説明

車両外部表示装置

【課題】昼間、太陽光が当たっているピラー等に投影された映像の視認性を向上させることが可能な車両外部表示装置を提供する。
【解決手段】ウィンカスイッチ18が右折又は左折のON状態になった際には、自車両2の進行方向側の右側照度センサ5R又は左側照度センサ5Lを介して検出された右側ピラー4R又は左側ピラー4Lの明るさが所定照度以上の場合には、該自車両2の進行方向側の右側ピラー4R又は左側ピラー4Lに取り付けられた右側サンシェード8R又は左側サンシェード8Lが、各超音波センサ71〜73を介して検出された運転者11の頭部位置情報に基づいて、右側ピラー4R又は左側ピラー4Lに対して所定角度を形成するように外側方向に回動される(S211〜S220)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両外部の景色を撮影して車両構造物によって運転者の死角となる領域を含む景色を該車両構造物に投影表示する車両外部表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両外部の景色を撮影して車両構造物によって運転者の死角となる領域を含む景色を該車両構造物に投影表示する車両外部表示装置が種々提案されている。
例えば、車両の天井を支えるピラーによってできる死角の景色を撮影手段によって撮影し、その景色をプロジェクタ等の投影手段によってピラーに投影表示して、ピラーからの太陽光の反射を防ぐことが可能な車両外部表示装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−184225号公報(段落(0029)〜(0093)、図1〜図11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記した特許文献1に記載された車両外部表示装置では、プロジェクタ等の明るさを保ったとしても、昼間、太陽光が当たっているピラーでは投影された映像が見えにくくなり、視認性が低下するという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、昼間、太陽光が当たっているピラー等に投影された映像の視認性を向上させることが可能な車両外部表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため請求項1に係る車両外部表示装置は、車両外部の景色を撮影して画像データとして出力する撮影手段(3)と、前記撮影手段によって撮影された画像データに基づいて車両構造物によって運転者の死角となる領域を含む景色を前記車両構造物に投影表示する表示手段(6)と、を備えた車両外部表示装置(1)において、前記運転者の頭部の位置を検出する頭部位置検出手段(71、72、73)と、前記車両構造物への太陽光を遮るように該車両構造物の側縁に一方の側端縁部が回動自在に取り付けられた日除け部材(8R、8L)と、前記日除け部材を前記一方の側端縁部回りに回動させる回動手段(15L、15R)と、前記頭部位置検出手段によって検出された頭部位置情報に基づいて、前記日除け部材が前記車両構造物に対して所定角度を形成するように前記回動手段を駆動制御する回動制御手段(10)と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る車両外部表示装置は、請求項1に記載の車両外部表示装置(1)において、前記車両構造物の明るさを検出する明るさ検出手段(5R、5L)を備え、前記回動制御手段(10)は、前記明るさ検出手段によって検出された明るさ情報に基づいて、前記回動手段を駆動制御することを特徴とする。
【0007】
更に、請求項3に係る車両外部表示装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両外部表示装置(1)において、自車両の進行方向を報知する方向指示手段の点灯指示を入力する点灯指示入力手段(18)を備え、前記車両構造物は、ピラー(4R、4L)であり、前記回動制御手段(10)は、前記点灯指示入力手段を介して入力された点灯指示に基づいて、自車両の進行方向側の前記ピラーに取り付けられた前記日除け部材を回動させるように前記回動手段を駆動制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する請求項1に係る車両外部表示装置では、車両構造物によって運転者の死角となる領域を含む景色が表示手段を介して該車両構造物に投影表示される。また、この車両構造物への太陽光を遮るように該車両構造物の側縁に日除け部材が、一方の側端縁部を回動自在に取り付けられている。そして、この日除け部材は、頭部位置検出手段によって検出された運転者の頭部位置情報に基づいて、回動手段を介して車両構造物に対して所定角度を形成するように一方の側端縁部回りに回動制御される。
