説明

車両液圧ブレーキ装置のモニタ方法および装置

【課題】ブレーキ装置内のポンプのエラーを早期に検出する、車両ブレーキ装置のモニタ方法および装置を提供する。
【解決手段】本発明は、ポンプを有する液圧ブレーキ装置をモニタリングし且つポンプのエラーを早期に検出するための方法および装置を開示する。ここで、液圧蓄圧器を充填するためにポンプが使用され、この場合、蓄圧器の蓄圧器圧力が圧力センサまたは評価により決定されるように設計されている。この場合、蓄圧器圧力の時間経過の関数として、ポンプの故障又は障害が検出可能である。しかしながら、本発明により、所定時間後に複数の故障又は障害が検出されたときにはじめて、ポンプのエラーが検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の上位概念に記載の車両内の液圧ブレーキ装置内ポンプのモニタ方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両ブレーキ装置にかかる荷重により、機械的、電気機械的および/または電気的過程に基づき、個々の部品が摩耗することがある。摩耗を受けるこのような部品の例として、モータ特にポンプ・モータ、液圧液(例えば、油圧液)を貯蔵するための機械的ベローおよびブレーキ・ライニングが挙げられる。この場合、ブレーキ装置の使用時に発生する摩耗は、ブレーキ特性を低下させ、および極端な場合には装置を故障させることがある。したがって、早期の部品交換を可能にするために、部品の摩耗ないしはエラーを適切な時期に検出することが望ましい。
【0003】
ドイツ特許公開第102005060324号から、例えば自動車内においてポンプ・モータの形で使用される、電気整流される直流モータのカーボンブラシ操作の摩耗の測定装置が既知である。この場合、発電モータ電圧の時間特性から、カーボンブラシの摩耗が推測可能である。電動機のカーボンブラシの摩耗を測定するための他の可能性がドイツ特許公開第102004035318号に開示されている。この場合、摩耗は電動機の回転数の関数として決定される。
【0004】
ドイツ特許公開第19807368号から、車輪ブレーキ希望が電気経路を介して車輪ブレーキに設定される、ブレーキ装置の制御方法および装置が既知である。圧力上昇のために存在する、少なくとも1つのポンプおよび1つの蓄圧器を備えた高圧供給装置が、蓄圧器圧力変化が少なくとも1つの許容限界値と比較されることにより検査される。圧力供給装置がエラーの場合、ドライバの車輪ブレーキへの油圧係合が投入される。
【特許文献1】ドイツ特許公開第102005060324号
【特許文献2】ドイツ特許公開第102004035318号
【特許文献2】ドイツ特許公開第19807368号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ブレーキ装置内のポンプのエラーを早期に検出する、車両ブレーキ装置のモニタ方法および装置を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は請求項1に記載の方法および請求項7に記載の装置により解決される。本発明は、液圧(例えば、油圧)ブレーキ装置をモニタリングし且つブレーキ装置内のポンプのエラーを早期に検出するための方法および装置を開示する。ポンプは液圧蓄圧器を充填するために使用され、この場合、蓄圧器(リザーバ又はタンク)の蓄圧器圧力は圧力センサまたは評価により決定される。この場合、蓄圧器圧力の時間経過の関数として、ポンプの障害又は故障が検出可能である。しかしながら、本発明により、所定時間後に複数の障害又は故障が検出されたときにはじめて、ポンプのエラーが検出される。
【0007】
従来のポンプ・モニタリングは、液圧式圧力供給装置が決定的なエラー現象を有したときにはじめて、液圧式圧力供給装置のエラーを検出する。本発明によるポンプのエラー検出の利点は、個々の故障又は障害はほとんど一時的現象に帰属されるものであり、したがってこれが必ずしもポンプのエラーを示していないことにある。したがって、定常的故障又は障害となり得る、複数回発生した一時的故障又は障害によりはじめて、エラーが検出される。
