説明

車両検知システム、及び車両検知方法

【課題】MTBFが長く、かつ設置コストが低い車両検知システムを提供する。
【解決手段】レーザセンサ1は、中心軸Oの径方向外側に向かうレーザを当該中心軸Oの周方向に亘って出射する。反射板2は、アンテナ4の通信範囲における車両進行方向後方の端に相当する直線である第1の直線上、及びアンテナ4の通信範囲における車両進行方向前方の端に相当する直線である第2の直線上にレーザが照射されるように、レーザセンサ1が出射するレーザの一部を反射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通路上の所定の領域に対する車両の進入及び退出を検知する車両検知システム、及び車両検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路の通行料の課金を行うETC(Electronic Toll Collection)システムが普及している。ETCシステムは、車両検知システムにより車両の進入を検知して路側に設けられたアンテナによる通信を行うことで、車両に対する課金処理を実行する。車両検知システムは、アンテナの通信範囲の入口と出口とに配置された2組の車両検知器によって構成され、入口側の車両検知器が車両を検知したときにアンテナの通信範囲内に車両が進入したと判定し、出口側の車両検知器が車両を検知したときにアンテナの通信範囲外へ車両が退出したと判定する。
【0003】
従来の車両検知器は、車線の両側に設置される一対の光センサから構成され、光センサ対の間の空間が通光状態であるか遮光状態であるかを判定する(例えば、特許文献1参照)。そして、車両検知器は、光センサ対が通光状態である場合に、光センサ対の間に車両が存在すると判定し、遮光状態である場合に、光センサ対の間に車両が存在しないと判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−61463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、2組の車両検知器からなる車両検知システムは、MTBF(Mean Time Between Failure:平均故障間隔)が短いという問題がある。具体的には、一方の車両検知器が正常に動作していたとしても、他方の車両検知器が故障した場合、車両の進入・退出の検知処理を行うことができなくなる。すなわち、2組の車両検知器からなる車両検知システムのMTBFは、1組の車両検知器のMTBFより短くなってしまう。
また、従来の車両検知方法を実行するには、車両検知器を2組用いるため、機器の設置コストが高いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、通路上の所定の領域に対する車両の進入及び退出を検知する車両検知システムであって、中心軸の径方向外側に向かうビームを当該中心軸の周方向に亘って出射する出射部と、前記所定の領域における車両進行方向後方の端に相当する直線である第1の直線上、及び前記所定の領域における車両進行方向前方の端に相当する直線である第2の直線上に前記ビームが照射されるように、前記ビームの少なくとも一部を反射させる反射部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明においては、前記出射部が出射したビームの反射波を用いて、前記出射部と前記第1の直線との間に車両が存在するか否かを判定し、車両が存在しない状態から車両が存在する状態に遷移したときに、当該車両が前記所定の領域に進入したと判定する進入判定部と、前記出射部が出射したビームの反射波を用いて、前記出射部と前記第2の直線との間に前記車両が存在するか否かを判定し、車両が存在しない状態から車両が存在する状態に遷移したときに、当該車両が前記所定の領域から退出したと判定する退出判定部と、を備えることが好ましい。
【0008】
また、本発明においては、前記出射部は、前記中心軸が前記車両進行方向と平行をなすように前記第1の直線の直上に設けられ、前記反射部は、前記出射部が出射するビームのうち前記第1の直線上に照射されないビームを、前記第2の直線上に照射されるように反射させることが好ましい。
【0009】
また、本発明においては、前記反射部は、前記第1の直線または前記第2の直線である基準直線に近傍の直線であって前記通路を横断する直線である第3の直線上に前記ビームが照射されるように、前記ビームの少なくとも一部を反射させることが好ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記出射部と前記基準直線との間に車両が存在するか否か、及び前記出射部と前記第3の直線との間に車両が存在するか否かを判定する車両判定部と、前記車両判定部による今回の判定結果と前回の判定結果とを比較することで車両の進行方向を判定する進行方向判定部とを備えることが好ましい。
【0011】
また、本発明においては、前記反射部は、前記通路の一端から前記通路の幅方向に向かって前記ビームが照射されるように、前記ビームの少なくとも一部を反射させることが好ましい。
【0012】
また、本発明においては、前記出射部が出射したビームのうち、前記反射部によって前記通路の一端から前記通路の幅方向に照射されたビームの反射波を用いて、車両の車軸数を計数する車軸計数部を備えることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、上記車両検知システムの出射部が出射したビームの反射波を用いて、前記出射部と前記第1の直線との間に車両が存在するか否かを判定し、車両が存在しない状態から車両が存在する状態に遷移したときに、当該車両が前記所定の領域に進入したと判定するステップと、前記出射部が出射したビームの反射波を用いて、前記出射部と前記第2の直線との間に前記車両が存在するか否かを判定し、車両が存在しない状態から車両が存在する状態に遷移したときに、当該車両が前記所定の領域から退出したと判定するステップとを含むことを特徴とする車両検知方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両検知システムは、1つの出射部と反射部とを備えることで、1台で第1の直線上、及び第2の直線上にビームを照射することができる。そのため、1台の車両検知器によって通路上の所定の領域に対する車両の進入及び退出を検知する。これにより、2組の車両検知器からなる車両検知システムと比較してMTBFを長くすることができる。また、車両検知器の台数を1台にすることができるため、2組の車両検知器からなる車両検知システムと比較して設置コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態による車両検知システムを備えるETCシステムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるレーザセンサによるレーザの出射範囲を示す図である。
