説明

車両情報更新システム、ユーザ端末及び車載装置

【課題】車両以外の場所でもユーザが車両情報の更新のスケジュールを自由に設定できることを課題とする。
【解決手段】車両4の外部に設けられる車両情報管理装置20から送信された更新用情報を用いて、車両4に搭載される車載装置40で車両情報を更新する車両情報更新システム1であって、車両情報管理装置20から送信された車両情報の更新案内に応じてユーザ端末3で受け付けたユーザによる車両情報の更新のスケジュールに従って、車両情報管理装置20から送信された更新用情報を用いて車載装置40で車両情報を更新することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外部に設けられる車両情報管理装置から送信された更新用情報を用いて、車両に搭載される車載装置で車両情報(例えば、ソフトウエア、地図データ)を更新する車両情報更新システム、ユーザ端末及び車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、車両制御、ナビゲーションなどの各種コンピュータが搭載されており、これらコンピュータがソフトウエアによって動作している。このソフトウエアによる動作の不具合の解消や動作の性能向上のために、プログラムを書き換えてソフトウエアを更新する場合がある。従来、車両のソフトウエアを更新する場合、ユーザがカーディーラなどに車両に持ち込んで、車両のコンピュータに直接接続してプログラムを書き換えていた。さらに、通信手段を利用して書き換え用プログラムを車両に送信し、車両でその書き換え用プログラムを受信し、ワイヤレスでプログラムを書き換えることが検討されている。特許文献1には、情報提供センタからプログラムの書き換え要求を車両に送信し、車両では車両の動作状態に基づいて書き換えが可能か否かを判断し、書き換えが可能な場合には情報提供センタから車両に送信された修正プログラムを用いて車両制御プログラムを書き換え、車両のユーザの携帯電話に書き換えに関する情報(書き換え不可、書き換え完了)を通知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−349878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、センタから書き換え要求を車両に送信し、車両側で書き換え可能かを判断してプログラムの書き換えを行う場合、車両のユーザは、車両内で書き換えを行うか否かの設定を行う必要があり、プログラムの書き換えを行っている間も拘束されることになる。このように、書き換え要求を送信することによってセンタ側が主導でプログラム書き換えを行っており、ユーザがプログラム書き換えのスケジュールを自由に決めることができない。特に、ユーザは、常時、車両に搭乗していないので、車両以外の場所でもスケジューリングを行うことが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、車両以外の場所でもユーザが車両情報の更新のスケジュールを自由に設定できる車両情報更新システム、ユーザ端末及び車載装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両情報更新システムは、車両の外部に設けられる車両情報管理装置から送信された更新用情報を用いて、車両に搭載される車載装置で車両情報を更新する車両情報更新システムであって、車両情報管理装置は、車両のユーザが使用するユーザ端末に車両情報の更新案内を送信する更新案内送信手段と、ユーザ端末で受け付けた車両情報の更新のスケジュールに従って車両に車両情報の更新用情報を送信する更新用情報送信手段を備え、ユーザ端末は、車両情報管理装置から送信された車両情報の更新案内を受信する更新案内受信手段と、更新案内受信手段で受信した更新案内に基づいてユーザが車両情報の更新のスケジュールを入力するためのスケジュール入力手段と、スケジュール入力手段から入力されたスケジュールを車両情報管理装置又は車両に送信するスケジュール送信手段を備え、車載装置は、車両情報管理装置から送信された車両情報の更新用情報を受信する更新用情報受信手段と、更新用情報受信手段で受信した更新用情報を用いて車両情報を更新する車両情報更新手段を備え、車両情報管理装置から送信された車両情報の更新案内に応じてユーザ端末で受け付けたユーザによる車両情報の更新のスケジュールに従って、車両情報管理装置から送信された更新用情報を用いて車載装置で車両情報を更新することを特徴とする。
【0007】
