説明

車両用の可視光レーザビーム照射システム

【課題】表示画面を越えて表示画面に対する補足表示を行う技術において、従来よりも広い範囲で補足表示を行う。
【解決手段】レーザビームECUは、車両用ナビゲーション装置が誘導経路上の案内交差点の拡大図を、画像表示装置の表示画面40に表示させていることに基づいて、当該拡大図において誘導経路が曲折する方向を示す矢印画像41を、レーザ照射装置3に表示させる。そしてその表示位置は、表示画面40以外の部分となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の可視光レーザビーム照射システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地図画像を表示する車載画像表示装置において、表示画面の周辺の複数箇所に発光素子を配置し、表示画面中の地図から見た目的地への方向に対応する位置の発光素子を発光させる技術が知られている。
【特許文献1】文献名をご記載下さい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記のように、表示画面を越えて表示画面に対する補足表示を行うために発光素子を用いるのでは、補足表示が可能な範囲が限定的になってしまう。
【0004】
本発明は上記点に鑑み、表示画面を越えて表示画面に対する補足表示を行う技術において、従来よりも広い範囲で補足表示を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明においては、可視光レーザビーム照射システムが、車両の車室内に可視光レーザビームを照射するレーザ照射装置(3)と、前記可視光レーザビームの照射態様を制御する制御装置(11)と、を備えている。そして制御装置(11)は、可視光レーザビームを用いずに画像を表示する車載画像表示装置(12、14)が表示している第1の画像(40、43)に関連した第2の画像を、車載画像表示装置(12、14)の表示可能範囲以外の部分に表示させるために、可視光レーザビームの照射態様を制御する。
【0006】
このように、車載画像表示装置(12、14)の表示可能範囲を越えて、第1の画像(に関連する第2の画像を表示するために、可視光レーザビームを用いる。可視光レーザビームの照射位置は、可視光レーザビームの照射方向を変化させるだけで実現するので、表示画面を越えて表示画面に対する補足表示を行う技術において、従来よりも広い範囲で補足表示を行うことが容易となる。
【0007】
また、請求項2に記載のように、制御装置(11)は、第1の画像の表示内容を利用して車載画像表示装置(12)に対する操作をユーザが行えば車載画像表示装置(12)が画像として表示することになる画像を、第2の画像に含めるようになっていてもよい。
【0008】
このようにすることで、ユーザは、車載画像表示装置(12)に対して特定の操作(例えば、スクロール操作、メニュー画像中のボタンを押す操作)をするまでもなく、その操作によって得られる情報を、現在の車載画像表示装置(12)の表示と併せて、確認することができる。
【0009】
また、請求項3に記載のように、車載画像表示装置(12)は目的地までの誘導経路を案内するナビゲーション装置であってもよい。この場合、制御装置(11)は、車載画像表示装置(12)が誘導経路上の案内交差点の拡大図を、第1の画像として表示していることに基づいて、当該拡大図において誘導経路が曲折する方向を示す画像を、第2の画像として、レーザ照射装置(3)に表示させるようになっていてもよい。
【0010】
このようになっていることで、ユーザは、交差点拡大画像を見るまでもなく、レーザ表示によって、自車両がどちらの方向に曲がればよいかを、視覚的に確認することができる。
【0011】
例えば、第2の画像が、ウインドシールドに表示される場合は、視線を車両外から外すことなく、また、目の焦点を大きく変化させる必要ななく、自車両がどちらの方向に曲がればよいかを、視覚的に確認することができる。
【0012】
また、請求項4に記載のように、車載画像表示装置(14)は、あるナビゲーション装置が算出した誘導経路に沿って前記車両が次にどの方向に曲折するかを矢印で表示するメータ(90)であってもよい。
【0013】
この場合、制御装置(11)は、車載画像表示装置(14)が矢印を第1の画像として表示していることに基づいて、矢印が示す曲折方向を示す画像を、第2の画像として、レーザ照射装置(3)に表示させるようになっている。
【0014】
このようになっていることで、ユーザは、メータ(90)の矢印画像を見るまでもなく、レーザ表示によって、自車両がどちらの方向に曲がればよいかを、視覚的に確認することができる。
【0015】
例えば、第2の画像が、ウインドシールドに表示される場合は、視線を車両外から外すことなく、また、目の焦点を大きく変化させる必要ななく、自車両がどちらの方向に曲がればよいかを、視覚的に確認することができる。
【0016】
また、請求項5に記載のように、制御装置(11)は、第2の画像の表示位置を、ウインドシールド上の位置であり、かつ、車両のドライバーから曲折先の道路までの視線方向上の位置とするようになっていてもよい。
【0017】
このようになっていることで、例えば、曲折時に、同じ方向に曲折する2つの道路が非常に近接しており、曲折先の道路がどちらかわかり難いような状況において、ドライバーから見て曲折先の道路と同じ視線上に、曲折方向を示す第2の画像が表示されるので、ドライバーは、どの道路に曲折すればよいかを容易に把握することができる。
【0018】
また、請求項6に記載のように、制御装置(11)は、車載画像表示装置(12)が地図画像を第1の画像として表示していることに基づいて、第2の画像として、第1の画像中の地図を外部に延長した地図を、第1の画像の表示領域に表示させるようになっていてもよい。
【0019】
このように、車載画像表示装置(12)の表示画面中の地図を延長して表示画面外に表示することで、ドライバーは、地図縮尺変更、スクロール等を車載画像表示装置(12)に指示する必要なく、より広い範囲の地図を見ることができる。
【0020】
また、請求項7に記載のように、制御装置(11)は、車載画像表示装置(12)が表示する第1の画像がPOIを含んでおり、かつドライバーが車載画像表示装置(12)を操作してPOIを選択したことに基づいて、POIに関連する情報(例えば、POIの詳細情報、POIまでの経路、現在の車両の位置からPOIへの方向)を含む画像を、第2の画像として表示させるようになっていてもよい。
【0021】
このように、従来ならばPOIを選択したことに基づいて車載画像表示装置(12)の表示可能範囲内に表示される情報(すなわち、POIに関連する情報)が、表示可能範囲外において可視光レーザビームによって表示される。したがって、POIに関連する情報の表示が、車載画像表示装置(12)による地図の表示を邪魔することがなくなる。
【0022】
また、請求項8に記載のように、制御装置(11)は、車載画像表示装置(12)が第1の画像としてドライバーへの質問を表示させていることに基づいて、それぞれが当該質問に対する回答の選択肢の1つとなる複数の選択肢画像を、第2の画像として表示させるようになっていてもよい。
【0023】