【図3】第1の実施形態による車線サーバの構成を示す概略ブロック図である。
【図4】近接した2つの車両が第2の直線上を通過する場合を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による車両検知システムを備えるETCシステムの構成を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態によるレーザセンサによるレーザの出射範囲を示す図である。
【図7】第2の実施形態による車線サーバの構成を示す概略ブロック図である。
【図8】車線サーバが車両の進行方向を判定する動作を示すフローチャートである。
【図9】車両検知システムと車両との位置関係を時系列に示す第1の図である。
【図10】車両検知システムと車両との位置関係を時系列に示す第2の図である。
【図11】車線サーバによる車両の有無の判定結果と車両の進行方向の判定結果を示すタイムチャートである。
【図12】本発明の第3の実施形態による車両検知システムを備えるETCシステムの構成を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施形態によるレーザセンサによるレーザの出射範囲を示す図である。
【図14】第3の実施形態による車線サーバの構成を示す概略ブロック図である。
【図15】車線サーバが車軸数を判定する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《第1の実施形態》
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による車両検知システムを備えるETCシステムの構成を示す図である。
ETCシステムは、レーザセンサ1(出射部)、反射板2(反射部)、車線サーバ3、アンテナ4を備える。なお、レーザセンサ1、反射板2、車線サーバ3の組み合わせによって、アンテナ4の通信範囲(所定の領域)に対する車両の進入及び退出を検知する車両検知システムが構成される。
【0017】
レーザセンサ1は、中心軸Oの径方向外側に向かうレーザ(ビーム)を、当該中心軸Oの周方向に亘って出射する。具体的には、レーザセンサ1は、中心軸Oの径方向外側に向かうレーザの出射方向を当該中心軸O回りに経時的に変化させる。また、レーザセンサ1は、出射したレーザの反射波を受信し、レーザの出射からから反射波の受信までの遅延時間から、レーザセンサ1から障害物(車両、通路など)までの距離を算出する。
【0018】
レーザセンサ1は、中心軸Oが車両進行方向と平行をなすように、アンテナ4の通信範囲の車両進行方向後方の端の直上に設けられる。これにより、レーザセンサ1が出射するレーザの一部は、アンテナ4の通信範囲における車両進行方向後方の端(入口側)に相当する直線である第1の直線上に照射される。
【0019】
反射板2は、レーザセンサ1が出射するレーザを反射させる。反射板2は、レーザセンサ1が出射するレーザの一部を反射させることで、当該レーザが、アンテナ4の通信範囲(所定の領域)における車両進行方向前方(出口側)の端に相当する直線である第2の直線上に照射されるように設けられる。すなわち、反射板2は、レーザセンサ1が出射するレーザのうち第1の直線上に照射されないビームを、第2の直線上に照射されるように反射させる。
【0020】
車線サーバ3は、レーザセンサ1から、各レーザの出射方向における障害物までの距離を示すスキャンデータを受信し、当該スキャンデータを用いて、アンテナ4の通信範囲への車両の進入及び退出を検知する。
アンテナ4は、車線サーバ3が、アンテナ4の通信範囲への車両の進入を検知した場合に、当該車両との通信を開始し、車線サーバ3が、アンテナ4の通信範囲からの車両の退出を検知した場合に、当該車両との通信を終了する。
【0021】
図2は、本発明の第1の実施形態によるレーザセンサ1によるレーザの出射範囲を示す図である。
本実施形態で用いるレーザセンサ1は、中心軸Oの周方向0°〜270°を、中心軸Oの径方向外側に向かうレーザの出射範囲とする。すなわち、中心軸Oの周方向270°〜360°(0°)の方向にはレーザが出射されない。
本実施形態においてレーザセンサ1は、中心軸Oの周方向0°の方向が車両進行方向に直行する水平方向より40°下向きとなるように設置される。これにより、中心軸Oの周方向5°〜95°の出射範囲R1から出射されたレーザが、第1の直線上に照射されることとなる。
また、本実施形態において反射板2は、レーザセンサ1の上方向に設置される。これにより、中心軸Oの周方向194°〜266°の出射範囲R2から出射されたレーザは、反射板2を介して第2の直線上に照射されることとなる。
【0022】
次に、車線サーバ3の構成を説明する。
図3は、第1の実施形態による車線サーバ3の構成を示す概略ブロック図である。
車線サーバ3は、受信部31、第1の車両判定部32、第2の車両判定部33、進入判定部34、退出判定部35、通信部36を備える。
受信部31は、レーザセンサ1からスキャンデータを受信する。
第1の車両判定部32は、第1の直線上に車両が存在するか否かを判定する。
第2の車両判定部33は、第2の直線上に車両が存在するか否かを判定する。
進入判定部34は、アンテナ4の通信範囲に車両が進入したか否かを判定する。
退出判定部35は、アンテナ4の通信範囲から車両が退出したか否かを判定する。
通信部36は、通信範囲に対する車両の進入・退出に基づいてアンテナ4を介して車両と通信を行う。
【0023】
ここで、車両がアンテナ4の通信範囲に進入したか否かを判定する方法を説明する。
第1の車両判定部32は、受信部31が受信したスキャンデータから出射範囲R1内の各出射方向に対応する距離を読み出し、当該距離を用いて、レーザセンサ1と第1の直線との間に車両が存在するか否かを判定する。具体的には、第1の車両判定部32は、出射範囲R1内の各出射方向に対応する距離の中に所定の閾値以下を示すものがある場合に、レーザセンサ1と第1の直線との間に車両が存在すると判定する。閾値としては、例えば、レーザセンサ1から第1の直線までの距離から1メートルを減じた長さなどを用いると良い。
