車両整備情報通信システム及び整備情報サーバ
【課題】 車両部品の平均的な交換時期をユーザに通知することにより、ユーザにとってより信頼性の高い部品交換の通知を行うことが可能な車両整備情報通信システム及び整備情報サーバを提供する。
【解決手段】 車両に搭載されたナビゲーション装置1は、車両部品(例えばエンジンオイルやオイルフィルタ等)が交換された場合に、前回交換時からの期間や交換時の日付等の情報を交換記録情報として、ネットワークを介して整備情報サーバ100へと送信し、交換記録データベース99cに交換情報を登録する。整備情報サーバ100は、多数の車両についての交換記録情報を交換記録データベース99cに有しており、そこから車両部品の適切な交換時期を集計し、その時期が到来したらナビゲーション装置1に対して車両部品の交換を促す交換勧告情報を送信する。
【解決手段】 車両に搭載されたナビゲーション装置1は、車両部品(例えばエンジンオイルやオイルフィルタ等)が交換された場合に、前回交換時からの期間や交換時の日付等の情報を交換記録情報として、ネットワークを介して整備情報サーバ100へと送信し、交換記録データベース99cに交換情報を登録する。整備情報サーバ100は、多数の車両についての交換記録情報を交換記録データベース99cに有しており、そこから車両部品の適切な交換時期を集計し、その時期が到来したらナビゲーション装置1に対して車両部品の交換を促す交換勧告情報を送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両部品の交換時期を整備情報サーバから車載装置に通知する車両整備情報通信システム、及びそれを構成する整備情報サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のメンテナンス情報を表示するための種々の情報装置が提案されている。例えば、特許文献1及び2に見られるような情報表示装置があるが、これらの情報表示装置は、自車のメンテナンス履歴を基にあらかじめ設定されたメンテナンス時期になるとユーザにメンテナンスを促すものである。
【0003】
【特許文献1】特開平9−115097号公報
【特許文献2】特開昭63−245798号公報
【特許文献3】特開2002−352390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に見られる情報装置は、あらかじめ設定されたメンテナンス時期を自動的に表示するだけであるが、かかるメンテナンス時期は一般的に安全側に考えるために短めの期間が設定されていることが多く、本当に交換が必要であるか否かユーザに疑問が残ることがある。また、使用している部品や車両の違いを考慮することはない。
【0005】
本発明は、上記問題を鑑みて為されたものであり、車両部品の平均的な交換時期をユーザに通知することにより、ユーザにとってより信頼性の高い部品交換の通知を行うことが可能な車両整備情報通信システム及び整備情報サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の車両整備情報通信システムでは、
車両の整備情報を管理する整備情報サーバと、該整備情報サーバと通信可能な車載装置とを含んで構築される車両整備情報通信システムであって、
車載装置は、車両部品の交換情報とその交換時における車両情報とを含む交換記録情報が入力される入力手段と、該交換記録情報を整備情報サーバに送信する送信手段とを備え、
整備情報サーバは、車載装置から交換記録情報を受信する受信手段と、交換記録情報を記憶する交換記録記憶手段と、該交換記録記憶手段に記憶されている交換記録情報に基づき車両部品の推奨次回交換時を算出する交換時期算出手段と、推奨次回交換時の到来により車載装置に車両部品の交換勧告情報を送信する送信手段とを備え、
車載装置は更に、整備情報サーバから交換勧告情報を受信する受信手段と、交換勧告情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の車両整備情報通信システムでは、上記交換記録情報の入力及び送信を端末装置により行う。すなわち、
車両の整備情報を管理する整備情報サーバと、該整備情報サーバと通信可能な車載装置と、該整備情報サーバと通信可能な端末装置とを含んで構築される車両整備情報通信システムであって、
端末装置は、車両部品の交換情報とその交換時における車両情報とを含む交換記録情報が入力される入力手段と、該交換記録情報を整備情報サーバに送信する送信手段とを備え、
整備情報サーバは、車載装置から交換記録情報を受信する受信手段と、交換記録情報を記憶する交換記録記憶手段と、該交換記録記憶手段に記憶されている交換記録情報に基づき車両部品の推奨次回交換時を算出する交換時期算出手段と、推奨次回交換時の到来により車載装置に車両部品の交換勧告情報を送信する送信手段とを備え、
車載装置は、整備情報サーバから交換勧告情報を受信する受信手段と、交換勧告情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
なお、上記の車両整備情報通信システムを主に構成する請求項10の整備情報サーバは、車両の整備情報を管理する整備情報サーバであって、車両部品の交換情報とその交換時における車両情報とを含む交換記録情報を車載装置又は端末装置から受信する受信手段と、交換記録情報を記憶する交換記録記憶手段と、該交換記録記憶手段に記憶されている交換記録情報に基づき車両部品の推奨次回交換時を算出する交換時期算出手段と、推奨次回交換時の到来により車載装置に車両部品の交換勧告情報を送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記本発明によると、整備情報サーバが収集した交換記録情報に基づいて車両部品の推奨次回交換時を算出することから、当該車両部品の好ましい交換時期を得ることができ、これにより車載装置のユーザにとってより信頼性の高い車両部品の交換勧告情報を提供することが可能となる。
【0010】
請求項4の車両整備情報通信システムでは、交換時期算出手段は、交換記録記憶手段に記憶されている複数の車両についての交換記録情報の統計を採り、その平均に基づいて推奨次回交換時を算出するように構成できる。整備情報サーバが収集した複数の車両についての交換記録情報の統計を採ることで、車載装置のユーザは、他の車両との比較の中でより信頼性の高い車両部品の交換勧告情報を得ることができる。
【0011】
請求項5の車両整備情報通信システムでは、整備情報サーバに送信される交換記録情報には、車両部品の前回交換時から今回交換時までの交換期間が含まれ、交換時期算出手段は、交換記録記憶手段に記憶されている交換期間の統計を採り、その平均に基づいた期間を今回交換時に加算することにより推奨次回交換時とするように構成できる。このように推奨次回交換時を得ることによって、対象となる車両部品についての平均的な交換時期をユーザに提供することができる。
【0012】
請求項6の車両整備情報通信システムでは、交換記録記憶手段に車両部品の前回交換時が既に記憶されている場合に、当該前回交換時から交換記録情報に含まれる今回交換時までの期間を交換期間として交換記録記憶手段に記憶するように構成できる。交換記録記憶手段に既に記憶されている前回交換時から交換期間を得ることで、より正確な交換期間を得ることができる。
【0013】
請求項7の車両整備情報通信システムでは、整備情報サーバは、交換記録記憶手段が記憶している車両部品のリストである部品リストを有する部品リスト記憶手段を備え、入力手段では、整備情報サーバから受信した部品リストに基づいて、交換した車両部品の選択及び交換記録情報の入力が可能である。かかる部品リストによって、ユーザにとっては、交換記録情報の入力がより直感的かつ簡易的となる。
【0014】
請求項8の車両整備情報通信システムでは、整備情報サーバに送信される交換記録情報には、交換した車両部品の種類が含まれ、交換時期算出手段は、交換記録記憶手段に記憶されている交換記録情報について車両部品の種類ごとの統計を採り、その平均に基づいて推奨次回交換時を算出するよう構成できる。車両部品の種類ごとの統計を採ることにより、種類ごとの特性に応じた情報を得ることができ、車載装置のユーザにとってより有用で信頼性の高い車両部品の交換勧告情報を提供することが可能となる。
【0015】
請求項9の車両整備情報通信システムでは、整備情報サーバに送信される交換記録情報には、車両の種類が含まれ、交換時期算出手段は、交換記録記憶手段に記憶されている交換記録情報について車両の種類ごとの統計を採り、その平均に基づいて推奨次回交換時を算出するよう構成できる。車両の種類ごとの統計を採ることにより、種類ごとの特性に応じた情報を得ることができ、車載装置のユーザにとってより有用で信頼性の高い車両部品の交換勧告情報を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<第一実施形態>
(1)車両整備情報通信システム
以下、本発明の車両整備情報通信システムの第一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、整備情報サーバ100と、それと通信可能に構成されたカーナビゲーション装置1(本発明の車載装置に相当:以下、ナビゲーション装置1という)とを含んで構築された車両整備情報通信システムの全体の構成を概略的に示すものである。車両に搭載されたナビゲーション装置1は、車両部品(例えばエンジンオイルやオイルフィルタ等)が交換された場合に、前回交換時からの期間や交換時の日付等の情報を交換記録情報として、ネットワークを介して整備情報サーバ100へと送信し、交換記録データベース99cに交換情報を登録する。整備情報サーバ100は、多数の車両についての交換記録情報を交換記録データベース99cに有しており、そこから車両部品の適切な交換時期を集計し、その時期が到来したらナビゲーション装置1に対して車両部品の交換を促す交換勧告情報を送信する。以下、システムを構成するナビゲーション装置1及び整備情報サーバ100の詳細をそれぞれ説明する。
