説明

車両搭載用空調システム

【課題】送出空気量調整用のダンパを備える車両搭載用空調システムにおいて、ダンパの操作に応じてブロアモータの消費電力を調整することによりエアコンシステムの消費エネルギーを削減することを目的とする。
【解決手段】空気を送る駆動力を発生するブロアモータ12と、ブロアモータ12の駆動力によって送られた空気を操作に応じて遮るダンパ34とを備える車両搭載用空調システムにおいて、車室内に送る空気が遮られるようダンパ34が操作されると共にブロアモータ12への供給電力が小さくなるよう、ブロアモータ12への供給電力を調整する電力調整部10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送出空気流量調整用のダンパを備える車両搭載用空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用自動車、トラック等の車両は空調システムを備えることが多い。車両搭載用の空調システムは、ブロアモータによってブロアを駆動し、温度調整する空気をダクトへと送り込む。ダクトに導かれ温度調整された空気はレジスタから車室内へと送り込まれる。レジスタには、吹き出し口から送出される空気の量を調整するダンパを備えるものが多い。ダンパは、ダクトからレジスタに送られた空気を遮ることで送出される空気の流量を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−248936号公報
【特許文献2】特開2002−36845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両搭載用空調システムにおいては、ブロアによってダクトへと送り込まれた空気は、エバポレータにより冷却されヒータによって温度調整された後、レジスタへと送り込まれる。レジスタから吹き出す空気の温度が一定に維持されるようエバポレータを制御する場合、ブロアからエバポレータに送り込まれる空気の流量が減少すると、エバポレータにおける消費エネルギーは減少する。
【0005】
車両搭載用空調システムにおいては、一つのダクトから複数に分岐した各ダクトにレジスタが設けられることが一般的である。この構成においては、複数のレジスタのうち一部をダンパによって遮断することがある。例えば、運転席のみに乗員が搭乗しており、パッセンジャ側のレジスタを遮断した場合である。このとき、一部のレジスタの遮断に伴って、車両搭載用空調システムの消費エネルギーを低減させることが好ましい。
【0006】
ところが、このような車両搭載用空調システムでは、一部のレジスタを遮断した場合、ブロアによって共通のダクトへと送り込まれた空気は、遮断されていない残りのレジスタから吹き出される。このとき、残りのレジスタから吹き出される空気の流量は増加させる必要がない場合であっても増加する。そして、ブロアからエバポレータに送り込まれる空気の流量は減少しないため、レジスタから吹き出す温度を一定に制御する場合にはエバポレータにおける消費エネルギーは減少しない。そのため、消費エネルギー低減の観点から好ましくないという問題があった。
【0007】
本発明はこのような課題に対してなされたものである。すなわち、送出空気流量調整用のダンパを備える車両搭載用空調システムにおいて、ダンパの操作に応じて消費エネルギーを調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、空気を送る駆動力を発生するブロアモータと、前記ブロアモータの駆動力によって送られた空気を操作に応じて遮るダンパと、を備える車両搭載用空調システムにおいて、車室内に送る空気が遮られるよう前記ダンパが操作されると共に前記ブロアモータへの供給電力が小さくなるよう、前記ブロアモータへの供給電力を調整する電力調整部を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る車両搭載用空調システムにおいては、さらに、前記電力調整部は、直列接続された複数の抵抗器と、各抵抗器の前記ブロアモータへの接続状態を切り換える抵抗器スイッチ回路と、前記ダンパに設けられ、前記ダンパが操作されると共に前記抵抗器スイッチ回路を駆動するスイッチ駆動手段と、を備え、前記抵抗器スイッチ回路は、各抵抗器に対応して設けられたタップ端子と、各抵抗器に対応して設けられ、対応する抵抗器の両端のうちいずれか一方または他方を、その抵抗器に対応するタップ端子に接続するタップスイッチと、前記複数の抵抗器に対応するタップ端子のうちいずれかを選択し、前記ブロアモータの電力供給路の他端に接続する風量調整スイッチと、を備え、前記スイッチ駆動手段は、車室内に送られる空気が遮られるよう前記ダンパが操作されたときに、各タップスイッチをそれに対応する抵抗器の直列接続他端側の端子に接続することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の関連技術に係る車両搭載用空調システムにおいては、前記電力調整部は、前記ブロアモータへの供給電力を調整する抵抗器と、前記抵抗器を前記ブロアモータの電力供給路に挿入接続するか否かを切り換える抵抗器スイッチ回路と、前記ダンパに設けられ、前記ダンパが操作されると共に前記抵抗器スイッチ回路を駆動するスイッチ駆動手段と、を備え、前記スイッチ駆動手段は、車室内に送る空気が遮られるよう前記ダンパが操作されたときに、前記抵抗器が前記電力供給路に挿入接続されるよう、前記抵抗器スイッチ回路を駆動する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、送出空気流量調整用のダンパを備える車両搭載用空調システムにおいて、ダンパの操作に応じて消費エネルギーを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る車両搭載用空調システムの構成を示す図である。
【図2】第1の回路構成例を示す図である。
【図3】第2の回路構成例を示す図である。
【図4】第2の回路構成例に対する実装例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る車両搭載用空調システムのレジスタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に本発明の実施形態に係る車両搭載用空調システムの構成を示す。ブロアモータ12は、電力調整部10から供給される電力に応じてブロア14を駆動し、温度調整する空気を吸引口16からダクト18へと送り込む。ダクト18には、空気を冷却するエバポレータ20が備えられる。ブロア14からエバポレータ20に送り込まれた空気は、エバポレータ20において冷却される。ダクト18は、エバポレータ20より下流側でダクト18−1および18−2に分岐する。エバポレータ20から送り出された空気は、ダクト18−1および18−2に送り込まれる。
【0014】
ダクト18−1は、ダクト18の分岐端より下流側でさらに分岐ダクト18−1−1および18−1−2に分岐する。分岐ダクト18−1−1にはレジスタ32−1および32−2が設けられる。レジスタ32−1はコックピット中央部に配置され、レジスタ32−2はコックピットの運転席側または助手席側に配置される。分岐ダクト18−1−2には、運転席若しくは助手席の足下、またはフロントウインドウの下辺部のいずれかに開口する送風口26が設けられる。送風口26には、吹き出す流量を調整する送風口ダンパ30が設けられる。
【0015】
分岐ダクト18−2には、ダクト18の分岐端より下流側の位置に分岐開口24が設けられる。分岐開口24からは、細分岐ダクト18−2−1が分岐する。細分岐ダクト18−2−1にはレジスタ32−3および32−4が設けられる。レジスタ32−3はコックピット中央部に配置され、レジスタ32−4はコックピットの運転席側および助手席側のうち、レジスタ32−2が配置されていない側に配置される。分岐ダクト18−2には、さらに、運転席若しくは助手席の足下、またはフロントウインドウの下辺部のいずれかに開口する送風口28が設けられる。送風口28には、吹き出す流量を調整する送風口ダンパ30が設けられる。
【0016】
ダクト18の分岐端から細分岐ダクト18−1−1および18−1−2に至るまでの間、かつ、ダクト18の分岐端から分岐開口24に至るまでの間には、分岐ダクト18−1および18−2に跨るようヒータ22が設けられる。ヒータ22は、ダクト18から分岐ダクト18−1および18−2に送り込まれ、その下流側に至る空気を加熱する。
【0017】
このような構成によって、エバポレータ20から送り出され、分岐ダクト18−1および18−2に送り込まれた空気は、ヒータ22によって温度調整された後、レジスタ32−1〜32−4、および送風口26および28から送出される。
【0018】
レジスタ32−1〜32−4のそれぞれは、ダンパ34および風向調整板36を備える。ダンパ34は、細分岐ダクトから送り込まれた空気の遮蔽量を調整することで吹き出し口から送出される空気の量を調整する。ダンパ34には、板状部材を備え、板状部材の板面が空気の流通を遮る構成としたものを用いることができる。このような構成のダンパでは、板状部材を駆動し、板状部材の板面と流通路との角度を調整することで空気の流量を調整することができる。風向調整板36は、レジスタの吹き出し口に設けられ、吹き出し口から送出される空気の方向を調整する。
【0019】
なお、ここでは、レジスタの細分岐ダクトへの取り付け部付近にダンパ34を設けた構成について説明したが、エバポレータ20からレジスタに至るまでの間にダンパを設ける構成としてもよい。
【0020】