【0024】
次に、進入判定部34は、第1の車両判定部32による前回の判定結果と今回の判定結果とに基づいて車両がアンテナ4の通信範囲に進入したか否かを判定する。具体的には、第1の車両判定部32が、前回の判定においてレーザセンサ1と第1の直線との間に車両が存在しないと判定し、今回の判定においてレーザセンサ1と第1の直線との間に車両が存在すると判定した場合、進入判定部34は、当該車両がアンテナ4の通信範囲に進入したと判定する。この処理は、例えば、第1の車両判定部32による前回の判定結果を進入判定部34の内部メモリに記録しておき、内部メモリに記憶された判定結果と今回の判定結果とを比較することで行うことができる。
すなわち、進入判定部は、レーザセンサ1と第1の直線との間に車両が存在しない状態から車両が存在する状態に遷移したときに、車両がアンテナ4の通信範囲に進入したと判定する。
【0025】
次に、車両がアンテナ4の通信範囲から退出したか否かを判定する方法を説明する。
第2の車両判定部33は、受信部31が受信したスキャンデータから出射範囲R2内の各出射方向に対応する距離を読み出し、当該距離を用いて、レーザセンサ1と第2の直線との間に車両が存在するか否かを判定する。具体的には、第2の車両判定部33は、出射範囲R2内の各出射方向に対応する距離の中に所定の閾値以下を示すものがある場合に、レーザセンサ1と第2の直線との間に車両が存在すると判定する。閾値としては、例えば、レーザセンサ1から反射板2までの距離に反射板2から第2の直線までの距離を加算した長さから1メートルを減じた長さなどを用いると良い。
【0026】
次に、退出判定部35は、第2の車両判定部33による前回の判定結果と今回の判定結果とに基づいて車両がアンテナ4の通信範囲に進入したか否かを判定する。具体的には、第2の車両判定部33が、前回の判定においてレーザセンサ1と第2の直線との間に車両が存在しないと判定し、今回の判定においてレーザセンサ1と第2の直線との間に車両が存在すると判定した場合、退出判定部35は、当該車両がアンテナ4の通信範囲から退出したと判定する。すなわち、レーザセンサ1と第2の直線との間に車両が存在しない状態から車両が存在する状態に遷移したときに、当該車両がアンテナ4の通信範囲から退出したと判定する。
【0027】
図4は、近接した2つの車両が第2の直線上を通過する場合を示す図である。
近接した2つの車両が第2の直線上を通過する場合、第2の車両判定部33が、前回の判定及び今回の判定で、ともにレーザセンサ1と第2の直線との間に車両が存在すると判定することがある。具体的には、前回の判定において、図4(A)に示すように、レーザセンサ1と第2の直線との間に車両Aが存在すると判定され、今回の判定において、図4(B)に示すように、レーザセンサ1と第2の直線との間に車両Aの後続車両である車両Bが存在すると判定された場合が挙げられる。
【0028】
この場合、図4に示すように、受信部31が前回受信したスキャンデータにおける出射範囲R2内の出射方向に対応する距離と、受信部31が今回受信したスキャンデータにおける出射範囲R2内の出射方向に対応する距離とが異なる値を示すこととなる。
そのため、退出判定部35は、前回の判定及び今回の判定で、ともにレーザセンサ1と第2の直線との間に車両が存在すると判定した場合において、受信部31が前回受信したスキャンデータにおける出射範囲R2内の出射方向に対応する距離と、受信部31が今回受信したスキャンデータにおける出射範囲R2内の出射方向に対応する距離との差が所定の閾値以上であると判定した場合にも、車両がアンテナ4の通信範囲から退出したと判定する。閾値としては、例えば、0.5メートル程度の長さを用いると良い。
上記処理を実行することで、退出判定部35は、近接した2つの車両が第2の直線上を通過する場合においても、それぞれの車両の退出を判定することができる。
【0029】
上記処理によって進入判定部34及び退出判定部35がアンテナ4の通信範囲に対する車両の進入・退出を判定すると、通信部36は、以下に示す手順で通信処理を行う。
通信部36は、進入判定部34によって車両が進入したと判定されたときに、アンテナ4を介して車両との通信処理を開始し、退出判定部35によって車両が退出したと判定されるまで通信を行う。なお、通信部36は、退出判定部35によって車両が退出したと判定されるまでに通信が正常に終了した場合、当該車両を正常ETC車と判定する。また、通信部36は、退出判定部35によって車両が退出したと判定されるまでに通信が正常に終了しなかった場合、当該車両を異常ETC車と判定する。また、通信部36は、退出判定部35によって車両が退出したと判定されるまでに車両からの応答を得ることができなかった場合、当該車両を非ETC車と判定する。
【0030】
このように、本実施形態によれば、車両検知システムは、1台のレーザセンサ1でアンテナ4の通信範囲の入口側及び出口側にビームを照射することができる。そのため、1台のレーザセンサ1によって通路上の所定の領域に対する車両の進入及び退出を検知することができる。これにより、2組の車両検知器からなる車両検知システムと比較してMTBFを長くし、かつ設置コストを下げることができる。
【0031】
また、本実施形態によれば、レーザセンサ1は、中心軸Oが車両進行方向と平行をなすように、アンテナ4の通信範囲の車両進行方向後方の端の直上に設けられる。これにより、第1の直線上に照射されるレーザは、通路に対する入射角が直角となる。これにより、車線サーバ3は、車両が第1の直線上に存在するか否かを車両の高さに関わらず正確に判定することができる。
【0032】
以上、図面を参照してこの発明の第1の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
本実施形態では、レーザセンサ1の第1の直線の直上に設けられる場合を説明したが、これに限られない。例えば、レーザセンサ1は、中心軸Oが車両進行方向と平行をなすように、第2の直線の直上に設けられていても良い。この場合、レーザセンサ1が出射するレーザの一部は、第2の直線上に照射される。そのため、反射板2は、レーザセンサ1が出射するレーザの一部を反射させることで当該レーザが第2の直線上に照射されるように設けられる必要がある。
【0033】
