説明

車両前部構造

【課題】カウルボックスの上下幅が確保されない場合であっても良好な衝撃吸収性を実現することが可能な車両前部構造を提供する。
【解決手段】車両前部構造1のカウルトップ30は、開口部6を覆うとともにエアコン吸気口31aを有する第一カウルカバー31aと、第一カウルカバー31aの上方に設けられてエアコン吸気口31aを覆う第二カウルカバー32と、を備え、第二カウルカバー32は、第一カウルカバー31に当接する前側面及び後側面と、前側面の上端及び後側面の上端を連結する意匠面と、を備え、前側面及び後側面は、上に向かうほど互いに近接する形状を呈し、意匠面は、前傾形状を呈する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前部構造に関し、より詳細には、フロントエンジン車の車両前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両前部構造であるウインドシールド前のカウルボックスとして、外気を導入する外気導入性及び衝撃吸収性を兼ね備えたものが知られている(特許文献1,2参照)。かかるカウルボックスは、上方からの荷重に対して変形することによって衝撃を吸収し、荷重がカウルボックス下方に設けられたエンジンへ伝わることを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−112659号公報
【特許文献2】特開2009−255791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、従来機種に対してエンジンヘッド位置が高い車両が開発されている。このようにエンジンヘッド位置が高い車両においては、カウルボックスの上下幅が狭くなってしまい、衝撃吸収が困難になるおそれがある。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みて創作されたものであり、カウルボックスの上下幅が確保されない場合であっても良好な衝撃吸収性を実現することが可能な車両前部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、エンジンルームと車室とを隔離するダッシュボードロアの上部から前方へ延出するダッシュボードアッパと、ウインドシールドガラスの下端部を支持するウインドシールドロアと、前記ダッシュボードアッパと前記ウインドシールドロアとの間に形成された開口部を覆うカウルトップと、を備える車両前部構造であって、前記カウルトップは、前記開口部を覆うとともにカウル開口部を有する第一カウルカバーと、前記第一カウルカバーの上方に設けられて前記カウル開口部を覆う第二カウルカバーと、を備え、前記第二カウルカバーは、前記第一カウルカバーに当接する前側面及び後側面と、前記前側面の上端及び前記後側面の上端を連結する意匠面と、を備え、前記前側面及び前記後側面は、上に向かうほど互いに近接する形状を呈し、前記意匠面は、前傾形状を呈することを特徴とする。
【0007】
かかる構成によると、第一カウルカバー及び第二カウルカバーが、カウル開口部による略C字状開断面を構成し、第二カウルカバーの前側面及び後側面が上に向かうほど互いに近接する形状を呈するとともに、荷重受け面である第二カウルカバーの意匠面が前傾形状を呈しているので、第二カウルカバーの撓みによって、衝突初期に良好な衝撃吸収性を実現することができる。
【0008】
前記第二カウルカバーは、前記カウル開口部を覆う中央リッドと、前記中央リッドの車幅方向左右にそれぞれ設けられた側部リッドと、から構成されることが望ましい。
【0009】
かかる構成によると、第二カウルカバーが1つの部材から構成されている場合と比べて、荷重が加わった部材のみが変形することで、上方からの衝撃吸収性をより高めることができる。
【0010】
前記第一カウルカバーは、前記カウル開口部後端から前下方に延出された縦壁を備えることが望ましい。
【0011】
かかる構成によると、好適な気液分離を実現するとともに、縦壁が衝撃吸収性に与える影響を抑制することができる。
【0012】
前記第二カウルカバーは、前記カウル開口部の上方に位置するリッド開口部を有し、前記縦壁の下端は、前記リッド開口部の前端と前記ウインドシールドロアの前端とを結ぶ仮想線より下方に位置することが望ましい。
【0013】
かかる構成によると、カウルボックスが上下方向において薄くなったことに伴って、リッド開口部から流入する外気の流速が大きくなる車両においても、好適な気液分離を実現することができる。
【0014】
前記縦壁は、後面に形成された折れビードを有することが望ましい。
【0015】
