説明

車両用の消費燃料量報知装置、消費燃料量報知装置用のプログラム、および、車載システム

【課題】よりユーザの走行体験に訴えるような消費燃料表示を行うことで、ユーザの利便性を高める。
【解決手段】実燃料消費率、および、所定のオフセット温度だけオフセットした設定温度で消費する電力を発生するのに必要な単位時間当たりの燃料消費量である仮燃料消費率を空調システムから繰り返し取得し、取得した実燃料消費率に基づいて記録期間中の累積実燃料消費量を算出し、種痘下仮燃料消費率に基づいて、空調システムの設定温度を実際の設定温度よりオフセット温度だけオフセットしたなら空調システムが前記記録期間内に消費したであろう燃料の総量を算出して累積仮燃料消費量とし、累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の組を、走行履歴データに記録する。そして、走行履歴データに記録された複数個の組を読み出し、読み出した複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和と、読み出した複数個の組に渡る累積仮燃料消費量の総和とを報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の消費燃料量報知装置および消費燃料量報知装置用のプログラム、および、車載システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両内において、現在の室内温度、現在の燃費、変更後の室内温度、室内温度変更後の燃費予想値を表示する装置が開示されている。この装置では、現在の室内温度に応じた空調装置の消費燃料および変更後の室内温度に応じた空調装置の消費燃料を計算した上で、それらを燃費予想値に反映している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−166868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の技術は、変更前の室内温度として、単に現在の室内温度を採用しているに過ぎず、その室内温度下で過去に車両が運転されたとは限らない。現在の室内温度で過去に車両が運転されていない場合は、その室内温度が車両のユーザにとってのような体感を与えるのかを、ユーザは体験していないことになる。そのような体験のない温度における燃費を、変更後の温度における燃費の比較対象として表示されても、ユーザにとって実感の薄い表示となってしまい、利便性は低くなる。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、よりユーザの走行体験に訴えるような消費燃料表示を行うことで、ユーザの利便性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、空調システム(2)が搭載された車両用の消費燃料報知装置であって、所定の記録開始条件が満たされてから所定の記録終了条件が満たされるまでの記録期間において、前記空調システム(2)が現在の設定温度で消費する電力を発生するのに必要な単位時間当たりの燃料消費量である実燃料消費率を前記空調システム(2)から繰り返し取得すると共に、前記空調システム(2)が現在の設定温度よりも所定のオフセット温度だけオフセットした設定温度で消費する電力を発生するのに必要な単位時間当たりの燃料消費量である仮燃料消費率を前記空調システム(2)から繰り返し取得する取得手段(210、220)と、前記取得手段(210、220)が前記記録期間において取得した実燃料消費率に基づいて、前記空調システム(2)が前記記録期間内において消費した燃料の総量を算出して累積実燃料消費量とし、前記取得手段(210、220)が前記記録期間内に取得した仮燃料消費率に基づいて、前記空調システム(2)の設定温度を実際の設定温度より前記オフセット温度だけオフセットしたなら前記空調システム(2)が前記記録期間内に消費したであろう燃料の総量を算出して累積仮燃料消費量とし、前記累積実燃料消費量および前記累積仮燃料消費量の組を、走行履歴データに記録する記録手段(240)と、前記記録手段(240)によって複数の記録期間のそれぞれにおける累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の組が前記走行履歴データに記録された結果、累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の複数個の組が前記走行履歴データに記録されているとき、前記走行履歴データに記録された前記複数個の組を読み出し、読み出した前記複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量またはその換算量と、読み出した前記複数個の組に渡る累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知するか、もしくは、前記総和実燃料消費量と前記総和仮燃料消費量の差またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知する報知手段(310〜370)と、を備えた消費燃料報知装置である。
【0007】
