車両搭載型クレーン装置
【課題】選択されている動力源をクレーン装置から離れた場所で確認可能とすることで、作業効率を向上させることのできる車両搭載型クレーン装置を提供する。
【解決手段】遠隔操作コントローラ130は、コントローラ90から送信された動力源に関するデータを受信し、受信したデータを表示部150に表示するようにしている。これにより、クレーン装置から離れた位置で使用者がいずれの動力源が選択されているかを確認することができるので、動力源の確認のための使用者の移動を無くすことができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【解決手段】遠隔操作コントローラ130は、コントローラ90から送信された動力源に関するデータを受信し、受信したデータを表示部150に表示するようにしている。これにより、クレーン装置から離れた位置で使用者がいずれの動力源が選択されているかを確認することができるので、動力源の確認のための使用者の移動を無くすことができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、エンジンの動力またはバッテリの電力によってクレーン装置を駆動可能な複数の動力源を有する車両搭載型クレーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両搭載型クレーン装置としては、エンジンの動力によって駆動するクレーン装置と、クレーン装置を遠隔操作する遠隔操作装置と、を備えたものが知られている(例えば、引用文献1参照)。
【0003】
近年、車両搭載型クレーン装置では、環境問題や騒音への対策として、エンジンの動力の他にバッテリの電力によってクレーン装置を駆動可能としたものが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−63078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような複数の動力源を備えた車両搭載型クレーン装置では、クレーン装置から離れた位置で遠隔操作装置によって作業を行っていると、いずれの動力源が選択されているかを使用者が把握することができない。このため、使用者は、選択されている動力源を確認するためにクレーン装置の設置場所まで移動して確認しなければならず、作業効率を向上させることができない。
【0006】
本発明の目的とするところは、選択されている動力源をクレーン装置から離れた場所で確認可能とすることで、作業効率を向上させることのできる車両搭載型クレーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、互いに異なる少なくとも2つの動力源から1つの動力源を選択可能とし、選択した動力源の動力によって駆動可能なクレーン装置と、クレーン装置を遠隔操作する遠隔操作装置と、を備えた車両搭載型クレーン装置において、選択されている動力源を検出する動力源検出手段と、動力源検出手段によって検出された動力源に関するデータを送信する送信手段と、を備え、遠隔操作装置には、送信手段によって送信された動力源に関するデータを受信する受信部と、受信部が受信した動力源のデータを表示する表示部が設けられている。
【0008】
これにより、選択されている動力源が遠隔操作装置の表示部に表示されることから、クレーン装置から離れた位置で使用者がいずれの動力源が選択されているかを確認可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、クレーン装置から離れた位置で使用者がいずれの動力源が選択されているかを確認することができるので、動力源の確認のための使用者の移動を無くすことができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示すクレーン装置を搭載した車両の斜視図である。
【図2】クレーン装置の正面図である。
【図3】油圧供給装置の概略構成図である。
【図4】遠隔操作装置の斜視図である。
【図5】データ送信処理を示すフローチャートである。
【図6】データ表示処理を示すフローチャートである。
【図7】表示部に表示する各表示の表示態様と表示する条件を示す表である。
【図8】動力源としてエンジンが選択されている作業時の表示部を示す図である。
【図9】動力源としてバッテリが選択されている作業時の表示部を示す図である。
【図10】動力源としてエンジンが選択されている操作設定時の表示部を示す図である。
【図11】動力源としてエンジンが選択されている操作設定時の表示部を示す図である。
【図12】動力源としてバッテリが選択されている操作設定時の表示部を示す図である。
【図13】動力源としてバッテリが選択されている操作設定時の表示部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図13は、本発明の一実施形態を示すものである。
【0012】
本発明のクレーン装置10は、図1に示すように、車両1に搭載されるものである。
【0013】
車両1は、シャシフレーム2の前側に設けられたキャブ3と、シャシフレーム2の後側に設けられた荷台4と、を備えており、キャブ3と荷台4との間のシャシフレーム2にクレーン装置10が搭載されている。
【0014】
クレーン装置10は、シャシフレーム2上に固定される基台20と、基台20の左右両側に設けられたアウトリガ30と、基台20の上面に旋回自在に設けられた旋回台40と、旋回台40に対して起伏自在に設けられたブーム50と、ブーム50の先端側から垂下されるワイヤロープ60と、ワイヤロープ60の巻き込みまたは繰り出しを行うためのウインチ70と、を備えている。
【0015】
各アウトリガ30は、基台20に対して幅方向外側に移動可能に設けられるとともに、油圧式のジャッキシリンダ31によって下方に伸長可能である。アウトリガ30は、下端を接地させることにより車両1を地面に対して安定的に支持する。
【0016】
旋回台40は、ボールベアリング式やローラーベアリング式の旋回サークル(図示せず)によって基台20に対して旋回自在に設けられ、油圧式の旋回モータ41によって旋回するように構成されている。また、旋回台40の上面には、上下方向に延びる旋回ポスト42が設けられ、旋回ポスト42の上端側にブーム50が起伏自在に連結されている。
【0017】
ブーム50は、複数のブーム部材51〜54からなり、ブーム部材の内部に先端側に隣り合うブーム部材が収納可能な多段式に構成されている。最基端側のブーム部材51は、基端部が旋回ポスト42の上端側に上下方向に回転自在に連結されている。ブーム部材51の基端側と旋回台40との間には、油圧式の起伏シリンダ55が連結され、起伏シリンダ55の伸縮動作によってブーム50を起伏させる。また、最基端側のブーム部材51内には、油圧式の伸縮シリンダ56が設けられ、伸縮シリンダ56の伸縮によってブーム50を伸縮させる。
