説明

車両用のモール

【課題】車両の窓枠に組み付けられる窓板の外周縁に沿って固着されるモールにおいて、良好な外観を呈すると共に異音の発生を防止することができるようにする。
【解決手段】本体部16の車外側の端部から外周側へ突出する保持部17を設けることで、窓枠12に対する窓板14の組み付け誤差等によって窓板14と窓枠12との間の隙間にばらつきが生じても、リップ部19の先端に設けた当接部24が本体部16よりも車外側へ飛び出すことを保持部17で阻止して、良好な外観を呈することができるようにする。更に、当接部24の最大厚さ寸法を連結部23の先端の厚さ寸法よりも大きくすることで、当接部24を変形し難くして、車両の高速走行時等にモール15の車外側に負圧が発生しても、当接部24が変形することが抑制されてリップ部19が車外側に吸い出されてしまうことを防止して、リップ部19の吸い出しに起因する異音の発生を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の窓枠に組み付けられる窓板の外周縁に沿って固着される長尺な車両用のモールに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントウインドウ等においては、窓板(窓ガラス)と窓枠との間の隙間を塞ぐために、窓板の外周縁に沿って弾性ポリマー材料製のモール(いわゆるウインドウモール)を装着するようにしたものがある。
【0003】
この種のモールとしては、例えば、特許文献1(実開平3−7019号公報)に記載されているように、帯板状の主体と、この主体の下面から垂設される脚部と、この脚部の下端から互いに逆方向に延びる第1の係止片及び第2の係止片と、この第2の係止片の自由端から延びる空隙被覆片とが一体的に設けられ、窓ガラスと窓開口部の起立壁との間の隙間に、脚部を挿入して主体を窓ガラスの周縁部上面に当接させた状態で、第1の係止片を窓ガラスの縁に掛け止めて、第2の係止片の空隙被覆片の一端を脚部に当接させると共に他端を起立壁に当接させるようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3−7019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1のモールは、窓板(窓ガラス)の組み付け誤差等によって窓板と窓枠(窓開口部の起立壁)との間の隙間が狭くなった場合に、空隙被覆片の一端(脚部に当接する側の端部)が主体よりも車外側へ飛び出してしまうおそれがある。また、空隙被覆片が変形し易い形状であるため、車両の高速走行時等にモールの車外側に負圧が発生すると、空隙被覆片が変形して空隙被覆片と第2係止片が車外側に吸い出されてしまうおそれがあり、その結果、空隙被覆片と第2係止片の吸い出しに起因する異音が発生するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、窓板と窓枠との間の隙間にばらつきがあっても良好な外観を呈することができると共に、車両の走行時の異音の発生を防止することができる車両用のモールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車両の窓枠に組み付けられる窓板の外周縁に沿って固着される長尺な車両用のモールであって、モールは、該モール及び窓板が窓枠に組み付けられた状態において、少なくとも窓板の外周端面に沿って配置される本体部と、この本体部の車外側の端部から外周側へ突出する保持部と、本体部のうちの保持部よりも車内側から外周側へ突出するリップ部とを備え、リップ部は、本体部から外周側へ延びる支持部と、この支持部の先端から外周側へ延びて窓枠に当接する突出部と、支持部の先端から内周側へ延びる連結部と、この連結部の先端に設けられて本体部の外周側と保持部の車内側のうちの少なくとも一方に当接する当接部とが一体的に形成され、当接部は、モールの長手方向に対して垂直方向の断面形状において丸い形状で且つ最大厚さ寸法が連結部の先端の厚さ寸法よりも大きくなるように形成されている構成としたものである。
【0008】
この構成では、本体部の車外側の端部から外周側へ突出する保持部が設けられているため、窓板の組み付け誤差等によって窓板と窓枠との間の隙間にばらつきが生じても、当接部が本体部よりも車外側へ飛び出すことを保持部によって阻止することができ、良好な外観を呈することができる。
【0009】
また、当接部が変形し易いと、車両の高速走行時等にモールの車外側に負圧が発生したときに、当接部が変形してリップ部が車外側に吸い出されてしまう(当接部が本体部よりも車外側へ飛び出してしまう)おそれがある。しかし、本発明のモールは、当接部の最大厚さ寸法が連結部の先端の厚さ寸法よりも大きいため、当接部が変形し難くい。そのため、車両の高速走行時等にモールの車外側に負圧が発生しても、当接部が変形することが抑制されてリップ部が車外側に吸い出されてしまうことを防止することができ、リップ部の吸い出しに起因する異音の発生を防止することができる。
【0010】
