説明

車両検出装置、通信装置、および、車両検出システム

【課題】車両までの距離の検出精度を向上させる。
【解決手段】車両用通信装置112は、送信強度が異なる複数の距離検出用信号を送信する送信部133、携帯機111からの指令を受信する受信部131、携帯機111からの指令に基づいて、距離検出用信号の送信強度を調整する送信制御部132を備える。携帯機111は、各距離検出用信号を受信する受信部123、各距離検出用信号の受信強度を検出する受信強度検出部124、受信強度が有効範囲内にあるかどうかを判定する有効信号判定部125、受信強度が有効範囲外である距離検出用信号の送信強度の調整を指令する送信強度指令部126、受信強度が有効範囲内である2以上の距離検出用信号の受信強度に基づいて、車両までの距離を検出する距離検出部127を備える。本発明は、例えば、カーファインダシステムに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両検出装置、通信装置、および、車両検出システムに関し、特に、RSSI(Received Signal Strength Indication)を用いて車両との間の距離を検出する場合に用いて好適な車両検出装置、通信装置、および、車両検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両からの送信信号を携帯機で受信し、その受信強度に基づいて携帯機から車両までの距離を検出する方法が知られている。例えば、特許文献1に示されるように、車両と携帯機との間の信号の受信強度に応じて車両と携帯機との距離や方向を検出し、車両が存在する距離や方向を携帯機に表示すること(いわゆるカーファインダシステム)が知られている。
【0003】
図1は、信号の受信強度を検出するためのRSSI(Received Signal Strength Indication)回路の特性の一例を示している。横軸は、RSSI回路に入力される受信信号の強度を表す入力信号レベル(単位はdBm)を示し、縦軸は、入力信号レベルに対してRSSI回路から出力されるRSSI値(単位はV)を示している。
【0004】
この図に示されるように、入力信号レベルが所定の有効範囲内である場合、RSSI値は入力信号レベルに対してほぼ比例する。一方、入力信号レベルが有効範囲を下回り、RSSI値が下限閾値を下回ると、RSSI値は飽和してしまい、ほぼ一定になる。同様に、入力信号レベルが有効範囲を上回り、RSSI値が上限閾値を上回ると、RSSI値は飽和してしまい、ほぼ一定になる。従って、入力信号レベルが有効範囲内となり、RSSI値が未飽和領域の範囲内に収まるとき、RSSI値に基づいて車両までの距離を正確に検出することが可能になる。
【0005】
例えば、図2の斜線で示される領域R2内に携帯機が存在する場合、車両1からの送信信号に対する携帯機のRSSI回路への入力信号レベルが有効範囲内となり、車両1までの距離を正確に検出することができる。一方、領域R2より内側の領域R1内に携帯機が存在する場合、携帯機のRSSI回路への入力信号レベルが有効範囲を上回り、車両1までの距離を正確に検出できなくなる。同様に、領域R2より外側の領域R3内に携帯機が存在する場合、携帯機のRSSI回路への入力信号レベルが有効範囲を下回り、車両1までの距離を正確に検出できなくなる。
【0006】
また、領域R2は、車両1から送信される送信信号の強度に応じて移動する。より具体的には、領域R2は、送信信号の強度が強くなるほど車両1から遠くなり、送信信号の強度が弱くなるほど車両1に近くなる。
【0007】
このように、RSSI回路の特性と車両1からの送信信号の強度により、車両1までの距離を検出できる範囲が限定されてしまう。
【0008】
その一方で、車両1までの距離を検出できる範囲を広げるようにすることが望まれている。また、車両までの距離の検出精度を向上させることが望まれている。
【0009】
一方、従来、パッシブキーレスエントリシステムにおいて、車載用送受信機からの送信信号を携帯用送受信機が受信した際に、その受信信号レベルが携帯用送受信機の検波部の入力許容値を超えるような場合、車載用送受信機からの送信信号レベルを低減させるように制御することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載の発明では、車両までの距離の検出精度を向上させることは特に考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−38684号公報
【特許文献2】特開2005−171720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、車両までの距離の検出精度を向上させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の側面の車両検出装置は、車両に設けられている通信装置と無線通信を行い、車両までの距離を検出する車両検出装置であって、車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号を通信装置から受信する受信部と、各検出用信号の受信強度を検出する受信強度検出部と、受信強度検出部で検出した受信強度が所定の有効範囲内にあるかどうかを判定する有効信号判定部と、受信強度が有効範囲外である検出用信号の送信強度の調整を通信装置に指令する送信強度指令部と、受信強度が有効範囲内である2以上の所定の数以上の検出用信号の受信強度に基づいて、車両までの距離を検出する距離検出部とを備える。
【0014】
本発明の第1の側面の車両検出装置においては、車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号が、車両に設けられている通信装置から受信され、各検出用信号の受信強度が検出され、検出された受信強度が所定の有効範囲内にあるかどうかが判定され、受信強度が有効範囲外である検出用信号の送信強度の調整が通信装置に指令され、受信強度が有効範囲内である2以上の所定の数以上の検出用信号の受信強度に基づいて、車両までの距離が検出される。
【0015】
従って、車両までの距離の検出精度を向上させることができる。
【0016】
この通信装置は、例えば、車載用の通信装置により構成される。この車両検出装置は、例えば、携帯型の通信装置により構成される。この受信部は、例えば、アンテナ、受信回路等により構成される。この受信強度検出部は、例えば、RSSI回路により構成される。この有効信号判定部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置、アナログまたはデジタルの比較回路等により構成される。この送信強度指令部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置、アンテナ、送信回路等により構成される。この距離検出部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置により構成される。
【0017】
この距離検出部には、同時期に受信した前記検出用信号において、受信強度が前記有効範囲内である2以上の所定の数以上の前記検出用信号の受信強度に基づいて、前記車両までの距離を検出させることができる。
【0018】
これにより、車両までの距離の検出精度をより向上させることができる。
【0019】
この送信強度指令部には、受信強度が有効範囲外の検出用信号の送信強度を上げるまたは下げるように指令させることができる。
【0020】
これにより、検出用信号の送信強度を迅速に適正な値に調整することができる。
【0021】
