説明

車両情報登録方法、車両情報登録装置、及び車両情報登録プログラム

【課題】車両のモデルチェンジに伴う照合情報の登録に係るシステム管理者等の負担を軽減する。
【解決手段】車両を撮像する撮像部から画像を取得し、前記画像から、車両名称を表すマークの形状に係る特徴量である車両名称特徴量と、車両の形状に係る特徴量である車両特徴量と、を抽出し、車両名称、車両名称特徴量、車両特徴量を含む標準車両情報を車両毎に記憶する記憶部から、前記画像から抽出された車両名称特徴量に対応する車両特徴量を前記記憶部から取得し、前記記憶部から取得された車両特徴量と前記画像から抽出された車両特徴量とを照合し、所定の条件を満たす場合に、前記記憶部から取得された車両名称と前記画像から抽出された車両特徴量とに基づいて、新規の標準車両情報を前記記憶部に記憶する、処理をコンピュータが実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が撮影された画像を利用して車両情報を自動登録する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が撮影された画像から当該車両の名称等を判別する技術が知られている。
例えば、画像内の車両の範囲を抽出し、当該範囲内に存在するエンブレムを1又は複数のテンプレートを用いて探索し、テンプレートに一致するエンブレムが照合されたときに当該エンブレムに基づいて当該車両のメーカー、通称名等を判別する技術がある。この技術においてエンブレムとは、車両のメーカー、通称名、車式/車型、車種、あるいは特定のグレードのためにデザインされたマークのことである。また、テンプレートは、車両のメーカー、通称名、車式/車型、車種、あるいは特定のグレードに対応するエンブレムのテンプレートである。
【0003】
また、例えば、画像内の車両のフロントグリルの特徴量を抽出し、当該特徴量を、データベースに予め登録されている各車両のフロントグリルの特徴量と照合し、当該車両の車名等を判別する技術がある。この技術においてフロントグリルの特徴量は、ナンバープレート、左右のヘッドライト、左右のフォグランプ、フロントスポイラー、エンブレム等の相互の位置関係や、これらの外形形状、更にはフロントグリルの外形形状等である。また、データベースには、車両の種類毎に、車両のメーカー、車名、型式名、車式、グレード、年式、排気量等の情報とフロントグリルの特徴量とが対応付けて登録されている。
【0004】
このような技術では、システム管理者等が、予め、上記のテンプレートや上記のデータベースに登録されるフロントグリルの特徴量等といった判別時の照合対象となる情報(照合情報)を車名等の情報と対応付けてデータベース等に登録しておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−344154号公報
【特許文献2】特開2010−102466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両のモデルチェンジ(フルモデルチェンジやマイナーモデルチェンジ等)は、車両の型式やグレード等毎に不定期に実施されている。また、型式やグレード等が異なる車両の総数は膨大である。
【0007】
このような事情から、上記の技術ではシステム管理者等が、車両のモデルチェンジを常にモニターし、モデルチェンジがある毎に、その車両の照合情報を準備して車名等の情報と対応付けてデータベース等に登録しておく必要がある。仮に、その照合情報を、車両を撮影した画像から取得して準備するとした場合、その画像は、次のような画像である必要がある。すなわち、上記のエンブレムやフロントグリルの特徴量等といった判別時の被照合対象となる情報(被照合情報)を含む画像を実際に撮影するカメラの撮影条件(撮影位置、画角等)と略同一の撮影条件の下で車両を撮影した画像である必要がある。例えば、そのカメラが路上の電柱上部に設置されている場合には、それと略同一の撮影条件の下で車両を撮影した画像である必要がある。
そのため、システム管理者等の負担は大きい。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑み、車両のモデルチェンジに伴う照合情報の登録に係るシステム管理者等の負担を軽減する、車両情報登録方法、車両情報登録装置、及び車両情報登録プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
方法の一観点によれば、コンピュータが、次のような処理を実行する車両情報登録方法が提供される。車両を撮像する撮像部から画像を取得する。前記画像から、車両名称を表すマークの形状に係る特徴量である車両名称特徴量と、車両の形状に係る特徴量である車両特徴量と、を抽出する。車両名称、車両名称特徴量、車両特徴量を含む標準車両情報を車両毎に記憶する記憶部から、前記画像から抽出された車両名称特徴量に対応する車両特徴量を前記記憶部から取得する。前記記憶部から取得された車両特徴量と前記画像から抽出された車両特徴量とを照合する。所定の条件を満たす場合に、前記記憶部から取得された車両名称と前記画像から抽出された車両特徴量とに基づいて、新規の標準車両情報を前記記憶部に記憶する。
【0010】
装置の一観点によれば、撮像部と、画像取得部と、車両特徴量抽出部と、車両名称特徴量抽出部と、記憶部と、車両特徴量取得部と、照合部と、標準車両情報登録部と、を備える車両情報登録装置が提供される。撮像部は、車両を撮像する。画像取得部は、前記撮像部から画像を取得する。車両特徴量抽出部は、前記画像取得部により取得された画像から、車両の形状に係る特徴量である車両特徴量を抽出する。車両名称特徴量抽出部は、前記画像取得部により取得された画像から、車両名称を表すマークの形状に係る特徴量である車両名称特徴量を抽出する。記憶部は、車両名称、車両名称特徴量、車両特徴量を含む標準車両情報を車両毎に記憶する。車両特徴量取得部は、前記車両名称特徴量抽出部により抽出された車両名称特徴量に対応する車両特徴量を前記記憶部から取得する。照合部は、前記車両特徴量取得部により取得された車両特徴量と前記車両特徴量抽出部により抽出された車両特徴量とを照合する。標準車両情報登録部は、所定の条件を満たす場合に、前記記憶部から取得された車両名称と前記車両特徴量抽出部により抽出された車両特徴量とに基づいて、新規の標準車両情報を前記記憶部に記憶する。
【0011】
プログラムの一観点によれば、コンピュータに次のような処理を実行させる車両情報登録プログラムが提供される。車両を撮像する撮像部から画像を取得する。前記画像から、車両名称を表すマークの形状に係る特徴量である車両名称特徴量と、車両の形状に係る特徴量である車両特徴量と、を抽出する。車両名称、車両名称特徴量、車両特徴量を含む標準車両情報を車両毎に記憶する記憶部から、前記画像から抽出された車両名称特徴量に対応する車両特徴量を前記記憶部から取得する。前記記憶部から取得された車両特徴量と前記画像から抽出された車両特徴量とを照合する。所定の条件を満たす場合に、前記記憶部から取得された車両名称と前記画像から抽出された車両特徴量とに基づいて、新規の標準車両情報を前記記憶部に記憶する。
【発明の効果】
【0012】
開示の方法、装置、及びプログラムは、車両のモデルチェンジに伴う照合情報の登録に係るシステム管理者等の負担を軽減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施例に係る車両情報登録装置である車両認識システムの一例を示す図である。
【図2】車両認識システムのシステム構成例を示す図である。