このようになっていることで、車載画像表示装置(12)におけるドライバーへの質問に対する回答の選択肢を、車載画像表示装置(12)が表示する必要がなくなる。したがって、車両用ナビゲーション装置12が選択肢画像を表示画面内に表示してしまった結果、その選択肢画像が表示画面内の他の表示の邪魔になってしまうということがなくなる。
【0024】
この場合、請求項9に記載のように、制御装置(11)は、質問に対する回答を、音声で受け付け、受け付けた回答を車載画像表示装置(12)に渡すようになっていてもよい。
【0025】
このようにすることで、操作部23を用いて操作できる選択肢の画像が表示画面内になくても、音声で選択肢の1つを選択することができる。
【0026】
あるいは、請求項9に記載のように、制御装置(11)は、質問に対する回答を、ドライバーによる当該複数の選択肢画像のいずれかへのタッチによって受け付け、受け付けた回答を車載画像表示装置(12)に渡すようになっていてもよい。
【0027】
このようにすることで、レーザ照射装置(3)によって表示する選択肢画像が、ドライバーにとってはボタンと同じように機能するように見える。
【0028】
また、請求項12に記載のように、制御装置(11)は、車載画像表示装置(12)が、木構造で関連し合っている複数のメニュー画像のうち1つを第1の画像として表示しているとき、第1の画像の次の階層のメニュー画像を、第2の画像として表示させるようになっていてもよい。
【0029】
このようになっていることで、ユーザは、次階層のメニュー画像がどのようになっているかを、前もって把握することができる。
【0030】
また、請求項12に記載のように、制御装置(11)は、車載画像表示装置(12)が、ドライバーが個々に選択可能な複数の可選択画像を含む画像を第1の画像として表示しているとき、複数の可選択画像のうち1つをユーザが暫定的に選択したことに基づいて、当該1つの可選択画像をユーザが確定的に選択したならば車載画像表示装置(12)が表示するであろう画像を、第2の画像として表示させるようになっていてもよい。
【0031】
このようになっていることで、ユーザは、第1の画像中の複数の可選択画像のうち所望のものを暫定的に選択することで、その可選択画像を確定的に選択した際の画像表示を前もって知ることができる。
【0032】
また、請求項13に記載のように、制御装置(11)は、車載画像表示装置(12)が、ドライバーが個々に選択可能な複数の可選択画像を含む画像を第1の画像として表示しているとき、複数の可選択画像のうち1つをユーザが暫定的に選択したことに基づいて、当該1つの可選択画像に割り当てられている機能の情報を、第2の画像として表示させるようになっていてもよい。
【0033】
このようになっていることで、ユーザは、第1の画像中の複数の可選択画像のうち所望のものを暫定的に選択することで、その可選択画像に割り当てられている機能の情報を前もって知ることができる。
【0034】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る可視光レーザビーム照射システムが搭載された車両の車室1内を概略的に示し、図2に、この可視光レーザビーム照射システムの電気的接続関係を示す。
【0036】
可視光レーザビーム照射システムは、レーザ照射装置3、室内カメラ5、スピーカ8、マイク9、レーザビームECU11、車両用ナビゲーション装置12、メータECU14、カメラECU16、およびこれら装置12、14、16間の通信を媒介する通信線17を含んでいる。
【0037】
可視光レーザビームを照射するレーザ照射装置3は、車室1の天井部2の前端付近に装着されており、レーザビームECU11からの制御に応じて、可視光レーザの照射のオン・オフおよび照射方向を変える。照射方向を変化させるための機構としては、例えばモータ駆動機構がある。レーザ照射装置3の照射方向としては、例えば、ウインドシールド34、インストルメントパネル7の上面、車両用ナビゲーション装置12の表示画面40の周辺、運転席側フロントピラー92等がある。
【0038】
また、レーザ照射装置3は、照射する可視光レーザの色を変化させることができる。具体的には、レーザ照射装置3は、赤色、緑色、青色のそれぞれの可視光レーザを生成できる光生成装置を3つ有し、レーザビームECU11からの色の制御に基づいて、各色の可視光レーザを外部に照射する量の配分を変化させるようになっている。
【0039】
なお、それぞれの光生成装置は、その照射方向に、1つの光点のみならず、複数の光点から成る広がりを持った領域(以下、光領域)を表すことができる。光領域としては、例えば図形や文字がある。このように、モータ等によって制御された発光器53の向きに、文字や図形を表示させるために、レーザ照射装置3は、周知のMEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)共振ミラーや、DMD(ディジタル・マイクロミラー・デバイス)等の、光領域の描画のための周知の装置を用いてもよい。MEMS共振ミラーを用いた装置としては、例えば、日本信号株式会社のエコスキャン(登録商標)がある。また、ディジタル・マイクロミラー・デバイスを用いた装置としては、例えば米国Texas Instruments社のDLP(登録商標)方式のデジタルプロジェクタがある。
【0040】
このように、レーザ照射装置3は、レーザビームECU11から指令された領域に、指令された形状で、指令された模様および彩色の、画像を表示させることができる。
【0041】
なお、図3に示すように、インストルメントパネル7の上面の中央部付近には、鏡面が上に向って凸となっているミラー36が設けられている。そして、レーザ照射装置3は、ウインドシールド34に可視光レーザビームを照射する場合は、可視光レーザをミラー36に照射し、その反射させた可視光レーザをウインドシールド34に当てる。ミラー36は凸となっているので、可視光レーザのミラー36への照射位置を調整することで、ウインドシールド34の全領域中のどの位置にでも可視光レーザビームによる画像を表示することができる。レーザ照射装置3によるウインドシールド34への照射の結果、ドライバ32にとっては、ウインドシールド34越しの車外の位置38に、図3に例示すような画像39が表示されているように見える。
【0042】
また、レーザ照射装置3は、インストルメントパネル7に画像を投影する場合、インストルメントパネル7に直接可視光レーザを照射する。また、レーザ照射装置3は、運転席側フロントピラー92に画像を表示する場合、運転席側フロントピラー92に直接可視光レーザを照射するようになっていてもよいし、あるいは、ウインドシールド34と同じように、ミラー36を介して運転席側フロントピラー92に可視光レーザビームを照射するようになっていてもよい。
【0043】
室内カメラ5は、車室1の天井部2の前端付近に装着されており、車両用ナビゲーション装置12の表示画面40の周辺を繰り返し撮影し、撮影結果の画像をカメラECU16に出力する。カメラECU16は、この室内カメラ5からの撮影画像に対して周知の画像認識技術を用いることで、ドライバーの指の位置を検出し、検出した位置の情報をレーザビームECU11に出力する。
【0044】
車両用ナビゲーション装置12は、図4に示すように、位置検出器21、画像表示装置22、操作部23、スピーカ24、地図データ取得部26、および制御回路27を有している。
【0045】
