説明

車両搭載型ドライビングレコーダの取付具

【課題】ドライビングレコーダをフロントガラスに簡単に着脱することができ、且つ、無用な振動による加速度センサの誤検出を防止可能な、取付具を提供する。
【解決手段】加速度センサR22を少なくとも具備するドライビングレコーダRを、フロントガラスW等に取り付けるための取付具Aであって、フロントガラスW等に固着される車体側固着部2と、前記ドライビングレコーダRに固着又は一体に設けられ、且つスライド操作によって前記車体側固着部2に着脱可能に取り付けられる機器側取付部1とを具備し、前記車体側固着部2が、前記機器側取付部1の被スライド案内面11と当接してスライド移動を案内されるスライド案内面211を有する平板部21と、前記機器側取付部1の対向壁12の他端側12bの内側同士間の間隔と略一致する幅寸法を有するとともに先端側が前記機器側取付部1の収容凹部15に収容され、且つ、前記機器側取付部1の連結壁14を前記平面部R11との間に弾性変形しながら挟み込む平面視略矩形状の爪部22と、を備えてなるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の挙動や周囲状況、操作状況等のドライビング状況に係る事実分析を行うための加速度センサを少なくとも具備する車両搭載型ドライビングレコーダを、フロントガラスなどに取り付けるための取付具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、事故発生あるいはヒヤリハットといった、事故発生に至らないまでも事故になり得た場合の、前後一定期間における車両の挙動や周囲状況等を記録して、そのような状況に至った原因解析等を事後に好適に行えるようにした車両搭載型ドライビングレコーダが提供されている。
【0003】
具体的に、この種の車両搭載型ドライビングレコーダは、事故発生時あるいはヒヤリハット時等の前後一定期間における自動車の挙動や周囲状況等を記録するものであり、単一のケーシングと、そのケーシングに保持させた、CCDカメラ・加速度センサ・位置センサであるGPS受信機等の検知部、LEDやスピーカ等の報知部、ボタンスイッチ等の入力部、通信部、着脱式記録部、情報処理部、補助電源等とを備えて成り、フロントガラスにおける任意の場所に、所定の熱伝導性及び弾性を有する粘着パッドを介して貼り付けて使用する(特許文献1参照)。
【特許文献1】特願2005−194460
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、車両搭載型ドライビングレコーダを、粘着パッドを介してフロントガラスに貼り付けるようにしているため、車両搭載型ドライビングレコーダの自由な着脱ができない。仮に、車両搭載型ドライビングレコーダをフロントガラスから取り外せたとしても、車両搭載型ドライビングレコーダ或いはフロントガラスのいずれか一方または両方に、粘着パッドの一部が残ってしまい、次に貼り付けるときに、残存した粘着パッドが邪魔をして貼り付けることができない場合がある。
【0005】
このような、車両搭載型ドライビングレコーダをフロントガラスに簡単に着脱したいというユーザ要求は、例えば、車両搭載型ドライビングレコーダのスイッチを切るだけでは、進入を許可されない機密エリアを出入りするような車両についてある等、決して少ないものではない。
【0006】
また、車両搭載型ドライビングレコーダの取付は、加速度センサの誤検知を防止するため、無用な振動を抑制して行う必要がある。
【0007】
つまり、車両搭載型ドライビングレコーダは、あらかじめ加速度などの閾値を設定しておき、閾値以上の加速度を検知した場合を、事故やヒヤリハットと判断し、その前後数十秒の映像や運行管理データを記録媒体に保存するが、車両搭載型ドライビングレコーダの取付がフロントガラスなどにしっかり固定されるものでなければ、無用な振動がおこり、事故やヒヤリハットではないデータを保存することが起こり得る。