説明

車両後部構造

【課題】衝突等により荷重が入力されたときにダクトの破損を抑制することができる車両後部構造を得る。
【解決手段】リアバンパカバーの内側かつリアホイールハウスの車両後方側に、リアホイールハウス内の空気をリアバンパカバーの車両後部側に向けて排出するダクトとしてのリアアウトレット20が設けられている。リアアウトレット20は、筒状体からなり、リアアウトレット20の後端部20Aには、車両外部からの押圧力に対し撓み変形可能に構成された荷重吸収部としての縦長の長円形状部38が形成されている。リアアウトレット20の中間部から前端部20B側は略矩形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、リアバンパとクォータパネルとによって形成された通路部を備え、リアホイールハウス内の空気を通路部によりリアバンパの車両後部に向けて排出する構造が開示されている。この構造では、リアホイールハウス内の空気をリアバンパの車両後部に向けて排出することで、空気抵抗の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−25369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、通路部を樹脂製のバンパカバーの内面を利用して形成している。また、バンパカバーの後端側には、車両幅方向に内側に絞り込んだ絞込面が形成されており、絞込面から車両幅方向外側に離れた位置に横風受部を設けることで、バンパカバーの絞込面と横風受部との間に空気流を通している。このような構造では、衝突等により車両の後端部に荷重が入力されたときに通路部や横風受部が破損する可能性がある。
【0005】
一方、バンパカバー内に剛体のダクトを設けることも考えられるが、衝突等により車両の後端部に荷重が入力されたときにダクトが破損し、修理コストが上昇する可能性がある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、衝突等により荷重が入力されたときにダクトの破損を抑制することができる車両後部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る車両後部構造は、リアバンパカバーの内側で、かつリアホイールハウスの車両後方側に設けられ、前記リアホイールハウス内の空気を前記リアバンパカバーの後部域に設けられた排出開口から車両後方へ排出するダクトと、前記排出開口と連通される前記ダクトの少なくとも後端部に設けられ、車両外部からの押圧力に対し撓み変形可能に構成された荷重吸収部と、を有するものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両後部構造において、前記荷重吸収部は、前記ダクトの少なくとも後端部に形成された縦長の楕円形状部、又は縦長の長円形状部であるものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載の車両後部構造において、前記荷重吸収部は、前記ダクトの少なくとも後端部に車両幅方向に変形可能に形成された蛇腹部であるものである。
【0010】
請求項1記載の本発明によれば、リアバンパカバーの内側かつリアホイールハウスの車両後方側にダクトが設けられており、このダクトによって、リアホイールハウス内の空気がリアバンパカバーの後部域に設けられた排出開口から車両後方へ排出される。排出開口と連通されるダクトの少なくとも後端部には、車両外部からの押圧力に対し撓み変形可能に構成された荷重吸収部が設けられている。これにより、衝突等によりダクトに荷重が入力されたときに、ダクトの少なくとも後端部に設けられた荷重吸収部が撓み変形することで、ダクトが破損することが抑制される。このため、修理費の低減に繋がる。
【0011】
請求項2記載の本発明によれば、荷重吸収部は、ダクトの少なくとも後端部に形成された縦長の楕円形状部又は縦長の長円形状部であり、衝突等によりダクトに荷重が入力されたときに、縦長の楕円形状部又は縦長の長円形状部が撓み変形する。これにより、ダクトの破損がより効果的に抑制され、修理費の低減に繋がる。
【0012】
