説明

車両後部用テント

【課題】横開き式扉を備えた車両に対して、横開き式扉の操作感および荷室への作業性を損なうことがないとともに使用感を向上させることができる車両後部用テントを提供する。
【解決手段】車両後部用テント100は、車両90の後部に開閉自在に設けられた横開き式扉92の開閉範囲を覆う屋根部材としてのフード体101と、同フード体101を支持するフード支持体103と、同フード支持体103を支持するための扉側支持部材110および開口部側支持部材120とで構成されている。フード体101は、柔軟な樹脂製シートで構成されている。フード支持体103は、アルミ製のフレームを方形枠状に形成して構成されている。扉側支持部材110および開口部側支持部材120は、横開き式扉92および開口部91に対してフード支持体103を、横開き式扉92の開閉範囲上における横開き式扉92の上端部より上方位置で支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横開き式扉が設けられた車両後部に雨除けまたは日除けとして設けられる車両後部用テントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スポーツ多目的車(SUV:Sport utility vehicle)などの車室に荷室を備えた車両おいては、荷室内に荷物を出し入れするために車両後部に開閉自在な扉が設けられている。このような車両後部に設けられた扉には、扉が上方に跳ね上げられる跳ね上げ式扉と、扉が前後方向に向って開閉する横開き式扉とがある。これらのうち、扉が前後方向に向って開閉する横開き式扉を備えた車両においては、例えば、雨天時に横開き式扉を開放した際、跳ね上げ式扉のように扉を雨除けとして用いることができないため、人や荷室内が濡れるという問題がある。
【0003】
そこで、例えば、下記特許文献1,2においては、横開き式扉を備えた車両の車両後部に雨除けまたは日除けとしての車両後部用テントが提案されている。この場合、下記特許文献1に開示された車両後部用テントにおいては、横開き式扉を開ける際に車両後部の天井部に設置されたエアスポイラー内から蛇腹状に折り畳まれたテントが扇状に広がってテントを構成する。また、下記特許文献2に記載された車両後部用テントにおいては、開放した状態の横開き式扉の上端部と車両後部の開口部の上端部とに三角形状のシート材を架設することによりテントを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−2258号公報
【特許文献2】特開平08−120975号公報
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された車両後部用テントにおいては、横開き式扉の開閉に常に連動してテントが形成されるため、横開き式扉の開閉操作が重たくなるとともにテント形成を望まない場合においてもテントが形成されて荷物の出し入れなどの作業の障害となる場合がある。また、テント形成が不要な場合においても車両は常にテントやテントの開閉機構を積んだ状態となるため、車両の燃費効率を低下させるという問題もある。
【0006】
また、上記特許文献2に記載された車両後部用テントにおいては、シート材によるテント形成時に横開き式扉が開閉可能な状態、換言すれば扉の開閉が規制されていない状態であるため、風などにより横開き式扉が不用意に閉じてしまうことがあり使用し難いという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、横開き式扉を備えた車両に対して、横開き式扉の操作感および荷室への作業性を損なうことがないとともに使用感を向上させることができる車両後部用テントを提供することにある。
【発明の概要】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の特徴は、車両の後部に開閉自在に設けられた横開き式扉の開閉範囲を覆うことができる大きさに形成されたフード体と、車両に対して分離可能に形成され、フード体を横開き式扉の開閉範囲上に支持するためのフード支持体と、フード支持体を横開き式扉の上端部付近の高さ位置に横開き式扉体に対して着脱可能な状態で支持するための扉側支持部材と、フード支持体を横開き式扉の上端部付近の高さ位置に開口部に対して着脱可能な状態で支持するための開口部側支持部材とを備えることにある。
【0009】
