説明

車両横転限界速度演算装置

【課題】
走行状態、車両操作状態の検出が必要でなく、車両の重心情報、車両のトレッド幅、及び車両が走行する道路のカーブの曲率半径に基づいて、走行する前に横転限界速度を演算して、前記運転限界速度と前記カーブに関連づけて利用することができる車両横転限界速度演算装置を提供する。
【解決手段】
重心位置測定装置1は車両の車両幅方向重心位置、車両全長方向重心位置、車両のトレッド幅、車両が走行する道路のカーブの曲率半径に基づいて、車両が横転する速度の下限である横転限界速度を演算する。又、重心位置測定装置1は、算出した横転限界速度をカーブに関連付けて出力するプリンタ39、表示装置42、I/Oインターフェイス54を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両横転限界速度演算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラック、或いはトレーラにおいて、重心位置(重心偏差)・重心高さに起因して、カーブ走行時の横転事故や、コンテナの落下事故がある。しかし、単に重心位置という数値をもって前記事故が起こり得ることを前もって把握することができない。すなわち、横転・落下の主たる原因は、重心位置とカーブ曲率、走行速度である。従って、カーブ曲率に応じた左旋回、右旋回の横転限界速度をドライバーに通知することが必要となる。
【0003】
主にトラックスケールで偏荷重を測定したり、重心位置を測定する手段は特許文献1、特許文献2に公開されている。
又、実走行時の走行状態(加速度、車輪速度等)及び実走行時の車両操作状態(操舵角度、スロットル開度等)と、車両重心情報に基づいて、車両の横転限界値に対する危険度を判定する技術も、特許文献3、特許文献4で提案されている。なお、特許文献5は、本件出願時の技術水準を表す重心位置の検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−36740号公報
【特許文献2】特開2004−226304号公報
【特許文献3】特開2001−250176号公報
【特許文献4】特開2002−19485号公報
【特許文献5】国際公開2008/062867号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1及び特許文献2には、車両の横転の原因となる車両横転限界速度を運算する手段は、提案されていない。又、特許文献3及び特許文献4では、実走行している車両の走行状態の検出手段、及び車両操作状態を検出する検出手段が必要である問題がある。さらに、特許文献3及び特許文献4では、実走行時において走行状態及び車両操作状態が分からないと横転危険度が判定できない問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決して、走行状態、車両操作状態の検出が必要でなく、車両の重心情報、車両のトレッド幅、及び車両が走行する道路のカーブの曲率半径に基づいて、走行する前に横転限界速度を演算して、前記運転限界速度と前記カーブに関連づけて利用することができる車両横転限界速度演算装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、車両の重心情報、前記車両のトレッド幅、前記車両が走行する道路のカーブの曲率半径に基づいて、前記車両が横転する速度の下限である横転限界速度を演算する演算手段と、前記演算手段が算出した前記横転限界速度を前記カーブに関連付けて出力する出力手段を備えることを特徴とする車両横転限界速度演算装置を要旨としている。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の車両横転限界速度演算装置が、非車載の装置であって、前記車両が走行する道路のカーブの曲率半径を少なくとも含む道路情報を取得する道路情報取得手段と、前記車両の重心位置を検出し、検出結果を前記重心情報として出力する重心位置検出手段と、前記車両のトレッド幅を取得するトレッド幅取得手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2において、前記道路情報を参照して車両の出発地から目的地までの経路を選択する経路選択手段を備え、前記道路情報取得手段が取得した前記道路情報は、前記経路選択手段により選択して得られた経路の道路情報であり、前記演算手段は、前記出発地から目的地までの経路に出現するカーブの曲率半径に基づいて横転限界速度を演算し、前記出力手段は、前記横転限界速度を前記車両の出発地から目的地までの経路のカーブに関連付けて出力することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3において、前記道路情報取得手段が取得した前記経路から、前記カーブの曲率半径が横転がしやすいか否かを判定する判定値以下のものを危険箇所として抽出する抽出手段を備え、前記演算手段は、前記抽出手段により抽出された危険箇所のカーブの曲率半径に基づいて横転限界速度を演算することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4において、前記車両の走行条件を設定する走行条件設定手段を備え、前記経路選択手段は、車両の出発地から目的地までの経路を前記走行条件設定手段により設定された走行条件を拘束条件として複数選択し、前記抽出手段は、前記選択された各経路中に存在するカーブの中から、前記カーブの曲率半径が横転がしやすいか否かを判定する判定値以下のものを危険箇所として抽出し、前記抽出手段が、抽出した危険箇所の数の多少に応じて、走行しやすい経路の優先順位を前記経路選択手段により選択した経路に付与する優先順位付与手段を備え、前記出力手段は、前記横転限界速度を前記車両の出発地から目的地までの前記選択された経路のカーブに関連付けて出力する際に、前記経路に前記優先順位を付して出力することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5において、前記抽出手段が、抽出した危険箇所の数が、走行禁止判定値よりも多い経路を走行禁止経路と判定し、前記出力手段は、前記判定結果を出力することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1又は請求項2において、前記車両が走行する道路上の気象情報を取得する気象情報取得手段を備え、前記演算手段は、取得した気象情報に応じて、前記車両横転限界速度を可変することを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項1又は請求項2において、前記車両が走行する道路上の気象設定情報を入力する気象設定情報入力手段を備え、前記演算手段は、入力された気象設定情報に応じて、前記車両横転限界速度を可変することを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1の車両横転限界速度演算装置が、車載の装置であって、前記車両の重心位置を取得する重心位置取得部と、前記車両のトレッド幅を取得するトレッド幅取得部と、道路のカーブの曲率半径を有した道路情報を含む道路マップデータを記憶する道路マップ記憶部と、前記道路マップデータを参照して車両の出発地から目的地までの経路を選択する経路選択部とを備え、前記演算手段が、前記重心位置取得部が取得した車両の重心情報、前記トレッド幅取得部が取得した前記車両のトレッド幅、及び前記経路選択部が選択した経路である前記車両が走行する道路のカーブの曲率半径に基づいて、前記車両が横転する速度の下限である横転限界速度を演算することを特徴とする車両横転限界速度演算装置を要旨としている。
【0016】
請求項10の発明は、請求項9において、前記経路選択部が選択した前記経路から、前記カーブの曲率半径が横転がしやすいか否かを判定する判定値以下のものを危険箇所として抽出する抽出部を備え、前記演算手段は、前記抽出部により抽出された危険箇所のカーブの曲率半径に基づいて横転限界速度を演算することを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、請求項10において、前記車両の走行条件を設定する走行条件設定部を備え、前記経路選択部は、車両の出発地から目的地までの経路を選択し、前記抽出部は、前記走行条件設定部により設定された走行条件を拘束条件として、前記選択された各経路中に存在するカーブの中から、前記カーブの曲率半径が横転がしやすいか否かを判定する判定値以下のものを危険箇所として抽出し、前記抽出部が、抽出した危険箇所の数の多少に応じて、走行しやすい経路の優先順位を前記経路選択部により選択した経路に付与する優先順位付与部を備え、前記横転限界速度を前記車両の出発地から目的地までの前記選択された経路のカーブに関連付けて表示する際に、前記経路に前記優先順位を付して表示する表示部を有することを特徴とする。
【0018】
請求項12の発明は、請求項11において、前記抽出部が、抽出した危険箇所の数が、走行禁止判定値よりも多い経路を走行禁止経路と判定し、前記表示部は、前記判定結果を表示することを特徴とする。
【0019】
請求項13の発明は、請求項9乃至請求項12のうちいずれか1項において、前記経路上の気象情報を取得する気象情報取得部を備え、前記演算手段は、取得した気象情報に応じて、前記車両横転限界速度を可変することを特徴とする。
【0020】
請求項14の発明は、請求項8乃至請求項13のうちいずれか1項において、前記経路上の気象設定情報を入力する気象設定情報入力手段を備え、前記演算手段は、入力された気象設定情報に応じて、前記車両横転限界速度を可変することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、走行状態、車両操作状態の検出が必要でなく、車両の重心情報、車両のトレッド幅、及び車両が走行する道路のカーブの曲率半径に基づいて、走行する前に横転限界速度を演算して、前記運転限界速度と前記カーブに関連づけて利用することができる車両横転限界速度演算装置を提供できる。
【0022】
請求項2の発明によれば、非車載の装置である車両横転限界速度演算装置が、道路情報取得手段と、重心位置検出手段と、トレッド幅取得手段を備えることにより、請求項1の効果を実現できる。
【0023】
請求項3の発明によれば、経路選択手段が選択した経路の道路情報に基づいて、該経路に出現するカーブの曲率半径に基づいて横転限界速度を取得できる。
請求項4の発明によれば、抽出手段により抽出された危険箇所における横転限界速度を容易に取得できる。
【0024】
請求項5の発明によれば、走行条件設定手段により設定された走行条件を拘束条件として、前記選択された各経路中に存在するカーブの中から、前記カーブの曲率半径が横転がしやすいか否かを判定する判定値以下のものを危険箇所として抽出する。このため、走行条件にあった経路において、危険箇所における横転限界速度を容易に取得できる。又、請求項5の発明によれば、走行しやすい経路の優先順位を前記経路選択手段により選択した経路に付与されるため、優先順位が付与された経路を取得することが可能となる。
【0025】
請求項6の発明によれば、判定結果が出力されるため、その判定結果に応じて経路を適切に選択することができ、運転者は、走行禁止の経路を避けることができる。
請求項7の発明によれば、気象情報に応じて、横転限界速度が可変するため、気象に応じた横転限界速度を得ることができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、前記車両が走行する道路上の気象設定情報が入力されると、演算手段は、入力された気象設定情報に応じて、車両横転限界速度を可変することができるため、仮定的な気象設定情報の入力だけで、車両横転限界速度を得ることができる。
【0027】
請求項9の発明によれば、車載の装置である車両横転限界速度演算装置が、道路マップ記憶部と、重心位置取得部と、トレッド幅取得部を備えることにより、請求項1の効果を容易に実現できる。
【0028】
請求項10の発明によれば、請求項9の効果に加え、抽出部により抽出された危険箇所における横転限界速度を容易に取得できる。
請求項11の発明によれば、走行条件設定部により設定された走行条件を拘束条件として、前記選択された各経路中に存在するカーブの中から、前記カーブの曲率半径が横転がしやすいか否かを判定する判定値以下のものを危険箇所として抽出する。このため、走行条件にあった経路において、危険箇所における横転限界速度を容易に取得できる。又、請求項11の発明によれば、走行しやすい経路の優先順位を前記経路選択部により選択した経路に付与されるため、優先順位が付与された経路を取得することが可能となる。
【0029】
請求項12の発明によれば、判定結果が表示されるため、その判定結果に応じて経路を適切に選択することができ、運転者は、走行禁止の経路を避けることができる。
請求項13の発明によれば、車載の装置である車両横転限界速度演算装置が、気象情報に応じて、横転限界速度が可変するため、気象に応じた横転限界速度を得ることができる。
【0030】
請求項14の発明によれば、経路上の気象設定情報が入力されると、演算手段は、入力された気象設定情報に応じて、車両横転限界速度を可変することができるため、仮定的な気象設定情報の入力だけで、車両横転限界速度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態の車両横転限界速度演算装置及びカーナビのブロック図。
【図2】第2実施形態の車両横転限界速度演算装置及び接続される計量所PCのブロック図。
【図3】第1実施形態の車両横転限界速度演算装置が実行する横転限界速度の演算のフローチャート。
【図4】第1実施形態において、車両横転限界速度演算装置の表示装置の表示画面に演算結果を出力した例を示す説明図。
【図5】同じく表示装置の表示画面に演算結果を出力した例を示す説明図。
【図6】同じく、表で出力した例を示す説明図。
【図7】同じく、カーブの曲率半径と横転限界速度とを特性曲線で表す、グラフで出力した例を示す説明図。
【図8】同じく、トレーラを平面視したときの重心位置を示す出力例の説明図。
【図9】(a)は第1実施形態に係る重心位置測定装置の構造の平面図、(b)は側面図(b)、(c)は(b)のA−A線断面図、(d)は(b)のB部拡大図。
【図10】同じく重心測定装置の制御系の概略システム構成図。
【図11】同じく制御装置の機能ブロック図。
【図12】(a)、及び(b)は車両の水平面的重心位置に関する座標系の定義説明図。
【図13】車両が第3の載台に載る際の荷重変化の様子を表わす図で、第1車軸の位置xとP13(x)およびP13(t)との関係を表す図。
【図14】(a)は車両が第1の載台および第2の載台に載った際にそれら載台に作用する荷重の状態図、(b)は車軸毎の合力作用点位置を示すスケルトン図。
【図15】重心位置測定装置の計測動作を説明するフローチャート。
【図16】第1実施形態、第2実施形態、並びに変形態様1〜3の変形例(1)に係る重心位置測定装置の構造説明図であって、(a)は、平面図、(b)は側面図、(c)は(a)のC−C線断面図、(d)は(b)のD−D線断面図。
【図17】(a)は、車両の第1車軸の左右の車輪が第1の載台および第2の載台にそれぞれ載った際にそれら載台に作用する荷重の状態図、(b)は車両の重心位置を示す平面図。
【図18】第1実施形態及び第2実施形態の変形例に係る重心位置測定装置の計測動作を説明するフローチャート。
【図19】第1実施形態、第2実施形態、並びに変形態様1〜3の変形例(2)に係る重心位置測定装置の構造説明図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)のE−E線断面図、(d)は(b)のF部拡大図。
【図20】(a)、及び(b)は車両が第2の載台に載った際にその載台に作用する荷重の状態図。
【図21】第1実施形態、第2実施形態、並びに変形態様1〜3の変形例(3)の重心位置測定装置の計測動作を説明するフローチャート。
【図22】第1実施形態、第2実施形態、並びに変形態様1〜3の変形例(4)に係る重心位置測定装置の構造説明図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(a)のG−G線断面図、(d)は(b)のH−H線断面図。
【図23】第1実施形態及び第2実施形態のさらなる変形例(4)に係る重心位置測定装置の構造説明図で、(a)は平面図、(b)は(a)のJ−J線断面図。
【図24】(a)は車両が第1の載台および第2の載台に載った際にそれら載台に作用する荷重の状態図、(b)は第1ロードセルおよび第2ロードセルの支点回りのモーメントのつりあい状態を示すスケルトン図。
【図25】(a),(b)は、第1実施形態、第2実施形態、並びに変形態様1〜3の変形例(4)に係る重心位置測定装置における荷重鉛直伝達機構の他の態様例の説明図。
【図26】(a)〜(d)は第1実施形態、第2実施形態、並びに変形態様1〜3の変形例(1)に係る重心位置測定装置のさらに変形した例の説明図。
【図27】ヒンジ支持体の構造説明図。
【図28】第3実施形態の重心位置測定装置と、車両横転限界速度演算装置(カーナビ)のブロック図。
【図29】第4実施形態の重心位置測定装置と、車両横転限界速度演算装置(車載PC)のブロック図。
【図30】(a)は第3実施形態の車両横転限界速度演算装置の平面図、(b)は(a)のA−A線矢視図。
【図31】図30(a)のB−B線矢視図。
【図32】載台の支持構造の説明図。
【図33】復元力の発生の理論説明図。
【図34】車両横転限界速度演算装置の制御系の概略システム構成図。
【図35】車両横転限界速度演算装置の機能ブロック図。
【図36】(a)、(b)は重心高さの求め方の理論説明図。
【図37】重心高さの求め方の理論説明図。
【図38】車両横転限界速度演算装置で実行される重心高さ測定プログラムの処理内容を説明するフローチャート。
【図39】車両横転限界速度演算装置の計測動作のタイムチャート。
【図40】(a)は第3実施形態及び第4実施形態の変形例における車両横転限界速度演算装置の測定部の要部構造説明図、(b)は載台の変位拘束の理論説明図。
【図41】第3実施形態及び第4実施形態の変形例における車両横転限界速度演算装置の機能ブロック図。
【図42】車両横転限界速度演算装置で実行される重心高さ測定プログラムの処理内容を説明するフローチャート。
【図43】第3実施形態及び第4実施形態の変形例における車両横転限界速度演算装置の計測動作のタイムチャート。
【図44】(a)は載台支持構造の変形例のさらなる他の態様例(1)の正面図、(b)は(a)のC−C線断面図、(c)は(a)のD部拡大図。
【図45】(a)は載台支持構造の変形例のさらなる他の態様例(2)の正面図、(b)は、(a)のE−E線断面図、(c)は(a)のF部拡大図。
【図46】(a)は、変形例のさらなる他の態様例(3)の載台支持構造の正面図、(b)は(a)のG−G線断面図。
【図47】第5実施形態の車両横転限界速度演算装置(カーナビ)のブロック図。
【図48】第6実施形態の車両横転限界速度演算装置(車載PC)のブロック図。
【図49】第7実施形態の車両横転限界速度演算装置(カーナビ)のブロック図。
【図50】第8実施形態の車両横転限界速度演算装置(車載PC)のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態(請求項1、請求項2、請求項7の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態の、車両横転限界速度演算装置を図1、図3〜図15を参照して説明する。図1は、車両横転限界速度演算装置としての重心位置測定装置1及びカーナビゲーション装置200(以下、カーナビという)のブロック図である。
【0033】
同図に示すように、重心位置測定装置1は、測定部20、制御装置40、制御装置40に接続された操作装置41、プリンタ39及び表示装置42を備える。プリンタ39及び表示装置42は出力手段に相当する。
【0034】
測定部20は、計量対象物の重心位置を検出(算出)するために必要な物理量を計量する。計量対象物の重心位置は、トラック(単車)の重心位置、トラクタ&トレーラの重心位置、コンテナ重心位置、トラクタの重心位置、フルトラクタの重心位置等を含むが、上記した例は例示であり、限定するものではない。物理量としては、計量対象物の総質量、軸重、輪重、トレッド幅を含む。測定部20は、トレッド幅取得手段に相当する。
【0035】
なお、重心位置測定装置1の詳細な構造説明及び計量の理論等は、説明の便宜上、後述する。
測定部20で計量対象物の物理量を計量(測定)した結果は、通信ケーブルを介して制御装置40に出力される。制御装置40は、MPU49及びメモリ48を備えている。メモリ48は、操作装置41で入力された計量対象物の「重心高さ」を記憶する。計量対象物の「重心高さ」は、例えば、計量対象物毎に、データテーブル化された表を、オペレータが参照して手入力する。或いは、メモリ48に予め計量対象物毎にテーブル化したデータ群を格納しておいてもよい。この場合は、表示装置42で前記データ群(表)を表示し、オペレータはこの表示されたデータ群の中から、測定部20で計量する計量対象物を選択して入力することにより、メモリ48に記憶された前記テーブル化されたデータ群から自動的に「重心高さ」を選択する。又、「重心高さ」は、計量対象物にかかわらず固定値(定数)として、予め横転限界速度を演算するプログラム内に含め、このプログラムをメモリ48に格納していてもよい。
【0036】
MPU49は、図1に機能ブロックで示すように、車両幅方向重心位置演算部50、車両全長方向重心位置演算部51及び横転限界速度演算部52を備える。MPU49は、演算手段、及び重心位置検出手段に相当する。
【0037】
車両幅方向重心位置演算部50は、測定部20が計量(測定)した結果に基づいて車両幅方向重心位置を算出する機能を有する。又、車両全長方向重心位置演算部51は、計量(測定)した結果に基づいて計量対象物の全長方向の重心位置を演算する機能を有する。横転限界速度演算部52は、車両幅方向重心位置演算部50、及び車両全長方向重心位置演算部51が演算した演算結果、メモリ48に格納した「重心高さ」、並びにカーナビ200から得られた道路情報に含まれるカーブの曲率半径及び測定部20が取得したトレッド幅に基づいて、車両の横転限界速度を演算する機能を有する。
【0038】
<第1実施形態に係る重心位置測定装置1の概略構成の説明>
さらに、重心位置測定装置1の具体的構成を説明する。図1に示す測定部20は、図9に示すように、第1の載台11と、第2の載台12と、第3の載台13とを備えている。
【0039】
第1の載台11および第2の載台12は、設置ベース2上において、トラックやトレーラ等の車両3が前進走行する際の走行経路の上流側に配置されている。
第3の載台13は、設置ベース2上において、第1の載台11および第2の載台12に対し、車両3の前進走行経路の下流側に配置されている。
【0040】
なお、本実施形態において、車両3は、左右それぞれに車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bが装着される車軸7,8,9を、運転席の下方に1本、荷台の下方に2本、合計3本有する3軸車両である(図12参照)。
【0041】
また、以下の説明において、前後左右方向は車両3の前進方向を基準として定めるものとする。
<第1〜第3の載台の説明>
第1の載台11は、車両3の各車軸7,8,9の左側の車輪4a,5a,6aが一つずつ載ることのできる四角形の板状部材で構成されている。
【0042】
第2の載台12は、車両3の各車軸7,8,9の右側の車輪4b,5b,6bが一つずつ載ることのできる四角形の板状部材で構成されている。
第3の載台13は、車両3の左右全ての車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bが同時に載ることのできる四角形の板状部材で構成されている。
【0043】
<第1〜第4ロードセルの配置説明>
設置ベース2と第3の載台13との間には、第1ロードセル21、第2ロードセル22、第3ロードセル23および第4ロードセル24がそれぞれ介設されている。
【0044】
第1ロードセル21は、第3の載台13における車両前進走行経路上流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。
第2ロードセル22は、第3の載台13における車両前進走行経路下流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。
【0045】
第3ロードセル23は、第3の載台13における車両前進走行経路上流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
第4ロードセル24は、第3の載台13における車両前進走行経路下流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
【0046】
<第5、第6ロードセルの配置説明>
設置ベース2と第1の載台11との間には、第5ロードセル25および、第6ロードセル26がそれぞれ介設されている。
【0047】
第5ロードセル25は、第1の載台11の左側部を下側から支持することができるように配置されている。
第6ロードセル26は、第1の載台11の右側部を下側から支持することができるように配置されている。
【0048】
<第7、第8ロードセルの配置説明>
設置ベース2と第2の載台12との間には、第7ロードセル27および、第8ロードセル28がそれぞれ介設されている。
【0049】
第7ロードセル27は、第2の載台12の左側部を下側から支持することができるように配置されている。
第8ロードセル28は、第2の載台12の右側部を下側から支持することができるように配置されている。
【0050】
<各ロードセルの機能説明>
各ロードセル21〜28は、ひずみゲージ式のロードセルで、作用した荷重をその大きさに応じて電気的な荷重信号に変換して出力する機能を有するものである。
【0051】
<荷重鉛直伝達機構の説明>
設置ベース2と第2の載台12との間には、更に所要の荷重鉛直伝達機構30が介設されている。この荷重鉛直伝達機構30は、設置ベース2に固定される脚部31と、平行四辺形状のリンク部32と、第2の載台12を支持する載台支持部33とを有し、リンク部32が第2の載台12の前後方向の偏心荷重の影響を消去するロバーバル機構を金属製の弾性体で一体的に構成したものである。この荷重鉛直伝達機構30を設置ベース2と第2の載台12との間に設けることにより、車両3の右側車輪4b,5b,6bから第2の載台12を介して第7ロードセル27および第6ロードセル28に作用する荷重を鉛直方向にのみ伝達させることができる。
【0052】
なお、この荷重鉛直伝達機構30は設置ベース2と第1の載台11との間にも同様に介設されており、車両3の左側車輪4a,5a,6aから第1の載台11を介して第5ロードセル25および第6ロードセル26に作用する荷重を鉛直方向にのみ伝達させることができる。
【0053】
<重心位置測定装置の制御系のシステム構成の説明>
図10に示されるように、重心位置測定装置1は、制御装置40と、操作装置41と、表示装置42とを備えている。
【0054】
<制御装置の概略説明>
制御装置40は、主として、増幅器43と、ローパスフィルタ44と、マルチプレクサ45と、A/D変換器46と、I/O回路47と、メモリ48と、マイクロプロセッサ(MPU)49とにより構成されている。
【0055】
増幅器43は、送り込まれる信号をA/D変換可能な大きさに増幅して送り出す機能を有している。
ローパスフィルタ44は、低域周波数のみを信号として通過させる機能を有している。
【0056】
マルチプレクサ45は、送り込まれる複数の信号を選択制御信号の指令に基づいて選択的に送り出す機能を有している。
A/D変換器46は、マルチプレクサ45からのアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有している。
【0057】
I/O回路47は、A/D変換器46と、操作装置41と、表示装置42と、メモリ48と、MPU49との間で各種の信号やデータの受け渡しを行う機能を有している。
メモリ48は、PROMやRAMなどで構成され、所定プログラムや基本データなどを長期的に記憶したり、種々のデータや演算用数値などを一時的に記憶したりする機能を有している。
【0058】
MPU49は、メモリ48に格納されている所定プログラムの指示に従って、必要な信号をI/O回路47を介して受け取り、また必要なデータをメモリ48から受け取り、受け取った信号やデータに基づいて演算を実行する機能を有している。
【0059】
<操作装置の概略説明>
操作装置41は、操作スイッチや数値キーなどを備えてなり、測定開始・終了の動作や零点調整動作、使用モードの切り換え動作、数値設定動作などの種々の動作の際に用いられる。
【0060】
<表示装置の概略説明>
表示装置42は、例えば液晶ディスプレイからなり、測定結果や各種データの入出力画面などが表示される。
【0061】
<重心位置測定装置の制御系システムの処理動作の概略説明>
重心位置測定装置1の制御系システムにおいては、測定部20における各ロードセル21〜28の信号が、増幅器43、ローパスフィルタ44、マルチプレクサ45、A/D変換器46およびI/O回路47を経由してMPU49に送られる。MPU49は、メモリ48に格納されている所定プログラムに従って、I/O回路47からの信号を取り込み、またメモリ48に記憶されている種々のデータを読み込み、これらの信号やデータに基づいて車両3の水平面的重心位置の演算を実行する。そして、その演算結果は表示装置42に表示される。
【0062】
<制御装置の機能説明>
制御装置40においては、所定プログラムがMPU49で実行されることにより、図11に示される車両幅方向重心位置演算部50、車両全長方向重心位置演算部51および表示信号生成部53のそれぞれの機能が実現される。
【0063】
また、図1に示すように、制御装置40において、所定プログラムが実行されることによりMPU49は、横転限界速度演算部の機能が実現される。
<車両の重心Gの座標(X,Y)の求め方の理論説明>
次に、主として、図12〜図15を用いて、車両3の重心Gの座標(X,Y)の求め方について説明する。
【0064】
車両3の幅方向の中心位置を通り全長方向に延びる車両中心線に沿ってX軸を定め、第1車軸7に沿ってY軸を定め、車両3の第1車軸7と車両中心線との交点に原点をとって、直交座標系O−XYを定める。
【0065】
第3の載台13の幅方向の中心位置を通り全長方向に延びる幅方向中心線に沿ってx軸を定め、第3の載台13の全長方向の中心位置を通り幅方向に延びる全長方向中心線に沿ってy軸を定め、第3の載台13の中央に原点をとって、直交座標系o−xyを定める。
【0066】
ロードセル21〜28のそれぞれの出力は無負荷時において零に調整されているものとする。
<記号の定義(車両関連)の説明>
図中および理論式で用いる記号の意味を下記のとおり定義する。
【0067】
G:車両3の重心
:車両3の第i車軸両輪の輪重の合力作用点
i(=1,2,・・・,k):車軸番号
k:車軸数
:座標系O−XYにおける車両3の全長方向の重心位置
:座標系O−XYにおける車両3の幅方向の重心位置
:座標系o−xyにおける車両3の全長方向の重心位置
:座標系o−xyにおける車両3の幅方向の重心位置
:有効トレッド幅
:車軸間距離
j(=1,2,・・・,k−1):車軸間番号(k≧2)
CL:トレッド幅の幅方向の中心位置を示す中心線
GL:合力作用点Gを通る鉛直線
:中心線CLと鉛直線GLとの距離
<記号の定義(ロードセル関連)の説明>
LC1:第1ロードセル21
LC2:第2ロードセル22
LC3:第3ロードセル23
LC4:第4ロードセル24
LC5:第5ロードセル25
LC6:第6ロードセル26
LC7:第7ロードセル27
LC8:第8ロードセル28
a:第1ロードセル21(第3ロードセル23)と第2ロードセル22(第4ロードセル24)との中心間距離
b:第1ロードセル21(第2ロードセル22)と第3ロードセル23(第4ロードセル24)との中心間距離
:第5ロードセル25の中心点と第i車軸の左側輪重の作用点との距離
´:第8ロードセル28の中心点と第i車軸の右側輪重の作用点との距離
:第5ロードセル25の中心点と鉛直線GLとの距離
h:第2ロードセル22(第4ロードセル24)と第1車軸との中心間距離
なお、上記記号のうち、a,bは既知の値であり、これらの値は予めメモリ48に記憶される。
【0068】
<記号の定義(載台関連)の説明>
CL:第1の載台11と第2の載台12との中間位置を示す中心線
:第1の載台11(第2の載台12)の幅寸法
L:第3の載台13の全長方向寸法
なお、上記記号のうち、b,Lは既知の値であり、これらの値は予めメモリ48に記憶される。
【0069】
<記号の定義(車両と載台との相対位置関連)の説明>
f:X軸とx軸との距離(中心線CLと中心線CLとの距離)
<記号の定義(力学関連)の説明>
Li:輪重(左側)
Ri:輪重(右側)
:第i軸の軸重
W:総重量
:第iロードセルに作用する力(=そのロードセルから載台に作用する力)
:第jロードセルに作用する力(=そのロードセルから載台に作用する力)
ij:P+P
P=P+P+P+P
:第i車軸のPへの影響分
<X,lの測定の説明:図13参照>
図13には、車両が第3の載台に載る際の荷重変化の様子を表わす図で、第1車軸の位置xとP13(x)およびP13(t)との関係を表す図が示されている。
【0070】
の測定には、lの測定が不可欠である。また、lは、第1ロードセル21〜第4ロードセル24の出力P(t)〜P(t)の波形により求めることができる。
<l,lの求め方の説明>
13(t)波形に最初にピークが生じた時刻を時間の原点(t=0)にとり、それ以降に極値が生じた時刻をt,t,tとする。
【0071】
13(0)に対応する第1車軸の位置xと、第3の載台13の車両前進走行経路上流側端との距離をrとする。このrはタイヤ接地長の半分に相等する。また、P13(0)に対応する第1車軸7の位置xと、第1ロードセル21(第3ロードセル23)の中心点との距離をsとする。
【0072】
上記の距離sについて、次式(1)が成立する。
(0)/(a+s)=W/a ・・・(1)
ここで、W=P(t),0<t<tである。
【0073】
前記式(1)から次式(2)で示されるようにsを求めることができる。
s={P(0)/W−1}a ・・・(2)
一方、上記の距離rと距離sとについて、次式(3)が成立する。
【0074】
r+s=L/2−a/2 ・・・(3)
前記式(3)から次式(4)で示されるようにrを求めることができる。
r=L/2−a/2−s ・・・(4)
<lの求め方の説明>
第1車軸7と第2車軸8との距離lについて、次式(5)で示される関係式が成立する。
【0075】
(0)/(a+s)=P(t)/(a+s−l+r) ・・・(5)
前記式(5)からlは次式(6)で示されるように求めることができる。
=(a+s){1−P(t)/P(0)}+r ・・・(6)
<lの求め方の説明>
第2車軸8と第3車軸9との距離lを求めるにあたって、まず、P(t),P(t)を求める。
【0076】
(t)について、次式(7)で示される関係式が成立する。
(0)/(a+s)=P(t)/(a+s−l) ・・・(7)
前記式(7)からP(t)は次式(8)で示されるように求めることができる。
【0077】
(t)={(a+s−l)/(a+s)}P(0) ・・・(8)
また、P(t)は次式(9)から求めることができる。
(t)=P13(t)−P(t) ・・・(9)
<lの求め方の説明>
次いで、P(t),P(t)をP(t),P(t),lで表わす。
【0078】
(t)について、次式(10)が成立する。
(t)−P(t)={(l−r)/(a+s)}P(0)
・・・(10)
前記式(10)からP(t)は次式(11)で示されるように求めることができる。
【0079】
(t)=P(t)−{(l−r)/(a+s)}P(0)
・・・(11)
また、P(t)について、次式(12)が成立する。
【0080】
(t)−P(t)={(l−r)/(a+s)}P(t
・・・(12)
前記式(12)からP(t)は次式(13)で示されるように求めることができる。
【0081】
(t)=P(t)−{(l−r)/(a+s)}P(t
・・・(13)
<lの求め方の説明>
13(t)は次式(14)で表わすことができる。
【0082】
13(t)=P(t)+P(t) ・・・(14)
前記式(14)に前記式(11)および式(13)をそれぞれ代入する。
13(t)=P(t)−{(l−r)/(a+s)}P(0)
+P(t)−{(l−r)/(a+s)}P(t
・・・(15)
前記式(15)は次式(16)に示されるように変形することができる。
【0083】
{(l−r)/(a+s)}・(P(0)+P(t))=
(t)+P(t)−P13(t) ・・・(16)
前記式(16)からlは次式(17)で示されるように求めることができる。
【0084】
=(a+s)[{(P(t)+P(t)−P13(t)}/{(P(0)+P(t)}]+r ・・・(17)
<Xの求め方の説明>
図12(a)から明らかなように、車両3の全長方向の重心位置Xは、次式(18)で表わすことができる。
【0085】
=−{(a/2−l)−x} ・・・(18)
全ての車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bが第3の載台13上に載った状態(t<t<t:図12(b)参照)におけるモーメントのつりあいから次式(19)が成立する。
【0086】
+W(l+l)+W(l+l+l)−P13a=0 ・・・(19)
前記式(19)からlは次式(20)で示されるように求めることができる。
【0087】
={P13a−W−W(l+l)}/W ・・・(20)
ここで、前記式(20)中のWは次式(21)で表わされるものである。
【0088】
【数1】