この車両検出装置には、受信強度が有効範囲内の検出用信号に基づいて算出される車両までの距離に基づいて、受信強度が有効範囲外の検出用信号の送信強度の設定値を算出する設定強度算出部をさらに設け、この指令部には、受信強度が有効範囲外の検出用信号の送信強度を設定値に設定するよう指令させることができる。
【0022】
これにより、検出用信号の送信強度をより迅速に適正な値に調整することができる。
【0023】
この設定強度算出部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置により構成される。
【0024】
この送信強度指令部には、受信強度が有効範囲内の検出用信号が所定の数未満である場合、受信強度が有効範囲外である検出用信号の送信強度の調整を指令させることができる。
【0025】
これにより、通信量を削減するとともに、必要な場合に限り検出用信号の送信強度を調整するようにすることができる。
【0026】
本発明の第2の側面の車両検出システムは、車両に設けられている通信装置、および、通信装置と無線通信を行い、車両までの距離を検出する車両検出装置を備える車両検出システムであって、通信装置は、車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号を車両検出装置に送信する送信部と、車両検出装置からの指令を受信する第1の受信部と、車両検出装置からの指令に基づいて、各検出用信号の送信強度を調整する送信制御部とを備え、車両検出装置は、各検出用信号を受信する第2の受信部と、各検出用信号の受信強度を検出する受信強度検出部と、受信強度検出部で検出した受信強度が所定の有効範囲内にあるかどうかを判定する有効信号判定部と、受信強度が有効範囲外である検出用信号の送信強度の調整を通信装置に指令する送信強度指令部と、受信強度が有効範囲内である2以上の所定の数以上の検出用信号の受信強度に基づいて、車両までの距離を検出する距離検出部とを備える。
【0027】
本発明の第2の側面の車両検出システムにおいては、車両に設けられている通信装置により、車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号が車両検出装置に送信され、車両検出装置からの指令が受信され、車両検出装置からの指令に基づいて、各検出用信号の送信強度が調整され、車両検出装置により、各検出用信号が受信され、各検出用信号の受信強度が検出され、検出された受信強度が所定の有効範囲内にあるかどうかが判定され、受信強度が有効範囲外である検出用信号の送信強度の調整が通信装置に指令され、受信強度が有効範囲内である2以上の所定の数以上の検出用信号の受信強度に基づいて、車両までの距離が検出される。
【0028】
従って、車両までの距離の検出精度を向上させることができる。
【0029】
この通信装置は、例えば、車載用の通信装置により構成される。この車両検出装置は、例えば、携帯型の通信装置により構成される。この送信部は、例えば、アンテナ、送信回路等により構成される。この第1の受信部は、例えば、アンテナ、受信回路等により構成される。この送信制御部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置により構成される。この第2の受信部は、例えば、アンテナ、受信回路等により構成される。この受信強度検出部は、例えば、RSSI回路により構成される。この有効信号判定部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置、アナログまたはデジタルの比較回路等により構成される。この送信強度指令部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置、アンテナ、送信回路等により構成される。この距離検出部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置により構成される。
【0030】
本発明の第3の側面の車両検出装置は、車両に設けられている通信装置と無線通信を行い、車両までの距離を検出する車両検出装置であって、車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号を通信装置から受信する受信部と、各検出用信号の受信強度を検出する受信強度検出部と、受信強度検出部で検出した受信強度が所定の有効範囲内にあるかどうかを判定する有効信号判定部と、各検出用信号の受信状態を通信装置に通知する受信状態通知部と、受信強度が有効範囲内である2以上の所定の数以上の検出用信号の受信強度に基づいて、車両までの距離を検出する距離検出部とを備える。
【0031】
本発明の第3の側面の車両検出装置においては、車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号が、車両に設けられている通信装置から受信され、各検出用信号の受信強度が検出され、検出された受信強度が所定の有効範囲内にあるかどうかが判定され、各検出用信号の受信状態が通信装置に通知され、受信強度が有効範囲内である2以上の所定の数以上の検出用信号の受信強度に基づいて、車両までの距離が検出される。
【0032】
従って、車両までの距離の検出精度を向上させることができる。
【0033】
この通信装置は、例えば、車載用の通信装置により構成される。この車両検出装置は、例えば、携帯型の通信装置により構成される。この受信部は、例えば、アンテナ、受信回路等により構成される。この受信強度検出部は、例えば、RSSI回路により構成される。この有効信号判定部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置、アナログまたはデジタルの比較回路等により構成される。この受信状態通知部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置、アンテナ、送信回路等により構成される。この距離検出部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置により構成される。
【0034】
この受信状態には、各検出用信号の受信強度が有効範囲内、強い、または、弱いのいずれであるかを示す情報を含ませることができる。
【0035】
これにより、検出用信号の送信強度を迅速に適正な値に調整することができる。
【0036】
この受信状態には、各検出用信号の受信強度をさらに含ませることができる。
【0037】
これにより、検出用信号の送信強度をより迅速に適正な値に調整することができる。
【0038】
この受信状態通知部には、受信強度が有効範囲内の検出用信号が所定の数未満である場合、検出用信号の受信状態を通知させるようにすることができる。
【0039】
これにより、通信量を削減するともに、必要な場合に限り検出用信号の送信強度を調整するようにすることができる。
【0040】
本発明の第4の側面の通信装置は、車両に設けられ、車両までの距離を検出する車両検出装置と無線通信を行う通信装置であって、車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号を車両検出装置に送信する送信部と、車両検出装置における各検出用信号の受信状態の通知を車両検出装置から受信する受信部と、各検出用信号の受信状態に基づいて、各検出用信号の送信強度を調整する送信制御部とを備える。
【0041】
本発明の第4の側面の通信装置においては、車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号が車両検出装置に送信され、車両検出装置における各検出用信号の受信状態の通知が車両検出装置から受信され、各検出用信号の受信状態に基づいて、各検出用信号の送信強度が調整される。
【0042】
従って、車両までの距離の検出精度を向上させることができる。
【0043】