このように構成した請求項1に係る本発明の特徴によれば、車両における横開き式扉の開閉範囲を覆うことができる大きさのフード体は、車両から分離可能なフード支持体によって支持されるとともに、同フード体は扉側支持部材および開口部側支持部材によってそれぞれ横開き式扉および車両の開口部に支持される。すなわち、フード体を支持するフード支持体は、開放された横開き式扉に対して取り付けられるとともに、同横開き式扉と開口部とを連結している。このため、横開き式扉の開閉操作とテント形成が常には連動しないため、横開き式扉の操作性および荷室への作業性を損なうことがない。また、横開き式扉と車両後部の開口部との間にフード支持体が介在するため、風などにより横開き式扉が不意に閉じてしまうことがなく使用感が向上する。また、さらに、フード支持体が車両に対して分離可能であるため、テントが不要の際における車両の燃費低下を抑制することができる。
【0010】
また、請求項2に係る本発明の他の特徴は、前記車両後部用テントにおいて、扉側支持部材および開口部側支持部材は、フード支持体を開口部または横開き式扉より上方に支持することにある。
【0011】
このように構成した請求項2に係る本発明の他の特徴によれば、フード支持体は、車両後部の開口部または横開き式扉より上方に配置されるため、フード体上に降った雨水を車両や横開き式扉側に逃がすことができ、フード体上へ雨水が溜まることを防止することができる。また、より大きさの大きいフード体を車両後部上や横開き式扉上に掛け易くなり、作業負担を軽減できるとともに車両内への風雨の侵入または横開き式扉の内側面が雨滴等で濡れることを効果的に防止することができる。
【0012】
また、請求項3に係る本発明の他の特徴は、前記車両後部用テントにおいて、フード体は、柔軟なシート材で構成されていることにある。
【0013】
このように構成した請求項3に係る本発明の他の特徴によれば、車両後部用テントは、屋根を構成するフード体が柔軟なシート材で構成されているため、車両後部用テントの設置、撤去および保管時の取り扱いが容易となる。また、この場合、シート材で構成されたフード体を車両側に固定する固定手段を設けるとよい。この場合、固定手段としては、例えば、フード体と車両のホイールハウスとの間に引っ掛ける引張紐や、フード体を車両のボディーや窓ガラスに吸着させる吸着板や磁石で構成するとよい。これによれば、風などによるフード体のバタツキを抑えることができる。
【0014】
また、請求項4に係る本発明の他の特徴は、前記車両後部用テントにおいて、フード体は、横開き式扉の開閉範囲と車両の後部とまでを覆う大きさに形成されていることにある。
【0015】
このように構成した請求項4に係る本発明の他の特徴によれば、車両後部用テントは、屋根を構成するフード体が横開き式扉の開閉範囲から車両の後部までを覆う大きさに形成されているため、車両内への風雨の侵入または横開き式扉の内側面が雨滴等で濡れることを効果的に防止することができる。
【0016】
また、請求項5に係る本発明の他の特徴は、前記車両後部用テントにおいて、扉側支持部材および開口部側支持部材は、横開き式扉および開口部にそれぞれ形成された既存のネジ孔を利用して横開き式扉および開口部にそれぞれ取り付けられることにある。
【0017】
このように構成した請求項5に係る本発明の他の特徴によれば、車両後部用テントは、扉側支持部材および開口部側支持部材が、横開き式扉および開口部にそれぞれ形成された既存のネジ孔を利用してそれぞれ横開き式扉および開口部に取り付けられている。ここで、既存のネジ孔とは、横開き式扉や車両後部の開口部にこれらの構成上車両の製造段階で設けられるもので、例えば、横開き式扉の上側縁部に取り付けられたブレーキランプの取付用のネジ孔や、車両後部の開口部の側縁部に設けられたテールランプの取付用のネジ孔である。これによれば、車両後部用テントの装着において、孔開け加工などの特別の加工を要することなく、簡単かつ迅速に車両後部用テントを車両に取り付けることができる。
【0018】
また、本発明は、車両後部用テントの発明として実施できるだけでなく、車両後部用テントの取付方法の発明としても実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両後部用テントを装着した車両を左側後方から見た概略斜視図である。
【図2】図1に示す車両後部用テントを装着した車両を左側後方から見上げた概略斜視図である。
【図3】図1に示す車両後部用テントを装着した車両を右側後方から見た一部省略斜視図である。