更に、当接部の断面形状が丸い形状であるため、当接部がどの角度で本体部や保持部と当接しても滑らかに摺動することができると共に、当接部の最大厚さ寸法が連結部の先端の厚さ寸法よりも大きいため、当接部が本体部や保持部と摺動する際に屈曲することが抑制されて滑らかに摺動することができる。これにより、リップ部や保持部に局所的な変形が発生することを回避して、リップ部や保持部の局所的な変形によって外観が損なわれることを防止することができる。
【0011】
この場合、請求項2のように、リップ部は、突出部と連結部と当接部とを直線上に形成すると良い。このようにすれば、モール及び窓板(又はモール)が窓枠に組み付けられる際に、突出部が窓枠に当接して車外側へ押されたときに、支持部の先端を支点にして突出部が車外側へ変位することで、支持部の先端を支点にして連結部及び当接部を突出部と反対方向(つまり車内側)へ変位させることができる。これにより、当接部を保持部よりも車内側に位置させることができ、当接部が保持部から飛び出すことをより確実に防ぐことができる。
【0012】
また、請求項3のように、保持部は、本体部よりも硬度の低い材料で形成すると良い。このようにすれば、窓板の組み付け誤差等によって窓板と窓枠との間の隙間が狭くなってリップ部の変形量が大きくなる場合でも、リップ部に押された保持部が適度に変形してリップ部の反力(弾性力)を吸収することができ、リップ部の反力でモールや窓板が車外側に浮き上がることを防止することができる。
【0013】
更に、請求項4のように、リップ部は、当接部の車外側の表面と連結部の車外側の表面に段差ができないように形成すると良い。このようにすれば、当接部が保持部に当接したときに当接部と保持部との間に隙間ができないように当接部を保持部に密着させることができ、車両の高速走行時等の異音の発生を効果的に防止することができる。
【0014】
また、請求項5のように、本体部は、外周側の表面が平面になるように形成すると良い。このようにすれば、本体部の外周側を治具で押圧して窓板の外周端面にモールを押しつけて、窓板に対するモールの位置決めをする際に、本体部の外周側の表面を治具で均等に押圧することができ、窓板に対するモールの位置決め精度を容易に確保することができる。
【0015】
更に、請求項6のように、本体部は、窓板に両面テープで固着するようにすると良い。このようにすれば、窓板にモールを容易に固着することができ、モール及び窓板を窓枠に組み付ける際の作業を行い易くすることができる。
【0016】
また、請求項7のように、リップ部は、本体部よりも硬度の低い材料で形成すると良い。このようにすれば、リップ部が変形したときの反力(弾性力)を適度に小さくすることができ、モール及び窓板(又はモール)を小さい力で容易に窓枠に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施例1におけるモール及び窓板が組み付けられた車両の斜視図である。
【図2】図2は窓板と窓枠との間隔が設計値の場合の図1のA−A断面図である。
【図3】図3は当接部及びその周辺部の拡大断面図である。
【図4】図4は窓板と窓枠との間隔が設計値よりも広い場合の図1のA−A断面図である。
【図5】図5は窓板と窓枠との間隔が設計値よりも狭い場合の図1のA−A断面図である。
【図6】図6は実施例2のモールの断面図である。
【図7】図7は実施例3のモールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1を図1乃至図5に基づいて説明する。
図1に示すように、自動車の車体パネル11に形成されたフロントウインドウ用の窓枠12には、窓組立体13が組み付けられている。この窓組立体13は、窓板14(窓ガラス)と、この窓板14の外周縁(本実施例1では上縁と左右両縁)に沿って固着された長尺なモール15(いわゆるウインドウモール)とから構成されている。また、窓板14の裏面には、不透明着色層(図示せず)が窓板14の外周縁に沿って所定幅で形成され、この不透明着色層によって窓板14の表側(車外側)から窓板14の外周縁の裏側(車内側)のシーラントや車体の内装材等が透けて見えないようになっている。
【0020】
図2に示すように、モール15は、熱可塑性合成樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)又はゴム等の弾性ポリマー材料の押出成形により、窓組立体13(モール15及び窓板14)が窓枠12に組み付けられた状態において、窓板14の外周端面及び窓板14の裏面の外周縁に沿って配置される断面L字形状の本体部16と、この本体部16の車外側の端部から外周側へ突出する保持部17と、本体部16の車外側の端部から内周側へ突出する突部18と、本体部16のうちの保持部17よりも車内側(例えば本体部16の車内側の端部)から外周側へ突出するリップ部19とが一体的に形成され、本体部16の内部には、収縮防止用の芯材20(例えばワイヤ)が複合押出成形により埋設されている。
【0021】