この通信装置は、例えば、車載用の通信装置により構成される。この車両検出装置は、例えば、携帯型の通信装置により構成される。この送信部は、例えば、アンテナ、送信回路等により構成される。この受信部は、例えば、アンテナ、受信回路等により構成される。この送信制御部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置により構成される。
【0044】
受信状態には、各検出用信号の受信強度が所定の有効範囲内、強い、または、弱いのいずれであるかを示す情報を含ませ、送信制御部には、受信強度が強い検出用信号の送信強度を下げ、受信強度が弱い検出用信号の送信強度を上げさせることができる。
【0045】
これにより、検出用信号の送信強度を迅速に適正な値に調整することができる。
【0046】
受信状態には、各検出用信号の受信強度をさらに含ませ、送信制御部には、受信強度が有効範囲内である検出用信号の受信強度に基づいて、受信強度が有効範囲外である検出用信号の送信強度を設定させることができる。
【0047】
これにより、検出用信号の送信強度をより迅速に適正な値に調整することができる。
【0048】
本発明の第5の側面の車両検出システムは、車両に設けられている通信装置、および、通信装置と無線通信を行い、車両までの距離を検出する車両検出装置を備える車両検出システムであって、通信装置は、車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号を車両検出装置に送信する送信部と、車両検出装置における各検出用信号の受信状態の通知を車両検出装置から受信する第1の受信部と、検出用信号の受信状態に基づいて、検出用信号の送信強度を調整する送信制御部とを備え、車両検出装置は、各検出用信号を受信する第2の受信部と、各検出用信号の受信強度を検出する受信強度検出部と、受信強度検出部で検出した受信強度が所定の有効範囲内にあるかどうかを判定する有効信号判定部と、各検出用信号の受信状態を通信装置に通知する受信状態通知部と、受信強度が有効範囲内である2以上の所定の数以上の検出用信号の受信強度に基づいて、車両までの距離を検出する距離検出部とを備える。
【0049】
本発明の第5の側面の車両検出システムにおいては、車両に設けられている通信装置により、車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号が車両検出装置に送信され、車両検出装置における各検出用信号の受信状態の通知が車両検出装置から受信され、各検出用信号の受信状態に基づいて、各検出用信号の送信強度が調整され、車両検出装置により、各検出用信号が受信され、各検出用信号の受信強度が検出され、検出された受信強度が所定の有効範囲内にあるかどうかが判定され、各検出用信号の受信状態が通信装置に通知され、受信強度が有効範囲内である2以上の所定の数以上の検出用信号の受信強度に基づいて、車両までの距離が検出される。
【0050】
従って、車両までの距離の検出精度を向上させることができる。
【0051】
この通信装置は、例えば、車載用の通信装置により構成される。この車両検出装置は、例えば、携帯型の通信装置により構成される。この送信部は、例えば、アンテナ、送信回路等により構成される。この第1の受信部は、例えば、アンテナ、受信回路等により構成される。この送信制御部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置により構成される。この第2の受信部は、例えば、アンテナ、受信回路等により構成される。この受信強度検出部は、例えば、RSSI回路により構成される。この有効信号判定部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置、アナログまたはデジタルの比較回路等により構成される。この受信状態通知部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置、アンテナ、送信回路等により構成される。この距離検出部は、例えば、CPU等の制御装置や演算装置により構成される。
【発明の効果】
【0052】
本発明の第1乃至第5の側面によれば、車両までの距離の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】RSSI回路の特性の一例を示すグラフである。
【図2】車両までの距離の検出可能範囲の一例を示す図である。
【図3】本発明を適用したカーファインダシステムの第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図4】携帯機により実行される車両検出処理の第1の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図5】距離検出用信号の有効判定を説明するための図である。
【図6】距離検出用信号の送信強度の調整方法の例を示す表である。
【図7】車両用通信装置により実行される距離検出用信号送信処理の第1の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明を適用したカーファインダシステムの第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図9】携帯機により実行される車両検出処理の第2の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図10】車両用通信装置により実行される距離検出用信号送信処理の第2の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明を適用したカーファインダシステムの第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図12】携帯機により実行される車両検出処理の第3の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【図13】車両用通信装置により実行される距離検出用信号送信処理の第3の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(携帯機から距離検出用信号の送信強度の強弱を指令する例)
2.第2の実施の形態(携帯機から距離検出用信号の送信強度を設定する例)
3.第3の実施の形態(携帯機から距離検出用信号の受信状態を通知する例)
4.変形例
【0055】
<1.第1の実施の形態>
[カーファインダシステムの構成例]
図3は、本発明を適用したカーファインダシステムの第1の実施の形態を示すブロック図である。
【0056】
カーファインダシステム101は、携帯機111および車両用通信装置112により構成され、携帯機111を用いて、車両用通信装置112が設けられている車両までの距離を検出するシステムである。
【0057】
携帯機111は、携帯型の通信装置により構成され、車両用通信装置112と無線通信を行い、通信装置から送信される距離検出用信号の受信強度に基づいて、携帯機111から車両までの距離を検出する。
【0058】
携帯機111は、操作部121、送信部122、受信部123、受信強度検出部124、有効信号判定部125、送信強度指令部126、距離検出部127、および、通知部128を含むように構成される。
【0059】
操作部121は、例えば、ボタン、スイッチ等の操作手段により構成され、例えば、携帯機111を用いて車両までの距離を検出する場合等に、ユーザにより操作される。操作部121は、ユーザにより操作されたとき、操作内容を示す操作信号を送信部122に供給する。
【0060】
送信部122は、車両用通信装置112の受信部131と所定の方式による無線通信を行い、車両用通信装置112への指令等を送信する。
【0061】
