説明

車両搭載端末機

【課題】 多様なサービスを統合的に提供できる車両搭載端末機を提供する。
【解決手段】 本発明の車両搭載端末機100は,構成部品が収容されるケースと,車両の現在位置情報を提供するGPS端末機と,各種操作を入力するためのキー入力部120と,記録手段102に記録された情報を読み取る読取装置110と,データを外部からダウンロードしてアップグレードするための直列通信部126と,スピーカと,データを無線信号に変調して路辺基地局側へ送受信する集積回路116と,狭域無線通信プロトコルを行うためのソフトウェアが搭載され,各種情報に基づいて情報を提供し,さらに選択された機能を提供する統合型マイクロプロセッサエイシック112とを含んで構成される。ここで,ケースには,少なくともGPSアンテナ,座標認識のための中央演算装置,およびPOIとGPS受信機とが内蔵されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,車両搭載型交通情報端末機に関し,より詳しくは,能動型(Active)狭域無線通信網(DSRC:Dedicated Short Range Communication)用車両搭載端末機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,通信(Telecommunication)と情報科学(Informatics)の融合により誕生したテレマティクス(Telematics)分野の技術が脚光を浴びている。テレマティクスとは,車両の運転者および搭乗者に対して,例えば交通情報案内,緊急急難,遠隔車両診断,インターネットサービスなどを提供して,動くビジネス空間(Mobile Office)を具現するサービスを意味する。
【0003】
このようなテレマティクスの基礎段階として,GPSを用いたナビゲーション端末機などが広く供給され,例えば車両に搭載されているが,このようなGPS端末機は,実時間交通情報を提供できないという短所がある。
【0004】
一方,高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)に適用される通信方式は,有線通信網,広域無線通信網,路辺通信網,車両間通信網などで区分できする。通常,有線通信網と広域無線通信網は,公衆通信網形態として提供される反面,路辺通信網と車両間通信網は,高速で走行する車両において実時間で使用されるITS専用通信網である。狭域無線通信(DSRC:Dedicated Short Range Communication)は,路辺通信網の一種であって,道路辺に設けられた路辺基地局装置(RSE:Road Side Equipment)と車両に搭載された車両搭載端末機(OBE:On Board Equipment)間に,短距離通信半径内で互いに無線通信して,自動料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection),道路交通安全情報提供など先端道路交通環境を構築できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,従来のDSRC用端末機はその機能が制限され,また,従来式の半導体を用いるため,体積が大きく価格が高い問題点があった。
【0006】
そこで,本発明は,上記問題に鑑みてなされたものであり,本発明の目的とするところは,GPS受信機を搭載し,様々なサービスを統合的に提供できる能動型短距離専用通信網用多機能統合車両搭載端末機(以下,簡単に「車両搭載端末機」と称する)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,所定の位置,例えば路辺やトールゲート,駐車場などに設けられた路辺基地局装置と無線通信または赤外線通信により通信可能に構成され,高度道路交通システムに用いられる車両搭載端末機が提供される。車両搭載端末機は,車両搭載端末機を構成する全体部品を実装するためのケースと,GPSアンテナを介してGPS衛星から航法データを受信して,車両の現在位置情報を提供するGPS端末機と,使用者が各種操作を入力するためのキー入力部と,車両の課金処理をするために,記録手段に記録された情報を読み取る読取装置(例えば,スマートカードに記録された金融情報を用いて,ETCによる通行料や駐車場使用時の駐車料金など,車両に関わる様々な課金処理をするために設けられるカードリーダ)と,ナビゲーションに利用される,例えば地理情報データなど各種データを,外部からダウンロードしてアップグレードするための直列通信部と,音を出力するためのスピーカと,データを無線信号に変調して,路辺基地局側へ送受信する集積回路と,狭域無線通信(DSRC)プロトコルを行うためのソフトウェアが搭載され,ナビゲーションのための地理情報データベース(DB),実時間交通情報のための実時間交通情報データベース(DB),GPS端末機から伝達された位置情報,集積回路伝達されたデータに基づいて,例えば交通情報などの情報をスピーカを介して提供し,さらにキー入力部の入力によって選択された機能を提供する統合型マイクロプロセッサエイシックとを含んで構成される。