説明

車両底面監視装置及び車両底面監視方法

【課題】車両底面の鮮明で良好な撮像画像を得ることができる車両底面監装置及び車両底面監視方法を提供する。
【解決手段】地面上を通過する車両の底面を撮像することにより通過車両を監視する装置であって、車両が当該装置上を通過するのを検知する検知手段と、当該装置上を通過する車両の底面を所定のタイミングで撮像する撮像手段と、撮像された画像を加工する画像加工手段と、加工された撮像画像を合成する画像合成手段と合成画像を表示する表示手段と、複数の光源部とを備え、複数の光源部は高低差のある範囲を同様な輝度で照明を行い、撮像手段は複数のセンサを車両進行方向に対して直交する方向に一列に配置してなるラインカメラを有し、画像合成手段は加工された撮像画像を順に繋ぎ合わせて車両底面の2次元画像に合成する編集機能を有しており、表示手段は合成した2次元画像の拡大縮小の表示制御機能を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面に設置され、その上を通過する自動車等の下面をカメラで撮像することにより通過物体を監視する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
閉じられた管理区域内、例えば、企業・官公庁の敷地、商業施設、駐車場などでは、当該区域内に出入りする自動車に不審な車両がないかどうかを監視するために、カメラ等を有する監視装置を路面に設置してその上を通過する車両の底面を撮像することが行われている。
【0003】
従来、このような監視装置は、複数のカメラ等の撮像手段を車両の進行方向に対してほぼ直交する方向に並べて配置し、各撮像手段による撮像画像を合成して車両底面の撮像画像を得るものであった。
特許文献1には、このような列設された複数のビデオカメラ各々の撮像画像に必要な画像処理を行うことにより合成された全体画像を得る技術が記載されている。
また、エリアカメラにより2次元画像を断続的に撮像し、これらを合成する監視装置も提案されている。
【特許文献1】特開2004−289764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視装置により取得された車両底面の撮像画像は、有線又は無線で監視室などに送信され、モニタ等に表示された車両底面画像を監視員が目視することにより、不審車両等の監視が行われている。
したがって、撮像画像の合成においては、画像同士の繋ぎ目付近における歪みや、コントラスト、輝度等の不一致を効果的に除去し、可能な限り鮮明な車両底面画像を生成する必要がある。
【0005】
しかしながら、従来技術の車両底面監装置では、ビデオカメラ、エリアカメラ等のハードウェア性能の限界により、撮像画像の端部が大きく歪んだり、不鮮明であったりするため、十分に鮮明な車両底面画像を合成して得ることができないという問題があった。
上記の問題は、撮像画像のうち歪みなく鮮明な中央部分のみを切り出して合成に用いることでカバーすることが試みられている。この方法では、撮像画像全体を用いる場合に比べて、カメラのシャッタ間隔を短く取り、より多くの画像を撮像しなければならないことになる。ところが、ビデオカメラ、エリアカメラ等によって撮像された2次元画像をメモリに格納する際には、画素列を一列ずつ走査して読み出し記憶するため、メモリ格納には一定の時間が必要となる。すなわち、一定の限界を超えてカメラのシャッタ間隔を短くすることは不可能である。
また、比較的高速で通過する車両の全体画像を得られるようにするためにも、カメラのシャッタ間隔を短くできるのが望ましい。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、車両底面の鮮明で良好な撮像画像を得ることができる車両底面監装置及び車両底面監視方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑みて鋭意研究の結果、本発明者らは、ビデオカメラ、エリアカメラ等の2次元カメラではなく、1次元的なラインカメラを用いて車両底面を撮像し、その撮像画像を合成することに着想し、本発明を成すに至った。
【0008】
