説明

車両情報表示装置

【課題】 所有する情報端末に表示される車両情報に関連する車両データの出所を容易に把握できる車両表示装置を提供すること。
【解決手段】 携帯情報端末300の主制御部305は、近距離通信制御部302を利用して、車両100の近距離通信制御装置130との間で近距離通信が確立されたときには、情報転送ECU110aから直接的に取得した車両データに基づく車両情報をディスプレイ304に第1の表示態様によって表示する。一方、近距離通信が確立されないときには、主制御部305は、車両情報センタ200から間接的に取得した車両データ(バックアップデータ)に基づく車両情報をディスプレイ304に第2の表示態様によって表示する。これにより、ユーザ(運転者)は、車両データの出所を把握することができるとともに車両情報の信頼性を判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両から独立してユーザが所有する情報端末を用いて車両に関する各種の車両情報を表示する車両情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、下記特許文献1に示されているような電気自動車用電話制御システムは知られている。この従来の電気自動車用電話制御システムにおいては、運転者が携帯電話機から音声又はトーン信号による暗号入力を行い、この暗号入力を自動車電話を構成する電話コントローラによって解読し、電話コントローラの制御の基に充電コントローラ及びエアコンコントローラが連携して電動エアコンを直ちに又は一定時間経過後等に動作を開始及び停止させるようになっている。又、充電コントローラ及びエアコンコントローラは、充電状態及びエアコン状態を監視するため、電話コントローラから携帯電話機に自動ダイヤルして監視内容を運転者に音声又は表示により知らせるようになっている。
【0003】
又、従来から、例えば、下記特許文献2に示されているような車両遠隔操作システムも知られている。この従来の車両遠隔操作システムにおいては、携帯端末の操作者が正規ユーザであるか否かを認証する認証手段が設けられるようになっている。この認証手段は、遠隔操作対象車両外への所定の情報を出力し、この出力された所定の情報に対応した所定の操作が携帯端末に加えられることにより、この携帯端末の操作者を正規ユーザであると認証するようになっている。そして、正規ユーザであると認証されると、携帯端末の操作者は車両を遠隔操作できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−149608号公報
【特許文献2】特開2008−015839号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、上記特許文献1に示された電気自動車用電話制御システムや上記特許文献2に示された車両遠隔操作システムでは、制御対象である車両の状態を把握することが重要である。このため、上記従来のシステムにおいては、ユーザが所有する携帯電話機や携帯端末に対して車両の状態を表す各種の車両データを提供することによってユーザが携帯電話機や携帯端末に表示される情報を確認し、車両の状態を把握するようにしている。
【0006】
しかしながら、携帯電話機や携帯端末を利用して表示される情報を確認するユーザにとっては、車両データの出所が認識(区別)可能に明示されておらず、例えば、上述のように携帯電話機や携帯端末に提供される車両データが、車両から直接的に出力された車両データすなわちリアルタイムの生データなのか、更新可能にバックアップデータとして記憶しているセンタから間接的に出力された車両データすなわち過去のデータなのかを認識することが極めて困難となる。その結果、ユーザは、提供された車両データに基づいて表示される情報の新しさに依存して変化する信頼性を判断することが難しくなり、車両の状態を適切に把握できない可能性がある。
【0007】
本発明は、上記した問題に対処するためになされたものであり、その目的の一つは、所有する情報端末に表示される車両情報に関連する車両データの出所を容易に把握できる車両表示装置を提供することにある。
【0008】
上記目的を達成するための本発明による車両情報表示装置は、車両から独立してユーザが所有する情報端末を用いて車両に関する各種の車両情報を表示するものである。そして、本発明による車両情報表示装置の特徴は、前記情報端末が、前記車両の状態を表す各種の車両データの出所(由来)に応じて車両情報を第1の表示態様又は第2の表示態様により表示することにある。
【0009】
すなわち、前記第1の表示態様は、前記情報端末が、前記車両から直接的に取得した前記車両の状態を表す各種の車両データに基づく車両情報を表示するときの表示態様である。又、前記第2の表示態様は、前記第1の表示態様と異なり、前記車両の外部から間接的に取得した前記各種の車両データに基づく車両情報を表示するときの表示態様である。ここで、表示態様としては、車両情報を表示する際の表示色や背景色を設定することや、車両情報を表示する際に情報端末が備える各種機能を連動させることが含まれ、これら色の設定や連動する機能を異ならせることによって第1の表示態様と第2の表示態様とを識別(区別)することができる。