受信部123は、車両用通信装置112の送信部133と所定の方式による無線通信を行い、車両との距離を検出するための距離検出用信号を車両用通信装置112から受信する。受信部123は、受信した距離検出用信号を受信強度検出部124に供給する。
【0062】
なお、車両用通信装置112からは、送信強度が異なる複数の種類の距離検出用信号が送信される。以下の説明では、3種類の送信強度が異なる距離検出用信号を用いる場合を例に挙げて説明する。なお、以下、送信強度が最も強い方から順に、距離検出用信号1、距離検出用信号2、距離検出用信号3と称する。
【0063】
受信強度検出部124は、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indication)回路により構成され、距離検出用信号の受信強度を検出する。より具体的には、受信強度検出部124は、受信部123から供給される距離検出用信号の入力信号レベルを、RSSI値を表す電圧に変換する。受信強度検出部124は、RSSI値を表す電圧信号(以下、RSSI信号と称する)を、有効信号判定部125および距離検出部127に供給する。
【0064】
有効信号判定部125は、各距離検出用信号に対するRSSI値に基づいて、各距離検出用信号が有効であるか否かを判定する。有効信号判定部125は、判定結果を送信強度指令部126および距離検出部127に供給する。
【0065】
送信強度指令部126は、有効信号判定部125による判定結果に基づいて、無効であると判定された距離検出用信号の送信強度の調整の指令を、送信部122を介して、車両用通信装置112に送信する。また、送信強度指令部126は、車両用通信装置112に送信した指令の内容を距離検出部127に供給する。
【0066】
距離検出部127は、有効であると判定された距離検出用信号に対するRSSI値を用いて、車両との間の距離を検出する。例えば、距離検出部127は、受信した距離検出用信号(例えば、距離検出用信号1)の送信強度ごとに、RSSI値と車両までの間の距離とを予め対応付けた対応表を記憶しておく。そして、距離検出部127は、その対応表を用いて車両との間の距離を検出する。ここで、後述するように、車両用通信装置112から送信される複数の距離検出用信号には、それぞれ送信強度の初期値が設定されている。携帯機111は、まずその初期値に対応する対応表を用いて車両との間の距離の検出を行い、その後、車両用通信装置112へ距離検出用信号の送信強度の変更を指令した場合、その変更に合わせた対応表を用いて車両との間の距離を検出する。そして、距離検出部127は、このように検出した検出結果を通知部128に供給する。
【0067】
通知部128は、例えば、ディスプレイ等の表示手段、LED(Light Emitting Diode)等の発光手段、または、スピーカ、ブザー等の音声出力手段等により構成される。そして、通知部128は、所定の方法により、車両までの距離の検出結果をユーザに通知する。
【0068】
車両用通信装置112は、受信部131、送信制御部132、および、送信部133を含むように構成される。
【0069】
受信部131は、携帯機111の送信部122から送信される車両用通信装置112への指令等を受信し、送信制御部132に供給する。
【0070】
送信制御部132は、携帯機111からの指令等に基づいて、送信部133からの距離検出用信号の送信タイミングや送信強度等を制御する。
【0071】
送信部133は、送信制御部132の制御の下に、送信強度が異なる複数の種類の距離検出用信号を携帯機111に送信する。
【0072】
[車両検出処理]
次に、図4のフローチャートを参照して、携帯機111により実行される車両検出処理について説明する。なお、この処理は、例えば、ユーザが、携帯機111の操作部121を操作して、車両までの距離の検出を指令し、操作部121から送信部122および距離検出部127に操作信号が供給されたとき開始される。
【0073】
ステップS1において、送信部122は、送信要求信号を送信することにより、車両用通信装置112に距離検出用信号の送信を要求する。
【0074】
送信要求信号を受信した車両用通信装置112は、後述する図7のステップS53において、距離検出用信号を送信する。
【0075】
ステップS2において、距離検出部127は、タイマをスタートする。
【0076】
ステップS3において、距離検出部127は、タイマをスタートしてから所定の時間が経過したか否かを判定する。所定の時間が経過していないと判定された場合、処理はステップS4に進む。
【0077】
ステップS4において、受信部123は、距離検出用信号を受信したか否かを判定する。距離検出用信号を受信していないと判定された場合、処理はステップS3に戻る。
【0078】
その後、ステップS3において、所定の時間が経過したと判定されるか、ステップS4において、距離検出用信号を受信したと判定されるまで、ステップS3およびステップS4の処理が繰り返し実行される。
【0079】
一方、ステップS4において、距離検出用信号を受信したと判定された場合、処理はステップS5に進む。
【0080】
ステップS5において、受信強度検出部124は、距離検出用信号の受信強度を検出する。具体的には、受信部123は、車両用通信装置112から受信した距離検出用信号を受信強度検出部124に供給する。受信強度検出部124は、距離検出用信号の入力信号レベルをRSSI値を表す電圧に変換することにより、距離検出用信号の受信強度を検出する。そして、受信強度検出部124は、変換したRSSI値を表すRSSI信号を有効信号判定部125に供給する。
【0081】
なお、複数の種類の距離検出用信号を受信した場合、受信強度検出部124は、各距離検出用信号をそれぞれRSSI信号に変換して、有効信号判定部125に供給する。
【0082】
ステップS6において、有効信号判定部125は、距離検出用信号の有効判定を行う。具体的には、有効信号判定部125は、RSSI値が未飽和領域内に収まっている距離検出用信号を有効であると判定し、RSSI値が未飽和領域内に収まっていない距離検出用信号を無効であると判定する。
【0083】
ここで、判定結果の具体例について、図5を参照して説明する。図5は、受信強度検出部124を構成するRSSI回路の特性の例を示しており、上述した図1の特性と同様の特性を有している。また、入力信号レベルL1乃至L3は、それぞれ距離検出用信号1乃至3に対する入力信号レベルを示している。
【0084】
この場合、距離検出用信号1の入力信号レベルL1は有効範囲より大きいため、RSSI値が上限閾値を超えてしまう。従って、距離検出用信号1は無効であると判定される。同様に、距離検出用信号3の入力信号レベルL3は有効範囲より小さいため、RSSI値が下限閾値を下回ってしまう。従って、距離検出用信号3は無効であると判定される。一方、距離検出用信号2の入力信号レベルL2は有効範囲内であり、距離検出用信号2に対するRSSI値は未飽和領域内に収まっている。従って、距離検出用信号2は有効であると判定される。
【0085】
ステップS7において、有効信号判定部125は、ステップS6の判定結果に基づいて、複数の距離検出用信号が有効であるか否かを判定する。複数の距離検出用信号が有効でないと判定された場合、すなわち、有効な距離検出用信号が2種類未満の場合、処理はステップS8に進む。
【0086】
ステップS8において、送信強度指令部126は、無効な距離検出用信号の送信強度の調整方法を決定する。具体的には、有効信号判定部125は、判定結果を送信強度指令部126に供給する。この判定結果には、各距離検出用信号が有効であるか否かに加えて、無効な距離検出用信号については、受信強度が強い(RSSI値が上限閾値を超える)か弱い(RSSI値が下限閾値未満)かを示す情報が含まれる。そして、送信強度指令部126は、取得した判定結果に基づいて、無効な距離検出用信号の調整方法を決定する。