【図3】(a),(b)は撮影画像の一例を示す図、(c),(d) はそのエッジ画像の一例を示す図である。
【図4】認識車両データベースのデータ構造例を示す図である。
【図5】標準車両データベースのデータ構造例を示す図である。
【図6】車両認識システムの動作例を示すフローチャートである。
【図7】偽造ナンバーの判定、ナンバーの認識精度向上のための動作例を示すフローチャートである。
【図8】複数のカメラを備えた車両認識システムの一例を示す図である。
【図9】コンピュータシステムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、一実施例に係る車両情報登録装置である車両認識システムの一例を示す図である。
図1に示したように、車両認識システム100は、カメラ200と車両認識装置300を含む。なお、カメラ200は、撮像部の一例である。
【0015】
カメラ200は、通行する車両を後方且つ上方(以下「後上方」という)から撮影する位置に設置される。例えば、カメラ200は、道路を走行する車両を後上方から撮影する位置や、有料道路の入口付近等において当該有料道路へ入る車両を後上方から撮影する位置や、駐車場の入口付近等において当該駐車場へ入る車両を後上方から撮影する位置等に設置される。カメラ200は、所定のフレームレート(例えば30フレーム/秒)で撮影(撮像)を行い、1秒間に当該フレームレートに従ったフレーム数の撮影画像(撮像画像)を車両認識装置300へ入力する。
【0016】
車両認識装置300は、登録されている標準車両の情報に基づいて、カメラ200から入力された撮影画像内に存在する車両を認識し、認識した車両(認識車両)の情報を蓄積する。また、車両認識装置300は、所定の条件の下に、カメラ200から入力された撮影画像内に存在する車両の情報を、新規の標準車両の情報として登録する。
【0017】
なお、カメラ200と車両認識装置300は、有線又は無線により接続されても良いし、通信ネットワークを介して接続されても良い。
【0018】
図2は、車両認識システム100のシステム構成例を示す図である。
図2に示したように、車両認識装置300は、画像入力部301、車両抽出部302、ナンバー認識部303、特徴量抽出部304、車両認識部305、特徴量照合部306、照合結果判定部307、標準車両情報登録部308、結果保存部309を含む。また、車両認識装置300は、制御部310、認識車両データベース311、標準車両データベース312を含む。
【0019】
なお、画像入力部301は画像取得部の一例である。車両抽出部302、特徴量抽出部304は、車両特徴量抽出部の一例である。車両認識部305は、車両名称特徴量抽出部の一例である。特徴量照合部306は、車両特徴量取得部、照合部の一例である。標準車両データベース312は、記憶部の一例である。
【0020】
画像入力部301は、カメラ200から入力された撮影画像を取得する。
車両抽出部302は、画像入力部301により取得された撮影画像から、車両部分を抽出する。また、車両抽出部302は、撮影画像から車両部分を抽出すると、ID(identifier)を生成し、そのIDと車両部分を抽出した日時を、認識IDと認識日時として、認識車両データベース311に記憶する。なお、認識IDは、認識車両毎に一意に付される識別子である。また、認識IDと認識日時は、認識車両の情報である。
【0021】
ナンバー認識部303は、車両抽出部302により抽出された車両部分から、ナンバープレート部分を抽出する。また、ナンバー認識部303は、抽出したナンバープレート部分から、当該ナンバープレートに記載されている、運輸支局、自動車検査登録事務所、又は地域名と、分類番号と、かな文字と、一連指定番号とを認識する。なお、以下では、運輸支局、自動車検査登録事務所、又は地域名を、運輸支局等という。また、運輸支局等、分類番号、かな文字、一連指定番号を、ナンバープレート記載事項という。本実施例において、ナンバープレート記載事項の認識は、文字との類似度が所定の閾値以上となる場合に成功、そうでない場合に失敗となる。また、ナンバー認識部303は、抽出したナンバープレート部分から、ナンバープレートのサイズ、色を認識する。なお、ナンバープレートのサイズは例えば車両の総重量等により異なり、ナンバープレートの色は例えば車両の用途(事業用、自家用等)等により異なっている。また、ナンバー認識部303は、ナンバープレート記載事項の認識結果(認識時の類似度結果含む)、認識したナンバープレート記載事項、サイズ、色を、認識車両の情報として、対応する認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する。
【0022】
特徴量抽出部304は、車両抽出部302により抽出された車両部分から車両の特徴量を抽出し、それを認識車両の情報として、対応する認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する。なお、車両の特徴量は、車両の形状に係る特徴量であり、本実施例では、車両部分のエッジ画像であるとする。また、特徴量抽出部304は、車両の特徴量が抽出された撮影画像も認識車両の情報として、対応する認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する。
【0023】
車両認識部305は、標準車両データベース312に登録されている標準車両の情報に基づいて、車両抽出部302により抽出された車両部分からロゴマークの特徴量を抽出し、対応する車両名称を標準車両データベース312から取得する。これにより、車両名称が特定(認識)される。なお、ロゴマークは、車両名称を表すマークである。ロゴマークの特徴量は、ロゴマークの形状に係る特徴量であり、本実施例では、ロゴマークのエッジ画像であるとする。また、車両認識部305は、標準車両データベース312に登録されている標準車両の情報に基づいて、車両抽出部302により抽出された車両部分からエンブレムの特徴量を抽出し、対応するメーカー名称を標準車両データベース312から取得する。これにより、メーカー名称が特定(認識)される。なお、エンブレムは、メーカー名称を表すマークである。エンブレムの特徴量は、エンブレムの形状に係る特徴量であり、本実施例では、エンブレムのエッジ画像であるとする。また、車両認識部305は、車両抽出部302により抽出された車両部分から、車両の塗色を認識する。また、車両認識部305は、認識した車両名称、メーカー名称、車両の塗色を、認識車両の情報として、対応する認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する。
【0024】
特徴量照合部306は、特徴量抽出部304により抽出された車両の特徴量を、標準車両データベース312に登録されている標準車両の情報に含まれる車両の特徴量と照合する。具体的には、特徴量照合部306は、車両認識部305により車両名称が特定されている場合、その車両名称に対応する標準車両の情報に含まれる車両の特徴量を標準車両データベース312から取得する。そして、取得した車両の特徴量と、特徴量抽出部304により抽出された車両の特徴量とを照合する。一方、車両認識部305により車両名称が特定されていない場合には、特徴量抽出部304により抽出された車両の特徴量を、標準車両データベース312に登録されている全ての標準車両の情報に含まれる車両の特徴量と照合する。
【0025】