【0018】
ワイヤロープ60は、先端側にフックブロック61設けられ、フックブロック61がブーム50から垂下される。フックブロック61には吊荷を係止可能であり、フックブロック61に係止された吊荷がブーム50の先端から吊り下げられる。
【0019】
ウインチ70は、ワイヤロープ60が巻き掛けられるドラム71と、ドラム71を正逆回転させるための油圧式のウインチモータ72と、ウインチモータ72の回転数およびトルクを変換してドラム71に伝達する減速機73と、を有している。ドラム71は、旋回ポスト42内の上部側に設けられ、巻き掛けられたワイヤロープ60がブーム50に沿って延びるとともに、先端側がブーム50の先端側から垂下される。ウインチモータ72は、旋回ポスト42内のドラム71の下方に設けられている。さらに、減速機73は、旋回ポスト42の外側面のドラム71とウインチモータ72との間の高さ位置に設けられている。
【0020】
ウインチモータ72は、例えば、斜板式のアキシャルプランジャ油圧モータであり、斜板の角度を変更可能な可変容量形の油圧モータである。つまり、ウインチモータ72は、斜板の角度を変更することによって、所定の流量の作動油に対して回転数が可変である。ウインチモータ72は、斜板の角度を変更するための斜板角変更レバー72aを有し、斜板角変更レバー72aは回転数が低くなる方向に付勢されている。ウインチモータ72は、斜板角変更レバー72aを回転数が高くなる方向に最大限に操作したときに吊り上げ可能な吊荷の重さが、回転数が低くなる方向に最大限操作した場合の約60%となる。
【0021】
各ジャッキシリンダ31,31、旋回モータ41、起伏シリンダ55、伸縮シリンダ56およびウインチモータ72等のアクチュエータは、作動油が供給されることによって作動する。各アクチュエータを作動させる作動油は、図3に示す油圧供給装置80によって供給される。
【0022】
油圧供給装置80は、車両1走行用のエンジンEの動力を取り出すためのPTO(パワーテイクオフ)機構81と、PTO機構81によって取り出されたエンジンEの動力によって駆動する第1油圧ポンプ82と、電力を供給するためのバッテリ83と、バッテリ83の電力で駆動する電動モータ84と、電動モータ84の回転によって駆動する第2油圧ポンプ85と、第1油圧ポンプ82または第2油圧ポンプ85から吐出された作動油の各アクチュエータに対する供給や排出等の流れを制御するためのコントロールバルブユニット86と、を備え、これらは作動油回路87に接続されている。
【0023】
電動モータ84は、インバータを介してバッテリ83に接続されており、回転数が可変である。本実施形態では、使用者の操作によって回転数が「高速」、「中速」、「微速」の三段階に変更可能である。電動モータ84は回転数が大きくなるに従って消費電力量が大きくなるため、クレーン装置10における消費電力量は電動モータ84の回転数に依存して変化する。
【0024】
コントロールバルブユニット86は、各アクチュエータのそれぞれに対応する複数のコントロールバルブを有し、各コントロールバルブが図2に示す操作レバー86a,86b,86c,86dによって操作可能である。また、コントロールバルブユニット86を構成する各コントロールバルブは、ソレノイドからなる切換手段を有し、後述するコントローラからの信号によって操作される。
【0025】
作動油回路87には、第1油圧ポンプ82と第2油圧ポンプ85が互いに並列に接続され、第1油圧ポンプ82および第2油圧ポンプ85の吸入側が作動油タンク87aに接続されている。また、第1油圧ポンプ82および第2油圧ポンプ85の吐出側は、コントロールバルブユニット86のポンプ側のポートに接続されている。第1油圧ポンプ82および第2油圧ポンプ85のそれぞれの吐出側とコントロールバルブユニット86との間の作動油流路には、第1油圧ポンプ82および第2油圧ポンプ85の吐出側からの作動油の流入を規制するための逆止弁87bが設けられている。また、コントロールバルブユニット86には、各アクチュエータが接続されている。コントロールバルブユニット86の作動油タンク87a側のポートには、リターンフィルタ87cを介して作動油タンク87aが接続されている。
【0026】
また、作動油回路87には、ウインチモータ72の斜板角変更レバー72aを操作するための操作シリンダ88と、操作シリンダ88を駆動させるためのコントロールバルブ89が接続されている。操作シリンダ88は、作動油が供給されると伸長する単動シリンダからなり、斜板角変更レバー72aをウインチモータ72の回転数を速くする方向に操作可能である。コントロールバルブ89は、ソレノイドからなる切換手段を有し、後述するコントローラからの信号によって操作される。コントロールバルブ89は、作動油回路87と操作シリンダ88内を連通する流路と、作動油タンク87aと操作シリンダ88内を連通する流路と、を有し、作動油タンク87aと操作シリンダ88内を連通する流路側に付勢されている。
ウインチモータ72は、通常の状態で斜板角変更レバー72aが回転数「低速」に設定されており、切換手段であるソレノイドに通電すると、コントロールバルブ89が移動して作動油が操作シリンダ88内に流入し、斜板角変更レバー72aが回転数「高速」に切り換わる。また、ウインチモータ72は、斜板角変更レバー72aが回転数「高速」の状態で、切換手段であるソレノイドの通電を遮断すると、コントロールバルブ89が付勢力によって移動して作動油が操作シリンダ88から作動油タンク87aに流出し斜板角変更レバー72aが回転数「低速」に切り換わる。
【0027】
また、クレーン装置10は、図3に示すように、油圧供給装置80の操作に関する制御を行うためのコントローラ90と、油圧供給装置80を遠隔操作するための遠隔操作装置100と、を備えている。
【0028】
コントローラ90は、CPU、ROM、RAMを有している。コントローラ90は、入力側に接続された装置からの入力信号を受信すると、CPUが、入力信号に基づいてROMに記憶されたプログラムを読み出すとともに、入力信号によって検出された状態をRAMに記憶したり、出力側に接続された装置に出力信号を送信したりする。
【0029】
コントローラ90には、電動モータ84の回転数やウインチモータ72の設定速度を変更する操作等、油圧供給装置80の操作を行うための押しボタンやレバー等を有する操作入力部91と、吊荷の荷重、ブーム50の長さ寸法および起伏角度を検出して吊荷の定格荷重を算出し、吊荷の荷重が定格荷重を超える場合にクレーン装置10の動作を停止させる過負荷防止装置92と、遠隔操作装置100と無線通信を行うための無線通信部93と、PTO機構81、バッテリ83、電動モータ84、コントロールバルブユニット86,89、エンジンEが接続されている。