【0087】
ステップS9において、送信強度指令部126は、無効な距離検出用信号の送信強度の調整を指令するための送信強度調整指令を、送信部122を介して送信することにより、車両用通信装置112に無効な距離検出用信号の調整を指令する。なお、この送信強度調整指令には、例えば、調整対象となる距離検出用信号、および、当該信号の送信強度を強めるか弱めるかを示す情報が含まれる。
【0088】
また、送信強度指令部126は、車両用通信装置112に送信した送信強度調整指令の内容を距離検出部127に供給する。これにより、距離検出部127は、調整後の各距離検出用信号の送信強度を把握することができる。
【0089】
車両用通信装置112は、後述する図7のステップS54において、送信強度調整指令を受信し、ステップS56において、その指令に基づいて、距離検出用信号の送信強度を調整する。
【0090】
ここで、図6を参照して、距離検出用信号の調整方法の具体例について説明する。なお、図6は、携帯機111が距離検出用信号1乃至3を全て受信できた場合の各信号の調整方法をまとめた表であり、各信号の判定結果に応じてパターン1からパターン8までの調整方法に分かれている。
【0091】
なお、図中、未飽和と書かれた欄は、対象となる距離検出用信号のRSSI値が未飽和領域内に収まり、当該信号が有効であることを示している。また、飽和(強)と書かれた欄は、対象となる距離検出用信号のRSSI値が上限閾値を超え、当該信号が無効であることを示している。さらに、飽和(弱)と書かれた欄は、対象となる距離検出用信号のRSSI値が下限閾値を下回り、当該信号が無効であることを示している。
【0092】
パターン1の場合、すなわち、距離検出用信号1乃至3が全て強すぎる場合、距離検出用信号2,3の2つの信号が有効になるように、距離検出用信号2,3の送信強度が弱められる。
【0093】
パターン2の場合、すなわち、距離検出用信号3が有効で、距離検出用信号1,2が強すぎる場合、距離検出用信号2,3の2つの信号が有効になるように、距離検出用信号2の送信強度が弱められる。
【0094】
パターン3の場合、すなわち、距離検出用信号2が有効で、距離検出用信号1が強すぎて、距離検出用信号3が弱すぎる場合、距離検出用信号1または2のいずれかと距離検出用信号2の2つの信号が有効になるように、距離検出用信号1の送信強度が弱められるか、距離検出用信号3の送信強度が強められる。
【0095】
パターン4乃至6の場合、2つ以上の距離検出用信号が有効なので、距離検出用信号の送信強度の調整は行われない。
【0096】
パターン7の場合、すなわち、距離検出用信号1が有効で、距離検出用信号2,3が弱すぎる場合、距離検出用信号1,2の2つの信号が有効になるように、距離検出用信号2の送信強度が強められる。
【0097】
パターン8の場合、すなわち、距離検出用信号1乃至3が全て弱すぎる場合、距離検出用信号1,2の2つの信号が有効になるように、距離検出用信号1,2の送信強度が強められる。
【0098】
その後、処理はステップS3に戻り、ステップS3において、所定の時間が経過したと判定されるか、ステップS7において、複数の距離検出用信号が有効であると判定されるまで、ステップS3乃至S9の処理が繰り返し実行される。すなわち、複数の距離検出用信号が有効になるか、所定の時間が経過するまで、無効な距離検出用信号の送信強度の調整が携帯機111から車両用通信装置112に指令される。
【0099】
一方、ステップS7において、複数の距離検出用信号が有効であると判定された場合、処理はステップS10に進む。
【0100】
ステップS10において、距離検出部127は、車両までの距離を検出する。具体的には、上述したように、距離検出部127は、距離検出用信号の送信強度およびRSSI値、並びに、車両までの距離の関係を示すデータ(対応表)を予め保持している。そして、距離検出部127は、そのデータを用いて、同時期(例えば、数ミリ秒から数秒程度の間)に受信した複数の有効な距離検出用信号のそれぞれの送信強度およびRSSI値に基づいて、車両までの距離を求める。ここで、複数の距離検出用信号のうちのいずれかの送信強度を変更するように車両用通信装置112に指令した場合、距離検出部127は、その送信強度の変更に応じたデータ(対応表)を用いて、車両までの距離を求める。このように、同時期に受信した複数の距離検出用信号に基づいて、車両までの距離が複数検出される。
【0101】
さらに、距離検出部127は、複数の車両までの距離の検出結果に基づいて、車両までの距離の最終的な検出結果を求める。例えば、全ての距離の検出結果の平均値を、最終的な検出結果とするようにしてもよい。あるいは、3つの検出結果が求められている場合、例えば、中間の値を最終的な検出結果とするようにしてもよい。
【0102】
そして、距離検出部127は、車両までの距離の検出結果を通知部128に供給する。
【0103】
ステップS11において、通知部128は、任意の方法により、検出結果を通知する。例えば、通知部128は、車両までの距離を数値や目盛り等で表示したり、音声で通知したり、発光手段の色、点灯数、明るさ等で通知したりする。
【0104】
その後、車両検出処理は終了する。
【0105】
一方、ステップS3において、所定の時間が経過したと判定された場合、すなわち、所定の時間内に、複数の有効な距離検出用信号を受信できなかった場合、処理はステップS12に進む。
【0106】
ステップS12において、通知部128は、検出エラーを通知する。具体的には、距離検出部127は、車両までの距離の検出に失敗したことを示す情報を通知部128に供給する。通知部128は、車両までの距離の検出結果を通知する場合と同様に、任意の方法により検出エラーを通知する。
【0107】
その後、車両検出処理は終了する。
【0108】
[距離検出用信号送信処理]
次に、図7のフローチャートを参照して、図4の携帯機111の車両検出処理に対応して、車両用通信装置112により実行される距離検出用信号送信処理について説明する。
【0109】
ステップS51において、送信制御部132は、距離検出用信号の送信が要求されたか否かを判定する。この判定処理は、距離検出用信号の送信が要求されたと判定されるまで、所定の間隔で繰り返し実行される。そして、送信制御部132は、図4のステップS1において携帯機111から送信された送信要求信号を、受信部131を介して受信した場合、距離検出用信号の送信が要求されたと判定し、処理はステップS52に進む。
【0110】
ステップS52において、送信制御部132は、タイマをスタートする。
【0111】
ステップS53において、送信部133は、距離検出用信号を送信する。例えば、送信部133は、送信制御部132の制御の下に、距離検出用信号1乃至3を所定の間隔を空けて順番に所定の時間ずつ送信する。なお、このときの距離検出用信号1乃至3の送信強度は、それぞれ所定の初期値に設定される。また、距離検出用信号1乃至3を送信する間隔は、お互いの信号が干渉されない程度に短い時間(例えば、数ミリ秒から数秒程度)に設定される。
【0112】
ステップS54において、送信制御部132は、送信強度の調整が指令されたか否かを判定する。送信制御部132は、携帯機111から送信強度調整指令を受信していない場合、送信強度の調整が指令されていないと判定し、処理はステップS55に進む。
【0113】
ステップS55において、送信制御部132は、タイマをスタートしてから所定の時間が経過したか否かを判定する。まだ所定の時間が経過していないと判定された場合、処理はステップS54に戻る。
【0114】
その後、ステップS54において、送信強度の調整が指令されたと判定されるか、ステップS55において、所定の時間が経過したと判定されるまで、ステップS54およびステップS55の処理が繰り返し実行される。