請求項3記載の本発明によれば、荷重吸収部は、ダクトの少なくとも後端部に車両幅方向に変形可能に形成された蛇腹部であり、衝突等によりダクトに荷重が入力されたときに、蛇腹部が車両幅方向に変形する。これにより、ダクトの破損がより効果的に抑制され、修理費の低減に繋がる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る車両後部構造によれば、衝突等により荷重が入力されたときにダクトの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る車両後部構造が適用された車両を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアバンパカバーの内側のリアアウトレット付近の構成を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアバンパカバーの内側のリアアウトレット付近の構成を示す車両後方側から見た斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す斜視図である。
【図5】図4に示すリアアウトレットの後端部に荷重が入力される前後と、荷重の入力時のリアアウトレットの状態を示す斜視図である。
【図6】第2実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す斜視図であって、リアアウトレットの後端部に荷重が入力される前後と、荷重の入力時のリアアウトレットの状態を示す斜視図である。
【図7】第3実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す斜視図である。
【図8】図7に示すリアアウトレットの後端部に荷重が入力されたときのリアアウトレットの状態を示す斜視図である。
【図9】第4実施形態に係る車両後部構造に用いられるリアアウトレットを示す斜視図である。
【図10】図9に示すリアアウトレットの後端部に荷重が入力されたときのリアアウトレットの状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜図5を用いて、本発明に係る車両後部構造の第1実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印RRは車両後方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
【0016】
図1には、本実施形態に係る車両後部構造が適用される車両が斜視図にて示されている。図2には、本実施形態に係る車両後部構造の構成が斜視図にて示されており、図3には、本実施形態に係る車両後部構造が適用される車両の後部が斜視図にて示されている。これらの図に示されるように、車両10の後部11には、車両下方側の後端部に樹脂製のリアバンパカバー12が取り付けられている。リアバンパカバー12は、車両10の後端部に車両幅方向に沿って配置される後面部12Aと、後面部12Aの車両幅方向両端部から車両前方側に延びる側面部12Bと、を備えている(図3参照)。車両10の後部11には、リアバンパカバー12の後面部12Aと側面部12Bとが交差する位置の上方側にリアコンビネーションランプ22が取り付けられている。なお、図2では、車両10の一方の側部のリアバンパカバー12の側面部12Bのみが図示されており、車両10の他方の側部は左右対称であるので図示を省略している。
【0017】
車両10の後部11には、リアバンパカバー12の側面部12Bの車両前方側に、リアタイヤ14を格納するリアホイールハウス16が設けられている。リアバンパカバー12の側面部12Bの前端には、リアタイヤ14と対向する位置にフェンダライナー18が設けられている。フェンダライナー18は、リアタイヤ14の周面に沿って車両上下方向及び車両幅方向に湾曲して形成されている。
【0018】
リアバンパカバー12の側面部12Bの車両幅方向内側には、車両前後方向に沿ってダクトの一例としてのリアアウトレット20が設けられている。リアアウトレット20は、リアバンパカバー12とは別部材で形成されており、車両10の後部11の両サイドに設けられている(図3参照)。リアアウトレット20は、リアバンパカバー12の側面部12Bとその車両幅方向内側の車両本体との間に配置されており、車両本体に図示しない取付具により固定されている。リアアウトレット20は、リアホイールハウス16の車両後方側に配置されている。
【0019】
車両10の後部11の両サイドのリアアウトレット20の形状は左右対称に形成されており、図4では、車両幅方向の一方(図2に示す車両10の前面視にて車両幅方向右側)のリアアウトレット20が示されている。
【0020】