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、車両搭載型ドライビングレコーダをフロントガラスに簡単に着脱することができ、且つ、無用な振動による加速度センサの誤検出を防止可能な、車両搭載型ドライビングレコーダの取付具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る車両搭載型ドライビングレコーダの取付具は、車両の挙動や周囲状況、操作状況等のドライビング状況に係る事実分析を行うための加速度センサを少なくとも具備する車両搭載型ドライビングレコーダを、フロントガラスなどの車室構成部材に取り付けるための取付具であって、前記車室構成部材に固着される車体側固着部と、前記車両搭載型ドライビングレコーダに固着又は一体に設けられ、且つスライド操作によって前記車体側固着部に着脱可能に取り付けられる機器側取付部とを具備し、前記機器側取付部及び車体側固着部のうちいずれか一方が、前記機器側取付部及び車体側固着部のうちの他方と当接して当該機器側取付部のスライド移動を案内される被スライド案内面と、前記スライド操作方向に伸び且つ一端側の内側同士の間隔を他端側の内側同士の間隔よりも大きく又は略等しくなるように対向配置した一対の対向壁と、前記対向壁の一端側の内側同士間に形成され且つ前記スライド操作方向と直交する方向に貫通する貫通孔と、被スライド案内面側における前記対向壁の他端側の内側の少なくとも一部同士間を連結する連結部と、反被スライド案内面側における前記対向壁の他端側の内側同士と前記連結部とで囲まれ且つ前記貫通孔に連通する収容凹部と、を備え、前記機器側取付部及び車体側固着部のうち他方が、前記被スライド案内面と当接してスライド移動を案内するスライド案内面を有する平板部と、前記対向壁の他端側同士間の間隔と略一致する幅寸法を有するとともに先端側が前記収容凹部に収容され、且つ、前記連結部を前記平面部との間に弾性変形しながら挟み込む平面視略矩形状の爪部と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
ここで、「車室構成部材に固着される」とは、車体側固着部を車室構成部材から取り外せないように固着するに限らず、例えば、車体側固着部を、車両が衝突した場合に車室構成部材から取り外れない程度に、両面テープを利用して車室構成部材に固着すること等をも含む概念である。そして、所定以上の力を車体側固着部に加えた場合に、車体側固着部を車室構成部材から取り外すことができてもよい。
【0011】
また、「車両搭載型ドライビングレコーダに固着」についても、同様の意である。
【0012】
このようなものであれば、以下のような作用効果を奏する。すなわち、フロントガラスなどの車室構成部材に固着されている車体側固着部の爪部を、車両搭載型ドライビングレコーダに固着している機器側取付部の貫通孔に挿入する際、貫通孔の幅寸法を、爪部の幅寸法よりも大きく又は略等しく設定しているため、爪部を貫通孔に好適に挿入することができる。例えば、車体側固着部と当該機器側取付部とを2セット使いする場合には、貫通孔の幅寸法を、爪部の幅寸法よりも大きく設定することで、車体側固着部の取付誤差を吸収しながら、爪部を貫通孔に簡単に挿入することができる。
【0013】
そして、被スライド案内面とスライド案内面とを当接させながら、車両搭載型ドライビングレコーダを取り付ける向きにスライド移動させる際、車体側固着部と機器側取付部とは、面同士で当接しているため、機器側取付部を車体側固着部に対して非常に滑らかにスライド移動させることができる。
【0014】
そして、スライド移動により爪部の先端側が、収容凹部内に位置付けられると、爪部の幅寸法と収容凹部を構成する対向壁の他端側の内側同士間の幅寸法とを略一致させていることから、爪部の先端側が、対向壁の他端側の内側同士間に、略隙間無く挟み込まれることとなり、車体側固着部と機器側取付部とが、スライド方向と異なる方向にがたついてしまうことを、好適に防止できる。
【0015】
また、爪部は、弾性変形しながら平面部との間に、連結部を挟みこむので、その弾性保持力により、車体側固着部と機器側取付部とが、スライド方向にがたつくことも、好適に防止できる。
【0016】
したがって、車両の走行時に発生する振動などによって、車体側固着部と機器側取付部とががたついて振動が発生するといった不具合が生じることは無く、かかる振動による加速度センサの誤検出を、好適に防止することができる。
【0017】
すなわち、車両搭載型ドライビングレコーダをフロントガラスなどの車室構成部材に簡単に着脱することができ、且つ、無用な振動による加速度センサの誤検出を防止可能な、車両搭載型ドライビングレコーダの取付具を提供することができる。
【0018】