これにより、日除け部材が運転者の頭部位置情報に基づいて回動制御され、車両構造物に対して所定角度を形成して該車両構造物への太陽光が遮られるため、昼間でも表示手段によって車両構造物に投影された映像の視認性を向上させることが可能となる。また、日除け部材は運転者の頭部位置情報に基づいて回動制御され、車両構造物に対して所定角度を形成するため、車両構造物に投影表示された映像が日除け部材によって遮られることを防止することが可能となる。
【0009】
また、請求項2に係る車両外部表示装置では、明るさ検出手段によって車両構造物の明るさを検出し、その検出された明るさ情報に基づいて日除け部材を回動させることができる。これにより、曇りや夜間等の暗い場合には、日除け部材を車両構造物側に閉じ、晴天の昼間等の明るい場合には、日除け部材を外側方向に回動させて車両構造物に対して所定角度を形成して太陽光を遮ることが可能となり、車内の見栄えをよくすることができる。
【0010】
更に、請求項3に係る車両外部表示装置では、点灯指示入力手段を介して入力された点灯指示に基づいて、自車両の進行方向側のピラーに取り付けられた日除け部材が回動されるため、運転者が注視する側のピラーに投影された映像の視認性を向上させることが可能となり、安全性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る車両外部表示装置を具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
先ず、本実施例に係る車両外部表示装置が搭載される車両の概略構成について図1乃至図4に基づいて説明する。
図1は本実施例に係る車両外部表示装置1の概略構成を説明する平面図である。図2は本実施例に係る車両外部表示装置1の概略構成を説明する側面図である。図3は各超音波センサの配置を示す要部拡大平面図である。図4は右側サンシェードの回動した状態を示す斜視図である。
【0013】
図1乃至図4に示すように、車両外部表示装置1は、CCDカメラ等により構成されて車両2の先端中央部に配置されて前方及び左右方向を撮影するための前方撮像用カメラ3と、車両2の右側ピラー4Rと左側ピラー4Lのそれぞれの基端部近傍のインストルメントパネルの上部に配置されて明るさを検出する右側照度センサ5Rと左側照度センサ5Lと、前方撮像用カメラ3によって撮影された映像のうちの各ピラー4R、4Lによってできる運転者の死角の部分の映像を後述のように各ピラー4R、4Lに投影表示するプロジェクタ6と、運転者の頭部位置を検出するために運転座席の前側左右の天井部と運転座席の左上側の天井部に配置された各超音波センサ71、72、73と、各ピラー4R、4Lに取り付けられた日除け部材としての右側サンシェード8R、左側サンシェード8L(図3及び図4には、右側ピラー4Rに取り付けられた右側サンシェード8Rが示されている。)と、後述の描画ECU(Electronic Control Unit)10(図5参照)とから構成されている。
【0014】
そして、図3に示すように、各超音波センサ71、72、73から運転者11の頭部までの距離が検出される。
また、図3に示すように、各サンシェード8R、8Lは、イグニションスイッチON時には、各ピラー4R、4Lにほぼ密着して、閉じられている。そして、後述のように、プロジェクタ6によって運転者の死角の部分の映像を各ピラー4R、4Lに投影表示する際に、外側方向に回動されて(図4参照)、各ピラー4R、4Lへの太陽光を遮るように構成されている。
【0015】
ここで、アクリル板等で形成される各サンシェード8R、8Lの構成について図4に基づいて説明する。尚、各サンシェード8R、8Lの構成は、ほぼ同じ構成であるため、右側ピラー4Rに取り付けられたサンシェード8Rについて説明する。
図4に示すように、右側ピラー4Rとほぼ同じ長さのサンシェード8Rの一方の側端縁部に沿って支持軸12が取り付けられ、右側ピラー4Rの前側の側縁に設けられた各軸受部13、14によって該支持軸12の両端部が軸支されている。また、支持軸12の下端部にはギヤ(不図示)が取り付けられており、右側ピラー4Rの基端部内に配置されてステッピングモータ等で構成される右側サンシェード駆動用モータ15Rのモータ軸に取り付けられたギヤ15Aに不図示のギヤ列を介して歯合している。これにより、右側サンシェード駆動用モータ15Rを回転駆動することによって、右側サンシェード8Rが右側ピラー4Rの前側の側縁を中心軸として、この右側ピラー4Rに対して所定角度を形成するように回動される。尚、図4には右側サンシェード8Rが外側に回動された状態が示されている。