また、本実施形態では、反射板2を1つだけ備える場合を説明したが、これに限られず、2つ以上備えていても良い。例えば、レーザセンサ1が、中心軸Oが鉛直方向となるように通路の直上に設けられる場合、1つの反射板2が、レーザセンサ1が出射するレーザの一部が第1の直線上に照射されるように設けられ、もう1つの反射板2が、レーザセンサ1が出射するレーザの一部が第2の直線上に照射されるように設けられても良い。
【0034】
また、本実施形態では、レーザセンサ1が障害物との距離を測定し、車線サーバ3が当該距離に基づいて車両の有無を判定する場合を説明したが、これに限られない。例えば、レーザセンサ1は、障害物との距離を測定する機能を備えず、レーザを出射してから反射波を受信するまでの時間差を出力し、車線サーバ3が当該時間差に基づいて車両の有無を判定しても良い。
【0035】
また、本実施形態では、出射部としてレーザセンサ1を用いる場合を説明したが、これに限られず、例えば、レーザの代わりに超音波や電磁波を出射しても良い。
また、本実施形態では、出射範囲R1から出射されたレーザが、第1の直線上に照射され、出射範囲R2から出射されたレーザが、第2の直線上に照射される場合を説明したが、これに限られず、他の出射範囲から出射されたレーザが第1の直線上及び第2の直線上に照射されても良い。
【0036】
《第2の実施形態》
第2の実施形態による車両検知システムは、第1の実施形態による車両検知システムの機能に加えて、車両が前進しているか後退しているかを判定する機能を有する。
【0037】
図5は、本発明の第2の実施形態による車両検知システムを備えるETCシステムの構成を示す図である。
第2の実施形態による車両検知システムは、第1の実施形態による車両検知システムの構成に加えて、反射板5を備え、車線サーバ3の処理が異なるものである。
反射板5は、レーザセンサ1が出射するレーザを反射させる。反射板5は、レーザセンサ1が出射するレーザの一部を反射させることで、当該レーザが、第1の直線(基準直線)の車両進行方向前方に近傍の直線であって通路を横断する直線である第3の直線上にビームが照射されるように設けられる。
【0038】
図6は、本発明の第2の実施形態によるレーザセンサ1によるレーザの出射範囲を示す図である。
本実施形態で用いるレーザセンサ1は、中心軸Oの周方向0°〜270°を、中心軸Oの径方向外側に向かうレーザの出射範囲とする。すなわち、中心軸Oの周方向270°〜360°(0°)の方向にはレーザが出射されない。
本実施形態においてレーザセンサ1は、中心軸Oの周方向0°の方向が水平方向より40°下向きとなるように設置される。これにより、中心軸Oの周方向5°〜95°の出射範囲R1から出射されたレーザが、第1の直線上に照射されることとなる。
また、本実施形態において反射板2は、レーザセンサ1の上方向に設置される。これにより、中心軸Oの周方向194°〜266°の出射範囲R2から出射されたレーザは、反射板2を介して第2の直線上に照射されることとなる。
また、本実施形態において反射板5は、レーザセンサ1の側方に設置される。これにより、中心軸Oの周方向120°〜140°の出射範囲R3から出射されたレーザは、反射板5を介して第3の直線上に照射されることとなる。
【0039】
図7は、第2の実施形態による車線サーバ3の構成を示す概略ブロック図である。
車線サーバ3は、第1の実施形態による車線サーバ3に加えて、第3の車両判定部37と進行方向判定部38とを備える。
第3の車両判定部37は、受信部31が受信したスキャンデータから出射範囲R3内の各出射方向に対応する距離を読み出し、当該距離を用いて、レーザセンサ1と第3の直線との間に車両が存在するか否かを判定する。具体的には、第3の車両判定部37は、出射範囲R3内の各出射方向に対応する距離の中に所定の閾値以下を示すものがある場合に、レーザセンサ1と第3の直線との間に車両が存在すると判定する。閾値としては、例えば、レーザセンサ1から反射板5までの距離に反射板5から第3の直線までの距離を加算した長さから1メートルを減じた長さなどを用いると良い。
進行方向判定部38は、第1の車両判定部32及び第3の車両判定部37の判定結果を用いて、車両が前進したか後退したかを判定する。
【0040】
ここで、車線サーバ3が車両の進行方向を判定する動作について説明する。
図8は、車線サーバ3が車両の進行方向を判定する動作を示すフローチャートである。
受信部31は、定期的にレーザセンサ1からスキャンデータを受信する(ステップS1)。受信部31がスキャンデータを受信すると、第1の車両判定部32は、受信したスキャンデータから出射範囲R1内の各出射方向に対応する距離を読み出し、当該距離を用いて、レーザセンサ1と第1の直線との間に車両が存在するか否かを判定する(ステップS2)。同様に、第3の車両判定部37は、受信したスキャンデータから出射範囲R3内の各出射方向に対応する距離を読み出し、当該距離を用いて、レーザセンサ1と第3の直線との間に車両が存在するか否かを判定する(ステップS3)。
【0041】
次に、進行方向判定部38は、第1の車両判定部32及び第2の車両判定部33による今回の判定結果(以下、今回判定結果と呼ぶ)と、後述するステップS5で内部メモリに格納された第1の車両判定部32及び第2の車両判定部33による前回の判定結果(以下、前回判定結果と呼ぶ)とを用いて、車両が前進したか後退したかを判定する(ステップS4)。
【0042】
具体的には、前回判定結果が、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示す場合において、今回判定結果が、車両が第1の直線上に存在し、第3の直線上に存在しないことを示すとき、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
他方、前回判定結果が、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示す場合において、今回判定結果が、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示すとき、進行方向判定部38は、車両が後退したと判定する。
【0043】
また、前回判定結果が、車両が第1の直線上に存在し、第3の直線上に存在しないことを示す場合において、今回判定結果が、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示すとき、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