<Xの求め方の説明>
また、同様に車両3の時刻t(t<t<t)におけるモーメントのつりあいから次式(22)が成立する。
【0089】
(a/2+x)P=aP24 ・・・(22)
ここで、前記式(22)中のPは次式(23)で表わされるものである。
【0090】
【数2】

前記式(22)からxは次式(24)で示されるように求めることができる。
【0091】
=a(P24/P−1/2) ・・・(24)
前記式(18)(20)(24)から車両3の全長方向の重心位置Xを求めることができる。
【0092】
<Y,Bの測定の説明:図14参照>
図14には、車両が第1の載台および第2の載台に載った際にそれら載台に作用する荷重の状態図(a)および車軸毎の合力作用点位置を示すスケルトン(b)がそれぞれ示されている。
【0093】
の測定には、Bとb,b´測定が不可欠である。
<Y,Bの求め方の説明>
図14(a),(b)より明らかなように、車両3の幅方向の重心位置Yに関して次式(25)が成立する。
【0094】
(W+W+W)Y=W+W+W ・・・(25)
前記式(25)からYは次式(26)のように表わすことができる。
【0095】
=(W+W+W)/(W+W+W) ・・・(26)
図14(a)に示される状態におけるモーメントのつりあいの式からCは次式(27)のように表わすことができる。
【0096】
={bLi+(b+B)WRi}/W
=b+WRi/W ・・・(27)
ここで、WRiは次式(28)から求めることができる。
【0097】
Ri=P78 ・・・(28)
<Y,Bの求め方の説明>
図14(a)から明らかなようにeは次式(29)のように表わすことができる。
【0098】
=b+B/2−C ・・・(29)
前記式(29)に前記式(27)を代入すると、eは次式(30)のように表わすことができる。
【0099】
=b+B/2−b+WRi/W
=B/2−WRi/W
=(1/2−WRi/W)B ・・・(30)
<Y,Bの求め方の説明>
は前記式(26)(30)から次式(31)のように表わすことができる。
【0100】
【数3】