なお、簡単な構成でありながら、良好な弾性保持力を発揮させるには、前記爪部が、前記平板部から屈曲起立させた起立片と、前記起立片の先端部を前記平板部に近づく向きに折り曲げた後さらにその先端部を前記平板部から遠ざかる向きに折り曲げた略V字状を成し且つこのV字形状の谷部分若しくはその近傍で前記連結部に当接する当接片と、を具備していることが望ましい。
【0019】
コストダウンを図りつつ、取付強度を確保するには、前記車体側固着部が、板金素材を塑性変形加工して成るものであって、前記爪部が、前記平板部から切り起こして形成したものであることが好ましい。
【0020】
簡単に車体側固着部と機器側取付部との位置決めができるようにするには、前記車体側固着部が、前記平板部の一端縁から屈曲し且つ取り付ける向きのスライド操作した際に前記機器側取付部の周壁に所定位置で当接する位置決め用当接部を備えていることが望ましい。
【0021】
爪部の貫通孔への挿入を簡単ならしめるには、前記貫通孔の開口が、前記車両搭載型ドライビングレコーダを取り付ける向きに漸次幅狭形状を有していることが好ましい。
【0022】
本発明の望ましい態様としては、前記車両搭載型ドライビングレコーダが、全体としては概略卵形を成し且つ卵形の一部を平面で切断することにより形成される概略楕円形の平面部を備えたケーシングを具備し、前記平面部の略中心部に配したGPSセンサやカメラなどの1又は複数のドライビング状況検知機器の両側に、対を成す前記機器側取付部を、それぞれ固着しているものが挙げられる。
【0023】
このような構成とすることで、従来の車両搭載型ドライビングレコーダの仕様を変更することなく、該車両搭載型ドライビングレコーダの取付具を適用できるからである。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明の車両搭載型ドライビングレコーダの取付具によれば、以下のような作用効果を奏する。すなわち、フロントガラスなどの車室構成部材に固着されている車体側固着部の爪部を、車両搭載型ドライビングレコーダに固着している機器側取付部の貫通孔に挿入する際、貫通孔の幅寸法を、爪部の幅寸法よりも大きく又は略等しく設定しているため、爪部を貫通孔に好適に挿入することができる。
【0025】
そして、被スライド案内面とスライド案内面とを当接させながら、車両搭載型ドライビングレコーダを取り付ける向きにスライド移動させる際、車体側固着部と機器側取付部とは、面同士で当接しているため、機器側取付部を車体側固着部に対して非常に滑らかにスライド移動させることができる。
【0026】
そして、スライド移動により爪部の先端側が、収容凹部内に位置付けられると、爪部の幅寸法と収容凹部を構成する対向壁の他端側の内側同士間の幅寸法とを略一致させていることから、爪部の先端側が、対向壁の他端側同士間に、略隙間無く挟み込まれることとなり、車体側固着部と機器側取付部とが、スライド方向と異なる方向にがたついてしまうことを、好適に防止できる。
【0027】
また、爪部は、弾性変形しながら平面部との間に、連結壁を挟みこむので、その弾性保持力により、車体側固着部と機器側取付部とが、スライド方向にがたつくことも、好適に防止できる。
【0028】
したがって、車両の走行時に発生する振動などによって、車体側固着部と機器側取付部とががたついて振動が発生するといった不具合が生じることは無く、かかる振動による加速度センサの誤検出を、好適に防止することができる。
【0029】
すなわち、車両搭載型ドライビングレコーダをフロントガラスなどの車室構成部材に簡単に着脱することができ、且つ、無用な振動による加速度センサの誤検出を防止可能な、車両搭載型ドライビングレコーダの取付具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0031】
本実施形態に係る車両搭載型ドライビングレコーダの取付具A(以下「取付具A」と称する)は、図1に示すように、車両搭載型ドライビングレコーダR(以下、「ドライビングレコーダR」とする)を、自動車V(本発明の「車両」に相当)のフロントガラスW(本発明の「車室構成部材」に相当)における任意の場所に取り付けるものである。
【0032】
まず、取付具Aを説明する前に、ドライビングレコーダRについて説明する。
【0033】