ここで,ケースには,少なくともGPS端末機の重要機能であるGPSアンテナ,座標認識のための中央演算装置(座標認識CPU),およびPOIと,ケースと電源,指示器などを使用して,GPS端末機のCPU機能を車両搭載端末機のCPU機能と連動させて,例えば車両位置および課金機能と道路周囲状態情報などを内蔵されたスピーカにより提供(音声サービス)するGPS受信機とが内蔵されることを特徴とする。
【0008】
ここで,集積回路は,例えば超小型高周波増幅用MMICを用いることができる。また,赤外線通信により路辺基地局装置と通信する車両搭載端末機の場合には,電気信号光変換送信および光電気信号変換受信装置が用いられる。
【0009】
本発明にかかる車両搭載端末機は,例えばMP3プレーヤーなどの音楽データ再生機器をケース内に備えることができる。これにより,キー入力部に,例えば音楽選択スイッチを設けて,車両運転中の音楽鑑賞を可能とする。音楽データ再生機器により再生されたデータは,内部スピーカまたはオーディオ出力端子から外部高性能スピーカを介して,外部に出力させることができる。
【0010】
また,車両搭載端末機のアンテナとGPSアンテナをケース内に設けることにより,別途のアンテナ付着装置を備える必要がない。また,赤外線通信の場合,電気信号光変換送信装置と光電気信号受信装置を車両搭載端末機内に設けて,相手基地局送受信装置と可視距離になるように構成される。
【0011】
統合型マイクロプロセッサエイシックは,ARM7 7DMまたは同等以上の性能を有するマイクロプロセッサコアに,L1レイヤー通信プロトコルを独自開発した変形ソフトウェアを備え,PLL周波数安定用コントローラを追加するために,マイクロプロセッサコアをUART4バンド以上に構成される。このように,本発明にかかる車両搭載端末機は,拡張型マイクロプロセッサを備えるように構成することができる。
【0012】
統合型マイクロプロセッサエイシックは,ARM7 7DMまたはARM9 9DMまたは同等以上の性能を有するマイクロプロセッサコアに,L2レイヤー通信プロトコルを独自開発した変形ソフトウェアを備え,デジタル機能とメモリ機能を追加するように構成することもできる。これにより,車両搭載端末機の小型化および低価格化を実現することができる。
【0013】
統合型マイクロプロセッサエイシックは,ARM7 7DMまたはARM9 9DMまたは同等以上の性能を有するマイクロプロセッサコアに,L7レイヤー通信プロトコルを独自開発した変形ソフトウェアを備えることにより,車両搭載端末機は,例えば車両機能状態,CANインターフェース,MP3などの音楽サービス機能を提供することができる。
【0014】
また,車両搭載端末機は,GPS端末機を車両搭載端末機に内蔵してサービスする場合において,将来ナビゲーション交通情報の追加補完および修正を要するとき,外部からダウンロードしてサービスを向上させることができる直列通信ポートと,ナビゲーションビデオ信号を外部ビデオモニタに出力するためのビデオ出力端子と,オーディオ出力端子をさらに備えることも可能である。
【0015】
さらに,車両搭載端末機は,ケース外部に機能スイッチを設けることにより,例えばOBE,GPS,MP3,OBE端末機,外部音声スピーカサービス,内部音声スピーカサービス,音量調節,LCDディスプレイ明度調整などの機能を選択できる。そして,どの機能を選んでも,車両が課金処理するために設置された路辺基地局装置,例えば有料道路トールゲートを通過するときには,自動で課金計算することができる。
【0016】
また,車両搭載端末機と路辺基地局装置(中継器)と通信する場合においては,例えばITS高周波方式またはIR光伝送方式のいずれかを各々別々に用いることもでき,場合によっては双方を用いることも可能である。
【0017】
本発明の車両搭載端末機は,GPS端末機で提供するナビゲーションサービスとDSRC方式で提供する実時間交通情報,自動料金収受システム(ETC)サービス,車両管理サービス,MP3音楽サービスなどを一つの端末機で提供できるので,設置および使用が便利で,例えば位置情報と車両速度情報,交通遅滞情報,課金装置情報,車種情報,MP3音楽際性機能,ナビゲーション監視機能など多様なサービスを簡単に提供できる。
【0018】