図14(a)から明らかなようにBは次式(32)のように表わすことができる。
【0101】
=b−(b+b´) ・・・(32)
は、第5ロードセル25および第6ロードセル26に作用する荷重の比から次式(33)から求めることができる。
【0102】
=(P/P56)b ・・・(33)
同様にして、b´は第7ロードセル27および第8ロードセル28に作用する荷重の比から次式(34)から求めることができる。
【0103】
´=(P/P78)b ・・・(34)
前記式(31)(32)(33)(34)から車両3の幅方向の重心位置Yを求めることができる。
【0104】
<重心位置測定装置の計測動作の説明>
次に、重心位置測定装置1の計測動作について、主に、図11の機能ブロック図および図15のフローチャートを用いて以下に説明する。なお、図15において記号「S」および「T」はそれぞれステップを表わす。
【0105】
<ステップS1〜ステップS3の処理内容の説明>
車両幅方向重心位置演算部50は、第5ロードセル25〜第8ロードセル28の荷重信号を読み込み、読み込んだ荷重信号と、前記式(32)(33)(34)とに基づいて、有効トレッド幅Bを演算するとともに、求められた有効トレッド幅Bの値と、前記式(31)とに基づいて、座標系O−XYにおける車両3の幅方向の重心位置Yを演算する(S1)。前記有効トレッド幅B及び演算結果である重心位置Yはメモリ48に格納される。
【0106】
そして、表示信号生成部53は、車両幅方向重心位置演算部50による演算結果を表示装置42に表示させる表示信号を生成し、かかる表示信号を表示装置42へ送信する(S2)。これにより、表示装置42には、車両3の幅方向の重心位置の値が表示される(S3)。
【0107】
<ステップT1〜ステップT3の処理内容の説明>
車両全長方向重心位置演算部51は、第1ロードセル21〜第4ロードセル24の荷重信号を読み込み、読み込んだ荷重信号と、前記式(6)(17)とに基づいて、車軸間距離l,lを演算するとともに、算出された車軸間距離l,lの値と、前記式(18)(20)(24)とに基づいて、座標系O−XYにおける車両3の全長方向の重心位置Xを演算する(T1)。この演算結果である重心位置Xをメモリ48に格納される。
【0108】
そして、表示信号生成部53は、車両全長方向重心位置演算部51による演算結果を表示装置42に表示させる表示信号を生成し、かかる表示信号を表示装置42へ送信する(T2)。これにより、表示装置42には、車両3の全長方向の重心位置の値が表示される(T3)。
【0109】
前記重心位置測定装置1では、簡易かつ安価な構成で車両3の水平面的重心位置G(X,Y)を測定することができ、車両3の横転防止に資する有効なデータが得られる。
<横転限界速度演算部52の処理の概要>
横転限界速度演算部52は、重心位置から道路の曲率半径の横転限界速度Vを以下の計算式で求める。なお、この下記式中のh,b,fは測定部20から取得し、Rはカーナビ200から取得する。又、下記式(A1)〜式(A4)中の符号、及び本実施形態の下記において、説明に出てくる符号の意味は下記の通りである。
【0110】
m:総質量
R:カーブの曲率半径
r:車両が走行する回転半径
V:速度(横転限界速度)
h:重心高さ(メモリ48に記憶されている。)
b:トレッド幅(すなわち、前記有効トレッド幅B
f:重心偏差(図12において、車両3の幅方向の中心位置を通り全長方向に延びる車両中心線に沿ったX軸とYの差であり、車両の前方を向いて、右は+、左を−とする。)
g:重力加速度
ここで、回転半径rと、曲率半径Rとの関係を説明する。
【0111】
曲率半径Rは、道路の中央分離帯に対するものであるため、車両の走行半径rとの誤差がある。このため、例えば、道路が複数車線を有する場合、
r=R±(道路幅×車線数)とする。
【0112】
国内では、左側通行のため、右旋回の場合は、車両は中央分離帯(曲率半径R)よりも外側を走行し、すなわち、回転半径r>Rとなり、
r=R+(道路幅×車線数)となる。
【0113】
又、左旋回の場合は、車両は中央分離帯(曲率半径R)よりも内側を走行し、すなわち、回転半径r<Rとなり、
r=R−(道路幅×車線数)となる。
【0114】
なお、右側通行(例えばも国外)では、上記のrとRとの関係は逆となる。
本実施形態では、2車線の高速道路の場合では、走行車線を走行する場合を想定して、rが設定されている。なお、車両が複数車線のうちのどの車線を走行するかは、限定するものではなく、適宜設定すればよい。
【0115】
式(A1)は、回転半径rを車両が走行する場合に、車両が横転しない横転限界速度を求めるための式であって、重心に働く遠心力(左辺)と、重力との回転モーメント(右辺)との関係を表す。
【0116】
h・m・V/r ≦ m・g・(b/2 −f) ………(A1)
式(A1)から、下記式(A2)が得られる。
≦g(b/2 −f)・r/h ………(A2)
次式(A3)のようにkを定義すると、式(A2)から式(A4)が求まる。
【0117】
k=(b/2 −f)/h ………(A3)
V≦(g・k・r)1/2 ………(A4)
<カーナビ200の構成の説明>
次にカーナビ200について説明する。なお、カーナビは、車両に固定されるものに限らず、車両から着脱自在に取付けできるもの、或いは、人が車両に持ち込み、持ち出し可能なポータブルのものも含む趣旨である。カーナビ200は、例えば、計量対象物の車両、或いは、計量対象物のコンテナを運搬する車両(トレーラ)に搭載されているもので、制御回路210と、位置検出器220と、操作スイッチ群230と、外部記憶装置240、ディスプレイ250、及び外部情報入出力装置225を備えている。制御回路210は、コンピュータとして構成されるとともに、CPU211、ROM212、RAM213を有する。
【0118】
前記制御回路210内のROM212には、地図表示機能、経路演算機能、経路案内機能等のナビゲーションの機能を実現するためのソフトウェア等、各種ソフトウェアがインストールされている。
【0119】
位置検出器220は、地磁気センサ221、ジャイロスコープ222、距離センサ223、及びGPS受信機224を含む構成となっている。前記地磁気センサ221は、地磁気を検出することにより、車両の進行方向を検出する。ジャイロスコープ222は、車両の旋回状態を検出する。距離センサ223は、車両の走行距離を検出する。GPS受信機224は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して、車両の現在位置を緯度及び経度に基づいて検出する。
【0120】
前記地磁気センサ221、ジャイロスコープ222、GPS受信機224により自立航法が可能となっている。又、GPS受信機224と自立航法とにより、それぞれの短所を補う。例えば、位置検出器220では、GPS受信機224が検出した緯度・経度の情報を基準に、地磁気センサ221、ジャイロスコープ222、距離センサ223の検出した結果を加味した補正を行うことにより、車両の現在位置を正確に検出することができる。操作スイッチ群230は、例えば、地図の表示切り換え、拡大表示、は縮小表示を指示したり、スクロールを指示したり、経路計算のための目的地を入力するといった各種操作を実行するためのスイッチ類を備える。
【0121】
外部記憶装置240は、例えば、ハードディスクが代表的である。外部記憶装置240は、CD或いはDVD読み取り装置であってもよい。この外部記憶装置240は、例えばハードディスクの場合、該ハードディスクに地図データである道路マップがデータベース化されている。外部記憶装置240は、道路マップデータベースを構成している。
【0122】
地図データは、例えば、道路地図をディスプレイ250にグラフィック表示するための道路地図データと、経路探索に必要な一方通行や車両通行禁止などの交通規制データ、各地点の所在地データ、目的地検索や地点登録のために必要な登録地点データを含む。
【0123】
又、地図データには、経路探索において出発地から目的地までの所要時間を算出するために必要な次のデータが含まれている。例えば、道路地図上の所定の道路区間毎に区間IDが付され、各道路区間に対して、道路種別(例えば高速道路、国道、県道、市道、農道など)、道路属性(その道路区間が特定の道路、例えば国道n号線に属しているなどの関係付け)、区間距離(その道路区間の長さ)、ノード座標(その道路区間の始点と終点の緯度経度座標)、区間旅行時間(その道路区間を走行するのに要する時間)などの道路区間データを含む。
【0124】
さらに、地図データには、前記道路区間に存在する各カーブの緯度、経度、その曲率半径、道路横断勾配、及びそのカーブの地点名称等を含む。なお、本実施形態では、カーブは、地図データにおいて、曲率半径が付与された箇所のものをいい、本実施形態ではこれらの曲率半径が付与されたカーブの横転限界速度を算出する。なお、所定の曲率半径R以下(例えば、R≦600m)のものを、横転限界速度を演算する対象のカーブとしてもよい。
【0125】
又、外部記憶装置240は、地名や施設名とその緯度・経度座標とを対応付けたデータ等を記憶しておくことにより、経路計算の際の目的地の選択を容易にするためにも利用される。
【0126】
ディスプレイ250は、例えば、カラー液晶表示装置であるが、限定するものではない。
外部情報入出力装置225は、外部のインフラ(例えばVICSの様な道路情報案内システムやインターネット、或いは気象情報案内システム)から提供される、出発地から目的地の間の経路の渋滞情報、道路工事情報、交通事故情報、気象情報等を受信し、逆に、自車位置や緊急時の救命信号等を外部へ発信する。
【0127】
重心位置測定装置1の測定部20により計量対象物を測定する際に、カーナビ200は、重心位置測定装置1に対して接続される。接続方法は、有線接続でもよいし、或いは、無線接続であってもよい。有線接続の場合は、通信ケーブル215(例えば、USBケーブル、イーサネット(登録商標)ケーブル等)を、カーナビ200及び重心位置測定装置1にそれぞれ設けられているI/Oインターフェイス214、54に接続可能である。
【0128】
なお、USBケーブルを接続する代わりに、USBポートにUSBメモリを接続して、データをやりとりしてもよい。
カーナビ200は、操作スイッチ群230を操作することにより、車両が走行する出発地から目的地までの経路を探索し、探索結果で得られた経路に関する道路情報を通信ケーブル215を介して、制御装置40に入力可能である。この場合、I/Oインターフェイス54は、道路情報取得手段、気象情報取得手段及び出力手段に相当する。
【0129】
なお、無線接続の場合は、例えば、無線LANにより接続する場合、カーナビ200及び重心位置測定装置1にそれぞれ設けられている無線LANインターフェイスを介してデータ通信が行われる。重心位置測定装置1に設けられる前記各インターフェイスは、気象情報取得手段及び道路情報取得手段に相当する。カーナビ200と、制御装置40との各種データやりとりは、USBポートにUSBメモリを接続することにより行うようにしてもよい。この場合、制御装置40のUSBポートに接続されたI/Oインターフェイスが道路情報取得手段、気象情報取得手段及び出力手段に相当する。
【0130】
カーナビ200では、操作スイッチ群230が操作されて、出発地(例えば、車両の現在地)と目的地、走行条件(短い距離優先、一般道路優先、有料道路優先、広い道路優先等)の設定が可能である。前記した出発地・目的地、及び走行条件が設定された状態で、操作スイッチ群230の検索スイッチ(又はキー)が押下されると、カーナビ200のCPU211は、設定された走行条件、すなわち拘束条件に適した1つ以上の経路を、ROM212に記憶された探索プログラムに従って外部記憶装置240の道路マップから探索し、その探索結果をRAM213に記憶する。
【0131】
このRAM213に記憶した探索結果は、カーナビ200と重心位置測定装置1とを通信ケーブル215により接続した状態で、重心位置測定装置1の操作装置41の入力要求操作に基づき、I/Oインターフェイス214、通信ケーブル215、I/Oインターフェイス54を介してMPU49に入力される。MPU49は、入力された前記探索結果、すなわち、得られた経路におけるカーブの曲率半径Rを含む道路情報をMPU49のメモリ48に格納する。
【0132】
<第1実施形態の作用>
上記のように構成された、重心位置測定装置1の作用を図3〜図8を参照して説明する。
【0133】
図3は、MPU49が横転限界速度Vを求める演算プログラムのフローチャートである。図3に示すように、ステップU1では、MPU49は、メモリ48に格納されている総重量W、平面重心位置(すなわち、重心位置X及び重心位置Y)、重心高さh並びに、トレッド幅b(有効トレッド幅B)を読み込む。ステップU2では、MPU49は、道路のカーブの曲率毎に、左旋回、右旋回の横転限界速度Vを前記式(A4)に基づいて、算出する。ステップU3では、MPU49は、ステップU2で求めた横転限界速度Vを表示装置42に表示する。
【0134】
なお、図8に示すようにトレーラトラック14の場合、牽引車両(トラクタ)15に牽引されるシャーシ16前部と、前記牽引車両が連結部15aを介して、一点で接合しており、コンテナ等の積載物17を積載するシャーシ16前部には、車輪が取り付けられていない。このため、重心位置が、シャーシ16前部の左寄り、或いは右寄りにある特定領域18にある場合は、シャーシ16後部の左寄り、或いは右寄りの場合に比して、横転の危険度が高まる。従って、平面重心位置(すなわち、重心位置X及び重心位置Y)が図8の特定領域18内にあると判断した場合、MPU49は、一定の補正係数を式(A4)で算出した横転限界速度Vを補正するようにしてもよい。この補正係数は、横転限界速度を式(A4)で算出した値よりも横転限界速度を小さくする補正係数である。なお、前記特定領域18は、連結部15aから後方におけるシャーシ16前部において、右寄り及び左寄りの領域(図8において、ハッチングした領域)である。
【0135】
この表示装置42での表示態様の一例を、図4に示す。
図4では、表示装置42の表示画面42aに、車両を側面視した状態を示す表示領域34、及び背面視した状態を示す表示領域35に対して算出した重心の平面重心位置と、入力された(或いは設定された)重心高さに基づいて、重心をドットDで示している。
【0136】
又、表示画面42aの表示領域36には、総重量W、車両幅方向重心位置、車両全長方向重心位置(図4では、説明の便宜上、前後方向重心位置と表記)、及び重心高さが表形式で示される。
【0137】
又、表示画面42aの表示領域37には、道路の所定の曲率半径における、左旋回横転限界速度、及び右旋回横転限界速度が表形式で表示される。なお、図4の曲率半径の範囲は、50〜200mとしているが、例示であり、限定するものではない。例えば、後述する図6のように表示してもよい。又、後述する図7の例のようにグラフ化したものを表示してもよい。
【0138】
そして、この例においては、同じ曲率半径では、左旋回横転限界速度の方が、右旋回横転限界速度よりも遅い速度で横転限界速度に達しているため、MPU49は表示画面42aの表示領域38に、「左カーブは特に注意して減速してください。」との注意喚起をするための文言が表示される。すなわち、MPU49は、同じ曲率半径のカーブを右旋回又は左旋回する場合、低い横転限界速度の方の注意喚起を表示装置42を介して運転者に行う。
【0139】
なお、重心位置の表示は、図4に限定するものではない。図5は、トレーラを後面視した場合であって、複数マス、例えば、18マスで分割したものである。図5において、縦は上下を示し、横は幅方向の中心を境にして左右を示す。又、図5において、丸数字は、分割した領域を識別するための番号を示し、図5では、幅方向中心から右側の領域を9分割したことを示している。なお、図5において、幅方向の中心から左側は、丸数字は付与されていないが、右側のマスと同様に丸数字が付与されているものと理解されたい。この例では、各マスに付与した数値は、当該マスに重心が存在した場合の危険度を示し、高い数値ほど危険度が大きいことを意味している。そして、例えば、図5の例では、丸数字「6」のマスに重心があるとしたときに、そのマスは他のマスとは違う色、或いは明度を異ならしめて、注意喚起を行うようにしている。注意喚起の仕方は、重心が左に片寄っている場合は「右カーブ注意」、右に重心が片寄っている場合は、「左カーブ注意」等のメッセージを表示画面42aで表示して行う。或いは、同時に、MPU49は音声合成回路(図示しない)によりスピーカ(図示しない)を介して音声で同趣旨の注意喚起を行う。
【0140】
なお、特許文献5では、重心位置を計測して横転限界速度を出すようにしているが、左旋回、右旋回別に出すようにはしていない。本実施形態では、左旋回及び右旋回別に横転限界速度を算出し、表示することが特徴である。
【0141】
フローチャートの説明に戻って、ステップU4では、MPU49は、操作装置41により印刷指令が入力されているか否かを判定し、印刷指令がある場合は、ステップU5で、プリンタ39により横転限界速度Vを印刷する。又、印刷指令がない場合には、ステップU6にジャンプする。
【0142】
図6は、印刷の出力例を示し、道路(カーブ)曲率半径毎の左旋回横転限界速度、及び右旋回横転限界速度を表(テーブル)にして印刷したものである。図6に示すように、最小の曲率半径〜例えば600mまでを所定m間隔毎に区分する。この区分数がnあるとして、各区分した曲率半径Rnの範囲毎に、右旋回横転限界速度及び左旋回横転限界速度を求めたものをテーブル化する。
【0143】
なお、図示はしないが、前記表が印刷された用紙には、操作装置41で入力された「車番(車両登録番号)」、「計量(測定)日時」、及び「計量場所」も印刷される。又、前記用紙には、計量(測定)結果である「全重量」、「幅方向重心位置」、「前後方向重心位置(車両全長方向重心位置)」が併せて印刷される。
【0144】
又、図7は、同じく印刷の出力例を示し、横転限界速度を縦軸に、道路曲率半径を横軸にして、計量(測定)された車両の右旋回横転限界速度と左旋回横転限界速度が示されている。ここでも、本実施形態では、左旋回及び右旋回別に横転限界速度を算出し、印刷することが特徴である。図6及び図7の印刷例は、個別に行っても良く、或いは共に共通の印刷用紙に印刷するように出力してもよい。
【0145】
ステップU6では、MPU49は、操作装置41により外部出力指令が入力されているか否かを判定し、外部出力指令がある場合は、ステップU7で、外部出力する。この場合、外部出力が、例えばカーナビ200への出力の場合、カーナビ200に、図4(或いは、図6、図7)と同様の内容を表示するための横転限界速度Vを含むデータを出力する。カーナビ200のCPU211は、これらのデータを入力し、このデータに基づいてディスプレイ250に、図4(或いは、図6、図7)と同様の内容を表示する。又、外部出力指令がない場合には、MPU49はステップU8にジャンプする。
【0146】
ステップU8では、MPU49は、道路情報及び気象情報の要求指令があったか否かを判断し、道路情報及び気象情報の要求指令(すなわち、入力要求操作)がない場合は、このプログラムを終了する。又、ステップU8において、道路情報及び気象情報の要求指令が操作装置41からの操作によりあったと判断した場合は、MPU49はステップU9において、カーナビ200から道路情報及び気象情報を取得する。なお、カーナビ200側では、予め車両が走行する出発地から目的地までの経路を探索し、探索結果で得られた経路に関する道路情報を取得し、RAM213に記憶されているものとする。前記探索結果で得られた経路の道路情報には、その道路区間に存在する各カーブの緯度、経度、その曲率半径、道路横断勾配(片勾配)、及びそのカーブの地点名称が含まれている。ここで、前記経路において、車両の進行方向を基準に右旋回する場合が右カーブとなり、左旋回する場合が左カーブとなる。MPU49は、前記経路中のカーブに対して前記基準で右カーブ及び左カーブの識別データを付加する。
【0147】
ステップU10では、MPU49は、取得したカーブの地点毎の曲率半径に対する横転限界速度を式(A4)を使用して求める。なお、取得した気象情報を使用する場合は、例えば、気象情報が「晴れ」又は「曇り」の場合は、式(A4)の演算結果をそのまま使用する。又、気象情報が「雨」、又は「雪」の場合は、「雨」又は「雪」の補正係数を式(A4)の演算結果に乗算する。この補正系数は、式(A4)の演算結果である横転限界速度Vよりも小さな値にするための補正係数である。
【0148】
又、気象情報に雨量がある場合には、雨量が多いほど、乗算する補正係数を増大してもよい。又、気象情報に、風の強さがある場合には、風の強さが強いほど、乗算する補正係数を増大してもよい。乗算する代わりに、補正量(速度)を加算したり減算したり、予め設定された数値分を加減算する等の補正演算により、横転限界速度を可変する。
【0149】
ステップU11では、MPU49は、前記経路の各カーブの地点の経度、緯度、地点名称、曲率半径、横断勾配(片勾配)、及びステップU10で算出した横転限界速度を表の形式で表示できるように関連づけしてI/Oインターフェイス54、通信ケーブル215、I/Oインターフェイス214を介してカーナビ200に出力し、このプログラムを終了する。カーナビ200のCPU211は、前記関連づけされて入力したデータに基づいて、ディスプレイ250に表形式で表示する。下記表は、表形式で表された例を示している。表1の曲率半径の「+」は右カーブを表し、「−」は左カーブを表しており、MPU49が前記識別データに基づいて表記したものである。
【0150】
【表1】