【0010】
この場合、より具体的に、前記情報端末が前記車両に搭載された近距離通信手段と近距離通信することによって前記各種の車両データを直接的に取得可能に構成されていれば、前記近距離通信手段との間で近距離通信可能な状態であるときには、前記第1の表示態様によって前記車両から直接的に取得した前記各種の車両データに基づく前記車両情報を表示し、前記近距離通信手段との間で近距離通信可能な状態にないときには、前記第2の表示態様によって前記車両の外部から間接的に取得した前記各種の車両データに基づく前記車両情報を表示することができる。
【0011】
そして、これらの場合、前記情報端末が間接的に取得する前記各種の車両データは、例えば、前記車両の外部に設けられて、前記車両からの前記各種の車両データをバックアップデータとして更新可能に記憶するセンタから提供されるものであり、この場合には、前記情報端末が、前記センタに設けられた通信手段と通信することによって、前記センタにバックアップデータとして記憶された前記各種の車両データを間接的に取得することができる。ここで、この場合においては、前記情報端末は、例えば、前記車両に搭載された近距離通信手段との間で近距離通信可能な状態であるときに取得した前記各種の車両データを、前記センタに設けられた前記通信手段と通信することによって前記センタに出力することができる。
【0012】
そして、これらの場合において、前記車両が、車両外から充電可能なバッテリの電力を利用して走行可能に構成されていれば、前記情報端末が、例えば、前記直接的又は間接的に取得した前記各種の車両データに含まれる前記バッテリの充電状態を表すデータに基づいて、少なくとも、前記バッテリの充電量、前記バッテリの充電要否及び前記バッテリの電力を利用した走行可能距離からなる前記車両情報を前記第1の表示態様又は前記第2の表示態様により表示することができる。
【0013】
これらによれば、車両と情報端末とが、例えば、近距離通信可能であるときには、情報端末は、車両から直接的に各種の車両データ(バッテリの充電状態を表すデータ)を取得して、第1の表示態様によって車両情報を表示することができる。すなわち、第1の表示態様によって表示される車両情報は、車両から直接的に(リアルタイムに)取得した新しい車両データに基づく新しい車両情報である。一方、車両と情報端末とが近距離通信不能であるときには、情報端末は、車両の外部(具体的には外部に設けられたセンタ)にバックアップデータとして記憶されている各種の車両データ(バッテリの充電状態を表すデータ)を取得して、第2の表示態様によって車両情報を表示することができる。すなわち、第2の表示態様によって表示される車両情報は、車両の外部(センタ)を介して間接的に取得した過去の古い車両データに基づく古い車両情報である。
【0014】
これにより、ユーザは、情報端末に表示された車両情報が、第1の表示態様であるか、或いは、第2の表示態様であるかを認識(区別)することにより、車両データの出所(由来)を把握して、リアルタイムの車両データ(生データ)に基づく新しい車両情報であるか、過去にバックアップされた車両データに基づく古い車両情報であるかを容易に判別することができる。従って、ユーザは、情報端末によって表示(提示)された車両情報の信頼性を精度よく判断することができて、判断した信頼性に応じて適切に対応することができる。例えば、バッテリの充電量、バッテリの充電要否及びバッテリの電力を利用した走行可能距離からなる車両情報が提示される状況において、ユーザは、車両情報が第1の表示態様によって表示されていれば信頼性の高い車両情報であると判断してバッテリを充電したり、第2の表示態様によって表示されていれば信頼性に劣る車両情報であると判断して参考情報として扱ったりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る車両情報表示装置を備えた車両の情報表示システムの概略図である。
【図2】図1の携帯情報端末の主制御部によって実行される車両情報表示プログラムをフローチャートである。
【図3】図1の携帯情報端末が車両から直接的に取得した車両データ(SOCデータ)に基づく車両情報(充電情報)を表示する第1の表示態様を説明するための概略図である。
【図4】図1の携帯情報端末が車両情報センタから間接的に取得した車両データ(SOCデータ)に基づく車両情報(充電情報)を表示する第2の表示態様を説明するための概略図である。
【図5】本発明の変形例に係り、車両データの出所(由来)を表示する場合を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る車両情報表示装置について図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る車両情報表示装置を有する車両の情報表示システムを概略的に示した概略ブロック図である。