【0115】
一方、ステップS54において、送信制御部132は、図4のステップS9において携帯機111から送信された送信強度調整指令を、受信部131を介して受信した場合、送信強度の調整が指令されたと判定し、処理はステップS56に進む。
【0116】
ステップS56において、送信制御部132は、送信強度を調整する。具体的には、送信制御部132は、携帯機111から送信強度を強めるように指令された距離検出用信号が存在する場合、当該信号の送信強度を現在の値から所定の値だけ上げるように送信部133の設定を行う。一方、送信制御部132は、携帯機111から送信強度を弱めるように指令された距離検出用信号が存在する場合、当該信号の送信強度を現在の値から所定の値だけ下げるように送信部133の設定を行う。
【0117】
なお、送信制御部132は、携帯機111から送信強度の変更を指令された場合に、送信強度を所定の値だけ強める又は弱めるようにしている。そのため、携帯機111は、送信強度の変更を指令した後に受信する距離検出用信号がどの送信強度の信号なのか判断することができる。つまり、携帯機111は、送信強度が所定の値だけ強めた又は弱めた信号が届くということを事前に把握でき、その送信強度に対応したRSSI値と車両までの距離とを示すデータ(対応表)を用いることができる。
【0118】
その後、処理は、ステップS53に戻り、ステップS55において、所定の時間が経過したと判定されるまで、ステップS53乃至S56の処理が繰り返し実行される。これにより、所定の時間が経過するまで、携帯機111からの指令に従って、無効な距離検出用信号の送信強度を調整し、各距離検出用信号を送信する処理が繰り返される。
【0119】
一方、ステップS55において、所定の時間が経過したと判定された場合、処理はステップS57に進む。
【0120】
ステップS57において、送信制御部132は、送信強度をリセットする。すなわち、送信制御部132は、各距離検出用信号の送信強度が初期値になるように送信部133の設定を行う。
【0121】
その後、処理はステップS51に戻り、ステップS51以降の処理が実行される。
【0122】
以上のように、携帯機111からの指令に従って、車両用通信装置112から送信される距離検出用信号の送信強度を調整することにより、調整を行わない場合と比較して、車両までの距離の検出範囲を広げることができる。
【0123】
また、携帯機111での受信状態に基づいて、送信強度を強めるか弱めるかが指令されるので、距離検出用信号の送信強度を迅速に適正な値に調整することができ、ユーザの待ち時間を短縮することができる。
【0124】
さらに、2種類以上の送信強度の距離検出用信号を用いて車両までの距離の検出を行うので、車両までの距離の検出精度が向上する。
【0125】
<2.第2の実施の形態>
[カーファインダシステムの構成例]
図8は、本発明を適用したカーファインダシステムの第2の実施の形態を示すブロック図である。このカーファインダシステム201は、携帯機211から車両用通信装置212の距離検出用信号の送信強度を設定できるようにするものである。
【0126】
なお、図中、図3と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるため適宜省略する。
【0127】
カーファインダシステム201は、携帯機211および車両用通信装置212により構成される。
【0128】
携帯機211は、図3の携帯機111と比較して、送信強度指令部126の代わりに送信強度指令部222が設けられ、設定強度算出部221が追加されている点が異なる。
【0129】
設定強度算出部221は、各距離検出用信号に対するRSSI信号を受信強度検出部124から取得する。また、設定強度算出部221は、有効信号判定部125から、各距離検出用信号が有効であるか否かの判定結果を取得する。さらに、設定強度算出部221は、距離検出部127から、車両までの距離の検出結果を取得する。そして、設定強度算出部221は、無効な距離検出用信号の送信強度の設定値(以下、設定強度と称する)を算出する。設定強度算出部221は、算出した設定強度、および、その対象となる距離検出用信号を示す情報を送信強度指令部222に供給する。
【0130】
送信強度指令部222は、無効な距離検出用信号の送信強度を、設定強度算出部221により求められた設定強度に設定する旨の指令を、送信部122を介して、車両用通信装置212に送信する。また、送信強度指令部222は、車両用通信装置212に送信した指令の内容を距離検出部127に供給する。
【0131】
車両用通信装置212は、図3の車両用通信装置112と比較して、送信制御部132の代わりに送信制御部231が設けられている点が異なる。
【0132】
送信制御部231は、携帯機211からの指令等に基づいて、送信部133からの距離検出用信号の送信タイミングを制御したり、携帯機211から指令された設定強度に送信強度を設定したりする。
【0133】
[車両検出処理]
次に、図9のフローチャートを参照して、携帯機211により実行される車両検出処理について説明する。
【0134】
図9の車両検出処理は、図4の車両検出処理と比較して、ステップS108およびステップS109の処理が異なっている。
【0135】
具体的には、ステップS108において、携帯機211は、無効な距離検出用信号の設定強度を算出する。なお、ステップS108の処理が行われるのは、ステップS107において、複数の距離検出用信号が有効でないと判定された場合、すなわち、有効な距離検出用信号が1つまたは0の場合である。
【0136】
そこで、有効な距離検出用信号が1つである場合、距離検出部127は、その距離検出用信号のRSSI値に基づいて、車両までの距離を求め、求めた距離を示す情報を設定強度算出部221に供給する。
【0137】
車両までの距離が分かれば、無効な距離検出用信号の送信強度をどの程度に設定すれば、受信強度が有効範囲内に収まるかを推測することが可能である。従って、設定強度算出部221は、無効な距離検出用信号のうち少なくとも1つについて、距離検出部127により求められた車両までの距離に基づいて、受信強度が有効範囲内に収まると推測される送信強度を設定強度として算出する。そして、設定強度算出部221は、算出した設定強度、および、その対象となる距離検出用信号を示す情報を送信強度指令部222に供給する。
【0138】
また、有効な距離検出用信号が存在しなくても、距離検出用信号の受信強度が全て強すぎる場合(図6のパターン1の場合)、車両までの距離が所定の範囲内であることが分かる。従って、設定強度算出部221は、無効な距離検出用信号のうち少なくとも2つについて、受信強度が有効範囲内に収まると推測される送信強度を設定強度として算出する。そして、設定強度算出部221は、算出した設定強度、および、その対象となる距離検出用信号を示す情報を送信強度指令部222に供給する。
【0139】
一方、距離検出用信号の受信強度が全て弱すぎる場合(図6のパターン8の場合)、車両までの距離が所定の範囲を超えていることは分かるが、どの程度超えているかは不明である。従って、設定強度算出部221は、各距離検出用信号について、現在の送信強度から所定の値だけ加えた値を設定強度として算出する。そして、設定強度算出部221は、算出した設定強度、および、その対象となる距離検出用信号を示す情報を送信強度指令部222に供給する。
【0140】
ステップS109において、送信強度指令部222は、無効な距離検出用信号の送信強度の調整を指令するための送信強度調整指令を、送信部122を介して送信することにより、車両用通信装置212に無効な距離検出用信号の調整を指令する。なお、この送信強度調整指令には、例えば、調整対象となる距離検出用信号、および、当該信号の設定強度を示す情報が含まれる。