位置検出器21は、いずれも周知の図示しない加速度センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御回路27に出力する。
【0046】
画像表示装置22は、制御回路27から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する液晶ディスプレイである。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0047】
操作部23は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置22の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路27に出力する。
【0048】
地図データ取得部26は、DVD、CD、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出し(および可能ならば書き込み)を行う装置から成る。当該記憶媒体は、制御回路27が実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
【0049】
地図データは、道路データおよびPOI(Point Of Interest)データを有している。道路データは、リンクの位置情報、種別情報、ノードの位置情報、種別情報、および、ノードとリンクとの接続関係の情報等を含んでいる。POIデータは、POI(すなわち、施設、自然物等の地点)毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とするPOIの名称情報、所在位置情報、土地地番情報、詳細情報(営業時間、利用可能サービス内容等)等を示すデータを有している。
【0050】
制御回路(コンピュータに相当する)27は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは地図データ取得部26から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および地図データ取得部26から情報を読み出し、RAMおよび(可能であれば)地図データ取得部26の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出器21、画像表示装置22、操作部23、スピーカ24、および交通情報受信機15と信号の授受を行う。
【0051】
制御回路27がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、地図表示処理、誘導経路算出処理、経路案内処理、空調装置制御処理、テレビ表示処理、階層メニュー表示処理等がある。
【0052】
現在位置特定処理は、位置検出器21からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置や向きを特定する処理である。
【0053】
地図表示処理は、車両の現在位置の周辺等の特定の領域の地図を、画像表示装置22に表示させる処理である。この際、地図表示のために用いる情報は、地図データから取得する。
【0054】
誘導経路算出処理は、操作部23からユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な誘導経路を算出する処理である。
【0055】
経路案内処理は、誘導経路上の右左折交差点等の案内交差点の手前に自車両が到達したときに、右折、左折等を指示する案内音声をスピーカ24に出力させ、当該案内交差点の拡大図を画像表示装置22に表示させることで、誘導経路に沿った車両の運転を案内する処理である。
【0056】
空調装置制御処理は、図示しない空調装置の設定(例えば、目標室内温度、内モード/外気モードの切り替え)を、操作部23に対するドライバーの操作に応じて制御する処理である。
【0057】
テレビ表示処理は、図示しないドライバーの操作に応じたチャンネルのテレビ放送信号を、図示しないテレビチューナを用いて受信し、受信した信号に基づいた映像を画像表示装置22に表示させる処理である。
【0058】
階層メニュー表示処理は、複数のメニュー画像を木構造のノードのように互いに階層的に関連付け、1つのメニュー画像を画像表示装置22に表示させているときに、そのメニュー画像に含まれる複数のボタンアイコン(すなわち、ドライバーが選択することができる可選択画像)がドライバーによって確定的に選択されると、当該メニュー画像の次階層のメニュー画像のうち、選択されたボタンアイコンに割り当てられたメニュー画像を表示する。
【0059】
なお、ボタンアイコンの確定的な選択の例としては、タッチパネルによる当該ボタンアイコンへのタッチ操作、および、メカニカルスイッチ(例えばカーソルキー)を操作して表示画面40中の当該ボタンアイコンを暫定的に選択(例えば、フォーカス)した状態で、確定スイッチを押下する操作がある。
【0060】
例えば、制御回路27は、階層メニュー表示処理において、まず、木構造のルート(根)に該当するメニュー画像として、機能選択メニュー画像を表示させる。機能選択メニュー画像には、車両用ナビゲーション装置12が提供する機能のそれぞれに対応するボタンアイコンが含まれている。車両用ナビゲーション装置12が提供する機能としては、例えば、地図表示、誘導経路算出、経路案内、空調装置制御、テレビ視聴がある。
【0061】
そして、ドライバーが機能選択メニュー画像中の特定のボタンアイコンに対して確定的な選択の操作を行うと、制御回路27は、そのボタンアイコンに対応する機能の詳細設定についてのメニュー画像(機能選択メニュー画像の次階層のメニュー画像の一例に相当する)を表示する。詳細設定についてのメニュー画像としては、例えば、目的地の複数の入力方法にそれぞれ対応するボタンアイコン群を含む画像、ドライバーによる目標温度設定の入力を受け付ける画像、経路案内の開始の指令を受け付ける画像等がある。
【0062】
これらの処理において制御回路27は、後述するような必要な情報をレーザビームECU11に送信するようになっている。また制御回路27は、メータECU14に対して、誘導経路中で次に曲折する交差点の手前で、当該交差点における誘導経路の曲折方向(すなわち、右折または左折)の情報を、メータECU14に送信する。
【0063】
メータECU14は、車両内部の各種センサ(図示せず)からの信号に基づいて、車両の状態に関する情報(例えば、総走行距離、平均燃費等)を取得または算出し、それら取得または算出した情報を、液晶ディスプレイ等から成るメータ90に表示させる。また、メータECU14は、車両用ナビゲーション装置12の制御回路27から、次の交差点における曲折方向の情報を受信する度に、その方向に対応する矢印をメータ90に表示させる処理(すなわち、ターンバイターン処理)を実行する。また、メータECU14は、メータ90に表示させた情報の内容をレーザビームECU11に送信する。
【0064】
カメラECU16は、室内カメラ5から受けた撮影画像をレーザビームECU11に送信する。
【0065】
レーザビームECU11は、車両用ナビゲーション装置12、メータECU14、カメラECU16からの上述のような信号に基づいて、レーザ照射装置3の可視光レーザの照射のオン・オフ、照射方向、照射する画像の内容等の、照射態様の制御を行う。レーザビームECU11は、RAM、ROM、CPUを備え、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することで、後述する作動を実現してもよいし、あるいは、それら後述する作動を実現するための専用の回路構成を有していてもよい。