このように、累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の複数個の組が走行履歴データに記録されているとき、車両用の消費燃料報知装置が、それら複数個の組を読み出し、読み出した複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量(またはその換算量)と、累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量(またはその換算量)と、の両方またはそれらの差分(またはその換算量)を報知し、それに加え、オフセット温度も報知する。したがって、この報知を受けたユーザは、あと何度我慢すればどれだけ燃料消費量を節約できるかを知ることができる。
【0008】
また、走行履歴データは、車両の使用時に実際に空調システム(2)に設定された設定温度に基づく累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量が記録されているので、そのような量に基づく報知は、ユーザが実際に経験している設定温度を基準とした報知なので、オフセット温度だけ我慢するということを実感し易い。つまり、よりユーザの走行体験に訴えるような消費燃料表示を行うことができ、その結果、ユーザの利便性を高めることができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の消費燃料報知装置において、前記記録手段は(240)は、前記累積実燃料消費量および前記累積仮燃料消費量の組を、前記記録期間内に車両が走行した経路に関連付けて、前記走行履歴データに記録し、前記報知手段(310〜370)は、ユーザの操作に基づいて経路を選択し、前記走行履歴データに記録された組のうち、選択した前記経路に関連付けられた複数個の組を読み出し、読み出した前記複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量またはその換算量と、読み出した前記複数個の組に渡る累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知するか、もしくは、前記総和実燃料消費量と前記総和仮燃料消費量の差またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知することを特徴とする。
【0010】
ユーザが体験した設定温度が経路毎に異なる傾向が強くなっている場合もあるので、そのような場合には、上記のようにすることで、ユーザが過去に通った経路毎に、ユーザの走行体験に訴えるような消費燃料表示を行うことができ、その結果、更にユーザの利便性を高めることができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の消費燃料報知装置において、前記記録手段は(240)は、前記累積実燃料消費量および前記累積仮燃料消費量の組を、前記記録期間が属する時期に関連付けて、前記走行履歴データに記録し、前記報知手段(310〜370)は、ユーザ操作内容または現在の日付に基づいて時期を選択し、前記走行履歴データに記録された組のうち、選択した時期に関連付けられた複数個の組を読み出し、読み出した前記複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量またはその換算量と、読み出した前記複数個の組に渡る累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知するか、もしくは、前記総和実燃料消費量と前記総和仮燃料消費量の差またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知することを特徴とする。
【0012】
設定温度は時期(季節等)毎に異なる傾向が強くなっているので、そのような場合には、上記のようにすることで、ユーザが過去に走行した時期毎に、ユーザの走行体験に訴えるような消費燃料表示を行うことができ、その結果、更にユーザの利便性を高めることができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の消費燃料報知装置において、前記取得手段(210、220)は、所定の記録開始条件が満たされてから所定の記録終了条件が満たされるまでの記録期間において更に、前記空調システム(2)の現在の設定温度と、前記車両の現在の室内温度とを繰り返し取得し、前記記録手段(240)は、前記記録期間に含まれる所定の統計化期間内に前記取得手段(210、220)が取得した設定温度の代表値を算出して代表設定温度とし、前記代表設定温度、前記記録期間と同じ記録期間に対して算出した累積実燃料消費量、および、前記記録期間と同じ記録期間に対して算出した前記累積仮燃料消費量の組を、前記走行履歴データに記録し、前記報知手段(310〜370)は、前記走行履歴データに記録された前記複数個の組を読み出し、読み出した前記複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量またはその換算量と、読み出した前記複数個の組に渡る累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量またはその換算量と、読み出した前記複数個の組に渡る代表設定温度の代表値である大代表設定温度と、前記オフセット温度と、を報知するか、もしくは、前記総和実燃料消費量と前記総和仮燃料消費量の差またはその換算量と、前記大代表設定温度と、前記オフセット温度と、を報知することを特徴とする。