本発明に係るユーザ端末は、車両のユーザが使用するユーザ端末であって、車両の外部に設けられる車両情報管理装置から送信された車両情報の更新案内を受信する更新案内受信手段と、更新案内受信手段で受信した更新案内に基づいてユーザが車両情報の更新のスケジュールを入力するためのスケジュール入力手段と、スケジュール入力手段から入力されたスケジュールを車両情報管理装置又は車両に送信するスケジュール送信手段を備え、車両情報管理装置から送信された車両情報の更新案内に応じてユーザによって入力された車両情報の更新のスケジュールを受け付け、当該スケジュールを車両情報管理装置又は車両に送信することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る車載装置は、車両に搭載され、車両の外部に設けられる車両情報管理装置から送信された更新用情報を用いて車両情報を更新する車載装置であって、車両情報管理装置から送信された車両情報の更新用情報を受信する更新用情報受信手段と、更新用情報受信手段で受信した更新用情報を用いて車両情報を更新する車両情報更新手段を備え、車両情報管理装置から送信された車両情報の更新案内に応じてユーザ端末で受け付けたユーザによる車両情報の更新のスケジュールに従って、車両情報管理装置から送信された更新用情報を用いて車両情報を更新することを特徴とする。
【0009】
車両の外部に設けられる車両情報管理装置では、車両で用いられている各種車両情報を更新するための更新用情報の準備ができた場合、更新案内送信手段によってユーザ端末に車両情報の更新案内を送信する。車両情報としては、例えば、車両制御、ナビゲーションやマルチメディアなどの車両用の各種ソフトウエア(プログラム)、地図データなどの車両用の各種データである。車両のユーザが使用するユーザ端末では、更新案内受信手段でその車両情報の更新案内を受信する。ユーザは、ユーザ端末で車両情報の更新案内を確認し、ユーザ端末のスケジュール入力手段によって車両情報を更新するためのスケジュールを入力する。ユーザ端末では、スケジュール入力手段によって入力されたスケジュールを受け付け、スケジュール送信手段でそのスケジュールを車両情報管理装置又は車両に送信する。更新のスケジュールを受信した場合、車両情報管理装置では、そのスケジュールに従って更新用情報送信手段によって更新用情報を車両に送信する。あるいは、更新のスケジュールを受信した場合、車両ではそのスケジュールに従って車両情報管理装置に更新用情報を要求し、車両情報管理装置ではこの要求に応じて更新用情報送信手段によって更新用情報を車両に送信する。そして、車両では、更新用情報受信手段で車両情報の更新用情報を受信し、車両情報更新手段でその更新用情報を用いて車両情報を更新する。このように、車両情報管理装置からの更新案内に応じてユーザ端末でユーザによる更新のスケジュールを受け付けることにより、車両以外の場所でもユーザが車両情報の更新のスケジュールを自由に設定することができる。さらに、ユーザ端末で受け付けたスケジュールに従って車両情報を更新することにより、車両情報を更新するときにユーザが車両内に居る必要がなく、ユーザが車両情報を更新するときに車両内で拘束されることはない。
【0010】
本発明の上記車載装置では、ゲートウェイを備え、ゲートウェイは、更新用情報受信手段で受信した車両情報の更新用情報を車両内で使用できるデータ形式に変換し、車両情報更新手段は、ゲートウェイで変換したデータ形式の更新用情報を用いて車両情報を更新する構成としてもよい。
【0011】
この車載装置では、更新用情報受信手段で車両情報の更新用情報を受信すると、ゲートウェイでその受信した更新用情報を車両内で使用できるデータ形式に変換し、車両情報更新手段でその変換したデータ形式の更新用情報を用いて車両情報を更新する。このように、車載装置では、ゲートウェイを用いることにより、車両の外部の車両情報管理装置から送信されるデータ形式の異なる各種情報を車両内で処理することができ、車両情報の更新処理も車両情報管理装置から送信される更新用情報を用いて行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、車両情報管理装置からの更新案内に応じてユーザ端末でユーザによる更新のスケジュールを受け付けることにより、車両以外の場所でもユーザが車両情報の更新のスケジュールを自由に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態に係る車両用リプログラミングシステムの構成図である。