【0017】
(2)ナビゲーション装置
図2は、ナビゲーション装置1の全体構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、位置検出器2,データ入力器31,操作スイッチ群41,リモコン端末43,リモコンセンサ42,表示装置51,音声出力装置52,外部メモリ33及びこれらが接続された制御回路10を備えている。
【0018】
位置検出器2は、GPS衛星から送信されたGPS電波を受信し、その受信したGPS電波に格納されているパラメータを演算して位置データを取得するGPS受信機21、地磁気に基づいて方位を検出し、その検出した方位を表す方位データを取得する地磁気センサ22、角速度を検出することに基づいて方位を算出し、その算出した方位を示す方位データを取得するジャイロスコープ23、走行距離を検出し、その検出した距離を示す距離データを取得する距離センサ24を備えて構成され、各センサが取得した各データを相互補完することによって、自車の現在位置を検出(特定)と正確な走行距離の計測を行う。
【0019】
データ入力器31は、例えばCD−ROM,DVD−ROM,ハードディスクドライブ(HDD)或いはメモリカードなどの外部記録媒体32から、地図データ,マップマッチング用データ,目印データ或いはHTMLデータなどの各種データを入力する。
【0020】
操作スイッチ群41は、例えば、表示装置51と一体になったタッチスイッチ若しくはメカニカルなスイッチ等が用いられる。タッチスイッチは、表示装置51の画面上に縦横に微細に配置された赤外線センサより構成されており、例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が次元座標値(X,Y)として検出される。また、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。リモコン端末43も、この操作スイッチ群41と同等の機能を有して構成されている。これら操作スイッチ群41及びリモコン端末43により種々の指示を入力することが可能である。すなわち、これら操作スイッチ群41及びリモコン端末43が本発明における入力手段に相当する。
【0021】
表示装置51は、カラー液晶表示器により構成されており、その画面には位置検出器2から入力された車両現在位置マークと、データ入力器31から入力された地図データと、更に地図上に表示する誘導経路等付加データとを重ね合わせて表示すると共に、本画面に経路案内の設定および経路誘導中の案内や画面の切り換え操作を行うためのメニューボタンが表示される。なお、表示装置51が本発明における出力手段に相当する。また、音声出力装置52は、アンプやスピーカから構成され、目的地までの経路案内の実行時には案内のための合成音声を出力する。
【0022】
通信インターフェース61は、携帯電話機62との間のインターフェース機能を有しており、外部ネットワークとの接続を可能にしている。すなわち、通信インターフェース61は、携帯電話機62との連携により本発明における車載装置の送信手段及び受信手段として機能する。また、本発明における送信手段及び受信手段としては、携帯電話機62に限らず、専用のデータ通信モジュール「DCM」(Data Communication Module)等を用いることができる。
【0023】
制御回路10は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU11,ROM12,RAM13,入出力インターフェース(I/O)14及びこれらの構成を接続するバスライン15が備えられている。CPU11は、ROM12及びRAM13に記憶されたプログラム及びデータにより制御を行う。ROM12は、プログラム格納領域12aとデータ記憶領域12bとを有している。プログラム格納領域12aにはナビゲーションプログラム(以下、ナビプログラムと称する)12pが格納される。データ記憶領域12bにはナビプログラム12pの動作に必要なデータが格納されている。なお、これらのプログラム及びデータは、外部メモリ33に記憶されていてもよい。また、ナビプログラム12pは、RAM13上にてナビプログラム用ワークメモリ13wを作業領域とする形で作動する。かかる構成により、ナビゲーション装置1は、CPU11によりナビプログラム12pが起動されると、本発明に係る車載装置として機能する。
【0024】
また、制御回路10は、リアルタイムクロック(RTC)16を有しており、現在の日時の取得が可能となっている。本実施形態では、当該RTC16が、本発明の日付取得手段に相当する。なお、現在の日時は、上記したGPS受信器21が車両の位置とともに取得するUTC時刻から日本標準時刻に換算して取得することもできる。この場合は、当該GPS受信機21が日付取得手段として機能する。
【0025】
(3)整備情報サーバ
図3は、整備情報サーバ100の全体構成を示すブロック図である。整備情報サーバ100は、CPU91,ROM92,RAM93及び入出力インターフェース(I/O)94を有し、これらがバスライン95により接続された制御部90を備え、これに周辺機器として、キーボードやマウス等の操作入力部97,表示装置98,外部との通信を行うネットワーク制御部96(本発明における整備情報サーバの受信部及び送信部),ハードディスク装置(HDD)99等が接続されている。ネットワーク制御部96は、上記したナビゲーション装置1との間のネットワークを通じた通信を制御する。なお、制御部90が本発明における交換時期算出手段に相当する。
【0026】
HDD99には、オペレーティングシステムプログラム(以下、OSという)99a及び整備情報サーバプログラム99bが格納されている。整備情報サーバプログラム99bは、整備情報サーバ100としての機能を実現するためOS99a上でRAM93に確保される整備情報サーバワークメモリ93bを作業領域とする形で作動するものである。RAM93には、OS99aのワークメモリ93aも形成される。かかる構成により、整備情報サーバ100は、CPU91により整備情報サーバプログラム99bが起動されると、本発明に係る整備情報サーバとして機能する。
【0027】
また、HDD99には、交換記録データベース99cが構築されており、これが本発明における交換記録記憶手段に相当する。交換記録データベース99cは、図6に示すように、複数のナビゲーション装置1に対して装置識別番号を付与しており、それら各ナビゲーション装置1に対して「エンジンオイル」や「オイルフィルタ」等の部品毎に、前回交換時から要した期間である「交換期間」,当該期間内に車両が走行した距離である「交換距離」,交換時の日付である「交換日」等の値を記憶している。また、図では省略されているが、他にも、交換時における「積算走行距離」、車両の「車種」、交換した部品のメーカーや型番等の「部品の種類」などを記憶している。
【0028】
また、交換記録データベース99cには、各部品についてCPU91により算出された「交換期間」及び「交換距離」の平均値が平均値記憶領域(図6の右側)に記憶されている。また、平均値の他に、標準偏差σを求めて記憶させておくこともでき、後述する推奨次回交換時の算出において平均値とともに利用することができる。さらに、交換記録データベース99cは、かかる平均値等を基にCPU91により算出された各ナビゲーション装置1のそれぞれの部品についての推奨次回交換時も記憶している。推奨次回交換時についての詳細は後述する。
【0029】
また、HDD99には、部品リストデータベース99dが構築されており、これが本発明における部品リスト記憶手段に相当する。部品リストデータベース99dは、交換記録データベース99cに記憶されている交換部品のリスト(部品リスト)を記憶しており、かかる部品リストは、ナビゲーション装置1からのアクセスによりナビゲーション装置1の表示装置51に出力される(図4参照)。また、部品リストは、ナビゲーション装置1の操作スイッチ群41等の入力手段により選択可能とされている。
【0030】
さらに、部品リストデータベース99dには、部品リスト中の一つの部品がナビゲーション装置1の入力手段により選択された場合に、その次に表示装置51に対して出力する入力項目リストを記憶している(図5参照)。当該入力項目リストは、上記した交換記録データベース99cが各部品に係る領域内で記憶する項目に対応するものであり、ナビゲーション装置1の操作スイッチ群41等の入力手段により入力可能とされている。なお、「交換日」の項目については、上述したように制御回路10のRTC16等から得ることができるので、省略することができる。
【0031】
(4)ナビゲーション装置1及び整備情報サーバ100が行う処理
次に、上記したナビゲーション装置1及び整備情報サーバ100の作動について、図4ないし図9を参照して説明する。ここで、図8及び図9は、ナビゲーション装置1のCPU11が実行するナビプログラム12pの処理並びに整備情報サーバ100のCPU91が実行する整備情報サーバプログラム99bの処理をフローチャートとして示している。図8のフローチャートは、車両部品の交換記録情報をナビゲーション装置1から整備情報サーバ100の交換記録データベース99cに登録する交換記録情報登録処理を示すものである。また、図9のフローチャートは、推奨次回交換時の到来により整備情報サーバ100がナビゲーション装置1に対して行う部品交換の勧告処理を示すものである。
【0032】
(4−1)交換記録情報登録処理
