説明

車両前部構造

【課題】車室の前方下部に設けられた冷却ユニットの冷却と、車室の前方に設けられたエンジンに接続された排気管の冷却とを両立させる。
【解決手段】車両前部構造10は、車室12の前方下部に設けられた冷却ユニット14と、車室12の前方に設けられたエンジン28に接続された排気管48と、車両前部に設けられた開口部24から取り入れられた冷却風W1を、冷却ユニット14に導く第一冷却風通路50と、開口部24から取り入れられた冷却風W2を、排気管48に導く第二冷却風通路52と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、客室と前室との間に設けられた熱交換器ユニットと、自動車の前部に設けられた気流入口から流入した空気を熱交換器ユニットに導くマニホールドとを備えた自動車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−211981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来技術では、エンジンに接続された排気管を冷却することができなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、車室の前方下部に設けられた冷却ユニットの冷却と、車室の前方に設けられたエンジンに接続された排気管の冷却とを両立させることができる車両前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車両前部構造は、車室の前方下部に設けられた冷却ユニットと、前記車室の前方に設けられたエンジンに接続された排気管と、車両前部に設けられた開口部から取り入れられた冷却風を、前記冷却ユニットに導く第一冷却風通路と、前記開口部から取り入れられた冷却風を、前記排気管に導く第二冷却風通路と、を備えている。
【0007】
この車両前部構造によれば、車両前部に設けられた開口部から取り入れられた冷却風は第一冷却風通路により冷却ユニットに導かれるので、これにより、冷却ユニットを冷却することができる。また、開口部から取り入れられた冷却風は第二冷却風通路により排気管にも導かれるので、これにより、排気管を冷却することができる。従って、冷却ユニットの冷却と排気管の冷却とを両立させることができる。
【0008】
請求項2に記載の車両前部構造は、請求項1に記載の車両前部構造において、前記エンジンを収容するエンジンルームの両側の側方部に、ホイールハウスがそれぞれ設けられ、前記第一冷却風通路が、前記ホイールハウスのうち一方のホイールハウスに設けられた第一ホイールハウス導風板と、前記エンジンを下方から覆うアンダカバーに設けられると共に、前記ホイールハウスの車両幅方向間に配置されたアンダカバー導風板とによって区画され、前記第二冷却風通路が、前記ホイールハウスのうち他方のホイールハウスに設けられた第二ホイールハウス導風板と、前記アンダカバー導風板とによって区画された構成とされている。
【0009】
この車両前部構造によれば、第一冷却風通路は、第一ホイールハウス導風板とアンダカバー導風板とによって区画されており、第二冷却風通路は、第二ホイールハウス導風板と、上述のアンダカバー導風板とによって区画されている。従って、簡単な構成により、第一冷却風通路と第二冷却風通路とを形成することができる。
【0010】
請求項3に記載の車両前部構造は、請求項2に記載の車両前部構造において、前記アンダカバー導風板が、前記排気管を支持する排気管サポートゴムのジョイントと一体化された構成とされている。
【0011】
この車両前部構造によれば、アンダカバー導風板は、排気管サポートゴムのジョイントと一体化されているので、アンダカバー導風板と排気管サポートゴムのジョイントとが別々の場所に設けられた場合に比して、構造を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上詳述したように、本発明によれば、車室の前方下部に設けられた冷却ユニットの冷却と、車室の前方に設けられたエンジンに接続された排気管の冷却とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両前部構造の斜視図である。
【図2】図1に示される車両前部構造の側面断面図である。
【図3】図1に示される車両前部構造の平面断面図である。
【図4】図1に示される車両前部構造の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0015】
なお、各図において示される矢印UP、矢印FR、矢印OUTは、車両上下方向上側、車両前後方向前側、車両幅方向外側をそれぞれ示している。
【0016】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る車両前部構造10は、車室12の前方下部に設けられた冷却ユニット14を備えている。この冷却ユニット14は、例えば、ラジエータや、空調装置のコンデンサとされる。図2に示されるように、車室12の床部を構成するフロアパネル16の車両幅方向中央部には、車両上側に膨出し車両前後方向に延びるトンネル部18が設けられており、上述の冷却ユニット14は、このトンネル部18の前端開口部に配置されている。
【0017】
この冷却ユニット14の前方には、冷却風通路20が設けられており、車両前部に設けられたフロントバンパカバー22には、車両前後方向に開口する開口部24が形成されている。冷却風通路20は、具体的には、車室12の前方に形成されたエンジンルーム26に収容されたエンジン28の下面と、このエンジン28を下方から覆うアンダカバー30と、開口部24の周縁部から車両後側に延びるダクト部32と、エンジンルーム26の両側の側方部に設けられた一対のホイールハウス34,36等により構成されている。
【0018】
また、一対のホイールハウス34,36のうち一方のホイールハウス34には、第一ホイールハウス導風板42が設けられている。一方、一対のホイールハウス34,36のうち他方のホイールハウス36には、第二ホイールハウス導風板44が設けられている。この第一ホイールハウス導風板42及び第二ホイールハウス導風板44は、各ホイールハウス34,36に一体に形成されるか、又は、各ホイールハウス34,36と別体とされた上で各ホイールハウス34,36に一体に固定されている。
【0019】
第一ホイールハウス導風板42は、車両幅方向を板厚方向として車両前後方向に延びる本体部42Aと、この本体部42Aの後端部から車両幅方向内側に延びる中間部42Bと、この中間部42Bの車両幅方向内側の端部から車両後側に延びる後部42Cとを有している。一方、第二ホイールハウス導風板44は、車両幅方向を板厚方向として車両前後方向に延びる本体部44Aと、この本体部44Aの後側に形成され車両後側に向かうに従って車両幅方向内側に向かうように湾曲する後部44Bとを有している。