本発明は、地面に設置され、その上を通過する車両の底面を撮像することにより通過車両を監視する装置であって、車両が当該装置上を通過するのを検知する検知手段と、当該装置上を通過する車両の底面を所定のタイミングで撮像する撮像手段と、前記撮像された画像を加工する画像加工手段と、前記加工された撮像画像を合成する画像合成手段と、前記合成された画像を監視室や外部と送受信をするための通信手段と、前記合成された画像を表示する表示手段とを備え、前記撮像手段は、複数のセンサを車両進行方向に対して直交する方向に一列に配置してなるラインカメラと、外気に面する表面に、太陽光を受光して発熱する物質(主として2酸化チタンを原料とする光触媒など)を塗布した結露防止と保護のレンズカバーを有しており、当該装置が密閉された内部空間で形成されることで生じる加熱に対して、放熱手段を本体に内蔵することで、可搬形の装置構成を可能とする。
前記画像合成手段は、前記加工された撮像画像を順に繋ぎ合わせて車両底面の2次元画像に合成する編集機能を有しており、前記表示手段は、合成された2次元画像を拡大や縮小などの表示制御機能を有することを特徴とする車両底面監装置及び車両底面監視方法を提供するものである。
【0009】
本発明の車両底面監装置及び車両底面監視方法は、前記表示手段により表示された画像を監視員等が拡大や縮小などの機能を使うことで目視して通過車両の監視を行う。
本発明の車両底面監装置及び車両底面監視方法において、前記撮像手段は、前記ラインカメラのレンズとして魚眼レンズを用いることを特徴とする。魚眼レンズは、広視野角でピント合わせが不要であるという特徴をあわせもつため、ラインカメラ6と車両底面との距離が設置状態や車種によって多少変動しても、撮像画像の視野角が狭くなったり、焦点が合わなくなったりすることがないという利点がある。
本発明の車両底面監装置及び車両底面監視方法において、前記画像加工手段は、前記撮像された画像に対して、コントラスト及び輝度の補正、並びに前記ラインカメラのレンズの性質に依存する画像の歪みの補正を行うことを特徴とする。これにより、鮮明な合成画像を得ることが可能となる。
【0010】
本発明の車両底面監装置及び車両底面監視方法は、前記撮像手段を保護するためのレンズカバーをさらに備えており、前記レンズカバーと当該装置とにより密閉された内部空間が形成され、当該内部空間において放熱手段を備えることを特徴とする。これにより、装置を可搬形や小型化にしても装置内部が過熱による高温状態となるのを防ぐことができる。
前記放熱手段は熱電変換素子及び当該素子の冷却手段から構成されることを特徴とする。例えば、ペルチェ素子とこれを水冷する手段とから構成することができる。
また、本発明の車両底面監装置及び車両底面監視方法は、前記密閉された内部空間内に除湿手段を有していることを特徴とする。これにより、レンズカバーと装置内部との温度差がある場合であっても、レンズカバー内部側表面に結露が生じるのを防ぐことができる。
また、本発明の車両底面監装置及び車両底面監視方法において、前記レンズカバーの外気に面する表面には、太陽光を受光して発熱する物質(主として2酸化チタンを原料とする光触媒など)などが塗布されていることを特徴とする。これにより、レンズカバーの外面と外気との間に温度差が生じてレンズカバー外面に結露が生じるのを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明の車両底面監装置及び車両底面監視方法において、前記撮像手段から地面垂直上方向に向う所定高さを分割した各エリアを個別に照射する複数の光源部を設け、該複数の光源部が前記分割した各エリアを個別に照射しながら、前記撮像手段が車両底面を撮像することにより、高低差のある車両底面を適正な照度で撮像することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、ラインカメラを用いた本発明の車両底面監装置及び車両底面監視方法によれば、車両底面の鮮明で良好な撮像画像を得ることができる。
また、本発明では、従来の監視装置に比べて小型化することも可能であり、可搬形の装置構成することで簡単に移動や仮設をすることができ、車両の通行の妨げともならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。図1〜図3は、本発明の一実施形態による車両底面監視方法を適用した車両底面監視装置を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両底面監装置の全体構成を概略的に示す図である。
図1において、本実施形態の車両底面監装置1は、路面に設置されており、その上を通過する車両2の底面を撮像する。