【0017】
まず、車両の情報表示システムについて説明する。車両の情報表示システムは、車両100と、車両情報センタ200と、車両100から独立した通信端末として車両100のユーザが所有する携帯情報端末300とを、通信事業者が提供する外部通信回線網400(例えば、インターネット網や専用回線網等)を介して有機的に結び付けて、ユーザに対して携帯情報端末300を利用して車両の各種情報を取得し表示できるようにしたものである。尚、以下の説明においては、本実施形態における情報表示システムに適用される車両100として、バッテリの電力で走行用モータを駆動する電気自動車、或いは、走行用モータと内燃機関とを備えてバッテリを充電器により充電可能なプラグイン式ハイブリッド車等が採用されるものとする。しかし、情報表示システムに適用される車両100として、走行用モータを備えずに内燃機関により走行する従来からの車両を適用可能であることは言うまでもなく、駆動形式を問うものではない。
【0018】
車両100には、例えば、走行状態等を制御する複数の電子制御装置110(以下、車両ECU110と称呼する。)が設けられている。各車両ECU110は、CAN(Controller Area Network)通信システムのCAN通信ライン120に接続され、このCAN通信ライン120を経由して各種の信号を互いに入出力できるようになっている。そして、各車両ECU110は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするものであり、不揮発性メモリ、入出力インターフェース及びセンサ信号を入力して各種のアクチュエータを駆動する駆動回路等を備えている。
【0019】
ここで、CAN通信ライン120に接続される複数の車両ECU110のうちの1つとして、後述するように車両100に関する各種の車両データ(例えば、バッテリの充電状態を表すSOC(State Of Charge)等)を収集して取得し、携帯情報端末300に対して転送する情報転送ECU110aが設けられる。尚、携帯情報端末300は、情報転送ECU110aから転送された車両データについて、後述するように、ユーザに対して表示するとともに転送された車両データをバックアップしておくために車両情報センタ200に送信するようになっている。
【0020】
又、CAN通信ライン120には、携帯情報端末300との近距離通信を実現する近距離通信手段としての近距離通信制御装置130が接続されている。尚、本実施形態においては、この近距離通信制御装置130の通信方式として、後述するように、Bluetooth(登録商標)を採用して実施するが、その他の通信方式として、例えば、Wi-Fi(登録商標)やクレードルを利用する有線通信等の他の近距離通信方式を採用して実施可能であることは言うまでもない。尚、本実施形態においては、情報転送ECU110aと近距離通信制御装置130とを別体として実施するが、情報転送ECU110aと近距離通信制御装置130とを一体的に構成して実施可能であることは言うまでもない。
【0021】
車両情報センタ200は、車両100から携帯情報端末300を介して各種の車両データを取得するとともに、バックアップデータとして記憶した各種の車両データを携帯情報端末300を介して車両100のユーザに提供する施設である。車両情報センタ200には、マイクロコンピュータを主要構成部品とするサーバ210が設けられる。サーバ210は、外部通信回線網400と接続して通信を制御する通信制御部211と、車両データをバックアップデータとして管理する車両データサーバ212と、車両のユーザ情報を管理するユーザ情報サーバ213と、車両データのデータベースを記憶する車両データ記憶部214と、ユーザ情報のデータベースを記憶するユーザ情報記憶部215とを備えている。サーバ210は、車両100を特定するID(登録番号や車台番号に相当する情報)とユーザを特定するID(ユーザ名、携帯情報端末300の電話番号、メールアドレス等)とを互いに関連させる関連情報を記憶しており、何れか一方のIDを特定することで、他方のIDで特定される情報を抽出することができるように構成されている。
【0022】
ユーザが所有する車両情報表示装置としての携帯情報端末300は、外部通信回線網400に接続するための通信インターフェースである外部通信制御部301と、Bluetooth(登録商標)を用いた近距離通信(より詳しくは、近距離無線通信)を実現するための通信インターフェースである近距離通信制御部302と、GPS衛星からの電波に基づいて携帯情報端末300の現在位置座標を検出するGPSユニット303と、表示器と操作器とを兼用したタッチパネル式液晶ディスプレイ304と、マイクロコンピュータを主要構成部品として通信制御、表示制御及び各種のアプリケーションを実行する主制御部305と、アプリケーションプログラム等の各種のデータを記憶する不揮発性メモリ306とを備えている。ここで、携帯情報端末300としては、具体的に、スマートフォン等の携帯電話やタブレット型の情報端末等を採用することができる。