【0141】
また、送信強度指令部222は、車両用通信装置212に送信した送信強度調整指令の内容を距離検出部127に通知する。これにより、距離検出部127は、調整後の各距離検出用信号の送信強度を把握することができる。
【0142】
そして、複数の距離検出用信号が有効になるか、所定の時間が経過するまで、無効な距離検出用信号の送信強度を設定強度に設定するように携帯機211から車両用通信装置212に指令される。
【0143】
[距離検出用信号送信処理]
次に、図10のフローチャートを参照して、図9の携帯機211の車両検出処理に対応して、車両用通信装置212により実行される距離検出用信号送信処理について説明する。
【0144】
図10の距離検出用信号送信処理は、図7の距離検出用信号送信処理と比較して、ステップS156の処理が異なっている。
【0145】
具体的には、ステップS156において、送信制御部231は、送信強度を指令された値に設定する。すなわち、送信制御部231は、携帯機211から受信した送信強度調整指令に基づいて、調整対象となる距離検出用信号の送信強度が、携帯機211から指令された設定強度になるように送信部133の設定を行う。
【0146】
そして、所定の時間が経過するまで、携帯機211からの指令に従って、無効な距離検出用信号の送信強度を指令された設定強度に設定し、各距離検出用信号を送信する処理が繰り返される。
【0147】
以上のようにして、カーファインダシステム201では、カーファインダシステム101と比較して、送信強度の調整時間をより短くし、ユーザの待ち時間を短縮することができる。
【0148】
<3.第3の実施の形態>
[カーファインダシステムの構成例]
図11は、本発明を適用したカーファインダシステムの第3の実施の形態を示すブロック図である。このカーファインダシステム201は、携帯機311から車両用通信装置312に距離検出用信号の受信状態を通知し、車両用通信装置312が、その受信状態に基づいて距離検出用信号の送信強度を設定するようにするものである。
【0149】
なお、図中、図3と対応する部分には同じ符号を付してあり、処理が同じ部分については、その説明は繰り返しになるため適宜省略する。
【0150】
カーファインダシステム301は、携帯機311および車両用通信装置312により構成される。
【0151】
携帯機311は、図3の携帯機111と比較して、受信状態通知部321が追加され、送信強度指令部126が削除されている点が異なる。
【0152】
受信状態通知部321は、各距離検出用信号に対するRSSI信号を受信強度検出部124から取得する。また、受信状態通知部321は、有効信号判定部125から、各距離検出用信号が有効であるか否かの判定結果を取得する。そして、受信状態通知部321は、距離検出用信号の受信状態を、送信部122を介して、車両用通信装置312に通知する。
【0153】
車両用通信装置312は、図3の車両用通信装置112と比較して、送信制御部132の代わりに送信制御部331が設けられている点が異なる。
【0154】
送信制御部331は、携帯機311からの指令等に基づいて、送信部133からの距離検出用信号の送信タイミングを制御したり、携帯機311から通知された受信状態に基づいて、距離検出用信号の送信強度を調整したりする。
【0155】
[車両検出処理]
次に、図12のフローチャートを参照して、携帯機311により実行される車両検出処理について説明する。
【0156】
図12の車両検出処理は、図4の車両検出処理と比較して、ステップS208の処理が異なっている。
【0157】
具体的には、ステップS208において、受信状態通知部321は、送信部122を介して、受信状態通知信号を送信することにより、車両用通信装置312に距離検出用信号の受信状態を通知する。受信状態通知信号は、例えば、各距離検出用信号の受信強度が適正(有効範囲内)、強い、または、弱いのいずれであるかを示す情報を含む。
【0158】
そして、複数の距離検出用信号が有効になるか、所定の時間が経過するまで、距離検出用信号の受信状態が携帯機311から車両用通信装置312に通知される。
【0159】
[距離検出用信号送信処理]
次に、図13のフローチャートを参照して、図12の携帯機311の車両検出処理に対応して、車両用通信装置312により実行される距離検出用信号送信処理について説明する。
【0160】
図13の距離検出用信号送信処理は、図7の距離検出用信号送信処理と比較して、ステップS256の処理が異なっている。
【0161】
具体的には、ステップS256において、送信制御部331は、携帯機311の受信状態に基づいて、送信強度を調整する。例えば、送信強度が強すぎると通知された距離検出用信号が存在する場合、送信制御部331は、当該信号の送信強度を現在の値から所定の値だけ下げるように送信部133の設定を行う。一方、送信強度が弱すぎると通知された距離検出用信号が存在する場合、送信制御部331は、当該信号の送信強度を現在の値から所定の値だけ上げるように送信部133の設定を行う。
【0162】
そして、所定の時間が経過するまで、携帯機311の受信状態が通知された場合に、その受信状態に基づいて、無効な距離検出用信号の送信強度を調整し、各距離検出用信号を送信する処理が繰り返される。
【0163】
なお、この場合、各距離検出用信号に送信強度を示す情報を含めるようにすることが望ましい。
【0164】
以上のようにして、カーファインダシステム301では、カーファインダシステム101やカーファインダシステム201と比較して、携帯機311の処理を軽くすることができる。
【0165】
<4.変形例>
以下、本発明の実施の形態の変形例について説明する。
【0166】
以上の説明では、3種類の送信強度が異なる距離検出用信号を用いる例を示したが、2種類または4種類以上の距離検出用信号を用いるようにしてもよい。
【0167】
また、以上の説明では、2種類以上の有効な距離検出用信号の受信強度に基づいて、車両までの距離を検出する例を示したが、距離検出用信号の3種類以上の所定の数以上の有効な距離検出用信号の受信強度に基づいて、車両までの距離を検出するようにしてもよい。
【0168】
さらに、例えば、有効な距離検出用信号の数が所定の数未満でも、図4のステップS3等でタイムアウトしたときに有効な距離検出用信号が1つ以上存在する場合、その信号の受信強度に基づいて車両までの距離を検出するようにしてもよい。
【0169】
また、例えば、カーファインダシステム301において、携帯機311から車両用通信装置312に通知する受信状態に、実際の受信強度を含めるようにしてもよい。そして、車両用通信装置312において、有効な距離検出用信号の受信強度に基づいて、無効な距離検出用信号の受信強度が有効範囲に収まるような送信強度を算出し、設定するようにしてもよい。これにより、検出用信号の送信強度をより迅速に適正な値に調整することが可能になる。
【0170】
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0171】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0172】
101 カーファインダシステム
111 携帯機
112 車両用通信装置
122 送信部
123 受信部
124 受信強度検出部
125 有効信号判定部
126 送信強度指令部
127 距離検出部
131 受信部
132 送信制御部
133 送信部
201 カーファインダシステム
211 携帯機
212 車両用通信装置
221 設定強度算出部
222 送信強度指令部
231 送信制御部
301 カーファインダシステム
311 携帯機
312 車両用通信装置
321 受信状態通知部