【0030】
遠隔操作装置100は、図4に示すように、使用者が手で把持するための把持部110と、把持部110の上部側に設けられた操作盤120とを備えている。
【0031】
操作盤120内には、図3に示すように、遠隔操作装置100によって油圧供給装置80の遠隔操作に関する制御を行うための遠隔操作コントローラ130と、無線通信部93を介してコントローラ90と無線通信を行うための無線通信部140と、が設けられている。
【0032】
また、操作盤120には、電源スイッチ121、旋回スイッチ122、起伏スイッチ123、ウインチスイッチ124および伸縮スイッチ125が設けられている。また、把持部110の背面側の上部には、トリガースイッチ126が設けられている。トリガースイッチ126は、上記各スイッチ121〜124の操作と同時に操作されるものであり、各操作時におけるクレーン装置10の動作速度を調整するために用いられる。
【0033】
さらに、操作盤120には、クレーン装置10や遠隔操作装置100に関する情報を表示するためのLCD等の画像表示装置からなる表示部150が設けられている。
【0034】
以上のように構成された車両搭載型クレーン装置において、コントローラ90は、図5に示すように、遠隔操作装置100の表示部150に表示するデータを遠隔操作装置100に送信するデータ送信処理を行う。
【0035】
(ステップS1)
ステップS1においてCPUは、遠隔操作装置100の電源スイッチ121がオンの状態であるか否かを判定する。電源スイッチ121がオンの状態であると判定した場合にはステップS2に処理を移し、電源スイッチ121がオンの状態と判定しなかった場合にはデータ送信処理を終了する。
【0036】
(ステップS2)
ステップS1において電源スイッチ121がオンの状態であると判定した場合に、ステップS2においてCPUは、表示部150に表示するデータを送信し、データ送信処理を終了する。
【0037】
また、遠隔操作コントローラ130は、図6に示すように、コントローラ90から送信されたデータを受信して表示部150に表示するデータ表示処理を行う。
【0038】
(ステップS11)
ステップS11においてCPUは、コントローラ90から送信されたデータを受信したか否かを判定する。データを受信した場合にはステップS12に処理を移し、データを受信したと判定しなかった場合にはデータ表示処理を終了する。
【0039】
(ステップS12)
ステップS11においてデータを受信したと判定した場合に、ステップS12においてCPUは、受信したデータを表示部150に表示してデータ表示処理を終了する。
【0040】
ここで、遠隔操作装置100の表示部150には、吊荷の実荷重や定格荷重等の情報以外に、図7の表に示すように、動力源、バッテリ残量、速度モード、アクセル規制機能、ウインチ速度、音量、バッテリ異常に関する情報が表示される。
【0041】
動力源の表示では、PTO機構81がオン、且つ、エンジンEが駆動している状態を検知すると、動力源がエンジンEである旨を表示する。また、操作入力部91に設けられた電動スイッチのオンの状態を検知すると、動力源がバッテリ83である旨を表示する。また、PTO機構81がオン、電動スイッチがオフ、且つエンジンEの停止を検知すると、動力源が設定されていない旨を表示する。
【0042】
バッテリ残量の表示では、バッテリ83の残量を検知して、10%単位の残量表示を行う。また、バッテリ83の残量が20%以下となる場合には、表示部150に表示されるバッテリ残量の数値を点滅表示させる。
【0043】
クレーン装置10の速度モードの表示では、エンジンE駆動の場合とバッテリ83駆動の場合とを分けて表示する。特に、バッテリ83駆動の場合には、電動モータ84の回転数が小さくなるに従い発生する音が小さくなるため、電動モータ84の回転数の代わりに静音性の程度を基準とした表示を行う。
【0044】
アクセル規制機能の表示では、動力源がエンジンEの場合に、アクセル規制を行っているか否かを表示する。
【0045】
ウインチ速度の表示では、動力源がバッテリ83の場合に、ウインチモータ72の速度の設定を表示する。
【0046】
音量の表示では、動力源がエンジンEの場合に4段階のいずれかに設定されているかを表示し、動力源がバッテリ83の場合に3段階のいずれかに設定されているかを表示する。
【0047】
バッテリ異常の表示では、動力源がバッテリ83の場合にバッテリ83の液面低下等の異常を検知すると、動力源の表示の「バッテリ」を点滅表示する。
【0048】
図7に記載の表示情報は、例えば、動力源がエンジンEに設定されている場合を示す図8や、動力源がバッテリ83に設定されている場合を示す図9のように、表示部150に表示される。
【0049】
また、遠隔操作装置100によってクレーン装置10の操作設定を行う場合に、表示部150に表示される設定画面は、動力源に応じた設定画面となる。表示部150には、例えば、動力源がエンジンEに設定されている場合を示す図10および図11や、動力源がバッテリ83に設定されている場合を示す図12および図13のように表示される。
【0050】
このように、本実施形態の車両搭載型クレーン装置によれば、遠隔操作装置100は、コントローラ90から送信された動力源に関するデータを受信し、受信したデータを表示部150に表示するようにしている。これにより、クレーン装置10から離れた位置で使用者がいずれの動力源が選択されているかを確認することができるので、動力源の確認のための使用者の移動を無くすことができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【0051】
また、バッテリ83の残量に関するデータを表示部150に表示するようにしている。これにより、バッテリ83の残量をクレーン装置10から離れた位置で確認することができるので、バッテリ切れによる作業の中断を防止することができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【0052】
また、クレーン装置10の動作速度に関するデータを表示部150に表示するようにしている。これにより、設定されているクレーン装置10の動作速度をクレーン装置10から離れた位置で確認しながら作業を行うことができるので、安全性の向上を図ることが可能となる。また、バッテリ83駆動の場合には、電動モータ84の回転数の代わりに静音性の程度を基準とした表示を行っているので、住宅街や夜間作業等、静音性が要求される作業場所において静音性を基準としたクレーン装置10の動作速度の選択が可能となる。