【0023】
次に、上記のように構成される車両の情報表示システムに適用される車両情報表示装置を説明する。本実施形態における車両情報表示装置は、車両100と携帯情報端末300とが近距離無線通信し、携帯情報端末300と車両情報センタ200とが外部通信回線網400を介して長距離通信することにより実現されるものである。具体的には、車両100側である情報転送ECU100aは、車両100に設けられた複数の車両ECU110から出力される各種の車両データ(例えば、バッテリのSOCを表すSOCデータ等)を取得し、この取得した各種の車両データを不揮発性メモリの所定記憶位置に順次検索可能に記憶する。そして、情報転送ECU110aは、近距離通信制御装置130を利用して、記憶した各種の車両データを予め登録されている携帯情報端末300に対して転送する。
【0024】
ここで、本実施形態における携帯情報端末300の登録について説明しておく。本実施形態においては、上述したように、車両100に設けられた近距離通信制御装置130と携帯情報端末300とがBluetooth(登録商標)を利用して近距離無線通信可能に接続される。このように、Bluetooth(登録商標)を利用して通信する場合には、近距離通信制御装置130と携帯情報端末300との間でペアリング処理を実施することにより、近距離通信制御装置130に接続先の相手として携帯情報端末300を登録することができる。尚、Bluetooth(登録商標)を利用して通信するためのペアリング処理自体については、本発明に直接関係しないため、以下の簡単に説明しておく。
【0025】
Bluetooth(登録商標)を使用するときには、接続先の相手を特定(登録)するためのペアリング処理が必要となる。例示的に、一般的な手順に従って、近距離通信制御装置130と携帯情報端末300とをペアリング処理する場合、言い換えれば、携帯情報端末300を近距離通信制御装置130の接続先として登録処理する場合を想定すると、車両100のユーザ(運転者)が所定の登録要求操作を行うと、情報転送ECU110aは、周囲に存在している携帯情報端末300から探索可能となるように、近距離通信制御装置130を探索可能状態に設定する。一方、車両100のユーザは、前記所定の登録要求操作後、携帯情報端末300において、主制御部305を介して近距離通信制御装置130を探索するように近距離通信制御部302を探索状態に設定する。このようにすることにより、携帯情報端末300は、近距離通信制御装置130を含む周囲の近距離通信機器を探索し、探索結果の一覧をタッチパネル式ディスプレイ304に表示する。尚、近距離通信機器にはそれぞれ固有の機器アドレスが割り当てられており、探索結果の一覧には、探索された機器の機器アドレス又は任意に決められた機器名称が表示される。
【0026】
次に、ユーザによって探索結果の一覧から所望の接続相手、すなわち、近距離通信制御装置130が選択されると、携帯情報端末300と近距離通信制御装置130との間で、リンクキーの生成が行われ、このリンクキーと相手の機器アドレスとを双方で(具体的には、車両100と携帯情報端末300)記憶することにより、ペアリング処理が完了する。一方、近距離通信機器の仕様によっては、ユーザが選択した際にパスキー(PINコード)の入力が必要な場合もあり、正しいパスキーを入力することによって、上記リンクキーの生成が行われる。
【0027】
このように、車両100(より詳しくは、近距離通信制御装置130)と携帯情報端末300との間でお互いに機器アドレスとリンクキーを共有することによって、Bluetooth(登録商標)通信を利用するためのペアリング処理が完了した状態であれば、ユーザ(運転者)が携帯情報端末300を所持して車両100に乗車し、或いは、車両100の周囲近傍に位置し、図示を省略するイグニッションスイッチを操作すると、自動的に接続が確立される。又は、ユーザ(運転者)が携帯情報端末300を所持して車両100に乗車し、所定の接続操作をすると、接続が確立される。尚、このように近距離通信制御装置130と携帯情報端末300との間で接続(ペアリング)が確立されると、例えば、図示省略のメータクラスタ内に設けられたインジケータが点灯し、ユーザ(運転者)に対して接続が確立していることを報知できるようになっている。
【0028】