ドライビングレコーダRは、図2、図3等に示すように、事故発生時あるいはヒヤリハット時等の前後一定期間における自動車Vの挙動や周囲状況等を記録するものであり、単一のケーシングR1と、そのケーシングR1に保持させた、CCDカメラR21・内蔵の加速度センサR22(図示せず)・位置センサR23であるGPS受信機等のドライビング状況検知機器R2、LEDやスピーカ等の報知部R3、ボタンスイッチ等の入力部R4、コネクタR5等の通信部、着脱式記録部を挿入するための挿入口R6、図示しない情報処理部等とを備えて成るものである。
【0034】
ケーシングR1は、図2、図3に示すように、ほぼ全部が金属(マグネシウム合金)で形成された概略卵形をなすものである。そして、その一部に、卵形の一部を平面で切断することにより形成される概略楕円形の平面部R11を設けている。しかして平面部R11に後述する機器側取付部1を固着し、固着した機器側取付部1を、フロントガラスWに固着した後述する車体側固着部2に取り付けることで、ドライビングレコーダRをフロントガラスWに取り付けられるようにしている。
【0035】
ドライビング状況検知機器R2は、自動車Vの挙動や周囲状況、操作状況等をセンシングし、その内容を示す状況データを出力するものであり、ここでは、CCDカメラR21、加速度センサR22、GPS受信機R23の3種類を少なくとも用いている。
【0036】
ドライビングレコーダの撮像部である例えばCCDカメラR21は、車外状況を撮像し、その画像を示す状況データ(ここでは動画データであるが、もちろん静止画データでもよい)を出力するもので、フロントガラスWに対向する平面部R11に受像面が露出させてある。なお、この受像面は可動で、フロントガラスWへの取付位置に応じて所望の撮像方向に設定できるように構成している。
【0037】
加速度センサR22は、例えばピエゾ抵抗効果を利用して構成したもので、自動車Vに作用する1〜3次元(例えば3次元であれば、前後、左右、上下)の加速度をセンシングし、その加速度を示す状況データ(加速度データ)を出力するものである。ここで加速度とは絶対値の場合もあり、減速度も含む。
【0038】
GPS受信機R23は、例えば複数衛星からの電波をキャッチして自動車Vの位置をセンシングし、その位置を示す状況データ(位置データ)を出力するものであり、例えば前記平面部R11に一部露出させてある。
【0039】
次に、取付具Aについて、具体的に説明する。
【0040】
取付具Aは、図4、図5、図6等に示すように、フロントガラスWに両面テープによって固着される車体側固着部2と、ドライビングレコーダRに両面テープによって固着され、且つスライド操作によって車体側固着部2に着脱可能に取り付けられる外観略直方体形状の機器側取付部1と、を具備して成るものである。
【0041】
機器側取付部1は、図4、図6、図7、図8等に示すように、前記車体側固着部2と当接してそのスライド移動を案内する略平坦な被スライド案内面11と、前記スライド操作方向に伸び且つ一端側12a同士の間隔を他端側12b同士の間隔よりも大きくなるように対向配置した一対の対向壁12と前記対向壁12の一端側12a同士間に形成され且つ前記スライド操作方向と直交する方向に貫通する貫通孔13と、被スライド案内面11側における前記対向壁12の他端側12bの内側同士間を連結する連結壁14(本発明の「連結部」に相当)と、反被スライド案内面16側における前記対向壁12の他端側12bの内側同士と前記連結壁14とで囲まれ且つ前記貫通孔13に連通する収容凹部15と、を備えて成るものであって、本実施形態では、これら各部を、合成樹脂により一体に形成している。
【0042】
そして、本実施形態では、被スライド案内面11の反対面16(「反被スライド案内面16」とも呼ぶ)に貼り付けた両面テープ(図示せず)によって、当該機器側取付部1をドライビングレコーダRの平面部R11に固着できるようにしている。
【0043】
また、貫通孔13の開口を、ドライビングレコーダRを取り付ける向きm1に漸次幅狭形状としていることで、後述する車体側固着部2の爪部22を、貫通孔13の幅広の開口側から簡単に差し込めるようにしている。
【0044】
また、機器側取付部1を、フロントガラスWに固着した際に、下側に位置付けられる底壁17(本発明の「機器側取付部1の周壁」に相当)を、反被スライド案内面16にかけて略直角に切り欠くことで、薄肉にしている。
【0045】