第1実施形態では、下記の特徴がある。
【0151】
(1) 本実施形態の重心位置測定装置1は、車両の車両幅方向重心位置(重心情報)、車両全長方向重心位置(重心情報)、車両のトレッド幅(有効トレッド幅)、車両が走行する道路のカーブの曲率半径に基づいて、前記車両が横転する速度の下限である横転限界速度を演算するMPU49(演算手段)を備える。又、重心位置測定装置1は、MPU49が算出した横転限界速度をカーブに関連付けて出力するプリンタ39、表示装置42、I/Oインターフェイス54(出力手段)を備える。この結果、走行状態、車両操作状態の検出が必要でなく、車両の重心情報、車両のトレッド幅、及び車両が走行する道路のカーブの曲率半径に基づいて、走行する前に横転限界速度を演算して、前記運転限界速度と前記カーブに関連づけて利用することができる。
【0152】
(2) 本実施形態の重心位置測定装置1は、非車載の装置としている。又、重心位置測定装置1は、車両が走行する道路のカーブの曲率半径を道路情報を取得するI/Oインターフェイス54(道路情報取得手段)と、車両の重心位置を検出し、検出結果を前記重心情報として出力するMPU49(重心位置検出手段)と、車両のトレッド幅を取得する測定部20(トレッド幅取得手段)を備えている(請求項2のサポート)。
【0153】
この結果、本実施形態によれば、非車載の装置である重心位置測定装置1が、I/Oインターフェイス54(道路情報取得手段)と、MPU49(重心位置検出手段)と、測定部20(トレッド幅取得手段)を備えることにより、上記(1)の効果を実現できる。
【0154】
(3) 本実施形態の重心位置測定装置1は、経路上の気象情報を取得するI/Oインターフェイス54(気象情報取得手段)を備えている。又、重心位置測定装置1のMPU49(演算手段)は、取得した気象情報に応じて、横転限界速度を可変する。この結果、本実施形態によれば、気象情報に応じて、横転限界速度が可変するため、気象に応じた横転限界速度を得ることができる。
【0155】
(第2実施形態(請求項3の実施形態))
第2実施形態について図2を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一構成又は相当する構成は、同一符号を付してその詳細説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。本実施形態では、カーナビ200の代わりに、計量所に設けられたパーソナルコンピュータ(以下、計量所PC300という)に、第1実施形態の重心位置測定装置1が接続されているところが、第1実施形態と異なっている。従って、第2実施形態では、第1実施形態で説明した重心位置測定装置1に計量所PCが接続されることにより、重心位置測定装置としての重心位置測定装置システム10が構成されている。説明の便宜上、第2実施形態では、第1実施形態の重心位置測定装置1は、以下、重心位置測定部1という。
【0156】
なお、計量所PC300の制御回路310は、CPU311、ROM312、RAM313を備えるとともに、外部情報入出力装置325、キーボード330、外部記憶装置340、ディスプレイ350、プリンタ360と接続されている。
【0157】
前記外部情報入出力装置325、キーボード330、外部記憶装置340、ディスプレイ350は、第1実施形態の外部情報入出力装置225、操作スイッチ群230、外部記憶装置240、ディスプレイ250とそれぞれ同等の機能を有する。又、計量所PC300は、第1実施形態で説明した同様の接続方法により、重心位置測定部1とデータのやりとりが可能である。図2では代表的に、重心位置測定部1のI/Oインターフェイス54と、計量所PC300に設けられたI/Oインターフェイス314間は通信ケーブル215にて接続されているところを図示している。
【0158】
計量所PC300のROM312には、探索プログラムが格納されている。計量所PC300では、前記探索プログラムが起動された状態で、キーボード330の入力操作により、出発地(例えば、車両の現在地)と目的地、走行条件(短い距離優先、一般道路優先、有料道路優先、広い道路優先等)の設定が可能である。
【0159】
そして、計量所PC300のCPU311は、設定された走行条件、すなわち拘束条件に適した1つ以上の経路を、ROM312に記憶された探索プログラムに従って外部記憶装置340の道路マップから探索し、その探索結果をRAM313に記憶する。
【0160】
このRAM313に記憶した探索結果は、計量所PC300と重心位置測定部1とを通信ケーブル215により接続した状態で、重心位置測定部1の操作装置41の入力要求操作に基づき、I/Oインターフェイス314、通信ケーブル215、I/Oインターフェイス54を介してMPU49に入力される。MPU49は、入力された前記探索結果、すなわち、得られた経路におけるカーブの曲率半径Rを含む道路情報をMPU49のメモリ48に格納する。
【0161】
以降は、第1実施形態と同様にして、MPU49は、前記経路の各カーブの地点の経度、緯度、地点名称、曲率半径、横断勾配(片勾配)、及びステップU10で算出した横転限界速度を表の形式で表示できるように関連づけしてI/Oインターフェイス54、通信ケーブル215、I/Oインターフェイス314を介して計量所PC300に出力する。計量所PC300は、入力されたデータを第1実施形態と同様に、ディスプレイ350に表示出力する。或いは、キーボード330の印刷指令により、プリンタ360に印刷出力する。又、キーボード330からのDSRC無線路側装置390への出力指令により、入力されたデータを地域ITS(高度道路交通システム)の技術であるDSRC無線路側装置390に出力する。なお、DSRCは、Dedcated Short Range Communication(狭域通信)である。
【0162】
DSRC無線路側装置390は、入力したデータを、計量された車両の車載ETC380に送信する。車載ETC380は、受信したデータに基づいて、図示しない音声回路を介して、関連づけられた経路の各カーブの地点の経度、緯度、地点名称、曲率半径、横断勾配(片勾配)、及びステップU10で算出した横転限界速度を音声出力する。なお、車載ETC380に、カーナビが接続されている場合には、前記関連づけられた各データを表形式で当該カーナビのディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0163】
本実施形態では、計量所PC300のCPU311は、経路選択手段に相当する。又、第1実施形態と同様にI/Oインターフェイス54は、道路情報取得手段に相当する。MPU49は演算手段に相当する。なお、本実施形態においても、作用の説明は省略するがプリンタ39、及び表示装置42は、第1実施形態と同様に出力手段として機能する。
【0164】
本実施形態では、下記の特徴がある。
(4) 本実施形態の重心位置測定装置システム10(重心位置測定装置)は、道路情報を参照して車両の出発地から目的地までの経路を選択する計量所PC300のCPU311(経路選択手段)を備える。又、I/Oインターフェイス54(道路情報取得手段)が取得した前記道路情報は、計量所PC300のCPU311(経路選択手段)により選択して得られた経路の道路情報である。そして、MPU49(演算手段)は、現在地から目的地までの経路に出現するカーブの曲率半径に基づいて横転限界速度を演算する。そして、プリンタ39、表示装置42、I/Oインターフェイス54(出力手段)は、横転限界速度を前記車両の出発地から目的地までの経路のカーブに関連付けて出力する。
【0165】
(第2実施形態の変形態様1(請求項4の実施形態)
第2実施形態の変形態様1として、MPU49は、抽出手段として機能してもよい。
すなわち、MPU49は、I/Oインターフェイス54が計量所PC300から取得した経路から、カーブの曲率半径が横転がしやすいか否かを判定する判定値以下のものを危険箇所として抽出する。なお、判定値以下のものを危険箇所として抽出するとは、MPU49が判定値より大きなものを安全なカーブとして抽出し、残りのものを危険箇所とすることも含む趣旨である。この判定値は、曲率半径が、低速度でも横転しやすい、例えば、低速度として40km/hの場合、曲率半径は60mを判定値とする。なお、前記判定値は例であり、限定するものではない。なお、上記の例は、道路構造令によれば、第4種第3級道路では、設計速度が40km/hの場合、通常許容最小曲率半径は60mとなっている。このような場合において、低速度とは40km/h程度をいう。
【0166】
この場合、MPU49は、演算手段として、抽出された危険箇所のカーブの曲率半径に基づいて横転限界速度を演算する。このように判定値でスクリーニングされた危険箇所をとりわけて、横転限界速度を演算するようにしてもよい。出力例は、すでに説明した例と同様に行えば良い。この結果、本変形態様では、抽出された危険箇所における横転限界速度を容易に取得できる。
【0167】
(第2実施形態の変形態様2(請求項5の実施形態))
第2実施形態の変形態様2として下記のようにしてもよい。
第2実施形態において、キーボード330の入力操作により、出発地(例えば、車両の現在地)と目的地、走行条件(短い距離優先、一般道路優先、有料道路優先、広い道路優先等)の設定が可能であることから、キーボード330は、走行条件設定手段に相当する。
【0168】
計量所PC300のCPU311は経路選択手段として、外部記憶装置340の道路マップデータベースから、車両の出発地から目的地までの経路を前記走行条件を拘束条件として複数選択する。この複数選択された各経路の道路情報は、重心位置測定部1の制御装置40に前記実施形態と同様に出力される。
【0169】
重心位置測定部1のMPU49は、抽出手段として複数経路の各道路情報に基づいて、前記選択された各経路中に存在するカーブの中から、カーブの曲率半径が横転がしやすいか否かを判定する判定値以下のものを危険箇所として抽出する。前記判定値は、変形態様1と同じである。
【0170】
そして、MPU49は、優先順位付与手段として、前記抽出した危険箇所の数の多少に応じて、走行しやすい経路の優先順位を各経路に付与する。すなわち、危険箇所数が少ないほど優先順位は上位になる。この優先順位を付与した結果を、プリンタ39、表示装置42、或いは、I/Oインターフェイス54、通信ケーブル215、I/Oインターフェイス314を介して計量所PC300に出力する。計量所PC300は、優先順位が付与された各経路をディスプレイ350、プリンタ360、或いは、I/Oインターフェイス315を介してDSRC無線路側装置390に出力する。ディスプレイ350、及びプリンタ360は優先順位が付与された経路について、それぞれ印刷又は表示する。又、DSRC無線路側装置390は、車載ETC380に対して、優先順位が付与された内容の各経路の情報として送信する。車載ETC380は、受信した内容に基づいて、図示しない音声回路、或いは車載ETC380に接続されたカーナビのディスプレイに受信した内容を表示させる。なお、横転限界速度については、第2実施形態と同様に表示、印刷、及び出力されるものとする。
【0171】
この結果、本変形態様2によれば、走行条件にあった経路において、危険箇所における横転限界速度を容易に取得できるとともに、走行しやすい経路の優先順位を前記経路選択手段により選択した経路に付与されるため、優先順位が付与された経路を取得することが可能となる。
【0172】
(第2実施形態の変形態様3(請求項6の実施形態))
第2実施形態の変形態様3として下記のようにしてもよい。なお、変形態様3は、変形態様2をさらに変形したものである。
【0173】
MPU49は、抽出手段として抽出した危険箇所の数が、走行禁止判定値よりも多い経路を走行禁止経路と判定する。前記走行禁止判定値は、例えば、100以上とする。なお、前記走行禁止判定値は限定されるものではなく、出発地から目的地迄の距離に応じて可変としてもよい。例えば、距離が長いほど、走行禁止判定値の数を増加させてもよい。又、高速道路では、速度が出やすいため、一般道路よりも減らすようにしてもよい。そして、上記のように走行禁止経路と判定された経路を、又は走行禁止経路と判定されなかった非走行禁止経路を判定結果として、第2実施形態で説明した出力手段で出力するようにする。
【0174】
この結果、本実施形態によれば、判定結果が出力されるため、その判定結果に応じて経路を適切に選択することができ、運転者は、走行禁止の経路を避けることができる。
(第1、第2実施形態、及び変形態様1〜3の変形例)
次に、第1、第2実施形態、及び変形態様1〜3のさらなる変形例1〜変形例4について説明する。これらの変形例は、主に測定部20が第1実施形態、第2実施形態、変形態様と異なるが、他の異なる構成は、以下の詳細な説明で示す。
【0175】
図16には、本変形例1の測定部20の構造説明図で、平面図(a)、側面図(b)、(a)のC−C線断面図(c)および(b)のD−D線断面図(d)がそれぞれ示されている。
【0176】
また、図17には、車両の第1車軸の左右の車輪が第1の載台および第2の載台にそれぞれ載った際にそれら載台に作用する荷重の状態図、(a)および車両の重心位置を示す平面図(b)がそれぞれ示されている。
【0177】
なお、本変形例1において、すでに説明した前記実施形態等と同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略し、以下においては、代表的に第1実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
【0178】
<変形例1に係る重心位置測定装置の概略構成の説明>
図16に示される重心位置測定装置1Aは、第1の載台11Aと、第2の載台12Aと、第3の載台13Aと、設置ベース2上に設置されて第3の載台13Aを支持する第1ロードセル21A、第2ロードセル22A、第3ロードセル23Aおよび第4ロードセル24Aと、第3の載台13A上に設置されて第1の載台11Aを支持する第6ロードセル26Aと、第3の載台13A上に設置されて第2の載台12Aを支持する第7ロードセル27Aとを備えている。
【0179】
<第1〜第3の載台の説明>
第1の載台11Aは、車両3の各車軸7,8,9の左側の車輪4a,5a,6aが一つずつ載ることのできる四角形の板状部材で構成されている。
【0180】
第2の載台12Aは、車両3の各車軸7,8,9の右側の車輪4b,5b,6bが一つずつ載ることのできる四角形の板状部材で構成されている。
第3の載台13Aは、車両3の左右全ての車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bが同時に載ることのできる四角形の板状部材で構成されている。
【0181】
第1の載台11Aおよび第2の載台12Aは、第3の載台13A上において、車両3が前進走行する際の走行経路の上流側に配置され、第3の載台13Aに一体的に組み込まれている。
【0182】
<第3の載台の凹部の説明>
図17(a)に示されるように、第3の載台13Aにおける車両前進走行経路上流側端部には、第1凹部56aと、第2凹部56bと、第3凹部56cとが形成されている。
【0183】
第1凹部56aは、第1の載台11Aの表面と第3の載台13Aの表面とが面一となるように第1の載台11Aを収容可能で、その第1の載台11Aとの間に所定の隙間Sを存するように第3の載台13Aに形成された凹部である。
【0184】
第2凹部56bは、第2の載台12Aの表面と第3の載台13Aの表面とが面一となるように第2の載台12Aを収容可能で、その第2の載台12Aとの間に所定の隙間Sを存するように第3の載台13Aに形成された凹部である。
【0185】
ここで、所定の隙間Sは、車両3の各車軸7,8,9の左側の車輪4a,5a,6aが第1の載台11Aに載ったとき、第1の載台11Aが若干撓んだとしても、第1の載台11Aが第3の載台13Aに干渉しないようその大きさが定められている。また、所定の隙間Sも所定の隙間Sと同様に、第2の載台12Aが若干撓んだとしても、第2の載台12Aが第3の載台13Aに干渉しないようその大きさが定められている。
【0186】
第3凹部56cは、第6ロードセル26Aおよび第7ロードセル27Aを共に収容可能で、かつ第1の載台11Aおよび第2の載台12Aのそれぞれの表面と第3の載台13Aの表面とが面一となるようにそれら載台11A,12Aを収容可能となるように第3の載台13Aに形成された凹部である。
【0187】
<第1、第2の載台と第3の載台との結合部の説明>
第1の載台11Aは、第3の載台13Aの第1凹部56aと第3凹部56cの略左半分に亘って収容されている。この第1の載台11Aの左端部と第3の載台13Aとは、弾性支持体57によって結合されている。
【0188】
ここで、弾性支持体57は、第1の載台11Aに対し外力が作用したとき、その外力により生じた変位に比例した反力が第1の載台11Aに作用するような支持状態を保持することが可能な部材で構成されている。本変形例1では、第1の載台11Aを構成する板状部材と第3の載台13Aを構成する板状部材とを一体的に接合し、その接合部分に上凸のR面取りを施すことによって弾性支持体57を構成している。
【0189】
第2の載台12Aは、第3の載台13Aの第2凹部56bと第3凹部56cの略右半分に亘って収容されている。この第2の載台12Aの右端部と第3の載台13Aとは、やはり弾性支持体57によって結合されている。
【0190】
<第1〜第4ロードセルの配置説明>
第1ロードセル21Aは、第3の載台13Aにおける車両前進走行経路上流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。ここで、第1ロードセル21Aの中心点と弾性支持体57による第1の載台11Aの弾性支持点とは鉛直方向における位置が一致されている。
【0191】
第2ロードセル22Aは、第3の載台13Aにおける車両前進走行経路下流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。
第3ロードセル23Aは、第3の載台13Aにおける車両前進走行経路上流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。ここで、第3ロードセル23Aの中心点と弾性支持体57による第2の載台12Aの弾性支持点とは鉛直方向における位置が一致されている。
【0192】
第4ロードセル24Aは、第3の載台13Aにおける車両前進走行経路下流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
<第6、第7ロードセルの配置説明>
第6ロードセル26Aは、第3凹部56cに設置され、第1の載台11Aの右側部を下側から支持することができるように配置されている。
【0193】
第7ロードセル27Aは、第3凹部56cに設置され、第2の載台12Aの左側部を下側から支持することができるように配置されている。
<Y,Bの測定の説明>
第1の載台11Aおよび第2の載台12Aがそれぞれ第3の載台13Aと弾性支持体57を介して一体的に結合されている構造のものでは、第1車軸7のB(B)しか求めることができない。その理由は、第3の載台13A上の全ての軸重が第1ロードセル21Aおよび第3ロードセル23Aに作用するからである。
【0194】
の測定には、Bとb,b´の測定が不可欠である。
<Bの求め方の説明:図17(a)参照>
第1の載台11Aおよび第2の載台12Aに作用する荷重とロードセル21A,23A,26A,27Aからの反力に関して次式(41)(42)(43)(44)が成立する。
【0195】
=WL1/b ・・・(41)
=WR1´/b ・・・(42)
=WL1(b´+B)/b+WR1´/b ・・・(43)
=WR1(b+B)/b+WL1/b ・・・(44)
前記式(41)〜(44)より、bは次式(45)から、b´は次式(46)からそれぞれ求めることができる。
【0196】
=αbP/{P+α(P−P)} ・・・(45)
´=αbP/{P+α(P−P)} ・・・(46)
ここで、α=b/bである。
【0197】
前記式(45)(46)を次式(47)に代入することにより、Bを求めることができる。
=b−(b+b´) ・・・(47)
<Yの求め方の説明:図12,図17(a),(b)参照>
図12(a)より明らかなように、Yは次式(48)から求めることができる。
【0198】
=y−f ・・・(48)
ここでfは、近似的にfと等しいと仮定して次式(49)から求める。
f=b/2−(b+B/2)
=(b´−b)/2 ・・・(49)
図20(a)において、モーメントのつりあいから次式(50)が成立する。
【0199】
(b/2+y)P=bP12 ・・・(50)
前記式(50)からyは次式(51)のように表わすことができる。
=b(P12/P−1/2) ・・・(51)
前記式(48)(49)(51)から車両3の幅方向の重心位置Yを求めることができる。
【0200】
<重心位置測定装置の計測動作の説明>
次に、重心位置測定装置1の計測動作について、主に、図11の機能ブロック図および図18のフローチャートを用いて以下に説明する。なお、図18において記号「S」および「T」はそれぞれステップを表わす。
【0201】
<ステップS11,T11の処理内容の説明>
車両幅方向重心位置演算部50は、第1ロードセル21A、第3ロードセル23A、第6ロードセル26Aおよび第7ロードセル27Aの荷重信号を読み込み、読み込んだ荷重信号と、前記式(45)(46)(47)とに基づいて、有効トレッド幅Bを演算するとともに、前記式(45)(46)(49)とに基づいて、X軸とx軸との距離(中心線CLと中心線CLとの距離)fを演算する(S11)。
【0202】
また、車両幅方向重心位置演算部50は、第1ロードセル21A〜第4ロードセル24Aの荷重信号を読み込み、読み込んだ荷重信号と、前記式(51)に基づいて、座標系O−XYにおける車両3の幅方向の重心位置yを演算する(T11)。
【0203】
<ステップS12〜ステップS14の処理内容の説明>
車両幅方向重心位置演算部50は、ステップS11で算出されたfと、ステップT11で算出されたyと、前記式(48)とに基づいて、座標系O−XYにおける車両3の幅方向の重心位置Yを演算する(S12)。
【0204】
そして、車両幅方向重心位置演算部50は幅方向の重心位置Yを横転限界速度演算部52に出力する。
併せて、表示信号生成部53は、車両幅方向重心位置演算部50による演算結果を表示装置42に表示させる表示信号を生成し、かかる表示信号を表示装置42へ送信する(S13)。これにより、表示装置42には、車両3の幅方向の重心位置の値が表示される(S14)。
【0205】
なお、横転限界速度演算部52の演算処理は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
<ステップT11〜ステップT13の処理内容の説明>
車両全長方向重心位置演算部51は、第1ロードセル21A〜第4ロードセル24Aの荷重信号を読み込み、読み込んだ荷重信号と、前記式(6)(17)とに基づいて、車軸間距離l,lを演算するとともに、算出された車軸間距離l,lの値と、前記式(18)(20)(24)とに基づいて、座標系O−XYにおける車両3の全長方向の重心位置Xを算出する(T11)。
【0206】
そして、表示信号生成部53は、車両全長方向重心位置演算部51による演算結果を表示装置42に表示させる表示信号を生成し、かかる表示信号を表示装置42へ送信する(T12)。これにより、表示装置42には、車両3の全長方向の重心位置の値が表示される(T13)。
【0207】
<変形例1の重心位置測定装置の作用の説明>
変形例1の重心位置測定装置1Aによれば、第1実施形態の重心位置測定装置1と同様の作用を得ることができる。
【0208】
さらに、変形例1の重心位置測定装置1Aによれば、第1の載台11Aと第3の載台13Aとが弾性支持体57によって結合されるとともに、第2の載台12Aと第3の載台13Aとが弾性支持体57によって結合され、第3の載台13Aに第1の載台11Aおよび第2の載台12Aがそれぞれ一体的に組み込まれる構成が採用されているので、装置のコンパクト化を図ることができるとともに、第1実施形態の重心位置測定装置1では必要とされる第5ロードセル25および第8ロードセル28を省略することができて装置の簡略化を図ることができる。
【0209】
〔変形例2〕
図19には、変形例2に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、側面図(b)、(b)のE−E線断面図(c)および(b)のF部拡大図(d)がそれぞれ示されている。
【0210】
また、図20には、車両3が第2の載台に載った際にその載台に作用する荷重の状態図が示されている。
なお、変形例2において、前記各実施形態と同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略し、以下においては第1実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
【0211】
<変形例2に係る重心位置測定装置の概略構成の説明>
図19に示される重心位置測定装置1Bは、第1の載台11Bと、第2の載台12Bとを備えている。
【0212】
第1の載台11Bは、設置ベース2上において、トラックやトレーラ等の車両3が前進走行する際の走行経路の上流側に配置されている。
第2の載台12Bは、設置ベース2上において、第1の載台11Bに対し、車両3の前進走行経路の下流側に配置されている。
【0213】
<第1〜第3の載台の説明>
第1の載台11Bは、車両3の各車軸7,8,9の左側の車輪4a,5a,6aが一つずつ載ることのできる四角形の板状部材で構成されている。
【0214】
第2の載台12は、車両3の左右全ての車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bが同時に載ることのできる四角形の板状部材で構成されている。
<第1〜第4ロードセルの配置説明>
設置ベース2と第2の載台12Bとの間には、第1ロードセル21B、第2ロードセル22B、第3ロードセル23Bおよび第4ロードセル24Bがそれぞれ介設されている。
【0215】
第1ロードセル21Bは、第2の載台12Bにおける車両前進走行経路上流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。
第2ロードセル22Bは、第2の載台12Bにおける車両前進走行経路下流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。
【0216】
第3ロードセル23Bは、第2の載台12Bにおける車両前進走行経路上流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
第4ロードセル24Bは、第2の載台12Bにおける車両前進走行経路下流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
【0217】
<第5、第6ロードセルの配置説明>
設置ベース2と第1の載台11Bとの間には、第5ロードセル25Bおよび、第6ロードセル26Bがそれぞれ介設されている。
【0218】
第5ロードセル25Bは、第1の載台1B1の左側部を下側から支持することができるように配置されている。
第6ロードセル26Bは、第1の載台11Bの右側部を下側から支持することができるように配置されている。
【0219】
<荷重鉛直伝達機構の説明>
設置ベース2と第1の載台11Bとの間には、前述した荷重鉛直伝達機構30が介設されている。
【0220】
<Yの求め方の説明:図20(a)(b)参照>
は、前述したように、次式(61)から求めることができる。
=(W+W+W)/(W+W+W) ・・・(61)
また、図20(a)より明らかなように、eは次式(62)から求めることができる。
【0221】
=b+B/2−C ・・・(62)
は次式(63)で求めることができる。
=(P/P56)b ・・・(63)
は次式(64)で表わすことができる。
【0222】
={bLi+(b+B)WRi}/W
=b+WRi/W ・・・(64)
ところで、WおよびWLiはそれぞれ次式(65)および次式(66)で表わすことができる。
【0223】
=WLi+WRi ・・・(65)
Li=P56 ・・・(66)
前記式(65)(66)からWRiは次式(67)で求めることができる。
【0224】
Ri=W−P56 ・・・(67)
したがって、b,Cを求めることができる。そこで、Bが求められれば、前記式(62)からeを求めることができ、このeを用いて、前記式(61)からYを求めることができることになる。
【0225】
<Bの求め方の説明:図20(a),(b)参照>
第2の載台12Bにおける第i軸輪重に関するモーメントのつりあいから次式(68)(69)が成立する。
【0226】
Li+(b+B)WRi−bP34=0 ・・・(68)
Li+(b+B)(W−WLi)−bP34=0 ・・・(69)
これら式(68)(69)からBは次式(70)で示されるように求めることができる。
【0227】
=(bP34−b)/(W−WLi) ・・・(70)
ただし、
34=P34(t) (0<t<t
34=P34(t)−P34 (t<t<t
34=P34(t)−P34 (t<t<t
である。
【0228】
なお、Wは図13から、P34(t)は図20(b)より求めることができる。
<重心位置測定装置の計測動作の説明>
次に、重心位置測定装置1Bの計測動作について、主に、図11の機能ブロック図および図21のフローチャートを用いて以下に説明する。なお、図21において記号「S」および「T」はそれぞれステップを表わす。
【0229】
<ステップS21〜ステップS23の処理内容の説明>
車両幅方向重心位置演算部50は、第1ロードセル21B〜第6ロードセル26Bの荷重信号をそれぞれ読み込み、読み込んだ荷重信号と、前記式(70)とに基づいて、有効トレッド幅Bを演算するとともに、算出された有効トレッド幅Bの値と、前記式(62)からeを演算し、算出されたeに基づいて、前記式(61)から座標系O−XYにおける車両3の幅方向のYを演算する(S21)。
【0230】
そして、車両幅方向重心位置演算部50は幅方向の重心位置Yを横転限界速度演算部52に出力する。
そして、表示信号生成部53は、車両幅方向重心位置演算部50による演算結果を表示装置42に表示させる表示信号を生成し、かかる表示信号を表示装置42へ送信する(S22)。これにより、表示装置42には、車両3の幅方向の重心位置の値が表示される(S23)。
【0231】
なお、横転限界速度演算部52の演算処理は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
<ステップT21〜ステップT23の処理内容の説明>