かかる構成によると、縦壁が衝撃吸収性に与える影響を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カウルボックスの上下幅が確保されない場合であっても良好な衝撃吸収性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る車両前部構造を示す側断面図であり、エアコン吸気口を含む側断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るリッドダッシュボードアッパ及びウインドシールドロアを示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る第一カウルカバーを示す図であり、(a)は斜め上から見た図、(b)は斜め下から見た図である。
【図4】図2のリッドダッシュボードアッパ及びウインドシールドロアに第一カウルカバーを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係るリッドフレームナンバーを示す図であり、(a)は斜め上から見た図、(b)は斜め下から見た図である。
【図6】本発明の実施形態に係るリッドワイパーピボット及びリッドフードヒンジを示す図であり、(a)はリッドワイパーピボットを上から見た図、(b)はリッドワイパーピボットを下から見た図、(c)はリッドフードヒンジを上から見た図、(d)はリッドフードヒンジを下から見た図である。
【図7】図4の第一カウルカバーにリッドフレームナンバー、リッドワイパーピボット及びリッドフードヒンジを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る車両前部構造の上方衝突シミュレーションの解析結果を示す側断面図であり、(a)は衝突時(0sec)の状態を示す図、(b)は衝突から3sec後の状態を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る車両前部構造の上方衝突シミュレーションの解析結果を示す側断面図であり、(a)は衝突から7sec後の状態を示す図、(b)は衝突から10sec後の状態を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る車両前部構造の上方衝突シミュレーションの解析結果を示す側断面図であり、衝突から15sec後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る車両前部構造1は、フロントエンジン車に適用される構造であって、ダッシュボードアッパ11及びリッドダッシュボードアッパ12と、ウインドシールドロア20と、カウルトップ30と、を備える。
【0020】
<ダッシュボードアッパ及びリッドダッシュボードアッパ>
ダッシュボードアッパ11は、エンジンルーム2と車室3とを隔離するダッシュボードロア4の上部から前方へ延出する鋼板製部材である。本実施形態において、ダッシュボードアッパ11は、ダッシュボードロア4に溶接等によって固定されている。リッドダッシュボードアッパ12は、ダッシュボードアッパ11の前端から前上方へ延出する鋼板製部材である。本実施形態において、リッドダッシュボードアッパ12は、ダッシュボードアッパ11に溶接等で固定されている。これらダッシュボードアッパ11及びリッドダッシュボードアッパ12が、特許請求の範囲における「ダッシュボードアッパ」に相当する。
【0021】
<ウインドシールドロア>
ウインドシールドロア20は、ウインドシールドガラス5の下端部を支持する鋼板製部材である。図2に示すように、ウインドシールドロア20は、フレームナンバが記入されたフレームナンバプレート21を備える。また、図1及び図2に示すように、リッドダッシュボードアッパ12とウインドシールドロア20との間には、開口部6が形成されている。本実施形態において、ウインドシールドロア20は、片持ち構造にてウインドシールドガラス5を支持しており、ウインドシールドロア20とウインドシールドガラス5との間には、緩衝材7が設けられている。また、図1に示すように、ウインドシールドロア20は、車室3側端部に形成されたエアコン吸気孔21を有する。
【0022】
<カウルトップ>
図1に示すように、カウルトップ30は、開口部6を覆うことによって、リッドダッシュボードアッパ12及びウインドシールドロア20とともに所謂カウルボックスを構成する樹脂性部材である。カウルトップ30は、第一カウルカバー31と、第二カウルカバー32と、を備える。
【0023】
<第一カウルカバー>