そして、上記のように車両100側の近距離通信制御装置130に接続先として登録されている限り、携帯情報端末300においては、主制御部305が車両100側の情報転送ECU110aから転送された各種の車両データ(例えば、SOCデータ等)を取得して不揮発性メモリ306に一時的に記憶する。そして、主制御部305は、近距離通信制御部302を利用して車両100側の近距離通信制御装置130と近距離無線通信が確立されているときは、一時的に記憶した各種の車両データに基づく車両情報を後述する表示態様によりタッチパネル式ディスプレイ304に表示してユーザ(運転者)に提示する。一方で、主制御部305は、一時的に不揮発性メモリ306に記憶した各種の車両データ(例えば、SOCデータ等)を、外部通信制御部301及び外部通信回線網400を介して、車両情報センタ200に送信する。そして、車両情報センタ200は、携帯情報端末300が近距離通信制御部302を利用して車両100側の近距離通信制御装置130と近距離無線通信が確立されていないときに、バックアップデータとして記憶した各種の車両データ(例えば、SOCデータ等)を、通信制御部211及び外部通信回線網400を介して、携帯情報端末300に送信する。
【0029】
このような車両情報表示装置を実現するために、車両100のユーザ(運転者)が所有する携帯情報端末300の主制御部305は、図2に示す車両情報表示プログラムを繰り返し実行する。以下、この車両情報表示プログラムを詳細に説明する。
【0030】
主制御部305(より詳しくは、CPU)は、図2に示す車両情報表示プログラムの実行をステップS10にて開始し、ステップS11に進む。ステップS11においては、主制御部305は、現在、近距離通信制御部302を利用して車両100側の近距離通信制御装置130と近距離無線通信が確立できているか否かを判定する。具体的に説明すると、主制御部305は、ユーザ(運転者)が車両100に乗車している、或いは、車両100の周囲に位置しており、近距離通信制御部302が車両100側の近距離通信制御装置130との間で確立した接続によって情報転送ECU110aから直接的に各種の車両データ(例えば、SOCデータ等)を取得可能であるときには、「Yes」と判定してステップS12に進む。一方、ユーザ(運転者)が車両100から離れており、近距離通信制御部302が車両100側の近距離通信装置130との間の接続を確立することができずに情報転送ECU110aから直接的に各種の車両データ(例えば、SOCデータ等)を取得できないときには、「No」と判定してステップS13に進む。
【0031】
ステップS12においては、主制御部305は、近距離通信部302を利用して、直接的に車両100の情報転送ECU110aから取得した各種の車両データとしてのSOCデータを不揮発性メモリ306の所定記憶位置に記憶する。続いて、主制御部305は、取得したSOCデータに基づき、車両情報として車両100に搭載されたバッテリの充電量、充電量に応じた充電の要否及びバッテリの電力を利用した走行可能距離等を算出する。そして、主制御部305は、算出した充電量、充電要否及び走行可能距離をタッチパネル式ディスプレイ304に表示するにあたり、表示する車両情報が車両100から直接的に(言い換えれば、リアルタイムに)得られたSOCデータに基づくものであることをユーザ(運転者)が容易に把握できる第1の表示態様によって表示する。
【0032】
具体的に第1の表示態様においては、例えば、図3に示すように、表示されている車両情報(充電情報)が現時点におけるSOCデータに基づいて更新されたものであることを車両データ更新情報によって明示することができる。この場合、車両データ更新情報を車両100から近距離無線通信によって直接的に取得したSOCデータに基づくものである、言い換えれば、第1の表示態様であることを示すために予め設定された表示色により示すことができる。
【0033】
又、図3に示すように、この第1の表示態様においては、タッチパネル式ディスプレイ304における背景色を予め設定された背景色に変更して示したり、ユーザ(運転者)に対して提示する車両情報である図形(図3においては模式的な電池の図によって示される充電量)の表示色を予め設定された表示色に変更して示したり、或いは、車両情報である充電要否及び走行可能距離等の表示色を予め設定された色に変更して示すことができる。
【0034】
すなわち、これらの場合には、ダッチパネル式ディスプレイ304に車両情報として表示される充電量、充電要否及び走行可能距離は、車両100から近距離無線通信によって直接的に取得したSOCデータに基づくものであることを示す第1の表示態様に対応して予め設定された表示色に変更されて表示される。
【0035】
又、第1の表示態様によって車両情報(充電情報)を表示するときには、携帯情報端末300に設けられた各種ライト類の光の明滅パターンや明滅色を、例えば、速い明滅に変更して示すことができる。すなわち、ダッチパネル式ディスプレイ304に車両情報として表示される充電量、充電要否及び走行可能距離は、明滅する各種ライト類が第1の表示態様に対応して予め設定された明滅パターンや明滅色、明滅周期に変更された状態で表示される。
【0036】