照合結果判定部307は、特徴量照合部306による照合の結果が所定の条件を満たすか否かを判定し、その判定結果を認識車両の情報として、対応する認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する。なお、本実施例では、所定の条件を、車両の特徴量の類似度が所定の閾値以下となる条件とする。この場合、照合結果判定部307により認識車両データベース311に記憶される判定結果には、照合時の類似度結果が含まれる。また、所定の条件を満たさないと判定したときに照合された車両の特徴量を含む標準車両の情報に対象モデルの情報が含まれている場合がある。この場合、照合結果判定部307は、その対象モデルの情報も認識車両の情報として、対応する認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する。なお、対象モデルの情報は、車両のモデルの発売開始時期(年月)の情報である。
【0026】
なお、照合結果判定部307は、特徴量照合部306による照合の結果が所定の条件を満たすか否かを判定する代わりに、次のような判定を行うよう変形することも可能である。例えば、車両認識部305により抽出されるロゴマークの特徴量に対応する車両名称が同一となる複数の撮影画像の各々に対して特徴量照合部306による照合が行われ、所定の条件を満たすという照合結果が所定数回得られたか否かを判定する。このような変形を行うことによる効果については後述する。
【0027】
標準車両情報登録部308は、照合結果判定部307により所定の条件を満たすと判定された場合に、車両の特徴量、ロゴマークの特徴量、エンブレムの特徴量を、新規の標準車両の情報として、標準車両データベース312に登録(記憶)する。ここで、車両の特徴量は特徴量抽出部304により抽出されたものであり、ロゴマークの特徴量、エンブレムの特徴量は車両認識部305により抽出されたものである。また、標準車両情報登録部308は、そのような場合に、更に、車両名称、メーカー名称、車両の塗色と、車両抽出部302により車両部分が抽出された撮影画像を、新規の標準車両の情報として、標準車両データベース312に登録(記憶)する。ここで、車両名称、メーカー名称、車両の塗色は、車両認識部305により認識されたものである。また、標準車両情報登録部308は、そのような場合に、更に、対応する車両名称ID(identifier)と車両モデルID(identifier)を生成し、それらを新規の標準車両の情報として、標準車両データベース312に登録(記憶)する。なお、車両名称IDは、車両名称毎に一意に付される識別子である。また、車両モデルIDは、車両名称が同一の車両の中で車両モデル毎に一意に付される識別子である。また、標準車両情報登録部308は、そのような場合に、更に、これらの情報を標準車両データベース312に登録した日時(登録日時)を新規の標準車両の情報として、標準車両データベース312に登録(記憶)する。
【0028】
なお、照合結果判定部307を上述のように変形した場合、標準車両情報登録部308は、次のような情報を含む新規の標準車両の情報を標準車両データベース312に登録するように変形することも可能である。例えば、その新規の標準車両の情報には、所定の条件を満たすという照合結果が得られたときの、車両名称と、当該車両名称に対応するロゴマークの特徴量と、各撮影画像から抽出された車両の特徴量に基づいて最適化された車両の特徴量とが含まれる。このような変形を行うことによる効果については後述する。
【0029】
結果保存部309は、車両名称の認識結果(車両名称を特定できたか否か)を、認識車両の情報として、対応する認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する。
【0030】
制御部310は、車両認識装置300の各部を制御し、車両認識装置300の全体動作を制御する。
認識車両データベース311は、認識車両の情報を記憶する。
標準車両データベース312は、標準車両の情報を記憶する。
【0031】
図3(a),(b),(c),(d) は、撮影画像とそのエッジ画像の一例を示す図である。
図3(a),(b) に示した撮影画像は、カメラ200により撮影された画像の一例である。図3(c),(d) に示したエッジ画像は、図3(a),(b) に示した撮影画像に対してエッジ検出処理を行うことにより得られたエッジ画像の一例である。これらのエッジ画像は、例えば、特徴量抽出部304による車両の特徴量の抽出の際や、車両認識部305によるロゴマークの特徴量、エンブレムの特徴量の抽出の際等に用いられる。
【0032】
図4は、認識車両データベース311のデータ構造例を示す図である。
図4に示したように、認識車両データベース311には、認識車両毎に、「認識ID」、「認識日時」、「ナンバー情報」、「車両情報」、「画像」、「画像の特徴量」、「認識結果」等の情報が記憶される。
【0033】
「認識ID」は、認識車両毎に一意に付される識別子である。
「認識日時」は、認識車両が認識された日時である。
「ナンバー情報」は、認識車両のナンバープレートに関する情報であって、ナンバープレート記載事項(運輸支局等、分類番号、かな文字、一連指定番号)、プレートサイズ、プレート色の情報である。
【0034】
「車両情報」は、認識車両のメーカー名称、車両名称、対象モデル、塗色の情報である。
「画像」は、認識車両が認識された時の撮影画像である。
【0035】
「画像の特徴量」は、認識車両が認識された時の撮影画像から抽出された車両の特徴量(車両のエッジ画像)である。
「認識結果」は、認識車両を認識した時の類似度結果であって、ナンバープレート記載事項や車両の特徴量の類似度結果を含む。
【0036】
また、図示はしないが、認識車両データベース311には、その他に、認識車両の車両名称の認識結果等の情報も記憶される。
【0037】
図5は、標準車両データベース312のデータ構造例を示す図である。
図5に示したように、標準車両データベース312には、標準車両毎に、「登録日時」、「車両名称ID」、「車両モデルID」、「車両情報」、「画像」、「画像の特徴量」等の情報が記憶(登録)される。
【0038】
「登録日時」は、標準車両の情報が標準車両データベース312に登録された日時である。
「車両名称ID」は、車両名称毎に一意に付される識別子である。
【0039】
「車両モデルID」は、車両名称が同一の車両の中で車両モデル毎に一意に付される識別子である。
「車両情報」は、標準車両のメーカー名称、車両名称、対象モデル、塗色の情報である。なお、対象モデルの情報については、システム管理者等によって入力される。
【0040】
「画像」は、標準画像とされるものであって、標準車両が撮影された画像である。
「画像の特徴量」は、テンプレート画像とされるものであって、標準車両の特徴量、標準車両のロゴマークの特徴量、標準車両のエンブレムの特徴量である。例えば、図5において、「T1.jpg」は、標準車両の特徴量である、標準車両のエッジ画像である。また、「T2.jpg」は、標準車両のロゴマークの特徴量である、標準車両のロゴマークのエッジ画像である。また、「T3.jpg」は、標準車両のエンブレムの特徴量である、標準車両のエンブレムのエッジ画像である。
【0041】
図6は、車両認識システム100の動作例を示すフローチャートである。なお、本動作は、例えば、制御部11に対し本動作の開始指示が入力されると開始するものである。
図6に示したように、本動作が開始すると、カメラ200は、所定のフレームレートで撮影を開始し、1秒間当たり、当該フレームレートに従ったフレーム数の撮影画像を画像入力部301へ入力する(S101)。これに伴って画像入力部301は、1秒間当たり、そのフレームレートに従ったフレーム数の撮影画像をカメラ200から取得する。
【0042】