図8の交換記録情報登録処理について説明する。ナビゲーション装置1が搭載された車両のユーザは、車両部品の交換を行うと、交換記録情報の登録を整備情報サーバ100に対して行う。すなわち、まずナビゲーション装置1のCPU11は、ユーザにより交換部品リストの要求が入力手段41等で操作されたことを検出すると(ステップS11)、交換部品リスト要求を携帯電話機62から整備情報サーバ100に送信させる(ステップS12)。
【0033】
整備情報サーバ100のCPU91は、ナビゲーション装置1からの交換部品リスト要求の受信を検出すると(ステップS21)、部品リストデータベース99dに記憶されている部品リストを読み出し、ネットワーク制御部96からナビゲーション装置1に送信させる(ステップS22)。そして、ナビゲーション装置1のCPU11は、整備情報サーバ100から部品リストを受信したことを検出すると(ステップS13)、図4に示すように、表示装置51の画面に部品リストを表示させる(ステップS14)。
【0034】
部品リストは、画面右下にタッチスイッチが構成されており、ユーザは「上スクロール」キー或いは「下スクロール」キーを操作して該当する部品にカーソルを合わせ、「決定」キーの操作により選択を行う。その後、ナビゲーション装置1のCPU11は、部品の選択が行われたことを検知すると(ステップS15)、携帯電話機62から整備情報サーバ100に部品選択通知を送信させる(ステップS16)。整備情報サーバ100のCPU91は、部品選択通知の受信を検出すると(ステップS23)、部品リストデータベース99dに記憶されている入力項目リストを読み出し、ネットワーク制御部96からナビゲーション装置1に送信させる(ステップS24)。そして、ナビゲーション装置1のCPU11は、整備情報サーバ100から入力項目リストを受信したことを検出すると(ステップS17)、図5に示すように、表示装置51の画面に入力項目リストを表示させる(ステップS18)。
【0035】
入力項目リストは、部品の交換情報(交換日,交換期間,交換距離,部品の種類等)及びその交換時における車両情報(積算走行距離等)などの交換記録情報の入力欄を有しており、ユーザは操作スイッチ群41等の入力手段によって当該入力欄に交換記録情報を入力する。なお、上記したように交換日については、制御部10のRTC16によって取得可能である。CPU11は、交換記録情報が入力されて「送信」キーが操作されたことを検知すると(ステップS19)、携帯電話機62から整備情報サーバ100に交換情報を送信させる(ステップS20)。
【0036】
なお、ステップS19で、CPU11が入力項目リストの必須入力項目に入力されてないことを検知した場合には、再度の入力を促す画面を表示する(図示せず)。ここで、交換記録情報のうち「交換期間」及び「交換距離」については、後述するように、交換情報データベース99cに前回交換時の日付及び積算走行距離が既に記憶されていれば、整備情報サーバ100側で算出することができるので、必須入力項目としなくてもよい。
【0037】
そして、整備情報サーバ100のCPU91は、ナビゲーション装置1から交換記録情報を受信したことを検出すると(ステップS25)、受信した交換記録情報を交換記録データベース99cに記憶させるが(ステップS28)、その前に必要に応じて交換期間及び交換距離の計算を行う。すなわち、交換情報データベース99cに前回交換時の日付及び積算走行距離が既に記憶されている場合には、交換期間及び交換距離の計算が必要と判断して(ステップS26)、ナビゲーション装置1から受信した交換記録情報に含まれる今回の部品交換に係る日付及び積算走行距離と、交換情報データベース99cに記憶されている前回交換時の日付及び積算走行距離とを比較することによって交換期間及び交換距離を算出する(ステップS27)。なお、ナビゲーション装置1から受信する交換記録情報に交換期間及び交換距離が含まれている場合であっても、交換情報データベース99cに前回交換時の日付及び積算走行距離が既に記憶されていれば、整備情報サーバ100のCPU91により交換期間及び交換距離を算出した方がより正確なデータを得られるため、算出した結果を採用する。
【0038】
その後、整備情報サーバ100のCPU91は、交換情報データベース99cに交換記録情報を記憶させる(ステップS28)。以上によって、交換記録情報の登録処理が終了する。なお、ナビゲーション装置1が初めて交換記録情報を交換情報データベース99cに登録する場合には、整備情報サーバ100のCPU91は、当該ナビゲーション装置1に新たな装置識別番号を付与した上で、その装置識別番号の領域に交換記録情報を記憶させる。すなわち、例えば、図6に示すように、交換情報データベース99cにこれよりも以前に他の6台のナビゲーション装置に対して装置識別番号「0001」〜「0006」が付与されて交換記録情報が記憶されているとした場合に、整備情報サーバ100のCPU91は、初めて交換記録情報を送信するナビゲーション装置1に対して次番の装置識別番号「0007」を付与し、受信した交換記録情報を交換記録データベース99cの装置識別番号「0007」の領域に記憶させる(図6参照)。一方、交換記録情報を送信するナビゲーション装置1が、前に交換記録情報を交換記録データベース99cに登録して装置識別番号を既に有している場合には、整備情報サーバ100のCPU91は、受信した交換記録情報を該当する装置識別番号の領域に上書きする。
【0039】
(4−2)交換記録情報の統計及び次回推奨交換時の算出
次に、整備情報サーバ100のCPU91による交換記録情報の統計及び次回推奨交換時の算出について説明する。整備情報サーバプログラム99bには、整備情報サーバ100のCPU91に定期的に以下の処理を行わせるプログラムが含まれている。CPU91は、交換記録データベース99cに記憶されている交換記録情報のうち「交換期間」及び「交換距離」を読み出し、その統計を採って、各部品についての平均値を交換記録データベース99cの平均値記憶領域に記憶させる(図6参照)。そして、得られた「平均交換期間」を各装置識別番号(ナビゲーション装置1)の「交換日」に加算し、その値を次回推奨交換時として、さらに交換記録データベース99cに記憶させる(図6参照)。なお、次回推奨交換時の算出方法としては、例えば、平均値のみならず標準偏差σも考慮した平均値+σや平均値+3σ等の統計値を用いて、その値を「交換日」に加算して次回推奨交換時とする等の方法を採用することもできる。
【0040】
また、交換記録情報の統計は、例えば、交換部品の種類や車両の種類等に応じて個別に行うこともできる。すなわち、交換記録情報には、図5に示すように交換部品の種類(メーカ名や型番等)や車両の種類が含まれているので、上記処理における交換記録情報の統計を、交換部品の種類別(例えば「A」という種類のエンジンオイル)に採ることができる。そして、部品の種類毎の平均値を上記した交換記録データベース99cの平均値の領域に記憶させ、それを該当する装置識別番号(ナビゲーション装置1)の「交換日」に加算して次回推奨交換時とする。これによって、より信頼性の高い情報をユーザに提供できる。
【0041】
(4−3)部品交換の勧告処理
次に、図9の部品交換の勧告処理について説明する。整備情報サーバプログラム99bには、整備情報サーバ100のCPU91に各ナビゲーション装置1の各部品について次回推奨交換時が到来したか否かを定期的に判定させるプログラムが含まれている。CPU91は、当該判定により次回推奨交換時が到来している部品が存在する場合には(ステップS41)、部品の交換勧告情報をネットワーク制御部96からナビゲーション装置1に送信させる(ステップS42)。ナビゲーション装置1のCPU11は、交換勧告情報の受信を検知すると(ステップS31)、それを表示装置51の画面に図7に示すように出力する(ステップS32)。
【0042】
具体的には、推奨次回交換時となった対象が装置識別番号0007のエンジンオイルであったとすると、整備情報サーバ100のCPU91は、交換記録データベース99cから交換期間及び交換距離の平均値や最終交換時の交換日及び積算走行距離を読出して、交換勧告情報に含めてネットワーク制御部96から装置識別番号0007に該当するナビゲーション装置1に送信させる。そして、ナビゲーション装置1のCPU11は、かかる交換勧告情報を受信すると、表示装置51に対して図7に示すように、部品の交換を促すメッセージの出力を行うとともに、交換期間及び交換距離の平均値や最終交換時の交換日及び積算走行距離の出力を行う。このように、交換期間及び交換距離の平均値が表示されることによって、ユーザにとってより信頼性の高い部品交換の勧告を行うことができる。
【0043】
また、上記処理における交換勧告情報は、例えば「A」という種類のエンジンオイルといったように、その部品の種類についての交換期間及び交換距離の平均値を表示させることができる(図7参照)。すなわち、上述したように交換記録データベース99cには部品の種類毎の交換期間及び交換距離の平均値を記憶させておくことができるので、整備情報サーバ100のCPU91は、最終交換時の交換日及び積算走行距離とともに、該当するナビゲーション装置1に係る部品の種類及びその部品の種類に係る交換期間及び交換距離の平均値を交換記録データベース99cから読み出し、これらを交換勧告情報に含めるようにする。そして、ナビゲーション装置1のCPU11は、図7に示すように、部品の種類(例えば「A」というエンジンオイル)及びその部品の種類に係る交換期間及び交換距離の平均値を表示装置51へ出力する。これによって、ユーザは自己の使用する部品についての平均的な交換情報を得ることができる。
【0044】
<第二実施形態>