他方、前回判定結果が、車両が第1の直線上に存在し、第3の直線上に存在しないことを示す場合において、今回判定結果が、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示すとき、進行方向判定部38は、車両が後退したと判定する。
【0044】
また、前回判定結果が、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示す場合において、今回判定結果が、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示すとき、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
他方、前回判定結果が、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示す場合において、今回判定結果が、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示すとき、進行方向判定部38は、車両が後退したと判定する。
【0045】
また、前回判定結果が、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示す場合において、今回判定結果が、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示すとき、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
他方、前回判定結果が、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示す場合において、今回判定結果が、車両が第1の直線上に存在し、第3の直線上に存在しないことを示すとき、進行方向判定部38は、車両が後退したと判定する。
【0046】
進行方向判定部38は、ステップS4の処理によって、車両の進行方向を判定すると、第1の車両判定部32及び第2の車両判定部33による今回判定結果を、前回判定結果として内部メモリに格納する(ステップS5)。以上の処理を、受信部31がスキャンデータを受信する毎に実行することで、車線サーバ3は、車両が前進したか後退したかを随時判定することができる。
【0047】
次に、具体的な車両の通行の例を用いて、車線サーバ3が車両の進行方向を判定する動作について説明する。
図9は、車両検知システムと車両との位置関係を時系列に示す第1の図である。
図10は、車両検知システムと車両との位置関係を時系列に示す第2の図である。
図11は、車線サーバ3による車両の有無の判定結果と車両の進行方向の判定結果を示すタイムチャートである。
【0048】
車両Aが図9(T)に示す位置から前進することで、図9(T)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示す。他方、今回判定結果は、車両が第1の直線上に存在し、第3の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0049】
次に、車両Aが図9(T)に示す位置から前進することで、図9(T)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第1の直線上に存在し、第3の直線上に存在しないことを示す。他方、今回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0050】
次に、車両Aが図9(T)に示す位置から後退することで、図9(T)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示す。他方、今回判定結果は、車両が第1の直線上に存在し、第3の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が後退したと判定する。
【0051】
次に、車両Aが図9(T)に示す位置から前進することで、図9(T)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第1の直線上に存在し、第3の直線上に存在しないことを示す。他方、今回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0052】
次に、車両Aが図9(T)に示す位置から前進することで、図9(T)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果及び今回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したか後退したかの判定を行わない。
【0053】
次に、車両Aが図9(T)に示す位置から前進することで、図9(T)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示す。他方、今回判定結果は、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0054】
次に、車両Aが図9(T)に示す位置から前進することで、図9(T)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示す。他方、今回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0055】
次に、車両Aが図9(T)に示す位置から前進することで、図9(T)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示す。他方、今回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0056】
次に、車両Aが図9(T)に示す位置から後退することで、図9(T)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示す。他方、今回判定結果は、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が後退したと判定する。
【0057】