車体側固着部2は、図5、図6、図9、図10等に示すように、前記被スライド案内面11と当接してスライド移動を案内される略平坦なスライド案内面211を有する平板部21と、前記対向壁12の他端側12bの内側同士間の間隔と略一致する幅寸法を有するとともに先端側が前記収容凹部15に収容され、且つ、前記連結壁14を前記平面部R11との間に弾性変形しながら挟み込む平面視略矩形状の爪部22と、記平板部21の一端縁から屈曲し且つ取り付ける向きm1へスライド操作した際に前記機器側取付部1の底壁17に所定位置で当接する位置決め用当接部23と、を備えて成るものであって、本実施形態では、これら各部を、板金素材の塑性変形加工により一体に形成している。
【0046】
そして、本実施形態では、スライド案内面211の反対面212に貼り付けた両面テープ(図示せず)によって、当該車体側固着部2をフロントガラスWに固着できるようにしている。
【0047】
また、車体側固着部2の幅寸法を、機器側取付部1の幅寸法と略一致させている。
【0048】
平板部21は、外形が略矩形状のものであって、中央部分を切り起こすことで、爪部22が形成されるようにしている。
【0049】
爪部22は、前記平板部21からL字状に起立させた起立片221と、前記起立片221の先端部を前記平板部21に近づく向きに折り曲げた後さらにその先端部を前記平板部21から遠ざかる向きに折り曲げた略V字状を成し且つこのV字形状の谷部分222vで前記連結壁14に当接する当接片222と、を備えて成るものである。
【0050】
位置決め用当接部23は、前記平板部21の一端縁から略直角に屈曲させて成り且つ取り付ける向きへスライド操作した際に機器側取付部1の底壁17に所定位置で当接する位置決め片231と、この位置決め片231の先端をさらに内側へ略直角に屈曲させて成り且つ機器側取付部1の底壁17に係止される係止片232とを備える略L字状を成すものである。
【0051】
以下、本実施形態の取付具Aについて、その使用方法を説明する。
【0052】
まず、フロントガラスWに、対の車体側固着部2を、それら車体側固着部2の間隔が所定幅となるようにしながら、両面テープ(図示せず)を利用して固着する。
【0053】
次に、フロントガラスWに固着されている車体側固着部2の爪部22を、ドライビングレコーダRに固着している機器側取付部1の貫通孔13に挿入する。このとき、貫通孔13の開口を、ドライビングレコーダRを取り付ける向きに漸次幅狭形状とし、且つ該貫通孔13の幅寸法を、爪部22の幅寸法よりも大きく設定しているため、並べた車体側固着部2の取付誤差を吸収しながら、爪部22を貫通孔13に非常に簡単に挿入することができる。
【0054】
そして、機器側取付部1の被スライド案内面11と、前記車体側固着部2のスライド案内面211とを当接させながら、ドライビングレコーダRを取り付ける向きm1にスライド移動させる。このとき、機器側取付部1と車体側固着部2とは、面同士で当接しているため、機器側取付部1を車体側固着部2に対して非常に滑らかにスライド移動させることができる。
【0055】
そして、スライド移動により、爪部22の先端側が、機器側取付部1の連結壁14に当接し(図11参照)、この状態からさらにスライドさせると、爪部22は連結壁14に当接しながら弾性変形し、爪部22の先端側が、収容凹部15内に位置付けられる(図12参照)。
【0056】
ここで、さらにスライド移動させようとしても、機器側取付部1の底壁17と位置決め用当接部23とが当接するので、ドライビングレコーダRを決まった位置に位置付けることができる。
【0057】
そして、機器側取付部1と車体側固着部2とを離間させる向きに力を加えても、係止片232が、機器側取付部1の底壁17に引っかかるので、機器側取付部1と車体側固着部2との離間を防止できる。
【0058】
このようにして、連結壁14を、弾性変形した爪部22と平面部R11との間に挟み込めるので、その弾性保持力により、機器側取付部1と車体側固着部2とが、スライド方向にがたつくことも、好適に防止できる。
【0059】
また、爪部22の幅寸法と収容凹部15を構成する対向壁12の他端側12bの内側同士間の幅寸法とを略一致させていることから、爪部22の先端側が、対向壁12の他端側12bの内側同士間に、略隙間無く挟み込まれることとなり、機器側取付部1と車体側固着部2とが、スライド方向と異なる方向にがたついてしまうことを、好適に防止できる。
【0060】
しかして、自動車Vの走行時に発生する振動などによって、機器側取付部1と車体側固着部2とががたついて振動が発生するといった不具合が生じることは無く、かかる振動による加速度センサR22の誤検出を、好適に防止することができる。
【0061】