各レジスタに取り付けられたダンパ駆動機構38は操作ノブ40を備え、ユーザによる操作ノブ40の操作に応じてダンパ34を駆動する。ダンパ駆動機構38は、さらに、操作ノブ40の操作に応じて電力調整部10が備えるダンパスイッチ42を駆動する。
【0021】
電力調整部10は、コックピットに設けられる操作スイッチ44を備える。電力調整部10は、操作スイッチ44およびダンパスイッチ42のスイッチ状態に応じて、電源46からブロアモータ12へと供給される電力を調整する。
【0022】
図2に電力調整部10およびブロアモータ12の第1の回路構成例を示す。電源供給端子48は、電源46の正極端子に接続される。リレースイッチ50は、コイル52と電磁スイッチ54を備える。コイル52の一端は電源供給端子48に接続され、他端は操作スイッチ44の線状端子56に接続される。線状端子56は、操作スイッチ44の選択状態に応じて接地導体に接続され、または、接地導体から隔離されて開放状態となる。操作スイッチ44の選択状態に応じてコイル52には電流が流れ、コイル52に電流が流れることによって電磁スイッチ54がオンとなる。
【0023】
電磁スイッチ54の一端は、電源供給端子48に接続され他端はブロアモータ12の一端に接続される。ブロアモータ12の他端は抵抗器62−1の一端に接続され、抵抗器62−1の他端は抵抗器62−2の一端に接続される。抵抗器62−2の他端は抵抗器62−3の一端に接続され、抵抗器62−3の他端は抵抗器62−4の一端に接続される。抵抗器62−4の他端は接地導体に接続される。
【0024】
抵抗器62−1の両端には、ダンパスイッチ42−1が並列に接続される。抵抗器62−1および62−2の接続節点には、操作スイッチ44のハイ端子Hiが接続される。抵抗器62−2および62−3の接続節点には、操作スイッチ44のミドル2端子M2が接続される。抵抗器62−3および62−4の接続節点には、操作スイッチ44のミドル1端子M1が接続される。
【0025】
操作スイッチ44のコモン端子60は接地導体に接続される。コモン端子60には操作スイッチ切片58が接続される。操作スイッチ切片58は、線状端子56と接触しつつ、ハイ端子Hi、ミドル2端子M2、ミドル1端子M1、およびロー端子Loのうちいずれか1つの端子と接続される。また、操作スイッチ切片58は、線状端子56から隔離されると共にオフ端子OFFに接続される。ロー端子Loおよびオフ端子OFFは、操作スイッチ切片58が接続されないときは開放状態となる。
【0026】
ダンパスイッチ42−1は、レジスタ32−1〜32−4のうちのいずれかにおいて、ダンパ34の空気流量低減量が所定値を超えるよう、例えば、空気流量低減量が最大となるよう操作ノブ40が操作されたときにオフとなる。一方、レジスタ32−1〜32−4の総てにおいて、ダンパ34の空気流量低減量が所定値以下となるよう操作ノブ40が操作されたときに、ダンパスイッチ42−1はオンとなる。ダンパスイッチ42−1がオンになることで抵抗器62−1の両端は短絡される。
【0027】
操作スイッチ44の操作により、操作スイッチ切片58がハイ端子Hiに接続されると、線状端子56およびハイ端子Hiは、コモン端子60を介して接地導体に接続される。これによって、コイル52に電流が流れ電磁スイッチ54がオンになる。このとき、ダンパスイッチ42−1がオンであるときは、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、抵抗器62−1を流れずダンパスイッチ42−1および操作スイッチ44を介して接地導体に至る。したがって、ブロアモータ12に供給される電力は、抵抗器62−1によって低減されることはない。一方、ダンパスイッチ42−1がオフであるときは、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、抵抗器62−1および操作スイッチ44を介して接地導体に至る。したがって、ブロアモータ12に供給される電力は、抵抗器62−1によって低減される。
【0028】
操作スイッチ44の操作により、操作スイッチ切片58がミドル2端子M2に接続されると、線状端子56およびミドル2端子M2は、コモン端子60を介して接地導体に接続される。これによって、コイル52に電流が流れ電磁スイッチ54がオンになる。このとき、ダンパスイッチ42−1がオンであるときは、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、抵抗器62−1を流れずダンパスイッチ42−1、抵抗器62−2および操作スイッチ44を介して接地導体に至る。したがって、ブロアモータ12に供給される電力は、抵抗器62−2によって低減されるが抵抗器62−1によって低減されることはない。
【0029】