【図2】本実施の形態に係る車両用リプログラミングシステムにおける動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両情報更新システム(車両情報管理装置、ユーザ端末、車載装置)の実施の形態を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
本実施の形態では、本発明を、ワイヤレスで車載コンピュータのソフトウエアを更新するための車両用リプログラミングシステムに適用する。本実施の形態に係る車両用リプログラミングシステムは、車両用のソフトウエア(プログラム)を管理するソフトウエア管理センタと、各車両に搭載される通信ユニットと、各車両のユーザが使用するユーザ端末からなり、ソフトウエア管理センタと各車両とは通信可能であり、ソフトウエア管理センタと各ユーザ端末とは公衆網を介して通信可能である。ソフトウエア管理センタと車両間の通信は、例えば、電話回線を利用した通信、路車間通信である。公衆網は、例えば、インタネットである。
【0016】
図1を参照して、本実施の形態に係る車両用リプログラミングシステム1について説明する。図1は、本実施の形態に係る車両用リプログラミングシステムの構成図である。
【0017】
車両用リプログラミングシステム1では、ソフトウエア管理センタ2でソフトウエアの更新(書き換え用プログラム)の準備できた場合(すなわち、リプログラミングの準備ができた場合)、ソフトウエア管理センタ2からそのソフトウエアを使用している車両4,4,・・・の各ユーザが登録しているユーザ端末3,3,・・・に対してリプログラミングの案内をそれぞれ通知し、各ユーザ端末3でユーザによるリプログラミングのスケジュールを受け付ける。そして、車両用リプログラミングシステム1では、各ユーザ端末3からリプログラミングのスケジュールをソフトウエア管理センタ2又は各車両4に送信し、そのスケジュールに従ってリプログラミングを行う。
【0018】
ソフトウエア管理センタ2は、例えば、車両で使用されているソフトウエアの管理を行うセンタであり、自動車メーカーによって運営される。ソフトウエア管理センタ2は、ソフトウエアの管理及びユーザ端末3や車両4との通信を行うサーバ20を備えている。以下で、サーバ20について説明する。
【0019】
サーバ20では、あるソフトウエアの書き換え用プログラムが準備されると、データベースからそのソフトウエアを使用している車両4,4,・・・を全て抽出し、さらに、データベースからその抽出した車両4,4・・・の各ユーザが登録しているユーザ端末3,3,・・・のアクセス先(例えば、メールアドレス)を抽出する。そして、サーバ20では、サーバの送信機能により、ユーザ端末3,3,・・・のアクセス先に、リプログラムの案内情報を公衆網Nを介してそれぞれ送信する。この送信は、例えば、インタネットを利用したEメールで送信する。リプログラミングの案内情報としては、例えば、ソフトウエアの種類、ソフトウエアの重要度(ひいては、リプログラミングの優先度)、ソフトウエアの変更点、リプログラミングに要する時間、リプログラミングできる期間がある。
【0020】
ユーザ端末3からソフトウエア管理センタ2にリプログラミングのスケジュール(許可/不許可、許可日時など)を送信した場合、サーバ20では、サーバの受信機能により、そのスケジュールを受信する。スケジュールを受信後、サーバ20では、そのスケジュールの許可日時になると、サーバの送信機能により、リプログラミングの対象となる車両4に対してリプログラミングできる状態か否かの確認要求を送信する。確認要求を送信後、サーバ20では、サーバの受信機能により、車両4からの確認結果を受信する。リプログラミングできない状態との確認結果の場合、サーバ20では、サーバの送信機能により、ユーザ端末3のアクセス先に、許可日時にリプログラミングできなかった情報及びリプログラミングの再案内情報を公衆網Nを介して送信する。一方、リプログラミングできる状態との確認結果の場合、サーバ20では、サーバの送信機能により、リプログラミングの対象となる車両4に対して書き換え用プログラムを送信する。この際、リプログラミングの直前に、これからリプログラミングを実行するという情報をユーザ端末3に送信してもよい(すなわち、ユーザに通知してもよい)。このとき、リプログラミングの実行可否情報を送信してもよい。なお、スケジュールとしてリプログラミングの不許可が送信された場合、サーバ20では、上記のような処理を行わない。
【0021】