【0016】
また、同様に、左側サンシェード8Lは、左側ピラー4Lの基端部内に配置されてステッピングモータ等で構成される左側サンシェード駆動用モータ15L(図5参照)を回転駆動することによって、左側サンシェード8Lが左側ピラー4Lの前側の側縁を中心軸として、この左側ピラー4Lに対して所定角度を形成するように回動される。
【0017】
また、図4に示すように、ハンドル17の前側には、ウィンカスイッチ18(図5参照)が内蔵された点灯指示入力手段としてのウィンカレバー19が配置されている。このウィンカレバー19が運転者11によって操作されると、ウィンカスイッチ18は、右折又は左折のON信号又はOFF信号を出力する。そして、ウィンカスイッチ18が右折方向にONされた場合には、右側ウィンカ20Rが点灯され、ウィンカスイッチ18が左折方向にONされた場合には、左側ウィンカ20Lが点灯される。
【0018】
次に、車両外部表示装置1の制御系に係る構成について図5に基づいて説明する。図5は車両外部表示装置1の制御系を模式的に示すブロック図である。
図5に示すように、車両外部表示装置1の制御系は、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行う描画ECU10と、前方撮像用カメラ3と、ウィンカスイッチ18と、左側照度センサ5Lと、右側照度センサ5Rと、各超音波センサ71、72、73とから構成されている。また、描画ECU10には、プロジェクタ6と、左側サンシェード駆動用モータ15L及び右側サンシェード駆動用モータ15Rを駆動するモータ駆動回路22が接続されている。
【0019】
また、描画ECU10は、全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPUの他に、CPUが各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAMや、制御用のプログラムのほか、後述のプロジェクタ6によって各ピラー4R、4Lに死角の部分の映像を投影表示する画像表示処理プログラム(図7参照)や、各サンシェード駆動用モータ15R、15Lを駆動するサンシェード駆動処理プログラム(図8参照)等が記録されたROM等の内部記憶装置を備えている。尚、前記RAM、ROM等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPUに代えてMPU等を使用することも可能である。
【0020】
また、描画ECU10には、プロジェクタ制御部25、頭部位置決定部26、サンシェード角度決定部27を備え、前方撮像用カメラ3、ウィンカスイッチ18、左側照度センサ5L、右側照度センサ5R、各超音波センサ71、72、73等から取得した情報に基づいて各種制御を行う。
ここで、プロジェクタ制御部25は、後述のようにウィンカスイッチ18から入力される信号に基づいて、前方撮像用カメラ3によって撮影した画像データを受け取り、右側ピラー4R又は左側ピラー4Lに投影表示する死角の部分の画像データを作成してプロジェクタ6に出力する。
【0021】
また、頭部位置決定部26は、各超音波センサ71、72、73から入力される信号に基づいて、各超音波センサ71、72、73から運転者11の頭部までの距離を検出することによって、各超音波センサ71、72、73が設置される座標位置と、該各超音波センサ71、72、73によって検出された各距離を用いて運転者11の頭部位置の3次元座標を特定する。
また、サンシェード角度決定部27は、頭部位置決定部26によって特定された運転者11の頭部位置の3次元座標と、各ピラー4R、4Lの前側の側縁前側の座標位置とに基づいて、各ピラー4R、4Lによる死角の部分の前端の角度を算出し、この角度を各サンシェード8R、8Lの各ピラー4R、4Lに対する傾き、即ち、各サンシェード8R、8Lの各ピラー4R、4Lに対して外側方向に回動する開き角度とする(図9参照)。そして、サンシェード角度決定部27は、各サンシェード8R、8Lの各ピラー4R、4Lに対する傾きに基づいて、各駆動用モータ15R、15Lの駆動量(例えば、ステッピングモータの場合には、駆動パルス数である。)を決定する。
【0022】
次に、上記のように構成された車両外部表示装置1の描画ECU10が実行する各ピラー4R、4Lに死角の部分の画像データを投影表示すると共に、各サンシェード8R、8Lを回動させる投影表示処理について図6乃至図8に基づいて説明する。