【0008】
エラー検出は、ポンプによる蓄圧器の充填の間に行われることが好ましい。この場合、蓄圧器圧力変数が決定され、蓄圧器圧力変数は、適切な圧力センサにより直接測定されても、または対応アルゴリズムにより数学的に導かれてもよい。時間経過内に決定された蓄圧器圧力変数から、次に蓄圧器充填圧力勾配が導かれる。蓄圧器充填圧力勾配が所定時間の間第1のしきい値を下回ったままである場合、ポンプの運転における故障又は障害が検出される。
【0009】
本発明の一形態において、ポンプの操作の間においてのみ、蓄圧器圧力の時間経過または蓄圧器充填圧力勾配が決定されるように設計されていてもよい。この場合、代替態様として、ポンプの操作と同時に蓄圧器から容積が排出されないことが特定されたときにのみ、モニタリングが行われるように設計されていてもよい。
【0010】
ポンプのエラーを検出するために、故障又は障害がカウントされる。このために、場合により時間的重みづけがなされた故障又は障害の数が第2のしきい値と比較される。(重みづけされた)故障又は障害の合計が所定時間内に第2のしきい値を超えた場合、ポンプのエラーが検出される。オプションとして、ポンプの操作が故障又は障害なしに実行されたとき、故障又は障害の数が低減されるように設計されていてもよい。
【0011】
他の利点が実施例に関する以下の説明ないしは従属請求項から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ブレーキ装置の一部の略構成図である。
【図2】ポンプの運転におけるエラーを検出するためのブロック回路図である。
【図3】エラーの検出方法を示す流れ図(蓄圧器充填圧力勾配の形成)である。
【図4】エラーの検出方法を示す他の流れ図(故障又は障害の検出および記憶)である。
【図5】エラーの検出方法を示すさらに他の流れ図(故障又は障害の評価)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、2回路マスタ・ブレーキ・シリンダ12を備えた、例えば電気液圧(油圧)式ブレーキ装置においても使用可能な液圧式車両ブレーキ装置10を略図で示し、2回路マスタ・ブレーキ・シリンダ12に、相互に独立の2つのブレーキ回路IおよびIIが接続されている。しかしながら、図1においては、図面を簡単にするために、ブレーキ回路Iのみが示され、この場合、他方のブレーキ回路IIはそれに対応して形成される。しかしながら、同様な対応設備を有する空気式車両ブレーキ装置または1回路ブレーキ装置が、本発明の装置により駆動可能であることを明確に記載しておく。
【0014】
分岐しているマスタ・ブレーキ配管14は、マスタ・ブレーキ・シリンダ12から、ブレーキ回路Iに接続されている2つの車輪ブレーキ15および16に連絡している。この実施例においては、両方の車輪ブレーキ15および16は、付属車両の1つの前車輪と、対角線上で向かい合う1つの後車輪とに付属され、この場合、ブレーキ回路IIは他方の2つの車輪に付属されている。しかしながら、このいわゆるXブレーキ回路分割のほかに、ブレーキ回路の他の各分割もまた考えられる。
【0015】
マスタ・ブレーキ配管14の共通部分内において、マスタ・ブレーキ・シリンダ12とポンプ26との間に切換弁18が配置されている。さらに、マスタ・ブレーキ配管14の分岐部分内に、その基本位置において開放している入口弁20および21が配置され、入口弁20および21はそれぞれ、車輪ブレーキ15および16のいずれかの手前に配置されている。車輪ブレーキ15および16から、1つに集合する戻り配管22が、戻しポンプとも呼ばれる液圧ポンプ(例えば、油圧ポンプ)26の吸込側に伸長し、戻り配管22内には、両方の車輪ブレーキ15および16の各々に対して、その基本位置において閉鎖されている出口弁24ないしは25が設けられている。さらに、戻り配管22に液圧蓄圧器(例えば、油圧蓄圧器)28が接続され、液圧蓄圧器28は、ポンプ26が停止され且つ出口弁24ないしは25が開放されているとき、ブレーキ液を車輪ブレーキ15ないしは16から受け取ることができる。