特に,既存のCPUではUARTによる2バンドに考案され,本発明のように追加機能を行うことは不可能であった。このため,別途に付加機能を有する装置を設ける必要があり,価格が高いという問題があった。しかし,本発明は,マイクロプロセッサの機能を改善することにより,4バンド以上に拡張され,追加機能を一度に統合できる。これにより,既存の約1/4の価格で具現することができる。
【0019】
また,従来の端末機は,GPS受信機アンテナ,車両搭載端末機のアンテナ,および音楽データ再生機器(例えばMP3チップ)を外部に設け,各々別途のケースと電源が必要であった。しかし,本発明は,このような部品をひとつのケース内部に収容することにより,電源ケースと指示器などを共用することができるので,既存の約1/3以下の価格で車両搭載端末機を構成することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば,GPS受信機を搭載し,様々なサービスを統合的に提供できる車両搭載端末機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
まず,図1a〜2に基づいて,本発明の実施形態にかかる車両搭載端末機にサービスを提供する全体システムの構成と,車両搭載端末機の構成について説明する。ここで,図1aおよび図1bは,本実施形態にかかる車両搭載端末機にサービスを提供する全体システムを示した概略図であり,図1aは側面図,図1bは正面図である。また,図2は,本実施形態にかかる車両搭載端末機の構成ブロック図である。
【0023】
図1a,図1bを参照すると,本実施形態にかかる車両搭載端末機100は,車両1に搭載され,DSRC網による通常のITSまたはIRサービスが提供されると共に,GPS衛星5から航法データを受信してナビゲーションサービスが提供される。すなわち,道路辺には,車両1に搭載された端末機100と通信できる路辺基地局200が,適当な間隔で設けられている。各路辺基地局200は,有/無線通信網210などを用いて,交通情報センタ220や各種サービスを提供する多機能サービスサーバ230に連結されている。このとき,必要によって金融決済システムやカード決済システム,緊急救難(警察署/消防署など)サービスシステム(いずれも図示せず。)なども,通信網210を介して連結されることができる。
【0024】
車両1に搭載された車両搭載端末機100は,車両1の走行中に常にGPS衛星5から航法データを受信して,常時ナビゲーションサービスを利用することができる。例えば,車両1が路辺基地局200の通信半径に進入すると,路辺基地局200とDSRC通信規格によって通信して,自動料金収受システム(ETC),車両管理,MP3音楽サービスなどの多様なサービスが提供される。さらに,交通情報センタ220から実時間交通情報が伝達され,車両搭載端末機100内の交通情報データベースに格納する。したがって,本実施形態にかかる車両搭載端末機100は,ナビゲーションサービスが提供される時に実時間交通情報を考慮して提供されるので,より正確な交通情報を提供することができる。
【0025】
このような本実施形態の車両搭載端末機100は,車両1やバッテリー電源を用いてシステムで必用とする電源を供給する電源部(図示せず)と,電源がオンされると,所定の機能を提供する回路部と,本実施形態にかかる車両搭載端末機100を車両1に容易に搭載するためのケース(図示せず)と,などで構成される。
【0026】
回路部は,図2に示すように,スマートカード102を読むためのカードリーダ110と,マイクロプロセッサエイシック(ASIC)112と,GPS受信機114と,MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit;モノリシマックマイクロ波集積回路)116と,IR電気信号光変換・光電気信号変換装置140と,各種動作状態を表示するためのディスプレイ部118,機能を選択するためのスイッチとキーパッドとからなるキー入力部120,MP3音楽ファイルを再生するためのMP3プレーヤー122と,オーディオ信号を増幅するための増幅器124と,スピーカ(SPK)と,直列通信ポート126と,ビデオ出力端子(Video Out)128と,オーディオ出力端子(Audio Out)130とで構成される。
【0027】
スマートカード102は,車両情報,課金,預置金額,加入者住所などの情報が記録されており,図2を参照すると,本実施形態にかかるOBE端末機のカードリーダ110に挿入して,記録された情報を車両端末機100に提供する。カードリーダ110は,スマートカード102に記録された情報を読んで,マイクロプロセッサ112に伝達する。
【0028】
キー入力部120は,使用者が各種操作をするための入力部であって,機能選択スイッチ,必要に応じて緊急救助を要請するボタンや各種サービスを要求するためのボタンおよび各種動作を設定するための数字パッドなどからなる。
【0029】