一方、ダンパスイッチ42−1がオフであるときは、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、抵抗器62−1、62−2、および操作スイッチ44を介して接地導体に至る。したがって、ブロアモータ12に供給される電力は、抵抗器62−1および62−2によって低減される。
【0030】
操作スイッチ44の操作により、操作スイッチ切片58がミドル1端子M1に接続されると、線状端子56およびミドル1端子M1は、コモン端子60を介して接地導体に接続される。これによって、コイル52に電流が流れ電磁スイッチ54がオンになる。このとき、ダンパスイッチ42−1がオンであるときは、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、抵抗器62−1を流れずダンパスイッチ42−1、抵抗器62−2、62−3および操作スイッチ44を介して接地導体に至る。したがって、ブロアモータ12に供給される電力は、抵抗器62−2および62−3によって低減されるが抵抗器62−1によって低減されることはない。
【0031】
一方、ダンパスイッチ42−1がオフであるときは、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、抵抗器62−1、62−2、62−3および操作スイッチ44を介して接地導体に至る。したがって、ブロアモータ12に供給される電力は、抵抗器62−1、62−2、および62−3によって低減される。
【0032】
操作スイッチ44の操作により、操作スイッチ切片58がロー端子Loに接続されると、線状端子56は、コモン端子60を介して接地導体に接続される。これによって、コイル52に電流が流れ電磁スイッチ54がオンになる。このとき、ダンパスイッチ42−1がオンであるときは、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、抵抗器62−1を流れずダンパスイッチ42−1、抵抗器62−2、62−3および62−4を介して接地導体に至る。したがって、ブロアモータ12に供給される電力は、抵抗器62−2、62−3および62−4によって低減されるが抵抗器62−1によって低減されることはない。
【0033】
一方、ダンパスイッチ42−1がオフであるときは、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、抵抗器62−1、62−2、62−3、および62−4を流れて接地導体に至る。したがって、ブロアモータ12に供給される電力は、抵抗器62−1、62−2、62−3および62−4によって低減される。
【0034】
操作スイッチ44の操作により、操作スイッチ切片58がオフ端子OFFに接続されると、操作スイッチ切片58は線状端子56から隔離される。これによって、コイル52に流れる電流は遮断され電磁スイッチ54はオフになる。電磁スイッチ54がオフになることにより、ブロアモータ12への電力供給は遮断され、ブロアモータ12が停止する。
【0035】
このような構成によれば、操作スイッチ切片58が、ロー端子Lo、ミドル1端子M1、ミドル2端子M2、ハイ端子Hiの順に接続されていくに従って、ブロアモータ12に直列接続される抵抗器の数が減少する。これによって、操作スイッチ44が、ロー端子Lo、ミドル1端子M1、ミドル2端子M2、ハイ端子Hiの順に切り換えられていくに従って、ブロアモータ12の供給電力を増加させ、ブロアモータ12によって送り出される空気の量を増加させることができる。したがって、操作スイッチ44の操作によって、レジスタから吹き出される空気の量を調整することができる。
【0036】
さらに、操作スイッチ切片58が、オフ端子OFFを除くいずれの端子に接続されている状態においても、ダンパスイッチ42−1がオフとなることによって、抵抗器62−1をブロアモータ12の供給電力低減に寄与させることができる。上記のように、ダンパスイッチ42−1は、レジスタ32−1〜32−4のうちのいずれかにおいてダンパ34の空気流量低減量が所定値を超えるよう操作ノブ40が操作されたときにオフとなる。したがって、レジスタ32−1〜32−4のうちのいずれかにおいて吹き出される空気がダンパ34によって遮断されたときには、ブロアモータ12に供給される電力を低減し、エバポレータ20に送り込む空気の流量を低減することができる。これによって、非遮断状態のレジスタから吹き出される空気の温度を一定に制御する場合には、エバポレータ20で消費されるエネルギーを低減することができる。したがって、車両搭載用空調システムの無駄なエネルギー消費を回避することができる。
【0037】