【0020】
また、アンダカバー30には、アンダカバー導風板46が設けられている。このアンダカバー導風板46は、アンダカバー30に一体に形成されるか、又は、アンダカバー30と別体とされた上でアンダカバー30に一体に固定されている。このアンダカバー導風板46は、アンダカバー30からエンジン28(車両上側)に向けて延出されると共に、車両前後方向に延びている。
【0021】
また、このアンダカバー導風板46は、上述の一対のホイールハウス34,36の車両幅方向間に配置されており、より具体的には、一対のホイールハウス34,36の車両幅方向間の中央部よりも他方のホイールハウス36側にずれて配置されている。このアンダカバー導風板46は、車両後側に向かうに従って車両幅方向内側に向かう前部46Aと、この前部46Aの後側に形成され車両前後方向に延びる後部46Bとを有している。このアンダカバー導風板46と上述の第二ホイールハウス導風板44との間には、エンジン28に接続された排気管48の一部48Aが配索されている。
【0022】
そして、この車両前部構造10では、この第一ホイールハウス導風板42、第二ホイールハウス導風板44、及び、アンダカバー導風板46によって、上述の冷却風通路20が第一冷却風通路50及び第二冷却風通路52に区画されている。
【0023】
つまり、第一冷却風通路50は、第一ホイールハウス導風板42と、アンダカバー導風板46とによって区画されており、第二冷却風通路52は、第二ホイールハウス導風板44と、アンダカバー導風板46とによって区画されている。また、開口部24から取り入れられた冷却風W1は、第一冷却風通路50により冷却ユニット14に導かれ、開口部24から取り入れられた冷却風W2は、第二冷却風通路52により排気管48に導かれる。なお、第二冷却風通路52を流れる冷却風W3は、ホイールハウス36等に開口された排出口54から車両外部に排出される。
【0024】
次に、本発明の一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0025】
この車両前部構造10によれば、車両前部に設けられた開口部24から取り入れられた冷却風W1は第一冷却風通路50により冷却ユニット14に導かれるので、これにより、冷却ユニット14を冷却することができる。また、開口部24から取り入れられた冷却風W2は第二冷却風通路52により排気管48に導かれるので、これにより、排気管48を冷却することができる。従って、冷却ユニット14の冷却と排気管48の冷却とを両立させることができる。
【0026】
しかも、第一冷却風通路50は、第一ホイールハウス導風板42とアンダカバー導風板46とによって区画されており、第二冷却風通路52は、第二ホイールハウス導風板44と、上述のアンダカバー導風板46とによって区画されている。従って、簡単な構成により、第一冷却風通路50と第二冷却風通路52とを形成することができる。
【0027】
次に、本発明の一実施形態の変形例について説明する。
【0028】
上記実施形態において、開口部24は、フロントバンパカバー22に開口されていたが、フロントバンパカバー22以外の部材に開口されていても良い。
【0029】
また、冷却風通路20は、エンジン28の下面と、アンダカバー30と、ダクト部32と、一対のホイールハウス34,36等により構成されていたが、その他の部材等により構成されていても良い。
【0030】
また、アンダカバー導風板46は、図4に示されるように、エンジン28と接続された排気管48を支持する排気管サポートゴム62のジョイント60と一体化されていても良い。この場合に、アンダカバー導風板46は、排気管サポートゴム62のジョイント60と一体に形成されるか、又は、排気管サポートゴム62のジョイント60と別体とされた上で排気管サポートゴム62のジョイント60に一体に固定されていても良い。また、排気管サポートゴム62のジョイント60は、排気管48の振動伝達を抑制するための部材とされていても良く、また、排気管48の伝熱を抑制するための部材とされていても良い。
【0031】
このように、アンダカバー導風板46が、排気管サポートゴム62のジョイント60と一体化されていると、アンダカバー導風板46と排気管サポートゴム62のジョイント60とが別々の場所に設けられた場合に比して、構造を簡素化することができる。
【0032】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0033】
10 車両前部構造
12 車室
14 冷却ユニット
24 開口部
26 エンジンルーム
28 エンジン
30 アンダカバー
34,36 ホイールハウス
42 第一ホイールハウス導風板
44 第二ホイールハウス導風板
46 アンダカバー導風板
48 排気管
50 第一冷却風通路
52 第二冷却風通路
60 排気管サポートゴムのジョイント
62 排気管サポートゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の前方下部に設けられた冷却ユニットと、
前記車室の前方に設けられたエンジンに接続された排気管と、
車両前部に設けられた開口部から取り入れられた冷却風を、前記冷却ユニットに導く第一冷却風通路と、
前記開口部から取り入れられた冷却風を、前記排気管に導く第二冷却風通路と、
を備えた車両前部構造。
【請求項2】
前記エンジンを収容するエンジンルームの両側の側方部には、ホイールハウスがそれぞれ設けられ、
前記第一冷却風通路は、前記ホイールハウスのうち一方のホイールハウスに設けられた第一ホイールハウス導風板と、前記エンジンを下方から覆うアンダカバーに設けられると共に、前記ホイールハウスの車両幅方向間に配置されたアンダカバー導風板とによって区画され、
前記第二冷却風通路は、前記ホイールハウスのうち他方のホイールハウスに設けられた第二ホイールハウス導風板と、前記アンダカバー導風板とによって区画されている、
請求項1に記載の車両前部構造。
【請求項3】
前記アンダカバー導風板は、前記排気管を支持する排気管サポートゴムのジョイントと一体化されている、
請求項2に記載の車両前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−86556(P2013−86556A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226112(P2011−226112)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】