【0066】
また、レーザビームECU11は、方向・位置対応テーブル11bを記憶している。方向・位置対応テーブル11bは、それぞれが車両内の各箇所(スタートポイント候補および目標ポイント候補の一例に相当する)に対応する複数のレコードを有し、各レコードは、
(1)対象箇所の識別子
(2)当該対象箇所に可視光レーザを(直接的または間接的に)照射するためにレーザ照射装置3が向くべき方向
が記録されている。ここで、対象箇所の識別子としては、対象箇所の名称(例えば、運転席側フロントピラー92、ウインドシールド34、メータ90、インストルメントパネル7)を有していてもよいし、それに加えて、対象箇所の識別子として、対象箇所の車両内の3次元座標を有していてもよい。あるいは、対象箇所の識別子として、対象箇所の名称と座標の組み合わせ(例えば、ウインドシールド34上の2次元座標、インストルメントパネル7表面の2次元座標)でもよい。
【0067】
この方向・位置対応テーブル11bは、可視光レーザビーム照射システムの車両への設置時、または可視光レーザビーム照射システムの製造時に、あらかじめレーザビームECU11に記録されるようになっている。
【0068】
図5に、このレーザビームECU11が繰り返し実行する処理のフローチャートを示す。この処理の各回において、レーザビームECU11は、可視光レーザの照射開始のタイミングを待ち(ステップ110)、当該タイミングであると判定した場合、続いて可視光レーザの表示方法を決定し(ステップ120)、さらに決定した表示に付随して音声アナウンスをするか否かを判定し(ステップ130)、音声アナウンスしない場合は、決定した方法で可視光レーザをレーザ照射装置3に照射させる(ステップ135)。
【0069】
また、音声アナウンスする場合は、決定した方法で可視光レーザを照射させると共に、スピーカ8を用いて音声出力し(ステップ140)、その音声の返答のドライバー音声をマイク9を介して取得し(ステップ150)、その取得した返答の情報を車両用ナビゲーション装置12に送信する(ステップ160)。このようなレーザビームECU11の作動の具体例について以下説明する。
【0070】
(第1の例:交差点拡大図表示およびターンバイターン表示)
レーザビームECU11は、車両用ナビゲーション装置12が経路案内処理において画像表示装置22に交差点拡大図(第1の画像の一例に相当する)を表示させたことに基づいて(あるいは、拡大表示対象の交差点に近づいたことに基づいて)、ステップ110で照射開始タイミングが訪れたと判定する。
【0071】
この判定のために、制御回路27は、交差点拡大図の表示を行ったときに、その旨の情報をレーザビームECU11に送信するようになっている。なお、制御回路27は、交差点拡大図の表示を行った旨の情報(以下、拡大図表示情報という)には、曲折方向、曲折する交差点の位置座標、自車両の現在位置座標、自車両の走行方向、曲折した後に走行する道路の所定位置(例えば当該道路に進入後10メートルの位置等)の位置座標等の情報を含めるようになっている。
【0072】
このように制御回路27から送信された拡大図表示情報の受信に基づいて照射開始タイミングであると判定した場合、レーザビームECU11は、ステップ120でレーザ表示方法を決定し、続いてステップ130で音声アナウンスなしと判定し、さらにステップ135でレーザ照射装置3を制御して可視光レーザを照射させる。
【0073】
この場合に採用するレーザ表示方法は、図6に示すように、ウインドシールド34の中央の位置に、矢印画像41(第2の画像の一例に相当する)を表示させる方法である。なお、図6中の点線48は、車両内からウインドシールド34越しに見える道路の中央線である。
【0074】
この矢印画像41は、受信した拡大図表示情報中の曲折方向を向いた矢印の画像である。このような矢印画像41は、画像表示装置22の表示画面40中で拡大表示されている交差点における誘導経路の曲折方向であるという点で、表示画面40中の交差点拡大図に関連した画像であると言える。
【0075】
このように、レーザビームECU11は、車両用ナビゲーション装置12が誘導経路上の案内交差点の拡大図を、画像表示装置22に表示させていることに基づいて、当該拡大図において誘導経路が曲折する方向を示す矢印画像41を、レーザ照射装置3に表示させるようになっている。そしてその表示位置は、画像表示装置22の表示可能範囲(すなわち表示画面40)以外の部分となっている。
【0076】
このようになっていることで、ユーザは、交差点拡大画像を見るまでもなく、レーザ表示によって、自車両がどちらの方向に曲がればよいかを、視覚的に確認することができる。そして、この矢印画像41が、ウインドシールド34に表示されるので、視線を車両の前方から外すことなく、また、目の焦点を大きく変化させる必要ななく、自車両がどちらの方向に曲がればよいかを、視覚的に確認することができる。
【0077】
また、メータECU14は、ターンバイターン処理において、制御回路27から次の拡大表示対象交差点における誘導経路の曲折方向の情報を受け、受けた情報に基づいてメータ90に曲折方向を示す矢印画像43を表示させる。したがって、このような矢印画像41は、ターンバイターンによる矢印画像43(第1の画像の一例に相当する)と同じ方向を向く画像であるという点で、メータ90中の矢印画像43に関連した画像であると言える。そしてそのレーザ照射装置3による表示位置は、メータ90の表示可能範囲以外の部分となっている。
【0078】
このようになっていることで、ユーザは、メータ90の矢印画像43を見るまでもなく、レーザ表示によって、自車両がどちらの方向に曲がればよいかを、視覚的に確認することができる。特に、矢印画像41が、ウインドシールドに表示されるので、視線を車両外から外すことなく、また、目の焦点を大きく変化させる必要ななく、自車両がどちらの方向に曲がればよいかを、視覚的に確認することができる。
【0079】
なお、レーザ照射装置3が表示する矢印画像の表示位置は、必ずしもウインドシールド34の中央部でなくともよい。例えば、図6の矢印画像44(第2の画像の一例に相当する)のような位置に矢印画像を表示させてもよい。この矢印画像の表示位置は、ドライバーから見て曲折先の道路46に重なるような位置である。このようなウインドシールド34上の位置を特定するために、レーザビームECU11は、拡大図表示情報中の、自車両の現在位置座標、自車両の走行方向、曲折した後に走行する道路の所定位置の位置座標を用いる。
【0080】
具体的には、まず、自車両の現在位置、走行方向、および曲折先道路の所定位置の位置座標に基づいて、車両に固定された座標系における当該所定位置の位置座標(すなわち、当該所定位置の車両固定座標)を特定する。そして、頭の位置の車両固定座標から、当該所定位置の車両固定座標までの直線を算出し、ウインドシールド34上をその直線が貫く位置の車両固定座標を特定する。この特定した貫通位置が、ドライバーから見て曲折先の道路46に重なる位置である。なお、このような算出のために、レーザビームECU11のROM中には、車両内の頭の車両固定座標のデフォルト値、および、ウインドシールド34の面の車両固定座標の情報が記録されている。