なお、ここでは、レジスタ32−1〜32−4のうちのいずれかにおいて、ダンパ34の空気流量低減量が所定値を超えるよう操作されたときにダンパスイッチ42−1がオフとなる場合について説明した。このような構成の他、レジスタ32−1〜32−4および送風口ダンパ30のうちいずれかにおける空気流量低減量が所定量を超えたときに、ダンパスイッチ42−1をオフとし、レジスタ32−1〜32−4および送風口ダンパ30の総てにおける空気流量低減量が所定量以下であるときに、ダンパスイッチ42−1をオンとする構成としてもよい。さらに、エバポレータ20からレジスタに至る間に追加的にダンパが設けられる構成とした場合には、レジスタ32−1〜32−4および当該ダンパのうちいずれかにおける空気流量低減量が所定量を超えたときに、ダンパスイッチ42−1をオフとし、レジスタ32−1〜32−4および当該ダンパの総てにおける空気流量低減量が所定量以下であるときに、ダンパスイッチ42−1をオンとする構成としてもよい。
【0038】
図3に電力調整部10の第2の回路構成例を示す。図1の構成部と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
ブロアモータ12の一端は、電磁スイッチ54の一端に接続される。ブロアモータ12の他端は抵抗器62−1の一端に接続され、抵抗器62−1の他端は抵抗器62−2の一端に接続される。抵抗器62−2の他端は抵抗器62−3の一端に接続され、抵抗器62−3の他端は接地導体に接続される。
【0040】
ダンパスイッチ42−2は、ブロアモータ12および抵抗器62−1の接続節点に接続される第1節点端子64−1、抵抗器62−1および62−2の接続節点に接続される第2節点端子64−2、抵抗器62−2および62−3の接続節点に接続される第3節点端子64−3、および開放状態とされた開放端子64−4を備える。
【0041】
また、ダンパスイッチ42−2は、第1節点端子64−1または第2節点端子64−2のいずれかに選択的に接続される第1タップ端子68−1、第2節点端子64−2または第3節点端子64−3のいずれかに選択的に接続される第2タップ端子68−2、および、第3節点端子64−3または開放端子64−4のいずれかに選択的に接続される第3タップ端子68−3を備える。
【0042】
さらに、ダンパスイッチ42−2は、第1タップ端子68−1に設けられ、第1タップ端子68−1を第1節点端子64−1または第2節点端子64−2に接続する第1切片66−1、第2タップ端子68−2に設けられ、第2タップ端子68−2を第2節点端子64−2または第3節点端子64−3に接続する第2切片66−2、および第3タップ端子68−3に設けられ、第3タップ端子68−3を第3節点端子64−3または開放端子64−4に接続する第3切片66−3を備える。
【0043】
第1切片66−1が第1タップ端子68−1を第1節点端子64−1に接続しているときは、第2切片66−2は第2タップ端子68−2を第2節点端子64−2に接続し、第3切片66−3は第3タップ端子68−3を第3節点端子64−3に接続する。以下この状態をハイ状態とする。
【0044】
また、第1切片66−1が第1タップ端子68−1を第2節点端子64−2に接続しているときは、第2切片66−2は第2タップ端子68−2を第3節点端子64−3に接続し、第3切片66−3は第3タップ端子68−3を開放端子64−4に接続する。以下この状態をロー状態とする。
【0045】
ダンパスイッチ42−2は、レジスタ32−1〜32−4のうちのいずれかにおいてダンパ34の空気流量低減量が所定値を超えるよう操作ノブ40が操作されたときにロー状態となる。一方、レジスタ32−1〜32−4の総てにおいて、ダンパ34の空気流量低減量が所定値以下となるよう、操作ノブ40が操作されたときに、ダンパスイッチ42−2はハイ状態となる。
【0046】
第1タップ端子68−1、第2タップ端子68−2、および第3タップ端子68−3は、それぞれ、ハイ端子Hi、ミドル2端子M2、およびミドル1端子M1に接続される。
【0047】
操作スイッチ44の操作により、操作スイッチ切片58がハイ端子Hiに接続されると、線状端子56およびハイ端子Hiは、コモン端子60を介して接地導体に接続される。これによって、コイル52に電流が流れ電磁スイッチ54がオンになる。このとき、ダンパスイッチ42−2がハイ状態であるときは、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、第1節点端子64−1、第1切片66−1、第1タップ端子68−1、および操作スイッチ44を介して接地導体に至る。
【0048】
一方、ダンパスイッチ42−2がロー状態であるときは、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、抵抗器62−1、第2節点端子64−2、第1切片66−1、第1タップ端子68−1、および操作スイッチ44を介して接地導体に至る。したがって、ブロアモータ12に供給される電力は、抵抗器62−1によって低減される。