MP3プレーヤー122は,使用者の要求に従って,DSRC網の多機能サービスサーバ230からまたは直列通信部(UART)である直列通信ポート126を介して,MP3音楽ファイルをダウンし再生して,運転中の音楽鑑賞を可能とする。直列通信部(UART)126は,ナビゲーションのための地理情報データなど,固定された情報データをダウンロードしてアップグレードするためのRS−232C通信ポートあるいはUSBポートであって,PCやPDAなどの対応ポートに連結され,ナビゲーションデータアップグレードサイトからアップグレードデータをダウンロードする。
【0030】
GPS受信機114は,多様なナビゲーションデータを提供するために,GPSアンテナを介して衛星信号を受信,復調して航法データを抽出した後,車両1の現在位置情報を算出し,かかる位置情報をマイクロプロセッサ112に提供する。
【0031】
スピーカ(SPK)は,ナビゲーション情報や通行料課金状態,残余金額,警告音あるいはMP3プレーヤー122で再生されるサウンドなどを音として提供し,オーディオ出力端子(Audio Out)130は,オーディオ信号を車両の外部スピーカに出力する。
【0032】
ディスプレイ118は,現在走行中の地域の地図と走行速度,交通情報などを文字やグラフィックで表示し,ビデオ出力端子(Video Out)128は,外部のLCDにナビゲーション情報をディスプレイするために,ビデオ信号を出力する。
【0033】
MMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)116は,路辺基地局装置200とOBE間に無線通信でデータを送受信するためにエンコーディングデコーディング変調復調する。MMIC116は,DSRC無線規格によって,DSRCアンテナを介して路辺基地局装置200と通信する。すなわち,統合型マイクロプロセッサエイシック112から伝達されたデータを5.8GHz帯域の無線信号に変調して,アンテナを通して路辺基地局200側へ送信する。そして,アンテナを介して受信した無線信号を低雑音に増幅してから復調してデータを復号した後,統合型マイクロプロセッサエイシック112に伝達する。赤外線通信の場合には電気信号光変換送信し(基地局向き),光電気信号変換受信(OBE向き)してマイクロプロセッサに伝達する。なお,IR電気信号光変換・光電気信号変換装置140は,光信号を電気信号へ,または電気信号を光信号へと変換する。
【0034】
統合型マイクロプロセッサエイシック112は,本実施形態にかかる各種機能のサービスを提供する。マイクロプロセッサエイシック112は,図3a〜図3cに示したように,RISCタイププロセッサであるARM系列のプロセッサとして具現でき,内部のメモリにDSRCプロトコルを行うためのソフトウェアと,ナビゲーションのための地理情報データベース(DB),実時間交通情報のための実時間交通情報データベース(DB),車両状態情報(速度,車種情報など),GPS受信機114から伝達された位置情報を格納しており,キー入力部120の入力によって,多様な機能を提供する。例えば,普段はGPS受信機114から伝達された位置情報と車両状態情報(速度,車種など),地理情報データベース,および実時間交通情報データベースを用いて,ディスプレイ118上にナビゲーション情報を表示する。
【0035】
このような本実施形態にかかる車両搭載端末機100は,高速道路トールゲートを通過しながら自動で課金するにおいて,まず,能動型またはIR型車両搭載端末機(OBE)100に挿入されたスマートカード102に記録された車両情報,課金,預置金額,加入者住所などの情報がOBEのマイクロプロセッサ112に提供される。次いで,マイクロプロセッサ112により外部入力と演算して,MMIC116を介して高周波アップ/ダウン変換および変/復調,エンコード/デコードし,OBEアンテナに送信して,基地局または中継器に情報提供すると,提供された情報を基地局または中継器が受信する。なお,内蔵されたディスプレイ118にナビゲーション情報を表示したり,音声スピーカ(SPK)により出力し,場合によっては,外部端子(Audio Out, Video Out)128,130を通して,外部のディスプレイ(ビデオモニタ)やスピーカにより情報を提供できる。
【0036】
そして,このような本実施形態にかかる車両搭載端末機100の構成で,GPS受信機114の核心部であるアンテナと座標認識CPU,POI(Point Of Intered)をOBE端末機内に装着し,その他の指示器,電源ケース,アンテナなど一体を共用して構成することにより,全体の生産原価を大幅に低減させることができる。なお,使用中に新しい交通情報を追加情報として提供しようとする場合には,直列通信ポート126を通してダウンロードすることで,追加サービスが可能となる。
【0037】