【0053】
また、ウインチモータ72の回転数の設定に関するデータを表示部150に表示するようにしている。これにより、設定されているクレーン装置10の動作速度をクレーン装置10から離れた位置で確認しながら作業を行うことができるので、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0054】
また、クレーン装置10を操作する際に出力される音声の音量に関するデータを表示部150に表示するようにしている。これにより、設定されている音量をクレーン装置10から離れた位置で確認することができるので、作業環境に応じて音声の音量を調整することが可能となる。
【0055】
また、バッテリ83の液面低下等の状態に関するデータを表示部150に表示するようにしている。これにより、バッテリ83の異常の発見が容易となるので、バッテリ83の異常に対する処置を適切に行うことが可能となる。
【0056】
また、選択された動力源のデータに応じた表示画面を表示部150に表示するようにしている。これにより、動力源によって異なる表示情報をそれぞれ表示部150に表示することできるので、より正確な操作設定を行うことができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【0057】
尚、前記実施形態では、エンジンEの動力およびバッテリ83の電力の2種類の動力源から1つを選択してクレーン装置10を駆動するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、3種類以上の動力源から1つの動力源を選択してクレーン装置10を駆動するようにしてもよい。また、例えば、最大トルクが異なる複数のエンジンEから1つのエンジンを選択するように、特性の異なる同一種類の動力源から1つの動力源を選択するようにしてもよい。
【0058】
また、前記実施形態では、PTO機構81がオン、且つ、エンジンEが駆動している状態を検知すると、動力源がエンジンEである旨を表示し、操作入力部91に設けられた電動スイッチのオンの状態を検知すると、動力源がバッテリ83である旨を表示している。動力源の各表示の条件は、前記実施形態に限られるものではなく、PTO機構81、エンジンEおよび電動スイッチの全ての状態または一部の状態を用いることが可能である。例えば、動力源がバッテリ83の表示は、PTO機構81のオフの状態とエンジンEの停止状態を条件としてもよい。
【0059】
また、前記実施形態では、表示部150をLCD等の画像表示装置から構成したものを示したが、これに限られるものではない。例えば、表示部150を複数のランプから構成し、例えば選択されている動力源に対応するランプを点灯させるようにしても前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、前記実施形態では、電動モータ84の回転数を3段階に切換えるようにしたものを示したがこれに限られるものではなく、2段階や4段階以上に切換えるものでもよいし、無段階に回転数を調整するものであっても本発明が適用可能である。
【0061】
また、前記実施形態では、ウインチモータ72の容量を2段階に切換えるようにしたものを示したがこれに限られるものではなく、3段階以上に切換えるものでもよいし、無段階に容量を調整するものであっても本発明が適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
10…クレーン装置、70…ウインチ、72…ウインチモータ、81…PTO機構、82…第1油圧ポンプ、83…バッテリ、84…電動モータ、85…第2油圧ポンプ、90…コントローラ、91…操作入力部、92…過負荷防止装置、93…無線通信部、100…遠隔操作装置、130…遠隔操作コントローラ、140…無線通信部、150…表示部、E…エンジン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、エンジンの動力またはバッテリの電力によってクレーン装置を駆動可能な複数の動力源を有する車両搭載型クレーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両搭載型クレーン装置としては、エンジンの動力によって駆動するクレーン装置と、クレーン装置を遠隔操作する遠隔操作装置と、を備えたものが知られている(例えば、引用文献1参照)。
【0003】
近年、車両搭載型クレーン装置では、環境問題や騒音への対策として、エンジンの動力の他にバッテリの電力によってクレーン装置を駆動可能としたものが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−63078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような複数の動力源を備えた車両搭載型クレーン装置では、クレーン装置から離れた位置で遠隔操作装置によって作業を行っていると、いずれの動力源が選択されているかを使用者が把握することができない。このため、使用者は、選択されている動力源を確認するためにクレーン装置の設置場所まで移動して確認しなければならず、作業効率を向上させることができない。
【0006】
本発明の目的とするところは、選択されている動力源をクレーン装置から離れた場所で確認可能とすることで、作業効率を向上させることのできる車両搭載型クレーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、互いに異なる少なくとも2つの動力源から1つの動力源を選択可能とし、選択した動力源の動力によって駆動可能なクレーン装置と、クレーン装置を遠隔操作する遠隔操作装置と、を備えた車両搭載型クレーン装置において、選択されている動力源を検出する動力源検出手段と、動力源検出手段によって検出された動力源に関するデータを送信する送信手段と、を備え、遠隔操作装置には、送信手段によって送信された動力源に関するデータを受信する受信部と、受信部が受信した動力源のデータを表示する表示部が設けられている。
【0008】
これにより、選択されている動力源が遠隔操作装置の表示部に表示されることから、クレーン装置から離れた位置で使用者がいずれの動力源が選択されているかを確認可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、クレーン装置から離れた位置で使用者がいずれの動力源が選択されているかを確認することができるので、動力源の確認のための使用者の移動を無くすことができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示すクレーン装置を搭載した車両の斜視図である。