331 送信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられている通信装置と無線通信を行い、前記車両までの距離を検出する車両検出装置において、
前記車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号を前記通信装置から受信する受信部と、
各前記検出用信号の受信強度を検出する受信強度検出部と、
前記受信強度検出部で検出した受信強度が所定の有効範囲内にあるかどうかを判定する有効信号判定部と、
受信強度が前記有効範囲外である前記検出用信号の送信強度の調整を前記通信装置に指令する送信強度指令部と、
受信強度が前記有効範囲内である2以上の所定の数以上の前記検出用信号の受信強度に基づいて、前記車両までの距離を検出する距離検出部と
を備えることを特徴とする車両検出装置。
【請求項2】
前記距離検出部は、同時期に受信した前記検出用信号において、受信強度が前記有効範囲内である2以上の所定の数以上の前記検出用信号の受信強度に基づいて、前記車両までの距離を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両検出装置。
【請求項3】
前記送信強度指令部は、受信強度が前記有効範囲外の前記検出用信号の送信強度を上げるまたは下げるように指令する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両検出装置。
【請求項4】
受信強度が前記有効範囲内の前記検出用信号に基づいて算出される前記車両までの距離に基づいて、受信強度が前記有効範囲外の前記検出用信号の送信強度の設定値を算出する設定強度算出部を
さらに備え、
前記指令部は、受信強度が前記有効範囲外の前記検出用信号の送信強度を前記設定値に設定するよう指令する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両検出装置。
【請求項5】
前記送信強度指令部は、受信強度が前記有効範囲内の前記検出用信号が前記所定の数未満である場合、受信強度が前記有効範囲外である前記検出用信号の送信強度の調整を指令する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両検出装置。
【請求項6】
車両に設けられている通信装置、および、前記通信装置と無線通信を行い、前記車両までの距離を検出する車両検出装置を備える車両検出システムにおいて、
前記通信装置は、
前記車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号を前記車両検出装置に送信する送信部と、
前記車両検出装置からの指令を受信する第1の受信部と、
前記車両検出装置からの指令に基づいて、各前記検出用信号の送信強度を調整する送信制御部と
を備え、
前記車両検出装置は、
各前記検出用信号を受信する第2の受信部と、
各前記検出用信号の受信強度を検出する受信強度検出部と、
前記受信強度検出部で検出した受信強度が所定の有効範囲内にあるかどうかを判定する有効信号判定部と、
受信強度が前記有効範囲外である前記検出用信号の送信強度の調整を前記通信装置に指令する送信強度指令部と、
受信強度が前記有効範囲内である2以上の所定の数以上の前記検出用信号の受信強度に基づいて、前記車両までの距離を検出する距離検出部と
を備えることを特徴とする車両検出システム。
【請求項7】
車両に設けられている通信装置と無線通信を行い、前記車両までの距離を検出する車両検出装置において、
前記車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号を前記通信装置から受信する受信部と、
各前記検出用信号の受信強度を検出する受信強度検出部と、
前記受信強度検出部で検出した受信強度が所定の有効範囲内にあるかどうかを判定する有効信号判定部と、
各前記検出用信号の受信状態を前記通信装置に通知する受信状態通知部と、
受信強度が前記有効範囲内である2以上の所定の数以上の前記検出用信号の受信強度に基づいて、前記車両までの距離を検出する距離検出部と
を備えることを特徴とする車両検出装置。
【請求項8】
前記受信状態は、各前記検出用信号の受信強度が前記有効範囲内、強い、または、弱いのいずれであるかを示す情報を含む
ことを特徴とする請求項7に記載の車両検出装置。
【請求項9】
前記受信状態は、各前記検出用信号の受信強度をさらに含む
ことを特徴とする請求項8に記載の車両検出装置。
【請求項10】
前記受信状態通知部は、受信強度が前記有効範囲内の前記検出用信号が前記所定の数未満である場合、前記検出用信号の受信状態を通知する
ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の車両検出装置。
【請求項11】
車両に設けられ、前記車両までの距離を検出する車両検出装置と無線通信を行う通信装置において、
前記車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号を前記車両検出装置に送信する送信部と、
前記車両検出装置における各前記検出用信号の受信状態の通知を前記車両検出装置から受信する受信部と、
各前記検出用信号の受信状態に基づいて、各前記検出用信号の送信強度を調整する送信制御部と
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項12】
前記受信状態は、各前記検出用信号の受信強度が所定の有効範囲内、強い、または、弱いのいずれであるかを示す情報を含み、
前記送信制御部は、受信強度が強い前記検出用信号の送信強度を下げ、受信強度が弱い前記検出用信号の送信強度を上げる
ことを特徴とする請求項11に記載の通信装置。
【請求項13】
前記受信状態は、各前記検出用信号の受信強度をさらに含み、
前記送信制御部は、受信強度が前記有効範囲内である検出用信号の受信強度に基づいて、受信強度が前記有効範囲外である検出用信号の送信強度を設定する
ことを特徴とする請求項12に記載の通信装置。
【請求項14】
車両に設けられている通信装置、および、前記通信装置と無線通信を行い、前記車両までの距離を検出する車両検出装置を備える車両検出システムにおいて、
前記通信装置は、
前記車両までの距離を検出するための検出用信号であって、送信強度が異なる複数の検出用信号を前記車両検出装置に送信する送信部と、
前記車両検出装置における各前記検出用信号の受信状態の通知を前記車両検出装置から受信する第1の受信部と、
前記検出用信号の受信状態に基づいて、前記検出用信号の送信強度を調整する送信制御部と
を備え、
前記車両検出装置は、
各前記検出用信号を受信する第2の受信部と、
各前記検出用信号の受信強度を検出する受信強度検出部と、
前記受信強度検出部で検出した受信強度が所定の有効範囲内にあるかどうかを判定する有効信号判定部と、
各前記検出用信号の受信状態を前記通信装置に通知する受信状態通知部と、
受信強度が前記有効範囲内である2以上の所定の数以上の前記検出用信号の受信強度に基づいて、前記車両までの距離を検出する距離検出部と
を備えることを特徴とする車両検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−88286(P2013−88286A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228996(P2011−228996)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(510123839)オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社 (110)
【Fターム(参考)】