なお,ビデオ出力端子128を介して,交通地図案内用ビデオモニタを連結して使用者に案内することもでき,運転中には道路状態,重要施設,建物位置などを音声スピーカ(SPK)により情報を提供したり,LCD118により文字サービスを提供することもできる。また,MP3プレーヤー122によって音楽機能を提供することができ,運転中にスピーカを通して音楽サービスを提供することもできる。
【0038】
本実施形態にかかる車両搭載端末機(OBE)100は,外部に駆動スイッチを設けて,GPS機能,MP3機能,交通情報機能など多様な機能を,キー入力部120の選択スイッチにより選択できるように構成することができる。そして,このような機能を使用する途中でも,トールゲート通過時には自動課金装置サービスが可能である。
【0039】
次に,図3a〜図3cに基づいて,本実施形態にかかる車両搭載端末機100を構成するマイクロプロセッサ112の実施例について説明する。ここで,図3aは,図2に示したマイクロプロセッサ112の第1実施例である。図3bは,図2に示したマイクロプロセッサ112の第2実施例である。図3cは,図2に示したマイクロプロセッサの第3実施例である。
【0040】
図3aを参照すると,本実施形態にかかるマイクロプロセッサ112の第1実施例では,ARM7 7DMコアマイクロプロセッサ310に,L1レイヤー通信プロトコル312を独自開発した変形インターフェースソフトウェアとPLL制御ソフトウェアとを追加することにより,課金,交通情報サービスを拡張することができる。
【0041】
図3bを参照すると,本実施形態にかかるマイクロプロセッサ112の第2実施例では,ARM9 9DMコアマイクロプロセッサ320に,L2レイヤー通信プロトコルの論理ソフトウェア322を独自開発した変形インターフェースを固有ソフトウェアとデジタルS/W,メモリS/Wなどに追加することにより性能を改善することができる。
【0042】
図3cを参照すると,本実施形態にかかるマイクロプロセッサ112の第3実施例では,ARM9 9DMコアマイクロプロセッサ320に,L7レイヤー通信プロトコルの応用プログラムで独自開発した変形インターフェースを固有S/Wに追加して,車両状態,CANインターフェース,MP3プレーヤーキー入力などのソフトウェアを追加することにより,多用な機能を提供することができる。
【0043】
図3dは,本実施形態にかかる車両搭載端末機100のソフトウェア構造を示した説明図である。本実施形態にかかる車両搭載端末機100のソフトウェア構造は,第1階層(L1)312から第7階層(L7)324まで階層化した構造からなっている。図3dを参照すると,本実施形態に適用されるソフトウェアは,物理階層(L1),論理階層(L2),ネットワーク階層(L3),および応用階層(L7)を階層化した構造を有している。
【0044】
以上のように,本実施形態にかかる車両搭載端末機100は,マイクロプロセッサ112の機能が改善される。既存CPUは,UARTによる2バンドで考案されていたため,上記のような機能追加が不可能であった。このため,別途に付加機能を有する個別装置を搭載しなければならず,価格が高かった。しかし,本実施形態の統合型のマイクロプロセッサ112は,4バンド以上で拡張開発して,上記のような機能追加を一度に統合できるので,価格を既存の1/4程度に抑えることができ,非常に安く具現できる。
【0045】
さらに,従来の端末機は,GPS受信機アンテナとOBEアンテナ,MP3チップを外部に設けていたため,各々別途のケースと電源が必要だったが,本発明はこのような機能をOBE端末機ケース内部に収容し,電源ケースと指示器などを共用することで,既存の1/3以下の価格とすることができ,様々な機能がひとつのケースに収容されるので取り付けが容易であるという利点もある。
【0046】
次いで,上記のように構成される本実施形態にかかる車両搭載端末機100を介して提供されるサービスの例を,図4〜図10を参照して説明する。
【0047】
図4は,本実施形態にかかる車両搭載端末機100の動作を示すフローチャートである。図5は,本実施形態にかかる車両搭載端末機100で,ナビゲーションデータをアップグレードする過程を示したフローチャートである。
【0048】
例えば,本実施形態にかかる車両搭載端末機100が装着された車両1が,DSRC方式による路辺基地局200が設けられた道路上を走行しているとする。
【0049】