以下、本発明の車両整備情報通信システムの第二実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、上記第一実施形態と重複する箇所については、同番号を付して説明を省略する。第二実施形態の車両整備情報通信システムでは、図10に示すように、整備情報サーバ100から交換勧告情報をナビゲーション装置1に対して送信することは上記第一実施形態と同様であるが、整備情報サーバ100の交換記録データベース99cへの交換記録情報の登録を端末装置200からも行うことができる点を特徴とする。
【0045】
かかる端末装置200は、例えばカーディーラやモータース、修理工場等の部品交換業者の下に設置しておくことができる。すなわち、部品交換は個人で行うようなケースはあまり多くなく、実際にはカーディーラやモータース、修理工場等の部品交換業者に依頼して交換を行うのが一般的であるため、部品交換を行った業者がその都度ユーザに代わって交換記録情報の登録を端末装置200において行うようにしている。これによって、ユーザの手間が省けるとともに、ユーザによる入力では期待できない詳細かつ正確な交換記録情報を整備情報サーバ100によって集計することができる。しかも、部品交換の勧告はユーザのナビゲーション装置1に直接行われることから、より信頼性の高い部品交換の勧告をユーザは労せず得ることができる。
【0046】
端末装置200の説明を行う。図11は、端末装置200の全体構成を示すブロック図である。端末装置200は、パソコン等として構成でき、CPU81,ROM82,RAM83及び入出力インターフェース(I/O)84を有し、これらがバスライン85により接続された制御部80を備え、これに周辺機器として、キーボードやマウス等の操作入力部87,表示装置88,外部との通信を行うネットワーク制御部86(本発明における端末装置の送信部),ハードディスク装置(HDD)89等が接続されている。ネットワーク制御部86は、上記した整備情報サーバ100との間のネットワークを通じた通信を制御する。
【0047】
HDD89には、オペレーティングシステムプログラム(以下、OSという)89a及び交換記録登録プログラム89bが格納されている。交換記録登録プログラム89bは、OS89a上でRAM83に確保される登録プログラムワークメモリ83bを作業領域とする形で作動するものである。RAM83には、OS89aのワークメモリ83aも形成される。かかる構成を持つことにより、端末装置200は、CPU81により交換記録登録プログラム89bが起動されると、本発明に係る端末装置として機能する。
【0048】
上記した端末装置200の作動について説明する。端末装置200のCPU81は、交換記録登録プログラム89bの実行により交換記録情報登録処理を行う。当該交換記録情報登録処理は、図9の第一実施形態に係る交換記録情報登録処理におけるナビゲーション装置1が本実施形態に係る端末装置200に置き換わったものであり、同様の処理を行う。従って、端末装置200の表示装置88の画面には図4に示した部品リストや図5に示した登録項目リストが表示されて、各リストにはキーボードやマウス等の操作入力部87の操作による入力が行われる。このようにして端末装置200による交換記録情報の登録が行われると、その後の処理は第一実施形態と同じである。すなわち、整備情報サーバ100において、交換期間及び交換距離の平均値の算出及び推奨次回交換時の算出が行われて、推奨次回交換時の到来により該当するナビゲーション装置1に対して交換勧告情報を送信する。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第一実施形態に係る車両整備情報通信システムの全体の構成を概略的に示す図
【図2】ナビゲーション装置(車載装置)の全体構成を示すブロック図
【図3】整備情報サーバの全体構成を示すブロック図
【図4】ナビゲーション装置の表示装置の画面に出力された部品リストを示す図
【図5】ナビゲーション装置の表示装置の画面に出力された登録項目リストを示す図
【図6】交換記録データベース内のデータ構造を示す図
【図7】ナビゲーション装置の表示装置の画面に出力された交換勧告情報を示す図
【図8】ナビゲーション装置及び整備情報サーバが行う交換記録情報登録処理のフローチャート
【図9】ナビゲーション装置及び整備情報サーバが行う部品交換の勧告処理のフローチャート
【図10】本発明の第二実施形態に係る車両整備情報通信システムの全体の構成を概略的に示す図
【図11】端末装置の全体構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0051】
1 ナビゲーション装置(車載装置)
41 操作スイッチ群(入力手段)
43 リモコン端末(入力手段)
51,88 表示装置(出力手段)
62 携帯電話(送信手段,受信手段)
86,96 ネットワーク制御部(送信手段,受信手段)
87 操作入力部(入力手段)
90 制御部(交換時期算出手段)
99c 交換記録データベース(交換記録記憶手段)
100 整備情報サーバ
200 端末装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両部品の交換時期を整備情報サーバから車載装置に通知する車両整備情報通信システム、及びそれを構成する整備情報サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のメンテナンス情報を表示するための種々の情報装置が提案されている。例えば、特許文献1及び2に見られるような情報表示装置があるが、これらの情報表示装置は、自車のメンテナンス履歴を基にあらかじめ設定されたメンテナンス時期になるとユーザにメンテナンスを促すものである。
【0003】
【特許文献1】特開平9−115097号公報
【特許文献2】特開昭63−245798号公報
【特許文献3】特開2002−352390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に見られる情報装置は、あらかじめ設定されたメンテナンス時期を自動的に表示するだけであるが、かかるメンテナンス時期は一般的に安全側に考えるために短めの期間が設定されていることが多く、本当に交換が必要であるか否かユーザに疑問が残ることがある。また、使用している部品や車両の違いを考慮することはない。
【0005】
本発明は、上記問題を鑑みて為されたものであり、車両部品の平均的な交換時期をユーザに通知することにより、ユーザにとってより信頼性の高い部品交換の通知を行うことが可能な車両整備情報通信システム及び整備情報サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の車両整備情報通信システムでは、
車両の整備情報を管理する整備情報サーバと、該整備情報サーバと通信可能な車載装置とを含んで構築される車両整備情報通信システムであって、
車載装置は、車両部品の交換情報とその交換時における車両情報とを含む交換記録情報が入力される入力手段と、該交換記録情報を整備情報サーバに送信する送信手段とを備え、
整備情報サーバは、車載装置から交換記録情報を受信する受信手段と、交換記録情報を記憶する交換記録記憶手段と、該交換記録記憶手段に記憶されている交換記録情報に基づき車両部品の推奨次回交換時を算出する交換時期算出手段と、推奨次回交換時の到来により車載装置に車両部品の交換勧告情報を送信する送信手段とを備え、
車載装置は更に、整備情報サーバから交換勧告情報を受信する受信手段と、交換勧告情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3の車両整備情報通信システムでは、上記交換記録情報の入力及び送信を端末装置により行う。すなわち、
車両の整備情報を管理する整備情報サーバと、該整備情報サーバと通信可能な車載装置と、該整備情報サーバと通信可能な端末装置とを含んで構築される車両整備情報通信システムであって、
端末装置は、車両部品の交換情報とその交換時における車両情報とを含む交換記録情報が入力される入力手段と、該交換記録情報を整備情報サーバに送信する送信手段とを備え、
整備情報サーバは、車載装置から交換記録情報を受信する受信手段と、交換記録情報を記憶する交換記録記憶手段と、該交換記録記憶手段に記憶されている交換記録情報に基づき車両部品の推奨次回交換時を算出する交換時期算出手段と、推奨次回交換時の到来により車載装置に車両部品の交換勧告情報を送信する送信手段とを備え、
車載装置は、整備情報サーバから交換勧告情報を受信する受信手段と、交換勧告情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
なお、上記の車両整備情報通信システムを主に構成する請求項10の整備情報サーバは、車両の整備情報を管理する整備情報サーバであって、車両部品の交換情報とその交換時における車両情報とを含む交換記録情報を車載装置又は端末装置から受信する受信手段と、交換記録情報を記憶する交換記録記憶手段と、該交換記録記憶手段に記憶されている交換記録情報に基づき車両部品の推奨次回交換時を算出する交換時期算出手段と、推奨次回交換時の到来により車載装置に車両部品の交換勧告情報を送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記本発明によると、整備情報サーバが収集した交換記録情報に基づいて車両部品の推奨次回交換時を算出することから、当該車両部品の好ましい交換時期を得ることができ、これにより車載装置のユーザにとってより信頼性の高い車両部品の交換勧告情報を提供することが可能となる。
【0010】
請求項4の車両整備情報通信システムでは、交換時期算出手段は、交換記録記憶手段に記憶されている複数の車両についての交換記録情報の統計を採り、その平均に基づいて推奨次回交換時を算出するように構成できる。整備情報サーバが収集した複数の車両についての交換記録情報の統計を採ることで、車載装置のユーザは、他の車両との比較の中でより信頼性の高い車両部品の交換勧告情報を得ることができる。
【0011】