第一カウルカバー31は、開口部6を覆う樹脂製部材であって、図3に示すように、車幅方向中央近傍に形成されたカウル開口部としてのエアコン吸気口31a及びフレームナンバ確認用開口31bと、下端に設けられた複数の係止部としての位置決めリブ31c及び係止クリップ31dと、を有する。フレームナンバ確認用開口31bは、図2に示すフレームナンバプレートの上方に位置する。第一カウルカバー31は、位置決めリブ31c及び係止クリップ31dをリッドダッシュボードアッパ12及びウインドシールドロア20に形成された孔部、切欠部又は縁部に係止することによって、図4に示すように、リッドダッシュボードアッパ12及びウインドシールドロア20に跨って固定される。
【0024】
また、図3に示すように、第一カウルカバー31は、エアコン吸気口31aの後端から前下方に延出された縦壁31eを備える。図1に示すように、縦壁31eの下端は、後記するエアコン吸気孔32a1の前端とウインドシールドロア20の前端とを結ぶ仮想線Lより下方に位置する。かかる縦壁31eは、エアコン吸気孔32a1から流入した外気の気液分離を行う防水リブとして機能する。
【0025】
縦壁31eは、後面の上下方向中間部分に形成された折れビード31e1を有する。
【0026】
また、図3に示すように、第一カウルカバー31は、車幅方向両端に形成された一対の開口部31fを有する。かかる開口部31fは、図示しないダンパ上に位置しており、図4に示すように、樹脂性部材であるカバー40によって塞がれる。ダンパに対する作業が必要な場合には、作業者は、かかるカバー40を取り外して作業を行うことができる。
【0027】
<第二カウルカバー>
図1に示すように、第二カウルカバー32は、第一カウルカバー31の上方に設けられ、エアコン吸気口31a及びフレームナンバ確認用開口31bを覆う樹脂性部材である。第二カウルカバー32の意匠面は、前傾形状かつ側面視凹形状を呈する。第二カウルカバー32の意匠面は、上方からの荷重を受ける荷重受け面でもあり、意匠面の前端の高さは、ボンネットフード8の後端と同じ高さ又はやや低い高さに設定されており、意匠面の後端の高さは、ボンネットフード8の後端よりも高く設定されている。第二カウルカバー32は、図5に示すリッドフレームナンバー32aと、図6に示すリッドワイパーピボット32b及びリッドフードヒンジ32cと、を備える。
【0028】
<リッドフレームナンバー>
リッドフレームナンバー32aは、第二カウルカバー32の一部を構成する中央リッドであって、エアコン吸気口31a及びフレームナンバ確認用開口31bを覆う樹脂性部材である。図5(a)(b)に示すように、リッドフレームナンバー32aは、前側面32af及び後側面32abと、これらの上端を連結する意匠面32auと、から構成されており、意匠面32auは、第一カウルカバー31の上方に当該第一カウルカバー31から離間して配置されるとともに、前傾形状かつ側面視凹形状を呈する。また、前側面32af及び後側面32abは、上に向かうほど互いに近接する形状を呈する。すなわち、リッドフレームナンバー32aは、側面視略M字形状を呈する。
【0029】
リッドフレームナンバー32aは、意匠面32auに形成されたリッド開口部としての複数のエアコン吸気孔32a1と、下端に設けられた複数の係止部としての位置決めリブ32a2及び係止クリップ32a3と、を有する。リッドフレームナンバー32aは、エアコン吸気口31a及びフレームナンバ確認用開口31bの前後において、位置決めリブ32a2及び係止クリップ32a3を第一カウルカバー31に形成された孔部、切欠部又は縁部に係止することによって、図7に示すように、第一カウルカバー31に固定される。フレームナンバの確認が必要な場合には、作業者は、リッドフレームナンバー32aを取り外し、フレームナンバ確認用開口31bを介してフレームナンバプレート21を視認することによって、フレームナンバを読み取ることができる。
【0030】
なお、エアコン吸気孔32a1からカウルボックス内に導入された外気は、エアコン吸気口31a1及びエアコン吸気孔21を介して図示しないエアコンに取り込まれる。
【0031】
<リッドワイパーピボット>
リッドワイパーピボット32bは、第二カウルカバー32の一部を構成する右側の側部リッドであって、樹脂性部材である。図6(a)(b)に示すように、リッドワイパーピボット32bは、前側面32bf及び後側面32bbと、これらの上端を連結する意匠面32buと、から構成されており、意匠面32buは、第一カウルカバー31の上方に当該第一カウルカバー31から離間して配置されるとともに、前傾形状かつ側面視凹形状を呈する。また、前側面32bf及び後側面32bbは、上に向かうほど互いに近接する形状を呈する。すなわち、リッドワイパーピボット32bは、側面視略M字形状を呈する。
【0032】
リッドワイパーピボット32bは、下端に設けられた複数の係止部としての位置決めリブ32b1及び係止クリップ32b2を有する。リッドワイパーピボット32bは、その前後端において、位置決めリブ32b1及び係止クリップ32b2を第一カウルカバー31に形成された孔部、切欠部又は縁部に係止することによって、図7に示すように、第一カウルカバー31に固定される。