車両底面監装置1は、車両の近接を検知するセンサ3と、カメラ等を保護する透明なカバー4と、魚眼レンズ等を用いた広視野角のレンズ5と、車両進行方向に対して直交する方向に一列に配置されるラインカメラ6と、車両底面を照射する照明7と、ラインカメラ6による撮像画像を処理する画像処理部8と、その映像を表示するモニタ9と、画像処理部8からのデータを有線又は無線を介して監視室などや外部装置と送受信するネットワーク10と、ラインカメラ6から放出される熱を吸収するペルチェ素子11と、ペルチェ素子11が吸収した熱を放熱するための冷却水を供給するチラーユニット12と、ネットワーク10の先に接続されるコンピュータ13と、を備えている。
【0015】
車両の近接を検知するセンサ3は、超音波式、光学式、画像式、遠赤外線式その他のセンサを用いることができる。透明なカバー4は、強化ガラス、強化プラスチックその他の透明で強固な部材を用いることができる。レンズ5は、ラインカメラ6の撮像視野のうち中央ライン部分(図3参照)が鮮明に映るように集光でき、魚眼レンズ等を用いた広視野角を有する任意の種類のレンズを用いることができる。ラインカメラ6は、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等の固体撮像素子からなるカメラを用いることができる。画像処理部8は、CPU等の処理演算装置からなり、データの処理及び記憶のためのメモリを備えている。
【0016】
カバー4は外気に晒されるが、その表面温度が周囲温度よりも低いとカバー4の外気側表面に結露が生じるため、カバー4の外気側表面に主として2酸化チタンを原料とする光触媒などの親水効果を成す物質を塗布しておくのが好ましく、カバー4の外気側表面は泥水等の付着などにより汚れやすいため、ワイパ等の清掃手段を別に設けてもよい。尚、親水効果とは、材質の表面で水分が水滴状にならずに一様に薄く広がらせ浸透させる特性を意味する。
具体的な素材としては、例えば酸化チタンなどを塗布することであり、太陽光の紫外線を吸収することにより活性化され親水効果が得られるものである。
また、カバー4の温度が装置内部温度より低い場合には、カバー4のレンズ側表面に結露が発生するため、カバー4の内部空間を気密構造とした上で、シリカゲル等の乾燥剤を入れておくことが好ましい。
車両底面監装置1は、ラインカメラ6から放出される熱の放熱手段としてペルチェ素子11及びチラーユニット12をラインカメラ近傍に配置し、ペルチェ素子11が吸収した熱を、チラーユニット12から供給される冷却水により放熱する。
放熱手段はペルチェ素子11及びチラーユニット12に限った物ではなく、一般的なCPU、マイクロコンピュータ等の冷却に使われるものを応用したり、ペルチェ素子以外の熱電変換素子を用いてもよいが、車両底面監装置1の本体に放熱手段をも内蔵することで、可搬形や小型化の本装置が実現できる。
【0017】
図2は、本実施形態の車両底面監装置の内部構成を示す図である。
図2に示すように、本車両底面監装置では、ラインカメラ6の近傍に、放熱手段として、ペルチェ素子11及びチラーユニット12を備えている。ペルチェ素子11は通電されると、ラインカメラ6から放出される熱を吸収する。ペルチェ素子11が吸収した熱は、チラーユニット12から供給される冷却水により放熱される。ペルチェ素子11及びチラーユニット12は、一般的なCPU、マイクロコンピュータ等の冷却に使われるものを応用することができる。ペルチェ素子以外の熱電変換素子を用いてもよい。
【0018】
一般的に、車両底面監装置は車両の走行を妨げないよう小型化が図られており、カメラ部が小型化されると、カバー4の内部空間にラインカメラ6が放出する熱が大きくなる。ところが、前述のように、カバー4の内部空間を気密構造とすると、ラインカメラ6や装置の内部部品が発生する熱が放出されず、装置内部にこもってしまう。
そこで、本実施形態の車両底面監装置では、ペルチェ素子11及びチラーユニット12からなる放熱手段を備えることにより、カメラ部の過熱による不具合の発生を防止している。
図2における他の部分に関しては、後述する。
【0019】
続いて、本実施形態の車両底面監装置の動作について説明する。