次に、車両Aが図9(T)に示す位置から前進することで、図9(T10)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示す。他方、今回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0058】
次に、車両Aが図9(T10)に示す位置から前進することで、図9(T11)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果及び今回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したか後退したかの判定を行わない。
【0059】
次に、車両Aの後続車両である車両Bが図9(T11)に示す位置から前進することで、図9(T12)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示す。他方、今回判定結果は、車両が第1の直線上に存在し、第3の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0060】
次に、車両Bが図9(T12)に示す位置から前進することで、図9(T13)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第1の直線上に存在し、第3の直線上に存在しないことを示す。他方、今回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0061】
次に、車両Bが図9(T13)に示す位置から前進することで、図9(T14)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果及び今回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したか後退したかの判定を行わない。
【0062】
次に、車両Bが図9(T14)に示す位置から前進することで、図9(T15)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示す。他方、今回判定結果は、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0063】
次に、車両Bが図9(T15)に示す位置から後退することで、図9(T16)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示す。他方、今回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が後退したと判定する。
【0064】
次に、車両Bが図9(T16)に示す位置から前進することで、図9(T17)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示す。他方、今回判定結果は、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0065】
次に、車両Bが図9(T17)に示す位置から前進することで、図9(T18)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示す。他方、今回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0066】
次に、車両Bの後続車両である車両Cが図9(T18)に示す位置から前進することで、図9(T19)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示す。他方、今回判定結果は、車両が第1の直線上に存在し、第3の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0067】
次に、車両Cが図9(T19)に示す位置から前進することで、図9(T20)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第1の直線上に存在し、第3の直線上に存在しないことを示す。他方、今回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0068】
次に、車両Cが図9(T20)に示す位置から前進することで、図9(T21)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在することを示す。他方、今回判定結果は、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0069】
次に、車両Cが図9(T21)に示す位置から前進することで、図9(T22)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果は、車両が第3の直線上に存在し、第1の直線上に存在しないことを示す。他方、今回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したと判定する。
【0070】
次に、車両Cが図9(T22)に示す位置から前進することで、図9(T23)に示す位置へ移動した場合、図11に示すように、前回判定結果及び今回判定結果は、車両が第1の直線上及び第3の直線上に存在しないことを示す。したがって、進行方向判定部38は、車両が前進したか後退したかの判定を行わない。
【0071】
このように、本実施形態によれば、車両検知システムは、1台のレーザセンサ1によって、通路上の所定の領域に対する車両の進入及び退出を検知する処理、及び通路上の車両が前進したか後退したかを判定する処理を実行することができる。なお、通路上の所定の領域に対する車両の進入及び退出を検知する処理は、第1の実施形態と同様の方法で実行することができる。
【0072】
以上、図面を参照してこの発明の第2の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、反射板5が、レーザセンサ1が出射するレーザの一部を反射させることで、当該レーザが、第1の直線の車両進行方向前方に近傍の直線であって通路を横断する直線である第3の直線上にビームが照射されるように設けられる場合を説明したが、これに限られない。
【0073】
例えば、反射板5が、レーザセンサ1が出射するレーザの一部を反射させることで、当該レーザが、第1の直線の車両進行方向後方に近傍の直線であって通路を横断する直線上にビームが照射されるように設けられても良い。この場合、進行方向判定部38は、本実施形態において「前進した」と判定するパターンで「後退した」と判定し、本実施形態において「後退した」と判定するパターンで「前進した」と判定することとなる。