したがって、液圧蓄圧器は、マスタ・ブレーキ・シリンダ12から車輪ブレーキ内への液圧作動なしにブレーキ圧力を与えるために使用可能である。さらに、液圧蓄圧器28は、車輪ブレーキ内においてブレーキ圧力が低下されるべきとき、ブレーキ液を車輪ブレーキから受け取るために使用可能である。この場合、液圧蓄圧器28内の圧力は評価されてもまたは対応圧力センサ50により測定されてもよい。オプションとして、液圧ポンプ26の圧力側が、緩衝室30および絞り32を介して、切換弁18と入口弁20および21との間のマスタ・ブレーキ配管14に接続されている。その基本位置において閉鎖されている吸込弁36がその中に配置されている吸込配管34を介して、液圧ポンプ26の吸込側がマスタ・ブレーキ・シリンダ12と接続されている。対応センサ49により、マスタ・ブレーキ・シリンダ12内の圧力が測定可能であり、マスタ・ブレーキ・シリンダ12内の圧力は、ブレーキ・ペダルの操作によるドライバのブレーキ希望に対応している。
【0016】
図示されているブレーキ回路Iおよび図示されていないブレーキ回路IIの、例えば6気筒ポンプの液圧ポンプ26は、別々のポンプ・モータにより駆動可能である。しかしながら、さらに、他の実施例においては、1つの共通の電気ポンプ・モータ38によりポンプを駆動することもまた可能である。切換弁18、入口弁20および21、出口弁24および25並びに高圧切換弁36は、この実施例においては、特にアンチロック制御および駆動滑り制御のために1つの電子式制御装置40により制御可能な電磁弁として設計されている。この制御装置40は、さらに、ポンプ・モータ38の制御もまた行い且つ車輪回転速度センサ42および場合により少なくとも1つの車輪圧力センサ48から信号を受け取り、この場合、センサは、ブレーキ作動における車両車輪のロックを特定するために、または発進時において滑りを特定するために評価されてもよい。オプションとして、各車輪ブレーキ15ないしは16がそれぞれ車輪圧力センサ47ないしは48を有するように設計されていてもよい。さらに、制御装置40はブレーキ・ペダル・センサ44またはストップ・ランプ・スイッチの信号を受け取り、この信号により、マスタ・ブレーキ・シリンダ12の操作が特定可能である。空気液圧式ブレーキ装置の場合、さらに、車輪ブレーキ内の圧力制御のために、ポンプ26および弁20、21、24および25の操作を、完全にブレーキ・ペダル・センサ44の信号の関数として行い、および非常運転への復帰に対してのみ液圧作動(油圧作動)を行うように設計されていてもよい。
【0017】
さらに、ポンプ26は高圧用の蓄圧器60を充填するように設計され、高圧用の蓄圧器60の圧力は、蓄圧器圧力センサ65により測定されても、または評価方法により計算されてもよい。蓄圧器の測定圧力は、特に、蓄圧器内の圧力上昇をチェックするために使用される。充填過程の間に圧力制御回路を介して容積が蓄圧器から排出されない場合、圧力は常に上昇するはずである。即ち、圧力勾配が比較的長い期間にわたり要求最小しきい値を下回っているとき、圧力勾配から、圧力供給装置内の故障又は障害を検出可能である。
【0018】
圧力供給装置の故障又は障害は、原因に応じてそれぞれ、定常的または一時的であり且つきわめて多くの異なる理由を有している。ブレーキ液は空気を分離し、この空気が吸込配管内において小さい泡として集積することがある。空気がポンプ要素により吸い込まれた場合、搬送停止が発生することがある。温度、実際蓄圧器圧力および空気量の関数として、充填勾配が、一時的に、異なる時間において、または定常的に要求最小しきい値を下回ることになる。他の理由は、モータ(例えばブラシ)またはポンプ要素(例えばシール、ポンプ・ピストン)の摩耗である。摩耗が増大したとき、勾配がより長い時間の間しきい値を下回ることがある。
【0019】
したがって、本発明による方法の目的は、反復される一時的故障又は障害を検出し且つそれを評価することである。時間間隔がきわめて短いとき、特に高圧部品がきわめて摩耗している場合には、一時的故障又は障害が定常的故障又は障害となる確率が高い。これは必然的に液圧(油圧)バックアップに移行する。本方法は、早期にドライバへの警告を発生し、これにより修理工場へ立ち寄ることを勧告するものである。したがって、ドライバはできるだけ液圧(油圧)の全機能(全ブレーキ力)を用いて修理工場に向かうことができる。