続いて、車両抽出部302は、画像入力部301により取得された1フレームの撮影画像から、車両部分を抽出する(S102)。
続いて、その車両部分の抽出が成功したか否かを判定し(S103)、その判定結果がNoの場合にはS102へ戻り、画像入力部301により取得された後続の1フレームの撮影画像に対して再び同様の処理が行われる。
【0043】
一方、S103の判定結果がYesの場合、車両抽出部302は、IDを生成し、そのIDと車両部分を抽出した日時を、認識IDと認識日時として、認識車両データベース311に記憶する(S104)。
【0044】
続いて、ナンバー認識部303は、S102で車両抽出部302により抽出された車両部分から、ナンバープレート部分を抽出する(S105)。また、S105では、ナンバー認識部303は、抽出したナンバープレート部分から、文字との類似度に応じて、ナンバープレート記載事項を認識する。また、S105では、ナンバー認識部303は、抽出したナンバープレート部分から、ナンバープレートのサイズ、色を認識する。また、S105では、ナンバー認識部303は、ナンバープレート記載事項の認識結果、認識したナンバープレート記載事項、サイズ、色を、認識車両の情報として、S104で記憶した認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する。ここで、ナンバープレート記載事項の認識結果には、認識時の類似度結果が含まれる。
【0045】
続いて、特徴量抽出部304は、S102で車両抽出部302により抽出された車両部分から車両の特徴量を抽出し、それを認識車両の情報として、S104で記憶された認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する(S106)。また、S106では、特徴量抽出部304は、車両の特徴量が抽出された撮影画像も認識車両の情報として、S104で記憶された認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する。
【0046】
続いて、車両認識部305は、標準車両データベース312に登録されている標準車両の情報に含まれるロゴマークの特徴量、車両名称の情報に基づいて、S102で車両抽出部302により抽出された車両部分からロゴマークの特徴量を抽出する(S107)。また、S107では、車両認識部305は、抽出したロゴマークの特徴量に対応する車両名称を標準車両データベース312から取得する。これにより、車両名称が特定(認識)される。また、S107では、車両認識部305は、標準車両データベース312に登録されている標準車両の情報に含まれるエンブレムの特徴量、メーカー名称の情報に基づいて、S102で車両抽出部302により抽出された車両部分からエンブレムの特徴量を抽出する。また、S107では、車両認識部305は、抽出したエンブレムの特徴量に対応するメーカー名称を標準車両データベース312から取得する。これにより、メーカー名称が特定(認識)される。また、S107では、車両認識部305は、S102で車両抽出部302により抽出された車両部分から、車両の塗色を認識する。また、S107では、車両認識部305は、認識した車両名称、メーカー名称、車両の塗色を、認識車両の情報として、S104で記憶した認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する。
【0047】
続いて、S107での車両認識部305による車両名称の特定が成功したか否かを判定する(S108)。
S108の判定結果がYesの場合、特徴量照合部306は、S107で車両認識部305により特定された車両名称に対応する標準車両の情報に含まれる車両の特徴量を標準車両データベース312から取得する(S109)。また、S109では、特徴量照合部306は、標準車両データベース312から取得した車両の特徴量と、S106で特徴量抽出部304により抽出された車両の特徴量とを照合する。
【0048】
続いて、照合結果判定部307は、S109での特徴量照合部306による照合の結果が所定の条件を満たすか否かを判定する(S110)。なお、S107で車両認識部305により特定された車両名称に対応する標準車両の情報が標準車両データベース312に複数登録されている場合がある。この場合、各標準車両の情報に含まれる標準車両の特徴量と特徴量抽出部304により抽出された車両の特徴量との類似度が全て所定の閾値以下であった場合にはS110の判定結果がYesとなり、そうでない場合にはその判定結果がNoとなる。
【0049】
なお、S110の判定は、次のように変形することも可能である。例えば、車両認識部305により抽出されるロゴマークの特徴量に対応する車両名称が同一となる複数の撮影画像の各々に対して特徴量照合部306による照合が行われ、所定の条件を満たすという照合結果が所定数回得られたか否かを判定する。このような変形を行うことによる効果については後述する。
【0050】
S110の判定結果がNoの場合、照合結果判定部307は、その判定結果(特徴量の類似度結果を含む)を認識車両の情報として、S104で記憶した認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する(S111)。また、この場合、所定の条件を満たさないと判定した時に照合された特徴量を含む標準車両の情報に対象モデルの情報が含まれている場合がある。このような場合、S111では、照合結果判定部307は、その対象モデルの情報を認識車両の情報として、S104で記憶した認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する。但し、所定の条件を満たさないと判定した時に照合された特徴量を含む標準車両の情報が複数有る場合がある。このような場合には、類似度が所定の閾値以下でなかった特徴量(例えば類似度が最も高かった時の特徴量)を含む標準車両情報に対象モデルの情報が含まれていた場合に、その対象モデルの情報が記憶される。
【0051】
一方、S110の判定結果がYesの場合、照合結果判定部307は、その判定結果(特徴量の類似度結果を含む)を認識車両の情報として、S104で記憶した認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する(S112)。
【0052】
続いて、標準車両情報登録部308は、車両の特徴量、ロゴマークの特徴量、エンブレムの特徴量を、新規の標準車両の情報として、標準車両データベース312に登録(記憶)する(S113)。ここで、車両の特徴量は、S106で特徴量抽出部304により抽出されたものであり、ロゴマークの特徴量、エンブレムの特徴量は、S107で車両認識部305による抽出されたものである。また、S113では、標準車両情報登録部308は、更に、車両名称、メーカー名称、車両の塗色と、S102で車両抽出部302により車両部分が抽出された撮影画像を、新規の標準車両の情報として、標準車両データベース312に登録(記憶)する。ここで、車両名称、メーカー名称、車両の塗色は、S107で車両認識部305により認識されたものである。また、S113では、標準車両情報登録部308は、更に、対応する車両名称IDと車両モデルIDを生成し、それらを新規の標準車両の情報として、標準車両データベース312に登録(記憶)する。また、S113では、標準車両情報登録部308は、更に、これらの情報を標準車両データベース312に登録した日時(登録日時)を、新規の標準車両の情報として、標準車両データベース312に登録(記憶)する。
【0053】