上記の実施形態とは別の実施形態として、ユーザ端末3から車両4にリプログラミングのスケジュールを送信し、車両4からソフトウエア管理センタ2に書き換え用プログラムの送信要求を送信した場合、サーバ20では、サーバの受信機能により、その送信要求を受信する。その送信要求に応じて、サーバ20では、サーバの送信機能により、その車両4に対して要求された書き換え用プログラムを送信する。
【0022】
車両4でリプログラミングを実行した場合、車両4からソフトウエア管理センタ2にリプログラミングの成功/不成功の情報を送信するので、サーバ20では、サーバの受信機能により、その成功/不成功の情報を受信する。そして、サーバ20では、サーバの送信機能により、ユーザ端末3にリプログラミングの成功/不成功の情報を公衆網Nを介して送信する。
【0023】
なお、本実施の形態では、ソフトウエア管理センタ2のサーバ20が特許請求の範囲に記載する車両情報管理装置に相当し、サーバ20の送信機能が特許請求の範囲に記載する更新案内送信手段及び更新用情報送信手段に相当する。ちなみに、サーバ20の送信機能及び受信機能は、通信の形態(例えば、公衆網Nを利用した通信、電話回線を利用した通信、路車間通信)毎に各機能が用意されている。
【0024】
ユーザ端末3は、例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータであり、車載の通信端末の場合もある。ユーザ端末3は、通常の端末としての機能の他に、リプログラミングのスケジューリング機能を有している。
【0025】
ソフトウエア管理センタ2からユーザ端末3にリプログラミングの案内情報を送信した場合、ユーザ端末3では、端末の受信機能により、そのリプログラミングの案内情報を公衆網Nを介して受信する。そして、ユーザ端末3では、リプログラミングのスケジューリング機能により、そのリプログラミングの案内情報に基づいて案内文などを画面表示する(音声出力でもよい)。案内文としては、例えば、「エンジンコンピュータのソフトウエアのアップデートの案内がきています。バージョンアップすると燃費がよくなります。」、「ご都合のよい日時を設定して下さい。但し、乗車中はアップデートできませんので、乗車しない日を設定願います。」と表示する。ちなみに、リプログラミングするときには、そのリプログラミングする対象のソフトウエアが実行されていないことが条件となる。したがって、ユーザが乗車しているときでもソフトウエアが実行されていなければリプログラミング可能であるが、基本的には、乗車していないとき(すなわち、全てのソフトウエアが実行されていないとき)を設定するとよい。
【0026】
なお、複数のソフトウエアをアップデートできる場合にはソフトウエア毎の案内を表示し、ソフトウエア毎にスケジュールを設定できるようにしてもよい。アップデートできるソフトウエアにおいてユーザの好みに応じて複数の選択肢(目的に応じた複数の書き換え用プログラム)がある場合には複数の選択肢を表示し、いずれかを選択できるようにしてもよい。例えば、エンジンコンピュータのソフトウエアのアップデートにおいて燃費優先、出力優先、スムーズ優先などの選択肢がある場合にはどれを優先するかを選択できるようにする。また、各ソフトウエアに優先度がある場合にはその優先度が判るように表示する。例えば、複数のソフトウエアをアップデートできる場合には、優先度の高いソフトウエアほど大きく表示したり、色を変えて表示する。また、リコール対象のソフトウエアであることを表示してもよい。また、ユーザが複数台の車両を所有している場合(例えば、レンタカー会社、カーディーラ)、各車両の利用状況などを考慮し、車両毎にスケジューリングを設定するとよい。
【0027】
ユーザがリプログラミングの案内情報を確認し、端末の入力機能によりリプログラミングの許可/不許可及び許可する場合にはその許可する日時を設定すると、ユーザ端末3では、リプログラミングのスケジューリング機能により、その入力された許可/不許可及び許可日時を受け付ける。そして、ユーザ端末3では、端末の送信機能により、その受け付けた許可/不許可及び許可日時を示すリプログラミングのスケジュールをソフトウエア管理センタ2に公衆網Nを介して送信する。あるいは、別の実施形態として、ユーザ端末3では、端末の送信機能により、上記と同様のリプログラミングのスケジュールを車両4に送信する。この送信では、例えば、電話回線を利用して送信する。なお、ソフトウエア管理センタ2から複数のユーザに対して一斉にリプログラミングをしたい場合、ソフトウエア管理センタ2からの案内情報はリプログラミングの時間を予め指定しておき、各ユーザはその予め指定された時間におけるリプログラミングの許可/不許可の情報のみをメールで送信するようにしてもよい。
【0028】