【0014】
このように、ある記録期間に含まれる所定の統計化期間内に取得された設定温度の代表値を、同じ記録期間に対する累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量と組にして、走行履歴データに記録し、また、そのようにして記録された設定温度代表値に基づいて大代表設定温度を更に報知することで、ユーザは、自分が過去に実際に経験した設定温度の大まかな目安を得ることができる。つまり、あと何度我慢すればどれだけ燃料消費量を節約できるかという報知を、より鮮明に実感できるようになる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の消費燃料報知装置において、前記記録開始条件は、前記車両の主電源がオンとなったという条件、または、前記車両が走行を開始したという条件を含み、前記記録手段(240)は、前記記録期間のうち、前記記録期間内に取得した室内温度が前記記録期間内に取得した設定温度に最初に収束したと判定して以降の期間を前記統計化期間とすることを特徴とする。
【0016】
このようにするのは、車両への搭乗時において室内温度が非常に高い(あるいは非常に低い)場合には、ユーザは設定温度を実際の好みの温度よりも低く(あるいは高く)設定することで、室内温度を早く好みの温度に近づけようとする可能性があるからである。ユーザがこのようにして設定した初期の設定温度は、室内温度が好みの温度に近づいた時点で修正され、実際の好みの温度に設定されることになる。したがって、このような初期の設定温度は、室内温安定後のユーザの体感との関連が薄く、上記のように代表値の算出対象の範囲から除外することで、設定温度の代表値とユーザの体感との関連がより強くなる。
【0017】
ただし、累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量については、初期の設定温度が結局は好みの温度に室内温度を近づけるためのものであることを考えれば、累積の算出対象を統計化期間に絞る必要性は乏しく、また、絞ってしまうと累積燃料消費量自体が不正確になってしまうので、累積の算出対象を統計化期間に絞らない。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、空調システム(2)が搭載された車両用の消費燃料報知装置に用いるプログラムであって、所定の記録開始条件が満たされてから所定の記録終了条件が満たされるまでの記録期間において、前記空調システム(2)が現在の設定温度で消費する電力を発生するのに必要な単位時間当たりの燃料消費量である実燃料消費率を前記空調システム(2)から繰り返し取得すると共に、前記空調システム(2)が現在の設定温度よりも所定のオフセット温度だけオフセットした設定温度で消費する電力を発生するのに必要な単位時間当たりの燃料消費量である仮燃料消費率を前記空調システム(2)から繰り返し取得する取得手段(210、220)、前記取得手段(210、220)が前記記録期間において取得した実燃料消費率に基づいて、前記空調システム(2)が前記記録期間内において消費した燃料の総量を算出して累積実燃料消費量とし、前記取得手段(210、220)が前記記録期間内に取得した仮燃料消費率に基づいて、前記空調システム(2)の設定温度を実際の設定温度より前記オフセット温度だけオフセットしたなら前記空調システム(2)が前記記録期間内に消費したであろう燃料の総量を算出して累積仮燃料消費量とし、前記累積実燃料消費量および前記累積仮燃料消費量の組を、走行履歴データに記録する記録手段(240)、および前記記録手段(240)によって複数の記録期間のそれぞれにおける累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の組が前記走行履歴データに記録された結果、累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の複数個の組が前記走行履歴データに記録されているとき、前記走行履歴データに記録された前記複数個の組を読み出し、読み出した前記複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量またはその換算量と、読み出した前記複数個の組に渡る累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知するか、もしくは、前記総和実燃料消費量と前記総和仮燃料消費量の差またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知する報知手段(310〜370)として、コンピュータを機能させるプログラムである。