凹部132の斜壁136、138(すなわち、底壁部134)に突き当てられている。また、図3及び図4に示されるように、フロントサイドメンバ前部72の前部本体74を構成する縦壁部76の前端からは車幅方向内方側に対して後方へ傾斜した向きへ接合片172が延出されている。この接合片172は斜壁136に当接した状態でスポット溶接等の接合手段により斜壁136及びメンバリインフォース110の斜壁部126へ一体的に接合されている。
【0061】
さらに、前部本体74を構成する横壁部78の前端からは上方へ向けて接合片174が延出されている。この接合片172は平面視で凹部132の底壁部134の形状に対応した略V字形状に屈曲又は湾曲されており、底壁部134に当接した状態でスポット溶接等の接合手段により斜壁136及びメンバリインフォース110の斜壁部126へ一体的に接合されている。
【0062】
一方、フロントサイドメンバ前部72を構成する縦板86の前端からは車幅方向内外側に対して後方へ傾斜した向きへ接合片176が延出されている。この接合片176は斜壁138に当接した状態でスポット溶接等の接合手段により斜壁138及びメンバリインフォース110の斜壁部126へ一体的に接合されている。
【0063】
<本実施の形態の作用、効果>
以上のような車両10のボデーは、図7に示されるように、フロアクロスメンバ30と左右のメンバリインフォース110と(具体的には、フロアクロスメンバ30の接合壁36、40とメンバリインフォース110の上壁部112と)がスポット溶接等の接合手段によって一体的に接合される。また、ダッシュクロスメンバ50と左右のメンバリインフォース110と(具体的には、ダッシュクロスメンバ50の接合壁56、58とメンバリインフォース110の上壁部112と)がスポット溶接等の接合手段又はねじやボルト等の締結手段により一体的に固定される。これにより、フロアクロスメンバ30とダッシュクロスメンバ50とメンバリインフォース110とが一体となったアッセンブリ202が形成される。
【0064】
次いで、図8に示されるように、このアッセンブリ202のメンバリインフォース110をフロアパネル24の凹部132内に入り込ませた状態でメンバリインフォース110の斜壁部126と、凹部132の斜壁136とがスポット溶接等の接合手段又はねじやボルト等の締結手段により一体的に固定される。また、この状態でメンバリインフォース110をフロアパネル24の凹部132内に入り込ませた状態でメンバリインフォース110の斜壁部128と、凹部132の斜壁138とがスポット溶接等の接合手段又はねじやボルト等の締結手段により一体的に固定される。これによりアッセンブリ202とフロアパネル24とが一体となったアッセンブリ204が形成される
一方、図8に示されるように、アッセンブリ204とは別にアッセンブリ206が形成される。アッセンブリ206はフロントサイドメンバ前部72と、フロントサイドメンバ後部92と、ダッシュパネル12とにより構成されている。フロントサイドメンバ前部72とフロントサイドメンバ後部92とがスポット溶接等の接合手段によって接合され、これにより、フロントサイドメンバ70が形成される。このフロントサイドメンバ70がスポット溶接等の接合手段によってダッシュパネル12に接合され、これにより、アッセンブリ206が形成される。
【0065】
以上のようにして形成されたアッセンブリ204を構成するメンバリインフォース110の斜壁部126及び凹部132の斜壁136と、アッセンブリ206を構成するフロントサイドメンバ後部92の接合壁98とをスポット溶接等の接合手段によって接合すると共に、アッセンブリ204を構成するメンバリインフォース110の斜壁部128及び凹部132の斜壁138と、アッセンブリ206を構成するフロントサイドメンバ後部92の接合壁102とをスポット溶接等の接合手段によって接合する。このようにして、アッセンブリ204とアッセンブリ206とが一体に接合されてアッセンブリ化される。
【0066】
次に、図1に示されるように、フロントピラー22にダッシュクロスメンバ50の接合壁62やダッシュパネル12のロッカ28がスポット溶接等の接合手段又はねじやボルト等の締結手段により一体的に固定されると共に、フロアクロスメンバ30の42、44やフロアパネル24の接合壁26がスポット溶接等の接合手段又はねじやボルト等の締結手段によりロッカ28へ一体的に固定される。
【0067】
このような構成の車両10のボデーは、メンバリインフォース110の前端側はダッシュパネル12の縦壁部14に沿って上側へ立ち上がっている。このため、メンバリインフォース110の前端側が立ち上がらない構成に比べ、メンバリインフォース110の図心が上昇する。このように前端側が立ち上がったメンバリインフォース110の前端側は上記のようにダッシュクロスメンバ50に接合され、後端側はフロアクロスメンバ30に接合される。
【0068】
このような構成のメンバリインフォース110の前端側(すなわち、立ち上がり部分)にフロントサイドメンバ70におけるフロントサイドメンバ前部72の前端部が横壁部18を介して接合される。このため、車両10のボデーの機械的強度や剛性が増す。特に、車両前突時等における荷重のような後方への荷重がフロントサイドメンバ70の前端に作用すると、この荷重はフロントサイドメンバ前部72の後端側やフロントサイドメンバ後部92の前端側のようなダッシュパネル12の斜壁部16に沿うように曲がった部分を圧縮変形させようとする。本車両10のボデーは、上記のような構成とされていることで、このような荷重に対して高い機械的強度や剛性を有し、このような荷重によるボデーの変形や、車両10の走行時における振動や旋回により生ずる弾性変形を防止又は抑制できる。