図2〜図4に示されるように、リアアウトレット20は、略車両前後方向に沿って配置された筒状体からなり、リアアウトレット20の前端部20Bには、リアホイールハウス16内の空気が流入される流入開口30が形成されている。リアアウトレット20の後端部20Aには、リアアウトレット20内を通った空気が排出される排出開口32が形成されている。
【0021】
図4等に示されるように、リアアウトレット20の車両前後方向の中間部付近から前端部20B側には、車両幅方向に沿った断面が車両上下方向に長い矩形状部36が形成されている。矩形状部36は、左右一対の縦壁36Aと、上下一対の横壁36Bと、を備えている。流入開口30は、車両上下方向に長い矩形状に形成されている。リアアウトレット20の後端部20A側には、荷重吸収部の一例としての縦長の長円形状部38が形成されている。すなわち、長円形状部38は、車両幅方向に沿った断面が車両上下方向に長く、車両上下方向の上端部と下端部が略半円状で、車両上下方向の中間部に左右一対の縦壁38Aを備えている。排出開口32は、縦長の長円状に形成されている。リアアウトレット20の車両前後方向の中間部は、矩形状部36から長円形状部38に徐々に形状が変化するように形成されている。
【0022】
図3に示されるように、車両10の後部11のコーナー部(後端角部)付近にバリアー50が衝突し、図5中の矢印Aに示されるように車両幅方向外側から衝撃荷重が作用すると、リアアウトレット20の後端部20A側の長円形状部38は、左右両側の縦壁38Aが車両幅方向に接近すると共に、車両上下方向に長くなるように撓み変形する構成となっている(図5中の二点鎖線を参照)。そして、衝撃荷重の入力後には、リアアウトレット20の後端部20A側の長円形状部38が、弾性復元力により元の長円形状に戻るようになっている。これにより、衝突等によりリアアウトレット20に荷重が入力されても、長円形状部38の撓み変形により荷重が吸収され、リアアウトレット20の破損が抑制されるようになっている。
【0023】
図2等に示されるように、フェンダライナー18には、リアアウトレット20の流入開口30とほぼ同じ形状の開口が設けられており、リアアウトレット20の流入開口30がフェンダライナー18の開口に連結されている。図3等に示されるように、リアバンパカバー12の後面部12Aには、リアアウトレット20の排出開口32とほぼ同じ形状の開口が設けられており、リアアウトレット20の排出開口32が後面部12Aの開口に連結されている。すなわち、リアアウトレット20の流入開口30はフェンダライナー18の開口を介してリアホイールハウス16と連通している。また、リアアウトレット20の排出開口32はリアバンパカバー12の後面部12Aの開口を介して車両10の後部11の外部側と連通している。これによって、リアホイールハウス16内の空気が流入開口30からリアアウトレット20内に流入し、空気がリアアウトレット20内を通って排出開口32からリアバンパカバー12の後面部12Aの後方側に向けて排出されるようになっている。
【0024】
なお、本実施形態では、フェンダライナー18にリアアウトレット20の流入開口30と連通する開口が設けられているが、フェンダライナー18に代えて、バンパシールにリアアウトレット20の流入開口30と連通する開口を設ける構成でもよい。
【0025】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0026】
リアバンパカバー12の側面部12Bの車両幅方向内側には、車両前後方向に沿って筒状のリアアウトレット20が設けられており、リアアウトレット20の前端部の流入開口30はフェンダライナー18の開口に連通され、リアアウトレット20の排出開口32はリアバンパカバー12の後面部12Aの開口に連通されている。これによって、リアホイールハウス16内の空気が流入開口30からリアアウトレット20内に流入し、更に空気がリアアウトレット20内を通って排出開口32からリアバンパカバー12の後面部12Aの後方側(外部側)に排出される。これにより、空力性能が向上する。
【0027】
図4等に示されるように、リアアウトレット20の車両前後方向の後端部20A側には、縦長の長円形状部(荷重吸収部)38が形成されており、リアアウトレット20の車両前後方向の中間部は、前端部20B側の矩形状部36から後端部20A側の長円形状部38まで徐々に形状が変化している。
【0028】