【図4】図1に示す車両後部用テントを構成するフード体の全体構成を概略的に示しており、(A)はフード体の平面図であり、(B)はフード体の底面図である。
【図5】図1に示す車両後部用テントにおけるフード支持体、扉側支持部材および開口部支持部材を組み付けた状態を車両の後方から見た概略斜視図である。
【図6】図5に示すフード支持体と扉側支持部材との接続状態を示すための部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る車両後部用テントの一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1〜図3は、本発明に係る車両後部用テント100を装着した車両90の全体構成を概略的に示した斜視図であり、図1は車両後部用テント100を装着した車両90の左側後方から見た斜視図であり、図2は同車両90の左側後方から見上げた斜視図であり、図3は同車両90の右側後方から見た一部省略斜視図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この車両後部用テント100は、四輪自動車などの車両の後部と同車両の後部に設けられた横開き式扉との間に取り付けられて、車両後部空間の雨除けまたは日除けとして用いられるものである。
【0021】
(車両後部用テント100の構成)
車両後部用テント100を説明する前に、この車両後部用テント100が取り付けられる車両90について簡単に説明しておく。車両90は、乗員が着座する車室内の後部に荷室が形成された四輪自動車(例えば、スポーツ多目的車)である。この車両90の後部には、荷室内に荷物の出し入れするための開口部91が形成されているとともに、同開口部91を開放または閉塞する横開き式扉92が開閉自在な状態で設けられている。横開き式扉92は、扉の一方(左側)の側縁部が蝶番などにより開口部91に回動自在な状態で支持されており、他方の側縁部側が前記一方の側縁部側を中心として回転変位する片開き型の開き戸である。
【0022】
車両後部用テント100は、フード体101を備えている。フード体101は、車両90に設けられた横開き式扉92の扇状の開閉範囲上に配置されて雨除けまたは日除けとしての屋根を構成する樹脂製のシート状部材である。本実施形態においては、フード体101として、厚さが約0.4mmのPVC(ポリ塩化ビニル)製シートを用いている。このフード体101は、図4(A),(B)に示すように、横開き式扉92の開閉範囲を覆うことが出きる大きさに形成されている。本実施形態においては、上面視および底面視において略砲弾状に形成されている。
【0023】
より具体的には、フード体101は、車両90の前後方向における長さLが、車両90の後部天井部分を覆いつつ開放状態の横開き式扉92における前記他方の側縁部に達する長さに形成されている。また、フード体101は、車両90の左右方向におけるフード体101の長さ(幅)が、長辺側Wが車両90の後部の左右の側面の上側部分を覆う長さに形成されるとともに、短辺側Wが後述するフード支持体103の短辺の長さより若干長い長さに形成されている。
【0024】
フード体101の長辺側Wの両端部には、引張紐102を引っ掛けるための貫通孔101aがそれぞれ形成されている。引張紐102は、フード体101における長辺側の両端部を図示下方に引っ張ってフード体101を車両90の後部に密着させるためのゴム紐である。この引張紐102には、その両端部に前記フード体101の貫通孔101aおよび車両90の後輪側ホイールハウス93の縁部にそれぞれ引っ掛けるための略J字状のフック102aがそれぞれ設けられている。また、この引張紐102は、車両90の車体との接触による損傷を防止するために表面に植毛加工が施されている。
【0025】
一方、フード体101の内側面には、車両90の前後方向に沿って延びる長方形状のポケット101bが形成されているとともに、同ポケット101b内に補強板101cが収納されている。補強板101cは、フード体101における車両90の後部と後述するフード支持体103との間の部分の下方への撓み(下垂)を防止するための補強部材あり、剛性のある樹脂製の板状体で構成されている。すなわち、ポケット101bは、フード体101の幅方向における略中央部であって、車両90の後部側の端部からフード支持体103側に向って袋状に形成されている。
【0026】