まず、本装置上を通過しようとする車両2の接近をセンサ3が検知すると、ラインカメラ6が所定間隔で撮像を開始する。また、撮像タイミングに合わせて照明7が作動する。撮像された画像は画像処理部8に出力され、1ラインずつ蓄積される。センサ3により車両が通過し終わったことを検知すると、撮像動作を終了する。本実施形態においては、1ラインのデータをメモリに蓄積乃至読み出すことにより、シャッタ間隔を短くすることができる。
【0020】
画像処理部8は、撮像画像の感度や明るさを補正し、レンズ依存性の歪みを除去した上で、デジタルデータとしてメモリ14に保存する。また、一連の撮像画像データを合成すると、車両底面の2次元画像を得ることができる。この合成処理は、画像処理部8において行ってもよいし、後述するモニタ9やコンピュータ13において行うこととしてもよい。
このように、撮像画像をデジタルデータ化して蓄積しておくことにより、被検査車両データベースを構築できるという利点がある。
【0021】
図1及び図2に示すように、保存された撮像画像データは、本装置に付属するモニタ9に出力したり、有線又は無線のネットワーク10を介して監視室や外部のコンピュータ13と送受信したりして、通過車両監視の目的に利用することができる。
【0022】
本実施形態の車両底面監装置において、レンズ5は魚眼レンズを使用するのが好ましい。魚眼レンズは、広視野角でピント合わせが不要であるという特徴をあわせもつため、ラインカメラ6と車両底面との距離が設置状態や車種によって多少変動しても、撮像画像の視野角が狭くなったり、焦点が合わなくなったりすることがないという利点がある。
【0023】
図3は、本実施形態の車両底面監装置において魚眼レンズを用いた場合の、撮像画像合成方法を示す図である。
図3において、魚眼レンズであるレンズ5を通した撮像視野A〜Dのうち、ラインカメラ6は、その中央部分、1ライン分を撮像する。各ラインの撮像画像は画像処理部8に出力され、画像処理部8において感度、明るさの補正及び歪み除去の補正が行われる。各ラインの撮像画像を合成することにより、車両底面の2次元画像が得られる。
【0024】
以上、本発明の車両底面監装置について、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記実施形態におけるラインカメラ、レンズ、車両センサ、画像補正手段、画像合成手段、撮像タイミングなどに関して、様々な変更・改良を加えることが可能である。
【0025】
また、上記の実施形態では、車両底面監装置を路面に設置して自動車車両を監視する例を示したが、この他にも、コンテナや工場などにおける被運搬物体のような非自動車両、列車、航空機(路上を滑走する場合)等を監視する場合にも、本発明の車両底面監装置を利用することが可能である。
【0026】
次に本発明の他の実施形態による車両底面監装置を図4から図6を参照して説明する。本実施形態による車両底面監装置は、前記ラインカメラ6により撮像する車両底面を複数の照明により照らす実施形態例を示すものであり、図4は、この実施形態に係る車両底面監装置の全体構成を概略的に示す図、図5は車両底面監装置を側面から見た照明状態を説明するための図、図6は車両底面監装置を平面から見た照明状態を説明するための図である。
【0027】
本実施形態による車両底面監装置の撮像対象となる車両の底面は、自家用車やトラック等の車種及び排気量によって底面の地面からの高さのばらつきが大きく、更に各種機構部品による凹凸が大きいため、単一光源からの照射では撮像する被写体に対する照度のばらつきが大きくなり、鮮明な底面画像を撮像することが難しいことが考えられる。例えば、車両底面の地面からの高さは、トラック運転部底面の最も短い例では約4cm、トラック荷台底面の最も高い例では1m以上であり、単一光源からの照明の場合、光源近くの被写体は極端に明るく、逆に光源から遠く且つ凹凸のある部分では極端に暗い画像しか撮像することができず、鮮明な底面画像を撮像することが難しいことが考えられる。
【0028】
そこで発明者らは、本実施形態による1ラインセンサを用いた車両底面監装置の撮像対象となる車両の高低差のある底面を広範囲にわたって照明することができる車両底面監装置を発明した。この車両底面監装置は、図4に示す如く、長方立方体形状の上面に車両侵入方向から逆順に車両底面を魚眼レンズを介した1ライン分の画像を撮像するラインカメラ6と、該ラインカメラ6の近傍の上方を照明するための第1光源部71と、車両侵入を検知するためのセンサ3と、前記ラインカメラ6の左右(車両底面監装置の短手幅方向)の遠方上方を照射するための一対の第3光源部73と、前記ラインカメラ6の上方を分担して個別に照射するための複数のランプを車両侵入方向に配置した第2光源部72と、車両底面監装置の左右側面に設置された一対の第4光源部74とから構成される。尚、図4中には画像処理装置等の他の部位を図示していないが前述の実施形態同様に内蔵している。