請求項5の車両整備情報通信システムでは、整備情報サーバに送信される交換記録情報には、車両部品の前回交換時から今回交換時までの交換期間が含まれ、交換時期算出手段は、交換記録記憶手段に記憶されている交換期間の統計を採り、その平均に基づいた期間を今回交換時に加算することにより推奨次回交換時とするように構成できる。このように推奨次回交換時を得ることによって、対象となる車両部品についての平均的な交換時期をユーザに提供することができる。
【0012】
請求項6の車両整備情報通信システムでは、交換記録記憶手段に車両部品の前回交換時が既に記憶されている場合に、当該前回交換時から交換記録情報に含まれる今回交換時までの期間を交換期間として交換記録記憶手段に記憶するように構成できる。交換記録記憶手段に既に記憶されている前回交換時から交換期間を得ることで、より正確な交換期間を得ることができる。
【0013】
請求項7の車両整備情報通信システムでは、整備情報サーバは、交換記録記憶手段が記憶している車両部品のリストである部品リストを有する部品リスト記憶手段を備え、入力手段では、整備情報サーバから受信した部品リストに基づいて、交換した車両部品の選択及び交換記録情報の入力が可能である。かかる部品リストによって、ユーザにとっては、交換記録情報の入力がより直感的かつ簡易的となる。
【0014】
請求項8の車両整備情報通信システムでは、整備情報サーバに送信される交換記録情報には、交換した車両部品の種類が含まれ、交換時期算出手段は、交換記録記憶手段に記憶されている交換記録情報について車両部品の種類ごとの統計を採り、その平均に基づいて推奨次回交換時を算出するよう構成できる。車両部品の種類ごとの統計を採ることにより、種類ごとの特性に応じた情報を得ることができ、車載装置のユーザにとってより有用で信頼性の高い車両部品の交換勧告情報を提供することが可能となる。
【0015】
請求項9の車両整備情報通信システムでは、整備情報サーバに送信される交換記録情報には、車両の種類が含まれ、交換時期算出手段は、交換記録記憶手段に記憶されている交換記録情報について車両の種類ごとの統計を採り、その平均に基づいて推奨次回交換時を算出するよう構成できる。車両の種類ごとの統計を採ることにより、種類ごとの特性に応じた情報を得ることができ、車載装置のユーザにとってより有用で信頼性の高い車両部品の交換勧告情報を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<第一実施形態>
(1)車両整備情報通信システム
以下、本発明の車両整備情報通信システムの第一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、整備情報サーバ100と、それと通信可能に構成されたカーナビゲーション装置1(本発明の車載装置に相当:以下、ナビゲーション装置1という)とを含んで構築された車両整備情報通信システムの全体の構成を概略的に示すものである。車両に搭載されたナビゲーション装置1は、車両部品(例えばエンジンオイルやオイルフィルタ等)が交換された場合に、前回交換時からの期間や交換時の日付等の情報を交換記録情報として、ネットワークを介して整備情報サーバ100へと送信し、交換記録データベース99cに交換情報を登録する。整備情報サーバ100は、多数の車両についての交換記録情報を交換記録データベース99cに有しており、そこから車両部品の適切な交換時期を集計し、その時期が到来したらナビゲーション装置1に対して車両部品の交換を促す交換勧告情報を送信する。以下、システムを構成するナビゲーション装置1及び整備情報サーバ100の詳細をそれぞれ説明する。
【0017】
(2)ナビゲーション装置
図2は、ナビゲーション装置1の全体構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、位置検出器2,データ入力器31,操作スイッチ群41,リモコン端末43,リモコンセンサ42,表示装置51,音声出力装置52,外部メモリ33及びこれらが接続された制御回路10を備えている。
【0018】
位置検出器2は、GPS衛星から送信されたGPS電波を受信し、その受信したGPS電波に格納されているパラメータを演算して位置データを取得するGPS受信機21、地磁気に基づいて方位を検出し、その検出した方位を表す方位データを取得する地磁気センサ22、角速度を検出することに基づいて方位を算出し、その算出した方位を示す方位データを取得するジャイロスコープ23、走行距離を検出し、その検出した距離を示す距離データを取得する距離センサ24を備えて構成され、各センサが取得した各データを相互補完することによって、自車の現在位置を検出(特定)と正確な走行距離の計測を行う。
【0019】
データ入力器31は、例えばCD−ROM,DVD−ROM,ハードディスクドライブ(HDD)或いはメモリカードなどの外部記録媒体32から、地図データ,マップマッチング用データ,目印データ或いはHTMLデータなどの各種データを入力する。
【0020】
操作スイッチ群41は、例えば、表示装置51と一体になったタッチスイッチ若しくはメカニカルなスイッチ等が用いられる。タッチスイッチは、表示装置51の画面上に縦横に微細に配置された赤外線センサより構成されており、例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が次元座標値(X,Y)として検出される。また、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。リモコン端末43も、この操作スイッチ群41と同等の機能を有して構成されている。これら操作スイッチ群41及びリモコン端末43により種々の指示を入力することが可能である。すなわち、これら操作スイッチ群41及びリモコン端末43が本発明における入力手段に相当する。
【0021】
表示装置51は、カラー液晶表示器により構成されており、その画面には位置検出器2から入力された車両現在位置マークと、データ入力器31から入力された地図データと、更に地図上に表示する誘導経路等付加データとを重ね合わせて表示すると共に、本画面に経路案内の設定および経路誘導中の案内や画面の切り換え操作を行うためのメニューボタンが表示される。なお、表示装置51が本発明における出力手段に相当する。また、音声出力装置52は、アンプやスピーカから構成され、目的地までの経路案内の実行時には案内のための合成音声を出力する。
【0022】
通信インターフェース61は、携帯電話機62との間のインターフェース機能を有しており、外部ネットワークとの接続を可能にしている。すなわち、通信インターフェース61は、携帯電話機62との連携により本発明における車載装置の送信手段及び受信手段として機能する。また、本発明における送信手段及び受信手段としては、携帯電話機62に限らず、専用のデータ通信モジュール「DCM」(Data Communication Module)等を用いることができる。
【0023】
制御回路10は、通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU11,ROM12,RAM13,入出力インターフェース(I/O)14及びこれらの構成を接続するバスライン15が備えられている。CPU11は、ROM12及びRAM13に記憶されたプログラム及びデータにより制御を行う。ROM12は、プログラム格納領域12aとデータ記憶領域12bとを有している。プログラム格納領域12aにはナビゲーションプログラム(以下、ナビプログラムと称する)12pが格納される。データ記憶領域12bにはナビプログラム12pの動作に必要なデータが格納されている。なお、これらのプログラム及びデータは、外部メモリ33に記憶されていてもよい。また、ナビプログラム12pは、RAM13上にてナビプログラム用ワークメモリ13wを作業領域とする形で作動する。かかる構成により、ナビゲーション装置1は、CPU11によりナビプログラム12pが起動されると、本発明に係る車載装置として機能する。
【0024】
また、制御回路10は、リアルタイムクロック(RTC)16を有しており、現在の日時の取得が可能となっている。本実施形態では、当該RTC16が、本発明の日付取得手段に相当する。なお、現在の日時は、上記したGPS受信器21が車両の位置とともに取得するUTC時刻から日本標準時刻に換算して取得することもできる。この場合は、当該GPS受信機21が日付取得手段として機能する。
【0025】
(3)整備情報サーバ
図3は、整備情報サーバ100の全体構成を示すブロック図である。整備情報サーバ100は、CPU91,ROM92,RAM93及び入出力インターフェース(I/O)94を有し、これらがバスライン95により接続された制御部90を備え、これに周辺機器として、キーボードやマウス等の操作入力部97,表示装置98,外部との通信を行うネットワーク制御部96(本発明における整備情報サーバの受信部及び送信部),ハードディスク装置(HDD)99等が接続されている。ネットワーク制御部96は、上記したナビゲーション装置1との間のネットワークを通じた通信を制御する。なお、制御部90が本発明における交換時期算出手段に相当する。
【0026】
HDD99には、オペレーティングシステムプログラム(以下、OSという)99a及び整備情報サーバプログラム99bが格納されている。整備情報サーバプログラム99bは、整備情報サーバ100としての機能を実現するためOS99a上でRAM93に確保される整備情報サーバワークメモリ93bを作業領域とする形で作動するものである。RAM93には、OS99aのワークメモリ93aも形成される。かかる構成により、整備情報サーバ100は、CPU91により整備情報サーバプログラム99bが起動されると、本発明に係る整備情報サーバとして機能する。
【0027】