【0049】
操作スイッチ44の操作により、操作スイッチ切片58がミドル2端子M2に接続されると、線状端子56およびミドル2端子M2は、コモン端子60を介して接地導体に接続される。これによって、コイル52に電流が流れ電磁スイッチ54がオンになる。このとき、ダンパスイッチ42−2がハイ状態であるときは、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、抵抗器62−1、第2節点端子64−2、第2切片66−2、第2タップ端子68−2、および操作スイッチ44を介して接地導体に至る。したがって、ブロアモータ12に供給される電力は、抵抗器62−1によって低減される。
【0050】
一方、ダンパスイッチ42−2がロー状態であるときは、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、抵抗器62−1、62−2、第3節点端子64−3、第2切片66−2、第2タップ端子68−2、および操作スイッチ44を介して接地導体に至る。したがって、ブロアモータ12に供給される電力は、抵抗器62−1および62−2によって低減される。
【0051】
操作スイッチ44の操作により、操作スイッチ切片58がミドル1端子M1に接続されると、線状端子56およびミドル1端子M1は、コモン端子60を介して接地導体に接続される。これによって、コイル52に電流が流れ電磁スイッチ54がオンになる。このとき、ダンパスイッチ42−2がハイ状態であるときは、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、抵抗器62−1、62−2、第3節点端子64−3、第3切片66−3、第3タップ端子68−3、および操作スイッチ44を介して接地導体に至る。したがって、ブロアモータ12に供給される電力は、抵抗器62−1および62−2によって低減される。
【0052】
一方、ダンパスイッチ42−2がロー状態であるときは、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、抵抗器62−1、62−2、および62−3を介して接地導体に至る。したがって、ブロアモータ12に供給される電力は、抵抗器62−1、62−2、および62−3によって低減される。
【0053】
操作スイッチ44の操作により、操作スイッチ切片58がロー端子Loに接続されると、線状端子56およびロー端子Loは、コモン端子60を介して接地導体に接続される。これによって、コイル52に電流が流れ電磁スイッチ54がオンになる。このとき、ダンパスイッチ42−2の状態に拘わらず、電磁スイッチ54に流入しブロアモータ12に流れる電流は、抵抗器62−1、62−2、および62−3を介して接地導体に至る。したがって、ブロアモータ12に供給される電力は、抵抗器62−1、62−2、および62−3によって低減される。
【0054】
操作スイッチ44の操作により、操作スイッチ切片58がオフ端子OFFに接続されると、操作スイッチ切片58は線状端子56から隔離される。これによって、コイル52に流れる電流は遮断され、電磁スイッチ54はオフになる。電磁スイッチ54がオフになることにより、ブロアモータ12への電力供給は遮断され、ブロアモータ12が停止する。
【0055】
このような構成によれば、操作スイッチ切片58が、ロー端子Lo、ミドル1端子M1、ミドル2端子M2、ハイ端子Hiの順に接続されていくに従って、ブロアモータ12に直列接続される抵抗器の数が減少する。これによって、操作スイッチ44が、ロー端子Lo、ミドル1端子M1、ミドル2端子M2、ハイ端子Hiの順に切り換えられていくに従って、ブロアモータ12の供給電力を増加させ、ブロアモータ12によって送り出される空気の量を増加させることができる。したがって、操作スイッチ44の操作によって、レジスタから吹き出される空気の量を調整することができる。
【0056】
さらに、操作スイッチ切片58が、ロー端子Loおよびオフ端子OFFを除くいずれの端子に接続されている状態においても、ダンパスイッチ42−2がハイ状態からロー状態となることによって、ブロアモータ12の供給電力低減に寄与させる抵抗を1つ増加させることができる。上記のように、ダンパスイッチ42−2は、レジスタ32−1〜32−4のいずれかにおいて、ダンパ34の空気流量低減量が所定値を超えるよう操作ノブ40が操作されたときにロー状態となる。したがって、レジスタ32−1〜32−4のうちのいずれかにおいて吹き出される空気がダンパ34によって遮断されたときには、ブロアモータ12に供給される電力を低減し、エバポレータ20に送り込む空気の流量を低減することができる。これによって、非遮断状態のレジスタから吹き出される空気の温度を一定に制御する場合には、エバポレータ20で消費されるエネルギーを低減することができる。したがって、車両搭載用空調システムの無駄なエネルギー消費を回避することができる。