このように、本発明の特徴は、消費燃料報知装置に用いるプログラムの特徴としても捉えることができる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、空調システム(2)が搭載された車両用の車載システムであって、前記空調システム(2)が現在の設定温度で消費する電力を発生するのに必要な単位時間当たりの燃料消費量である実燃料消費率を特定する実燃料消費率特定手段(110)と、前記空調システム(2)が現在の設定温度よりも所定のオフセット温度だけオフセットした設定温度で消費する電力を発生するのに必要な単位時間当たりの燃料消費量である仮燃料消費率を、温度に仮燃料消費率または仮燃料消費率に換算可能な量が割り当てられたテーブルに基づいて特定する仮燃料消費率特定手段(120)と、所定の記録開始条件が満たされてから所定の記録終了条件が満たされるまでの記録期間において、前記実燃料消費率特定手段(110)が特定した実燃料消費率を繰り返し取得すると共に、前記仮燃料消費率特定手段(120)が特定した仮燃料消費率を繰り返し取得する取得手段(210、220)と、前記取得手段(210、220)が前記記録期間において取得した実燃料消費率に基づいて、前記空調システム(2)が前記記録期間内において消費した燃料の総量を算出して累積実燃料消費量とし、前記取得手段(210、220)が前記記録期間内に取得した仮燃料消費率に基づいて、前記空調システム(2)の設定温度を実際の設定温度より前記オフセット温度だけオフセットしたなら前記空調システム(2)が前記記録期間内に消費したであろう燃料の総量を算出して累積仮燃料消費量とし、前記累積実燃料消費量および前記累積仮燃料消費量の組を、走行履歴データに記録する記録手段(240)と、前記記録手段(240)によって複数の記録期間のそれぞれにおける累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の組が前記走行履歴データに記録された結果、累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の複数個の組が前記走行履歴データに記録されているとき、前記走行履歴データに記録された前記複数個の組を読み出し、読み出した前記複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量またはその換算量と、読み出した前記複数個の組に渡る累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知するか、もしくは、前記総和実燃料消費量と前記総和仮燃料消費量の差またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知する報知手段(310〜370)と、を備えた車載システムである。
【0020】
このように、車両用の消費燃料報知装置が、累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の複数個の組が走行履歴データに記録されているとき、それら複数個の組を読み出し、読み出した複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量(またはその換算量)と、累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量(またはその換算量)と、の両方またはそれらの差分を報知し、それに加え、オフセット温度も報知する。したがって、この報知を受けたユーザは、あと何度我慢すればどれだけ燃料消費量を節約できるかを知ることができる。
【0021】
また、走行履歴データは、車両の使用時に実際に空調システム(2)に設定された設定温度に基づく累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量が記録されているので、そのような量に基づく報知は、ユーザが実際に経験している設定温度を基準とした報知なので、オフセット温度だけ我慢するということを実感し易い。つまり、よりユーザの走行体験に訴えるような消費燃料表示を行うことができ、その結果、ユーザの利便性を高めることができる。
【0022】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る車載システムの構成を示す図である。
【図2】空調制御部20からナビゲーション制御部10に出力される情報を示す図である。
【図3】空調制御部20が実行する情報提供処理のフローチャートである。
【図4】消費電力テーブルの構成を示す図である。
【図5】ナビゲーション制御部10が実行する走行データ学習処理のフローチャートである。
【図6】ナビゲーション制御部10が空調制御部20から受ける物理量の推移を示すグラフである。
【図7】ナビゲーション制御部10が実行するDB作成処理のフローチャートである。
【図8】走行履歴データの構成例を示す図である。
【図9】ナビゲーション制御部10が実行する報知処理のフローチャートである。
【図10】走行履歴データの使用例を示す図である。
【図11】消費燃料報知の一例を示す図である。
【図12】消費燃料報知の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車載システムの構成を示す。この車載システムは、ハイブリッド車両に搭載される。ハイブリッド車両は、内燃機関であるエンジンの動力と、バッテリの電力で作動する電動モータの動力とによって車両を走行させる車両である。