【0074】
また例えば、反射板5が、レーザセンサ1が出射するレーザの一部を反射させることで、当該レーザが、第2の直線(基準直線)の車両進行方向前方に近傍の直線であって通路を横断する直線上にビームが照射されるように設けられても良い。この場合、進行方向判定部38は、第2の車両判定部33の判定結果と第3の車両判定部37の判定結果とを用いて、車両が前進したか後退したかを判定することとなる。
同様に、反射板5が、レーザセンサ1が出射するレーザの一部を反射させることで、当該レーザが、第2の直線(基準直線)の車両進行方向後方に近傍の直線であって通路を横断する直線上にビームが照射されるように設けられても良い。
【0075】
《第3の実施形態》
第3の実施形態による車両検知システムは、第1の実施形態による車両検知システムの機能に加えて、車両の軸数を計数する機能を有する。
【0076】
図12は、本発明の第3の実施形態による車両検知システムを備えるETCシステムの構成を示す図である。
第3の実施形態による車両検知システムは、第1の実施形態による車両検知システムの構成に加えて、反射板6を備え、車線サーバ3の処理が異なるものである。
反射板6は、レーザセンサ1が出射するレーザを反射させる。反射板6は、レーザセンサ1が出射するレーザの一部を反射させることで、当該レーザが、第1の直線の直上で、通路の一端から前記通路の幅方向に向かって照射されるように設けられる。
【0077】
図13は、本発明の第3の実施形態によるレーザセンサ1によるレーザの出射範囲を示す図である。
本実施形態で用いるレーザセンサ1は、中心軸Oの周方向0°〜270°を、中心軸Oの径方向外側に向かうレーザの出射範囲とする。すなわち、中心軸Oの周方向270°〜360°(0°)の方向にはレーザが出射されない。
本実施形態においてレーザセンサ1は、中心軸Oの周方向0°の方向が水平方向より40°下向きとなるように設置される。これにより、中心軸Oの周方向5°〜95°の出射範囲R1から出射されたレーザが、第1の直線上に照射されることとなる。
また、本実施形態において反射板2は、レーザセンサ1の上方向に設置される。これにより、中心軸Oの周方向194°〜266°の出射範囲R2から出射されたレーザは、反射板2を介して第2の直線上に照射されることとなる。
また、本実施形態において反射板6は、第1の直線上であって通路の側方となる位置に設置される。これにより、中心軸Oの周方向0°〜1°の出射範囲R4から出射されたレーザは、反射板6を介して通路の一端から前記通路の幅方向に向かって照射されることとなる。
【0078】
図14は、第3の実施形態による車線サーバ3の構成を示す概略ブロック図である。
車線サーバ3は、第1の実施形態による車線サーバ3に加えて、車軸判定部39と車軸計数部40とを備える。
車軸判定部39は、受信部31が受信したスキャンデータから出射範囲R4内の出射方向に対応する距離を読み出し、当該距離を用いて、第1の直線上に車軸が存在するか否かを判定する。具体的には、車軸判定部39は、出射範囲R4内の各出射方向に対応する距離の中に所定の閾値以下を示すものがある場合に、第1の直線上に車軸が存在すると判定する。閾値としては、例えば、レーザセンサ1から反射板6までの距離に通路の幅方向の長さを加算した長さを用いると良い。
車軸計数部40は、車軸判定部39の判定結果及び第1の車両判定部32の判定結果を用いて、車両の車軸数を計数する。
【0079】
ここで、車線サーバ3が車軸数を判定する動作について説明する。
図15は、車線サーバ3が車軸数を判定する動作を示すフローチャートである。
受信部31は、定期的にレーザセンサ1からスキャンデータを受信する(ステップS11)。受信部31がスキャンデータを受信すると、第1の車両判定部32は、受信したスキャンデータから出射範囲R1内の各出射方向に対応する距離を読み出し、当該距離を用いて、レーザセンサ1と第1の直線との間に車両が存在するか否かを判定する(ステップS12)。同様に、車軸判定部39は、受信したスキャンデータから出射範囲R4内の各出射方向に対応する距離を読み出し、当該距離を用いて、第1の直線の直上に車軸が存在するか否かを判定する(ステップS13)。
【0080】
車軸計数部40は、第1の車両判定部32による判定結果が、レーザセンサ1と第1の直線との間に車両が存在することを示すか否かを判定する(ステップS14)。第1の車両判定部32による判定結果が、レーザセンサ1と第1の直線との間に車両が存在することを示す場合(ステップS14:YES)、車軸計数部40は、車軸判定部39による判定結果が、第1の直線の直上に車軸が存在することを示すか否かを判定する(ステップS15)。
【0081】
車軸判定部39による判定結果が、第1の直線の直上に車軸が存在することを示す場合(ステップS15:YES)、車軸計数部40は、車軸判定部39による前回の判定結果が、第1の直線の直上に車軸が存在することを示すか否かを判定する(ステップS16)。車軸判定部39による前回の判定結果が、第1の直線の直上に車軸が存在しないことを示す場合(ステップS16:NO)、車軸計数部40は、内部メモリに記憶する車軸数に1を加算する(ステップS17)。なお、初期状態において、内部メモリに記憶する車軸数は0である。
【0082】
車軸判定部39による今回の判定結果が、第1の直線の直上に車軸が存在しないことを示す場合(ステップS15:NO)、車軸判定部39による前回の判定結果が、第1の直線の直上に車軸が存在することを示す場合(ステップS16:NO)、またはステップS17で車軸数に1を加算した場合、ステップS11に戻り、次回のスキャンデータの受信を待機する。
【0083】
また、ステップS14で、第1の車両判定部32による判定結果が、レーザセンサ1と第1の直線との間に車両が存在しないことを示す場合(ステップS14:NO)、車軸計数部40は、内部メモリに記憶する車軸数が1以上であるか否かを判定する(ステップS18)。
内部メモリに記憶する車軸数が1以上である場合(ステップS18:YES)、車軸計数部40は、内部メモリに記憶する車軸数を、車両の車軸数として確定し(ステップS19)、当該車軸数を所定の出力先に出力した後、当該車軸数を0に書き換える(ステップS20)。