車両全長方向重心位置演算部51は、第1ロードセル21B〜第4ロードセル24Bの荷重信号を読み込み、読み込んだ荷重信号と、前記式(6)(17)とに基づいて、車軸間距離l,lを演算するとともに、算出された車軸間距離l,lの値と、前記式(18)(20)(24)とに基づいて、座標系O−XYにおける車両3の全長方向の重心位置Xを演算する(T21)。
【0232】
そして、表示信号生成部53は、車両全長方向重心位置演算部51による演算結果を表示装置42に表示させる表示信号を生成し、かかる表示信号を表示装置42へ送信する(T22)。これにより、表示装置42には、車両3の全長方向の重心位置の値が表示される(T23)。
【0233】
<変形例2の重心位置測定装置の作用効果の説明>
変形例2の重心位置測定装置1Bによれば、簡易かつ安価な構成で車両3の平面的な重心位置G(X,Y)を測定することができ、車両3の横転防止に資する有効なデータを運転者等に提供することができる。
【0234】
〔変形例3〕
図22には、変形例3に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、側面図(b)、(a)のG−G線断面図(c)および(b)のH−H線断面図(d)がそれぞれ示されている。
【0235】
なお、変形例3において、前記各実施形態と同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略し、以下においては第1実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
【0236】
<変形例3に係る重心位置測定装置の概略構成の説明>
図22に示される重心位置測定装置1Cは、第1の載台11Cと、第2の載台12Cと、設置ベース2上に設置されて第2の載台12Cを支持する第1ロードセル21C、第2ロードセル22C、第3ロードセル23Cおよび第4ロードセル24Cと、第2の載台12C上に設置されて第1の載台11Cを支持する第6ロードセル26Cとを備えている。
【0237】
<第1,2の載台の説明>
第1の載台11Cは、車両3の各車軸7,8,9の左側の車輪4a,5a,6aが一つずつ載ることのできる四角形の板状部材で構成されている。
【0238】
第2の載台12Cは、車両3の左右全ての車輪4a,5a,6a;4b,5b,6bが同時に載ることのできる四角形の板状部材で構成されている。
第1の載台11Cは、第2の載台12C上において、車両3が前進走行する際の走行経路の上流側に配置され、第2の載台12Cに一体的に組み込まれている。
【0239】
<第2の載台の凹部の説明>
第2の載台12Cにおける車両前進走行経路上流側端部には、第1凹部58aと、第2凹部58bとが形成されている。
【0240】
第1凹部58aは、第1の載台11Cの表面と第2の載台12Cの表面とが面一となるように第1の載台11Cを収容可能で、その第1の載台11Cとの間に所定の隙間Sを存するように第2の載台12Cに形成された凹部である。
【0241】
ここで、所定の隙間Sは、車両3の各車軸7,8,9の左側の車輪4a,5a,6aが第1の載台11Cに載ったとき、第1の載台11Cが若干撓んだとしても、第1の載台11Cが第2の載台12Cに干渉しないようその大きさが定められている。
【0242】
第2凹部58bは、第6ロードセル26Cを収容可能で、かつ第1の載台11Cの表面と第2の載台12Cの表面とが面一となるようにその第1の載台11Cを収容可能となるように第2の載台12Cに形成された凹部である。
【0243】
<第1の載台と第2の載台との結合部の説明>
第1の載台11Cは、第2の載台12Cの第1凹部58aから第2凹部58bに亘って収容されている。この第1の載台11Cの左端部と第2の載台12Cとは、やはり弾性支持体57によって結合されている。
【0244】
<第1〜第4ロードセルの配置説明>
第1ロードセル21Cは、第2の載台12Cにおける車両前進走行経路上流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。ここで、第1ロードセル21Cの中心点と弾性支持体57による第1の載台11Cの弾性支持点とは鉛直方向における位置が一致されている。
【0245】
第2ロードセル22Cは、第2の載台12Cにおける車両前進走行経路下流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。
第3ロードセル23Cは、第2の載台12Cにおける車両前進走行経路上流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
【0246】
第4ロードセル24Cは、第2の載台12Cにおける車両前進走行経路下流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
<第6ロードセルの配置説明>
第6ロードセル26Cは、第2凹部58bに設置され、第1の載台11Cの右側部を下側から支持することができるように配置されている。
【0247】
<変形例3の重心位置測定装置の作用効果の説明>
変形例3の重心位置測定装置1Cによれば、変形例2の重心位置測定装置1Bと同様の作用効果を得ることができる。
【0248】
さらに、変形例1の重心位置測定装置1Cによれば、第1の載台11Cと第2の載台12Cとが弾性支持体によって結合され、第2の載台12Cに第1の載台11Cが一体的に組み込まれる構成が採用されているので、装置のコンパクト化を図ることができるとともに、変形例2の重心位置測定装置1Bでは必要とされる第5ロードセル25Bを省略することができて装置の簡略化を図ることができる。
【0249】
〔変形例4〕
図23には、本発明の変形例4に係る重心位置測定装置の構造説明図で、平面図(a)、(a)のJ−J線断面図(b)がそれぞれ示されている。
【0250】
また、図24には、車両が第1の載台および第2の載台に載った際にそれら載台に作用する荷重の状態図(a)および第1ロードセルおよび第2ロードセルの支点回りのモーメントのつりあい状態を示すスケルトン(b)がそれぞれ示されている。
【0251】
なお、変形例4において、前記各実施形態と同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略し、以下においては第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとする。
【0252】
<変形例4に係る重心位置測定装置の概略構成の説明>
図23に示される重心位置測定装置1Dは、第1の載台11Dと、第2の載台12Dとを備えている。
【0253】
第1の載台11Dおよび第2の載台12Dは、設置ベース2上において、トラックやトレーラ等の車両3が前進走行する際の走行経路に沿って互いに左右に平行に配置されている。
【0254】
<第1,2の載台の説明>
第1の載台11Dは、車両3の左側の全ての車輪4a,5a,6aが同時に載ることのできる四角形の板状部材で構成されている。
【0255】
第2の載台12Dは、車両3の右側の全ての車輪4b,5b,6bが同時に載ることのできる四角形の板状部材で構成されている。
<第1〜第4ロードセルの配置説明>
設置ベース2と第1の載台11Dとの間には、第1ロードセル21D、第2ロードセル22D、第3ロードセル23Dおよび第4ロードセル24Dがそれぞれ介設されている。
【0256】
第1ロードセル21Dは、第1の載台11Dにおける車両前進走行経路上流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。
第2ロードセル22Dは、第1の載台11Dにおける車両前進走行経路下流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。
【0257】
第3ロードセル23Dは、第1の載台11Dにおける車両前進走行経路上流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
第4ロードセル24Dは、第1の載台11Dにおける車両前進走行経路下流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
【0258】
<第5〜第8ロードセルの配置説明>
設置ベース2と第2の載台12Dとの間には、第5ロードセル25D、第6ロードセル26D、第7ロードセル27Dおよび第8ロードセル28Dがそれぞれ介設されている。
【0259】
第5ロードセル25Dは、第2の載台12Dにおける車両前進走行経路上流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。
第6ロードセル26Dは、第2の載台12Dにおける車両前進走行経路下流側の左角部を下側から支持することができるように配置されている。
【0260】
第7ロードセル27Dは、第2の載台12Dにおける車両前進走行経路上流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
第8ロードセル28Dは、第2の載台12Dにおける車両前進走行経路下流側の右角部を下側から支持することができるように配置されている。
【0261】
<Bの求め方の説明:図24参照>
は、次式(81)で表わすことができる。
=b−(b+b´) ・・・(81)
およびb´は、それぞれ次式(82)および(83)から求めることができる。
【0262】
={P34/(P12+P34)}b ・・・(82)
´={P56/(P56+P78)}b ・・・(83)
車両3のX軸のx軸からの距離fを次式(84)から求める。
【0263】
f=b/2−(b+B/2) ・・・(84)
なお、上式(84)はfをfで近似したものである。
<Yの求め方の説明:図23参照>
図24(a)より明らかなように、Yは次式(85)で表わされる。
【0264】
=b/2−(f+C) ・・・(85)
また、図24(b)に示されるように、第1ロードセル21Dおよび第2ロードセル22Dの支点回りのモーメントのつりあいから次式(86)が成立する。
【0265】
WC=b+(b−b´)W ・・・(86)
この式(86)からCは次式(87)で表わすことができる。
={b+(b−b´)W}/W ・・・(87)
ここで、b,b´,W,Wはそれぞれ次式(88),(89),(90)および(91)から求められる。
【0266】
=b34/W ・・・(88)
´=b56/W ・・・(89)
=P1234 ・・・(90)
=P5678 ・・・(91)
そして、前記式(85)に、前記式(84)から求められるfと、前記式(87)から求められるCを代入することにより、車両3の幅方向の重心位置Yを求めることができる。
【0267】
<変形例4の重心位置測定装置の作用の説明>
変形例4の重心位置測定装置1Dによっても、簡易かつ安価な構成で車両3の水平面的重心位置G(X,Y)を測定することができる。
【0268】
なお、上記各変形例は、説明の便宜上、第1実施形態の変形例として説明したが、測定部20の構成、及び、制御装置40の処理は上記変形例に記載した構成に限定されるものではない。第2実施形態、及びその変形実施形態の変形例としても成立する。また、前記各変形例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0269】
例えば、第1実施形態における荷重鉛直伝達機構30(図9(d)参照)に代えて、図25(a)(b)に示されるような荷重鉛直伝達機構60を採用してもよい。
この荷重鉛直伝達機構60は、第2の載台12と設置ベース2との間に配される第1リンク61および第2リンク62をそれぞれ備えている。
【0270】
第1リンク61の後端部は、第2の載台12の後端部の下方において設置ベース2に設けられるブラケット63に第1ピン64によって連結されている。
第1リンク61の前端部には、第2の載台12の前端部の下面に接触する第1ローラ65が第2ピン66によって前後方向に転動可能に連結されている。
【0271】
第2リンク62の後端部は、第2の載台12の後端部の下面に設けられるブラケット67に第3ピン68によって連結されている。
第2リンク62の前端部には、第2の載台12の前端部の下方において設置ベース2に接触する第2ローラ69が第4ピン70によって前後方向に転動可能に連結されている。
【0272】
第1リンク61の中央部と第2リンクの中央部とは第5ピン71によって互いに回動可能に連結されている。
これら第1リンク61、第2リンク62、第1ローラ65、第2ローラ69および各種ピン64,66,68,70,71よりなるリンク機構は、車両3の幅方向に所定の間隔を存して一対配置されており、第2ピン66と第4ピン70とによって互いのリンク機構が互いに連動するように接続されている。
【0273】
この荷重鉛直伝達機構60によっても、車両3の右側車輪4b,5b,6bから第2の載台12を介して第7ロードセル27および第6ロードセル28に作用する荷重を鉛直方向にのみ伝達させることができる。
【0274】
第1実施形態においては第1の載台11および第2の載台12に使用するロードセルの個数は各2個としたが、各載台毎に4のロードセルで受けて荷重鉛直伝達機構30を省略してもよい。
【0275】
変形例2の第1の載台11Bについても同様である。
第1実施形態においては第1の載台11および第2の載台12は第3の載台13と別に設置したが、第1の載台11と第2の載台12とを第3の載台13上に、第3の載台13の上面レベルに合わせるようにして埋め込む形で設置してもよい。
【0276】
同じように変形例2においては第1の載台11Bは第2の載台12Bと別に設置したが、第1の載台11Bを第2の載台12B上に、第2の載台12Bの上面レベルに合わせるようにして埋め込む形で設置してもよい。
【0277】
また、変形例1(図16参照)においては、第6ロードセル26Aおよび第7ロードセル27Aをそれぞれ第3の載台13A上に設置する構成のものを例示したが、これに限定されるものではなく、図26(d)に示されるように、第6ロードセル26Aおよび第7ロードセル27Aをそれぞれ設置ベース2上に設置する構成を採用してもよい。かかる構成を備える重心位置測定装置1A´によっても、変形例1の重心位置測定装置1Aと同様の作用効果を得ることができる。
【0278】
また、変形例1における弾性支持体57(図17(a)参照)に代えて、図27に示されるようなヒンジ支持体80を採用してもよい。
このヒンジ支持体80は、第1の載台11Aの左端部に対応させるように第3の載台13Aに設けられるブラケット81と、このブラケット81と第1の載台11Aの左端部とを連結するピン82と備えて構成され、車両3の左側車輪4a,5a,6aから第1の載台11Aを介して第6ロードセル26Aに作用する荷重を鉛直方向にのみ伝達させることができるようになっている。
【0279】
なお、第1ロードセル21Aの中心点とヒンジ支持体80の回転支点であるピン82とは鉛直方向における位置が一致されているのは言うまでもない。
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態を図28、図30〜39を参照して説明する。なお、本実施形態において、カーナビ200については、同一構成のため、同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0280】
第3実施形態の重心位置測定装置101は、図28に示すように、測定部138、制御装置140、制御装置140に接続された操作装置141、プリンタ139及び表示装置142を備える。プリンタ139及び表示装置142は出力手段に相当する。操作装置141、プリンタ139及び表示装置142は、第1実施形態の操作装置41、プリンタ39及び表示装置42と同一であるため、説明を省略する。
【0281】
制御装置140は、図28に示すように重心高さ演算部151,平面的重心座標演算部150、及び横転限界速度演算部152を備えている。
第1実施形態では、重心高さは、操作装置で入力したり、予め設定された値としてのメモリ48に記憶するようにしていたが、第3実施形態では、平面的重心座標と重心高さを計測することに特徴がある。
【0282】
すなわち、測定部138で車両の重量等を測定した結果に基づいて重心高さ演算部151により、重心高さhを演算するとともに、平面的重心座標演算部150で平面的重心座標を演算する。そして、横転限界速度演算部152では、第1実施形態の横転限界速度演算部52と同様に、重心高さh及び重心偏差f(車両中心線に沿ったx軸とyの差)に基づいて式(A4)に基づいて横転限界速度Vを算出するものである。
【0283】
そして、横転限界速度演算部152の構成及び処理、並びに横転限界速度V等の演算結果をプリンタ139、表示装置142に対して出力すること、及びカーナビ200に対して出力する態様は、同じである。
【0284】
従って、以下では、第1実施形態の重心位置測定装置1と構成、作用が異なる測定部138、制御装置140の平面的重心座標演算部150、重心高さ演算部151を中心に説明する。
【0285】
<重心位置測定装置101の概略構成の説明>
図30および図31に示されるように、重心位置測定装置101の測定部138は、設置ベース102上に組み付けられた計量台103を備えている。計量台103は、重心高さの測定の対象である測定対象物104(本例では、貨物トラック)が載ることのできる四角形の板状部材からなる載台105と、この載台105の四隅を下方から支持する4個のロードセル111,112,113,114とにより構成されている。
【0286】
重心位置測定装置101は、貨物トラック(測定対象物104)の重量を測定する装置(トラックスケール)と、貨物トラック(測定対象物104)の重心高さを測定する装置とを兼ねるものである。
【0287】
なお、設置ベース102としては、例えば地表面を掘り下げて形成されるピットや、地表面上に敷設される床部材などが挙げられる。また、測定対象物104としては、コンテナ貨物等の荷物を積んだ貨物トラック以外に、コンテナ貨物単体など荷物だけの場合もあり得る。
【0288】
<ロードセルの基本構造の説明>
図32に示されるように、ロードセル111〜114は、ダブルコンベックス・ローディング方式のコラム型ロードセルであり、弾性体115と、密封ケーシング116とを備えている。
【0289】
弾性体115は、例えばアルミニウム合金やステンレス等の金属製で略円柱形状に形成され、その軸線を鉛直方向に向けて起立配置されている。
弾性体115は、軸線方向中央部に形成される起歪部117と、上端に形成される上側凸面118と、下端に形成される下側凸面119とを有している。上側凸面118および下側凸面119はいずれも、所定の曲率半径Rの部分球面形状に形成されている。
【0290】
弾性体115は、起歪部117が密封ケーシング116内に気密に収められ、上端部および下端部がそれぞれ密封ケーシング116から露出させた状態で密封ケーシング116に組み込まれている。
【0291】
<ロードセルの上側受け部材および下側受け部材の説明>
弾性体115の上端部と載台105との間には、上側受け部材120が介在されている。上側受け部材120は、水平座面121を有し、この水平座面121を弾性体115の上側凸面118に接触させた状態で載台105に固定されている。
【0292】
弾性体115の下端部と設置ベース102との間には、下側受け部材122が介在されている。下側受け部材122は、水平座面123を有し、この水平座面123を弾性体115の下側凸面119に接触させた状態で設置ベース102に固定されている。
【0293】
<復元力発生機構の基本構成の説明>
復元力発生機構は、弾性体115の上側凸面118および上側受け部材120の水平座面121と、弾性体115の下側凸面119および下側受け部材122の水平座面123とにより構成されている。復元力発生機構は、載台105の水平方向の変位yに対して復元力Fを発生する。この復元力Fについて、図33を用いて以下に説明する。
【0294】
<復元力の発生の理論説明>
図33には、載台105の水平方向の変位yに伴ってロードセル111〜114の弾性体115が垂直状態から横方向にyだけ移動してθだけ傾斜した状態が示されている。図中記号を以下のように定める。
【0295】
:弾性体115の上部の移動量
S:弾性体115の上部と下部の接触点長さ
H:弾性体115の高さ(ロードセル111〜114の高さ)
A:上側凸面118の曲率半径(=R)
B:下側凸面119の曲率半径(=R)
N:弾性体115に作用する垂直荷重
θ:弾性体115の傾斜角
<復元力の発生の理論説明>
図33において、弾性体115の傾斜角θの値が微小であるならば、次式(92)が成立する。
【0296】
tanθ≒y/H ・・・(92)
また、弾性体115の上部と下部の接触点長さSは、次式(93)で表わすことができる。
【0297】
S≒A・tanθ+(B−H)tanθ
=(A+B−H)・y/H ・・・(93)
そして、垂直荷重Nと復元力Fとの比Kは、次式(94)で表わすことができる。
【0298】
K=F/N≒S/H=(A+B−H)・y/H ・・・(94)
上記式(94)より復元力Fは、次式(95)で表わすことができる。
F=N・(A+B−H)・y/H ・・・(95)
<自由振動の初期条件を与えるアクチュエータの説明>
図31に示されるように、載台105におけるロードセル113,114が設置されている側の近傍には、油圧シリンダ124が配置されている。油圧シリンダ124は、伸長作動時にピストンロッド25で載台105の側面を押して、載台105に対し水平方向の力を加えることにより、載台105に水平方向の変位と速度を与えることができようになっている。油圧シリンダ124は、載台105に対し自由振動の初期条件を与えるアクチュエータとして機能する。なお、油圧シリンダ124に代えて、例えば空圧シリンダや磁性流体シリンダなどを用いることもできる。
【0299】
ここで、「初期条件」とは、「初期変位」と「初期速度」とを含む概念であり、これらを総称するものである。
<油圧シリンダの油圧回路の説明>
油圧シリンダ124は、電磁弁126を介して油圧ポンプ127に接続されている。油圧ポンプ127が電動モータ128の作動によって駆動されると、油圧ポンプ127からの圧油が電磁弁126の切換動作に応じて油圧シリンダ124のヘッド側油室またはボトム側油室に供給されるようになっている。
【0300】
<油圧シリンダの作動説明>
油圧シリンダ124の伸長指令を示すバルブ切換信号が後述する制御装置140から電磁弁126に送信されると、電磁弁126はそのバルブ切換信号に応じて次のような油路切換動作を実行する。すなわち、電磁弁126は、油圧ポンプ127からの圧油を油圧シリンダ124のボトム側油室に供給すると同時に、油圧シリンダ124のヘッド側油室の内部の油をタンク129に還流させるような油路の切り換えを行う。これにより、油圧シリンダ124が伸長作動され、載台105の側面がピストンロッド125に押されて載台105に水平方向の変位と速度が与えられる。
【0301】
これに対し、油圧シリンダ124の収縮指令を示すバルブ切換信号が後述する制御装置140から電磁弁126に送信されると、電磁弁126はそのバルブ切換信号に応じて次のような油路切換動作を実行する。すなわち、電磁弁126は、油圧ポンプ127からの圧油を油圧シリンダ124のヘッド側油室に供給すると同時に、油圧シリンダ124のボトム側油室の内部の油をタンク129に還流させるような油路の切り換えを行う。これにより、油圧シリンダ124が収縮作動され、載台105とピストンロッド125との接触が解除される。
【0302】
<載台の自由振動の説明>
載台105を水平方向(y方向)に自由振動させるために、まず油圧シリンダ124の伸長・収縮動作により、載台105に初期条件(初期変位と初期速度)を与える。載台105には、水平方向の変位に対する復元力発生機構からの復元力Fが作用する。こうして、載台105の水平方向の変位に対して復元力Fを作用させることで、載台105を水平方向に自由振動させることができる。
【0303】
<変位センサの説明>
載台105におけるロードセル111,112が設置されている側の近傍には、油圧シリンダ124と対向するように変位センサ130が配置されている。変位センサ130は、自由振動状態にある載台105の変位を検出する変位検出手段として機能する。なお、変位センサ130としては、種々の方式のものを採用することができ、例えば光学式変位センサ、渦電流式変位センサ、差動変圧式変位センサなどが挙げられる。
【0304】
<加速度センサの説明>
載台105におけるロードセル111,112が設置されている側の近傍には、油圧シリンダ124と対向するように加速度センサ131が配置されている。加速度センサ131は、自由振動状態にある載台105の加速度を検出する加速度検出手段として機能する。なお、加速度センサ131としては、種々の方式のものを採用することができ、例えば静電容量形加速度センサや、金属ひずみゲージ式加速度センサ、半導体ひずみゲージ式加速度センサ、圧電式加速度センサなどが挙げられる。
【0305】
<重心位置測定装置101の制御系のシステム構成の説明>
図34に示されるように、重心位置測定装置101は、制御装置140と、操作装置141と、表示装置142とを備えている。
【0306】
<制御装置の概略説明>
制御装置140は、主として、増幅器143と、ローパスフィルタ144と、マルチプレクサ145と、A/D変換器146と、I/O回路147と、メモリ148と、マイクロプロセッサ(MPU)149とにより構成されている。
【0307】
増幅器143は、送り込まれる信号をA/D変換可能な大きさに増幅して送り出す機能を有している。
ローパスフィルタ144は、低域周波数のみを信号として通過させる機能を有している。
【0308】
マルチプレクサ145は、送り込まれる複数の信号を選択制御信号の指令に基づいて選択的に送り出す機能を有している。
A/D変換器146は、マルチプレクサ145からのアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有している。
【0309】
I/O回路147は、A/D変換器146と、操作装置141と、表示装置142と、メモリ148と、MPU149との間で各種の信号やデータの受け渡しを行う機能を有している。
【0310】
メモリ148は、PROMやRAMなどで構成され、所定プログラムや基本データなどを長期的に記憶したり、種々のデータや演算用数値などを一時的に記憶したりする機能を有している。
【0311】
MPU149は、メモリ148に格納されている所定プログラムの指示に従って、必要な信号をI/O回路147を介して受け取り、また必要なデータをメモリ148から受け取り、受け取った信号やデータに基づいて演算を実行する機能を有している。
【0312】
<操作装置の概略説明>
操作装置141は、操作スイッチや数値キーなどを備えてなり、測定開始・終了の動作や零点調整動作、使用モードの切り換え動作、数値設定動作などの種々の動作の際に用いられる。
【0313】
<表示装置の概略説明>
表示装置142は、例えば液晶ディスプレイからなり、測定結果や各種データの入出力画面などが表示される。
【0314】
<重心位置測定装置101の制御系システムの処理動作の概略説明>
重心位置測定装置101の制御系システムにおいては、ロードセル111〜114、変位センサ130および加速度センサ131のそれぞれの信号は、増幅器143、ローパスフィルタ144、マルチプレクサ145、A/D変換器146およびI/O回路147を経由してMPU149に送られる。MPU149は、メモリ148に格納されている所定プログラムに従って、I/O回路147からの信号を取り込み、またメモリ148に記憶されている種々のデータを読み込み、これらの信号やデータに基づいて測定対象物104の平面的重心座標の演算や重心高さの演算を実行する。そして、その演算結果は表示装置142に表示される。
【0315】
<制御装置の機能説明>
制御装置140においては、所定プログラムがMPU149で実行されることにより、図35に示される平面的重心座標演算部150および重心高さ演算部151のそれぞれの機能が実現される。
【0316】
<重心Gの平面座標(x,y)の求め方の理論説明>
次に、図36および図37を用いて、測定対象物104の平面的重心座標、すなわち載台105に載せられた測定対象物104の重心Gを水平面(O−xy平面)に射影したときのその面上における重心Gの座標(x,y)の求め方について説明する。
【0317】
なお、理論説明の簡単化のために、載台105は密度が一定の直方体と仮定する。座標系0〜xyzの原点は載台105の中央にとる。ロードセル111〜114のそれぞれの出力は無負荷時において零に調整されているものとする。図36および図37中の記号および理論式で用いる記号の意味を下記のとおり定義する。
【0318】
G:測定対象物104の重心
:載台105の重心
a:ロードセル111(113)とロードセル112(114)との間の距離
b:ロードセル111(112)とロードセル113(114)との間の距離
c:載台105の高さ
H:ロードセル111〜114の高さ(弾性体115の高さ)
:各ロードセル111〜114に作用する静荷重(i=1,2,3,4)
W:測定対象物104の自重(=W+W+W+W
12:W+W
24:W+W
なお、上記記号のうち、a,b,c,H,Rは既知の値であり、これらの値は予めメモリ148に記憶される。
【0319】
<重心Gの平面座標(x,y)の求め方の理論説明>
モーメントのつりあい条件として次式(96),(97)が成り立つ。
24a−W・(a/2+x)=0 ・・・(96)
12b−W・(b/2+y)=0 ・・・(97)
上記式(96),(97)より次式(98),(99)が得られる。
【0320】
=a・(W24/W−1/2) ・・・(98)
=b・(W12/W−1/2) ・・・(99)
よって、W24,W12およびWの測定値を上記式(98),(99)に代入して計算することにより、重心Gの平面座標(x,y)を求めることができる。
【0321】
<測定対象物の重心高さhの求め方の理論説明>
次に、測定対象物104の重心高さhの求め方について、主に図37を用いて以下に説明する。以下の理論説明では、測定対象物104が載せられた載台105が自由振動状態にあることが前提となる。油圧シリンダ124にて自由振動の初期条件を与えるとともに、復元力発生機構からの復元力Fを作用させることにより、測定対象物104が載せられた載台105を水平方向(y方向)に自由振動させる。なお、図37では、静止時における測定対象物104の重心Gのy座標yをdで表わしている。また、0−yz座標系は空間に固定した座標系とする。
【0322】
<測定対象物の重心高さhの求め方の理論説明>
ここで、以下の説明で用いる新しい記号を定義しておく。
【外1】
【0323】