【0029】
次に各光源部による照射範囲を図5及び図6を参照して説明する。尚、図中の符号P1は第1光源部71のランプを光源点として表し、符号P2からP4は第2光源部72の3つのランプを光源点として表し、符号P5は第3光源部73の一対のランプを光源点として表し、符号P6は第4光源部74のランプを光源点として表している。
【0030】
さて、本実施形態による光源は、前述のように複数の光源部71から74を用いて車両底面の照明を行うものであって、前記第1光源部71は、ラインカメラ6の左右方向に伸びる反射板上にランプを配置することにより、図5に示す如く、ラインカメラ6の上方の高さh1、車両底面監装置の幅方向の範囲のエリアE1を照明する。
【0031】
前記第2光源部72は、図6に示す如く、車両侵入方向に向かって幅が狭まる側板内に遮光板90を挟んで配置したものであって、光源P2が遮光板90aと間隔L1をもって配置され、光源P3が遮光板90bと間隔L2をもって配置され、光源P4が遮光板90cと間隔L3をもって配置され、前記間隔L1〜L3が、約7:4:3の比率に設定されていることによって、図5に示す如く、光源P2からの照射光S1がラインカメラ6の上方の高さh2のエリアE2を照明し、光源P3からの照射光S2がラインカメラ6の上方の高さh3のエリアE3を照明し、光源P4からの照射光S3がラインカメラ6の上方の高さh4のエリアE4を照明する様に構成している。
【0032】
また本第2光源部72は、図6に示す如く、複数のランプを挟み込む両側板の延長線がラインカメラ6左右の幅L0を約600mmに到達するように配置角度を設定していることによって、ラインカメラ6左右の幅約600mmを照射することができる。
【0033】
本実施形態による光源部71は、照射幅が約600mm(左右各300mm)の出力10Wのランプを用いて照射高さh1を約270mmの範囲を照射し、前記光源部72は、照射幅が約600mmの出力50Wのランプを用い、光源P2が照射高さh2を約270mm〜540mm、光源P3が照射高さh3を約540mm〜810mm、光源P4が照射高さh4を約810mm〜1080mmの範囲を照射することができる。
【0034】
このように本実施形態による第2光源部72は、複数のランプを車両侵入方向に配置し、各ランプからの照射光をラインカメラ6の上方を段階的に分担して照射するように構成しており、本実施形態においては遮光板とランプとの距離を調整することによって各ランプが分担するエリアを設定する例を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、遮光板とランプとの距離を一定に且つ遮光板の高さを調整することや、ランプに反射方向を規制する凹面反射鏡(リフレクタ)を配置することによって、各ランプからの照射光をラインカメラ6の上方を段階的に分担して照射するように構成しても良い。
【0035】
前記一対の第3光源部73は、図6に示す如く、前記第2光源部72が照射する範囲外のエリアE5を照射するものであって、このエリアE5は、前記ラインカメラ6の左右(車両底面監装置の短手幅方向)方向端且つ、前記エリアE2〜E4の高さの照度を補強するためのものである。前記一対の第4光源部74は、車両底面監装置の左右側面に設置され、車両底面監視装置側面左右の比較的低い位置のエリアE6を照明するめたのものである。第3光源部73、第4光源部74により、照射幅が左右各400mmの補強をすることができ、この第3光源部73及び第4光源部74は、凹面反射鏡付きのランプを用いることによって前記エリアE5及びE6に照明光を照射する。
これによって本実施形態による車両底面監視装置は、装置幅を250mmとしたときでも、第2光源部72、第3光源部73及び第4光源部74により、幅L:1400mm且つ高さH:1080mmの高低差のある範囲の車両底面を各高さにおいて同様な輝度で照射することができる。
【0036】