【0033】
<リッドフードヒンジ>
リッドフードヒンジ32cは、第二カウルカバー32の一部を構成する左側の側部リッドであって、樹脂性部材である。リッドフードヒンジ32cは、前側面32cf及び後側面32cbと、これらの上端を連結する意匠面32cuと、から構成されており、意匠面32cuは、第一カウルカバー31の上方に当該第一カウルカバー31から離間して配置されるとともに、前傾形状かつ側面視凹形状を呈する。また、前側面32cf及び後側面32cbは、上に向かうほど互いに近接する形状を呈する。すなわち、リッドフードヒンジ32cは、側面視略M字形状を呈する。
【0034】
リッドフードヒンジ32cは、下端に設けられた複数の係止部としての位置決めリブ32c1及び係止クリップ32c2を有する。リッドフードヒンジ32cは、その前後端において、位置決めリブ32c1及び係止クリップ32c2を第一カウルカバー31に形成された孔部、切欠部又は縁部に係止することによって、図7に示すように、第一カウルカバー31に固定される。車両の図示しないECUのメンテナンスが必要な場合には、作業者は、リッドフードヒンジ32cを取り外してメンテナンスを行うことができる。
【0035】
続いて、本発明の実施形態に係る車両前部構造1の上方衝突シミュレーションの解析結果について、図8〜図10を参照して説明する。
【0036】
まず、車両前部構造1の第二カウルカバー32のリッドフレームナンバー32aに物体Oが衝突すると(図8(a))、物体Oの荷重によって、第二カウルカバー32及び第一カウルカバー31が変形する。ここで、二重構造のカウルトップ30を備えており、カウルトップ30の第一カウルカバー31及び第二カウルカバー32が、カウル開口部(エアコン吸気口31a及びフレームナンバ確認用開口31b)による略C字状開断面を構成し、荷重受け面である第二カウルカバー32の意匠面32au,32bu,32cuが前傾形状かつ側面視凹形状を呈し、さらに第一カウルカバー31に当接する前側面32af,32bf,32cf及び後側面32ab,32bb,32cbが上に向かうほど互いに近接する形状を呈するので、第二カウルカバー32は、前側面32af,32bf,32cf及び後側面32ab,32bb,32cbが第二カウルカバー32の前後方向中央に向かって倒れ込むように撓性変形しつつ、意匠面32au,32bu,32cuが凹むように撓性変形する。また、第二カウルカバー32は、前傾形状を呈するので、車両走行時に物体Oが上方から衝突したときに、好適に衝撃を吸収することができる。したがって、車両前部構造1は、衝突初期に良好な衝撃吸収性を実現する。
【0037】
また、第二カウルカバー32がリッドフレームナンバー32a、リッドワイパーピボット32b及びリッドフードヒンジ32cといった3つの部材から構成されているので、第二カウルカバー32が1つの部材から構成されている場合と比べて、荷重が加わった部材のみが変形することで、上方からの衝撃吸収性をより高めることができる。
【0038】
なお、車両が車両前部構造1に物体Oが衝突したときにボンネットフード8を持ち上げてエンジンルーム2内の空間を確保し、物体Oに作用する衝撃を低減する、いわゆる持ち上がりフードを備えている場合には、持ち上がりフードの初期加速度の立ち上がりを良好にすることによって、衝撃吸収性をより高めることができる。
【0039】
続いて、リッドフレームナンバー32aの意匠面32auが第一カウルカバー31を下方に押すことによって、縦壁31eがリッドダッシュボードアッパ12に当接する(図8(b))。縦壁31eは前下方に延出しているとともに縦壁31eの後面には折れビード31e1(図1参照)が形成されているので、縦壁31eは、折れビード31e1において折れ曲がりながらリッドダッシュボードアッパ12の前方に向かって変形する(図8(c)〜図10)。
【0040】
本発明の実施形態に係る車両前部構造1は、二重構造のカウルトップ30を備えており、カウルトップ30の第一カウルカバー31及び第二カウルカバー32が、カウル開口部(エアコン吸気口31a及びフレームナンバ確認用開口31b)による略C字状開断面を構成し、荷重受け面である第二カウルカバー32の意匠面32au,32bu,32cuが前傾形状かつ側面視凹形状を呈し、さらに第一カウルカバー31に当接する前側面32af,32bf,32cf及び後側面32ab,32bb,32cbが上に向かうほど互いに近接する形状を呈するので、第二カウルカバー32は、前側面32af,32bf,32cf及び後側面32ab,32bb,32cbが第二カウルカバー32の前後方向中央に向かって倒れ込むように撓性変形しつつ、意匠面32au,32bu,32cuが凹むように撓性変形する。また、第二カウルカバー32は、前傾形状を呈するので、車両走行時に物体Oが上方から衝突したときに、好適に衝撃を吸収することができる。したがって、車両前部構造1は、衝突初期に良好な衝撃吸収性を実現する。