【図2】クレーン装置の正面図である。
【図3】油圧供給装置の概略構成図である。
【図4】遠隔操作装置の斜視図である。
【図5】データ送信処理を示すフローチャートである。
【図6】データ表示処理を示すフローチャートである。
【図7】表示部に表示する各表示の表示態様と表示する条件を示す表である。
【図8】動力源としてエンジンが選択されている作業時の表示部を示す図である。
【図9】動力源としてバッテリが選択されている作業時の表示部を示す図である。
【図10】動力源としてエンジンが選択されている操作設定時の表示部を示す図である。
【図11】動力源としてエンジンが選択されている操作設定時の表示部を示す図である。
【図12】動力源としてバッテリが選択されている操作設定時の表示部を示す図である。
【図13】動力源としてバッテリが選択されている操作設定時の表示部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図13は、本発明の一実施形態を示すものである。
【0012】
本発明のクレーン装置10は、図1に示すように、車両1に搭載されるものである。
【0013】
車両1は、シャシフレーム2の前側に設けられたキャブ3と、シャシフレーム2の後側に設けられた荷台4と、を備えており、キャブ3と荷台4との間のシャシフレーム2にクレーン装置10が搭載されている。
【0014】
クレーン装置10は、シャシフレーム2上に固定される基台20と、基台20の左右両側に設けられたアウトリガ30と、基台20の上面に旋回自在に設けられた旋回台40と、旋回台40に対して起伏自在に設けられたブーム50と、ブーム50の先端側から垂下されるワイヤロープ60と、ワイヤロープ60の巻き込みまたは繰り出しを行うためのウインチ70と、を備えている。
【0015】
各アウトリガ30は、基台20に対して幅方向外側に移動可能に設けられるとともに、油圧式のジャッキシリンダ31によって下方に伸長可能である。アウトリガ30は、下端を接地させることにより車両1を地面に対して安定的に支持する。
【0016】
旋回台40は、ボールベアリング式やローラーベアリング式の旋回サークル(図示せず)によって基台20に対して旋回自在に設けられ、油圧式の旋回モータ41によって旋回するように構成されている。また、旋回台40の上面には、上下方向に延びる旋回ポスト42が設けられ、旋回ポスト42の上端側にブーム50が起伏自在に連結されている。
【0017】
ブーム50は、複数のブーム部材51〜54からなり、ブーム部材の内部に先端側に隣り合うブーム部材が収納可能な多段式に構成されている。最基端側のブーム部材51は、基端部が旋回ポスト42の上端側に上下方向に回転自在に連結されている。ブーム部材51の基端側と旋回台40との間には、油圧式の起伏シリンダ55が連結され、起伏シリンダ55の伸縮動作によってブーム50を起伏させる。また、最基端側のブーム部材51内には、油圧式の伸縮シリンダ56が設けられ、伸縮シリンダ56の伸縮によってブーム50を伸縮させる。
【0018】
ワイヤロープ60は、先端側にフックブロック61設けられ、フックブロック61がブーム50から垂下される。フックブロック61には吊荷を係止可能であり、フックブロック61に係止された吊荷がブーム50の先端から吊り下げられる。
【0019】
ウインチ70は、ワイヤロープ60が巻き掛けられるドラム71と、ドラム71を正逆回転させるための油圧式のウインチモータ72と、ウインチモータ72の回転数およびトルクを変換してドラム71に伝達する減速機73と、を有している。ドラム71は、旋回ポスト42内の上部側に設けられ、巻き掛けられたワイヤロープ60がブーム50に沿って延びるとともに、先端側がブーム50の先端側から垂下される。ウインチモータ72は、旋回ポスト42内のドラム71の下方に設けられている。さらに、減速機73は、旋回ポスト42の外側面のドラム71とウインチモータ72との間の高さ位置に設けられている。
【0020】
ウインチモータ72は、例えば、斜板式のアキシャルプランジャ油圧モータであり、斜板の角度を変更可能な可変容量形の油圧モータである。つまり、ウインチモータ72は、斜板の角度を変更することによって、所定の流量の作動油に対して回転数が可変である。ウインチモータ72は、斜板の角度を変更するための斜板角変更レバー72aを有し、斜板角変更レバー72aは回転数が低くなる方向に付勢されている。ウインチモータ72は、斜板角変更レバー72aを回転数が高くなる方向に最大限に操作したときに吊り上げ可能な吊荷の重さが、回転数が低くなる方向に最大限操作した場合の約60%となる。
【0021】
各ジャッキシリンダ31,31、旋回モータ41、起伏シリンダ55、伸縮シリンダ56およびウインチモータ72等のアクチュエータは、作動油が供給されることによって作動する。各アクチュエータを作動させる作動油は、図3に示す油圧供給装置80によって供給される。
【0022】
油圧供給装置80は、車両1走行用のエンジンEの動力を取り出すためのPTO(パワーテイクオフ)機構81と、PTO機構81によって取り出されたエンジンEの動力によって駆動する第1油圧ポンプ82と、電力を供給するためのバッテリ83と、バッテリ83の電力で駆動する電動モータ84と、電動モータ84の回転によって駆動する第2油圧ポンプ85と、第1油圧ポンプ82または第2油圧ポンプ85から吐出された作動油の各アクチュエータに対する供給や排出等の流れを制御するためのコントロールバルブユニット86と、を備え、これらは作動油回路87に接続されている。
【0023】
電動モータ84は、インバータを介してバッテリ83に接続されており、回転数が可変である。本実施形態では、使用者の操作によって回転数が「高速」、「中速」、「微速」の三段階に変更可能である。電動モータ84は回転数が大きくなるに従って消費電力量が大きくなるため、クレーン装置10における消費電力量は電動モータ84の回転数に依存して変化する。
【0024】
コントロールバルブユニット86は、各アクチュエータのそれぞれに対応する複数のコントロールバルブを有し、各コントロールバルブが図2に示す操作レバー86a,86b,86c,86dによって操作可能である。また、コントロールバルブユニット86を構成する各コントロールバルブは、ソレノイドからなる切換手段を有し、後述するコントローラからの信号によって操作される。
【0025】