ソフトウエア管理センタ2からユーザ端末3にリプログラミングの成功/不成功の情報を送信した場合、また、ユーザ端末3では、端末の受信機能により、そのリプログラミングの成功/不成功の情報を公衆網Nを介して受信する。そして、ユーザ端末3では、リプログラミングのスケジューリング機能により、そのリプログラミングの成功/不成功の情報を画面表示する。
【0029】
なお、本実施の形態では、ユーザ端末3が特許請求の範囲に記載するユーザ端末に相当し、ユーザ端末3の受信機能が特許請求の範囲に記載する更新案内受信手段に相当し、ユーザ端末3の入力機能が特許請求の範囲に記載するスケジュール入力手段に相当し、ユーザ端末3の送信機能が特許請求の範囲に記載するスケジュール送信手段に相当する。ちなみに、ユーザ端末3の送信機能及び受信機能は、通信の形態(例えば、公衆網Nを利用した通信、電話回線を利用した通信)毎に各機能が用意されている。
【0030】
車両4には、ソフトウエア管理センタ2などの外部と通信を行うための通信ユニット40が搭載されている。通信ユニット40は、外部との通信機能の他にリプログラミング機能なども有している。以下で、通信ユニット40について説明する。
【0031】
通信ユニット40では、通信ユニットの受信機能によりソフトウエア管理センタ2などから所定のデータ形式の情報を受信すると、その受信した情報のデータ形式をゲートウェイ41で車両4に搭載される各コンピュータで使用できるデータ形式に変換し、その変換したデータ形式の情報を対象のコンピュータに出力する。また、通信ユニット40では、車両4に搭載される各コンピュータから所定のデータ形式の情報が入力されると、その受信した情報のデータ形式を外部との通信で使用できるデータ形式に変換し、その変換したデータ形式の情報を送信機能により外部に送信する。
【0032】
ユーザ端末3からソフトウエア管理センタ2にリプログラミングのスケジュールを送信し、許可日時になるとソフトウエア管理センタ2から車両4にリプログラミングできる状態か否かの確認要求を送信した場合、通信ユニット40では、受信機能により、その確認要求を受信する。そして、通信ユニット40では、リプログラミング42でその対象となるソフトウエアのリプログラミングが可能な状態か否かを判定する。この判定としては、例えば、車両が起動されているか否か、車両が起動されている場合でもその対象のソフトウエアが実行されているか否か(すなわち、コンピュータが作動しているか否か)、リプログラミング用のバックアップ領域が確保できるか否か、リプログラミング終了まで通信時間を確保できるか否かを判定する。そして、通信ユニット40では、通信ユニットの送信機能により、その判定結果(確認結果)をソフトウエア管理センタ2に送信する。リプログラミングできる状態との確認結果の場合、ソフトウエア管理センタ2から車両4にリプログラミングを行うための書き換え用プログラムを送信するので、通信ユニット40では、受信機能によりその書き換え用プログラムを受信し、上記したようにゲートウェイ41で書き換え用プログラムのデータ形式を変換する。そして、通信ユニット40では、リプログラミング42でそのデータ形式を変換した書き換え用プログラムを用いてプログラムの書き換えを行い、書き換えたプログラムを対象のコンピュータに出力する。但し、車両のマルチメディアなどのコンピュータでは、通信ユニット40ではなく、そのコンピュータ内でリプログラミングやスケジュール管理を行うので、そのようなコンピュータに対してはゲートウェイ41で変換してデータ形式の書き換え用プログラムのそのまま出力する。
【0033】
上記の実施形態とは別の実施形態として、ユーザ端末3から車両4にリプログラミングのスケジュール(許可/不許可、許可日時など)を送信した場合、通信ユニット40では、受信機能によりそのスケジュールを受信する。そして、通信ユニット40では、許可日時になると、リプログラミング42でその対象となるソフトウエアのリプログラミングが可能な状態か否かを判定する。リプログラミングできる状態と判定した場合、通信ユニット40では、送信機能により、ソフトウエア管理センタ2にリプログラミングの対象となる書き換え用プログラムの送信要求を送信する。この送信要求に応じてソフトウエア管理センタ2から車両4に書き換え用プログラムを送信すると、通信ユニット40では、上記と同様に、受信機能で受信し、ゲートウェイ41でデータ形式を変換し、リプログラミング42でリプログラミングを実行する。リプログラミングできない状態と判定した場合、通信ユニット40では、送信機能によりソフトウエア管理センタ2にリプログラミングをできない情報を送信する。但し、スケジュールとしてリプログラミングの不許可が送信された場合、通信ユニット40では、上記のような処理を行わない。