まず,本実施形態にかかる車両搭載端末機100は,電源がオンされると,初期化を行う(ステップS1,S2)。次いで,GPS受信機114により,GPS衛星5から送信された衛星航法信号を受信する(ステップS3)。衛星航法信号は,能動チップGPSアンテナを介してGPS受信機114に受信される。さらに,受信した衛星航法信号を処理して,車両1の現在位置を計算する(ステップS4)。その後,統合型マイクロプロセッサエイシック112は,既にダウンロードした地理情報データベース(GIS DB)304と車両状態情報とを用いて,現在車両1が走行する位置の周辺地図をLCD画面に表示すると共に,車両の現在位置,速度などを表示することにより,ナビゲーションを開始する(ステップS5)。このとき,本実施形態にかかる車両搭載端末機100は,DSRC網を介して受信した実時間交通情報が格納されたDB302から,現在走行する位置の周辺の実時間交通情報と目的地の実時間交通情報を表示して,ナビゲーションだけでなく実時間交通情報も一緒に提供する。
【0050】
次いで,使用者のキー操作あるいはサーバからの指令によって,特定サービスが要請されると,所定の手順に従って該当サービスを提供する(ステップS6,S7)。このとき提供されるサービスは,ナビゲーション情報および実時間交通情報だけでなく,例えば車両管理サービス,緊急救助要請サービス,通行料自動徴収サービス,駐車料自動徴収サービス,MP3音楽サービス,インターネットサービス,放送サービス,方向速度位置情報提供サービス,高速道路車種,トールゲート課金装置付着情報提供サービスなど,多様なサービスがある。
【0051】
一方,本実施形態にかかる車両搭載端末機100は,正確な地理情報および交通情報のために,ナビゲーションデータをアップグレードできる。図5に示すように,車両搭載端末機100の通信部126をPCやPDAに連結した後(ステップS11),インターネットなどで道路交通情報データ更新サイトに接続し,ナビゲーションデータをダウンロードして(ステップS12),GIS DB304をアップグレードする(ステップS13)。このように,本実施形態にかかる車両搭載端末機100は,必要に応じてナビゲーションデータをアップグレードできるように構成されている。
【0052】
図6は,本実施形態にかかる車両搭載端末機100において,実時間交通情報を受信する手順を示したフローチャートである。
【0053】
本実施形態にかかる車両搭載端末機100は,通常はナビゲーションモードで動作し,路辺基地局200の通信半径に進入したかを確認している(ステップS21)。路辺基地局200の通信半径に進入したことを認識すると,MMIC116により路辺基地局200の無線信号を受信して,DSRCプロトコルによる通信を行う(ステップS22)。このとき,交通情報センタ220の実時間交通情報が,通信網210と該当路辺基地局200を介して,車両搭載端末機100のMMIC116に伝達されるが,MMIC116は,OBEアンテナを通して受信された無線信号を復調して,データを統合型マイクロプロセッサエイシック112に伝達する。データを受信した統合型マイクロプロセッサエイシック112は,これをデコーディングしてから,ナビゲーション時に参照する交通情報DB302をアップグレードする(ステップS23)。
【0054】
ここで,OBEと基地局(中継器)間の伝送を赤外線通信により行う場合は,OBEで電気信号を光に変換して送信し(基地局方向),また光信号を電気信号に変換してマイクロプロセッサに伝達する(OBE方向)。
【0055】
図7は,本実施形態にかかる車両搭載端末機100において,自動料金収受システム(ETC)の利用時の処理手順を示したフローチャートである。
【0056】
路辺基地局200がトールゲートに設けられた場合には,図7に示すように,自動料金収受システム(ETC)サービスを処理する。すなわち,まず,路辺基地局200がETCであるか否かを確認する(ステップS31)。ETCであれば,該当車両の有料道路進入情報などを用いて,通行料を計算してから課金を要請し,これによって,車両搭載端末機100は,カードリーダ110から読み取ったスマートカード102に記録された金融情報で決済し,精算する(ステップS32)。このとき,金融決済サーバなどを通して,使用者の計座やカード会社などを介して決済することもできる。
【0057】
図8は,本実施形態にかかる車両搭載端末機100において,応急救助サービスを利用する際の処理手順を示したフローチャートである。
【0058】
また,応急救助サービスにおける処理は,図8に示すように,まず,車両搭載端末機100の応急救助ボタンが押下されたか否かを確認する(ステップS41)。応急救助ボタンが押下された場合,GPS受信機114から算出された現在位置情報を取得する(ステップS42)。その後,DSRC網を介して交通情報センタ220に車両1の現在の位置情報と緊急救助要請信号とを伝達する(ステップS33)。これによって,交通情報センタ220は,使用者が搭乗する車両1の位置に近い警察署や119などに緊急遭難情報を伝送して,適切な措置をするように誘導できる。
【0059】
図9は,本実施形態にかかる車両搭載端末機100において,車両管理サービスを利用する際の処理手順を示したフローチャートである。