作動油回路87には、第1油圧ポンプ82と第2油圧ポンプ85が互いに並列に接続され、第1油圧ポンプ82および第2油圧ポンプ85の吸入側が作動油タンク87aに接続されている。また、第1油圧ポンプ82および第2油圧ポンプ85の吐出側は、コントロールバルブユニット86のポンプ側のポートに接続されている。第1油圧ポンプ82および第2油圧ポンプ85のそれぞれの吐出側とコントロールバルブユニット86との間の作動油流路には、第1油圧ポンプ82および第2油圧ポンプ85の吐出側からの作動油の流入を規制するための逆止弁87bが設けられている。また、コントロールバルブユニット86には、各アクチュエータが接続されている。コントロールバルブユニット86の作動油タンク87a側のポートには、リターンフィルタ87cを介して作動油タンク87aが接続されている。
【0026】
また、作動油回路87には、ウインチモータ72の斜板角変更レバー72aを操作するための操作シリンダ88と、操作シリンダ88を駆動させるためのコントロールバルブ89が接続されている。操作シリンダ88は、作動油が供給されると伸長する単動シリンダからなり、斜板角変更レバー72aをウインチモータ72の回転数を速くする方向に操作可能である。コントロールバルブ89は、ソレノイドからなる切換手段を有し、後述するコントローラからの信号によって操作される。コントロールバルブ89は、作動油回路87と操作シリンダ88内を連通する流路と、作動油タンク87aと操作シリンダ88内を連通する流路と、を有し、作動油タンク87aと操作シリンダ88内を連通する流路側に付勢されている。
ウインチモータ72は、通常の状態で斜板角変更レバー72aが回転数「低速」に設定されており、切換手段であるソレノイドに通電すると、コントロールバルブ89が移動して作動油が操作シリンダ88内に流入し、斜板角変更レバー72aが回転数「高速」に切り換わる。また、ウインチモータ72は、斜板角変更レバー72aが回転数「高速」の状態で、切換手段であるソレノイドの通電を遮断すると、コントロールバルブ89が付勢力によって移動して作動油が操作シリンダ88から作動油タンク87aに流出し斜板角変更レバー72aが回転数「低速」に切り換わる。
【0027】
また、クレーン装置10は、図3に示すように、油圧供給装置80の操作に関する制御を行うためのコントローラ90と、油圧供給装置80を遠隔操作するための遠隔操作装置100と、を備えている。
【0028】
コントローラ90は、CPU、ROM、RAMを有している。コントローラ90は、入力側に接続された装置からの入力信号を受信すると、CPUが、入力信号に基づいてROMに記憶されたプログラムを読み出すとともに、入力信号によって検出された状態をRAMに記憶したり、出力側に接続された装置に出力信号を送信したりする。
【0029】
コントローラ90には、電動モータ84の回転数やウインチモータ72の設定速度を変更する操作等、油圧供給装置80の操作を行うための押しボタンやレバー等を有する操作入力部91と、吊荷の荷重、ブーム50の長さ寸法および起伏角度を検出して吊荷の定格荷重を算出し、吊荷の荷重が定格荷重を超える場合にクレーン装置10の動作を停止させる過負荷防止装置92と、遠隔操作装置100と無線通信を行うための無線通信部93と、PTO機構81、バッテリ83、電動モータ84、コントロールバルブユニット86,89、エンジンEが接続されている。
【0030】
遠隔操作装置100は、図4に示すように、使用者が手で把持するための把持部110と、把持部110の上部側に設けられた操作盤120とを備えている。
【0031】
操作盤120内には、図3に示すように、遠隔操作装置100によって油圧供給装置80の遠隔操作に関する制御を行うための遠隔操作コントローラ130と、無線通信部93を介してコントローラ90と無線通信を行うための無線通信部140と、が設けられている。
【0032】
また、操作盤120には、電源スイッチ121、旋回スイッチ122、起伏スイッチ123、ウインチスイッチ124および伸縮スイッチ125が設けられている。また、把持部110の背面側の上部には、トリガースイッチ126が設けられている。トリガースイッチ126は、上記各スイッチ121〜124の操作と同時に操作されるものであり、各操作時におけるクレーン装置10の動作速度を調整するために用いられる。
【0033】
さらに、操作盤120には、クレーン装置10や遠隔操作装置100に関する情報を表示するためのLCD等の画像表示装置からなる表示部150が設けられている。
【0034】
以上のように構成された車両搭載型クレーン装置において、コントローラ90は、図5に示すように、遠隔操作装置100の表示部150に表示するデータを遠隔操作装置100に送信するデータ送信処理を行う。
【0035】
(ステップS1)
ステップS1においてCPUは、遠隔操作装置100の電源スイッチ121がオンの状態であるか否かを判定する。電源スイッチ121がオンの状態であると判定した場合にはステップS2に処理を移し、電源スイッチ121がオンの状態と判定しなかった場合にはデータ送信処理を終了する。
【0036】
(ステップS2)
ステップS1において電源スイッチ121がオンの状態であると判定した場合に、ステップS2においてCPUは、表示部150に表示するデータを送信し、データ送信処理を終了する。
【0037】
また、遠隔操作コントローラ130は、図6に示すように、コントローラ90から送信されたデータを受信して表示部150に表示するデータ表示処理を行う。
【0038】
(ステップS11)
ステップS11においてCPUは、コントローラ90から送信されたデータを受信したか否かを判定する。データを受信した場合にはステップS12に処理を移し、データを受信したと判定しなかった場合にはデータ表示処理を終了する。
【0039】
(ステップS12)
ステップS11においてデータを受信したと判定した場合に、ステップS12においてCPUは、受信したデータを表示部150に表示してデータ表示処理を終了する。
【0040】
ここで、遠隔操作装置100の表示部150には、吊荷の実荷重や定格荷重等の情報以外に、図7の表に示すように、動力源、バッテリ残量、速度モード、アクセル規制機能、ウインチ速度、音量、バッテリ異常に関する情報が表示される。
【0041】
動力源の表示では、PTO機構81がオン、且つ、エンジンEが駆動している状態を検知すると、動力源がエンジンEである旨を表示する。また、操作入力部91に設けられた電動スイッチのオンの状態を検知すると、動力源がバッテリ83である旨を表示する。また、PTO機構81がオン、電動スイッチがオフ、且つエンジンEの停止を検知すると、動力源が設定されていない旨を表示する。
【0042】
バッテリ残量の表示では、バッテリ83の残量を検知して、10%単位の残量表示を行う。また、バッテリ83の残量が20%以下となる場合には、表示部150に表示されるバッテリ残量の数値を点滅表示させる。