【0081】
また例えば、矢印画像の表示位置は、ドライバーから見て拡大図表示対象の交差点に重なるような位置であってもよい。このようなウインドシールド34上の位置を特定するために、レーザビームECU11は、拡大図表示情報中の、自車両の現在位置座標、自車両の走行方向、当該交差点の位置座標を用いる。
【0082】
具体的には、まず、自車両の現在位置、走行方向、および当該交差点の位置座標に基づいて、当該交差点の車両固定座標を特定する。そして、頭の位置の車両固定座標から、当該交差点の車両固定座標までの直線を算出し、ウインドシールド34上をその直線が貫く位置の車両固定座標を特定する。この特定した貫通位置が、ドライバーから見て当該交差点に重なる位置である。
【0083】
このように、レーザビームECU11は、矢印画像44の表示位置を、ウインドシールド34上の位置であり、かつ、車両のドライバーから曲折先の道路までの視線方向上の位置とするようになっていてもよい。
【0084】
このようになっていることで、例えば、曲折時に、同じ方向に曲折する2つの道路(図6の道路46、47参照)が非常に近接しており、曲折先の道路がどちらかわかり難いような状況において、ドライバーから見て曲折先の道路と同じ視線上に、曲折方向を示す第2の画像が表示されるので、ドライバーは、どの道路に曲折すればよいかを容易に把握することができる。
【0085】
また、図6に示すように、レーザビームECU11は、レーザ照射装置3に対して、矢印画像44を表示させると共に、曲折先の道路の名称を示す画像45(第2の画像の一例に相当する)を、ウインドシールド34等に表示させるようになっていてもよい。
【0086】
このようにすることで、ドライバーは、これから曲折する先の道路の名称を容易に視覚的に確認することができる。
【0087】
(第2の例:地図表示)
レーザビームECU11は、車両用ナビゲーション装置12が地図表示処理において画像表示装置22に地図(交差点拡大図を除く)を表示させていることに基づいて、ステップ110で照射開始タイミングが訪れたと判定する。
【0088】
この判定のために、制御回路27は、地図表示を行ったときに、その旨の情報をレーザビームECU11に送信するようになっている。なお、制御回路27は、地図表示を行っている旨の情報(以下、地図表示情報という)には、現在地図表示している地理範囲の周囲の地図画像のデータを含めるようになっていてもよい。なお、地図表示情報に含める地図画像の縮尺は、画像表示装置22に表示させている地図画像の縮尺と同じとする。
【0089】
このように制御回路27から送信された地図表示情報の受信に基づいて照射開始タイミングであると判定した場合、レーザビームECU11は、ステップ120でレーザ表示方法を決定し、続いてステップ130で音声アナウンスなしと判定し、さらにステップ135でレーザ照射装置3を制御して可視光レーザを照射させる。
【0090】
この場合に採用するレーザ表示方法は、図7に示すように、画像表示装置22の表示画面40の周囲のインストルメントパネル7部分に、表示画面40内の地図画像(第1の画像の一例に相当する)を同一縮尺で隣接させて延長した地図画像(第2の画像の一例に相当する)を表示させる方法である。表示画面40の周囲の地図画像49は、受信した地図表示情報に含まれるものである。このような周囲地図画像は、画像表示装置22の表示画面40中の地図を延長したものであるという点で、表示画面40中の地図に関連した画像であると言える。
【0091】
このように、レーザビームECU11は、車両用ナビゲーション装置12が地図画像を表示していることに基づいて、当該地図画像を外に延長した地図を、表示画面40の表示領域に隣接して表示させるようになっている。
【0092】
このように、車両用ナビゲーション装置12の表示画面中の地図を延長して表示画面外に表示することで、ドライバーは、地図縮尺変更、スクロール等を車両用ナビゲーション装置12に指示する必要なく、より広い範囲の地図を見ることができる。
【0093】
なお、レーザビームECU11は、周囲画像49を表示させる場合において、画像表示装置22の表示画面40の周囲に車両用ナビゲーション装置12のメカニカルスイッチが配置されている場合は、その位置をレーザ照射装置3から除外する(すなわち地図を表示させる対象から除外する)ようになっていてもよい。このようになっていることで、操作対象のスイッチがドライバーに見易くなる。
【0094】
また、レーザビームECU11は、表示画面40の表示内容を利用してインタラクティブに車両用ナビゲーション装置12に対する地図スクロール操作、縮尺変更操作をユーザが行えば、車両用ナビゲーション装置12が画像として表示することになる地図画像を、表示画面40の周囲に表示させている。
【0095】
このようにすることで、ユーザは、車両用ナビゲーション装置12に対して特定の操作(すなわち、スクロール操作、縮尺変更操作)をするまでもなく、その操作によって得られる情報を、現在の車両用ナビゲーション装置12の表示と併せて、確認することができる。
【0096】
(第3の例:POI表示)
レーザビームECU11は、車両用ナビゲーション装置12が地図画像(またはPOIを検索するための画像)を表示画面40に表示し、かつ、当該画像がPOIを含んでおり、かつドライバーが車両用ナビゲーション装置12の操作部23を操作してPOIを選択したことに基づいて、ステップ110で照射開始タイミングが訪れたと判定する。
【0097】
この判定のために、制御回路27は、表示しているPOIをドライバーが選択したことを検出したことに基づいて、その旨の情報をレーザビームECU11に送信するようになっている。なお、制御回路27は、表示画面40に表示しているPOIの画像(第1の画像の一例に相当する)が選択された旨の情報(以下、POI選択情報という)には、選択されたPOIに関連する情報を含めるようになっている。POIに関連する情報としては、例えば、地図データ中の当該POIの詳細情報、自車位置から当該POIまでの誘導経路の全行程を含む地図画像、自車両の現在位置座標、自車両の走行方向、当該POIの位置座標等がある。
【0098】
このように制御回路27から送信されたPOI選択情報の受信に基づいて照射開始タイミングであると判定した場合、レーザビームECU11は、ステップ120でレーザ表示方法を決定し、続いてステップ130で音声アナウンスなしと判定し、さらにステップ135でレーザ照射装置3を制御して可視光レーザを照射させる。
【0099】
この場合に採用するレーザ表示方法は、図8に示すように、画像表示装置22の表示画面40の周囲のインストルメントパネル7部分、または、表示画面40の周囲の画像表示装置22の表示画面40の周囲のウインドシールド34部分に、表示画面40内のPOIに関連する情報の画像(第2の画像の一例に相当する)を表示させる。
【0100】
例えば、図8の例のように、表示画面40の右側のインストルメントパネル7には、自車両の位置からPOIまでの方向を示す矢印51を表示させるようになっていてもよい。この矢印51は、全体を一度に表示するようになっていてもよいし、あるいは、矢印51の後尾から先端まで断続的に点を表示させるようになっていてもよい。後者の場合、可視光レーザによる光点が点滅しながら当該POIの方向に向かっていくようにドライバーには見える。このような表示を行うことで、POIまでの方向を容易に把握することができる。