更に、第1の表示態様によって車両情報(充電情報)を表示するときには、携帯情報端末300の振動(バイブレーション)の振動周期やリズム、強弱を、例えば、速い周期やリズム、強い振動に変更した状態示すことができる。或いは、第1の表示態様によって車両情報(充電情報)を表示するときには、携帯情報端末300から発せられる音を予め設定された音に変更した状態示すことができる。すなわち、ダッチパネル式ディスプレイ304に車両情報として表示される充電量、充電要否及び走行可能距離は、発せられる音が第1の表示態様に対応して予め設定された音に変更された状態で表示される。
【0037】
そして、主制御部305は、第1の表示態様によってタッチパネル式ディスプレイ304に車両情報(充電情報)を表示してユーザ(運転者)に提示すると、ステップS14に進んで車両情報表示プログラムの実行を一旦終了する。そして、主制御部305は、所定の短い時間の経過後、再び、ステップS10にて同プログラムの実行を開始する。
【0038】
ステップS13においては、主制御部305は、車両100の情報転送ECU110aから近距離無線通信によって各種の車両データを取得することが不能であるため、外部通信制御部301及び外部通信回線網400を利用して、車両情報センタ200から車両データサーバ212が車両データ記憶部214に記憶して管理しているバックアップデータによって表されるSOCデータを取得し、この取得したSOCデータを不揮発性メモリ306の所定記憶位置に記憶する。続いて、主制御部305は、取得したSOCデータに基づき、バックアップデータとして車両情報センタ200に記憶(登録)された時点における車両100に搭載されたバッテリの充電量、充電量に応じた充電の要否及びバッテリの電力を利用した走行可能距離等を算出する。そして、主制御部305は、算出した充電量、充電要否及び走行可能距離をタッチパネル式ディスプレイ304に表示するにあたり、車両情報管理センタ200から間接的に得られたバックアップされたSOCデータ(言い換えれば、過去のSOCデータ)に基づくものであることをユーザ(運転者)が容易に把握できる第2の表示態様によって表示する。
【0039】
具体的に、例えば、図4に示すように、表示されている車両情報がバックアップされた時点におけるSOCデータに基づいて更新されたものであることを車両データ更新情報によって明示することができる。この場合、車両データ更新情報を車両情報センタ200から長距離通信によって間接的に取得したSOCデータに基づくものである、言い換えれば、第2の表示態様であることを示すために予め設定された表示色により示すことができる。又、図4に示すように、ダッチパネル式ディスプレイ304に車両情報として表示される充電量、充電要否及び走行可能距離の第2の表示態様による表示色及び背景色に関しては、車両情報センタ200から長距離通信によって間接的に取得したSOCデータに基づくものであることを示すために、第1の表示態様と異なるように予め設定された色に変更される。
【0040】
又、ダッチパネル式ディスプレイ304に車両情報として充電量、充電要否及び走行可能距離を第2の表示態様により表示する際における各種ライト類の明滅パターンや明滅色、明滅周期に関しても、第1の表示態様と異なるように予め設定された明滅パターンや明滅色、明滅周期に変更される。更に、ダッチパネル式ディスプレイ304に車両情報として充電量、充電要否及び走行可能距離を第2の表示態様により表示する際における振動や音に関しても、第1の表示態様と異なるように予め設定された振動や音に変更して表示することができる。
【0041】
そして、主制御部305は、第2の表示態様によってタッチパネル式ディスプレイ304に車両情報(充電情報)を表示してユーザ(運転者)に提示すると、ステップS14に進んで車両情報表示プログラムの実行を一旦終了する。そして、主制御部305は、所定の短い時間の経過後、再び、ステップS10にて同プログラムの実行を開始する。
【0042】
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、車両100(より詳しくは、近距離通信制御装置130)と携帯情報端末300(より詳しくは、近距離通信制御部302)とが近距離通信可能であるときには、主制御部305は、車両100側の情報転送ECU110aから直接的に車両データ(SOCデータ)を取得して、第1の表示態様によって車両情報(充電情報)を表示することができる。すなわち、第1の表示態様によって表示される車両情報(充電情報)は、直接的に(リアルタイムに)取得した新しい車両データ(SOCデータ)に基づく新しい車両情報である。一方、車両100(より詳しくは、近距離通信制御装置130)と携帯情報端末300(より詳しくは、近距離通信制御部302)とが近距離通信不能であるときには、主制御部305は、車両情報センタ200にバックアップデータとして記憶されている車両データ(SOCデータ)を取得して、第2の表示態様によって車両情報(充電情報)を表示することができる。すなわち、第2の表示態様によって表示される車両情報(充電情報)は、車両情報センタ200を介して間接的に取得した過去の古い車両データ(SOCデータ)に基づく古い車両情報である。
【0043】