【0041】
本発明の実施形態に係る車両前部構造1は、防水リブとして機能する縦壁31eを備えるので、カウルボックスが上下方向において薄くなったことに伴って、エアコン吸気孔32a1から流入する外気の流速が大きくなる車両においても、好適な気液分離を実現することができる。
【0042】
また、本発明の実施形態に係る車両前部構造1は、縦壁31eが前下方に延出しているとともに縦壁31eの後面には折れビード31e1が形成されているので、縦壁31eが衝撃吸収性に与える影響を抑制することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第二カウルカバー32は、三分割された構造に限定されず、1つの部材からなる第二カウルカバー、2つの部材からなる第二カウルカバー、又は、4つ以上の部材からなる第二カウルカバーに変更可能である。また、第二カウルカバー32の意匠面は、前傾形状かつ側面視直線状を呈する構成であってもよい。また、本発明のダッシュボードアッパとして、前記したダッシュボードアッパ11及びリッドダッシュボードアッパ12が1枚の鋼板製部材から一体に形成されている構成であってもよい。また、ダッシュボードロア及びリッドダッシュボードアッパが1枚の鋼板製部材から一体に形成されている構成であってもよい。すなわち、実施形態に係るダッシュボードロア4、ダッシュボードアッパ11及びリッドダッシュボードアッパ12が一体形成されているか別体形成されているかに関わらず、エンジンルームと車室とを隔離するダッシュボードロアから前方へ延出する部分が、本発明のダッシュボードアッパに相当する。
【符号の説明】
【0044】
1 車両前部構造
6 開口部
11 ダッシュボードアッパ
12 リッドダッシュボードアッパ(ダッシュボードアッパ)
20 ウインドシールドロア
30 カウルトップ
31 第一カウルカバー
31a エアコン吸気口(カウル開口部)
31b フレームナンバ確認用開口(カウル開口部)
32 第二カウルカバー
32a リッドフレームナンバー(中央リッド)
32a1 エアコン吸気孔(リッド開口部)
32b リッドワイパーピボット(側部リッド)
32c リッドフードヒンジ(側部リッド)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームと車室とを隔離するダッシュボードロアの上部から前方へ延出するダッシュボードアッパと、
ウインドシールドガラスの下端部を支持するウインドシールドロアと、
前記ダッシュボードアッパと前記ウインドシールドロアとの間に形成された開口部を覆うカウルトップと、
を備える車両前部構造であって、
前記カウルトップは、
前記開口部を覆うとともにカウル開口部を有する第一カウルカバーと、
前記第一カウルカバーの上方に設けられて前記カウル開口部を覆う第二カウルカバーと、
を備え、
前記第二カウルカバーは、前記第一カウルカバーに当接する前側面及び後側面と、前記前側面の上端及び前記後側面の上端を連結する意匠面と、を備え、
前記前側面及び前記後側面は、上に向かうほど互いに近接する形状を呈し、
前記意匠面は、前傾形状を呈する
ことを特徴とする車両前部構造。
【請求項2】
前記第二カウルカバーは、
前記カウル開口部を覆う中央リッドと、
前記中央リッドの車幅方向左右にそれぞれ設けられた側部リッドと、
から構成されることを特徴とする請求項1に記載の車両前部構造。
【請求項3】
前記第一カウルカバーは、前記カウル開口部後端から前下方に延出された縦壁を備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両前部構造。
【請求項4】
前記第二カウルカバーは、前記カウル開口部の上方に位置するリッド開口部を有し、
前記縦壁の下端は、前記リッド開口部の前端と前記ウインドシールドロアの前端とを結ぶ仮想線より下方に位置する
ことを特徴とする請求項3に記載の車両前部構造。
【請求項5】
前記縦壁は、後面に形成された折れビードを有する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−14153(P2013−14153A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146112(P2011−146112)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】