【0101】
また例えば、表示画面40の左側のインストルメントパネル7に、当該POIの詳細情報(具体的には、釣りができる旨を示すマーク、ゴルフができる旨を示すマーク、サーフィンができる旨を示すマーク)を表示する。なお、車両の現在位置から当該POIまでの方向は、受信したPOI選択情報中の、自車両の現在位置座標、自車両の走行方向、当該POIの位置座標に基づいて特定する。このような表示を行うことで、表示画面40の表示を邪魔することなくドライバーに当該POIの詳細情報を提供できる。
【0102】
また例えば、表示画面40の上側のウインドシールド34に、自車位置から当該POIまでの誘導経路の全行程を含む地図画像を表示させるようになっていてもよい。このような表示を行うことで、当該POIを目的地として決定するか否かをドライバーが判断するために有益な情報を提供することができる。
【0103】
このように、レーザビームECU11は、車両用ナビゲーション装置12が地図画像を表示画面40に表示し、かつ、当該画像がPOIを含んでおり、かつドライバーが車両用ナビゲーション装置12の操作部23を操作してPOIを選択したことに基づいて、POIに関連する情報(例えば、POIの詳細情報、POIまでの経路、地図を基準とするPOIへの方向)を含む画像を、表示画面40の周囲に表示させるようになっている。
【0104】
このように、従来ならばPOIを選択したことに基づいて車両用ナビゲーション装置12の表示可能範囲内(すなわち、表示画面40の範囲内)に表示されるPOI関連情報が、表示可能範囲外において可視光レーザビームによって表示される。したがって、POIに関連する情報の表示が、車両用ナビゲーション装置12による地図等の表示を邪魔することがなくなる。
【0105】
(第4の例:問い合わせ表示)
レーザビームECU11は、車両用ナビゲーション装置12がドライバーへの質問の画像(第1の画像の一例に相当する)を表示画面40に表示させていることに基づいて、ステップ110で照射開始タイミングが訪れたと判定する。ここで質問の画像とは、例えば、誘導経路の経路案内を開始するか否かを問い合わせる文章の画像等、車両用ナビゲーション装置12の作動内容を決定するために必要な情報をドライバーに入力させるよう促す質問の画像である。
【0106】
この判定のために、制御回路27は、ドライバーへの質問の画像を表示画面40に表示させたことに基づいて、その旨の情報をレーザビームECU11に送信するようになっている。なお、制御回路27は、表示画面40に質問を表示させている旨の情報(以下、質問表示情報という)には、当該質問に対する回答の選択肢(例えば、「はい」または「いいえ」)の情報を含めるようになっている。
【0107】
このように制御回路27から送信された質問表示情報の受信に基づいて照射開始タイミングであると判定した場合、レーザビームECU11は、ステップ120でレーザ表示方法を決定し、続いてステップ130で音声アナウンスありと判定し、さらにステップ140でレーザ照射装置3を制御して可視光レーザを照射させると共に、スピーカ8を用いて質問に対する回答を促す音声出力する。ここで、出力する音声は、質問の文章を読み上げる音声であってもよい。
【0108】
この場合に採用するレーザ表示方法は、図9に示すように、表示画面40の周囲のインストルメントパネル7に、当該質問に対する回答の選択肢の画像56、57(第2の画像の一例に相当する)を列挙して表示する方法である。このような選択肢画像56、57は、画像表示装置22の表示画面40中で表示されている質問に対する回答の選択肢であるという点で、表示画面40中の画像に関連した画像であると言える。
【0109】
続いてレーザビームECU11は、ステップ150で、その音声の返答のドライバー音声をマイク9を介して取得するまで待つ。そして、当該ドライバー音声に対して所定の音声認識を行うことで、当該音声が回答の選択肢のいずれに該当するかを特定し、続いてステップ160で、特定した選択肢を制御回路27に送信する。すると制御回路27は、受信した選択肢に従った作動を行う。
【0110】
このように、レーザビームECU11は、車両用ナビゲーション装置12がドライバーへの質問を表示させていることに基づいて、それぞれが当該質問に対する回答の選択肢の1つとなる複数の選択肢画像56、57を、表示画面40の周囲に表示させるようになっていてもよい。
【0111】
このようになっていることで、車両用ナビゲーション装置12におけるドライバーへの質問に対する回答の選択肢を、車両用ナビゲーション装置12が表示する必要がなくなる。実際、図9の例では、制御回路27は、表示画面40内に選択肢のボタンアイコンを表示させていない。
【0112】
したがって、車両用ナビゲーション装置12が選択肢の画像を表示画面40内に表示してしまった結果、その選択肢画像が表示画面40内の本来の表示を隠してしまうということがなくなる。
【0113】
またレーザビームECU11は、質問に対する回答を音声で受け付け、受け付けた回答を車両用ナビゲーション装置12に渡すようになっている。このようにすることで、操作部23を用いて操作できる選択肢の画像が表示画面40内になくても、音声で選択肢の1つを選択することができる。また、ドライバーが手を動かす手間を省くことができる。
【0114】
なお、レーザビームECU11は、質問に対する回答を音声で受け付けるのではなく、ドライバーによる当該複数の選択肢画像56、57のいずれかへのタッチによって受け付け、受け付けた回答を車両用ナビゲーション装置12に渡すようになっていてもよい。
【0115】
このために、レーザ照射装置3は、室内カメラ5の撮影範囲内に選択肢画像56、57を表示させ、レーザビームECU11は、カメラECU16から出力された画像に基づいて、周知の画像認識技術を用いてドライバーの指の位置を特定し、特定した指の位置が選択肢画像56、57のいずれかの近傍(例えば、いずれかから1cm未満の位置)にあれば、指の近傍にある当該選択肢画像に対応する選択肢を、質問に対する回答として車両用ナビゲーション装置12に渡すようになっていてもよい。このようにすることで、レーザ照射装置3によって表示する選択肢画像56、57が、ドライバーにとってはボタンと同じように機能するように見える。
【0116】
(第5の例:階層メニュー表示)
レーザビームECU11は、車両用ナビゲーション装置12が階層メニュー表示処理において、メニュー画像(第1の画像の一例に相当する)を画像表示装置22に表示させており、かつ、そのメニュー画像中のボタンアイコンをドライバーが暫定的に選択したことに基づいて、ステップ110で照射開始タイミングが訪れたと判定する。
【0117】
この判定のために、制御回路27は、階層メニュー表示処理において、メニュー画像を画像表示装置22に表示させている旨の情報(以下、メニュー画像情報という)とボタンアイコンが暫定的に選択された旨の情報(以下、暫定選択情報という)をレーザビームECU11に送信するようになっている。なお、制御回路27は、メニュー画像情報には、当該メニュー画像中の各ボタンアイコンの配置と、各ボタンアイコンに割り当てられた次階層のメニュー画像そのもの、および、当該メニュー画像の機能の詳細説明情報を含めるようになっている。また、制御回路27は、操作部23のメカニカルスイッチによってボタンアイコンの1つが暫定的に選択された旨の情報、および、暫定的に選択されたボタンアイコンを特定する情報を、暫定選択情報に含めるようになっている。