【0034】
リプログラミングを実行した場合、通信ユニット40では、送信機能により、ソフトウエア管理センタ2にリプログラミングの成功/不成功の情報を送信する。
【0035】
なお、本実施の形態では、通信ユニット40が特許請求の範囲に記載する車載装置に相当し、通信ユニット40の受信機能が特許請求の範囲に記載する更新用情報受信手段に相当し、通信ユニット40のリプログラミング42が特許請求の範囲に記載する車両情報更新手段に相当し、通信ユニット40のゲートウェイ41が特許請求の範囲に記載するゲートウェイに相当する。
【0036】
図1を参照して、車両用リプログラミングシステム1における動作を図2のフローチャートに沿って説明する。ここでは、ユーザ端末3からリプログラミングのスケジュールをソフトウエア管理センタ2に送信する場合の動作について説明する。図2は、本実施の形態に係る車両用リプログラミングシステムにおける動作の流れを示すフローチャートである。
【0037】
ソフトウエア管理センタ2では、車両用のソフトウエアの書き換え用プログラムが準備できた場合、サーバ20がそのソフトウエアを使用している各車両のユーザのユーザ端末3に対してリプログラミングの案内を公衆網Nを介して送信する(S1)。
【0038】
ユーザ端末3では、そのリプログラミングの案内を受信する(S2)。そして、ユーザ端末3では、リプログラミングの案内(更新可能なソフトウエアの種類や内容、スケジュールの設定要求など)を表示する(S3)。
【0039】
ユーザは、ユーザ端末3に表示されているリプログラミングの案内画面を確認する。そして、ユーザは、そのソフトウエアの更新が必要か否かを判断し、更新の許可/不許可や許可の場合には許可日時などをユーザ端末3で入力する。
【0040】
ユーザ端末3では、そのユーザによるリプログラミングのスケジュール(許可/不許可、許可日時など)を受け付ける(S4)。そして、ユーザ端末3では、そのリプログラミングのスケジュールを公衆網Nを介してソフトウエア管理センタ2(サーバ20)に送信する(S5)。
【0041】
ソフトウエア管理センタ2では、サーバ20がそのスケジュールを受信する(S6)。そのスケジュールに設定されている許可日時になると、ソフトウエア管理センタ2では、サーバ20が対象の車両4に対してリプログラミングが可能な状態か確認要求を送信する(S7)。なお、リプログラミングのスケジュールにおいて不許可と設定されている場合、S7から以降の動作は行われない。
【0042】
車両4では、通信ユニット40からの確認要求に応じて、リプログラミングが可能な状態か否かを判定する(S8)。そして、車両4では、通信ユニット40がその判定結果をソフトウエア管理センタ2に送信する。
【0043】
ソフトウエア管理センタ2では、サーバ20がその判定結果を受信する。S8の判定結果でリプログラミングが不能な状態の場合、ソフトウエア管理センタ2では、S1の動作に戻って、サーバ20がその車両のユーザのユーザ端末3に対してリプログラミングの案内(前回のスケジュールの許可日時にリプログラミングが不能であることも通知)を公衆網Nを介して送信する。一方、S8の判定結果でリプログラミングが可能な状態の場合、ソフトウエア管理センタ2では、サーバ20が書き換え用プログラムを対象の車両4に送信する(S9)。
【0044】
車両4では、通信ユニット40がその書き換え用プログラムを受信する(S10)。そして、通信ユニット40では、ゲートウェイ41で書き換え用プログラムのデータ形式を変換し、リプログラミング42でデータ形式変換された書き換え用プログラムを用いてプログラムの書き換え、書き換えたプログラムを対象のコンピュータに出力する(S11)。
【0045】
さらに、リプログラミングを実行後に以下の動作を行ってもよい。車両4の通信ユニット40では、そのリプログラミングの成功/不成功の情報をソフトウエア管理センタ2に通知する。そして、ソフトウエア管理センタ2のサーバ20では、車両4からリプログラミングの成功/不成功の情報が通知されると、そのリプログラミングの成功/不成功の情報を対象のユーザ端末3に通知する。ユーザ端末3では、そのリプログラミングの成功/不成功の情報が通知されると、成功/不成功の情報を画面表示する。これによって、ユーザは、車両に居なくても、リプログラミングが成功したか否かを確認することができる。
【0046】