また、フード体101の内側面には、同内側面が配置されるフード支持体103に対応する位置関係でフード体101をフード支持体103に取り付けるための短冊状の面ファスナ101dが設けられている。この面ファスナ101dは、フード支持体103を構成するフレームの周囲にリング状に巻かれて両端部が貼り合わされることによりフード体101をフード支持体103に固定する。本実施形態においては、面ファスナ101dは、フード体101の内側面に6つ設けられている。なお、フード体101に設けられる面ファスナ101dの数や配置位置は、フード体101をフード支持体103に精度良く固定できる数や配置であれば本実施形態に限定されることがないことは、当然である。
【0027】
フード支持体103は、図5に示すように、横開き式扉92の扇状の開閉範囲上にフード体101を広げた状態で支持するための四角枠状の部材である。本実施形態においては、フード支持体103は、縦横の二辺が約20mm×20mmのアルミニウム製の角パイプを長辺が約900mm、短辺が約800mmの四角枠状に成形して構成されている。この本実施形態におけるフード体103の大きさは、長辺が横開き式扉92の幅と略同じ長さであり、短辺が車両90の開口部91の幅と略同じ長さである。また、このフード支持体103は、二辺が約450mm×800mmの2つの四角枠体を3つの蝶番103aを介して連結して1つのフード支持体103を構成している。すなわち、フード支持体103は、長手方向中央部に設けられた蝶番103aを介して二つ折り可能に構成されている。なお、図5においては、ブレーキランプ94の図示を省略している。
【0028】
このフード支持体103は、一方の長辺側が扉側支持部材110によって横開き式扉92に支持されるとともに、他方の長辺側が開口部側支持部材120によって車両90の開口部91に支持されている。扉側支持部材110は、詳しくは図6に示すように、主として、支持プレート111、挟持ボルト112a,112bおよび支持アーム113,114で構成されている。これらのうち、支持プレート111は、横開き式扉92の内側の上部中央部に横開き式扉92の左右方向に沿って取り付けられる長方形状の鋼板である。この支持プレート111には、横開き式扉92の内側の上部中央部に設けられたブレーキランプ94(二点鎖線で示す)の取付用のネジ孔(図示せず)に対応するピッチでキャップボルト111aが貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。キャップボルト111aは、ブレーキランプ94の取付用のネジ孔にねじ込まれることにより支持プレート111を横開き式扉92に固定するための雄ネジである。
【0029】
支持プレート111におけるキャップボルト111aが貫通する貫通孔の内側には、ナット111bがそれぞれ設けられている。ナット111bは、支持プレート111にブレーキランプ94を取り付けるためのキャップボルト111cがねじ込まれる雌ネジである。また、支持プレート111におけるキャップボルト111aが貫通する貫通孔の外側には、挟持ボルト112a,112bがねじ込まれる雌ネジからなるネジ孔(図示せず)がそれぞれ形成されている。
【0030】
挟持ボルト112a,112bは、支持プレート111に対して支持アーム113,114を着脱自在に取り付けるための雄ネジであり、一方の端部に半球状の把持取っ手が設けられている。支持アーム113,114は、フード支持体103を横開き式扉92の上端部より上方に支持するための鋼製の板状部材であり、屈曲した長方形状に形成されている。これらの支持アーム113,114には、一方(図示上側)の端部にフード支持体103を接続するための雄ネジ113a,114aが貫通する貫通孔(図示せず)が形成されるとともに、他方(図示下側)の端部に前記挟持ボルト112a,112bを挿し込むための略U字状の切欠き部113b,114bがそれぞれ形成されている。これらのうち、支持アーム113に形成された切欠き部113bは、支持アーム113の長手方向に沿って開口するように形成されている。また、支持アーム114に形成された切欠き部114bは、支持アーム114の長手方向に直交する方向に沿って開口するように形成されている。
【0031】