【0020】
ポンプをモニタリングするために図2に示すユニット100が設けられ、ユニット100は例えば制御装置40内に形成されてもよい。しかしながら、さらに、制御装置40とは独立に作動する別のユニット100を設けることもまた考えられる。
【0021】
このユニット100内に処理ユニット110が設けられ、処理ユニット110は例えばマイクロ・プロセッサにより形成されてもよい。処理ユニット110内において、圧力センサ130(ないしは65)により測定される蓄圧器60の圧力信号が読み込まれる。代替態様として、(数学的)評価方法を介して蓄圧器60内の圧力が計算されるように設計されていてもよい。ポンプの操作の間においてのみモニタリングを実行するために、ポンプの運転に関する情報が、ポンプ140の制御装置から直接、または惰性回転電圧を測定するための手段から読み込まれる。さらに、例えば、弁の開放時間および閉鎖時間の関数として、装置内の圧力と組み合わせて、容積流れ(体積流量)が推測されることにより、蓄圧器60の容積排出が考慮される。この場合、容積流れ(体積流量)の対応計算は、ブロック150として示されている手段により行うことができる。
【0022】
処理ユニット110内において、読込みデータの関数としてポンプ26のエラーが検出された場合、ドライバに、エラーの発生に関して、音響式および/または光学式装置160により通知されてもよい。さらに、電子メモリ120内への対応(エラー)記憶が行われることもまた考えられ、対応(エラー)記憶は修理工場における修理の間に外部インタフェース170により呼び出すこともまた考えられる。この情報のこのような呼出しにより、ブレーキ装置が故障したりまたはバックアップへ移行したりすることなく、エラーのあるポンプを早期に交換することが可能となる。さらに、外部インタフェース170により、例えば車両ブレーキの部品の交換の範囲内において、故障(障害)またはエラーを検出するためのしきい値を修正することもまた考えられる。
【0023】
図3−5の流れ図に、ポンプのモニタリングおよび故障(障害)ないしはエラーの検出のために使用されるアルゴリズムが略図で示されている。このアルゴリズムは、処理ユニット110内において、プログラムの範囲内で走行するように設計され、この場合、個々のアルゴリズムが処理ユニット外で実行可能なように設計されていてもよい。即ち、蓄圧器充填圧力勾配を形成するための図3のアルゴリズムを、圧力センサ65に付属されている手段内において直接実行することが考えられる。この場合、処理ユニット110は、モニタリングのために、圧力信号ではなく、直接蓄圧器充填圧力勾配を読み込むであろう。
【0024】
上記のように、図3に、蓄圧器の測定圧力変数の関数として、蓄圧器充填圧力勾配がそれにより形成されるアルゴリズムが示されている。対応プログラムがスタートしたのち、ステップ300において、はじめに圧力変数pが読み込まれ、圧力変数pは圧力センサ65または評価方法により決定される。次のステップ310において、ノイズのない信号品質を達成するために、圧力変数が低域フィルタによりフィルタリングされる。それに続いて、ステップ320において、蓄圧器充填圧力勾配dp/dtが形成され、且つ場合によりメモリ120内に記憶される。
【0025】
図4のアルゴリズムにより、故障又は障害の検出およびその後続処理が示されている。このために、プログラムがスタートしたのち、第1のステップ400において、
dp/dt<SWG
により、蓄圧器充填圧力勾配dp/dtがしきい値SWGと比較される。ここで、蓄圧器充填圧力勾配が設定可能なしきい値を下回ったままである場合、プログラムの次のステップ410が処理される。オプションとして、ステップ400において、ポンプが蓄圧器充填のために操作されたかどうか、および蓄圧器からの容積排出が存在するかどうかが検査されてもよい。しかしながら、蓄圧器充填圧力勾配がしきい値に到達したかまたはしきい値を超えている場合、ないしはモニタリングのための他の前提条件が与えられていない場合、プログラムは終了される。次のステップ410において時間測定がスタートされ、時間測定により、しきい値SWGを下回っている期間が測定される。ステップ420は、蓄圧器充填圧力勾配dp/dtがしきい値SWGに到達するかまたはそれを超え、ポンプの操作が終了され、または蓄圧器65からの容積排出が行われるまでの間実行される。それに続いて、ステップ430において、