したがって、以上のように構成した本実施形態に係る取付具Aによれば、ドライビングレコーダRをフロントガラスWに簡単に着脱することができ、且つ、無用な振動による加速度センサR22の誤検出を防止することができる。
【0062】
また、爪部22が、収容凹部15及び貫通孔13に収容されるため、見栄えも良い。
【0063】
なお、前記爪部22が、前記平板部21から屈曲起立させた起立片221と、前記起立片221の先端部を前記平板部21に近づく向きに折り曲げた後さらにその先端部を前記平板部21から遠ざかる向きに折り曲げた略V字状を成し且つこのV字形状の谷部分222vで前記連結壁14に当接する当接片222と、を具備するようにしているため、簡単な構成でありながら、良好な弾性保持力を発揮させることができる。
【0064】
また、前記車体側固着部2が、板金素材を塑性変形加工して成るものであって、前記爪部22が、前記平板部21から切り起こして形成しているため、コストダウンを図りつつ、取付強度を確保することができる。
【0065】
また、前記車体側固着部2が、前記平板部21の一端縁から屈曲し且つ取り付ける向きのスライド操作した際に前記機器側取付部1の底壁17に所定位置で当接する位置決め用当接部23を備えるようにしているため、簡単に機器側取付部1と車体側固着部2との位置決めができる。
【0066】
前記貫通孔13の開口が、ドライビングレコーダRを取り付ける向きに漸次幅狭形状を有しているため、爪部22の貫通孔13への挿入を簡単に行える。
【0067】
ドライビングレコーダRが、全体としては概略卵形を成し且つ卵形の一部を平面で切断することにより形成される概略楕円形の平面部R11を備えたケーシングR1を具備し、前記平面部R11の略中心部に配したGPSセンサやカメラなどの1又は複数のドライビング状況検知機器の両側に、対を成す前記機器側取付部1を、それぞれ固着しているため、従来のドライビングレコーダRの仕様を変更することなく、該車両搭載型ドライビングレコーダの取付具Aを適用できる。
【0068】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0069】
例えば、本実施形態では、取付具Aを利用して、ドライビングレコーダRを、自動車Vに取り付けるようにしているが、その他の乗り物(例えば、電車など)にも取り付けることができる。
【0070】
また、本実施形態では、機器側取付部1とドライビングレコーダRとを別体としているが、機器側取付部1とドライビングレコーダRとを一体に形成することを妨げない。
【0071】
また、機器側取付部1及び車体側固着部2の形状は、本実施形態のものに限られない。
【0072】
また、機器側取付部1をフロントガラスWに取り付け、且つ、車体側固着部2をドライビングレコーダRに取り付けて使用するといった使用態様も考えられる。
【0073】
また、両面テープを用いているが、例えば、吸盤を利用して固着するなど、固着方法は実施態様に応じて適宜変更可能である。
【0074】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施形態に係る取付具によりドライビングレコーダを自動車に取り付けた場合を示す模式的正面図。
【図2】同実施形態におけるドライビングレコーダの車内側から見た場合の斜視図。
【図3】同実施形態におけるドライビングレコーダの車外側から見た場合の斜視図。
【図4】同実施形態における機器側取付部の斜視図。
【図5】同実施形態における車体側固着部の斜視図。
【図6】同実施形態における車体側固着部及び機器側取付部の取付関係を示す図。
【図7】同実施形態における機器側取付部の正面図。
【図8】同実施形態における機器側取付部の側断面図。
【図9】同実施形態における車体側固着部の正面図。
【図10】同実施形態における車体側固着部の側断面図。
【図11】同実施形態における車体側固着部及び機器側取付部の取付手順を示す図。
【図12】同実施形態における車体側固着部及び機器側取付部の取付手順を示す図。
【符号の説明】
【0076】
A・・・・・・車両搭載型ドライビングレコーダの取付具
m1・・・・・ドライビングレコーダRを取り付ける向き
R・・・・・・車両搭載型ドライビングレコーダ
R1・・・・・ケーシング
R11・・・・平面部
R21・・・・ドライビング状況検知機器(CCDカメラ)
R22・・・・ドライビング状況検知機器(加速度センサ)