【0060】
図9を参照すると,まず,使用者がキーボタンを操作したり,サーバから車両管理指令によって,車両管理サービスが要請されると,車両の速度や車種情報などの各種車両状態情報が収集される(ステップS51)。次いで,収集された情報は,多機能サービスサーバ230に伝送される(ステップS52)。多機能サービスサーバ230は,所定の手順によって車両情報を用いて,車両管理に必要な措置などが要求されると措置指令を送信する(ステップS53)。その後,車両搭載端末機100は,指令を受信すると,該当指令をLCD画面などに表示する(ステップS54)。したがって,使用者は車両管理に関わる必要な措置を迅速に行うことができる。
【0061】
図10は,本実施形態にかかる車両搭載端末機100で,MP3音楽サービスを利用する際の処理手順を示したフローチャートである。
【0062】
まず,使用者がMP3音楽サービスを要請すると,図10に示すように,多機能サービスサーバ230からMP3音楽ファイルをダウンロードしたり,既にダウンロードして格納しておいたMP3音楽ファイルをMP3プレーヤー122に送信する(ステップS61)。そして,MP3プレーヤー122によって受信したMP3音楽ファイルを再生し,増幅器124およびスピーカ(SPK)を介して,音として出力する(ステップS62)。
【0063】
なお,本実施形態にかかる車両搭載端末機100は,アンテナとスピーカを端末機に内蔵することもでき,または便利上ケーブルを用いてガラス窓に付着させて利用することもできる。また,車両搭載端末機100を運転席の傍に備えて,音量を調節しやすいように設置することができる。
【0064】
以上の実施例では,多機能サービスサーバによって提供されるいくつのサービスを例として説明したが,本発明はこのような例に限られず,使用者は,車両搭載端末機100を用いて,他の多くのサービスを多様な方式で利用することができる。
【0065】
以上,本発明の実施形態にかかる車両搭載端末機について説明した。本実施形態にかかる車両搭載端末機は,GPS端末機の重要機能であるアンテナ,座標認識CPU,POIなどをひとつのケース内に収容することにより,GPS端末機のCPU機能と車両搭載端末機のCPU機能とが連動して,例えば車両位置および課金機能と道路周囲状態情報などの情報を提供することができる。また,統合型マイクロプロセッサとしてARM7 7DMまたはARM9 9DMまたはそれに同等またはそれ以上の性能を有するマイクロプロセッサコアに対して,L1,L2,L7レイヤーに独自開発したソフトウェアを備えることにより,車両搭載端末機を小型化および低価格化することが可能となる。
【0066】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1a】本実施形態にかかる車両搭載端末機に,サービスを提供する全体システムを示した概略図である。
【図1b】本実施形態にかかる車両搭載端末機に,サービスを提供する全体システムを示した概略図である。
【図2】本実施形態にかかる車両搭載端末機の構成ブロック図である。
【図3a】図2に示したマイクロプロセッサの第1実施例である。
【図3b】図2に示したマイクロプロセッサの第2実施例である。
【図3c】図2に示したマイクロプロセッサの第3実施例である。
【図3d】本実施形態にかかる車両搭載端末機のソフトウェア構造を示した説明図である。
【図4】本実施形態にかかる車両搭載端末機の動作を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態にかかる車両搭載端末機で,ナビゲーションデータをアップグレードする過程を示したフローチャートである。
【図6】本実施形態にかかる車両搭載端末機で,実時間交通情報を受信する手順を示したフローチャートである。
【図7】本実施形態にかかる車両搭載端末機で,自動料金収受システムの利用時の処理手順を示したフローチャートである。
【図8】本実施形態にかかる車両搭載端末機で,応急救助サービスの利用時の処理手順を示したフローチャートである。
【図9】本実施形態にかかる車両搭載端末機で,車両管理サービスの利用時の処理手順を示したフローチャートある。
【図10】本実施形態にかかる車両搭載端末機で,MP3音楽サービスの利用時の処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 車両
5 GPS衛星
100 車両搭載端末機
200 路辺基地局
210 通信網
220 交通情報センタ
230 多機能サービスサーバ
102 スマートカード
110 カードリーダ
112 統合マイクロプロセッサASIC
114 GPS受信機
116 MMIC
118 ディスプレイ
120 キー入力部
122 MP3プレーヤー