図6は描画ECU10が実行する投影表示処理を示すメインフローチャートである。図7は図6の「画像表示処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。図8は図6の「サンシェード駆動処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。尚、図6にフローチャートで示されるプログラムは、描画ECU10が備えているRAMやROMに記憶されており、CPUにより一定時間毎(例えば、10msec〜100msec毎)に実行される。
【0023】
図6に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、描画ECU10は、各ピラー4R、4Lに死角の部分の画像データを投影表示する「画像表示処理」のサブ処理を実行する。そして、S12において、描画ECU10は、各サンシェード8R、8Lを回動させる「サンシェード駆動処理」のサブ処理を実行後、当該処理を終了する。
【0024】
次に、描画ECU10が上記S11で実行する「画像表示処理」のサブ処理について図7に基づいて説明する。
図7に示すように、先ず、S111において、描画ECU10は、初期化を行う。つまり、前回の死角の部分の画像データを消去する。
続いて、S112において、描画ECU10は、ウインカースイッチ18が右折のON状態か否かを判定する判定処理を実行する。そして、ウインカースイッチ18が右折のON状態の場合には(S112:YES)、描画ECU10は、S113の処理に移行する。
【0025】
S113において、描画ECU10は、プロジェクタ制御部26により前方撮像用カメラ3によって撮影した画像データから右側ピラー4Rに投影表示する死角の部分の画像データを作成してプロジェクタ6に出力し、右側ピラー4Rによって形成される運転者11の死角の部分の景色を該右側ピラー4Rに投影表示して、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻る。即ち、右側ピラー4Rに運転者11の死角の部分の景色が投影表示された状態になる。
一方、ウインカースイッチ18が右折のON状態でない場合には(S112:NO)、描画ECU10は、S114の処理に移行する。S114において、描画ECU10は、ウインカースイッチ18が左折のON状態か否かを判定する判定処理を実行する。そして、ウインカースイッチ18が左折のON状態の場合には(S114:YES)、描画ECU10は、S115の処理に移行する。
【0026】
S115において、描画ECU10は、プロジェクタ制御部26により前方撮像用カメラ3によって撮影した画像データから左側ピラー4Lに投影表示する死角の部分の画像データを作成してプロジェクタ6に出力し、左側ピラー4Lによって形成される運転者11の死角の部分の景色を該左側ピラー4Lに投影表示して、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻る。即ち、左側ピラー4Lに運転者11の死角の部分の景色が投影表示された状態になる。
一方、ウインカースイッチ18が左折のON状態でない場合には(S114:NO)、描画ECU10は、プロジェクタ制御部26によるプロジェクタ6への画像出力をすることなく、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻る。即ち、右側ピラー4R又は左側ピラー4Lに投影表示されていた運転者11の死角の部分の景色が消される。
【0027】
次に、描画ECU10が上記S12で実行する「サンシェード駆動処理」のサブ処理について図8に基づいて説明する。
図8に示すように、先ず、S211において、描画ECU10は、ウインカースイッチ18が右折のON状態か否かを判定する判定処理を実行する。そして、ウインカースイッチ18が右折のON状態の場合には(S211:YES)、描画ECU10は、S212の処理に移行する。
【0028】
S212において、描画ECU10は、右側照度センサ5Rから出力される信号に基づいて、右側ピラー4Rの明るさが所定照度以上(例えば、10000lux以上である。)か否か、即ち、所定明るさ以上か否かを判定する判定処理を実行する。そして、右側ピラー4Rの明るさが所定照度以上(例えば、10000lux以上である。)でない場合、即ち、右側ピラー4Rの明るさが所定照度未満(例えば、10000lux未満である。)の場合には(S212:NO)、描画ECU10は、S221の処理に移行する。
S221において、描画ECU10は、右側サンシェード8R又は左側サンシェード8Lを右側ピラー4R又は左側ピラー4L方向へ回動して、右側サンシェード8R又は左側サンシェード8Lを右側ピラー4R又は左側ピラー4Lにほぼ密着するまで、即ち、開き角度がほぼ0度になるように回動させて、各サンシェード8R、8Lを閉じた状態にした後、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻る。