図3に示されるように、車両10の後部11のコーナー部(後端角部)付近にバリアー50が衝突し、図5中の矢印Aに示されるように車両幅方向外側から衝撃荷重が入力されると、リアアウトレット20の後端部20A側の長円形状部38は、左右両側の縦壁38Aが車両幅方向に接近する方向(車両幅方向に圧縮される方向)に撓み変形し、長円形状部38が車両上下方向に長くなる(図5中の二点鎖線を参照)。すなわち、リアアウトレット20は、後端部20A側の長円形状部38のみが撓み変形している。そして、衝撃荷重の入力後(衝撃荷重の入力が解除された後)には、リアアウトレット20の後端部20A側の長円形状部38は弾性復元力により元の長円形状に戻る。
【0029】
すなわち、衝撃荷重の入力時には、リアアウトレット20の後端部20A側の長円形状部38は、左右両側の縦壁38Aが車両幅方向に接近し、車両上下方向に長くなるように撓み変形し、衝撃荷重の入力が解除された後は、リアアウトレット20の後端部20A側の長円形状部38は、衝撃荷重の入力前の元の長円形状に戻る。これにより、衝突等によりリアアウトレット20に車両幅方向外側から荷重が入力されても、長円形状部38の撓み変形により荷重が吸収されることで、リアアウトレット20の破損を抑制することができる。このため、車両10の後部11の修理費の低減に繋がる。
【0030】
一方、比較例として、リアバンパカバー12の側面部12Bの車両幅方向内側に、車両前後方向に沿って略矩形状の剛体のダクトを設けた場合について説明する。この場合には、衝突等により車両後部のコーナー部に荷重が入力されたときに、ダクトの略矩形状の後端部が破損する可能性がある。例えば、ダクトの排出開口付近の上下面に車両幅方向外側から衝撃荷重が入力されたとき、ダクトの排出開口付近の上下面に応力が集中し、折れ曲がり、又は亀裂などの破損が発生する恐れがある。ダクトの後端部が破損すると、ダクトの主目的である整流効果が低減し、空力性能の向上を図れなくなり、結果として燃費向上効果も低減する可能性がある。
【0031】
これに対して、本実施形態では、リアアウトレット20の車両前後方向の後端部20A側に縦長の長円形状部(荷重吸収部)38が形成されており、衝突等によりリアアウトレット20に車両幅方向外側から荷重が入力されても、長円形状部38の撓み変形により荷重が吸収され、リアアウトレット20の破損を抑制することができる。これにより、修理費を低減することができる。
【0032】
なお、第1実施形態では、リアアウトレット20の後端部20A側に縦長の長円形状部38を設けたが、これに代えて、縦長の楕円形状部を設けてもよい。これにより、衝撃荷重の入力時には、リアアウトレット20の後端部20A側の楕円形状部は、左右両側の壁が車両幅方向に接近し、車両上下方向に長くなるように撓み変形し、衝撃荷重の入力が解除された後は、衝撃荷重の入力前の元の楕円形状に戻る。これにより、衝突等によりリアアウトレット20に車両幅方向外側から荷重が入力されても、楕円形状部の撓み変形により荷重が吸収されることで、リアアウトレット20の破損を抑制することができる。
【0033】
次に、図6を用いて、本発明に係る車両後部構造の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0034】
図6に示されるように、本実施形態の車両後部構造に用いられるダクトの一例としてのリアアウトレット60は、車両幅方向に沿った断面が車両上下方向に長い長円状に形成された荷重吸収部の一例としての長円形状部62を備えている。長円形状部62は車両前後方向に沿ってほぼ均一に形成されている。すなわち、第1実施形態のリアアウトレット20(図4等参照)は、車両前後方向の後端部20A付近に長円形状部38を備えているが、本実施形態のリアアウトレット60は、後端部60Aのみならず、前端部60Bまで車両前後方向に沿ってほぼ均一に長円形状部62を備えている。リアアウトレット60の前端部60Bには、縦長の長円状の流入開口64が形成されており、リアアウトレット60の後端部60Aには、縦長の長円状の排出開口32が形成されている。リアアウトレット60は、リアバンパカバー12の側面部12B(図1参照)の車両幅方向内側に配設されている。
【0035】