開口部側支持部材120は、フード支持体103を横開き式扉92の上端部より上方に支持するための鋼製の棒状部材であり。フード支持体103における前記他方の長辺の底部から車両90の開口部91に向かって延びる略L字形状に形成されている。この開口部側支持部材120には、図示上端部にフード支持体103を接続するための上側取付ボルト121が貫通する貫通孔(図示せず)が形成されているとともに、図示下端部に車両90の開口部91に接続するための下側取付ボルト122が貫通する貫通孔(図示せず)がそれぞれ形成されている。
【0032】
上側取付ボルト121は、開口部側支持部材120とフード支持体103を接続するための雄ネジであり、一方の端部に半球状の把持取っ手が設けられている。また、下側取付ボルト122は、開口部91に設けられたテールランプ91aの取付用のネジ孔にねじ込まれることにより開口部側支持部材120を開口部91に接続するための雄ネジであり、一方の端部に摘み状の把持取っ手が設けられている。
【0033】
(車両後部用テント100の作動)
次に、このように構成した車両後部用テント100の作動について説明する。まず、車両後部用テント100を車両90に取り付ける使用者は、車両90とともに扉側支持部材110のうち支持プレート111および挟持ボルト112a,112bをそれぞれ用意する。次いで、使用者は、車両90の横開き式扉92を開放するとともに、開放した横開き式扉92の内側上部中央部に設けられたブレーキランプ94を適当な工具を用いて取り外す。そして、使用者は、ブレーキランプ94(二点鎖線で示す)の取付用のネジ孔(図示せず)に支持プレート111を介してキャップボルト111aを締め付けることにより、横開き式扉92に支持プレート111を固定する。これにより、横開き式扉92の内側上部中央部に支持プレート111が取り付けられる。
【0034】
次に、使用者は、横開き式扉92に取り付けた支持プレート111にブレーキランプ94を取り付ける。具体的には、使用者は、支持プレート111のナット111bにブレーキランプ94を介してキャップボルト111cを締め付けることにより、ブレーキランプ94を支持プレート111に取り付ける。そして、使用者は、支持プレート111の両端部側に設けられたネジ孔に挟持ボルト112a,112bの各先端部をねじ込む。これにより、支持アーム113,114を除く扉側支持部材110(支持プレート111,挟持ボルト112a,112b)がブレーキランプ94とともに横開き式扉92の内側上部中央部に装着される。
【0035】
次に、使用者は、開口部側支持部材120および下側取付ボルト122を用意するとともに、この開口部支持部材120を車両90の開口部91に取り付ける。具体的には、使用者は、開口部91の図示左側側辺部におけるテールランプ91aの取付用の雄ネジ(図示せず)を外すとともに、同雄ネジがねじ込まれていた雌ネジ孔に開口部側支持部材120の下端部を介して下側取付ボルト122を締め付ける。これにより、車両90の開口部91の側辺部から斜め上方に向かって傾斜した状態で開口部側支持部材120が装着される。
【0036】
次に、使用者は、フード支持体103、扉側支持部材110の支持アーム113,114および上側取付ボルト121をそれぞれ用意するとともに、フード支持体103を扉体支持部材110および開口部側120に取り付ける。具体的には、使用者は、二つ折り状態で折り畳まれたフード支持体103を広げた後、フード支持体103の下面に支持アーム113,114を雄ネジ113a,114bを用いて取り付ける。そして、使用者は、フード支持体103に取り付けられた支持アーム113,114の切欠き部113b,114b内に挟持ボルト112a,112bを挿し込む(図6において破線矢印参照)とともに、フード支持体103の図示左側長辺部を開口部側支持部材120上に配置する。この場合、使用者は、支持アーム113,114における切欠き部113b,114bが互いに直交する方向に開口しているため、片方ずつ挟持ボルト112a,112bを挿し込むようにする(図6において破線矢印参照)。
【0037】
次に、使用者は、フード支持体103と開口部側支持部材120とを上側取付ボルト121で固定しながら、挟持ボルト112a,112bを締め付ける。これにより、フード支持体103が扉体支持部材110および開口部側120にそれぞれ取り付けられる(図5参照)。この場合、フード支持体103は、支持アーム113,114および開口部側支持部材120によって横開き式扉92の上端部より上方位置に略水平状態で支持される。また、この場合、横開き式扉92の開口部91に対する開度が90°未満であるため、フード支持体103の横開き式扉92側の長辺の後部側が横開き式扉92の外側に位置するようになる。なお、この場合、支持アーム113,114または開口部側支持部材120のうちの一方(例えば、開口部側支持部材120)の上端部の位置を他方(例えば、支持アーム113,114)の上端部の位置より高く形成することにより、フード支持体103を傾斜させて所謂水勾配を形成させることもできる。