なお、S110を上述のように変形した場合、S113では、次のような情報を含む新規の標準車両の情報を標準車両データベース312に登録するように変形することも可能である。例えば、その新規の標準車両の情報には、所定の条件を満たすという照合結果が得られたときの、車両名称と、当該車両名称に対応するロゴマークの特徴量と、各撮影画像から抽出された車両の特徴量に基づいて最適化された車両の特徴量とが含まれる。このような変形を行うことによる効果については後述する。
【0054】
一方、S108の判定結果がNoの場合、特徴量照合部306は、S106で特徴量抽出部304により抽出された車両の特徴量を、標準車両データベース312に登録されている全ての標準車両の情報に含まれる標準車両の特徴量と照合する(S114)。
【0055】
続いて、照合結果判定部307は、S109での特徴量照合部306による照合の結果が所定の条件を満たすか否かを判定する(S115)。但し、S115での所定の条件は、特徴量抽出部304により抽出された車両の特徴量と各標準車両の情報に含まれる標準車両の特徴量との類似度が全て所定の閾値以下となる条件とする。
【0056】
S115の判定結果がNoの場合、照合結果判定部307は、その判定結果(特徴量の類似度結果を含む)を認識車両の情報として、S104で記憶した認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する(S116)。また、この場合、所定の条件を満たさないと判定した時に照合された特徴量であって類似度が所定の閾値以下でなかった特徴量(例えば類似度が最も高かった時の特徴量)を含む標準車両の情報に車両名称、対象モデルの情報が含まれている場合がある。このような場合、S116では、照合結果判定部307は、その車両名称、対象モデルの情報を、認識車両の情報として、S104で記憶した認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する。
【0057】
S113、S111、又は、S116の後、結果保存部309は、車両名称の認識結果(車両名称特定成功という結果)を、認識車両の情報として、S104で記憶された認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する(S117)。
【0058】
一方、S115の判定結果がYesの場合、照合結果判定部307は、その判定結果(特徴量の類似度結果を含む)を認識車両の情報として、S104で記憶した認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する(S118)。
【0059】
続いて、結果保存部309は、車両名称の認識結果(車両名称特定失敗という結果)を、認識車両の情報として、S104で記憶された認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する(S119)。
【0060】
S117、又はS119の後、制御部310は、本動作の終了指示が入力されたか否かを判定し(S120)、その判定結果がNoの場合にはS102へ戻り、後続のフレームの撮影画像に対して再び同様の処理が行われる。
【0061】
一方、S120の判定結果がYesの場合には、本動作が終了する。
以上、車両認識システム100によれば、撮影画像から抽出された車両の特徴量と標準車両の特徴量との照合結果が所定の条件を満たす場合には、自動的に、新規の標準車両の情報が標準車両データベース312に登録されるようになる。ここで、撮影画像は、カメラ200により撮影された画像であり、標準車両の特徴量は、標準車両データベース312に登録されていたものである。従って、例えば、モデルチェンジが行われた車両がカメラ200により撮影されたときに、その車両の情報が標準車両データベース312に登録されていなかった場合には、自動的に、その撮影画像から、その車両の情報が抽出される。そして、抽出された車両の情報が、自動的に、新規の標準車両の情報として標準車両データベース312に登録される。これにより、システム管理者等は、車両のモデルチェンジを常にモニターし、モデルチェンジがある毎に車両の特徴量等を含む標準車両の情報を標準車両データベース312に登録する等といった作業から開放される。従って、車両のモデルチェンジに伴う新規の標準車両情報(照合情報)の登録に係るシステム管理者等の負担を軽減することができる。
【0062】
また、車両認識システム100では、特徴量照合部306により照合される車両の特徴量が何れも同じカメラ(カメラ200)により撮影された画像から抽出されたものとなる。従って、車両認識システム100では、異なるカメラで撮影された画像から抽出された車両の特徴量を照合するようにしているシステムに比べ、車両の認識精度が向上する。
【0063】
なお、車両認識システム100は、以下のとおり、種々の変形が可能である。
例えば、図6に示した車両認識システム100の動作において、S117及びS119と、S120との間に、偽造ナンバーの判定、ナンバーの認識精度向上のための動作を、更に行うようにすることも可能である。
【0064】
図7は、その動作例を示すフローチャートである。
図7に示したように、本動作では、まずナンバー認識部303は、S105(図6参照)でのナンバープレート記載事項の認識結果(認識時の類似度結果含む)を抽出する(S201)。
【0065】
続いて、ナンバー認識部303は、S201で抽出した認識結果から、ナンバープレート記載事項の全ての認識に成功していたか否かを判定する(S202)。
S202の判定結果がYesの場合、ナンバー認識部303は、偽造ナンバーの判定動作を開始する。すなわち、ナンバー認識部303は、S105で認識したナンバープレート記載事項と一致するナンバー情報を含む全ての認識車両の情報を認識車両データベース311から抽出する(S203)。続いてナンバー認識部303は、S203で抽出した認識車両の情報の中に、異なる車両名称の情報を含む認識車両の情報が有るか否かを判定する(S204)。ここで、その判定結果がYesの場合、ナンバー認識部303は、S105で認識したナンバープレート記載事項を偽造ナンバー候補とする情報を、図示しない通信ネットワークを介して外部装置に通知すると共に記憶する(S205)。そして、S205の後、又はS204の判定結果がNoの場合には、本動作が終了し、処理が戻る。
【0066】
一方、S202の判定結果がNoの場合、ナンバー認識部303は、ナンバーの認識精度向上のための動作を開始する。すなわち、ナンバー認識部303は、S117又はS119で結果保存部309により記憶された車両名称の認識結果(車両名称特定成功又は失敗という結果)から、車両名称の特定が成功していたか否かを判定する(S206)。ここで、その判定結果がYesの場合、ナンバー認識部303は、特定されている車両名称の情報を含む全ての認識車両の情報を認識車両データベース311から抽出する(S207)。続いて、ナンバー認識部303は、S207で抽出した認識車両の情報の中から、S105で認識に成功していた一部のナンバープレート記載事項と一致するナンバー情報を含む認識車両の情報を抽出する(S208)。続いてナンバー認識部303は、S208での抽出に成功したか否かを判定する(S209)。なお、S105でナンバープレート記載事項の全ての認識に失敗していた場合には、S208での抽出は行われず、S209の判定結果はNoとなる。S209の判定結果がYesの場合、ナンバー認識部303は、S201で抽出した認識結果とS208で抽出した認識車両の情報に含まれるナンバー情報に基づいて、ナンバープレート記載事項を認識する際の閾値を変更する(S210)。