図6中の矢印Aに示されるように、衝突等により車両幅方向外側から衝撃荷重が入力されると、リアアウトレット60の後端部60Aの長円形状部62は、左右両側の縦壁62Aが車両幅方向に接近する方向(車両幅方向に圧縮される方向)に撓み変形し、長円形状部62が車両上下方向に長くなる(図6中の二点鎖線を参照)。リアアウトレット60の後端部60Aの長円形状部62の撓み変形に追従して、リアアウトレット60の前端部60B側の長円形状部62も車両幅方向に圧縮される方向に少し撓み変形する。そして、衝撃荷重の入力が解除された後は、リアアウトレット60の長円形状部62は弾性復元力により元の長円形状に戻る。これにより、衝突等によりリアアウトレット60に車両幅方向外側から荷重が入力されても、長円形状部62の撓み変形により荷重が吸収され、リアアウトレット60の破損を抑制することができる。このため、修理費の低減に繋がる。
【0036】
なお、第2実施形態では、リアアウトレット60に縦長の長円形状部62を設けたが、これに代えて、縦長の楕円形状部を設けてもよい。
【0037】
次に、図7及び図8を用いて、本発明に係る車両後部構造の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1及び第2実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0038】
図7に示されるように、本実施形態の車両後部構造に用いられるダクトの一例としてのリアアウトレット70は、車両前後方向の中間部から前端部70B側に、車両幅方向に沿った断面が車両上下方向に長い矩形状部72を備えている。矩形状部72は、左右一対の縦壁72Aと、上下一対の横壁72Bと、を備えている。さらに、リアアウトレット70は、車両前後方向の中間部から後端部70A側に、上面部74Aと下面部74Bをそれぞれ蛇腹状に屈曲させた荷重吸収部の一例としての蛇腹状部74を備えている。すなわち、蛇腹状部74の上面部74Aと下面部74Bは、車両背面視にて略上下方向に屈曲され、複数の山部75Aと谷部75Bが交互に配置される構成とされている。蛇腹状部74は、上面部74Aと下面部74Bの複数の山部75Aと谷部75Bを略車両前後方向に沿って配置することで、車両幅方向に伸縮変形可能に形成されている。
【0039】
リアアウトレット70の車両前後方向の中間部は、矩形状部72から蛇腹状部74に徐々に形状が変化するように形成されている。リアアウトレット70の前端部70Bには、縦長の矩形状の流入開口30が形成されており、リアアウトレット70の後端部70Aには、上下面が蛇腹状の排出開口76が形成されている。リアアウトレット70は、リアバンパカバー12の側面部12B(図1参照)の車両幅方向内側に配設されている。
【0040】
図8に示されるように、衝突等により車両幅方向外側から矢印A方向に衝撃荷重が入力されると、リアアウトレット70の後端部70Aの蛇腹状部74は、上面部74Aと下面部74Bが車両幅方向に圧縮される方向に撓み変形する。この状態では、リアアウトレット70の蛇腹状部74の左右両側の縦壁72Aが接近している。すなわち、リアアウトレット70は、後端部70A側の蛇腹状部74のみが変形している。
【0041】
そして、衝撃荷重の入力が解除された後は、図7に示されるように、リアアウトレット70の蛇腹状部74は弾性復元力により元の形状に戻る。すなわち、リアアウトレット70の蛇腹状部74は、上面部74Aと下面部74Bが車両幅方向に縮んだ状態で維持されず、衝撃荷重の入力が解除された後は、弾性復元力により元の蛇腹形状に復帰するように形成されている。
【0042】
これにより、衝突等によりリアアウトレット70に車両幅方向外側から荷重が入力されても、蛇腹状部74の撓み変形により荷重が吸収され、リアアウトレット70の破損を抑制することができる。このため、修理費の低減に繋がる。
【0043】
次に、図9及び図10を用いて、本発明に係る車両後部構造の第4実施形態について説明する。なお、前述した第1〜第3実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0044】
図9に示されるように、本実施形態の車両後部構造に用いられるダクトの一例としてのリアアウトレット90は、車両上下方向に長い筒状体であり、上面部92Aと下面部92Bをそれぞれ蛇腹状に略車両上下方向に屈曲させた荷重吸収部の一例としての蛇腹状部92を備えている。蛇腹状部92は車両前後方向に沿ってほぼ均一に形成されている。蛇腹状部92の上面部92Aと下面部92Bは、複数の山部75Aと谷部75Bが交互に配置されている。すなわち、第3実施形態のリアアウトレット70(図7等参照)は、車両前後方向の後端部70A側に蛇腹状部74を備えているが、本実施形態のリアアウトレット90は、後端部90Aのみならず、前端部90Bまで車両前後方向に沿ってほぼ均一に蛇腹状部92を備えている。