【0029】
具体的には、描画ECU10は、RAMから右側サンシェード駆動用モータ15Rの駆動量又は左側サンシェード駆動用モータ15Lの駆動量(例えば、ステッピングモータの場合には、駆動パルス数である。)を読み出し、この駆動量だけ右側サンシェード駆動用モータ15R又は左側サンシェード駆動用モータ15Lを逆回転させる駆動信号をモータ駆動回路22に出力して、右側サンシェード駆動用モータ15R又は左側サンシェード駆動用モータ15Lを逆回転させて、右側サンシェード8R又は左側サンシェード8Lを右側ピラー4R又は左側ピラー4Lにほぼ密着させる。これにより、各サンシェード8R、8Lが各ピラー4R、4Lにほぼ密着された状態になり、車内の見栄えをよくすることができる。
【0030】
一方、右側ピラー4Rの明るさが所定照度以上(例えば、10000lux以上である。)の場合には(S212:YES)、描画ECU10は、S213の処理に移行する。
S213において、描画ECU10は、頭部位置決定部26により各超音波センサ71、72、73から入力される信号に基づいて、運転者11の頭部位置の3次元座標を特定する。
続いて、S214において、描画ECU10は、サンシェード角度決定部27によって、S213で特定した運転者11の頭部位置の3次元座標と、右側ピラー4Rの前側の側縁の座標位置とに基づいて、右側ピラー4Rによる死角の部分の前端の角度を算出し、この角度を右側サンシェード8Rの右側ピラー4Rに対する傾き、即ち、右側サンシェード8Rの右側ピラー4Rに対する開き角度としてRAMに記憶する。
【0031】
そして、S215において、描画ECU10は、RAMから右側サンシェード8Rの右側ピラー4Rに対する傾き、即ち、右側サンシェード8Rの右側ピラー4Rに対する開き角度を読み出し、サンシェード角度決定部27によって、右側サンシェード8Rを回動させる右側サンシェード駆動用モータ15Rの駆動量(例えば、ステッピングモータの場合には、駆動パルス数である。)を決定後、この駆動量(例えば、ステッピングモータの場合には、駆動パルス数である。)をRAMに記憶すると共に、モータ駆動回路22に出力して該右側サンシェード駆動用モータ15Rを駆動後、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻る。
これにより、右側サンシェード8Rが右側ピラー4Rに対して、運転者11の頭部位置に対応した傾き角度、即ち開き角度になるように該右側ピラー4Rの前側の側縁回りに回動され、右側ピラー4Rに当たる太陽光が遮られる。
【0032】
他方、上記S211で、ウインカースイッチ18が右折のON状態でない場合には(S211:NO)、描画ECU10は、S216の処理に移行する。
S216において、描画ECU10は、ウインカースイッチ18が左折のON状態か否かを判定する判定処理を実行する。そして、ウインカースイッチ18が左折のON状態でない場合には(S216:NO)、描画ECU10は、上記S221の処理に移行する。
【0033】
一方、ウインカースイッチ18が左折のON状態の場合には(S216:YES)、描画ECU10は、S217の処理に移行する。
S217において、描画ECU10は、左側照度センサ5Lから出力される信号に基づいて、左側ピラー4Lの明るさが所定照度以上(例えば、10000lux以上である。)か否か、即ち、所定明るさ以上か否かを判定する判定処理を実行する。そして、左側ピラー4Lの明るさが所定照度以上(例えば、10000lux以上である。)でない場合、即ち、左側ピラー4Lの明るさが所定照度未満(例えば、10000lux未満である。)の場合には(S217:NO)、描画ECU10は、上記S221の処理に移行する。
【0034】
一方、左側ピラー4Lの明るさが所定照度以上(例えば、10000lux以上である。)の場合には(S217:YES)、描画ECU10は、S218の処理に移行する。
S218において、描画ECU10は、頭部位置決定部26により各超音波センサ71、72、73から入力される信号に基づいて、運転者11の頭部位置の3次元座標を特定する。
続いて、S219において、描画ECU10は、サンシェード角度決定部27によって、S218で特定した運転者11の頭部位置の3次元座標と、左側ピラー4Lの前側の側縁の座標位置とに基づいて、左側ピラー4Lによる死角の部分の前端の角度を算出し、この角度を左側サンシェード8Lの左側ピラー4Lに対する傾き、即ち、左側サンシェード8Lの左側ピラー4Lに対する開き角度としてRAMに記憶する。
【0035】