t>SWt
により、前記条件のもとで蓄圧器充填圧力勾配dp/dtがしきい値SWGを下回っている期間tがしきい値SWtより長い間継続しているかどうかが検査される。これが肯定の場合、故障又は障害S+が検出され、且つステップ440において、メモリ120内への対応記憶が行われる。
【0026】
オプションとして、期間tがきわめて小さい場合、ステップ450において、故障フリー又は障害フリーの操作S−の存在に関する、メモリ120内への対応記憶が行われるように設計されていてもよい。
【0027】
代替態様として、カウンタZが設けられてもよく、カウンタZは、故障又は障害を有するポンプの操作の場合、ある絶対値だけ増加され、故障フリー又は障害フリーの操作の場合、ある絶対値だけ低減される。他の実施例において、発生した故障(障害)ないしは故障(障害)フリーの操作がカウンタZの形成において時間的重みづけが考慮されるように設計されていてもよい。即ち、かなり以前に発生した現象は、カウンタZの値に、より小さい絶対値を提供することが考えられる。
【0028】
図5のアルゴリズムにおいて、検出された故障又は障害の評価が示されている。スタートしたのち、ステップ500において、以前に発生した故障又は障害S+および場合により故障フリー又は障害フリーの操作S−に関するデータが読み込まれる。これらのデータが、それらが発生したときの時間情報と共に記憶された場合、カウンタZの形成のために時間的重みづけを行うことができる。しかしながら、代替態様として、データを記憶するときに既に得られた、以前に発生した故障又は障害の重みづけを含むカウンタZの決定もまた可能である。次のステップ510において、カウンタZが
Z>SWZ
により他の所定のしきい値SWZを超えた場合、これから、トラブル・フリーのポンプ運転を保証するために、以前の期間においてきわめて多くの故障又は障害が検出されたことが推測可能である。したがって、ステップ520において、ドライバに音響式および/または光学式通知が与えられるか、またはステップ530においてメモリ120内への対応記憶が行われ、この記憶により、修理工場における修理時に、整備員はポンプの損傷を知ることができる。
【0029】
蓄圧器充填圧力勾配を常時形成することを可能にするために、図3−5のアルゴリズムが定期的間隔で新たにスタートするように設計されている。代替態様として、ポンプの操作が行われ且つ蓄圧器からの容積排出が存在しないときにのみアルゴリズムをスタートするように設計されていてもよい。
【0030】
他の実施例においては、ステップ430において、ポンプの故障(障害)S+および故障(障害)フリーの操作S−の検出のために異なるしきい値が設けられていてもよい。
【0031】
10 ブレーキ装置
12 マスタ・ブレーキ・シリンダ
14 マスタ・ブレーキ配管
15、16 車輪ブレーキ
18 切換弁
20、21 入口弁
22 戻り配管
24、25 出口弁
26、140 ポンプ
28、60 蓄圧器
30 緩衝室
32 絞り
34 吸込配管
36 吸込弁(高圧切換弁)
38 ポンプ・モータ
40 制御装置
42 車輪回転速度センサ
44 ブレーキ・ペダル・センサ
47、48、49、50、65 圧力センサ
100 ユニット(第2の手段、ポンプ故障検出)
110 処理ユニット
120 メモリ
130 圧力センサ(第1の手段、タンク圧力測定)
150 容積流れ計算手段
160 音響式/光学式装置(警告通知)
170 外部インタフェース
I、II ブレーキ回路
dp/dt 蓄圧器充填圧力勾配
p 圧力変数
S+ 故障又は障害
S− 故障フリーの操作又は障害フリーの操作
SWG、SWt、SWZ しきい値
t 期間
Z カウンタ
300 pの読込
310 pの低域フィルタリング
320 dp/dtの形成
400 dp/dt<SWG