【0025】
この車載システムは、ナビゲーションシステム1(消費燃料報知装置の一例に相当する)および空調システム2を備えている。ナビゲーションシステム1は、設定された目的地までの最適な誘導経路を算出し、算出した誘導経路を案内する周知のシステムである。空調システム2は、ユーザが設定した設定温度および各種センサから取得した物理量に基づいて、車両の車室内に吹き出す空気の温度を調節するシステムである。
【0026】
ナビゲーションシステム1は、ナビゲーション制御部10(コンピュータに相当する)、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、音声出力部14、記憶部15等を備えている。位置検出器11は、GPS受信機、車速センサ、ジャイロセンサ等、車両の現在位置を特定するための信号をナビゲーション制御部10に出力するセンサである。画像表示装置12は、ナビゲーション制御部10の制御に従って文字や画像をユーザに表示する液晶ディスプレイ等の装置である。操作部13は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に応じた信号をナビゲーション制御部10に出力する装置である。音声出力部14は、ナビゲーション制御部10の制御に従って音声を車室内に出力する、アンプ、スピーカ等の装置である。
【0027】
記憶部15は、地図データ等のデータを記憶する記憶媒体である。地図データは、道路を表すリンクの位置、形状、接続関係を示す道路データ、施設(ホテル、レストラン、コンビニエンスストア等)の位置を示す施設データ等から成る。
【0028】
本実施形態においては、この記憶媒体は、磁気記憶媒体(HDD)、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性の記憶媒体であり、後述する走行履歴データも記録されるようになっている。
【0029】
ナビゲーション制御部10は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えた制御回路(例えばマイクロコントローラ)であって、ROMまたはフラッシュメモリに記録されたプログラムをCPUが実行することで、各種処理を実現するようになっている。
【0030】
例えば、ナビゲーション制御部10は、周知の現在位置特定処理、地図表示処理、経路算出処理、経路案内処理等を行う。現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて車両の現在位置(緯度、経度)を繰り返し特定する処理である。以下、ナビゲーション制御部10が使用する現在位置は、この現在位置特定処理によって特定した最新の現在位置とする。
【0031】
地図表示処理は、記憶部15中の地図データに基づいて、現在位置周辺の地図を画像表示装置12に表示させる処理である。経路算出処理は、ユーザの操作部13に対する目的地設定操作に従って目的地を設定し、現在位置から設定した目的地までの最適な誘導経路を地図データに基づいて算出する処理である。経路案内処理は、車両が誘導経路に沿って走行するのを案内するために、右折、左折等の音声案内および画像案内を、音声出力部14および画像表示装置12を用いて行う処理である。その他のナビゲーション制御部10の処理については後述する。
【0032】
空調システム2は、空調制御部20、外気温センサ21、室内温センサ22、日射量センサ23、設定操作部24、記憶部25、アクチュエータ26を備えている。
【0033】
外気温センサ21は、車両の外部の気温である外気温を検出して空調制御部20に出力するセンサである。室内温センサ22は、車室内の気温である室内温度を検出して空調制御部20に出力するセンサである。日射量センサ23は、車両への日射量を検出して空調制御部20に出力するセンサである。設定操作部24は、ユーザの操作を受け付けるタッチパネル、メカニカルキー等の装置であり、ユーザの操作内容に応じた信号を空調制御部20に出力する。
【0034】
記憶部25は、空調制御部20が使用する各種データが記録された記憶媒体(ROM、フラッシュメモリ等)である。この記憶部25に記録されているデータとしては、消費電力テーブルがある。消費電力テーブルについては後述する。
【0035】
アクチュエータ26は、ブロワモータ、コンプレッサ、エアミックスドア等の、空調制御のための周知のアクチュエータ群であり、空調制御部20によって制御される。更に本実施形態においては、ヒータコアに熱を供給するエンジンのアクチュエータも、空調制御部20によって制御されるアクチュエータである。
【0036】
エンジンの動力のみで走行する車両においては、エンジンから周知のヒータコアに伝わる熱量は、ほとんどの場合車室内の暖房に十分な熱量となっている。しかし、ハイブリッド車両の場合は、モータの動力のみで車両を走行させる場合もあるので、エンジンからヒータコアに伝わる熱量が車室内の暖房にとって不十分になる可能性が高くなる。そのため、暖房時には、車両の走行にとっては不必要であるにも関わらず、ヒータコアに伝える熱量を高くするためだけにエンジンの回転数を高くする場合がある。