また、リップ部19は、本体部16から外周側へ延びる支持部21と、この支持部21の先端から外周側へ延びる突出部22と、支持部21の先端から内周側へ延びる連結部23と、この連結部23の先端に設けられた当接部24とが一体的に形成され、窓組立体13(モール15及び窓板14)が窓枠12に組み付けられたときに、突出部22が窓枠12に当接すると共に、当接部24が本体部16の外周側と保持部17の車内側のうちの少なくとも一方に当接するようになっている。
【0022】
本実施例1では、モール15の本体部16は、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー)又は塩化ビニル等で形成され、保持部17と突部18とリップ部19(支持部21、突出部22、連結部23、当接部24)は、それぞれ本体部16よりも硬度の低い材料(TPO又は塩化ビニル等)で形成されている。尚、モール15を形成する材料は適宜変更しても良い。
【0023】
図3に示すように、当接部24は、モール15の長手方向に対して垂直方向の断面形状において丸い形状で且つ最大厚さ寸法t1 が連結部23の先端(当接部24との境界部分)の厚さ寸法t2 よりも大きくなるように形成され、当接部24が変形し難くなるようになっている。また、リップ部19は、突出部22と連結部23と当接部24とが直線上に並ぶように形成されていると共に、当接部24の車外側の表面24aと連結部23の車外側の表面23aとが段差なく繋がるように形成されている。更に、突出部22は、先端側よりも根元側の方が太くなるように形成されていると共に、支持部21の先端から突出部22の先端までの寸法が比較的短くなる(例えば支持部21の先端から当接部24までの寸法よりも短くなる)ように形成され、突出部22が変形し難くなるようになっている。
【0024】
また、図2に示すように、本体部16は、外周側の表面16aが内周側の表面16bと平行な平面になるように形成され、本体部16のうちの窓板14の裏面に対向する部分には、モール15(本体部16)の全長に亘って両面テープ25(両面接着テープ又は両面粘着テープということもある)が貼着されている。
【0025】
窓板14にモール15を装着する場合には、まず、本体部16の外周側を治具(図示せず)で押圧して窓板14の外周端面にモール15(本体部16)を押しつけて、窓板14に対するモール15の位置決めをする。この際、本体部16の外周側の表面16aが平面に形成されているため、本体部16の外周側の表面16aを治具で均等に押圧することができ、窓板14に対するモール15の位置決め精度を容易に確保することができる。
【0026】
そして、モール15の本体部16に貼着された両面テープ25を窓板14の裏面の外周縁に沿って貼着することで、窓板14の外周縁に沿ってモール15が固着された窓組立体13となる。このように、窓板14にモール15の本体部16を両面テープ24で固着することで、窓板14にモール15を容易に固着することができ、窓組立体13(モール15及び窓板14)を窓枠12に組み付ける際の作業を行い易くすることができる。
【0027】
窓組立体13(モール15及び窓板14)を窓枠12に組み付ける場合には、まず、窓板14の裏面のうちのモール15の内周側にペースト状のウレタンシーラント(図示せず)を吐出する。この後、窓枠12に窓組立体13を嵌めてウレタンシーラントを硬化させることで、窓枠12に窓組立体13を接着固定する。
【0028】
本実施例1のモール15は、本体部16の車外側の端部から外周側へ突出する保持部17が設けられているため、窓枠12に対する窓組立体13の組み付け誤差等によって窓板14と窓枠12との間の隙間にばらつきが生じても、当接部24が本体部16よりも車外側へ飛び出すことを保持部17によって阻止することができ、良好な外観を呈することができる。
【0029】
例えば、図2に示すように、窓板14と窓枠12との間隔が設計値W0 の場合には、当接部24と連結部23の両方が保持部17に当接することで、当接部24が本体部16よりも車外側へ飛び出すことを保持部17によって阻止することができる。
【0030】
また、図4に示すように、窓板14と窓枠12との間隔が設計値W0 よりも広い場合には、当接部24が保持部17に当接することで、当接部24が本体部16よりも車外側へ飛び出すことを保持部17によって阻止することができる。
【0031】
一方、図5に示すように、窓板14と窓枠12との間隔が設計値W0 よりも狭い場合には、当接部24が本体部16に当接した状態で連結部23が保持部17に当接することで、当接部24が本体部16よりも車外側へ飛び出すことを保持部17によって阻止することができる。
【0032】