【0057】
なお、ここでは、レジスタ32−1〜32−4のうちのいずれかにおいて、ダンパ34の空気流量低減量が所定値を超えるよう操作されたときにダンパスイッチ42−2がロー状態となる場合について説明した。このような構成の他、レジスタ32−1〜32−4および送風口ダンパ30のうちいずれかにおける空気流量低減量が所定量を超えたときに、ダンパスイッチ42−2をロー状態とし、レジスタ32−1〜32−4および送風口ダンパ30の総てにおける空気流量低減量が所定量以下であるときに、ダンパスイッチ42−2をハイ状態とする構成としてもよい。さらに、エバポレータ20からレジスタに至る間に追加的にダンパが設けられる構成とした場合には、レジスタ32−1〜32−4および当該ダンパのうちいずれかにおける空気流量低減量が所定量を超えたときに、ダンパスイッチ42−2をロー状態とし、レジスタ32−1〜32−4および当該ダンパの総てにおける空気流量低減量が所定量以下であるときに、ダンパスイッチ42−2をハイ状態とする構成としてもよい。
【0058】
図3に示す回路の実装例を図4に示す。この実装例は、ダンパスイッチ42−2と操作スイッチ44とを一体化させたものである。図3の構成部と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
基板70には、上下方向に直線状に延伸するコモン端子60、およびコモン端子60と上端を揃えて配置され、コモン端子60と平行に延伸する線状端子56が設けられる。線状端子56は、コモン端子60より短く形成される。
【0060】
ハイ端子Hiおよび第1タップ端子68−1の組、ミドル2端子M2および第2タップ端子68−2の組、およびミドル1端子M1および第3タップ端子68−3の組は、それぞれ、基板70上に配置されたパターン導体によって形成される。第1タップ端子68−1、第2タップ端子68−2、および第3タップ端子68−3は、上下方向に延伸する直線状に形成される。
【0061】
第1タップ端子68−1の上端近傍には第1節点端子64−1が配置される。第1タップ端子68−1の下端近傍から第2タップ端子68−2の上端近傍にかけては、上下方向に直線状に延伸する第2節点端子64−2が配置される。第2タップ端子68−2の下端近傍から第3タップ端子68−3の上端近傍にかけては、上下方向に直線状に延伸する第3節点端子64−3が配置される。
【0062】
操作スイッチレバー72は、スライド電極74およびスライド電極74の一端に設けられた操作ノブ76を備える。操作スイッチレバー72が、図4のハイの位置にあるときは、スライド電極74は、コモン端子60、線状端子56、およびハイ端子Hiを接続する。操作スイッチレバー72が、図4のミドル2の位置にあるときは、スライド電極74は、コモン端子60、線状端子56、およびミドル2端子M2を接続する。操作スイッチレバー72が、図4のミドル1の位置にあるときは、スライド電極74は、コモン端子60、線状端子56、およびミドル1端子M1を接続する。操作スイッチレバー72が図4のローの位置にあるときは、スライド電極74は、コモン端子60および線状端子56を接続する。操作スイッチレバー72が図4のオフの位置にあるときは、スライド電極74はコモン端子60と接触するが線状端子56を開放状態とする。
【0063】
櫛形フレーム78は絶縁体によって櫛状に形成される。3本の櫛歯フレーム78−2は、第1タップ端子68−1、第2タップ端子68−2、および第3タップ端子68−3が配置される間隔で幹フレーム78−1に取り付けられる。各櫛歯フレーム78−2の先端部には、第1切片66−1、第2切片66−2、および第3切片66−3が設けられる。幹フレーム78−1にはダンパスイッチ駆動ノブ80が設けられる。
【0064】
各タップ端子の上端部に切片が位置するよう櫛形フレーム78が位置するときは、第1切片66−1は第1タップ端子68−1を第1節点端子64−1に接続し、第2切片66−2は第2タップ端子68−2を第2節点端子64−2に接続し、第3切片66−3は第3タップ端子68−3を第3節点端子64−3に接続する。これによって、ダンパスイッチ42−2はハイ状態となる。一方、各タップ端子の下端部に切片が位置するよう櫛形フレーム78が位置するときは、第1切片66−1は第1タップ端子68−1を第2節点端子64−2に接続し、第2切片66−2は第2タップ端子68−2を第3節点端子64−3に接続し、第3切片66−3は第3タップ端子68−3を開放状態とする。これによって、ダンパスイッチ42−2はロー状態となる。
【0065】
図5は、実施例に係る車両搭載用空調システムのレジスタ32の斜視図である。図1の構成部と同一の構成部については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0066】