124 増幅器
126 直列通信ポート
128 ビデオ出力端子
130 オーディオ出力端子
140 IR,または電気信号光変換送信装置と光電気信号変換受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置に設けられた路辺基地局装置と無線通信または赤外線通信により通信可能に構成され,高度道路交通システムに用いられる車両搭載端末機において:
車両搭載端末機を構成する部品を実装するためのケースと;
GPSアンテナを介してGPS衛星から航法データを受信して,車両の現在位置情報を提供するGPS端末機と;
各種操作を入力するためのキー入力部と;
前記車両の課金処理をするために,記録手段に記録された情報を読み取る読取装置と;
ナビゲーションに利用されるデータを,外部からダウンロードしてアップグレードするための直列通信部と;
音を出力するためのスピーカと;
前記データを無線信号に変調して,前記路辺基地局側へ送受信する集積回路と;
狭域無線通信プロトコルを行うためのソフトウェアが搭載され,ナビゲーションのための地理情報データベース,実時間交通情報のための実時間交通情報データベース,前記GPS端末機から伝達された位置情報,前記集積回路から伝達されたデータに基づいて,前記スピーカを介して情報を提供し,さらに前記キー入力部の入力によって選択された機能を提供する統合型マイクロプロセッサエイシックと;
を含んで構成され,
前記ケースには,
少なくとも前記GPSアンテナ,座標認識のための中央演算装置,およびPOIと,
前記GPS端末機のCPU機能を前記車両搭載端末機のCPU機能と連動させるためのGPS受信機と,が内蔵されることを特徴とする,車両搭載端末機。
【請求項2】
前記ケース内に音楽データ再生機器をさらに備え,
前記キー入力部により,音楽データの選択および再生を行うことが可能であり,
前記スピーカまたはオーディオ出力端子から外部スピーカを介して出力されることを特徴とする,請求項1に記載の車両搭載端末機。
【請求項3】
前記車両搭載端末機のアンテナと前記GPSアンテナとが前記ケース内に設けられ,
前記赤外線通信を行う場合,電気信号光変換送信装置と光電気信号受信装置とを備え,相手側基地局送受信装置と可視距離になるように構成されることを特徴とする,請求項1に記載の車両搭載端末機。
【請求項4】
前記統合型マイクロプロセッサエイシックは,L1レイヤー通信プロトコルをソフトウェアとして有する,ARM7 7DMまたは同等以上の性能を有するマイクロプロセッサコアを備え,
前記マイクロプロセッサコアは,UARTが4バンド以上となるように構成されることを特徴とする,請求項1に記載の車両搭載端末機。
【請求項5】
前記統合型マイクロプロセッサエイシックは,L2レイヤー通信プロトコルをソフトウェアとして有する,ARM7 7DMまたはARM9 9DMまたは同等以上の性能を有するマイクロプロセッサコアを備え,
前記統合型マイクロプロセッサエイシックに,デジタル機能とメモリ機能とが追加されることを特徴とする,請求項1に記載の車両搭載端末機。
【請求項6】
前記統合型マイクロプロセッサエイシックは,L7レイヤー通信プロトコルをソフトウェアとして有する,ARM7 7DMまたはARM9 9DMまたは同等以上の性能を有するマイクロプロセッサコアを備えることを特徴とする,請求項1に記載の車両搭載端末機。
【請求項7】
前記GPS端末機を内蔵する場合,
外部からデータをダウンロードするための直列通信ポートと,
ナビゲーションビデオ信号を外部ビデオモニタに出力するためのビデオ出力端子と,
オーディオ出力端子と,
をさらに備えることを特徴とする,請求項1に記載の車両搭載端末機。
【請求項8】
前記ケースの外部に機能を選択するための機能スイッチが設けられ,
選択された前記機能に基づいて,前記車両が課金処理するために設置された前記路辺基地局装置を通過するときに課金計算されることを特徴とする,請求項1に記載の車両搭載端末機。
【請求項9】
前記路辺基地局装置と通信する方式は,ITS高周波方式またはIR光伝送方式のいずれか一方もしくは双方を用いることができることを特徴とする,請求項1〜請求項8のいずれかに記載の車両搭載端末機。


【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−196006(P2006−196006A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7852(P2006−7852)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(504244449)ハイゲインアンテナ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】