しかも、本実施例1では、突出部22と連結部23と当接部24とを直線上に並ぶように形成しているため、モール15及び窓板14が窓枠12に組み付けられる際に、突出部22が窓枠12に当接して車外側へ押されたときに、支持部21の先端を支点にして突出部22が車外側へ変位することで、支持部21の先端を支点にして連結部23及び当接部24を突出部22と反対方向(つまり車内側)へ変位させることができる。これにより、当接部24を保持部17よりも車内側に位置させることができ、当接部24が保持部17から飛び出すことをより確実に防ぐことができる。尚、リップ部19の材質や形状(厚さ、長さ等)、突出部22に加わる力等の違いにより、連結部23及び当接部24以外の部分が変位することもある。
【0033】
ところで、当接部24が変形し易いと、車両の高速走行時等にモール15の車外側に負圧が発生したときに、当接部24が変形してリップ部19が車外側に吸い出されてしまう(当接部24が本体部16よりも車外側へ飛び出してしまう)おそれがある。
【0034】
この点、本実施例1では、当接部24の最大厚さ寸法t1 が連結部23の先端の厚さ寸法t2 よりも大きいため、当接部24を変形し難くすることができ、車両の高速走行時等にモール15の車外側に負圧が発生しても、当接部24が変形することが抑制されてリップ部19が車外側に吸い出されてしまうことを防止することができ、リップ部19の吸い出しに起因する異音の発生を防止することができる。
【0035】
しかも、本実施例1では、当接部24の車外側の表面24aと連結部23の車外側の表面23aとが段差なく連続しているため、当接部24が保持部17に当接したときに当接部24と保持部17との間に隙間ができないように当接部24を保持部17に密着させることができ、車両の高速走行時等の異音の発生を効果的に防止することができる。
【0036】
また、本実施例1では、当接部24の断面形状が丸い形状であるため、当接部24がどの角度で本体部16や保持部17と当接しても滑らかに摺動することができると共に、当接部24の最大厚さ寸法t1 が連結部23の先端の厚さ寸法t2 よりも大きいため、当接部24が本体部16や保持部17と摺動する際に屈曲することが抑制されて滑らかに摺動することができる。これにより、リップ部19や保持部17に局所的な変形が発生することを回避して、リップ部19や保持部17の局所的な変形によって外観が損なわれることを防止することができる。
【0037】
また、本実施例1では、窓板14と窓枠12との間隔が設計値W0 より広い場合でも、保持部17により当接部24が本体部16よりも車外側へ飛び出すことを阻止できる。これにより、当接部24が保持部17の車内側に当接する限りにおいて、当接部24及び連結部23の長さを短くすることができる。このため、モール15の断面形状に対応したオリフィスを備えた押出成形型の強度の確保等のために、リップ部19を所望の形状から過度に変形させた状態(リップ部19を大きく開いた状態)で押出成形する必要がない。したがって、押し出されたモール15を所望の形状に矯正する工程が容易となりモール15の生産性が向上する。
【0038】
また、本実施例1では、保持部17を本体部16よりも硬度の低い材料で形成するようにしたので、窓組立体13の組み付け誤差等によって窓板14と窓枠12との間の隙間が狭くなってリップ部19の変形量が大きくなる場合(図5参照)でも、リップ部19に押された保持部17が適度に変形してリップ部19の反力(弾性力)を吸収することができ、リップ部19の反力でモール15や窓板14が車外側に浮き上がることを防止することができる。
【0039】
更に、本実施例1では、リップ部19を本体部16よりも硬度の低い材料で形成するようにしたので、リップ部19が変形したときの反力(弾性力)を適度に小さくすることができ、窓組立体13(モール15及び窓板14)を小さい力で容易に窓枠12に組み付けることができる。
【実施例2】
【0040】
次に、図6を用いて本発明の実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分には同一符号を付して説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
【0041】
図6に示すように、本実施例2のモール26は、当接部27の車外側の表面27aが連結部23の車外側の表面23aよりも突出するように形成されている。また、本体部16及び保持部17の車外側の表面には、本体部16よりも硬い材料により表皮材層28が形成され、この表皮材層28によって本体部16及び保持部17の車外側の表面に傷が付くことを防止すると共に本体部16及び保持部17の耐候性や外観を向上させるようになっている。
【0042】
尚、上記実施例2では、本体部16と保持部17の両方の表面に表皮材層28を形成するようにしているが、これに限定されず、本体部16と保持部17のうちの一方のみの表面に表皮材層28を形成するようにしても良い。或は、表皮材層28を省略した構成としても良い。
【実施例3】
【0043】
次に、図7を用いて本発明の実施例3を説明する。但し、前記実施例1,2と実質的に同一部分には同一符号を付して説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1,2と異なる部分について説明する。
【0044】