そして、S220において、描画ECU10は、RAMから左側サンシェード8Lの左側ピラー4Lに対する傾き、即ち、左側サンシェード8Lの左側ピラー4Lに対する開き角度を読み出し、サンシェード角度決定部27によって、左側サンシェード8Lを回動させる左側サンシェード駆動用モータ15Lの駆動量(例えば、ステッピングモータの場合には、駆動パルス数である。)を決定後、この駆動量(例えば、ステッピングモータの場合には、駆動パルス数である。)をRAMに記憶すると共に、モータ駆動回路22に出力して該左側サンシェード駆動用モータ15Lを駆動後、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻る。
これにより、左側サンシェード8Lが左側ピラー4Lに対して、運転者11の頭部位置に対応した傾き角度、即ち開き角度になるように該左側ピラー4Lの前側の側縁回りに回動され、左側ピラー4Lに当たる太陽光が遮られる。
【0036】
ここで、ウィンカスイッチ18が右折のON状態で、右側ピラー4Rの明るさが所定照度以上(例えば、10000lux以上である。)の場合に、右側サンシェード8Rが右側ピラー4に対して、運転者11の頭部位置に対応した傾き、即ち開き角度の一例を図9に基づいて説明する。
図9は右側サンシェード8Rの右側ピラー4Rに対する傾きと運転者11の頭部位置との関係の一例を示す図で、(A)は通常姿勢時、(B)は前屈み時である。
【0037】
図9(A)に示すように、運転者11が座席に深く座って頭部をヘッドレストに当てた通常姿勢時には、右側ピラー4Rによる死角の部分の前端の角度が小さいため、右側サンシェード8Rの右側ピラー4Rに対する傾き、即ち、右側サンシェード8Rの右側ピラー4Rに対する開き角度は小さい。
一方、図9(B)に示すように、運転者11が座席に浅く座って前屈みの姿勢時には、運転者11の頭部は、通常姿勢時よりも前側に移動するため、右側ピラー4Rによる死角の部分の前端の角度が通常姿勢時よりも大きくなるため、右側サンシェード8Rの右側ピラー4Rに対する傾き、即ち、右側サンシェード8Rの右側ピラー4Rに対する開き角度は、通常姿勢時よりも大きくなる。
これにより、右側サンシェード8Rが右側ピラー4Rに対して、運転者11の頭部位置に対応した傾き角度、即ち開き角度になるように該右側ピラー4Rの前側の側縁回りに回動され、右側ピラー4Rに当たる太陽光が遮られる。
【0038】
以上詳細に説明した通り、本実施例に係る車両外部表示装置1では、ウィンカスイッチ18が右折又は左折のON状態の場合には、自車両2の進行方向側の右側ピラー又は左側ピラーに、運転者11の死角となる領域を含む景色がプロジェクタ6を介して投影表示される。また、自車両2の進行方向側の右側照度センサ5R又は左側照度センサ5Lを介して検出された右側ピラー4R又は左側ピラー4Lの明るさが所定照度以上(例えば、10000lux以上である。)の場合には、該自車両2の進行方向側の右側ピラー4R又は左側ピラー4Lに取り付けられた右側サンシェード8R又は左側サンシェード8Lが、各超音波センサ71〜73を介して検出された運転者11の頭部位置情報に基づいて、右側ピラー4R又は左側ピラー4Lに対して所定角度を形成するように外側方向に回動される。また、ウィンカスイッチ18がOFF状態の場合又は各ピラー4R、4Lの明るさが所定照度未満(例えば、10000lux未満である。)の場合には、右側サンシェード8R又は左側サンシェード8Lは、右側ピラー4R又は左側ピラー4L方向へ回動されて、右側ピラー4R又は左側ピラー4Lにほぼ密着する(S211〜S221)。
【0039】
これにより、各サンシェード8R、8Lが各超音波センサ71〜73を介して検出された運転者11の頭部位置情報に基づいて回動制御され、各ピラー4R、4Lに対して所定角度を形成して該各ピラー4R、4Lへの太陽光が遮られるため、昼間でもプロジェクタ6によって各ピラー4R、4Lに投影された映像の視認性を向上させることが可能となる。また、各サンシェード8R、8Lは、各超音波センサ71〜73を介して検出された運転者11の頭部位置情報に基づいて回動制御され、各ピラー4R、4Lに対して所定角度を形成するため、各ピラー4R、4Lに投影表示された映像が各サンシェード8R、8Lによって遮られることを防止することが可能となる。
【0040】
また、各照度センサ5R、5Lによって各ピラー4R、4Lの明るさを検出し、その検出された明るさ情報に基づいて各サンシェード8R、8Lを回動させるため、曇りや夜間等の暗い場合には、各サンシェード8R、8Lを各ピラー4R、4L側に閉じ、晴天の昼間等の明るい場合には、各サンシェード8R、8Lを外側方向に回動させて各ピラー4R、4Lに対して所定角度を形成して太陽光を遮ることが可能となり、車内の見栄えをよくすることができる。