【0043】
クレーン装置10の速度モードの表示では、エンジンE駆動の場合とバッテリ83駆動の場合とを分けて表示する。特に、バッテリ83駆動の場合には、電動モータ84の回転数が小さくなるに従い発生する音が小さくなるため、電動モータ84の回転数の代わりに静音性の程度を基準とした表示を行う。
【0044】
アクセル規制機能の表示では、動力源がエンジンEの場合に、アクセル規制を行っているか否かを表示する。
【0045】
ウインチ速度の表示では、動力源がバッテリ83の場合に、ウインチモータ72の速度の設定を表示する。
【0046】
音量の表示では、動力源がエンジンEの場合に4段階のいずれかに設定されているかを表示し、動力源がバッテリ83の場合に3段階のいずれかに設定されているかを表示する。
【0047】
バッテリ異常の表示では、動力源がバッテリ83の場合にバッテリ83の液面低下等の異常を検知すると、動力源の表示の「バッテリ」を点滅表示する。
【0048】
図7に記載の表示情報は、例えば、動力源がエンジンEに設定されている場合を示す図8や、動力源がバッテリ83に設定されている場合を示す図9のように、表示部150に表示される。
【0049】
また、遠隔操作装置100によってクレーン装置10の操作設定を行う場合に、表示部150に表示される設定画面は、動力源に応じた設定画面となる。表示部150には、例えば、動力源がエンジンEに設定されている場合を示す図10および図11や、動力源がバッテリ83に設定されている場合を示す図12および図13のように表示される。
【0050】
このように、本実施形態の車両搭載型クレーン装置によれば、遠隔操作装置100は、コントローラ90から送信された動力源に関するデータを受信し、受信したデータを表示部150に表示するようにしている。これにより、クレーン装置10から離れた位置で使用者がいずれの動力源が選択されているかを確認することができるので、動力源の確認のための使用者の移動を無くすことができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【0051】
また、バッテリ83の残量に関するデータを表示部150に表示するようにしている。これにより、バッテリ83の残量をクレーン装置10から離れた位置で確認することができるので、バッテリ切れによる作業の中断を防止することができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【0052】
また、クレーン装置10の動作速度に関するデータを表示部150に表示するようにしている。これにより、設定されているクレーン装置10の動作速度をクレーン装置10から離れた位置で確認しながら作業を行うことができるので、安全性の向上を図ることが可能となる。また、バッテリ83駆動の場合には、電動モータ84の回転数の代わりに静音性の程度を基準とした表示を行っているので、住宅街や夜間作業等、静音性が要求される作業場所において静音性を基準としたクレーン装置10の動作速度の選択が可能となる。
【0053】
また、ウインチモータ72の回転数の設定に関するデータを表示部150に表示するようにしている。これにより、設定されているクレーン装置10の動作速度をクレーン装置10から離れた位置で確認しながら作業を行うことができるので、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0054】
また、クレーン装置10を操作する際に出力される音声の音量に関するデータを表示部150に表示するようにしている。これにより、設定されている音量をクレーン装置10から離れた位置で確認することができるので、作業環境に応じて音声の音量を調整することが可能となる。
【0055】
また、バッテリ83の液面低下等の状態に関するデータを表示部150に表示するようにしている。これにより、バッテリ83の異常の発見が容易となるので、バッテリ83の異常に対する処置を適切に行うことが可能となる。
【0056】
また、選択された動力源のデータに応じた表示画面を表示部150に表示するようにしている。これにより、動力源によって異なる表示情報をそれぞれ表示部150に表示することできるので、より正確な操作設定を行うことができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【0057】
尚、前記実施形態では、エンジンEの動力およびバッテリ83の電力の2種類の動力源から1つを選択してクレーン装置10を駆動するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、3種類以上の動力源から1つの動力源を選択してクレーン装置10を駆動するようにしてもよい。また、例えば、最大トルクが異なる複数のエンジンEから1つのエンジンを選択するように、特性の異なる同一種類の動力源から1つの動力源を選択するようにしてもよい。
【0058】
また、前記実施形態では、PTO機構81がオン、且つ、エンジンEが駆動している状態を検知すると、動力源がエンジンEである旨を表示し、操作入力部91に設けられた電動スイッチのオンの状態を検知すると、動力源がバッテリ83である旨を表示している。動力源の各表示の条件は、前記実施形態に限られるものではなく、PTO機構81、エンジンEおよび電動スイッチの全ての状態または一部の状態を用いることが可能である。例えば、動力源がバッテリ83の表示は、PTO機構81のオフの状態とエンジンEの停止状態を条件としてもよい。
【0059】
また、前記実施形態では、表示部150をLCD等の画像表示装置から構成したものを示したが、これに限られるものではない。例えば、表示部150を複数のランプから構成し、例えば選択されている動力源に対応するランプを点灯させるようにしても前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、前記実施形態では、電動モータ84の回転数を3段階に切換えるようにしたものを示したがこれに限られるものではなく、2段階や4段階以上に切換えるものでもよいし、無段階に回転数を調整するものであっても本発明が適用可能である。
【0061】
また、前記実施形態では、ウインチモータ72の容量を2段階に切換えるようにしたものを示したがこれに限られるものではなく、3段階以上に切換えるものでもよいし、無段階に容量を調整するものであっても本発明が適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