【0037】
空調制御部20は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えた制御回路(例えばマイクロコントローラ)であって、ROMまたはフラッシュメモリに記録されたプログラムをCPUが実行することで、各種処理を実現するようになっている。
【0038】
具体的には、空調制御部20は、空調制御処理を行う。空調制御処理において空調制御部20は、外気温センサ21の出力信号に基づいて外気温を特定し、室内温センサ22の出力信号に基づいて室内温度を特定し、日射量センサ23の出力信号に基づいて日射量を特定し、設定操作部24からの出力信号に基づいて空調システム2に対する設定温度を特定し、特定した設定温度が実現するよう、アクチュエータ26を適宜制御する。
【0039】
その空調制御処理の際、既に説明した通り、暖房時に、ヒータコアに伝える熱量を高くするためだけにエンジンの回転数を高くする制御を行う場合もある。そのような制御を開始する条件、そのような制御の具体的内容は、周知である。
【0040】
以下、本実施形態において特徴的なナビゲーションシステム1、空調システム2の作動について説明する。図2に示すように、空調制御部20は、ナビゲーション制御部10に対して、室内温度、設定温度、実燃料消費量、仮燃料消費量等の情報を、繰り返し出力するようになっている。
【0041】
そのために、空調制御部20は、上記のような空調制御処理と同時に、情報提供処理を行う。情報提供処理において空調制御部20は、車両のIGオンからIGオフまでの期間中に、図3に示す処理を繰り返し定期的に(例えば1秒周期で)実行するようになっている。
【0042】
まずステップ110では、最新の外気温センサ21の出力信号に基づいて外気温を特定し、最新の室内温センサ22の出力信号に基づいて車室内の温度である室内温度を特定し、最新の日射量センサ23の出力信号に基づいて車両への日射量を特定し、空調システム2に対する設定温度を特定する。この設定温度は、空調制御部20のRAMに保持されており、設定操作部24に対してユーザが設定温度の設定操作を行ったときに、このRAM中の設定温度の値が変化する。したがって、空調システム2に対する設定温度を特定するということは、このRAM中の設定温度の値を読み出すことに相当する。
【0043】
続いてステップ120では、ステップ110で特定した外気温、室内温度、日射量、設定温度に基づいて、実消費電力を算出する。実消費電力は、現在の外気温、室内温度、日射量、設定温度において空調システム2が作動するために消費する消費電力である。
【0044】
実消費電力の算出においては、記憶部25に記録されている消費電力テーブルを用いる。消費電力テーブルは、空調システム2の性能に合わせて空調システム2の製造時に記憶部15に書き込まれるデータである。図4に、消費電力テーブルの構成例を示す。この図に示すように、消費電力テーブルは、室内温度と設定温度の組(例えば、35℃から40℃までの室内温度と24℃の設定温度の組)が複数個定義されており、各組に、当該室内温度で空調システム2に当該設定温度が設定されたときの空調システム2の消費電力が割り当てられている。図4で言えば、図4中の空白のマスには、それぞれ消費電力が割り当てられている。
この消費電力テーブルにおける消費電力の割り当てには、いくつかの特徴がある。まず、設定温度の方が室内温度よりも低い冷房時には、室内温度から設定温度を減算した結果の温度差が大きいほど、消費電力が高くなる。ただし、室内温度から設定温度を減算した結果の温度差が同じであっても、室内温度が異なれば、消費電力も異なる。具体的には、室内温度が高くなれば、消費電力が大きくなる。
【0045】
また、設定温度の方が室内温度よりも高い暖房時にも、消費電力がゼロよりも大きい場合がある。これは、上述の通り、ハイブリッド車両においては、暖房のためだけにエンジンの回転数を上げる場合があるからである。そして、暖房時には、設定温度から室内温度を減算した結果の温度差が大きいほど、消費電力が高くなる。ただし、設定温度から室内温度を減算した結果の温度差が同じであっても、室内温度が異なれば消費電力も異なる。具体的には、室内温度が高くなれば消費電力が小さくなる。
【0046】
また、室内温度と設定温度の区切りは空調システムの性能により、異なる。具体的には例では設定温度が1度ずつのテーブルになっているが、空調システムの性能によっては5度ずつのテーブルにしてもよい。
【0047】
ステップ120では、このような消費電力テーブルを用いて実消費電力を特定するのだが、その際、単にステップ110で特定した室内温度と設定温度を消費電力テーブルに適用することで、その室内温度と設定温度に割り当てられた消費電力を特定し、それを実消費電力としてもよい。
【0048】
しかし、ステップ110で特定した外気温と日射量を用いた補正を行ってもよい。具体的には、ステップ110で特定した外気温と日射量に基づいて、ステップ110で特定した設定温度を補正し、その補正結果の温度を補正後設定温度とする。そして、その補正後設定温度と、ステップ110で特定した日射量とを、消費電力テーブルに適用することで、その室内温度と設定温度に割り当てられた消費電力を特定し、それを実消費電力とする。