【0038】
次に、使用者は、フード体101および引張紐102を用意してフード体101をフード支持体103および車両90上に取り付ける。具体的には、使用者は、フード体101における幅広の長辺側W側を車両90側に向けるとともに、ポケット101bおよび面ファスナ101dが設けられた面をフード支持体103側に対向させた向きでフード支持体103上に配置する。そして、使用者は、フード体101の内側面に設けられた面ファスナ101dをフード支持体103のフレームに巻き回して貼り合わせることにより固定する。
【0039】
また、使用者は、引張紐102の一方の端部に設けられているフック102aをフード体101に形成されている貫通孔101aに引っ掛けるとともに、他方の端部に設けられているフック102aを車両90のホイールハウス93の縁部に引っ掛ける。これにより、フード体101の中央部がフード支持体103に固定されるとともに、フード体101の長辺側Wの両端部がホイールハウス93に引っ張られた状態でフード支持体103および車両90上にそれぞれ取り付けられる。
【0040】
次に、使用者は、補強板101cを用意するとともに、用意した補強板101cをフード体101の内側面に形成したポケット101b内に挿入する。これにより、車両90の横開き式扉92の扇状の開閉範囲上に車両後部用テント100の設置作業が完了する。
【0041】
このように設置された車両後部用テント100は、車両90の後部空間で雨除けや日除けとして用いられる。この場合、車両後部用テント100は、横開き式扉92が扉側支持部材110、フード支持体103および開口部側支持部材120を介して開口部91に連結された状態となっているため、風圧などによって不用意に横開き式扉92が開閉することが防止される。また、支持アーム113,114は、切欠き部113b,114bが互いに直交する方向に開口しているため、フード体101が風に煽られた場合であっても挟持ボルト112a,112bから容易に外れることはない。さらに、フード支持体103が横開き式扉92の上端部より上方に支持されているため、フード体101上に降った雨水を車両90や横開き式扉92側に円滑に逃がすことができ、フード体101上に雨水が溜まることを防止することができる。また、フード体101が、フード支持体103から車両90の後部および横開き式扉92の外側に達する大きさで形成されているため、フード体101上に降った雨を車両90および横開き式扉92の外側に精度良く導くことができ、横開き式扉92の開閉範囲内や車両90の内部に風雨が浸入することを効果的に防止することができる。
【0042】
また、車両後部用テント100を取り外す場合においては、作業者は、前記取り付け作業とは逆の手順で行なうことができる。すなわち、作業者は、引張紐102および面ファスナ101dを外すことにより、フード支持体103上からフード体101を取り除く。次いで、作業者は、挟持ボルト112a,112bおよび上側取付ボルト121をそれぞれ緩めてフード支持体103を扉側支持部材110および開口部側支持部材120から取り外す。そして、作業者は、扉側支持部材110および開口部側支持部材120から取り外したフード支持体103から支持アーム113,114を取り外すとともに、車両90の開口部91から開口部側支持部材120を取り外す。これにより、車両後部用テント100の取り外し作業が終了する。
【0043】
なお、支持プレート111および挟持ボルト112a,112bは横開き式扉92に装着したままでよい。これにより、車両後部用テント100の組み付けおよび解体作業の負担を低減することができる。また、取り外したフード体101およびフード支持体103は折り畳むことができるため、コンパクトに収納することができる。また、フード体101、フード支持体103および開口部側支持部材120は、車両90から分離されるため、これらの部品を車両後部用テント100として使用しない場合には車両90から分離した場所に保管することができる。