これにより、ユーザ(運転者)は、タッチパネル式ディスプレイ304に表示された車両情報(充電情報)が、第1の表示態様であるか、或いは、第2の表示態様であるかを認識(区別)することにより、リアルタイムの車両データ(生データ)に基づく新しい車両情報(充電情報)であるか、過去にバックアップされた車両データ(バックアップデータ)に基づく古い車両情報(充電情報)であるかを容易に判別することができる。従って、ユーザ(運転者)は、携帯情報端末300によって表示(提示)された車両情報の信頼性を精度よく判断することができて、判断した信頼性に応じて適切に対応することができる。例えば、ユーザ(運転者)は、第1の表示態様によって表示された信頼性の高い車両情報(充電情報)に従って、バッテリを充電したり、第2の表示態様によって表示された信頼性に劣る車両情報(充電情報)を参考情報として扱ったりすることができる。
【0044】
上記実施形態においては、現時点又はバックアップされた時点における車両データ(SOCデータ)、言い換えれば、車両100側から直接的に取得した車両データ(SOCデータ)又は車両情報センタ200から間接的に取得した車両データ(SOCデータ)に基づいて更新されたものであることを表す第1の表示態様又は第2の表示態様によって、ユーザ(運転者)に車両情報(充電情報)を表示して提示するように実施した。この場合、図5に示すように、例えば、ユーザ(運転者)がタッチパネル式ディスプレイ304に表示された情報表示部分、具体的には、車両データ更新情報部分をタッチ操作(タップ操作)したときに、車両データ(SOCデータ)が車両100側から直接的に取得されたものか、或いは、車両情報センタ200から間接的に取得されたものかといった、車両データの出所(由来)を表す情報を表示するように実施することも可能である。
【0045】
このように、車両データの出所(由来)を表す情報を表示して提示することにより、ユーザ(運転者)はタッチパネル式ディスプレイ304に表示されている車両情報(充電情報)の信頼性を容易に判断することができる。従って、この変形例においても、上記実施形態と同様に、ユーザ(運転者)は、必要なときに各種の車両データの出所(由来)を確認することができて表示されている車両情報の信頼性を容易に把握することができるとともに、ユーザ(運転者)が第1の表示態様及び第2の表示態様に応じて変更される表示色等を常に覚えておく必要がなく、好適である。
【0046】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0047】
例えば、上記実施形態及び変形例においては、表示されている車両情報(充電情報)が現時点における車両データ(SOCデータ)又はバックアップされた時点における車両データ(SOCデータ)に基づいて更新されたものであることを明示するために、図3〜図5に示したように、文字による車両データ更新情報の表示色等を異ならせるように実施した。この場合、よりユーザ(運転者)による視認性を良好とするために、例えば、車両100や車両情報センタ200を表す図柄(図形)を車両データ更新情報に代えて又は加えて表示するように実施することも可能である。この場合においても、上記実施形態及び変形例と同様の効果が得られる。
【0048】
又、上記実施形態及び変形例においては、携帯情報端末300の主制御部305は、車両情報表示プログラムにおけるステップS11にて、車両100側の近距離通信制御装置130と携帯情報端末300側の近距離通信制御部302との間で近距離無線通信が確立できているか否かを判定するように実施した。この場合、主制御部305が、例えば、携帯情報端末300のGPSユニット303によって検出された端末300の現在位置と車両100の現在位置とに基づき、車両100と携帯情報端末300との間の距離を算出し、この算出した距離が近距離通信可能な距離であるか否かを判定するように実施することも可能である。この場合には、主制御部305は、算出した距離が近距離通信可能な距離であればステップS12にて第1の表示態様によって車両情報(充電情報)を表示し、算出した距離が近距離通信不能な距離であればステップS13にて第2の表示態様によって車両情報(充電情報)を表示することができる。従って、この場合においても、上記実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0049】
尚、この場合においては、携帯情報端末300の主制御部305が車両100側の近距離通信制御装置130と携帯情報端末300側の近距離通信制御部302との間で近距離無線通信が確立できているか否かを判定したり、車両100と携帯情報端末300との間の距離を算出し、この算出した距離が近距離通信可能な距離であるか否かを判定したりすることに代えて、例えば、車両100側の情報転送ECU110aが上記判定処理を実行する、或いは、車両情報センタ200のサーバ210が上記判定処理を実行するように実施することも可能である。この場合においても、上記実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0050】