【0324】
なお、上記記号のうち、m,eは既知の値であり、これらの値は予めメモリ148に記憶される。
【0325】
<測定対象物の重心高さhの求め方の理論説明>
測定対象物104が剛体であるならば、測定対象物104の重心Gと載台105の重心GとのZ方向の相対変位は零である。測定対象物104が非剛体の場合、その相対変位は零ではないが、その量は微小である。よって、その相対変位の量は以下の運動方程式において無視することとする。すなわち、Z(t)=Z(t)とおく。このとき、系の運動方程式は次式(100),(101)で表わされる。
【外2】
【0326】

【0327】
上記式(100),(101)は、測定対象物104が剛体であるか否かとは関係なく成立する。
【0328】
また、転倒モーメントのつりあい条件として次式(102)を得る。
<測定対象物の重心高さhの求め方の理論説明>
<式(102)>
【0329】
【数4】

ここに、δは、重心Gの重心Gに対するy方向の相対変位である。δは(b/2−d)に比較して微小であるから以下の式変形においては無視する。
【0330】
<測定対象物の重心高さhの求め方の理論説明>
【外3】
【0331】

【0332】
<測定対象物の重心高さhの求め方の理論説明>
<式(103)>
【0333】
【数5】

上記式(103)より、測定対象物104の重心高さhを求める次式(104)が得られる。
【0334】
<測定対象物の重心高さhの求め方の理論説明>
<式(104)>
【0335】
【数6】

<測定対象物の重心高さhの求め方の理論説明>
前述した復元力Fを求める式(95)において、弾性体115に作用する垂直荷重NはMg(g:重力加速度)、弾性体115の上側凸面118および下側凸面119の曲率半径A,Bはいずれも所定半径Rであるから、ロードセル111〜114によって支持される載台105の復元力Fは、次式(105)で表わすことができる。
【0336】
<測定対象物の重心高さhの求め方の理論説明>
<式(105)>
【0337】
【数7】

上記式(105)を上記式(104)に代入してhを書き直すと次式(106)となる。
【0338】
<測定対象物の重心高さhの求め方の理論説明>
<式(106)(107)>
【0339】
【数8】

ただし、kは次式(107)で表わされるものである。
【0340】
【数9】

【外4】
【0341】

【0342】
<測定対象物の重心高さhの求め方の理論説明>
【外5】
【0343】

【0344】
ここで、「剛体」とは、外力による変形が全く生じない「完全剛体」と、外力による変形が若干生じてもその変形による重心高さ測定上の影響が極めて少なくて完全剛体と見なしても何ら支障がない「見なし剛体」とを包含するものである。また、「非剛体」とは、外力による変形が生じてその変形の影響が重心高さ測定上無視できない物体を総称して表現したものである。
【0345】
<測定対象物の重心高さhの求め方の理論説明>
<式(108),式(108)´>
【0346】
【数10】

【0347】
【数11】

【外6】
【0348】

【0349】
<ロードセルで検出される荷重信号の補正の説明>
ところで、載台105の水平方向の自由振動に伴って、ロードセル111〜114は回転振動となる。これにより、ロードセル111〜114の軸方向に作用する荷重は、回転角θの関数となる。今、ロードセル111〜114で検出される荷重W´(t)が上記の軸方向荷重であると仮定する。
【0350】
このとき、W´(t)は次式(109)で表わすことができる。
【0351】
【数12】

ただし、Fi(t)およびθはそれぞれ次式(110)および式(111)で表わされる。
【0352】
【数13】

【0353】
【数14】

ここに、F(t)は、各ロードセル111〜114に生じる復元力Fの符号を逆にしたものである。
【0354】
上記式(109)により次式(112)が得られる。
【0355】
【数15】

式(112)によりW(t)がW´(t)とy(t)から求まることがわかる。
【0356】
なお、傾斜補正の成されたデジタルロードセルを用いる場合は、その出力はW(t)であるから、上述の補正は不要となる。
<重心位置測定装置101の計測動作の説明>
以上に述べたように構成される重心位置測定装置101の計測動作について、主に、図35の機能ブロック図、図38のフローチャートおよび図39のタイムチャートを用いて以下に説明する。なお、図38において記号「S」はステップを表わす。
【0357】
以下の計測動作説明は、測定対象物104が荷物を載せた車両(貨物トラック)である場合の例である。
<ステップS31〜S34の処理内容の説明>
載台105に進入した貨物トラックが停止するまで待機する(S31)。
【0358】
貨物トラックが停止した時刻tから微小時間Δtだけ経過した時刻(t+Δt)以降において、平面的重心演算部150は、ロードセル111〜114からの静荷重信号W(i=1,2,3,4)を読み込むとともに、読み込んだ静荷重信号Wから測定対象物104の質量(重量)を求める(S32)。
【0359】
また、平面的重心演算部150は、次式(107)に基づいてkを演算する(S33)とともに、次式(98),(99)に基づいて測定対象物104の重心Gの平面座標(x,y)を算出する(S34)。
【0360】
【数16】

=a・(W24/W−1/2) ・・・(98)
=b・(W12/W−1/2) ・・・(99)
<ステップS35の処理内容の説明>
時刻tにおいて、制御装置140は、油圧シリンダ124の伸長作動を示すバルブ切換信号を電磁弁126に送信する。これにより、油圧シリンダ124が伸長作動され、載台105の側面がピストンロッド125に押されて載台105に水平方向の変位と速度が与えられる。その後、あらかじめ定められた変位において、制御装置140は、油圧シリンダ124の収縮作動を示すバルブ切換信号を電磁弁126に送信する。これにより、油圧シリンダ124が収縮作動され、載台105とピストンロッド125との接触が解除され、載台105に自由振動の初期条件が与えられる。そして、載台105には水平方向の変位に対する復元力発生機構からの復元力Fが作用するため、載台105は水平方向(y方向)に自由振動する。
【0361】
<ステップS36,S37の処理内容の説明>
【外7】
【0362】

【0363】
<ステップS38の処理内容の説明>
載台105が静止した時刻t以降から時刻tの間において、重心高さ演算部151は、ステップS32で取得した静荷重信号WとステップS36で収得した動荷重信号W(t)とに基づいてΔW(t)およびΔW34(t)をそれぞれ演算する。
【0364】
<ステップS39の処理内容の説明>
<式(106)>
時刻t以降から時刻tの間において、重心高さ演算部151は、次式(106)に基づいて測定対象物104の重心Gの重心高さhを演算する。なお、hの測定値は、あらかじめ定めた時間区間内の各サンプリング時刻において式(106)で計算されたhの平均値とする。
【0365】
【数17】

<ステップS40の処理内容の説明>
そして、制御装置140は、ステップS39の演算の結果得られた重心高さhの値を表示させる表示信号を表示装置142に送信する。これにより、ステップS39の演算で求められた重心高さhの値が表示装置142に表示される。
【0366】
<第3実施形態の重心位置測定装置101の作用の説明>
第3実施形態の重心位置測定装置101によれば、貨物トラック(測定対象物104)が載せられた載台105を水平方向に自由振動させることにより、貨物トラックの重心高さを求める上で必要とされる載台105の水平方向の変位と加速度とが得られるので、貨物トラックの重心高さを定位置で測定することができる。
【0367】
〔第3実施形態の変形態様〕
次に、第3実施形態の変形態様に係る重心位置測定装置101Aについて図40〜図43を用いて説明する。なお、第3実施形態の変形態様の重心位置測定装置101Aにおいて、第3実施形態の重心位置測定装置101と同一または同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては、第3実施形態の重心位置測定装置101と異なる点を中心に説明することとする。
【0368】
<第3実施形態の重心位置測定装置101と異なる点の概略説明>
第3実施形態の変形態様の重心位置測定装置101Aにおいては、第3実施形態の重心位置測定装置101において設けられている油圧シリンダ124に代えて、図40(a)に示されるように、載台105と設置ベース102とを連結する所要のリンク155が設けられている。
【0369】
<リンクの配置とそのリンクによる載台の変位の拘束の説明>
<式(113)>
リンク155は、図40(b)に示されるように、x座標軸に対しθの傾きを持って配置されている。このリンク155により、載台105のx方向とy方向の変位x,yは、次式(113)で示されるような関係に拘束される。
【0370】
=αx,α=1/tanθ(既知) ・・・(113)
<載台の自由振動の説明>
リンク155は、x軸の正方向に走行している貨物トラック(測定対象物104)が載台105に進入し程なくして停止する際に、その貨物トラックから受ける力を利用して載台105の自由振動の方向を、リンク155と直角を成す水平方向(特定方向u)に拘束する(図40(b)参照)。載台105には、u方向変位に対する復元力発生機構からの復元力Fが作用する。こうして、載台105の水平方向(u方向)の変位に対して復元力Fを作用させることで、載台105を水平方向(u方向)に自由振動させることができる。
【0371】
<測定対象物の重心高さhの求め方の理論説明>
<式(114)>
載台105の自由振動が水平方向(u方向)に拘束されているとき、y方向の振動成分によりロードセル111〜114に作用する力を、添字yを付してΔW(t)(=ΔW1y(t)+・・・+ΔW4y(t)),ΔW34y(t)(=ΔW3y(t)+ΔW4y(t))と書く。このとき、重心高さhの理論式は、次式(114)で表わされる。
【0372】
【数18】

上記式(114)において、ΔW(t),ΔW34y(t)は、ロードセル111〜114に生じた荷重変化であるが、自由振動はx方向へも生じているから、ロードセル111〜114で検出される変化量ΔW(t),ΔW34(t)とは異なる。
【0373】
以下では、ΔW(t)およびΔW34y(t)がそれぞれΔW(t)およびΔW34(t)によって求めることができることを示す。なお、添字xを付す記号はx方向の振動成分によりロードセル111〜114に作用する力を表わすものとする。
【0374】
<ΔW(t)の求め方の理論説明>
ΔW(t)は、ΔW(t)(=ΣΔW(t))を用いて表わすことができる。
すなわち、
【外8】
【0375】

【0376】
であり、
ΔW(t)=ΔW(t)+ΔW(t)=(1+1/α)・ΔW(t)
であるから、ΔW(t)は次式(115)で表わすことができる。
【0377】
ΔW(t)=α・ΔW(t)/(1+α) ・・・(115)
また、ΔW(t)は次式(116)で表わすことができる。
ΔW(t)=ΔW(t)/(1+α) ・・・(116)
<ΔW34y(t)の求め方の理論説明>
ΔW34y(t)は、ΔW34(t)とΔW(t)を用いて表わすことができる。
【0378】
すなわち、
ΔW34(t)=ΔW34x(t)+ΔW34y(t)
であるから、ΔW34y(t)は次式(117)で表わすことができる。
【0379】
ΔW34y(t)=ΔW34(t)−ΔW34x(t)
≒ΔW34(t)−ΔW(t)/2 (∵b/2>>d)
=ΔW34(t)−ΔW(t)/2(1+α) ・・・(117)
<重心位置測定装置101Aの計測動作の説明>
次に、第3実施形態の変形態様の重心位置測定装置101Aの計測動作について、主に、図41の機能ブロック図、図42のフローチャートおよび図43のタイムチャートを用いて以下に説明する。なお、図42において記号「T」はステップを表わす。
【0380】
以下の計測動作説明は、測定対象物104が荷物を載せた車両(貨物トラック)であり、x軸の正方向に走行している貨物トラックが載台105に進入・停止する際にその貨物トラックの重心高さを測定する場合の例である。
【0381】
<ステップT1の処理内容の説明>
載台105に進入した貨物トラックが停止するまで待機する(T1)。
このとき、リンク155は、貨物トラックが載台105に進入・停止する際にその貨物トラックから受ける力を利用して載台105に対し自由振動を特定方向(u方向)に与える。そして、載台105にはu方向変位に対する復元力発生機構からの復元力Fが作用するため、載台105はu方向に自由振動する。
【0382】
<ステップT2,T3の処理内容の説明>
【外9】
【0383】