この車両用リプログラミングシステム1によれば、ソフトウエア管理センタ2からのリプログラミングの案内に応じてユーザ端末3でユーザによる更新のスケジュールを受け付けることにより、車両以外の場所でもユーザがソフトウエアの更新のスケジュールを自由に設定することができる。さらに、車両用リプログラミングシステム1によれば、ユーザ端末3で受け付けたスケジュールに従ってソフトウエアを更新することにより、ソフトウエアを更新するときにユーザが車両4内に居る必要がなく、ユーザがソフトウエアを更新するときに車両4内で拘束されることはない。
【0047】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0048】
例えば、本実施の形態では車両情報としてソフトウエアの更新する場合に適用したが、地図データなどの他の車両情報を更新する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…車両用リプログラミングシステム、2…ソフトウエア管理センタ、3…ユーザ端末、4…車両、20…サーバ、40…通信ユニット、41…ゲートウェイ、42…リプログラミング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部に設けられる車両情報管理装置から送信された更新用情報を用いて、車両に搭載される車載装置で車両情報を更新する車両情報更新システムであって、
前記車両情報管理装置は、車両のユーザが使用するユーザ端末に車両情報の更新案内を送信する更新案内送信手段と、前記ユーザ端末で受け付けた車両情報の更新のスケジュールに従って前記車両に車両情報の更新用情報を送信する更新用情報送信手段を備え、
前記ユーザ端末は、前記車両情報管理装置から送信された車両情報の更新案内を受信する更新案内受信手段と、前記更新案内受信手段で受信した更新案内に基づいてユーザが車両情報の更新のスケジュールを入力するためのスケジュール入力手段と、前記スケジュール入力手段から入力されたスケジュールを前記車両情報管理装置又は前記車両に送信するスケジュール送信手段を備え、
前記車載装置は、前記車両情報管理装置から送信された車両情報の更新用情報を受信する更新用情報受信手段と、前記更新用情報受信手段で受信した更新用情報を用いて車両情報を更新する車両情報更新手段を備え、
前記車両情報管理装置から送信された車両情報の更新案内に応じて前記ユーザ端末で受け付けたユーザによる車両情報の更新のスケジュールに従って、前記車両情報管理装置から送信された更新用情報を用いて前記車載装置で車両情報を更新することを特徴とする車両情報更新システム。
【請求項2】
車両のユーザが使用するユーザ端末であって、
車両の外部に設けられる車両情報管理装置から送信された車両情報の更新案内を受信する更新案内受信手段と、前記更新案内受信手段で受信した更新案内に基づいてユーザが車両情報の更新のスケジュールを入力するためのスケジュール入力手段と、前記スケジュール入力手段から入力されたスケジュールを前記車両情報管理装置又は前記車両に送信するスケジュール送信手段を備え、
前記車両情報管理装置から送信された車両情報の更新案内に応じてユーザによって入力された車両情報の更新のスケジュールを受け付け、当該スケジュールを前記車両情報管理装置又は前記車両に送信することを特徴とするユーザ端末。
【請求項3】
車両に搭載され、車両の外部に設けられる車両情報管理装置から送信された更新用情報を用いて車両情報を更新する車載装置であって、
前記車両情報管理装置から送信された車両情報の更新用情報を受信する更新用情報受信手段と、前記更新用情報受信手段で受信した更新用情報を用いて車両情報を更新する車両情報更新手段を備え、
前記車両情報管理装置から送信された車両情報の更新案内に応じてユーザ端末で受け付けたユーザによる車両情報の更新のスケジュールに従って、前記車両情報管理装置から送信された更新用情報を用いて車両情報を更新することを特徴とする車載装置。
【請求項4】
ゲートウェイを備え、
前記ゲートウェイは、前記更新用情報受信手段で受信した車両情報の更新用情報を車両内で使用できるデータ形式に変換し、
前記車両情報更新手段は、前記ゲートウェイで変換したデータ形式の更新用情報を用いて車両情報を更新することを特徴とする請求項3に記載する車載装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−44014(P2011−44014A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192038(P2009−192038)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】