操作ノブ40は円板状に形成され、回転操作により第1ギア82を回転させる。第1ギア82にかみ合う第2ギア84は、第1ギア82の回転力によって回転し、ダンパ板86を回転させる。ダンパ板86は、その板面によってダクトから送られる空気を遮る。ダンパ板86には、突起部88が設けられており、ダンパ板86の回転と共に突起部88はスイッチ駆動素子90に接触する。スイッチ駆動素子90は、突起部88が接触することにより、上述のダンパスイッチ42−1または42−2を駆動する。これによって、ダンパ板86がダンパ板86の向きが空気流量低減量が大きくなる所定の範囲内にあるときに、ダンパスイッチ42−1または42−2がオフまたはロー状態となるよう、スイッチ駆動素子90を駆動することができる。なお、ここでは突起部88をダンパ板86に設ける構成としたが、スイッチ駆動素子90を駆動する同様の突起部を第2ギア84に設ける構成としてもよい。
【0067】
このような構成によれば、操作ノブ40の操作により、レジスタ32から送り出される空気が遮断されるようダンパ板86を駆動したときは、ダンパスイッチ42−1または42−2をオフまたはロー状態とすることができる。これによって、ダンパ板86によってレジスタ32から吹き出される空気が遮断されているときは、ブロアモータ12に供給される電力を低減することができ、車両搭載用空調システムの無駄なエネルギー消費を回避することができる。
【符号の説明】
【0068】
10 電力調整部、12 ブロアモータ、14 ブロア、16 吸引口、18 ダクト、18−1,18−2 分岐ダクト、18−1−1,18−1−2,18−2−1 細分岐ダクト、20 エバポレータ、22 ヒータ、24 分岐開口、26,28 送風口、30 送風口ダンパ、32,32−1〜32−4 レジスタ、34 ダンパ、36 風向調整板、38 ダンパ駆動機構、40,76 操作ノブ、42,42−1,42−2 ダンパスイッチ、44 操作スイッチ、46 電源、48 電源供給端子、50 リレースイッチ、52 コイル、54 電磁スイッチ、56 線状端子、58 操作スイッチ切片、60 コモン端子、62−1〜62−4 抵抗器、64−1 第1節点端子、64−2 第2節点端子、64−3 第3節点端子、64−4 開放端子、66−1 第1切片、66−2 第2切片、66−3 第3切片、68−1 第1タップ端子、68−2 第2タップ端子、68−3 第3タップ端子、70 基板、72 操作スイッチレバー、74 スライド電極、78 櫛形フレーム、78−1 幹フレーム、78−2 櫛歯フレーム、80 ダンパスイッチ駆動ノブ、82 第1ギア、84 第2ギア、86 ダンパ板、88 突起部、90 スイッチ駆動素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を送る駆動力を発生するブロアモータと、
前記ブロアモータの駆動力によって送られた空気を操作に応じて遮るダンパと、
を備える車両搭載用空調システムにおいて、
車室内に送る空気が遮られるよう前記ダンパが操作されると共に前記ブロアモータへの供給電力が小さくなるよう、前記ブロアモータへの供給電力を調整する電力調整部を備え、
前記電力調整部は、
直列接続された複数の抵抗器と、
各抵抗器の前記ブロアモータへの接続状態を切り換える抵抗器スイッチ回路と、
前記ダンパに設けられ、前記ダンパが操作されると共に前記抵抗器スイッチ回路を駆動するスイッチ駆動手段と、
を備え、
前記抵抗器スイッチ回路は、
各抵抗器に対応して設けられたタップ端子と、
各抵抗器に対応して設けられ、対応する抵抗器の両端のうちいずれか一方または他方を、その抵抗器に対応するタップ端子に接続するタップスイッチと、
前記複数の抵抗器に対応するタップ端子のうちいずれかを選択し、前記ブロアモータの電力供給路の他端に接続する風量調整スイッチと、
を備え、
前記スイッチ駆動手段は、
車室内に送られる空気が遮られるよう前記ダンパが操作されたときに、各タップスイッチをそれに対応する抵抗器の直列接続他端側の端子に接続することを特徴とする車両搭載用空調システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−49428(P2013−49428A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−269332(P2012−269332)
【出願日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【分割の表示】特願2008−335637(P2008−335637)の分割
【原出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】