【0118】
なお、ドライバーがボタンアイコンを暫定的に選択する方法としては、ドライバーが指を当該ボタンアイコンから所定の距離内に近づけるという方法もある。レーザビームECU11は、このような方法による暫定的な選択を、以下のようにして検出する。すなわち、レーザビームECU11は、カメラECU16から出力された画像(すなわち、室内カメラ5による表示画面40の近傍の撮影画像)に基づいて、周知の画像認識技術を用いてドライバーの指の位置を特定し、特定した指の位置がボタンアイコンのいずれか1つの近傍(例えば、いずれかから1cm未満の位置)にあれば、当該ボタンアイコンに対する暫定的な選択があったと判定する。
【0119】
このように制御回路27から送信されたメニュー画像情報および暫定選択情報の受信(またはメニュー画像情報の受信および暫定選択の検出)に基づいて照射開始タイミングであると判定した場合、レーザビームECU11は、ステップ120でレーザ表示方法を決定し、続いてステップ130で音声アナウンスなしと判定し、さらにステップ135でレーザ照射装置3を制御して可視光レーザを照射させる。
【0120】
この場合に採用するレーザ表示方法は、図10に示すように、表示画面40の周囲のインストルメントパネル7部分に、暫定的に選択したボタンアイコン58(例えば、空調制御用ボタンアイコン)に割り当てられた次階層のメニュー画像(例えば、空調制御用のボタンアイコンを含むメニュー画像)を表示させる方法である。この次階層のメニュー画像が、第2の画像の一例に相当する。このような次階層のメニュー画像は、画像表示装置22の表示画面40中のメニュー画像の次の階層の画像であるという点で、表示画面40中の画像に関連した画像であると言える。
【0121】
あるいは、この場合に採用するレーザ表示方法は、表示画面40の周囲のインストルメントパネル7部分(または運転席側フロントピラー92部分)に、暫定的に選択したボタンアイコンに割り当てられたメニュー画像の機能(例えば、空調制御機能)の詳細説明の画像(例えば、次階層でどのような機能が利用できるかについての説明の画像)を表示させる方法であってもよい。この次階層のメニュー画像の詳細説明の画像が、第2の画像の一例に相当する。このような次階層のメニュー画像の詳細説明の情報は、画像表示装置22の表示画面40中のメニュー画像の次の階層の画像の説明であるという点で、表示画面40中の画像に関連した画像であると言える。
【0122】
なお、運転席側フロントピラー92部分に表示された説明は、運転席側フロントピラー92が表示画面40よりもドライバーから遠いので、自車両の前方を見ているドライバーにとっては目の焦点移動を行う手間が軽減される。
【0123】
以上説明した通り、レーザビームECU11は、車両用ナビゲーション装置12が、木構造で関連し合っている複数のメニュー画像のうち1つを表示しているとき、第1の画像の次の階層のメニュー画像を、第2の画像として、表示画面40の外部に、可視光レーザで表示させるようになっている。このようになっていることで、ユーザは、次階層のメニュー画像がどのようになっているかを、前もって把握することができる。
【0124】
また、レーザビームECU11は、車両用ナビゲーション装置12が、ボタンアイコン(ドライバーが個々に選択可能な複数の可選択画像)を含む画像を表示しているとき、これら複数のボタンアイコンのうち1つをユーザが暫定的に選択したことに基づいて、当該1つのボタンアイコンをユーザが確定的に選択したならば車両用ナビゲーション装置12が表示するであろう画像を、表示画面40の外部に、可視光レーザで表示させるようになっている。
【0125】
このようになっていることで、ユーザは、表示画面40の画像中の複数のボタンアイコンのうち所望のものを暫定的に選択することで、そのボタンアイコンを確定的に選択した際の画像表示を前もって知ることができる。
【0126】
また、レーザビームECU11は、車両用ナビゲーション装置12が、複数のボタンアイコンを含む画像を表示画面40に表示させているとき、それら複数のボタンアイコンのうち1つをユーザが暫定的に選択したことに基づいて、当該1つのボタンアイコンに割り当てられている機能の詳細情報を、表示画面40の外部に、可視光レーザで表示させるようになっている。
【0127】
このようになっていることで、ユーザは、第1の画像中の複数の可選択画像のうち所望のものを暫定的に選択することで、その可選択画像に割り当てられている機能の情報を前もって知ることができる。
【0128】
また、レーザビームECU11は、表示画面40中の表示内容を利用して車両用ナビゲーション装置12に対する確定操作をユーザが行えば車両用ナビゲーション装置12が画像として表示することになる画像を、表示画面40の外部に、可視光レーザで表示させるようになっている。
【0129】
このようにすることで、ユーザは、車両用ナビゲーション装置12に対して特定の操作(例えば、メニュー画像中のボタンアイコンに対して確定的に選択する操作)をするまでもなく、その操作によって得られる情報を、現在の車両用ナビゲーション装置12の表示と併せて、確認することができる。
【0130】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0131】
例えば、レーザビームECU11は、メータECU14が車両の走行状態に関する情報(例えば、総走行距離、平均燃費等)をメータ90に表示させていることに基づいて、レーザ照射装置3を制御して、可視光レーザを用いて、同じ情報を、運転席側フロントピラー92に表示させるようになっていてもよい。このようになっていることで、ドライバーは、メータ90を見るまでもなく、運転席側フロントピラー92を見ることで、車両の走行状態に関する情報を確認することができる。この運転席側フロントピラー92の位置は、メータ90の位置に比べれば、車両前方を見ているドライバーの視線移動量が少なく、かつ、目の焦点距離の変化量も少ない。しかも、総走行距離、平均燃費といった、必ずしも頻繁に見る必要のない情報を、ウインドシールド34ではなく、運転席側フロントピラー92に表示させることで、重要度の低い情報で車両前方の視界を邪魔してしまうことがなくなる。
【0132】
また例えば、上記実施形態においては、可視光レーザビームを用いずに画像を表示する車載画像表示装置として、車両用ナビゲーション装置12、メータECU14が例示されているが、可視光レーザビームを用いずに画像を表示する車載画像表示装置は、これらのようなものに限らず、例えば、ヘッドアップディスプレイであってもよい。
【0133】
また例えば、第4の例においては、車両用ナビゲーション装置12の制御回路27は、画像表示装置22の表示画面40に、質問の画像を表示させず、音のみで質問を出力するようになっていてもよい。このようになっていることで、表示画面40中の他の表示(例えば地図表示)が邪魔される可能性が低下する。
【0134】
また例えば、上記の実施形態において、制御回路27、レーザビームECU11がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本発明の実施形態に係る可視光レーザビーム照射システムが搭載された車両の車室1内を概略的に示す図である。