また、HDD99には、交換記録データベース99cが構築されており、これが本発明における交換記録記憶手段に相当する。交換記録データベース99cは、図6に示すように、複数のナビゲーション装置1に対して装置識別番号を付与しており、それら各ナビゲーション装置1に対して「エンジンオイル」や「オイルフィルタ」等の部品毎に、前回交換時から要した期間である「交換期間」,当該期間内に車両が走行した距離である「交換距離」,交換時の日付である「交換日」等の値を記憶している。また、図では省略されているが、他にも、交換時における「積算走行距離」、車両の「車種」、交換した部品のメーカーや型番等の「部品の種類」などを記憶している。
【0028】
また、交換記録データベース99cには、各部品についてCPU91により算出された「交換期間」及び「交換距離」の平均値が平均値記憶領域(図6の右側)に記憶されている。また、平均値の他に、標準偏差σを求めて記憶させておくこともでき、後述する推奨次回交換時の算出において平均値とともに利用することができる。さらに、交換記録データベース99cは、かかる平均値等を基にCPU91により算出された各ナビゲーション装置1のそれぞれの部品についての推奨次回交換時も記憶している。推奨次回交換時についての詳細は後述する。
【0029】
また、HDD99には、部品リストデータベース99dが構築されており、これが本発明における部品リスト記憶手段に相当する。部品リストデータベース99dは、交換記録データベース99cに記憶されている交換部品のリスト(部品リスト)を記憶しており、かかる部品リストは、ナビゲーション装置1からのアクセスによりナビゲーション装置1の表示装置51に出力される(図4参照)。また、部品リストは、ナビゲーション装置1の操作スイッチ群41等の入力手段により選択可能とされている。
【0030】
さらに、部品リストデータベース99dには、部品リスト中の一つの部品がナビゲーション装置1の入力手段により選択された場合に、その次に表示装置51に対して出力する入力項目リストを記憶している(図5参照)。当該入力項目リストは、上記した交換記録データベース99cが各部品に係る領域内で記憶する項目に対応するものであり、ナビゲーション装置1の操作スイッチ群41等の入力手段により入力可能とされている。なお、「交換日」の項目については、上述したように制御回路10のRTC16等から得ることができるので、省略することができる。
【0031】
(4)ナビゲーション装置1及び整備情報サーバ100が行う処理
次に、上記したナビゲーション装置1及び整備情報サーバ100の作動について、図4ないし図9を参照して説明する。ここで、図8及び図9は、ナビゲーション装置1のCPU11が実行するナビプログラム12pの処理並びに整備情報サーバ100のCPU91が実行する整備情報サーバプログラム99bの処理をフローチャートとして示している。図8のフローチャートは、車両部品の交換記録情報をナビゲーション装置1から整備情報サーバ100の交換記録データベース99cに登録する交換記録情報登録処理を示すものである。また、図9のフローチャートは、推奨次回交換時の到来により整備情報サーバ100がナビゲーション装置1に対して行う部品交換の勧告処理を示すものである。
【0032】
(4−1)交換記録情報登録処理
図8の交換記録情報登録処理について説明する。ナビゲーション装置1が搭載された車両のユーザは、車両部品の交換を行うと、交換記録情報の登録を整備情報サーバ100に対して行う。すなわち、まずナビゲーション装置1のCPU11は、ユーザにより交換部品リストの要求が入力手段41等で操作されたことを検出すると(ステップS11)、交換部品リスト要求を携帯電話機62から整備情報サーバ100に送信させる(ステップS12)。
【0033】
整備情報サーバ100のCPU91は、ナビゲーション装置1からの交換部品リスト要求の受信を検出すると(ステップS21)、部品リストデータベース99dに記憶されている部品リストを読み出し、ネットワーク制御部96からナビゲーション装置1に送信させる(ステップS22)。そして、ナビゲーション装置1のCPU11は、整備情報サーバ100から部品リストを受信したことを検出すると(ステップS13)、図4に示すように、表示装置51の画面に部品リストを表示させる(ステップS14)。
【0034】
部品リストは、画面右下にタッチスイッチが構成されており、ユーザは「上スクロール」キー或いは「下スクロール」キーを操作して該当する部品にカーソルを合わせ、「決定」キーの操作により選択を行う。その後、ナビゲーション装置1のCPU11は、部品の選択が行われたことを検知すると(ステップS15)、携帯電話機62から整備情報サーバ100に部品選択通知を送信させる(ステップS16)。整備情報サーバ100のCPU91は、部品選択通知の受信を検出すると(ステップS23)、部品リストデータベース99dに記憶されている入力項目リストを読み出し、ネットワーク制御部96からナビゲーション装置1に送信させる(ステップS24)。そして、ナビゲーション装置1のCPU11は、整備情報サーバ100から入力項目リストを受信したことを検出すると(ステップS17)、図5に示すように、表示装置51の画面に入力項目リストを表示させる(ステップS18)。
【0035】
入力項目リストは、部品の交換情報(交換日,交換期間,交換距離,部品の種類等)及びその交換時における車両情報(積算走行距離等)などの交換記録情報の入力欄を有しており、ユーザは操作スイッチ群41等の入力手段によって当該入力欄に交換記録情報を入力する。なお、上記したように交換日については、制御部10のRTC16によって取得可能である。CPU11は、交換記録情報が入力されて「送信」キーが操作されたことを検知すると(ステップS19)、携帯電話機62から整備情報サーバ100に交換情報を送信させる(ステップS20)。
【0036】
なお、ステップS19で、CPU11が入力項目リストの必須入力項目に入力されてないことを検知した場合には、再度の入力を促す画面を表示する(図示せず)。ここで、交換記録情報のうち「交換期間」及び「交換距離」については、後述するように、交換情報データベース99cに前回交換時の日付及び積算走行距離が既に記憶されていれば、整備情報サーバ100側で算出することができるので、必須入力項目としなくてもよい。
【0037】
そして、整備情報サーバ100のCPU91は、ナビゲーション装置1から交換記録情報を受信したことを検出すると(ステップS25)、受信した交換記録情報を交換記録データベース99cに記憶させるが(ステップS28)、その前に必要に応じて交換期間及び交換距離の計算を行う。すなわち、交換情報データベース99cに前回交換時の日付及び積算走行距離が既に記憶されている場合には、交換期間及び交換距離の計算が必要と判断して(ステップS26)、ナビゲーション装置1から受信した交換記録情報に含まれる今回の部品交換に係る日付及び積算走行距離と、交換情報データベース99cに記憶されている前回交換時の日付及び積算走行距離とを比較することによって交換期間及び交換距離を算出する(ステップS27)。なお、ナビゲーション装置1から受信する交換記録情報に交換期間及び交換距離が含まれている場合であっても、交換情報データベース99cに前回交換時の日付及び積算走行距離が既に記憶されていれば、整備情報サーバ100のCPU91により交換期間及び交換距離を算出した方がより正確なデータを得られるため、算出した結果を採用する。
【0038】
その後、整備情報サーバ100のCPU91は、交換情報データベース99cに交換記録情報を記憶させる(ステップS28)。以上によって、交換記録情報の登録処理が終了する。なお、ナビゲーション装置1が初めて交換記録情報を交換情報データベース99cに登録する場合には、整備情報サーバ100のCPU91は、当該ナビゲーション装置1に新たな装置識別番号を付与した上で、その装置識別番号の領域に交換記録情報を記憶させる。すなわち、例えば、図6に示すように、交換情報データベース99cにこれよりも以前に他の6台のナビゲーション装置に対して装置識別番号「0001」〜「0006」が付与されて交換記録情報が記憶されているとした場合に、整備情報サーバ100のCPU91は、初めて交換記録情報を送信するナビゲーション装置1に対して次番の装置識別番号「0007」を付与し、受信した交換記録情報を交換記録データベース99cの装置識別番号「0007」の領域に記憶させる(図6参照)。一方、交換記録情報を送信するナビゲーション装置1が、前に交換記録情報を交換記録データベース99cに登録して装置識別番号を既に有している場合には、整備情報サーバ100のCPU91は、受信した交換記録情報を該当する装置識別番号の領域に上書きする。
【0039】
(4−2)交換記録情報の統計及び次回推奨交換時の算出
次に、整備情報サーバ100のCPU91による交換記録情報の統計及び次回推奨交換時の算出について説明する。整備情報サーバプログラム99bには、整備情報サーバ100のCPU91に定期的に以下の処理を行わせるプログラムが含まれている。CPU91は、交換記録データベース99cに記憶されている交換記録情報のうち「交換期間」及び「交換距離」を読み出し、その統計を採って、各部品についての平均値を交換記録データベース99cの平均値記憶領域に記憶させる(図6参照)。そして、得られた「平均交換期間」を各装置識別番号(ナビゲーション装置1)の「交換日」に加算し、その値を次回推奨交換時として、さらに交換記録データベース99cに記憶させる(図6参照)。なお、次回推奨交換時の算出方法としては、例えば、平均値のみならず標準偏差σも考慮した平均値+σや平均値+3σ等の統計値を用いて、その値を「交換日」に加算して次回推奨交換時とする等の方法を採用することもできる。
【0040】
また、交換記録情報の統計は、例えば、交換部品の種類や車両の種類等に応じて個別に行うこともできる。すなわち、交換記録情報には、図5に示すように交換部品の種類(メーカ名や型番等)や車両の種類が含まれているので、上記処理における交換記録情報の統計を、交換部品の種類別(例えば「A」という種類のエンジンオイル)に採ることができる。そして、部品の種類毎の平均値を上記した交換記録データベース99cの平均値の領域に記憶させ、それを該当する装置識別番号(ナビゲーション装置1)の「交換日」に加算して次回推奨交換時とする。これによって、より信頼性の高い情報をユーザに提供できる。
【0041】
(4−3)部品交換の勧告処理
次に、図9の部品交換の勧告処理について説明する。整備情報サーバプログラム99bには、整備情報サーバ100のCPU91に各ナビゲーション装置1の各部品について次回推奨交換時が到来したか否かを定期的に判定させるプログラムが含まれている。CPU91は、当該判定により次回推奨交換時が到来している部品が存在する場合には(ステップS41)、部品の交換勧告情報をネットワーク制御部96からナビゲーション装置1に送信させる(ステップS42)。ナビゲーション装置1のCPU11は、交換勧告情報の受信を検知すると(ステップS31)、それを表示装置51の画面に図7に示すように出力する(ステップS32)。
【0042】
具体的には、推奨次回交換時となった対象が装置識別番号0007のエンジンオイルであったとすると、整備情報サーバ100のCPU91は、交換記録データベース99cから交換期間及び交換距離の平均値や最終交換時の交換日及び積算走行距離を読出して、交換勧告情報に含めてネットワーク制御部96から装置識別番号0007に該当するナビゲーション装置1に送信させる。そして、ナビゲーション装置1のCPU11は、かかる交換勧告情報を受信すると、表示装置51に対して図7に示すように、部品の交換を促すメッセージの出力を行うとともに、交換期間及び交換距離の平均値や最終交換時の交換日及び積算走行距離の出力を行う。このように、交換期間及び交換距離の平均値が表示されることによって、ユーザにとってより信頼性の高い部品交換の勧告を行うことができる。
【0043】
また、上記処理における交換勧告情報は、例えば「A」という種類のエンジンオイルといったように、その部品の種類についての交換期間及び交換距離の平均値を表示させることができる(図7参照)。すなわち、上述したように交換記録データベース99cには部品の種類毎の交換期間及び交換距離の平均値を記憶させておくことができるので、整備情報サーバ100のCPU91は、最終交換時の交換日及び積算走行距離とともに、該当するナビゲーション装置1に係る部品の種類及びその部品の種類に係る交換期間及び交換距離の平均値を交換記録データベース99cから読み出し、これらを交換勧告情報に含めるようにする。そして、ナビゲーション装置1のCPU11は、図7に示すように、部品の種類(例えば「A」というエンジンオイル)及びその部品の種類に係る交換期間及び交換距離の平均値を表示装置51へ出力する。これによって、ユーザは自己の使用する部品についての平均的な交換情報を得ることができる。
【0044】
<第二実施形態>
以下、本発明の車両整備情報通信システムの第二実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、上記第一実施形態と重複する箇所については、同番号を付して説明を省略する。第二実施形態の車両整備情報通信システムでは、図10に示すように、整備情報サーバ100から交換勧告情報をナビゲーション装置1に対して送信することは上記第一実施形態と同様であるが、整備情報サーバ100の交換記録データベース99cへの交換記録情報の登録を端末装置200からも行うことができる点を特徴とする。
【0045】
かかる端末装置200は、例えばカーディーラやモータース、修理工場等の部品交換業者の下に設置しておくことができる。すなわち、部品交換は個人で行うようなケースはあまり多くなく、実際にはカーディーラやモータース、修理工場等の部品交換業者に依頼して交換を行うのが一般的であるため、部品交換を行った業者がその都度ユーザに代わって交換記録情報の登録を端末装置200において行うようにしている。これによって、ユーザの手間が省けるとともに、ユーザによる入力では期待できない詳細かつ正確な交換記録情報を整備情報サーバ100によって集計することができる。しかも、部品交換の勧告はユーザのナビゲーション装置1に直接行われることから、より信頼性の高い部品交換の勧告をユーザは労せず得ることができる。
【0046】
端末装置200の説明を行う。図11は、端末装置200の全体構成を示すブロック図である。端末装置200は、パソコン等として構成でき、CPU81,ROM82,RAM83及び入出力インターフェース(I/O)84を有し、これらがバスライン85により接続された制御部80を備え、これに周辺機器として、キーボードやマウス等の操作入力部87,表示装置88,外部との通信を行うネットワーク制御部86(本発明における端末装置の送信部),ハードディスク装置(HDD)89等が接続されている。ネットワーク制御部86は、上記した整備情報サーバ100との間のネットワークを通じた通信を制御する。
【0047】
HDD89には、オペレーティングシステムプログラム(以下、OSという)89a及び交換記録登録プログラム89bが格納されている。交換記録登録プログラム89bは、OS89a上でRAM83に確保される登録プログラムワークメモリ83bを作業領域とする形で作動するものである。RAM83には、OS89aのワークメモリ83aも形成される。かかる構成を持つことにより、端末装置200は、CPU81により交換記録登録プログラム89bが起動されると、本発明に係る端末装置として機能する。
【0048】
上記した端末装置200の作動について説明する。端末装置200のCPU81は、交換記録登録プログラム89bの実行により交換記録情報登録処理を行う。当該交換記録情報登録処理は、図9の第一実施形態に係る交換記録情報登録処理におけるナビゲーション装置1が本実施形態に係る端末装置200に置き換わったものであり、同様の処理を行う。従って、端末装置200の表示装置88の画面には図4に示した部品リストや図5に示した登録項目リストが表示されて、各リストにはキーボードやマウス等の操作入力部87の操作による入力が行われる。このようにして端末装置200による交換記録情報の登録が行われると、その後の処理は第一実施形態と同じである。すなわち、整備情報サーバ100において、交換期間及び交換距離の平均値の算出及び推奨次回交換時の算出が行われて、推奨次回交換時の到来により該当するナビゲーション装置1に対して交換勧告情報を送信する。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第一実施形態に係る車両整備情報通信システムの全体の構成を概略的に示す図
【図2】ナビゲーション装置(車載装置)の全体構成を示すブロック図
【図3】整備情報サーバの全体構成を示すブロック図
【図4】ナビゲーション装置の表示装置の画面に出力された部品リストを示す図
【図5】ナビゲーション装置の表示装置の画面に出力された登録項目リストを示す図
【図6】交換記録データベース内のデータ構造を示す図
【図7】ナビゲーション装置の表示装置の画面に出力された交換勧告情報を示す図
【図8】ナビゲーション装置及び整備情報サーバが行う交換記録情報登録処理のフローチャート
【図9】ナビゲーション装置及び整備情報サーバが行う部品交換の勧告処理のフローチャート
【図10】本発明の第二実施形態に係る車両整備情報通信システムの全体の構成を概略的に示す図
【図11】端末装置の全体構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0051】
1 ナビゲーション装置(車載装置)
41 操作スイッチ群(入力手段)
43 リモコン端末(入力手段)
51,88 表示装置(出力手段)
62 携帯電話(送信手段,受信手段)
86,96 ネットワーク制御部(送信手段,受信手段)
87 操作入力部(入力手段)
90 制御部(交換時期算出手段)
99c 交換記録データベース(交換記録記憶手段)
100 整備情報サーバ
200 端末装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の整備情報を管理する整備情報サーバと、該整備情報サーバと通信可能な車載装置とを含んで構築される車両整備情報通信システムであって、
前記車載装置は、車両部品の交換情報とその交換時における車両情報とを含む交換記録情報が入力される入力手段と、該交換記録情報を前記整備情報サーバに送信する送信手段とを備え、
前記整備情報サーバは、前記車載装置から前記交換記録情報を受信する受信手段と、前記交換記録情報を記憶する交換記録記憶手段と、該交換記録記憶手段に記憶されている前記交換記録情報に基づき前記車両部品の推奨次回交換時を算出する交換時期算出手段と、前記推奨次回交換時の到来により前記車載装置に前記車両部品の交換勧告情報を送信する送信手段とを備え、
前記車載装置は更に、前記整備情報サーバから前記交換勧告情報を受信する受信手段と、前記交換勧告情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする車両整備情報通信システム。
【請求項2】
前記車載装置は、前記交換記録情報の入力時の日付を取得する日付取得手段を備え、前記整備情報サーバに送信される前記交換記録情報には、前記日付取得手段により取得した日付が含まれる請求項1に記載の車両整備情報通信システム。
【請求項3】
車両の整備情報を管理する整備情報サーバと、該整備情報サーバと通信可能な車載装置と、該整備情報サーバと通信可能な端末装置とを含んで構築される車両整備情報通信システムであって、
前記端末装置は、車両部品の交換情報とその交換時における車両情報とを含む交換記録情報が入力される入力手段と、該交換記録情報を前記整備情報サーバに送信する送信手段とを備え、
前記整備情報サーバは、前記車載装置から前記交換記録情報を受信する受信手段と、前記交換記録情報を記憶する交換記録記憶手段と、該交換記録記憶手段に記憶されている前記交換記録情報に基づき前記車両部品の推奨次回交換時を算出する交換時期算出手段と、前記推奨次回交換時の到来により前記車載装置に前記車両部品の交換勧告情報を送信する送信手段とを備え、
前記車載装置は、前記整備情報サーバから前記交換勧告情報を受信する受信手段と、前記交換勧告情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする車両整備情報通信システム。
【請求項4】
前記交換時期算出手段は、前記交換記録記憶手段に記憶されている複数の車両についての前記交換記録情報の統計を採り、その平均に基づいて前記推奨次回交換時を算出する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両整備情報通信システム。
【請求項5】
前記整備情報サーバに送信される前記交換記録情報には、前記車両部品の前回交換時から今回交換時までの交換期間が含まれ、
前記交換時期算出手段は、前記交換記録記憶手段に記憶されている前記交換期間の統計を採り、その平均に基づいた期間を今回交換時に加算することにより前記推奨次回交換時とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両整備情報通信システム。
【請求項6】
前記交換記録記憶手段に前記車両部品の前回交換時が既に記憶されている場合に、当該前回交換時から前記交換記録情報に含まれる今回交換時までの期間を交換期間として前記交換記録記憶手段に記憶する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両整備情報通信システム。
【請求項7】
前記整備情報サーバは、前記交換記録記憶手段が記憶している車両部品のリストである部品リストを有する部品リスト記憶手段を備え、
前記入力手段では、前記整備情報サーバから受信した前記部品リストに基づいて、交換した前記車両部品の選択及び前記交換記録情報の入力が可能である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車両整備情報通信システム。
【請求項8】
前記整備情報サーバに送信される前記交換記録情報には、交換した前記車両部品の種類が含まれ、
前記交換時期算出手段は、前記交換記録記憶手段に記憶されている前記交換記録情報について前記車両部品の種類ごとの統計を採り、その平均に基づいて前記推奨次回交換時を算出する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の車両整備情報通信システム。
【請求項9】
前記整備情報サーバに送信される前記交換記録情報には、前記車両の種類が含まれ、
前記交換時期算出手段は、前記交換記録記憶手段に記憶されている前記交換記録情報について前記車両の種類ごとの統計を採り、その平均に基づいて前記推奨次回交換時を算出する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の車両整備情報通信システム。
【請求項10】
車両の整備情報を管理する整備情報サーバであって、車両部品の交換情報とその交換時における車両情報とを含む交換記録情報を車載装置又は端末装置から受信する受信手段と、前記交換記録情報を記憶する交換記録記憶手段と、該交換記録記憶手段に記憶されている前記交換記録情報に基づき前記車両部品の推奨次回交換時を算出する交換時期算出手段と、前記推奨次回交換時の到来により前記車載装置に前記車両部品の交換勧告情報を送信する送信手段とを備えることを特徴とする整備情報サーバ。
【請求項1】
車両の整備情報を管理する整備情報サーバと、該整備情報サーバと通信可能な車載装置とを含んで構築される車両整備情報通信システムであって、
前記車載装置は、車両部品の交換情報とその交換時における車両情報とを含む交換記録情報が入力される入力手段と、該交換記録情報を前記整備情報サーバに送信する送信手段とを備え、
前記整備情報サーバは、前記車載装置から前記交換記録情報を受信する受信手段と、前記交換記録情報を記憶する交換記録記憶手段と、該交換記録記憶手段に記憶されている前記交換記録情報に基づき前記車両部品の推奨次回交換時を算出する交換時期算出手段と、前記推奨次回交換時の到来により前記車載装置に前記車両部品の交換勧告情報を送信する送信手段とを備え、
前記車載装置は更に、前記整備情報サーバから前記交換勧告情報を受信する受信手段と、前記交換勧告情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする車両整備情報通信システム。
【請求項2】
前記車載装置は、前記交換記録情報の入力時の日付を取得する日付取得手段を備え、前記整備情報サーバに送信される前記交換記録情報には、前記日付取得手段により取得した日付が含まれる請求項1に記載の車両整備情報通信システム。
【請求項3】
車両の整備情報を管理する整備情報サーバと、該整備情報サーバと通信可能な車載装置と、該整備情報サーバと通信可能な端末装置とを含んで構築される車両整備情報通信システムであって、
前記端末装置は、車両部品の交換情報とその交換時における車両情報とを含む交換記録情報が入力される入力手段と、該交換記録情報を前記整備情報サーバに送信する送信手段とを備え、
前記整備情報サーバは、前記車載装置から前記交換記録情報を受信する受信手段と、前記交換記録情報を記憶する交換記録記憶手段と、該交換記録記憶手段に記憶されている前記交換記録情報に基づき前記車両部品の推奨次回交換時を算出する交換時期算出手段と、前記推奨次回交換時の到来により前記車載装置に前記車両部品の交換勧告情報を送信する送信手段とを備え、
前記車載装置は、前記整備情報サーバから前記交換勧告情報を受信する受信手段と、前記交換勧告情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする車両整備情報通信システム。
【請求項4】
前記交換時期算出手段は、前記交換記録記憶手段に記憶されている複数の車両についての前記交換記録情報の統計を採り、その平均に基づいて前記推奨次回交換時を算出する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両整備情報通信システム。
【請求項5】
前記整備情報サーバに送信される前記交換記録情報には、前記車両部品の前回交換時から今回交換時までの交換期間が含まれ、
前記交換時期算出手段は、前記交換記録記憶手段に記憶されている前記交換期間の統計を採り、その平均に基づいた期間を今回交換時に加算することにより前記推奨次回交換時とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両整備情報通信システム。
【請求項6】
前記交換記録記憶手段に前記車両部品の前回交換時が既に記憶されている場合に、当該前回交換時から前記交換記録情報に含まれる今回交換時までの期間を交換期間として前記交換記録記憶手段に記憶する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両整備情報通信システム。
【請求項7】
前記整備情報サーバは、前記交換記録記憶手段が記憶している車両部品のリストである部品リストを有する部品リスト記憶手段を備え、
前記入力手段では、前記整備情報サーバから受信した前記部品リストに基づいて、交換した前記車両部品の選択及び前記交換記録情報の入力が可能である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車両整備情報通信システム。
【請求項8】
前記整備情報サーバに送信される前記交換記録情報には、交換した前記車両部品の種類が含まれ、
前記交換時期算出手段は、前記交換記録記憶手段に記憶されている前記交換記録情報について前記車両部品の種類ごとの統計を採り、その平均に基づいて前記推奨次回交換時を算出する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の車両整備情報通信システム。
【請求項9】
前記整備情報サーバに送信される前記交換記録情報には、前記車両の種類が含まれ、
前記交換時期算出手段は、前記交換記録記憶手段に記憶されている前記交換記録情報について前記車両の種類ごとの統計を採り、その平均に基づいて前記推奨次回交換時を算出する請求項1ないし8のいずれか1項に記載の車両整備情報通信システム。
【請求項10】
車両の整備情報を管理する整備情報サーバであって、車両部品の交換情報とその交換時における車両情報とを含む交換記録情報を車載装置又は端末装置から受信する受信手段と、前記交換記録情報を記憶する交換記録記憶手段と、該交換記録記憶手段に記憶されている前記交換記録情報に基づき前記車両部品の推奨次回交換時を算出する交換時期算出手段と、前記推奨次回交換時の到来により前記車載装置に前記車両部品の交換勧告情報を送信する送信手段とを備えることを特徴とする整備情報サーバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−215749(P2006−215749A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26875(P2005−26875)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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