また、S210では、ナンバー認識部303は、その変更後の閾値を用いてナンバープレート記載事項の認識失敗部分について再度認識を行う。例えば、S201で抽出した認識結果から、ナンバープレート記載事項の認識失敗部分がかな文字であり、その認識結果が83%の類似度で「あ」であったとする。また、S208で抽出した認識車両の情報に含まれるナンバー情報のかな文字が「あ」であったとする。また、ナンバープレート記載事項を認識する際の閾値が85%以上であったとする。このような場合、例えば、閾値が80%以上であったとするならば、認識に成功し、且つ、かな文字も正しく認識されていたことになる。従って、このような場合、ナンバー認識部303は、閾値を85%以上から80%以上へ変更し、再度、認識を行う。S210の後、ナンバー認識部303は、S210の認識結果(認識されたナンバープレート記載事項)を、S104で記憶された認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する(S211)。例えば、S210で、かな文字「あ」が認識された場合には、それをS104で記憶された認識IDに関連付けて認識車両データベース311に記憶する。そして、S206がNoの場合、S209がNoの場合、又はS211の後は、本動作が終了し、処理が戻る。
【0067】
このような動作を更に行うことにより、偽造ナンバー候補の通知や、ナンバープレート記載事項の認識精度を向上させることができる。
また、例えば、図6に示した動作において、S110の判定結果がNoの場合に、S106で特徴量抽出部304により抽出された車両の特徴量を、特徴量照合部306による照合の結果が所定の条件を満たさなかったときの事例データとすることも可能である。この場合、その事例データを標準車両データベース312に登録(記憶)するように構成することも可能である。
【0068】
また、例えば、S110の判定において、S107で車両認識部305により特定された車両名称に対応する標準車両の情報が標準車両データベース312に複数登録されていた場合には、次のようにして判定を行うことも可能である。すなわち、その複数の標準車両の情報を、過去のS110の判定結果がNoとなる回数が最も多かった車両の特徴量を含む標準車両の情報から順に、類似度が所定の閾値以下であるか否かを判定するようにすることも可能である。
【0069】
また、S115の判定において、標準車両データベース312に登録されている全ての標準車両の情報を、次のような順番で、類似度が所定の閾値以下であるか否かを判定するようにすることも可能である。例えば、過去のS110の判定結果がNoとなる回数が最も多かった車両の特徴量を含む標準車両の情報から順に、類似度が所定の閾値以下であるか否かを判定するようにすることも可能である。
【0070】
また、車両認識システム100では、カメラ200の代わりに、例えば、全方位撮影可能なカメラや、複数のカメラを備えるように構成することも可能である。これにより、車両認識装置300は、車両を後上方から撮影した画像に限らず、車両を他の方向から撮影した画像をも取得して、処理を行うことができる。
【0071】
図8は、複数のカメラを備えた車両認識システム100の一例を示す図である。
図8に示した車両認識システム100では、2つのカメラ200a、200bを備える。カメラ200aは、通行する車両を後上方から撮影する位置に設置される。カメラ200bは、通行する車両を前方且つ上方(以下「前上方」という)から撮影する位置に設置される。そして、車両認識装置300は、カメラ200a及び又はカメラ200bから撮影画像を取得し、処理を行う。例えば、2つのカメラ200a、200bから撮影画像を取得した場合には、二方向からの車両の特徴量を標準車両の特徴量として標準車両データベース312へ登録することができる。
【0072】
また、車両認識システム100では、特徴量照合部306による照合の結果が所定の条件を満たすと照合結果判定部307により判定されたときに、新規の標準車両の情報が標準車両データベース312に登録されるものであった。これを、上述のとおり、次のように変形することもできる。例えば、車両認識部305により抽出されるロゴマークの特徴量に対応する車両名称が同一となる複数の撮影画像の各々に対して特徴量照合部306による照合が行われる。そして、所定の条件を満たすという照合結果が所定数回得られたときに、新規の標準車両の情報を標準車両データベース312に登録する。このような変形により、より主要な車両の情報を、新規の標準車両の情報として標準車両データベース312に登録することができる。
【0073】
また、このように変形した場合、標準車両データベース312に登録される新規の標準車両の情報には、上述のとおり、次のような情報が含まれるようにすることもできる。例えば、その新規の標準車両の情報に、所定の条件を満たすという照合結果が得られたときの、車両名称と、当該車両名称に対応するロゴマークの特徴量と、各撮影画像から抽出された車両の特徴量に基づいて最適化された車両の特徴量とが含まれる。ここで、車両名称に対応するロゴマークの特徴量は、標準車両データベース312から取得することも可能であるし、各撮影画像から抽出されたロゴマークの特徴量に基づくものとすることも可能である。これにより、標準車両データベース312には、最適化された車両の特徴量が記憶されるようになるので、車両認識システム100での車両の認識精度を向上させることができる。
【0074】
また、車両認識システム100では、車両の特徴量を車両のエッジ画像としたが、車両のエッジ画像以外の車両の特徴量とすることも可能である。例えば、車両の特徴量を、ナンバープレート、左右のウィンカー、左右のブレーキランプ、バンパー、ロゴマーク、エンブレム等の相互の位置関係や、これらの外形形状、更にはテールゲートやトランクの塗色等とすることも可能である。或いは、例えば、車両の特徴量を、それらの組み合わせ等とすることも可能である。また、例えば、車両の特徴量を、Zernike moment特徴量や、Grid Fourier特徴量や、Wavelet特徴量等とすることも可能である。なお、Zernike moment特徴量は、画像の重心を中心とする座標系を定義し、その座標系上の関数へ投影した値の総和を計算したものであり、回転不変な特徴量を得ることができる。また、Grid Fourier特徴量は、画像の重心を中心とする座標系を定義し、グリッド(セル)内の画素数をカウントし、フーリエ展開することで回転不変な特徴量としたものである。また、Wavelet特徴量は、画像の周波数成分を利用する方式であり、照明変動やスケール変化に対応することができるものである。
【0075】
また、車両認識システム100では、例えば、照合結果判定部307による判定の際に用いられる所定の閾値は、変更可能に構成することも可能である。この場合、例えば、所定期間当たりに標準車両の情報が標準車両データベース312に登録される回数に応じて、所定の閾値を変更するようにすることも可能である。
【0076】
また、車両認識システム100では、例えば、標準車両データベース312が標準車両の情報をメーカー名称別に登録(記憶)するように構成することも可能である。この場合、車両認識部305は、例えば、先にメーカー名称を標準車両データベース312から取得した上で、そのメーカー名称も考慮して、車両名称を標準車両データベース312から取得するように構成することも可能である。これにより、車両名称の特定を、より早期に行うことができる。
【0077】