【0045】
リアアウトレット90の前端部90Bには、上下面が蛇腹状の流入開口94が形成されており、リアアウトレット90の後端部90Aには、上下面が蛇腹状の排出開口76が形成されている。リアアウトレット90は、リアバンパカバー12の側面部12B(図1参照)の車両幅方向内側に配設されている。
【0046】
図10に示されるように、衝突等により車両幅方向外側から矢印A方向に衝撃荷重が入力されると、リアアウトレット90の後端部90Aの蛇腹状部92は、上面部92Aと下面部92Bが車両幅方向に圧縮される方向に撓み変形する。リアアウトレット90の後端部90Aの蛇腹状部92の撓み変形に追従して、リアアウトレット90の前端部90B側の蛇腹状部92も上面部92Aと下面部92Bが車両幅方向に圧縮される方向に少し撓み変形する。そして、衝撃荷重の入力が解除された後は、図9に示されるように、リアアウトレット90の蛇腹状部92は弾性復元力により元の蛇腹形状に戻る。
【0047】
これにより、衝突等によりリアアウトレット90に車両幅方向外側から荷重が入力されても、蛇腹状部92の撓み変形により荷重が吸収され、リアアウトレット90の破損を抑制することができる。このため、修理費の低減に繋がる。
【0048】
なお、第1及び第2実施形態では、リアアウトレットの少なくとも後端部に荷重吸収部の一例としての縦長の長円形状部を設けたが、長円形状部の形状に限定されず、車両幅方向外側からの押圧力に対し撓み変形可能な形状であれば、他の形状に変形可能である。例えば、リアアウトレットの少なくとも後端部に、円形状、横長の長円状、又は楕円状の荷重吸収部を設けてもよい。
【0049】
また、第1〜第4実施形態では、車両幅方向に沿った断面が車両上下方向に長い筒状のリアアウトレットを設けたが、リアアウトレットを構成する筒状体の形状は変更可能である。
【0050】
また、第1〜第4実施形態では、リアバンパカバー12の車両幅方向内側に、車両前後方向に沿って筒状のリアアウトレットを設けたが、これに限定されず、リアバンパカバーとその車両幅方向内側に配置されるインナパネル等の車両内側部材とを用いてダクトを形成してもよい。例えば、車両前面視にてリアバンパカバーの車両幅方向内側に断面略ハット状(又は略コ字状)の車両内側部材を接合することにより、リアバンパカバーと車両内側部材とでダクトを形成する構成でもよい。このようなリアバンパカバーと車両内側部材とでダクトを形成する構成では、車両内側部材の少なくとも車両後方部位に上述の荷重吸収部を設けることにより、車両幅方向外側からの押圧力に対し撓み変形可能となる。
【符号の説明】
【0051】
10 車両
11 後部
12 リアバンパカバー
20 リアアウトレット(ダクト)
20A 後端部
32 排出開口
38 長円形状部(荷重吸収部)
60 リアアウトレット(ダクト)
60A 後端部
62 長円形状部(荷重吸収部)
70 リアアウトレット(ダクト)
70A 後端部
74 蛇腹状部(荷重吸収部)
76 排出開口
90 リアアウトレット(ダクト)
90A 後端部
92 蛇腹状部(荷重吸収部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアバンパカバーの内側で、かつリアホイールハウスの車両後方側に設けられ、前記リアホイールハウス内の空気を前記リアバンパカバーの後部域に設けられた排出開口から車両後方へ排出するダクトと、
前記排出開口と連通される前記ダクトの少なくとも後端部に設けられ、車両外部からの押圧力に対し撓み変形可能に構成された荷重吸収部と、
を有する車両後部構造。
【請求項2】
前記荷重吸収部は、前記ダクトの少なくとも後端部に形成された縦長の楕円形状部、又は縦長の長円形状部である請求項1に記載の車両後部構造。
【請求項3】
前記荷重吸収部は、前記ダクトの少なくとも後端部に車両幅方向に変形可能に形成された蛇腹部である請求項1に記載の車両後部構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−47065(P2013−47065A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186290(P2011−186290)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】