【図2】可視光レーザビーム照射システムの電気的接続関係を示す図である。
【図3】ウインドシールド34、インストルメントパネル7への可視光レーザの照射方法を示す図である。
【図4】車両用ナビゲーション装置12の構成を示すブロック図である。
【図5】レーザビームECU11が実行する処理のフローチャートである。
【図6】第1の例におけるレーザ照射装置3の表示内容を示す図である。
【図7】第2の例におけるレーザ照射装置3の表示内容を示す図である。
【図8】第3の例におけるレーザ照射装置3の表示内容を示す図である。
【図9】第4の例におけるレーザ照射装置3の表示内容を示す図である。
【図10】第5の例におけるレーザ照射装置3の表示内容を示す図である。
【符号の説明】
【0136】
1 車室
3 レーザ照射装置
5 室内カメラ
7 インストルメントパネル
8 スピーカ
9 マイク
11 レーザビームECU
12 車両用ナビゲーション装置
14 メータECU
16 カメラECU
22 画像表示装置
27 制御回路
34 ウインドシールド
36 ミラー
40 表示画面
49 周囲地図画像
56 選択肢画像
90 メータ
92 運転席側フロントピラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内に可視光レーザビームを照射するレーザ照射装置(3)と、
前記レーザ照射装置(3)による前記可視光レーザビームの照射態様を制御する制御装置(11)と、を備え、
前記制御装置(11)は、可視光レーザビームを用いずに画像を表示する車載画像表示装置(12、14)が表示している第1の画像に関連した第2の画像を、前記車載画像表示装置の表示可能範囲以外の部分に表示させるために、前記可視光レーザビームの照射態様を制御することを特徴とする可視光レーザビーム照射システム。
【請求項2】
前記制御装置(11)は、前記第1の画像の表示内容を利用して前記車載画像表示装置(12)に対する操作をユーザが行えば前記車載画像表示装置(12)が画像として表示することになる画像を、前記第2の画像に含めることを特徴とする請求項1に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項3】
前記車載画像表示装置(12)は目的地までの誘導経路を案内するナビゲーション装置であり、
前記制御装置(11)は、前記車載画像表示装置(12)が前記誘導経路上の案内交差点の拡大図を、前記第1の画像として表示していることに基づいて、前記拡大図において前記誘導経路が曲折する方向を示す画像を、前記第2の画像として、レーザ照射装置(3)に表示させることを特徴とする請求項1に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項4】
前記車載画像表示装置(14)は、ナビゲーション装置が算出した誘導経路に沿って前記車両が次にどの方向に曲折するかを矢印で表示するメータ(90)であり、
前記制御装置(11)は、前記車載画像表示装置(14)が前記矢印を前記第1の画像として表示していることに基づいて、前記矢印が示す曲折方向を示す画像を、前記第2の画像として、前記レーザ照射装置(3)に表示させることを特徴とする請求項1に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項5】
前記制御装置(11)は、前記第2の画像の表示位置を、ウインドシールド上の位置であり、かつ、前記車両のドライバーから曲折先の道路までの視線方向上の位置とすることを特徴とする請求項3または4に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項6】
前記制御装置(11)は、前記車載画像表示装置(12)が地図画像を前記第1の画像として表示していることに基づいて、前記第2の画像として、前記第1の画像中の地図を外に延長した地図を、前記第1の画像の表示領域に表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項7】
前記制御装置(11)は、前記車載画像表示装置(12)が表示する前記第1の画像がPOIを含んでおり、かつ前記ドライバーが前記車載画像表示装置(12)を操作して前記POIを選択したことに基づいて、前記POIに関連する情報を含む画像を、前記第2の画像として表示させることを特徴とする請求項1に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項8】
前記制御装置(11)は、前記車載画像表示装置(12)が前記第1の画像としてドライバーへの質問を表示させていることに基づいて、それぞれが前記質問に対する回答の選択肢の1つとなる複数の選択肢画像を、前記第2の画像として表示させることを特徴とする請求項1に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項9】
前記制御装置(11)は、前記質問に対する回答を、音声で受け付け、受け付けた回答を前記車載画像表示装置(12)に渡すことを特徴とする請求項8に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項10】
前記制御装置(11)は、前記質問に対する回答を、前記ドライバーによる前記複数の選択肢画像のいずれかへのタッチによって受け付け、受け付けた回答を前記車載画像表示装置(12)に渡すことを特徴とする請求項8に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項11】
前記制御装置(11)は、前記車載画像表示装置(12)が、階層構造の複数のメニュー画像のうち1つを前記第1の画像として表示しているとき、前記第1の画像の次の階層のメニュー画像を、前記第2の画像として表示させることを特徴とする請求項1に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項12】
前記制御装置(11)は、前記車載画像表示装置(12)が、ドライバが個々に選択可能な複数の可選択画像を含む画像を前記第1の画像として表示しているとき、前記複数の可選択画像のうち1つをユーザが暫定的に選択したことに基づいて、当該1つの可選択画像をユーザが確定的に選択したならば前記車載画像表示装置(12)が表示するであろう画像を、前記第2の画像として表示させることを特徴とする請求項1に記載の可視光レーザビーム照射システム。
【請求項13】
前記制御装置(11)は、前記車載画像表示装置(12)が、ドライバーが個々に選択可能な複数の可選択画像を含む画像を前記第1の画像として表示しているとき、前記複数の可選択画像のうち1つをユーザが暫定的に選択したことに基づいて、当該1つの可選択画像に割り当てられている機能の情報を、前記第2の画像として表示させることを特徴とする請求項1に記載の可視光レーザビーム照射システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−250919(P2009−250919A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102253(P2008−102253)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】