10…クレーン装置、70…ウインチ、72…ウインチモータ、81…PTO機構、82…第1油圧ポンプ、83…バッテリ、84…電動モータ、85…第2油圧ポンプ、90…コントローラ、91…操作入力部、92…過負荷防止装置、93…無線通信部、100…遠隔操作装置、130…遠隔操作コントローラ、140…無線通信部、150…表示部、E…エンジン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる少なくとも2つの動力源から1つの動力源を選択可能とし、選択した動力源の動力によって駆動可能なクレーン装置と、クレーン装置を遠隔操作する遠隔操作装置と、を備えた車両搭載型クレーン装置において、
選択されている動力源を検出する動力源検出手段と、
動力源検出手段によって検出された動力源に関するデータを送信する送信手段と、を備え、
遠隔操作装置には、送信手段によって送信された動力源に関するデータを受信する受信部と、受信部が受信した動力源のデータを表示する表示部が設けられている
ことを特徴とする車両搭載型クレーン装置。
【請求項2】
送信手段は、動力源がバッテリの電力の場合にバッテリの残量に関するデータを送信し、
遠隔操作装置は、受信部でバッテリの残量に関するデータを受信し、受信したバッテリの残量に関するデータを表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両搭載型クレーン装置。
【請求項3】
送信手段は、クレーン装置の動作速度に関するデータを送信し、
遠隔操作装置は、受信部で受信したクレーン装置の動作速度に関するデータ受信し、受信したクレーン装置の動作速度に関するデータを表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両搭載型クレーン装置。
【請求項4】
クレーン装置のウインチは、所定の流量の作動油に対して回転数の切換えが可能な可変容量形の油圧モータを有し、
送信手段は、選択された油圧モータの回転数に関するデータを送信し、
遠隔操作装置は、受信部で油圧モータの回転数に関するデータを受信し、受信した油圧モータの回転数に関するデータを表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両搭載型クレーン装置。
【請求項5】
クレーン装置は、操作の際に音声が出力可能であり、
送信手段は、操作の際に出力される音声の音量に関するデータを送信し、
遠隔操作装置は、受信部で音声の音量に関するデータ受信し、受信した音声の音量に関するデータを表示部に表示する
ことを特徴とする1乃至4のいずれかに記載の車両搭載型クレーン装置。
【請求項6】
送信手段は、選択された駆動源がバッテリの場合に、バッテリの状態に関するデータを送信し、
遠隔操作装置は、受信部でバッテリの状態に関するデータを受信し、受信したバッテリの状態に関するデータを表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両搭載型クレーン装置。
【請求項7】
遠隔操作装置は、受信部で選択された動力源に関するデータを受信し、受信した動力源に関するデータに応じた表示画面を表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車両搭載型クレーン装置。
【請求項1】
互いに異なる少なくとも2つの動力源から1つの動力源を選択可能とし、選択した動力源の動力によって駆動可能なクレーン装置と、クレーン装置を遠隔操作する遠隔操作装置と、を備えた車両搭載型クレーン装置において、
選択されている動力源を検出する動力源検出手段と、
動力源検出手段によって検出された動力源に関するデータを送信する送信手段と、を備え、
遠隔操作装置には、送信手段によって送信された動力源に関するデータを受信する受信部と、受信部が受信した動力源のデータを表示する表示部が設けられている
ことを特徴とする車両搭載型クレーン装置。
【請求項2】
送信手段は、動力源がバッテリの電力の場合にバッテリの残量に関するデータを送信し、
遠隔操作装置は、受信部でバッテリの残量に関するデータを受信し、受信したバッテリの残量に関するデータを表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両搭載型クレーン装置。
【請求項3】
送信手段は、クレーン装置の動作速度に関するデータを送信し、
遠隔操作装置は、受信部で受信したクレーン装置の動作速度に関するデータ受信し、受信したクレーン装置の動作速度に関するデータを表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両搭載型クレーン装置。
【請求項4】
クレーン装置のウインチは、所定の流量の作動油に対して回転数の切換えが可能な可変容量形の油圧モータを有し、
送信手段は、選択された油圧モータの回転数に関するデータを送信し、
遠隔操作装置は、受信部で油圧モータの回転数に関するデータを受信し、受信した油圧モータの回転数に関するデータを表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両搭載型クレーン装置。
【請求項5】
クレーン装置は、操作の際に音声が出力可能であり、
送信手段は、操作の際に出力される音声の音量に関するデータを送信し、
遠隔操作装置は、受信部で音声の音量に関するデータ受信し、受信した音声の音量に関するデータを表示部に表示する
ことを特徴とする1乃至4のいずれかに記載の車両搭載型クレーン装置。
【請求項6】
送信手段は、選択された駆動源がバッテリの場合に、バッテリの状態に関するデータを送信し、
遠隔操作装置は、受信部でバッテリの状態に関するデータを受信し、受信したバッテリの状態に関するデータを表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両搭載型クレーン装置。
【請求項7】
遠隔操作装置は、受信部で選択された動力源に関するデータを受信し、受信した動力源に関するデータに応じた表示画面を表示部に表示する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車両搭載型クレーン装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−75761(P2013−75761A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218172(P2011−218172)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】
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