R23・・・・ドライビング状況検知機器(GPS受信機)
V・・・・・・車両(自動車)
W・・・・・・車室構成部材(フロントガラス)
1・・・・・・機器側取付部
2・・・・・・車体側固着部
11・・・・・被スライド案内面
12・・・・・対向壁
12a・・・・対向壁12の一端側
12b・・・・対向壁12の他端側
13・・・・・貫通孔
14・・・・・連結壁(連結部)
15・・・・・収容凹部
17・・・・・機器側取付部1の周壁(底壁)
23・・・・・位置決め用当接部
21・・・・・平板部
22・・・・・爪部
211・・・・スライド案内面
221・・・・起立片
222・・・・当接片
222v・・・谷部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の挙動や周囲状況、操作状況等のドライビング状況に係る事実分析を行うための加速度センサを少なくとも具備する車両搭載型ドライビングレコーダを、フロントガラスなどの車室構成部材に取り付けるための取付具であって、
前記車室構成部材に固着される車体側固着部と、
前記車両搭載型ドライビングレコーダに固着又は一体に設けられ、且つスライド操作によって前記車体側固着部に着脱可能に取り付けられる機器側取付部とを具備し、
前記機器側取付部及び車体側固着部のうちいずれか一方が、
前記機器側取付部及び車体側固着部のうちの他方と当接して当該機器側取付部のスライド移動を案内される被スライド案内面と、
前記スライド操作方向に伸び且つ一端側の内側同士の間隔を他端側の内側同士の間隔よりも大きく又は略等しくなるように対向配置した一対の対向壁と、
前記対向壁の一端側の内側同士間に形成され且つ前記スライド操作方向と直交する方向に貫通する貫通孔と、
被スライド案内面側における前記対向壁の他端側の内側の少なくとも一部同士間を連結する連結部と、
反被スライド案内面側における前記対向壁の他端側の内側同士と前記連結部とで囲まれ且つ前記貫通孔に連通する収容凹部と、を備え、
前記機器側取付部及び車体側固着部のうち他方が、
前記被スライド案内面と当接してスライド移動を案内するスライド案内面を有する平板部と、
前記対向壁の他端側同士間の間隔と略一致する幅寸法を有するとともに先端側が前記収容凹部に収容され、且つ、前記連結部を前記平面部との間に弾性変形しながら挟み込む平面視略矩形状の爪部と、を備えていることを特徴とする車両搭載型ドライビングレコーダの取付具。
【請求項2】
前記爪部が、
前記平板部から屈曲起立させた起立片と、前記起立片の先端部を前記平板部に近づく向きに折り曲げた後さらにその先端部を前記平板部から遠ざかる向きに折り曲げた略V字状を成し且つこのV字形状の谷部分で前記連結部に当接する当接片と、を具備していることを特徴とする請求項1記載の車両搭載型ドライビングレコーダの取付具。
【請求項3】
前記車体側固着部が、前記平板部の一端縁から屈曲し且つ取り付ける向きのスライド操作した際に前記機器側取付部の周壁に所定位置で当接する位置決め用当接部を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の車両搭載型ドライビングレコーダの取付具。
【請求項4】
前記貫通孔の開口が、前記車両搭載型ドライビングレコーダを取り付ける向きに漸次幅狭形状を有していることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の車両搭載型ドライビングレコーダの取付具。
【請求項5】
前記車両搭載型ドライビングレコーダが、全体としては概略卵形を成し且つ卵形の一部を平面で切断することにより形成される概略楕円形の平面部を備えたケーシングを具備し、
前記平面部の略中心部に配したGPSセンサやカメラなどの1又は複数のドライビング状況検知機器の両側に、対を成す前記機器側取付部を、それぞれ固着していることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の車両搭載型ドライビングレコーダの取付具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−24194(P2008−24194A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200125(P2006−200125)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】