また、車両認識システム100では、例えば、車両認識装置300を通信ネットワークに接続するように構成することも可能である。この場合、例えば、その通信ネットワークに接続された特定の外部装置から、認識車両データベース311や標準車両データベース312にアクセス可能に構成することも可能である。
【0078】
また、車両認識システム100は、例えば、次のようなコンピュータシステムによって実現することも可能である。
【0079】
図9は、そのコンピュータシステムの構成例を示す図である。
図9に示したように、このコンピュータシステムは、CPU401、ROM402、RAM403、通信インタフェース404、記憶装置405、入出力装置406、可搬型記憶媒体の読取り装置407、及び、これらの全てが接続されたバス408を含む。なお、CPUは Central Processing Unit であり、ROMは Read Only Memory であり、RAMは Random Access Memory である。
【0080】
記憶装置405としてはハードディスク、磁気ディスクなど様々な形式の記憶装置を使用することができる。記憶装置405、またはROM402に、車両認識システム100(車両認識装置300の制御部310)が行う動作(例えば図6、図7に示したフローチャートの動作)のためのプログラム等が格納される。そして、そのプログラムがCPU401によって実行されることにより、画像入力部301、車両抽出部302、ナンバー認識部303、特徴量抽出部304、車両認識部305、特徴量照合部306、照合結果判定部307等が実現される。また、そのプログラムがCPU401によって実行されることにより、標準車両情報登録部308、結果保存部309、制御部310等が実現される。また、記憶装置405は、認識車両データベース311、標準車両データベース312に対応し、認識車両の情報や標準車両の情報も記憶される。
【0081】
上記のプログラムは、プログラム提供者端末409からネットワーク410、および通信インタフェース404を介して、例えば記憶装置405に格納されて、CPU401によって実行されることも可能である。また、市販され、流通している可搬型記憶媒体411に格納され、読取り装置407にセットされて、CPU401によって実行されることも可能である。可搬型記憶媒体411としてはCD−ROM、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、DVDディスク、USBメモリなど様々な形式の記憶媒体を使用することができる。なお、CD−ROMはCompact Disc Read Only Memoryであり、DVDはDigital Versatile Diskであり、USBはUniversal Serial Busである。
【0082】
入出力装置406は、例えばキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル等の入力装置と、例えばディスプレイ、プリンタ、スピーカ等の出力装置を含む。
以上、実施例を説明したが、本発明は、上述した実施例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。
【0083】
以上の実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
コンピュータが、
車両を撮像する撮像部から画像を取得し、
前記画像から、車両名称を表すマークの形状に係る特徴量である車両名称特徴量と、車両の形状に係る特徴量である車両特徴量と、を抽出し、
車両名称、車両名称特徴量、車両特徴量を含む標準車両情報を車両毎に記憶する記憶部から、前記画像から抽出された車両名称特徴量に対応する車両特徴量を前記記憶部から取得し、
前記記憶部から取得された車両特徴量と前記画像から抽出された車両特徴量とを照合し、
所定の条件を満たす場合に、前記記憶部から取得された車両名称と前記画像から抽出された車両特徴量とに基づいて、新規の標準車両情報を前記記憶部に記憶する、
処理を実行することを特徴とする車両情報登録方法。
(付記2)
前記所定の条件は、前記照合の結果が、前記記憶部から取得された車両特徴量と前記画像から抽出された車両特徴量との類似度が所定の閾値以下となる条件である、
ことを特徴とする付記1記載の車両情報登録方法。
(付記3)
前記所定の条件を満たす場合に、前記記憶部から取得された車両名称と、当該車両名称に対応する車両名称特徴量と、前記画像から抽出された車両特徴量と、を含む標準車両情報を、新規の標準車両情報として前記記憶部に記憶する、
ことを特徴とする付記1又は2記載の車両情報登録方法。
(付記4)
前記所定の条件は、抽出される車両名称特徴量に対応する車両名称が同一となる複数の画像の各々に対して前記照合が行われたときに、前記記憶部から取得された車両特徴量と前記画像から抽出された車両特徴量との類似度が所定の閾値以下となる照合結果が所定数回得られたという条件である、
ことを特徴とする付記1記載の車両情報登録方法。
(付記5)
前記所定の条件を満たす場合に、前記照合結果が得られたときの、前記記憶部から取得された車両名称と、当該車両名称に対応する車両名称特徴量と、各画像から抽出された車両特徴量に基づいて最適化された車両特徴量と、を含む標準車両情報を、新規の標準車両情報として前記記憶部に記憶する、
ことを特徴とする付記4記載の車両情報登録方法。
(付記6)
車両を撮像する撮像部と、
前記撮像部から画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得された画像から、車両の形状に係る特徴量である車両特徴量を抽出する車両特徴量抽出部と、
前記画像取得部により取得された画像から、車両名称を表すマークの形状に係る特徴量である車両名称特徴量を抽出する車両名称特徴量抽出部と、
車両名称、車両名称特徴量、車両特徴量を含む標準車両情報を車両毎に記憶する記憶部と、
前記車両名称特徴量抽出部により抽出された車両名称特徴量に対応する車両特徴量を前記記憶部から取得する車両特徴量取得部と、
前記車両特徴量取得部により取得された車両特徴量と前記車両特徴量抽出部により抽出された車両特徴量とを照合する照合部と、
所定の条件を満たす場合に、前記記憶部から取得された車両名称と前記車両特徴量抽出部により抽出された車両特徴量とに基づいて、新規の標準車両情報を前記記憶部に記憶する標準車両情報登録部と、
を備えることを特徴とする車両情報登録装置。
(付記7)
前記所定の条件は、前記照合の結果が、前記記憶部から取得された車両特徴量と前記車両特徴量抽出部により抽出された車両特徴量との類似度が所定の閾値以下となる条件である、
ことを特徴とする付記6記載の車両情報登録装置。
(付記8)
前記標準車両情報登録部は、前記所定の条件を満たす場合に、前記記憶部から取得された車両名称と、当該車両名称に対応する車両名称特徴量と、前記車両特徴量抽出部により抽出された車両特徴量と、を含む標準車両情報を、新規の標準車両情報として前記記憶部に記憶する、
ことを特徴とする付記6又は7記載の車両情報登録装置。
(付記9)
前記所定の条件は、前記車両特徴量抽出部により抽出される車両名称特徴量に対応する車両名称が同一となる複数の画像の各々に対して前記照合が行われたときに、前記記憶部から取得された車両特徴量と前記車両特徴量抽出部により抽出された車両特徴量との類似度が所定の閾値以下となる照合結果が所定数回得られたという条件である、
ことを特徴とする付記6記載の車両情報登録装置。
(付記10)