更に、ウィンカスイッチ18が左折又は右折のON状態の場合に、自車両2の進行方向側の右側ピラー4R又は左側ピラー4Lに取り付けられた右側サンシェード8R又は左側サンシェード8Lが外側方向に回動されるため、運転者が注視する側の右側ピラー4R又は左側ピラー4Lに投影された映像の視認性を向上させることが可能となり、安全性の向上を図ることができる。
【0041】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
【0042】
(A)運転者11の頭部の3次元座標位置を、車内天井部やルームミラー等に取り付けられたCCDカメラ等によって構成されたドライバカメラによる画像認識によって検出するようにしてもよい。
(B)各照度センサ5R、5Lに替えて、インストルメントパネルに各サンシェード8R、8Lに対応するON・OFFスイッチを設け、該ON・OFFスイッチを運転者11が操作することによって対応する各サンシェード8R、8Lが運転者11の頭部位置に対応して回動駆動されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施例に係る車両外部表示装置の概略構成を説明する平面図である。
【図2】車両外部表示装置の概略構成を説明する側面図である。
【図3】各超音波センサの配置を示す要部拡大平面図である。
【図4】右側サンシェードの回動した状態を示す斜視図である。
【図5】車両外部表示装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
【図6】描画ECUが実行する投影表示処理を示すメインフローチャートである。
【図7】図6の「画像表示処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。
【図8】図6の「サンシェード駆動処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。
【図9】右側サンシェードの右側ピラーに対する傾きと運転者の頭部位置との関係の一例を示す図で、(A)は通常姿勢時、(B)は前屈み時である。
【符号の説明】
【0044】
1 車両外部表示装置
2 車両
3 前方撮像用カメラ
4R 右側ピラー
4L 左側ピラー
5R 右側照度センサ
5L 左側照度センサ
6 プロジェクタ
8R 右側サンシェード
8L 左側サンシェード
10 描画ECU
11 運転者
15R 右側サンシェード駆動用モータ
15L 左側サンシェード駆動用モータ
18 ウィンカスイッチ
22 モータ駆動回路
25 プロジェクタ制御部
26 頭部位置決定部
27 サンシェード角度決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外部の景色を撮影して画像データとして出力する撮影手段と、前記撮影手段によって撮影された画像データに基づいて車両構造物によって運転者の死角となる領域を含む景色を前記車両構造物に投影表示する表示手段と、を備えた車両外部表示装置において、
前記運転者の頭部の位置を検出する頭部位置検出手段と、
前記車両構造物への太陽光を遮るように該車両構造物の側縁に一方の側端縁部が回動自在に取り付けられた日除け部材と、
前記日除け部材を前記一方の側端縁部回りに回動させる回動手段と、
前記頭部位置検出手段によって検出された頭部位置情報に基づいて、前記日除け部材が前記車両構造物に対して所定角度を形成するように前記回動手段を駆動制御する回動制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両外部表示装置。
【請求項2】
前記車両構造物の明るさを検出する明るさ検出手段を備え、
前記回動制御手段は、前記明るさ検出手段によって検出された明るさ情報に基づいて、前記回動手段を駆動制御することを特徴とする請求項1に記載の車両外部表示装置。
【請求項3】
自車両の進行方向を報知する方向指示手段の点灯指示を入力する点灯指示入力手段を備え、
前記車両構造物は、ピラーであり、
前記回動制御手段は、前記点灯指示入力手段を介して入力された点灯指示に基づいて、自車両の進行方向側の前記ピラーに取り付けられた前記日除け部材を回動させるように前記回動手段を駆動制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両外部表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−137595(P2008−137595A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−328237(P2006−328237)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】