このように本実施形態による車両底面監視装置は、ラインカメラ6上の車両侵入方向に対しては狭く、地面と垂直上方向の高さ方向の広い範囲他を分割して照射する複数の光源部71〜74を設けたことによって、高さが異なり且つ底面に凸凹がある車両底面であっても、鮮明に撮像することができる。即ち本実施形態による車両底面監視装置は、ラインカメラ6が撮像する狭い範囲の高低差のあるエリアを複数の光源部により分担して照射することによって光源と被写体との距離が異なっても適切な輝度の照明を被写体に照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両底面監装置の全体構成を概略的に示す図である。
【図2】図1に示す車両底面監装置の内部構成を示す図である。
【図3】図1に示す車両底面監装置において魚眼レンズを用いた場合の、撮像画像合成方法を示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る車両底面監装置の全体構成を概略的に示す図である。
【図5】他の実施形態による車両底面監装置を側面から見た照明状態を説明するための図。
【図6】他の実施形態による車両底面監装置を平面から見た照明状態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0038】
1及び20:車両底面監装置、2:車両、3:センサ、4:カバー、5:レンズ、6:ラインカメラ、7:照明、8:画像処理部、9:モニタ、10:ネットワーク、11:ペルチェ素子、12:チラーユニット、13:コンピュータ、14:メモリ、71:第1光源部、72:第2光源部、73:第3光源部、74:第4光源部、90:遮光板、90a:遮光板、90b:遮光板、90c:遮光板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に設置され、その上を通過する車両の底面を撮像することにより通過車両を監視する装置であって、
車両が当該装置上を通過するのを検知する検知手段と、
当該装置上を通過する車両の底面を所定のタイミングで撮像する撮像手段と、
前記撮像された画像を加工する画像加工手段と、
前記加工された撮像画像を合成する画像合成手段と、
前記合成された画像を当該装置外部に対して送受信をするための通信手段と、
前記合成された画像を表示する表示手段と、を備え、
前記撮像手段は、複数のセンサを車両進行方向に対してほぼ直交する方向に一列に配置してなるラインカメラを有しており、
前記画像合成手段は、前記加工された撮像画像を順に繋ぎ合わせて車両底面の2次元画像に合成する編集機能を有しており、
前記表示手段は、合成された2次元画像を拡大縮小表示する機能を備えていることを特徴とする車両底面監視装置。
【請求項2】
前記撮像手段のセンサとしてCCDセンサを用い、前記ラインカメラのレンズとして魚眼レンズを用いることを特徴とする請求項1に記載の車両底面監視装置。
【請求項3】
前記画像加工手段は、前記撮像された画像に対して、コントラスト及び輝度の補正、並びに前記ラインカメラのレンズの性質に依存する画像の歪みの補正を行うことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の車両底面監視装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、外気に面する表面に、太陽光を受光して親水効果を成す物質を塗布したレンズカバーを備え、
前記レンズカバーと当該装置とにより密閉された内部空間が形成され、
当該内部空間において前記放熱手段を備えることにより、当該装置を可搬型装置として構成可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両底面監視装置。
【請求項5】
前記放熱手段は熱電変換素子及び当該素子の冷却手段からなり、前記密閉された内部空間内に除湿手段を有していることを特徴とする請求項4に記載の車両底面監視装置。
【請求項6】
前記撮像手段から地面垂直上方向に向う所定高さを複数に分割した各エリアを個別に照射する複数の光源部を設けたことを特徴とする請求項1から5何れかに記載の車両底面監視装置。
【請求項7】
前記複数の光源部が、
前記撮像手段の近傍に配置され、前記分割したエリア中の撮像手段と最も近接する第1エリアを下方向から照射する第1光源部と、
前記撮像手段から地面垂直上方向に向う所定高さの中の前記第1エリアを除く他エリアを地面垂直上方向に対して斜めから照射する第2光源部とを有することを特徴とする請求項6記載の車両監視装置。
【請求項8】