前記標準車両情報登録部は、前記所定の条件を満たす場合に、前記照合結果が得られたときの、前記記憶部から取得された車両名称と、当該車両名称に対応する車両名称特徴量と、前記車両特徴量抽出部により各画像から抽出された車両特徴量に基づいて最適化された車両特徴量と、を含む標準車両情報を、新規の標準車両情報として前記記憶部に記憶する、
ことを特徴とする付記9記載の車両情報登録装置。
(付記11)
コンピュータに、
車両を撮像する撮像部から画像を取得し、
前記画像から、車両名称を表すマークの形状に係る特徴量である車両名称特徴量と、車両の形状に係る特徴量である車両特徴量と、を抽出し、
車両名称、車両名称特徴量、車両特徴量を含む標準車両情報を車両毎に記憶する記憶部から、前記画像から抽出された車両名称特徴量に対応する車両特徴量を前記記憶部から取得し、
前記記憶部から取得された車両特徴量と前記画像から抽出された車両特徴量とを照合し、
所定の条件を満たす場合に、前記記憶部から取得された車両名称と前記画像から抽出された車両特徴量とに基づいて、新規の標準車両情報を前記記憶部に記憶する、
処理を実行させることを特徴とする車両情報登録プログラム。
(付記12)
前記所定の条件は、前記照合の結果が、前記記憶部から取得された車両特徴量と前記画像から抽出された車両特徴量との類似度が所定の閾値以下となる条件である、
ことを特徴とする付記11記載の車両情報登録プログラム。
(付記13)
前記所定の条件を満たす場合に、前記記憶部から取得された車両名称と、当該車両名称に対応する車両名称特徴量と、前記画像から抽出された車両特徴量と、を含む標準車両情報を、新規の標準車両情報として前記記憶部に記憶する、
ことを特徴とする付記11又は12記載の車両情報登録プログラム。
(付記14)
前記所定の条件は、抽出される車両名称特徴量に対応する車両名称が同一となる複数の画像の各々に対して前記照合が行われたときに、前記記憶部から取得された車両特徴量と前記画像から抽出された車両特徴量との類似度が所定の閾値以下となる照合結果が所定数回得られたという条件である、
ことを特徴とする付記11記載の車両情報登録プログラム。
(付記15)
前記所定の条件を満たす場合に、前記照合結果が得られたときの、前記記憶部から取得された車両名称と、当該車両名称に対応する車両名称特徴量と、各画像から抽出された車両特徴量に基づいて最適化された車両特徴量と、を含む標準車両情報を、新規の標準車両情報として前記記憶部に記憶する、
ことを特徴とする付記14記載の車両情報登録プログラム。
【符号の説明】
【0084】
100 車両認識システム
200 カメラ
300 車両認識装置
301 画像入力部
302 車両抽出部
303 ナンバー認識部
304 特徴量抽出部
305 車両認識部
306 特徴量照合部
307 照合結果判定部
308 標準車両情報登録部
309 結果保存部
310 制御部
311 認識車両データベース
312 標準車両データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
車両を撮像する撮像部から画像を取得し、
前記画像から、車両名称を表すマークの形状に係る特徴量である車両名称特徴量と、車両の形状に係る特徴量である車両特徴量と、を抽出し、
車両名称、車両名称特徴量、車両特徴量を含む標準車両情報を車両毎に記憶する記憶部から、前記画像から抽出された車両名称特徴量に対応する車両特徴量を前記記憶部から取得し、
前記記憶部から取得された車両特徴量と前記画像から抽出された車両特徴量とを照合し、
所定の条件を満たす場合に、前記記憶部から取得された車両名称と前記画像から抽出された車両特徴量とに基づいて、新規の標準車両情報を前記記憶部に記憶する、
処理を実行することを特徴とする車両情報登録方法。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記照合の結果が、前記記憶部から取得された車両特徴量と前記画像から抽出された車両特徴量との類似度が所定の閾値以下となる条件である、
ことを特徴とする請求項1記載の車両情報登録方法。
【請求項3】
前記所定の条件を満たす場合に、前記記憶部から取得された車両名称と、当該車両名称に対応する車両名称特徴量と、前記画像から抽出された車両特徴量と、を含む標準車両情報を、新規の標準車両情報として前記記憶部に記憶する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の車両情報登録方法。
【請求項4】
前記所定の条件は、抽出される車両名称特徴量に対応する車両名称が同一となる複数の画像の各々に対して前記照合が行われたときに、前記記憶部から取得された車両特徴量と前記画像から抽出された車両特徴量との類似度が所定の閾値以下となる照合結果が所定数回得られたという条件である、
ことを特徴とする請求項1記載の車両情報登録方法。
【請求項5】
前記所定の条件を満たす場合に、前記照合結果が得られたときの、前記記憶部から取得された車両名称と、当該車両名称に対応する車両名称特徴量と、各画像から抽出された車両特徴量に基づいて最適化された車両特徴量と、を含む標準車両情報を、新規の標準車両情報として前記記憶部に記憶する、
ことを特徴とする請求項4記載の車両情報登録方法。
【請求項6】
車両を撮像する撮像部と、
前記撮像部から画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得された画像から、車両の形状に係る特徴量である車両特徴量を抽出する車両特徴量抽出部と、
前記画像取得部により取得された画像から、車両名称を表すマークの形状に係る特徴量である車両名称特徴量を抽出する車両名称特徴量抽出部と、
車両名称、車両名称特徴量、車両特徴量を含む標準車両情報を車両毎に記憶する記憶部と、
前記車両名称特徴量抽出部により抽出された車両名称特徴量に対応する車両特徴量を前記記憶部から取得する車両特徴量取得部と、
前記車両特徴量取得部により取得された車両特徴量と前記車両特徴量抽出部により抽出された車両特徴量とを照合する照合部と、
所定の条件を満たす場合に、前記記憶部から取得された車両名称と前記車両特徴量抽出部により抽出された車両特徴量とに基づいて、新規の標準車両情報を前記記憶部に記憶する標準車両情報登録部と、
を備えることを特徴とする車両情報登録装置。
【請求項7】
コンピュータに、
車両を撮像する撮像部から画像を取得し、
前記画像から、車両名称を表すマークの形状に係る特徴量である車両名称特徴量と、車両の形状に係る特徴量である車両特徴量と、を抽出し、
車両名称、車両名称特徴量、車両特徴量を含む標準車両情報を車両毎に記憶する記憶部から、前記画像から抽出された車両名称特徴量に対応する車両特徴量を前記記憶部から取得し、
前記記憶部から取得された車両特徴量と前記画像から抽出された車両特徴量とを照合し、
所定の条件を満たす場合に、前記記憶部から取得された車両名称と前記画像から抽出された車両特徴量とに基づいて、新規の標準車両情報を前記記憶部に記憶する、
処理を実行させることを特徴とする車両情報登録プログラム。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図1】
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【図3】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−92905(P2013−92905A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234419(P2011−234419)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】