更に、上記実施形態及び変形例においては、車両の外部に設けられた車両情報センタ200が車両データをバックアップデータとして記憶するように実施した。この場合、携帯情報端末300が、例えば、不揮発性メモリ306に車両データをバックアップデータとして記憶しておき、車両100側との近距離通信が不能であるときに不揮発性メモリ306に記憶している車両データに基づいて第2の表示態様によって車両情報(充電情報)を表示して提示するように実施することも可能である。この場合においても、上記実施形態及び変形例と同様の効果が期待できる。尚、この場合においては、車両100から直接的に取得した車両データ、車両情報センタ200から間接的に取得したバックアップされた車両データ及び不揮発性メモリ306にバックアップデータとして記憶した車両データをそれぞれ区別するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
100…車両、110…電子制御装置(車両ECU)、110a…情報転送ECU、120…CAN通信ライン、130…近距離通信制御装置、200…車両情報センタ、210…サーバ、211…通信制御部、212…車両データサーバ、213…ユーザ情報サーバ、214…車両データ記憶部、215…ユーザ情報記憶部、300…携帯情報端末、301…外部通信制御部、302…近距離通信制御部、303…GPSユニット、304…タッチパネル式液晶ディスプレイ、305…主制御部、306…不揮発性メモリ、400…外部通信回線網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両から独立してユーザが所有する情報端末を用いて車両に関する各種の車両情報を表示する車両情報表示装置において、
前記情報端末は、
前記車両から直接的に取得した前記車両の状態を表す各種の車両データに基づく車両情報を第1の表示態様により表示し、
前記車両の外部から間接的に取得した前記各種の車両データに基づく車両情報を前記第1の表示態様と異なる第2の表示態様により表示することを特徴とする車両情報表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載した車両情報表示装置において、
前記情報端末は、
前記車両に搭載された近距離通信手段と近距離通信することによって前記各種の車両データを直接的に取得可能に構成されており、
前記近距離通信手段との間で近距離通信可能な状態であるときには、前記第1の表示態様によって前記車両から直接的に取得した前記各種の車両データに基づく前記車両情報を表示し、
前記近距離通信手段との間で近距離通信可能な状態にないときには、前記第2の表示態様によって前記車両の外部から間接的に取得した前記各種の車両データに基づく前記車両情報を表示することを特徴とする車両情報表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した車両情報表示装置において、
前記情報端末が間接的に取得する前記各種の車両データは、
前記車両の外部に設けられて、前記車両からの前記各種の車両データをバックアップデータとして更新可能に記憶するセンタから提供されるものであり、
前記情報端末は、
前記センタに設けられた通信手段と通信することによって、前記センタにバックアップデータとして記憶された前記各種の車両データを取得することを特徴とする車両情報表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載した車両情報表示装置において、
前記情報端末は、
前記車両に搭載された近距離通信手段との間で近距離通信可能な状態であるときに取得した前記各種の車両データを、前記センタに設けられた前記通信手段と通信することによって前記センタに出力することを特徴とする車両情報表示装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一つに記載した車両情報表示装置において、
前記車両は、車両外から充電可能なバッテリの電力を利用して走行可能に構成されており、
前記情報端末は、
前記直接的又は間接的に取得した前記各種の車両データに含まれる前記バッテリの充電状態を表すデータに基づいて、少なくとも、前記車両情報として前記バッテリの充電量、前記バッテリの充電要否及び前記バッテリの電力を利用した走行可能距離を前記第1の表示態様又は前記第2の表示態様により表示することを特徴とする車両情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−115451(P2013−115451A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256935(P2011−256935)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】