前記第2光源部が、車両進行方向に並べた複数のランプと、該複数のランプから照射される照射光が前記所定高さのエリアへ到達する範囲を制限する複数の遮光板とを有することを特徴とする請求項7記載の車両底面監視装置。
【請求項9】
前記第2光源部が、車両進行方向に並べられ、且つ照射光が前記所定高さのエリアへ到達する範囲を制限する凹面反射鏡を有する複数のランプを有することを特徴とする請求項7記載の車両底面監視装置。
【請求項10】
車両の侵入を検知する検知手段と、該侵入した車両の底面を所定のタイミングで撮像する撮像手段と、前記撮像した画像を加工する画像加工手段と、前記加工した撮像画像を合成する画像合成手段と、前記合成した画像を外部に対して送受信をするための通信手段と、前記合成された画像を表示する表示手段とを備える車両底面監視装置を地面に設置し、該車両底面監視装置上を通過する車両の底面を撮像することにより通過車両を監視する車両底面監視方法であって、
前記撮像手段により、複数のセンサを車両進行方向に対してほぼ直交する方向に一列に配置したラインカメラを用いて複数のライン画像を撮像し、
該撮像した複数のライン画像を前記画像合成手段により、前記加工された撮像画像を順に繋ぎ合わせて車両底面の2次元画像に合成し、
該合成した車両底面の2次元画像を表示手段により、拡大縮小表示する車両底面監視方法。
【請求項11】
前記撮像手段のセンサとしてCCDセンサを設け、前記ラインカメラのレンズとして魚眼レンズを用い、該CCDセンサが魚眼レンズを通して車両底面を撮像することを特徴とする請求項10に記載の車両底面監視方法。
【請求項12】
前記画像加工手段が、前記撮像された画像に対して、コントラスト及び輝度の補正、並びに前記ラインカメラのレンズの性質に依存する画像の歪みの補正を行うことを特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の車両底面監視方法。
【請求項13】
前記撮像手段の外気に面する表面に太陽光を受光して親水効果を成す物質を塗布したレンズカバーを設け、前記レンズカバーと当該装置とにより密閉された内部空間を形成し、当該内部空間において前記放熱手段を設け、当該装置を可搬型装置として構成可能であることを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の車両底面監視方法。
【請求項14】
前記放熱手段を熱電変換素子及び当該素子の冷却手段から構成し、前記密閉された内部空間内に除湿手段を設けたことを特徴とする請求項13に記載の車両底面監視方法。
【請求項15】
前記撮像手段から地面垂直上方向に向う所定高さを複数に分割した各エリアを個別に照射する複数の光源部を設け、該複数の光源部が前記所定高さのエリアを分割した各エリアを個別に照射しながら、前記撮像手段が車両底面を撮像することを特徴とする請求項10から14何れかに記載の車両底面監視方法。
【請求項16】
前記複数の光源部を、前記撮像手段の近傍に配置され、前記分割したエリア中の撮像手段と最も近接する第1エリアを下方向から照射する第1光源部と、前記撮像手段から地面垂直上方向に向う所定高さ中の前記第1エリアを除く他エリアを地面垂直上方向に対して斜めから照射する第2光源部とから構成し、該複数の光源部が照明光を照射した状態で車両底面を撮像することを特徴とする請求項15記載の車両監視方法。
【請求項17】
前記第2光源部を、車両進行方向に並べた複数のランプと、該複数のランプから照射される照射光が前記所定高さのエリアへ到達する範囲を制限する複数の遮光板とから構成し、該第2光源部が照明光を照射した状態で車両底面を撮像することを特徴とする請求項16記載の車両監視方法。
【請求項18】
前記第2光源部を、車両進行方向に並べられ、且つ照射光が前記所定高さのエリアへ到達する範囲を制限する凹面反射鏡を有する複数のランプから構成し、該第2光源部が照明光を照射した状態で車両底面を撮像することを特徴とする請求項16記載の車両監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−10906(P2009−10906A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258809(P2007−258809)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【Fターム(参考)】