上記各実施例1,2では、本体部16を、窓板14の外周端面及び窓板14の裏面の外周縁に沿って配置するように断面L字形状に形成したが、図7に示すように、本実施例3のモール29は、本体部30を、窓板14の外周端面及び窓板14の表裏両面の外周縁に沿って配置するように断面U字形状に形成して、本体部30で窓板14の外周端部を挟み込むようしている。また、本体部30のうちの窓板14の外周端面に対向する部分を接着剤31で窓板14の外周端面に接着することで、窓板14の外周縁に沿ってモール29を固着するようにしている。
【0045】
この場合、窓板14にモール29を接着した後に、モール29及び窓板14を窓枠12に組み付けるようにしても良いが、仕様によっては、窓枠12に窓板14を組み付けた後、窓板14にモール29を固着するようにしても良い。
【0046】
例えば、上記実施例3では、接着剤31を用いて窓板14にモール29を固着しているが、これに限定されず、窓枠12に窓板14を組み付けた後、窓板14にモール29を嵌め込んで固着するようにしても良い。
【0047】
尚、上記実施例3では、本体部30と保持部17の両方の表面に表皮材層28を形成するようにしているが、これに限定されず、本体部30と保持部17のうちの一方のみの表面に表皮材層28を形成するようにしても良い。或は、表皮材層28を省略した構成としても良い。
【0048】
また、上記各実施例1〜3では、自動車のフロントウインドウ用のモールに本発明を適用したが、これに限定されず、自動車の他のウインドウ(例えば、リヤウインドウ、サイドウインドウ、クォ−タ−ウインドウ等)用のモールに本発明を適用しても良い。
【0049】
その他、本発明は、モール(本体部、保持部、リップ部等)の形状や材料を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【符号の説明】
【0050】
11…車体パネル、12…窓枠、14…窓板、15…モール、16…本体部、17…保持部、18…突部、19…リップ部、21…支持部、22…突出部、23…連結部、24…当接部、25…両面テープ、26…モール、27…当接部、28…表皮材層、29…モール、30…本体部、31…接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓枠に組み付けられる窓板の外周縁に沿って固着される長尺な車両用のモールであって、
前記モールは、該モール及び前記窓板が前記窓枠に組み付けられた状態において、少なくとも前記窓板の外周端面に沿って配置される本体部と、前記本体部の車外側の端部から外周側へ突出する保持部と、前記本体部のうちの前記保持部よりも車内側から外周側へ突出するリップ部とを備え、
前記リップ部は、前記本体部から外周側へ延びる支持部と、前記支持部の先端から外周側へ延びて前記窓枠に当接する突出部と、前記支持部の先端から内周側へ延びる連結部と、前記連結部の先端に設けられて前記本体部の外周側と前記保持部の車内側のうちの少なくとも一方に当接する当接部とが一体的に形成され、
前記当接部は、前記モールの長手方向に対して垂直方向の断面形状において丸い形状で且つ最大厚さ寸法が前記連結部の先端の厚さ寸法よりも大きくなるように形成されていることを特徴とする車両用のモール。
【請求項2】
前記リップ部は、前記突出部と前記連結部と前記当接部とが直線上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用のモール。
【請求項3】
前記保持部は、前記本体部よりも硬度の低い材料で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用のモール。
【請求項4】
前記リップ部は、前記当接部の車外側の表面と前記連結部の車外側の表面に段差ができないように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用のモール。
【請求項5】
前記本体部は、外周側の表面が平面になるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用のモール。
【請求項6】
前記本体部は、前記窓板に両面テープで固着されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両用のモール。
【請求項7】
前記リップ部は、前記本体部よりも硬度の低い材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車両用のモール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−60028(P2013−60028A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197752(P2011−197752)
【出願日】平成23年9月10日(2011.9.10)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)