【0044】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、車両90における横開き式扉92の開閉範囲を覆うことができる大きさのフード体101は、車両90から分離可能なフード支持体103によって支持されるとともに、同フード体101は扉側支持部材110および開口部側支持部材120によってそれぞれ横開き式扉92および車両90の開口部91に支持される。すなわち、フード体101を支持するフード支持体103は、開放された横開き式扉92に対して取り付けられるとともに、同横開き式扉92と開口部91とを連結している。このため、横開き式扉92の開閉操作とテント形成が常には連動しないため、横開き式扉92の操作性および荷室への作業性を損なうことがない。また、横開き式扉92と車両90後部の開口部91との間にフード支持体103が介在するため、風などにより横開き式扉92が不意に閉じてしまうことがなく使用感が向上する。また、さらに、フード支持体103が車両90に対して分離可能であるため、テントが不要の際における車両90の燃費低下を抑制することができる。
【0045】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記に示す各変形例においては、上記各実施形態と同様の構成部分には対応する符号を付して、その説明は省略する。
【0046】
例えば、上記実施形態においては、フード体101は、車両90の後部天井部分を覆いつつ開放状態の横開き式扉92における前記他方の側縁部に達する長さに形成されている。しかし、フード体101は、少なくとも、横開き式扉92の扇状の開閉範囲を覆うことが出きる大きさに形成されていればよく、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。例えば、フード体101をフード支持体103の大きさと略同じ大きさに形成してもよいし、フード体101の一部をフード支持体103から下垂させてカーテン状に形成することもできる。また、フード体101の形状も、砲弾状以外の形状、例えば、長方形や正方形などの方形、楕円を含む円形、または三角形や五角形などの多角形状などの各種形状で構成することもできる。
【0047】
また、上記実施形態においては、フード体101は、柔軟な樹脂製シートで構成した。しかし、フード体101は、フード支持体103で支持可能な素材で構成されていれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。例えば、フード体101は、樹脂製、金属製または木製の板状体で構成することができる。したがって、フード体101を支持するフード支持体103も、フード体101の素材、形状および大きさに対応した素材、形状および大きさで形成すればよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、面ファスナ101dおよび引張紐102を用いてフード体101をフード支持体103および車両90に固定した。しかし、面ファスナ101dおよび引張紐102を用いてフード体101をフード支持体103および車両90に固定してもよいことは当然である。例えば、面ファスナ101dおよび引張紐102に代えてまたは加えて、磁石を用いてフード体101をフード支持体103および車両90に固定することもできる。この場合、フード支持体103は、磁石による固定部分が少なくとも磁性体で構成されることは当然である。
【0049】
また、上記実施形態においては、フード支持体103は、横開き式扉92の上端部より上方の位置に支持されるように構成した。これにより、フード体101上に降った雨水を車両90や横開き式扉92側に効果的に導き逃がすことができ、フード体101上へ雨水が溜まることを防止することができる。また、フード体101を車両90後部上や横開き式扉92上に掛け易くなり、作業負担を軽減できるとともに車両90内への風雨の侵入または横開き式扉92の内側面が雨滴等で濡れることを効果的に防止することができる。さらに、また、フード支持体103を横開き式扉92(または開口部91)の上端部より上方の位置に配置することにより、フード支持体103の大きさを横開き式扉92(または開口部91)との物理的な干渉を避けつつ大きくすることができる。すなわち、フード支持体103の大きさを横開き式扉92の開閉範囲の面積より大きく形成できるため、横開き式扉92の開閉範囲をより確実にフード体101で覆うことができ、より効果的に風雨や日差しの開閉範囲内および車両90内への浸入を防止することができる。
【0050】