他方、内部メモリに記憶する車軸数が0である場合(ステップS18:NO)、車軸計数部40は、車両が第1の直線上を通過していないと判定し、処理を終了する。
【0084】
このように、本実施形態によれば、車両検知システムは、1台のレーザセンサ1によって、通路上の所定の領域に対する車両の進入及び退出を検知する処理、及び通路上の車両の車軸数を計数する処理を実行することができる。なお、通路上の所定の領域に対する車両の進入及び退出を検知する処理は、第1の実施形態と同様の方法で実行することができる。
【0085】
以上、図面を参照してこの発明の第3の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、反射板6が、レーザセンサ1が出射するレーザの一部を反射させることで、当該レーザが、第1の直線の直上で、通路の一端から前記通路の幅方向に向かって照射される場合を説明したが、これに限られない。
【0086】
例えば、反射板6が、レーザセンサ1が出射するレーザの一部を反射させることで、当該レーザが、第2の直線の直上で、通路の一端から前記通路の幅方向に向かって照射されるように設けられても良い。この場合、車軸計数部40は、車軸判定部39の判定結果と第2の車両判定部33の判定結果とを用いて、車両の車軸数を計数することとなる。
また、本実施形態では、レーザセンサ1が通路の上方に設けられる場合を説明したが、これに限られない。レーザセンサ1は、通路の上方に設けられることが好ましいが、ビームが第1の直線上と第2の直線上とに照射されるのであれば、通路の近傍の何れの位置に設けられていても本発明による効果を得ることができる。
【0087】
上述の第1の実施形態〜第3の実施形態による車線サーバ3は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0088】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0089】
1…レーザセンサ 2、5、6…反射板 3…車線サーバ 4…アンテナ 31…受信部 32…第1の車両判定部 33…第2の車両判定部 34…進入判定部 35…退出判定部 36…通信部 37…第3の車両判定部 38…進行方向判定部 39…車軸判定部 40…車軸計数部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路上の所定の領域に対する車両の進入及び退出を検知する車両検知システムであって、
中心軸の径方向外側に向かうビームを当該中心軸の周方向に亘って出射する出射部と、
前記所定の領域における車両進行方向後方の端に相当する直線である第1の直線上、及び前記所定の領域における車両進行方向前方の端に相当する直線である第2の直線上に前記ビームが照射されるように、前記ビームの少なくとも一部を反射させる反射部と、
を備えることを特徴とする車両検知システム。
【請求項2】
前記出射部が出射したビームの反射波を用いて、前記出射部と前記第1の直線との間に車両が存在するか否かを判定し、車両が存在しない状態から車両が存在する状態に遷移したときに、当該車両が前記所定の領域に進入したと判定する進入判定部と、
前記出射部が出射したビームの反射波を用いて、前記出射部と前記第2の直線との間に前記車両が存在するか否かを判定し、車両が存在しない状態から車両が存在する状態に遷移したときに、当該車両が前記所定の領域から退出したと判定する退出判定部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両検知システム。
【請求項3】
前記出射部は、前記中心軸が前記車両進行方向と平行をなすように前記第1の直線の直上に設けられ、
前記反射部は、前記出射部が出射するビームのうち前記第1の直線上に照射されないビームを、前記第2の直線上に照射されるように反射させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両検知システム。
【請求項4】
前記反射部は、前記第1の直線または前記第2の直線である基準直線に近傍の直線であって前記通路を横断する直線である第3の直線上に前記ビームが照射されるように、前記ビームの少なくとも一部を反射させる
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車両検知システム。
【請求項5】
前記出射部と前記基準直線との間に車両が存在するか否か、及び前記出射部と前記第3の直線との間に車両が存在するか否かを判定する車両判定部と、
前記車両判定部による今回の判定結果と前回の判定結果とを比較することで車両の進行方向を判定する進行方向判定部と
を備えることを特徴とする請求項4に記載の車両検知システム。
【請求項6】
前記反射部は、前記通路の一端から前記通路の幅方向に向かって前記ビームが照射されるように、前記ビームの少なくとも一部を反射させる
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の車両検知システム。
【請求項7】
前記出射部が出射したビームのうち、前記反射部によって前記通路の一端から前記通路の幅方向に照射されたビームの反射波を用いて、車両の車軸数を計数する車軸計数部
を備えることを特徴とする請求項6に記載の車両検知システム。
【請求項8】
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の車両検知システムの出射部が出射したビームの反射波を用いて、前記出射部と前記第1の直線との間に車両が存在するか否かを判定し、車両が存在しない状態から車両が存在する状態に遷移したときに、当該車両が前記所定の領域に進入したと判定するステップと、
前記出射部が出射したビームの反射波を用いて、前記出射部と前記第2の直線との間に前記車両が存在するか否かを判定し、車両が存在しない状態から車両が存在する状態に遷移したときに、当該車両が前記所定の領域から退出したと判定するステップと
を含むことを特徴とする車両検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−118925(P2012−118925A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270517(P2010−270517)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】