【0069】
しかも、上記のようにメンバリインフォース110を介してフロントサイドメンバ70が間接的に一体とされたダッシュクロスメンバ50はフロントピラー22に接合され、更に、メンバリインフォース110を介してフロントサイドメンバ70が間接的に一体とされたフロアクロスメンバ30はロッカ28に接合される。このため、上記の荷重に対するボデーの機械的強度や剛性が更に高くなる。
【0070】
また、本実施の形態では、上記のように、メンバリインフォース110は筒状(閉じ断面形状)であるうえ、焼入れ等によって高強度化されている。これによっても上記のような荷重に対するボデーの機械的強度や剛性が更に高くできる。
【0071】
さらに、メンバリインフォース110の上壁部112に透孔156が形成されており、この透孔156を介してメンバリインフォース110の内側にスポット溶接用の電極棒を入り込ませることができる。これにより、メンバリインフォース110の斜壁部126、128をスポット溶接によって他の部材に対して接合できる。
【0072】
一方、本車両10のボデーでは、ダッシュパネル12やフロアパネル24に凹部132、142を形成して、凹部132、142をフロントサイドメンバ70の内側に入り込ませ、更に、フロントサイドメンバ70の内側に入り込んだ凹部132、142の内側にメンバリインフォース110を設けている。このため、車両の室内側へのメンバリインフォース110の突出量を無くし、又は、少なくできる。
【符号の説明】
【0073】
10 車両
12 ダッシュパネル
22 フロントピラー
24 フロアパネル
28 ロッカ
30 フロアクロスメンバ
50 ダッシュクロスメンバ
70 フロントサイドメンバ
72 フロントサイドメンバ前部
92 フロントサイドメンバ後部
110 メンバリインフォース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンルームと室内との間に設けられたダッシュパネルと、
前記エンジンルーム側で車両の左右方向側端側で前記車両の前後方向に沿って設けられたフロントサイドメンバ前部を有すると共に、前記フロントサイドメンバ前部の後端側から連続して形成されて前記ダッシュパネルに沿い前記車両の下側に延びたフロントサイドメンバ後部が、その長手方向中間部よりも後端側で前記車両の前後方向に沿ってフロアパネルの下側に設けられる左右一対のフロントサイドメンバと、
前記ダッシュパネルの後ろ側に設けられ、長手方向が車両の左右方向に沿うように設けられたダッシュクロスメンバと、
前記フロントサイドメンバ後部の上側で前記フロントサイドメンバ後部に沿って設けられると共に、前端側が前記ダッシュパネルよりも前側で前記フロントサイドメンバ後部の前端側に沿って上側へ立ち上がり、立ち上がり部分における前面が前記フロントサイドメンバ前部の後端に接合されると共に、前記立ち上がり部分が前記ダッシュクロスメンバの長手方向中間部に接合されるメンバリインフォースと、
を備える車両前部構造。
【請求項2】
前記ダッシュクロスメンバの長手方向端部を前記車両のフロントピラーに接合した請求項1に記載の車両前部構造。
【請求項3】
車両の左右方向側端側に設けられたロッカに長手方向両端が接合されると共に、長手方向中間部にて前記メンバリインフォースに接合されるフロアクロスメンバを備える請求項1又は請求項2に記載の車両前部構造。
【請求項4】
車両のエンジンルームと室内との間に設けられたダッシュパネルと、
前記エンジンルーム側で車両の左右方向側端側で前記車両の前後方向に沿って設けられたフロントサイドメンバ前部を有すると共に、前記フロントサイドメンバ前部の後端側から連続して形成されて前記ダッシュパネルに沿い前記車両の下側に延びたフロントサイドメンバ後部が、その長手方向中間部よりも後端側で前記車両の前後方向に沿ってフロアパネルの下側に設けられる左右一対のフロントサイドメンバと、
前記ダッシュパネルの後ろ側に設けられ、長手方向が車両の左右方向に沿うように設けられたダッシュクロスメンバと、
車両の左右方向側端側に設けられたロッカに長手方向両端が接合されたフロアクロスメンバと、
前記フロントサイドメンバ後部の上側で前記フロントサイドメンバ後部に沿って設けられると共に、前端側が前記ダッシュパネルよりも前側で前記フロントサイドメンバ後部の前端側に沿って上側へ立ち上がり、立ち上がり部分における前面が前記フロントサイドメンバ前部の後端に接合されると共に、前記立ち上がり部分が前記ダッシュクロスメンバの長手方向中間部に接合され、後端側が前記フロアクロスメンバの長手方向中間部に接合されるメンバリインフォースと、
を備える車両前部構造。
【請求項5】
前記フロントサイドメンバ後部を上側へ向けて開口した断面凹形状に形成すると共に、前記メンバリインフォースの少なくとも一部を前記フロントサイドメンバ後部の内側に入り込ませた状態で前記メンバリインフォースを前記フロントサイドメンバ後部に接合した請求項1から請求項4の何れか1項に記載の車両前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−10424(P2013−10424A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144374(P2011−144374)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】