しかし、フード支持体103は、少なくとも、横開き式扉92の上端部付近の高さ位置に支持されていれば、必ずしも、上記実施形態に限定されるものではない。この場合、横開き式扉92の上端部付近とは、横開き式扉92の上端部と略同一の高さ位置であるが、横開き式扉92の上端部より多少上方または多少下方の高さ位置を含むものである。すなわち、フード支持体103の高さ位置は、車両後部用テント100の使用時に障害とならない位置であればよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、フード支持体103は、横開き式扉92の上端部より上方の位置に支持されるように構成したが、横開き式扉92の上端部と車両90の開口部上端部の高さが異なる場合には、どちらか一方の高さよりフード支持体103の高さ位置を高くすることによりフード体101上に降った雨水を効果的に排水することができる。
【0052】
また、上記実施形態においては、扉側支持部材110および開口部側支持部材120は、横開き式扉92および車両90の開口部91に形成された既存のネジ孔を利用してそれぞれ取り付けるようにした。しかし、扉側支持部材110および開口部側支持部材120は、横開き式扉92および車両90の開口部91に取り付けられれば、その取付方法は必ずしも、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、扉側支持部材110および開口部側支持部材120は、横開き式扉92および車両90の開口部91に対して磁石を用いて取り付けるようにしてもよいし、横開き式扉92および車両90の開口部91に孔開け加工やネジ加工などの特別な加工を施して取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
90…車両、91…開口部、91a…テールランプ、92…横開き式扉、93…ホイールハウス、94…ブレーキランプ、
100…車両後部用テント、101…フード体、101a…貫通孔、101b…ポケット、101c…補強板、101d…面ファスナ、102…引張紐、102a…フック、103…フード支持体、103a…蝶番、
110…扉側支持部材、111…支持プレート、111a…キャップボルト、111b…ナット、111c…キャップボルト、112a,112b…挟持ボルト、113,114…支持アーム、113a,114a…雄ネジ、113b,114b…切欠き部、
120…開口部側支持部材、121…上側取付ボルト、122…下側取付ボルト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後部に開閉自在に設けられた横開き式扉の開閉範囲を覆うことができる大きさに形成されたフード体と、
前記車両に対して分離可能に形成され、前記フード体を前記横開き式扉の開閉範囲上に支持するためのフード支持体と、
前記フード支持体を前記横開き式扉の上端部付近の高さ位置に前記横開き式扉体に対して着脱可能な状態で支持するための扉側支持部材と、
前記フード支持体を前記横開き式扉の上端部付近の高さ位置に前記開口部に対して着脱可能な状態で支持するための開口部側支持部材とを備えることを特徴とする車両後部用テント。
【請求項2】
請求項1に記載した車両後部用テントにおいて、
前記扉側支持部材および前記開口部側支持部材は、前記フード支持体を前記開口部または前記横開き式扉より上方に支持することを特徴とする車両後部用テント。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載した車両後部用テントにおいて、
前記フード体は、柔軟なシート材で構成されていることを特徴とする車両後部用テント。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載した車両後部用テントにおいて、
前記フード体は、前記横開き式扉の開閉範囲と前記車両の後部とまでを覆う大きさに形成されていることを特徴とする車両後部用テント。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した車両後部用テントにおいて、
前記扉側支持部材および前記開口部側支持部材は、前記横開き式扉および前記開口部にそれぞれ形成された既存のネジ孔を利用して前記横開き式扉および前記開口部にそれぞれ取り付けられることを特徴とする車両後部用テント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate