説明

車両案内システム及び車両案内方法

【課題】車両を確実に検出することができ、信号の切換えを円滑に行うことができるようにする。
【解決手段】自車の現在地を検出する現在地検出部と、信号機データを取得する信号機データ取得処理手段と、信号機データに基づいて、前方の信号機が感応式信号機であるかどうかを判断する信号機判定処理手段と、前方の信号機が感応式信号機である場合、現在地及び信号機データに基づいて、自車が感知エリア内に停止しているかどうかを判断し、自車が感知エリア内に停止していない場合、自車を感知エリア内に停止させるように感知エリアを運転者に案内する感知エリア案内処理手段とを有する。車両感知センサによって自車を確実に検出することができるので、信号の切換えを円滑に行うことができ、運転者は、信号の切換わりを必要以上に長い時間待たされることがなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両案内システム及び車両案内方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、国道等の幅員の広い道路を優先道とし、一般道等の幅員の狭い道路を非優先道としたとき、優先道と非優先道とが交差する交差点において、非優先道側に車両に感応して信号が切り換わる感応式の信号機、すなわち、感応式信号機が配設されることがある。
【0003】
該感応式信号機においては、非優先道を走行している車両が、感応式信号機の信号が赤になるのに伴って交差点の手前で停止したとき、道路上の所定の箇所に配設された車両感知センサが停止した車両を検出すると、所定の時間が経過するのに伴って信号を青にするようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の感応式信号機においては、車両感知センサは、車両の上方に設置されることが多く、道路上に車両感知センサによる車両の検出領域である感知エリアが表示されていないことが多いので、運転者が車両感知センサの存在に気がつかなかったり、車両感知センサの感知エリアと自車位置との関係を把握することができなかったりして、感知エリア外に車両を停止させてしまうと、車両を検出することができない。したがって、信号の切換えを円滑に行うことができず、運転者は、信号の切換えを必要以上に長い時間待たされてしまう。
【0005】
本発明は、前記従来の感応式信号機の問題点を解決して、車両を確実に検出することができ、信号の切換えを円滑に行うことができる車両案内システム及び車両案内方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の車両案内システムにおいては、自車の現在地を検出する現在地検出部と、信号機データを取得する信号機データ取得処理手段と、前記信号機データに基づいて、前方の信号機が感応式信号機であるかどうかを判断する信号機判定処理手段と、前方の信号機が感応式信号機である場合、現在地及び信号機データに基づいて、自車が感知エリア内に停止しているかどうかを判断し、自車が感知エリア内に停止していない場合、自車を感知エリア内に停止させるように感知エリアを運転者に案内する感知エリア案内処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、現在地及び信号機データに基づいて、自車が感知エリア内に停止しているかどうかが判断され、自車が感知エリア内に停止していない場合、自車を感知エリア内に停止させるように案内され、誘導されるので、自車を感知エリア内で停止させることができる。したがって、車両感知センサによって自車を確実に検出することができる。その結果、信号の切換えを円滑に行うことができ、運転者は、信号の切換わりを必要以上に長い時間待たされることがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、車両案内システムとしてのナビゲーションシステムについて説明する。
【0009】
図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【0010】
図において、10はパワートレイン制御部としての自動変速機制御部であり、該自動変速機制御部10は、所定の変速比で変速を行うパワートレイン、例えば、自動変速機としての無段変速機(CVT)、有段変速機(オートマチックトランスミッション)、電動駆動装置等の制御を行う。
【0011】
そして、14は情報端末、例えば、車両に搭載された車載装置としてのナビゲーション装置、63はネットワーク、51は情報提供者としての情報センタであり、前記自動変速機制御部10、ナビゲーション装置14、ネットワーク63、情報センタ51等によってナビゲーションシステムが構成される。
【0012】
前記ナビゲーション装置14は、GPS(グローバルポジショニングシステム)を構成し、自車の現在地を検出する現在地検出部としてのGPSセンサ15、地図データのほかに各種の情報が記録された情報記録部としてのデータ記録部16、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、自車方位を検出する方位検出部としての方位センサ18、操作者である運転者が所定の入力を行うための第1の入力部としての操作部34、図示されない画面に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第1の出力部としての表示部35、音声によって所定の入力を行うための第2の入力部としての音声入力部36、音声によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第2の出力部としての音声出力部37、及び通信端末として機能する送受信部としての通信部38を備え、前記ナビゲーション処理部17に、GPSセンサ15、データ記録部16、方位センサ18、操作部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。
【0013】
また、前記ナビゲーション処理部17には、前記自動変速機制御部10、車両の前端の所定の箇所に取り付けられ、車両の前方を監視する前方監視装置48、車両の後端の所定の箇所に取り付けられ、車両の後方を撮影する撮像装置としての、かつ、後方監視部としてのバックカメラ(後方監視カメラ)49、運転者による図示されないアクセルペダルの操作をアクセル開度で検出するエンジン負荷検出部としてのアクセルセンサ42、運転者による図示されないブレーキペダルの操作をブレーキ踏込量で検出する制動検出部としてのブレーキセンサ43、車速を検出する車速検出部としての車速センサ44等が接続される。なお、アクセルセンサ42、ブレーキセンサ43等は運転者による車両の操作情報を検出するための操作情報検出部を構成する。また、撮像装置として、車両の前方を撮影するフロントカメラ(前方監視カメラ)、車両の側方を監視するためのサイドカメラ等の各種のカメラを使用することができる。
【0014】
前記GPSセンサ15は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することによって地球上における現在地を検出し、併せて時刻を検出する。本実施の形態においては、現在地検出部としてGPSセンサ15を使用するようになっているが、該GPSセンサ15に代えて、図示されない距離センサ、ステアリングセンサ、高度計等を単独で、又は組み合わせて使用することもできる。また、前記方位センサ18として図示されないジャイロセンサ、地磁気センサ等を使用することができる。なお、本実施の形態においては、方位センサ18、車速センサ44等が配設されるようになっているが、自車方位、車速等を検出する機能を有するGPSセンサを使用する場合、方位センサ18、車速センサ44等は不要である。
【0015】
前記データ記録部16は、地図データファイルから成る地図データベースを備え、該地図データベースに地図データが記録される。該地図データには、交差点に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路リンクに関する道路データ、探索用に加工された探索データ、施設に関する施設データ等が含まれるほか、道路上の地物に関する地物データが含まれる。
【0016】
前記地物は、運転者に各種の走行上の情報を提供したり、各種の走行上の案内を行ったりするために道路上に設置、又は形成された表示物であり、表示線、路上標識、横断歩道、マンホールの蓋(ふた)、信号機等から成る。前記表示線には、車両を停止させるための停止線、各レーンを区分する車両通行帯境界線、駐車スペースを表す区画線等が含まれ、前記路上標識には、各レーン上に形成され、レーンにおける進行方向を矢印によって表す通行区分標識、「止まれ」等のように一時停止箇所(非優先道路から優先道路への進入箇所、踏切、赤信号が点滅する交差点等が含まれる。)を予告したり、各レーン上に形成され、レーンにおいて「○○方面」等のように方面案内をしたりする案内標識等が含まれる。前記車両通行帯境界線には、道路の路肩側及び反対車線側において実線で形成された道路境界線、及び各道路境界線によって挟まれた領域で、各レーン間において破線で形成されたレーン境界線が含まれる。
【0017】
そして、前記地物データには、各地物の位置を座標等で表す位置情報、各地物をイメージで表す画像情報等が含まれる。なお、後述される電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を地物としてとらえた場合、現況の交通情報は各レーンごとに異なる信号で車両に送られる。したがって、電波ビーコン装置、光ビーコン装置等から送られる信号も地物データに含まれる。
【0018】
前記交差点データには、交差点の名称、進入道路、退出道路、信号機の有無、信号機の種類(例えば、感応式信号機)等のデータが含まれる。例えば、信号機が感応式信号機である場合、車両感知センサによる車両の検出領域である感知エリアの位置を表すデータが含まれる。
【0019】
また、前記レーンに関する道路データには、道路の車線数を表すレーン数、道路上の各レーンごとに付与されたレーン番号、レーンの位置情報等から成るレーンデータ(レーン情報)が含まれる。なお、該レーンデータには、バスレーンに関する情報、すなわち、バスレーン情報、リバーシブルレーンに関する情報、すなわち、リバーシブルレーン情報も含まれる。
【0020】
なお、前記データ記録部16には、所定の情報を音声出力部37によって出力するためのデータも記録される。
【0021】
さらに、前記データ記録部16には、統計データファイルから成る統計データベース、走行履歴データファイルから成る走行履歴データベース等が形成され、前記統計データファイルに統計データが、前記走行履歴データファイルに走行履歴データが、いずれも実績データとして記録される。
【0022】
前記統計データは、過去に提供された交通情報の実績、すなわち、履歴を表す履歴情報であり、情報提供者としてのVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の図示されない道路交通情報センタ等によって過去に提供された交通情報、国土交通省によって提供された道路交通センサスによる交通量を表すデータである道路交通センサス情報、国土交通省によって提供された道路時刻表情報等を単独で、又は組み合わせて使用し、必要に応じて、加工し、統計処理を施すことによって作成される。なお、前記統計データに、渋滞状況を予測する渋滞予測情報等を加えることもできる。その場合、前記統計データを作成するに当たり、履歴情報に、日時、曜日、天候、各種イベント、季節、施設の情報(デパート、スーパーマーケット等の大型の施設の有無)等の詳細な条件が加えられる。
【0023】
そして、前記統計データのデータ項目は、各道路リンクについてのリンク番号、走行方向を表す方向フラグ、情報の種類を表す情報種別、所定のタイミングごとの渋滞度、前記各道路リンクを走行したときの、所定のタイミングごとの所要時間を表すリンク所要時間、該リンク所要時間の各曜日ごとの平均的なデータ、例えば、曜日平均データ等から成る。
【0024】
また、前記走行履歴データは、情報センタ51によって複数の車両、すなわち、自車又は他車から収集され、各車両が走行した道路における車両の走行の実績、すなわち、走行実績を表す実績情報であり、走行データに基づいてプローブデータとして算出され、蓄積される。
【0025】
前記走行履歴データのデータ項目は、各道路リンクを走行したときの、所定のタイミングごとのリンク所要時間、各道路リンクを走行したときの、所定のタイミングごとの渋滞度等から成る。なお、前記統計データに、走行履歴データを加えることができる。また、本実施の形態において、渋滞度は、渋滞の度合いを表す渋滞指標として使用され、渋滞、混雑及び非渋滞の別で表される。
【0026】
前記データ記録部16は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、CD、DVD、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。また、前記データ記録部16にメモリカード等を使用することができる。なお、前記各ディスク、メモリカード等によって外部記憶装置が構成される。
【0027】
本実施の形態においては、前記データ記録部16に、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等が形成されるようになっているが、情報センタ51において、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等を形成することもできる。
【0028】
また、前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路案内等を行うための各種のプログラムが記録されたROM33、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリ等を備える。なお、前記RAM32、ROM33、フラッシュメモリ等によって、内部記憶装置が構成される。
【0029】
本実施の形態においては、前記ROM33に各種のプログラムを記録し、前記データ記録部16に各種のデータを記録することができるが、プログラム、データ等をディスク等に記録することもできる。この場合、ディスク等から前記プログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリに書き込むことができる。したがって、ディスク等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。また、前記自動変速機制御部10の制御用のプログラム、データ等も前記ディスク等に記録することができる。さらに、通信部38を介して前記プログラム、データ等を受信し、ナビゲーション処理部17のフラッシュメモリに書き込むこともできる。
【0030】
前記操作部34は、運転者が操作することによって、走行開始時の現在地を修正したり、出発地及び目的地を入力したり、通過点を入力したり、通信部38を作動させたりするためのものであり、前記操作部34として、表示部35とは独立に配設された図示されないキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記操作部34として、前記表示部35に形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチ又はクリックすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにしたタッチパネルを使用することができる。
【0031】
前記表示部35としてディスプレイが使用される。そして、表示部35に形成された各種の画面に、車両の現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として表示したり、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したり、探索経路における次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向を表示したりすることができるだけでなく、前記画像操作部、操作部34、音声入力部36等の操作案内、操作メニュー、キーの案内を表示したり、FM多重放送の番組等を表示したりすることができる。
【0032】
また、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声出力部37から、前記探索経路、案内情報、交通情報等が、例えば、音声合成装置によって合成された音声で出力される。
【0033】
前記通信部38は、前記道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するための図示されないビーコンレシーバ、FM放送局を介してFM多重放送として受信するための図示されないFM受信機等を備える。なお、前記交通情報には、渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況情報等が含まれ、一般情報には、ニュース、天気予報等が含まれる。また、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0034】
前記交通情報は、情報の種別を表す情報種別、メッシュを特定するためのメッシュ番号、二つの地点、例えば、交差点間を連結する道路リンクを特定し、かつ、上り/下りの別を表すリンク番号、該リンク番号に対応させて提供される情報の内容を表すリンク情報を含み、例えば、交通情報が渋滞情報である場合、前記リンク情報は、前記道路リンクの始点から渋滞の先頭までの距離を表す渋滞先頭データ、渋滞度、渋滞区間を前記渋滞の先頭から渋滞の末尾までの距離を表す渋滞長、道路リンクを走行するのに必要な時間を表すリンク所要時間等から成る。
【0035】
そして、通信部38は、前記情報センタ51から、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等のデータのほか、交通情報、一般情報等の各種の情報をネットワーク63を介して受信することができる。
【0036】
そのために、前記情報センタ51は、サーバ53、該サーバ53に接続された通信部57及び情報記録部としてのデータベース(DB)58等を備え、前記サーバ53は、制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU54、RAM55、ROM56等を備える。また、前記データベース58に、前記データ記録部16に記録された各種のデータと同様のデータ、例えば、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等が記録される。さらに、情報センタ51は、前記道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報、及び複数の車両(自車又は他車)から収集した走行履歴データをリアルタイムに提供することができる。
【0037】
そして、前記前方監視装置48は、レーザレーダ、ミリ波レーダ等のレーダ、超音波センサ等、又はそれらの組合せから成り、先行して走行している車両、すなわち、先行車両を監視したり、一時停止箇所、障害物等を監視したりする。また、前方監視装置48は、車両周辺情報として先行車両に対する相対的な車速を表す相対速度、一時停止箇所に対する接近速度、障害物に対する接近速度等を検出したり、車間距離、車間時間等を算出したりする。
【0038】
前記バックカメラ49は、CCD素子から成り、車両の後方を監視するために、光軸を斜め下方に向けて取り付けられ、前記地物のほかに、車両の後方を走行している車両である後方車両、道路脇の建造物、構造物等を被撮影物として撮影し、撮影された被撮影物の画像データを発生させ、CPU31に送る。該CPU31は、前記画像データを読み込み、画像データに対して画像処理を行うことによって、画像中の前記各被撮影物を認識対象物として認識する。本実施の形態においては、バックカメラ49としてCCD素子が使用されるが、C−MOS素子等を使用することができる。
【0039】
なお、前記ナビゲーションシステム、ナビゲーション処理部17、CPU31、54、サーバ53等は、単独で、又は二つ以上組み合わせることによってコンピュータとして機能し、各種のプログラム、データ等に基づいて演算処理を行う。また、データ記録部16、RAM32、55、ROM33、56、データベース58、フラッシュメモリ等によって記録媒体が構成される。そして、演算装置として、CPU31、54に代えてMPU等を使用することもできる。
【0040】
次に、前記構成のナビゲーションシステムの基本動作について説明する。
【0041】
まず、運転者によって操作部34が操作され、ナビゲーション装置14が起動されると、CPU31の図示されないナビ初期化処理手段は、ナビ初期化処理を行い、GPSセンサ15によって検出された車両の現在地としての自車位置、方位センサ18によって検出された自車方位を読み込むとともに、各種のデータを初期化する。次に、前記CPU31の図示されないマッチング処理手段は、マッチング処理を行い、現在地を読み込み、読み込まれた現在地の軌跡、及び現在地の周辺の道路を構成する各道路リンクの形状、配列等に基づいて、現在地がいずれの道路リンク上に位置するかの判定を行うことによって、現在地を特定する。
また、本実施の形態において、前記マッチング処理手段は、さらに、バックカメラ49によって撮影された前記被撮影物である各地物の位置に基づいて現在地を特定する。なお、車両の前方を撮影するフロントカメラを備えた車両においては、フロントカメラによって、各地物の位置を算出することができる。
【0042】
そのために、CPU31の図示されない画像認識処理手段は、画像認識処理を行い、バックカメラ49から画像データを読み込み、該画像データから成る画像中の地物を認識する。また、前記CPU31の図示されない第1の距離算出処理手段は、第1の距離算出処理を行い、画像中における地物の位置に基づいて、バックカメラ49から実際の地物までの距離を算出する。そして、前記マッチング処理手段の現在地特定処理手段は、現在地特定処理を行い、前記距離を読み込むとともに、データ記録部16から地物データを読み出して前記地物の座標を取得し、該座標及び前記距離に基づいて現在地を特定する。
【0043】
また、前記CPU31の図示されないレーン特定処理手段は、レーン特定処理を行い、レーンについての走行履歴、画像データに基づいて認識された地物等に基づいて、必要に応じて、地物とデータ記録部16から読み出された地物データとを照合したときの照合結果に基づいて、走行レーンを特定する。さらに、高精度のGPSセンサ15を使用し、現在地を精度よく検出し、検出結果に基づいて走行レーンを特定することもできる。
【0044】
なお、地物がマンホールの蓋等のように鋼等の強磁性体から成る場合、前記レーン特定処理手段は、前記地磁気センサのセンサ出力を読み込み、該センサ出力に基づいてマンホールの蓋等があるかどうかを判断し、判断結果に基づいて走行レーンを特定することもできる。また、必要に応じて、表示線の画像データに対して画像処理を行うのと同時に、地磁気センサのセンサ出力、現在地等を組み合わせて、走行レーンを特定することができる。
【0045】
続いて、CPU31の図示されない基本情報取得処理手段は、基本情報取得処理を行い、前記地図データを、データ記録部16から読み出して取得するか、又は通信部38を介して情報センタ51等から受信して取得する。なお、地図データを情報センタ51等から取得する場合、前記基本情報取得処理手段は、受信した地図データをフラッシュメモリにダウンロードする。
【0046】
そして、前記CPU31の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示部35に各種の画面を形成する。例えば、表示処理手段の地図表示処理手段は、地図表示処理を行い、表示部35に地図画面を形成し、該地図画面に周囲の地図を表示するとともに、現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として表示する。
【0047】
したがって、運転者は、前記地図、自車位置及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【0048】
また、運転者が操作部34を操作して目的地を入力すると、CPU31の図示されない目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。なお、必要に応じて出発地を入力し、設定することもできる。また、あらかじめ所定の地点を登録しておき、登録された地点を目的地として設定することができる。続いて、運転者が操作部34を操作して探索条件を入力すると、CPU31の図示されない探索条件設定処理手段は、探索条件設定処理を行い、探索条件を設定する。
【0049】
このようにして、目的地及び探索条件が設定されると、CPU31の図示されない経路探索処理手段は、経路探索処理を行い、前記現在地、目的地、探索条件等を読み込むともに、データ記録部16から探索データ等を読み出し、現在地、目的地、探索データ等に基づいて、現在地で表される出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。このとき、各道路リンクごとに付与されたリンクコストの合計が最も小さい経路が探索経路とされる。
【0050】
また、道路に複数のレーンが形成されている場合で、かつ、走行レーンが特定されている場合、前記経路探索処理手段は、レーン単位で探索経路を探索する。その場合、前記経路データには走行レーンのレーン番号等も含まれる。
【0051】
なお、前記情報センタ51において経路探索処理を行うことができる。その場合、CPU31は現在地、目的地、探索条件等を情報センタ51に送信する。該情報センタ51は、現在地、目的地、探索条件等を受信すると、CPU54の図示されない経路探索処理手段は、CPU31と同様の経路探索処理を行い、データベース58から探索データ等を読み出し、現在地、目的地、探索データ等に基づいて、出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。次に、CPU54の図示されない送信処理手段は、送信処理を行い、前記経路データをナビゲーション装置14に送信する。
【0052】
続いて、前記CPU31の図示されない案内処理手段は、案内処理を行い、経路案内を行う。そのために、前記案内処理手段の経路表示処理手段は、経路表示処理を行い、前記経路データを読み込み、該経路データに従って前記地図画面に探索経路を表示する。
【0053】
ところで、前記経路案内においては、所定の交差点で車両を右左折させる必要がある場合、前記交差点が案内点として、かつ、案内交差点として設定される。
【0054】
そのために、前記案内処理手段の案内交差点設定処理手段は、案内交差点設定処理を行い、経路データに従って、すなわち、前記探索経路に基づいて、車両を右左折させる必要がある交差点があるかどうかを判断し、車両を右左折させる必要がある交差点がある場合、該交差点を案内交差点として設定する。
【0055】
また、前記レーン単位で探索経路が探索されている場合、前記案内処理手段の推奨レーン設定処理手段は、推奨レーン設定処理を行い、前述されたように、走行するのが推奨されるレーン、例えば、案内交差点を通過するに当たり、案内交差点に進入するのに適したレーン、案内交差点から退出するのに適したレーン等を推奨レーンとして選択し、設定する。そして、前記経路表示処理手段は、前記地図画面に探索経路を表示するとともに、地図画面の所定の領域に、車両が走行している道路の拡大図、すなわち、道路拡大図を表示し、道路拡大図によるレーン案内を行う。この場合、前記道路拡大図に、各レーン及び該各レーンのうちの推奨レーンが表示される。
【0056】
続いて、前記案内処理手段の音声出力処理手段は、音声出力処理を行い、経路案内を音声出力部37から音声で出力する。そのために、前記案内処理手段の経路案内地点設定処理手段は、経路案内地点設定処理を行い、探索経路上の前記案内交差点より手前(自車側)の、あらかじめ各設定された距離だけ離れた箇所に、一つ以上の経路案内地点を設定する。また、前記案内処理手段の地点案内処理手段は、地点案内処理を行い、各経路案内地点に車両が到達すると、案内交差点について、経路案内地点ごとにあらかじめ設定された内容、例えば、自車位置から案内交差点までの距離、案内交差点における右左折等について経路案内を行う。また、推奨レーンが設定されている場合、前記地点案内処理手段のレーン案内処理手段は、レーン案内処理を行い、経路案内地点ごとにあらかじめ設定された内容、例えば、自車位置から案内交差点までの各推奨レーン、案内交差点の先の推奨レーン等について、音声フレーズによるレーン案内を行う。そして、走行レーンと推奨レーンとが異なる場合、前記レーン案内処理手段は、車両を走行レーンから推奨レーンに誘導する。したがって、運転者は車両を推奨レーンに沿って走行させることができる。
【0057】
また、前記案内処理手段の案内点拡大図表示処理手段は、案内点拡大図表示処理を行い、交差点データを読み出し、車両が案内交差点に到達する前に、地図画面の所定の領域に案内交差点の拡大図、すなわち、交差点拡大図を表示し、交差点拡大図による経路案内を行う。この場合、前記交差点拡大図に、案内交差点の周辺の地図、探索経路、案内交差点において目印になる施設等の陸標が表示される。また、案内交差点に進入する道路(以下「進入道路」という。)、又は案内交差点から退出する道路(以下「退出道路」という。)に複数のレーンが形成されていて、レーン案内が行われている場合には、前記案内点拡大図表示処理手段は、交差点拡大図に推奨レーンを表示する。
【0058】
ところで、例えば、国道等の幅員の広い道路を優先道とし、一般道等の幅員の狭い道路を非優先道としたとき、優先道と非優先道とが交差する交差点において、非優先道側に車両に感応して信号が切り換わる感応式の信号機、すなわち、感応式信号機が配設されることがある。
【0059】
該感応式信号機においては、非優先道を走行している車両が、感応式信号機の信号が赤になるのに伴って交差点の手前で停止したとき、道路上の所定の箇所に配設された車両感知センサが停止した車両を検出すると、所定の時間が経過するのに伴って信号を青にするようになっている。
【0060】
ところが、車両感知センサは、車両の上方に設置されることが多く、道路上に車両感知センサによる車両の検出領域である感知エリアが表示されていないことが多いので、運転者が車両感知センサの存在に気がつかなかったり、車両感知センサの感知エリアと自車位置との関係を把握することができず、感知エリア外に車両を停止させてしまったりすると、車両を確実に検出することができない。したがって、信号の切換えを円滑に行うことができず、運転者は、信号の切換わりを必要以上に長い時間待たされることがある。
【0061】
そこで、本実施の形態においては、感応式信号機の手前で、ナビゲーション装置14によって感応式信号機が存在すること運転者に知らせるようになっている。
【0062】
図2は本発明の実施の形態における車両案内処理手段の動作を示すフローチャート、図3は本発明の実施の形態における車両案内処理手段の動作を示す第1の図、図4は本発明の実施の形態における車両案内処理手段の動作を示す第2の図、図5は本発明の実施の形態における案内画面の例を示す図である。
【0063】
図において、r1は国道等の幅員の広い道路、r2は一般道等の幅員の狭い道路であり、道路r1は道路r2に対して優先道となり、道路r2は道路r1に対して非優先道となる。また、cr1は交差点、whは自車、sg1〜sg4は信号機であり、信号機sg1、sg2は感応式信号機である。sr1は道路r2の上方に配設された図示されない車両感知センサによる車両の検出領域となる感知エリア、71は各信号機sg1〜sg4の信号の切換えの制御を行う信号機制御部である。前記車両感知センサは、図3に示されるように、自車whが信号機sg1の手前の感知エリアsr1内で停車すると、自車whを検出し、センサ出力を発生させ、該センサ出力を信号機制御部71に送る。なお、実際は、信号機sg2側にも、車両感知センサが配設される。
【0064】
前記信号機制御部71の図示されない信号切換処理手段は、信号切換処理を行い、車両感知センサからセンサ出力が送られてこない場合、信号機sg1、sg2について、信号が青である時間τb1を短く、赤である時間τr1を長く設定し、信号機sg3、sg4は、前記時間τb1だけ赤になり、時間τr1だけ青になる。これに対して、車両感知センサからセンサ出力が送られてくると、信号切換処理手段は、タイマによる計時を開始し、あらかじめ設定された所定の時間が経過すると、前記時間τr1が経過する前でも、信号を赤から青に切り換える。
【0065】
ところが、前記車両感知センサは、道路r2の上方に設置され、しかも、道路r2上に感知エリアsr1が表示されていないので、運転者が車両感知センサの存在に気がつかなかったり、感知エリアsr1と自車位置との関係を把握することができなかったりして、図4に示されるように、感知エリアsr1外に自車whを停止させてしまうと、車両感知センサによって自車whを検出することができなくなってしまう。したがって、信号の切換えを円滑に行うことができず、運転者は、信号の切換わりを必要以上に長い時間待たされてしまう。
【0066】
そこで、CPU31の図示されない信号機データ取得処理手段は、信号機データ取得処理を行い、データ記録部16から交差点データを読み出すことによって取得し、続いて、CPU31の図示されない信号機判定処理手段は、信号機判定処理を行い、自車whの前方に存在する信号機sg1が感応式信号機であるかどうかを判断する。そして、CPU31の図示されない近接判定処理手段は、近接判定処理を行い、自車位置及び信号機sg1のデータを読み込み、自車whが信号機sg1に接近したかどうかを判断する。なお、該信号機sg1のデータによって信号機データが構成される。本実施の形態において、前記近接判定処理手段は、信号機sg1のデータに基づいて自車whが信号機sg1に接近したかどうかを判断するようになっているが、前方監視装置48による信号機sg1の監視結果に基づいて、自車whが信号機sg1に接近したかどうかを判断することができる。
【0067】
そして、自車whが信号機sg1に接近すると、CPU31の図示されない信号機案内処理手段は、信号機案内処理を行い、前方に感応式信号機が存在することを音声フレーズによって案内する。
【0068】
続いて、CPU31の図示されない車両停止判定処理手段は、車両停止判定処理を行い、自車位置、及び前記信号機sg1のデータに含まれ、感知エリアsr1の位置を表すデータを読み込み、自車whが感知エリアsr1内で停止したかどうかを判断し、自車whが感知エリアsr1内で停止していない場合、CPU31の図示されない第2の距離算出処理手段は、第2の距離算出処理を行い、自車whを感知エリアsr1内に移動させるのに必要な距離、すなわち、要移動距離を算出する。
【0069】
次に、CPU31の図示されない感知エリア案内処理手段は、感知エリア案内処理を行い、表示部35に図5に示されるような案内画面を形成し、該案内画面において自車whを感知エリアsr1に向けて移動させるように促して案内するとともに、前記要移動距離を読み込み、「感応式信号機です。車両感知センサの位置は○m後方です。」等の音声フレーズによって案内する。
【0070】
このように、本実施の形態においては、自車whが感知エリアsr1に向けて案内され、誘導されるので、自車whを感知エリアsr1内で停止させることができる。したがって、車両感知センサによって自車whを確実に検出することができる。その結果、信号の切換えを円滑に行うことができ、運転者は、信号の切換わりを必要以上に長い時間待たされることがなくなる。
【0071】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 自車whが信号機sg1に接近する。
ステップS2 前方に感応式信号機が存在することを案内する。
ステップS3 自車whが感知エリアsr1内で停止したかどうかを判断する。自車whが感知エリアsr1内で停止した場合は処理を終了し、停止していない場合はステップS4に進む。
ステップS4 感知エリアsr1を案内し、処理を終了する。
【0072】
本実施の形態において、信号機データ取得処理手段は、データ記録部16から読み出すことによって取得するようになっているが、情報センタ51から信号機sg1のデータを受信することによって取得したり、信号機制御部71から信号機sg1のデータを受信することによって取得したりすることができる。
【0073】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における車両案内処理手段の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態における車両案内処理手段の動作を示す第1の図である。
【図4】本発明の実施の形態における車両案内処理手段の動作を示す第2の図である。
【図5】本発明の実施の形態における案内画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
15 GPSセンサ
31 CPU
sg1〜sg4 信号機
sr1 感知エリア
wh 自車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の現在地を検出する現在地検出部と、信号機データを取得する信号機データ取得処理手段と、前記信号機データに基づいて、前方の信号機が感応式信号機であるかどうかを判断する信号機判定処理手段と、前方の信号機が感応式信号機である場合、現在地及び信号機データに基づいて、自車が感知エリア内に停止しているかどうかを判断し、自車が感知エリア内に停止していない場合、自車を感知エリア内に停止させるように感知エリアを運転者に案内する感知エリア案内処理手段とを有することを特徴とする車両案内システム。
【請求項2】
前記自車が感応式信号機に接近しているかどうかを判断する近接判定処理手段と、自車が感応式信号機に接近している場合、前方に感応式信号機が存在することを運転者に案内する信号機案内処理手段とを有する請求項1に記載の車両案内システム。
【請求項3】
自車の現在地を検出し、信号機データを取得し、該信号機データに基づいて、前方の信号機が感応式信号機であるかどうかを判断し、前方の信号機が感応式信号機である場合、現在地及び信号機データに基づいて、自車が感知エリア内に停止しているかどうかを判断し、自車が感知エリア内に停止していない場合、自車を感知エリア内に停止させるように感知エリアを運転者に案内することを特徴とする車両案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−271345(P2007−271345A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94860(P2006−94860)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】