【0384】
<ステップT4〜T6の処理内容の説明>
載台105が自由振動状態から静止状態に移行した時刻t以降から時刻tにおいて、平面的重心演算部150は、ロードセル111〜114からの静荷重信号Wを読み込むとともに、読み込んだ静荷重信号Wから測定対象物104の質量(重量)を求める(T4)。
【0385】
また、平面的重心演算部150は、次式(107)に基づいてkを演算する(T5)とともに、次式(98),(99)に基づいて測定対象物104の重心Gの平面座標(x,y)を算出する(T6)。
【0386】
【数19】

=a・(W24/W−1/2) ・・・(98)
=b・(W12/W−1/2) ・・・(99)
<ステップT7の処理内容の説明>
時刻tから時刻tの間において、重心高さ演算部151は、ステップT4で取得した静荷重信号Wと、メモリ148に記憶されている動荷重信号W(t)とに基づいてΔW(t)およびΔW34(t)をそれぞれ演算する。
【0387】
<ステップT8の処理内容の説明>
時刻tから時刻tの間において、重心高さ演算部151は、次式(114),(115),(117)に基づいて測定対象物104の重心Gの重心高さhを演算する。
【0388】
【数20】

ΔW(t)=α・ΔW(t)/(1+α) ・・・(115)
ΔW34y(t)=ΔW34(t)−ΔW(t)/2(1+α) ・・・(117)
<ステップT9の処理内容の説明>
そして、制御装置140は、ステップT8の演算の結果得られた重心高さhの値を表示させる表示信号を表示装置142に送信する。これにより、ステップT8の演算で求められた重心高さhの値が表示装置142に表示される。
【0389】
<第3実施形態の変形態様の重心位置測定装置101Aの作用効果の説明>
第3実施形態の変形態様の重心位置測定装置101Aによれば、第3実施形態の重心位置測定装置101と同様の作用効果を得ることができるのは言うまでもない。さらに、第3実施形態の変形態様の重心位置測定装置101Aによれば、貨物トラックが載台105に進入・停止する際に載台105が貨物トラックから受ける力を利用して載台105をリンク155にてu方向に自由振動させるようにされているので、第3実施形態の重心位置測定装置101において必要とされる油圧シリンダ124や電磁弁126、油圧ポンプ127、これらを繋ぐ油圧配管、電動モータ128などを省略することができ、装置構成の簡素化を図ることができる。
【0390】
第3実施形態、及び第3実施形態の変形態様について説明したが、第3実施形態の変形態様は上記に記載した構成に限定されるものではなく、各実施形態に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0391】
<構成変更例の概要説明>
上記第3実施形態、変形態様では、図32に示されるように、ダブルコンベックス・ローディング方式のコラム型のロードセル111〜114とそのロードセル111〜114の上側受け部材120および下側受け部材122によって載台105を支持する構造を採用したが、これに限定されるものではなく、図44に示されるような載台支持構造を採用してもよい。
【0392】
<載台支持構造の他の態様例(1)の説明>
図44に示される載台支持構造は、載台105から垂設される一対の脚部材161,161と、一対の脚部材161,161の間に位置するように設置ベース102上に立設される一対の支柱部材162,162と、一対の支柱部材162,162の上端部同士を繋ぐ軸形ロードセル163と、一対の脚部材161,161の下端部同士を繋ぐ下部ピン164と、軸形ロードセル163と下部ピン164とに掛け渡される吊り環部材165とを備えて構成されている。
【0393】
軸形ロードセル163は、その軸線方向中央部に、全周に亘って所定の曲率半径で窪んだ窪み部166を有している。この窪み部166に吊り環部材165の上部が掛け止められている。また、下部ピン164も同様に、その軸線方向中央部に、全周に亘って所定の曲率半径で窪んだ窪み部167を有している。この窪み部167に吊り環部材165の下部が掛け止められている。
【0394】
この載台支持構造においては、軸形ロードセル163の軸線回りの振り子の作用により、載台105の前後方向(軸形ロードセル163の軸線と直交する水平方向)の変位に対する復元力が作用する。また、軸形ロードセル163の窪み部166に吊り環部材165の上部が掛け止められているので、吊り環部材165が軸形ロードセル163の軸線方向に移動した際に、吊り環部材165を窪み部166の最低部へと戻す揺り戻し力が作用する。この揺り戻し力の作用により、載台105の左右方向(軸形ロードセル163の軸線方向)の変位に対する復元力が作用する。
【0395】
<載台支持構造の他の態様例(2)の説明>
また、図44に示される載台支持構造に代えて、図45に示される載台支持構造を採用することもできる。
【0396】
図45に示される載台支持構造においては、載台105から垂設される一対の脚部材161,161と、一対の脚部材161,161の間に位置するように設置ベース102上に立設される一対の支柱部材162,162と、一対の支柱部材162,162の上端部同士を繋ぐ上部ピン168と、一対の脚部材161,161の下端部同士を繋ぐ下部ピン164と、上部ピン168と下部ピン164とに掛け渡される吊り環部材169とを備えて構成されている。
【0397】
上部ピン168は、その軸線方向中央部に、全周に亘って所定の曲率半径で窪んだ窪み部170を有している。この窪み部170に吊り環部材169の上部が掛け止められている。
【0398】
吊り環部材169の上下方向中央部には、引張形ロードセル171が介設されている。
この載台支持構造においては、上部ピン168の軸線回りの振り子の作用により、載台105の前後方向(上部ピン168の軸線と直交する水平方向)の変位に対する復元力が作用する。また、上部ピン168の窪み部170に吊り環部材169の上部が掛け止められているので、吊り環部材169が上部ピン168の軸線方向に移動した際に、吊り環部材169を窪み部170の最低部へと戻す揺り戻し力が作用する。この揺り戻し力の作用により、載台105の左右方向(上部ピン168の軸線方向)の変位に対する復元力が作用する。
【0399】
<載台支持構造の他の態様例(3)の説明>
また、図44に示される載台支持構造に代えて、図46に示される載台支持構造を採用することもできる。
【0400】
図46に示される載台支持構造においては、載台105の下面に固定される上側受け部材181と、設置ベース102上に固定される下側受け部材182と、下側受け部材182上に設置されるロードセル183と、ロードセル183と上側受け部材181との間に配設される鋼球184とを備えて構成されている。
【0401】
上側受け部材181には、鋼球184との間に介在される上側受け座185が形成されている。上側受け座185は、鋼球184の球面84aと接触される凹座面186を有している。
【0402】
ロードセル183には、鋼球184との間に介在される下側受け座187が形成されている。下側受け座187は、鋼球184の球面84aと接触される凹座面188を有している。
【0403】
凹座面186,88の曲率半径は、鋼球184の球面184aの曲率半径よりも大きく設定されている。
復元力発生機構は、鋼球184の球面184aおよび上側受け座185の凹座面186と、鋼球184の球面184aおよび下側受け座187の凹座面188とにより構成され、載台105の水平方向の変位に対して復元力を発生する。
【0404】
<用語の説明>
油圧シリンダ124が「アクチュエータ」に相当する。
変位センサ130および加速度センサ131を含む構成は「振動状態量検出手段」に相当する。
【0405】
弾性体115の上側凸面118および上側受け部材120の水平座面121と、弾性体115の下側凸面119および下側受け部材122の水平座面123とを含む構成は「復元力発生機構」に相当する。
【0406】
脚部材161と、支柱部材162と、軸形ロードセル163と、下部ピン164と、吊り環部材165とを含む構成は「復元力発生機構」に相当する。
脚部材161と、支柱部材162と、上部ピン168と、下部ピン164と、吊り環部材169とを含む構成は「復元力発生機構」に相当する。
【0407】
鋼球184の球面184aおよび上側受け座185の凹座面186と、鋼球184の球面184aおよび下側受け座187の凹座面188とを含む構成は「復元力発生機構」に相当する。
【0408】
<加速度検出手段の別態様例の説明>
上記第3実施形態等においては、自由振動状態にある載台105の加速度を検出する加速度検出手段として、加速度センサ131を用いる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、重心高さ演算部151は、変位センサ130の検出信号に基づいて2回微分演算を実行することで、載台105の加速度を求めることができる。この場合、加速度センサ131は不要になる。なお、上記微分演算を重心高さ演算部151に実行させるのではなく、別途に加速度演算部を設け、この加速度演算部に上記微分演算を実行させる態様もあり得る。
【0409】
<第4実施形態>
次に第4実施形態の重心位置測定装置101について図29を参照して説明する。
第4実施形態では、第2実施形態の重心位置測定装置1の構成に代えて、第3実施形態の重心位置測定装置101の構成に変更したものである。
【0410】
このように構成しても、第2実施形態と同様の効果を奏する。
<第5実施形態>(請求項9の実施形態)
次に第5実施形態の車両横転限界速度演算装置について、図47を参照して説明する。本実施形態の車両横転限界速度演算装置は、車載の装置であって、車両に搭載されるカーナビ200Aに具体化したものである。具体的には、重心位置測定装置1Eは、図1の重心位置測定装置1の構成中、MPU49の機能ブロックにおいて、横転限界速度演算部52が省略され、その代わりに、カーナビ200AのCPU211の機能ブロックとして横転限界速度演算部216が設けられているところが異なっている。重心位置測定装置1Eの他の構成は、第1実施形態の重心位置測定装置1と同一である、又、カーナビ200Aの構成は、CPU211の前記機能ブロックが追加されたことが異なっているだけであり、他の構成は同一である。このため、第1実施形態の構成と同一構成については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0411】
図47では図示はしないが、第1実施形態と同様にMPU49は、メモリ48(図1参照)を備えており、車両幅方向重心位置演算部50、車両全長方向重心位置演算部51の機能を実行するためのプログラムを記憶する。
【0412】
MPU49の平面的重心演算部150及び車両全長方向重心位置演算部51は、それぞれその演算結果(トレッド幅(有効トレッド幅Bi)、及び重心情報としての車両3の幅方向の重心位置Y)をI/Oインターフェイス54、通信ケーブル215、I/Oインターフェイス214を介して、制御回路210に出力する。
【0413】
又、本実施形態のCPU211はメモリ217を備えている。メモリ217には、当該車両の重心高さhが予め記憶されている。
CPU211の横転限界速度演算部216は、車両3の幅方向の重心位置Yに基づいて、車両3の幅方向の中心位置を通り全長方向に延びる車両中心線に沿うX軸との重心偏差fを算出し、この重心偏差f、及びメモリ217に記憶した重心高さhと式(A4)を使用して、横転限界速度Vを算出する。
【0414】
本実施形態では、I/Oインターフェイス214は、重心位置取得部、トレッド幅取得部に相当する。又、外部記憶装置240は、道路マップ記憶部に相当する。
又、カーナビ200Aでは、操作スイッチ群230が操作されて、出発地(例えば、車両の現在地)と目的地、走行条件(短い距離優先、一般道路優先、有料道路優先、広い道路優先等)の設定が可能である。前記した出発地・目的地、及び走行条件が設定された状態で、操作スイッチ群230の検索スイッチ(又はキー)が押下されると、カーナビ200AのCPU211は、設定された走行条件、すなわち拘束条件に適した1つ以上の経路を、ROM212に記憶された探索プログラムに従って外部記憶装置240の道路マップから探索し、その探索結果をRAM213に記憶する。すなわち、得られた経路におけるカーブの曲率半径Rを含む道路情報をRAM313に格納する。
【0415】
CPU211は、前記経路の各カーブの地点の経度、緯度、地点名称、曲率半径、横断勾配(片勾配)、及び横転限界速度を表の形式で表示できるように関連づけしてディスプレイ250に表示出力する。
【0416】
カーナビ200AのCPU211は、経路選択部及び演算手段に相当する。ディスプレイ250は出力手段に相当する。
本実施形態では、下記の特徴がある。
【0417】
(5) 本実施形態のカーナビ200Aは、車載の装置であって、I/Oインターフェイス214が、車両の重心位置を取得する重心位置取得部として機能するとともに、車両のトレッド幅を取得するトレッド幅取得部として機能する。
【0418】
又、カーナビ200Aは、道路のカーブの曲率半径を有した道路情報を含む道路マップデータ(道路マップデータベース)を記憶する外部記憶装置240(道路マップ記憶部)を備える。さらに、カーナビ200Aは、道路マップデータを参照して車両の出発地から目的地までの経路を選択する経路選択部とを備える。さらに、カーナビ200Aの、CPU211(演算手段)は、取得した車両の重心情報、車両のトレッド幅、及び経路選択部が選択した経路である車両が走行する道路のカーブの曲率半径に基づいて、車両が横転する速度の下限である横転限界速度を演算する。この結果、本実施形態の車載の装置であるカーナビ200Aが、外部記憶装置240と、I/Oインターフェイス214(重心位置取得部、トレッド幅取得部)を備えることにより、走行状態、車両操作状態の検出が必要でなく、車両の重心情報、車両のトレッド幅、及び車両が走行する道路のカーブの曲率半径に基づいて、走行する前に横転限界速度を演算して、前記運転限界速度と前記カーブに関連づけて利用することができる。
【0419】
<第5実施形態の変形例(1)>(請求項10の実施形態)
次に、第5実施形態の変形例(1)について説明する。
この変形例(1)は、経路選択部としてのCPU211は、さらに、抽出部として選択した前記経路から、カーブの曲率半径が横転がしやすいか否かを判定する判定値以下のものを危険箇所として抽出するものである。なお、判定値以下のものを危険箇所として抽出するとは、MPU49が判定値より大きなものを安全なカーブとして抽出し、残りのものを危険箇所とすることも含む趣旨である。この判定値は、カーブの曲率半径が、低速度でも横転しやすい、例えば、200mを判定値とする。なお、前記判定値は例であり、限定するものではない。この場合、CPU211は、演算手段として、抽出された危険箇所のカーブの曲率半径に基づいて横転限界速度を演算する。このように判定値でスクリーニングされた危険箇所をとりわけて、横転限界速度を演算するようにしてもよい。出力例は、すでに説明した例と同様に行えば良い。この結果、本変形態様では、抽出された危険箇所における横転限界速度を容易に取得できる。
【0420】
<第5実施形態の変形例(2)>
次に、第5実施形態の変形例(2)について説明する。この変形例(2)では、第5実施形態において、操作スイッチ群230の入力操作により、出発地(例えば、車両の現在地)と目的地、走行条件(短い距離優先、一般道路優先、有料道路優先、広い道路優先等)の設定が可能であることから、操作スイッチ群230を、走行条件設定部としている。
【0421】
制御回路210のCPU211は、経路選択部として、外部記憶装置240の道路マップデータベースから、車両の出発地から目的地までの経路を、前記走行条件を拘束条件として複数選択するようにしている。この複数選択された各経路の道路情報は、RAM213に記憶される。CPU211は、抽出部として複数経路の各道路情報に基づいて、前記選択された各経路中に存在するカーブの中から、カーブの曲率半径が横転がしやすいか否かを判定する判定値以下のものを危険箇所として抽出する。前記判定値は、第5実施形態の変形例(1)と同じである。
【0422】
そして、CPU211は、優先順位付与部として、前記抽出した危険箇所の数の多少に応じて、走行しやすい経路の優先順位を各経路に付与する。すなわち、危険箇所数が少ないほど優先順位は上位になる。この優先順位を付与した結果を、ディスプレイ250に表示出力する。ディスプレイ250は表示部に相当する。
【0423】
この結果、第5実施形態の変形例(2)によれば、走行条件にあった経路において、危険箇所における横転限界速度を容易に取得できるとともに、走行しやすい経路の優先順位を前記経路選択手段により選択した経路に付与されるため、優先順位が付与された経路を取得することが可能となる。
【0424】
<第5実施形態の変形例(3)>(請求項11の実施形態)
次に、第5実施形態の変形例(3)について説明する。本変形例(3)では、カーナビ200AのCPU211は、抽出部として、抽出した危険箇所の数が、走行禁止判定値よりも多い経路を走行禁止経路と判定するようにしている。そして、CPU211は、例えばディスプレイ250に、走行禁止経路と判定された経路を、又は走行禁止経路と判定されなかった非走行禁止経路を判定結果として表示させる。
【0425】
前記走行禁止判定値は、例えば、100以上とする。なお、前記走行禁止判定値は前記数値に限定されるものではなく、出発地から目的地迄の距離に応じて可変としてもよい。例えば、距離が長いほど、走行禁止判定値の数を増加させてもよい。又、高速道路では、速度が出やすいため、一般道路よりも減らすようにしてもよい。そして、上記のように走行禁止経路と判定された経路は、第5実施形態で説明した出力手段(ディスプレイ250)で出力するようにする。
【0426】
この結果、本実施形態によれば、判定結果が出力されるため、その判定結果に応じて経路を適切に選択することができ、運転者は、走行禁止の経路は、避けることができる。
<第5実施形態の変形例(4)>
次に、第5実施形態の変形例(4)について説明する。本変形例(4)では、気象情報取得部としての外部情報入出力装置225から、気象情報を取得するようにしているところが、第5実施形態と異なっている。本変形例(4)では、操作スイッチ群230からの気象情報要求指令があると、CPU211は、外部情報入出力装置225を介して前記選択された経路に関する気象情報を取得する。
【0427】
CPU211は、取得した経路におけるカーブの地点毎の曲率半径に対する横転限界速度を式(A4)を使用して求める。併せて、例えば、気象情報が「晴れ」又は「曇り」の場合は、式(A4)の演算結果をそのまま使用する。又、気象情報が「雨」、又は「雪」の場合は、「雨」又は「雪」の補正係数を式(A4)の演算結果に乗算する。この補正系数は、式(A4)の演算結果である横転限界速度Vよりも小さな値にするための補正係数である。
【0428】
又、気象情報に雨量がある場合には、雨量が多いほど、乗算する補正係数を増大してもよい。又、気象情報に、風の強さがある場合には、風の強さが強いほど、乗算する補正係数を増大してもよい。乗算する代わりに、補正量(速度)を加算したり減算したり、予め設定された数値分を加減算する等の補正演算により、横転限界速度を可変する。
【0429】
このように、本変形例(4)では、カーナビ200Aは、経路上の気象情報を取得する外部情報入出力装置225(気象情報取得部)を備える。又、カーナビ200AのCPU211(演算手段)は、取得した気象情報に応じて、車両横転限界速度を可変する。この結果、車載の装置であるカーナビ200Aが、気象情報に応じて、横転限界速度が可変するため、気象に応じた横転限界速度を得ることができる。
【0430】
<第6実施形態>(請求項9の実施形態)
次に、第6実施形態の車両横転限界速度演算装置について、図48を参照して説明する。第6実施形態では、第5実施形態のカーナビ200Aの代わりに、車両に搭載されるパーソナルコンピュータ(以下、車載PC300Aという)が、第6実施形態の重心位置測定装置1Eに対して通信ケーブル215を介して着脱自在に接続されるところが、第5実施形態と異なっている。
【0431】
従って、図48に示すように、重心位置測定装置1Eは、第5実施形態と同一構成であるため、同一構成には、同一符号を付してその説明を省略する。
又、車載PC300Aは、パーソナルコンピュータであるため、機能的には、第2実施形態の計量所PCと実質的に異なるところがない。従って、第2実施形態での計量所PCと機能的に同じ構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0432】
従って、車載PC300Aの制御回路310は、CPU311、ROM312、RAM313を備えるとともに、キーボード330、外部記憶装置340、ディスプレイ350、プリンタ360と接続されている。
【0433】
車載PC300Aは、第5実施形態で説明したカーナビ200Aと同様の接続方法により、重心位置測定装置1Eとデータのやりとりが可能である。図48では代表的に、重心位置測定部1のI/Oインターフェイス54と、車載PC300Aに設けられたI/Oインターフェイス314間は通信ケーブル215にて接続されているところを図示している。
【0434】
そして、重心位置測定装置1Eから、第5実施形態と同様に演算結果(トレッド幅(有効トレッド幅Bi)、及び重心情報としての車両3の幅方向の重心位置Y)をI/Oインターフェイス54、通信ケーブル215、I/Oインターフェイス214を介して、制御回路310に入力する。
【0435】