410 時間測定スタート
420 tの計算
430 t>SWt
440 故障又は障害S+をメモリへ記憶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ装置(10)が液圧蓄圧器(60)を充填するためのポンプ(26)を有し、蓄圧器圧力の時間経過の関数としてポンプの故障又は障害が検出される、ように設計されている、車両液圧ブレーキ装置のモニタ方法において、
所定時間内に複数の故障又は障害が検出されたとき、ポンプのエラーが検出されることを特徴とする車両液圧ブレーキ装置のモニタ方法。
【請求項2】
ポンプによる蓄圧器の充填の間に、蓄圧器圧力変数が測定または計算され、および蓄圧器圧力の時間経過の関数として蓄圧器充填圧力勾配が決定され、この場合、蓄圧器充填圧力勾配が所定時間の間第1のしきい値を下回っているとき、故障又は障害が検出されることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】
ポンプの操作の間に、蓄圧器圧力の時間経過または蓄圧器充填圧力勾配が決定され、この場合、特にポンプの操作と同時に蓄圧器からの容積排出が存在しないときにのみ、故障又は障害に関するモニタリングが行われるように設計されていることを特徴とする請求項1または2の方法。
【請求項4】
故障又は障害の数をカウントするカウンタが形成され、この場合、カウンタが第2のしきい値を超えているとき、エラーが検出されるように設計されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ポンプの操作の間に故障又は障害が検出されないとき、カウンタが低減されることを特徴とする請求項4の方法。
【請求項6】
カウンタおよび/またはその増加ないしは低減が時間的重みづけを有し、この場合、特に、時間的にかなり以前の故障又は障害はより少なく重みづけされるように設計されていることを特徴とする請求項4または5の方法。
【請求項7】
ブレーキ装置(10)が、
液圧蓄圧器(60)を充填するためのポンプ(26)と、
蓄圧器圧力を測定するための第1の手段(130)と、
を有し、この場合、測定蓄圧器圧力の時間経過の関数としてポンプの故障又は障害を検出する第2の手段(100)が設けられている、車両液圧ブレーキ装置のモニタ装置において、
所定時間内に複数の故障又は障害が検出されたとき、第2の手段(100)がポンプのエラーを検出することを特徴とする車両液圧ブレーキ装置のモニタ装置。
【請求項8】
ポンプによる蓄圧器の充填の間に、第2の手段が、蓄圧器圧力の時間経過から蓄圧器充填圧力勾配を計算し、および蓄圧器充填圧力勾配が第1のしきい値を下回っているとき、故障又は障害を検出することを特徴とする請求項7の装置。
【請求項9】
ポンプの操作の間に、蓄圧器圧力の時間経過または蓄圧器充填圧力勾配が決定され、この場合、特に、ポンプの操作と同時に蓄圧器からの容積排出が存在しないときにのみ、エラー検出が行われるように設計されていることを特徴とする請求項7または8の装置。
【請求項10】
カウンタが第2のしきい値を超えているとき、第2の手段がエラーを検出することを特徴とする請求項7、8または9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
エラーが検出されたとき、ドライバに警告通知(160)が行われるか、またはのちの処理のためにメモリ(120)内に記憶が行われることを特徴とする請求項7ないし10のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−67386(P2013−67386A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−272458(P2012−272458)
【出願日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【分割の表示】特願2007−35701(P2007−35701)の分割
【原出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】