車載PC300AのROM312には、探索プログラムが格納されている。車載PC300Aでは、前記探索プログラムが起動された状態で、キーボード330の入力操作により、出発地(例えば、車両の現在地)と目的地、走行条件(短い距離優先、一般道路優先、有料道路優先、広い道路優先等)の設定が可能である。
【0436】
そして、車載PC300AのCPU311は、設定された走行条件、すなわち拘束条件に適した1つ以上の経路を、ROM312に記憶された探索プログラムに従って外部記憶装置340の道路マップデータベースから探索し、その探索結果をRAM313に記憶する。
【0437】
又、本実施形態のCPU311はメモリ317を備えている。メモリ317には、当該車両の重心高さhが予め記憶されている。
又、CPU311の機能ブロックとして横転限界速度演算部316が設けられている。CPU311の横転限界速度演算部316は、前記車両3の幅方向の重心位置Yに基づいて、車両3の幅方向の中心位置を通り全長方向に延びる車両中心線に沿うX軸との重心偏差fを算出し、この重心偏差f、及びメモリ217に記憶した重心高さhと式(A4)を使用して、横転限界速度Vを算出する。そして、車載PC300Aは、横転限界速度Vに関して、前記第1実施形態で説明したプリンタ360に印刷し、或いは、ディスプレイ350に表示出力する。
【0438】
本実施形態では、車載PC300AのCPU311は、経路選択部及び演算手段に相当する。又、キーボード330を、走行条件設定部としている。外部記憶装置340は道路マップ記憶部に相当する。I/Oインターフェイス314は重心位置取得部、トレッド幅取得部に相当する。又、プリンタ360及びディスプレイ350は出力手段として機能する。
【0439】
なお、車載PC300Aにおいて、道路情報の取得は、WEBルート検索サービス370を介して行うようにしてもよい。
<第7実施形態>(請求項9の実施形態)
次に第7実施形態の車両横転限界速度演算装置について、図49を参照して説明する。第7実施形態では、第5実施形態のカーナビ200Aの代わりに、車両横転限界速度演算装置としてのカーナビ200Bが設けられている。カーナビ200Bは、カーナビ200Aとは、メモリ217が省略されているとともにCPU211には機能ブロックで横転限界速度演算部216が設けられているところが異なっているのみであるため、同一構成については同一符号を付す。
【0440】
又、重心位置測定装置101Bは、第3実施形態の重心位置測定装置101の構成中、横転限界速度演算部152が省略されている。
カーナビ200Bと重心位置測定装置101Bとは、通信ケーブル215により着脱自在に接続される。
【0441】
このように構成することにより、重心高さ演算部151と平面的重心座標演算部150との演算結果が、カーナビ200Bに出力されることにより、CPU211の横転限界速度演算部216で横転限界速度Vを演算することができる。カーナビ200Bの横転限界速度V等に関する出力は、第5実施形態と同様に行われるため、説明を省略する。
【0442】
従って、本実施形態においても、第5実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
<第8実施形態>(請求項9の実施形態)
次に第8実施形態の車両横転限界速度演算装置について、図50を参照して説明する。第8実施形態では、第6実施形態の車載PC300Aの代わりに、車両横転限界速度演算装置としての車載PC300Bが設けられている。車載PC300Bは、車載PC300Aとは、メモリ317が省略されているとともにCPU311には機能ブロックで横転限界速度演算部316が設けられているところが異なっているのみであるため、同一構成については同一符号を付す。
【0443】
又、重心位置測定装置101Bは、第7実施形態と同一構成である。
車載PC300Bと重心位置測定装置101Bとは、通信ケーブル215により着脱自在に接続される。
【0444】
このように構成することにより、重心高さ演算部151と平面的重心座標演算部150との演算結果が、車載PC300Bに出力されることにより、CPU311の横転限界速度演算部316で横転限界速度Vを演算することができる。なお、車載PC300Bの横転限界速度V等に関する出力は、第5実施形態と同様に行われるため、説明を省略する。従って、本実施形態においても、第5実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0445】
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
・ 第1実施形態等では、測定部20は、計量対象物の重心位置を検出(算出)するために必要な物理量を計量するようにしている。この場合、測定部20は、測定対象物として、トラック(単車)、トラクタ&トレーラ(コンテナシャーシ)、コンテナ単体、トラクタ単体、フルトラクタのいずれであってもよい。
【0446】
この場合、例えばトラック(単体)、コンテナ単体の重心を測定し、MPU49で分離して得られたそれぞれの重心位置をベクトル演算して、トラクタとトレーラを連結した状態において走行時の車両全体の重心位置を算出するようにしてもよい。
【0447】
又、予め判明しているトレーラトラックの重心位置をデータとしてMPU49が記憶している場合、或いは、キーボード等の入力手段により入力する場合は、そのコンテナを搭載したコンテナシャーシを測定部20で重心位置を測定し、その測定結果と、前記判明しているトレーラトラックの重心位置をベクトル演算して走行時の車両全体の重心位置を検出(算出)するようにしてもよい。
【0448】
又、さらに、トレーラトラック及びコンテナシャーシ自体の重心位置がそれぞれ既知であり、コンテナシャーシに対するコンテナ搭載位置がデータ化されている場合には、コンテナのみを測定部20でその重心位置を測定し、後に、MPU49は、前記既知のデータ(トレーラトラック及びコンテナシャーシ自体のそれぞれの重心位置)と、測定部20で測定したコンテナの重心位置とをベクトル演算して、走行時の車両全体の重心位置を検出(算出)するようにしてもよい。
【0449】
・ 第1〜4実施形態では、「重心高さ」を、例えば、操作装置141にて入力されることにより、制御装置140は取得した。すなわち、操作装置141を重心高さ情報取得手段としたが、重心高さ情報取得手段は、操作装置141に限定するものではない。
【0450】
又、第1〜4実施形態では、測定部で計測した各種データを通信ケーブルにて制御装置に出力するようにした。通信ケーブルは、イーサネット(登録商標)、USB、RS232C等の通信規格があり、いずれの規格であってもよい。
【0451】
又、ブルーツース、或いは無線LANで測定部と制御装置とを接続してもよい。この場合、トレッド幅取得手段は、制御装置に設けられた、ブルーツースインターフェイス、又は無線LANのインターフェイスである。
【0452】
さらに、測定部で計量した結果を、SMカード、CFカード、MMCカード、SDカード等を含む種々の記憶カードを介して制御装置に設けられたリーダ装置で読みとり(取得)するようにしてもよい。この場合、トレッド幅取得手段は、リーダ装置である。
【0453】
さらには、RFID方式等の書き換え可能な電子チップに、測定部で計測した各種データを記憶させ、前記電子チップを、制御装置に設けたリーダ装置により前記各種データを取得するようにしてもよい。この場合、トレッド幅取得手段は、前記電子チップを読みとるリーダ装置である。
【0454】
・ 第1〜4実施形態において、制御装置に設けられる道路情報取得手段、出力手段としてのインターフェイスの代わりに、ブルーツースで行ってもよい。この場合、道路情報取得手段、及び出力手段は、制御装置に設けられた、ブルーツースインターフェイスである。
【0455】
さらに、前記道路情報を、SMカード、CFカード、MMCカード、SDカード等を含む種々の記憶カード、或いはUSBメモリを介して制御装置に設けられたカードリーダ/ライタ(以下、リーダ装置という)で各種メモリカードから読みとり(取得)、或いは書き込みするようにしてもよい。この場合、道路情報取得手段、出力手段は、リーダ装置である。さらには、RFID方式等の書き換え可能な電子チップに、測定部で計測した各種データを記憶させ、前記電子チップを、制御装置に設けたリーダ装置により前記各種データを取得するようにしてもよい。この場合、道路情報取得手段は、前記電子チップを読みとるリーダ装置である。
【0456】
・ 前記各実施形態では、式(A4)で、横転限界速度を求めたが、道路の横断勾配(すなわち、片勾配)、路面摩擦係数、車両のサスペンションについては、考慮されていない。この場合、道路情報に、道路のカーブの曲率半径以外に当該カーブの横断勾配(片勾配)が用意されている場合、算出した横転限界速度に対してさらに、片勾配用の補正係数を乗算して補正し、補正後の横転限界速度を大きくするようにしてもよい。その理由は、横断勾配(片勾配)は、カーブにおいて遠心力を低減するために付与されることが多いからあるからである。そのため、片勾配分を考慮して、横転限界速度を補正する。
【0457】
又、道路情報に、道路のカーブの曲率半径以外に、路面摩擦係数が用意されている場合、路面摩擦係数に応じて、式(A4)で算出した横転限界速度に路面摩擦係数用の補正係数を乗算する。例えば、コンクリート道路と、アスファルト道路では、路面摩擦係数が異なる。このため、道路構造状態に応じた摩擦係数を試験により、予め求めておけば、道路情報として提供できる。この場合、予め、その道路情報により得られた摩擦係数が得られたときに対応する摩擦係数用の補正係数を、横転限界速度を演算するプログラムに組み込みしておくようにする。この摩擦係数用の補正係数は、例えば、コンクリート道路と、アスファルト道路等のように道路構造状態に応じて予め試験により求めるものとする。
【0458】
又、車両のサスペンションに応じて、サスペンション用の補正係数を、式(A4)で算出された横転限界速度に対して乗算して補正するようにしてもよい。この場合、車両が使用しているサスペンション情報、すなわち、計測対象の車両のサスペンションの種類を操作装置141により入力する。又、この場合、入力されたサスペンション情報と対応するサスペンション用の補正係数は、予めマップ化されて、メモリ48に格納されており、横転限界速度を演算するプログラムが実行時に、入力されたサスペンション情報に基づいて前記マップから対応する補正係数が読み出される。
【0459】
・ 第1実施形態において、カーナビ200の代わりに、車載のパーソナルコンピュータ(PC)としてもよい。この場合、PCは、道路マップデータベースが構築された外部記憶装置、及びGPS受信機を備えるようにして、カーナビと同等の機能を持たせるようにする。このように構成しても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0460】
・ なお、図2、図29、図48、図50で説明した各実施形態において、前記計量所PC300は、外部記憶装置340に道路マップデータベースが構築されていた。この代わりに、図2、図29、図48、図50に示すように、インターネットのwebのルート検索サービス370を利用して、走行条件を設定して出発地から目的地迄の好適な経路を探索してもよい。その探索結果の道路情報を、RAM313に格納するようにしてもよい。この場合、探索結果の道路情報には、当該経路(道路)の各カーブの地点の経度、緯度、地点名称、曲率半径、横断勾配(片勾配)を含む。
【0461】
・ 第1実施形態において、経路中の各カーブの横転限界速度が得られた場合、各カーブにおいて、この横転限界速度より所定割合少ない安全速度(或いは所定量分遅い安全速度)で車両が走行するものとしてカーナビ200のCPU211が算出するようにしてもよい。そして、CPU211は、前記各カーブにおける前記安全速度と、経路中の前記カーブがない残りの走行区間で走行するときの走行速度と、出発地から目的地までの各カーブの長さと、カーブがない走行区間の長さに基づいて出発地から目的地までに車両が走行に要する時間(すなわち、安全速度到着時間)を算出するようにしてもよい。なお、経路中のカーブがない残りの走行区間で走行するときの前記走行速度は運転者がカーナビ200等の操作スイッチ群230(カーナビに代えてPCであればキーボード)で入力して、設定し、RAM213に記憶しておくものとする。
【0462】
そして、CPU211は、現在時刻に、前記安全速度到着時間を加算して当該経路における到着時刻をディスプレイ250に表示するようにしてもよい。
・ 第5実施形態、第6実施形態、第7実施形態、及び第8実施形態において、重心位置取得部をI/Oインターフェイス214としたが、この代わりに、重心位置取得部として重心位置取得装置を、車載形式で設けるようにしてもよい。例えば、塵埃車に採用されているゴミ重量を取得するために車両シャーシの複数箇所に設けられて使用されている複数の重量取得手段(重心位置取得装置)を、コンテナシャーシに設けて、コンテナの重心位置を測定するようにしてもよい。このような重量取得手段を車載の形で設けることにより、その重量取得手段の出力に基づいて重心位置情報を取得する。
【0463】
・ 前記各実施形態において、車両が走行する道路上の気象設定情報を入力する気象設定情報入力手段を備えるようにしてもよい。
第1実施形態を変形した例で説明する。この例では、図3に示すフローチャートの中で、気象情報の要求指令の代わりに、気象設定情報入力手段として設けられたカーナビ200の操作スイッチ群230の中から気象設定情報としての「晴れ」、「曇り」、「雨」、「雪」等の気象設定条件を入力するキー群の内のいずれかを、運転者が選択入力するものとする。なお、本例において、図3のステップU1〜U7、及びステップU9〜U11は同じである。
【0464】
ステップU8では、これらのうちのいずれかの気象設定条件を入力するキー群が入力操作されている場合に、それらの選択入力された気象設定条件に応じて、前記気象情報を取得した場合と同様に、すなわち、「雨」が気象設定条件として設定された場合には、気象情報が「雨」の場合と同様に、或いは「雪」が気象設定条件として設定された場合には、気象情報が「雪」の場合と同様にして、それらの条件に適した補正係数が式(A4)に乗算されて横転限界速度が求められる。
【0465】
又、気象設定条件を入力するキー群に雨量、或いは降雪量を入力するキー群を備えていれば、それらにより設定された雨量、又は降雪量に応じて、補正係数を雨量が多いほど、或いは降雪量が多いほど、式(A4)の演算結果である横転限界速度Vを、晴れの場合よりもよりも小さな値にするための補正係数を乗算する。
【0466】
このようにして、気象条件設定を入力するキー群を運転者が選択操作することにより、設定された気象条件に応じて横転限界速度を可変することができ、運転者は、予定している走行経路において、運転者自身が予想した気象条件での横転限界を知ることができる。
【0467】
他の実施形態においても、気象設定情報を入力するキー群として、カーナビが備えるキー群又は車載のパソコンの操作装置(キーボード等)を気象設定条件入力手段とすればよい。
【符号の説明】
【0468】
1,1A,1B,1C,1D…重心位置測定装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の重心情報、前記車両のトレッド幅、前記車両が走行する道路のカーブの曲率半径に基づいて、前記車両が横転する速度の下限である横転限界速度を演算する演算手段と、
前記演算手段が算出した前記横転限界速度を前記カーブに関連付けて出力する出力手段を備えることを特徴とする車両横転限界速度演算装置。
【請求項2】
請求項1の車両横転限界速度演算装置が、非車載の装置であって、
前記車両が走行する道路のカーブの曲率半径を少なくとも含む道路情報を取得する道路情報取得手段と、
前記車両の重心位置を検出し、検出結果を前記重心情報として出力する重心位置検出手段と、
前記車両のトレッド幅を取得するトレッド幅取得手段とを備えていることを特徴とする車両横転限界速度演算装置。
【請求項3】
前記道路情報を参照して車両の出発地から目的地までの経路を選択する経路選択手段を備え、
前記道路情報取得手段が取得した前記道路情報は、前記経路選択手段により選択して得られた経路の道路情報であり、
前記演算手段は、前記出発地から目的地までの経路に出現するカーブの曲率半径に基づいて横転限界速度を演算し、
前記出力手段は、前記横転限界速度を前記車両の出発地から目的地までの経路のカーブに関連付けて出力することを特徴とする請求項2に記載の車両横転限界速度演算装置。
【請求項4】
前記道路情報取得手段が取得した前記経路から、前記カーブの曲率半径が横転がしやすいか否かを判定する判定値以下のものを危険箇所として抽出する抽出手段を備え、
前記演算手段は、前記抽出手段により抽出された危険箇所のカーブの曲率半径に基づいて横転限界速度を演算することを特徴とする請求項3に記載の車両横転限界速度演算装置。
【請求項5】
前記車両の走行条件を設定する走行条件設定手段を備え、
前記経路選択手段は、車両の出発地から目的地までの経路を前記走行条件設定手段により設定された走行条件を拘束条件として複数選択し、
前記抽出手段は、前記選択された各経路中に存在するカーブの中から、前記カーブの曲率半径が横転がしやすいか否かを判定する判定値以下のものを危険箇所として抽出し、
前記抽出手段が、抽出した危険箇所の数の多少に応じて、走行しやすい経路の優先順位を前記経路選択手段により選択した経路に付与する優先順位付与手段を備え、
前記出力手段は、前記横転限界速度を前記車両の出発地から目的地までの前記選択された経路のカーブに関連付けて出力する際に、前記経路に前記優先順位を付して出力することを特徴とする請求項4に記載の車両横転限界速度演算装置。
【請求項6】
前記抽出手段が、抽出した危険箇所の数が、走行禁止判定値よりも多い経路を走行禁止経路と判定し、
前記出力手段は、前記判定結果を出力することを特徴とする請求項5に記載の車両横転限界速度演算装置。
【請求項7】
前記車両が走行する道路上の気象情報を取得する気象情報取得手段を備え、
前記演算手段は、取得した気象情報に応じて、前記横転限界速度を可変することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両横転限界速度演算装置。
【請求項8】
前記車両が走行する道路上の気象設定情報を入力する気象設定情報入力手段を備え、
前記演算手段は、入力された気象設定情報に応じて、前記車両横転限界速度を可変することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両横転限界速度演算装置。
【請求項9】
請求項1の車両横転限界速度演算装置が、車載の装置であって、
前記車両の重心位置を取得する重心位置取得部と、
前記車両のトレッド幅を取得するトレッド幅取得部と、
道路のカーブの曲率半径を有した道路情報を含む道路マップデータを記憶する道路マップ記憶部と、
前記道路マップデータを参照して車両の出発地から目的地までの経路を選択する経路選択部とを備え、
前記演算手段が、前記重心位置取得部が取得した車両の重心情報、前記トレッド幅取得部が取得した前記車両のトレッド幅、及び前記経路選択部が選択した経路である前記車両が走行する道路のカーブの曲率半径に基づいて、前記車両が横転する速度の下限である横転限界速度を演算することを特徴とする車両横転限界速度演算装置。
【請求項10】
前記経路選択部が選択した前記経路から、前記カーブの曲率半径が横転がしやすいか否かを判定する判定値以下のものを危険箇所として抽出する抽出部を備え、
前記演算手段は、前記抽出部により抽出された危険箇所のカーブの曲率半径に基づいて横転限界速度を演算することを特徴とする請求項9に記載の車両横転限界速度演算装置。
【請求項11】
前記車両の走行条件を設定する走行条件設定部を備え、
前記経路選択部は、車両の出発地から目的地までの経路を前記走行条件設定部により設定された走行条件を拘束条件として選択し、
前記抽出部は、前記選択された各経路中に存在するカーブの中から、前記カーブの曲率半径が横転がしやすいか否かを判定する判定値以下のものを危険箇所として抽出し、
前記抽出部が、抽出した危険箇所の数の多少に応じて、走行しやすい経路の優先順位を前記経路選択部により選択した経路に付与する優先順位付与部を備え、
前記横転限界速度を前記車両の出発地から目的地までの前記選択された経路のカーブに関連付けて表示する際に、前記経路に前記優先順位を付して表示する表示部を有することを特徴とする請求項10に記載の車両横転限界速度演算装置。
【請求項12】
前記抽出部が、抽出した危険箇所の数が、走行禁止判定値よりも多い経路を走行禁止経路と判定し、
前記表示部は、前記判定結果を表示することを特徴とする請求項11に記載の車両横転限界速度演算装置。
【請求項13】
前記経路上の気象情報を取得する気象情報取得部を備え、
前記演算手段は、取得した気象情報に応じて、前記車両横転限界速度を可変することを特徴とする請求項9乃至請求項12のうちいずれか1項に記載の車両横転限界速度演算装置。
【請求項14】
前記経路上の気象設定情報を入力する気象設定情報入力手段を備え、
前記演算手段は、入力された気象設定情報に応じて、前記車両横転限界速度を可変することを特徴とする請求項9乃至請求項12のうちいずれか1項に記載の車両横転限界速度演算装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公開番号】特開2012−22672(P2012−22672A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128612(P2011−128612)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】