【0049】
この際、外気温による設定温度の補正は、以下のように行う。外気温をTout、設定温度をTset、補正後設定温度をTrefとすると、Tref=Tset+αTout+β(Tout<10)、Tref=Tset+γTout+θ(Tout>10)でTrefを決定するような補正用の式を決めておき、設定温度と外気温を入力にして、補正後設定温度を算出する。具体的には設定温度が25度、外気温が10度であれば、補正後設定温度が25度になり、外気温が0度であれば、補正後設定温度が26度にあるような係数α、βを決めておく。
【0050】
また、日射量による設定温度の補正も同様に、以下のように行う。日射量をS、設定温度をTset、補正後設定温度をTrefとすると、Tref=Tset+ΑS+ΒでTrefを決定するような補正用の式を決めておき、設定温度と日射量を入力にして、補正後設定温度を算出する。具体的には設定温度が25度、日射量が0W/mであれば、補正後設定温度が25度になり、日射量が1000W/mであれば、補正後設定温度が24度になるような係数Α、Βを決めておく。
【0051】
続いてステップ130では、ステップ110で特定した外気温、室内温度、日射量、設定温度に基づいて、仮消費電力を算出する。仮消費電力は、現在の外気温、室内温度、日射量において、空調システム2が現在の設定温度よりも所定のオフセット温度Nだけオフセットした設定温度(以下、オフセット後設定温度という)で消費する電力である。
【0052】
仮消費電力の算出においては、まずオフセット後設定温度を算出する。具体的には、ステップ110で特定した設定温度を所定のオフセット温度Nだけオフセットしてオフセット後設定温度としてもよい。つまり、
[オフセット後設定温度]=[ステップ110で特定した設定温度]+[オフセット温度N]
としてもよい。
【0053】
しかし、ステップ110で特定した外気温と日射量を用いた補正を行ってもよい。具体的には、ステップ110で特定した外気温と日射量に基づいて、ステップ110で特定した設定温度を補正し、その補正結果の温度を補正後設定温度とし、さらに、その補正後設定温度を所定のオフセット温度Nだけオフセットしてオフセット後設定温度としてもよい。つまり、
[オフセット後設定温度]=[補正後設定温度]+[オフセット温度N]
としてもよい。
【0054】
なお、オフセット温度Nは、空調システム2が冷房を行っているときと暖房を行っているときとで異なる値となる。具体的には、冷房時用のオフセット温度Nを所定の正の値(例えば1℃)とし、暖房時用のオフセット温度Nを所定の負の値(例えば−1℃)とする。このようにするのは、オフセット後温度は、車両のユーザが消費電力節減のために我慢する温度という意味付けを有しているからである。
【0055】
空調システム2が冷房を行っているか暖房を行っているか否かは、補正後設定温度を算出していない場合は設定温度と室内温度との比較によって、補正後設定温度を算出している場合は補正後設定温度と室内温度との比較によって、判定する。
【0056】
オフセット後設定温度を算出した後は、ステップ110で特定した室内温度と、当該オフセット後設定温度とを、消費電力テーブルに適用することで、その室内温度とオフセット後設定温度に割り当てられた消費電力を特定し、それを仮消費電力とする。
【0057】
続いてステップ140では、ステップ120で特定した実消費電力から、その実消費電力を発生するのに必要な単位時間(単位時間は1秒でも10秒でも1分でもよい)当たりの燃料消費量を算出し、算出結果の燃料消費量を実燃料消費率とする。
【0058】
具体的には、実燃料消費率は、車両毎にあらかじめ決定されて記憶部25に記録されている係数αを用いて、
[実燃料消費率]=α×[実消費電力]
という式で算出する。
【0059】
続いてステップ150では、ステップ130で特定した仮消費電力から、その仮消費電力を発生するのに必要な単位時間当たりの燃料消費量を算出し、算出結果の燃料消費量を仮燃料消費率とする。
【0060】
具体的には、仮燃料消費率は、上記の係数αを用いて、
[仮燃料消費率]=α×[仮消費電力]
という式で算出する。
【0061】
続いてステップ160では、ステップ110で特定した室内温度、ステップ110で特定した設定温度、ステップ140で算出した実燃料消費率、および、ステップ150で算出した仮燃料消費率を、ナビゲーション制御部10に出力する。
【0062】
以上のようなステップ110〜160の処理を繰り返すことで、空調制御部20は、室内温度、設定温度、実燃料消費率、仮燃料消費率、およびオフセット温度Nを、繰り返し定期的にナビゲーション制御部10に出力する。
【0063】
また、これらを受ける側のナビゲーション制御部10は、上述の各種処理と同時に、走行データ学習処理を繰り返し実行するようになっている。
【0064】
この走行データ学習処理においてナビゲーション制御部10は、まずステップ205で、車両のIGがオフからオンになるという条件(記録開始条件の一例に相当する)が満たされるまで待ち、満たされると、続いて、ステップ230で車両が目的地に到着したという条件(記録終了条件の一例に相当する)が満たされると判定するまで、ステップ210およびステップ220の処理を繰り返す。以下では、車両のIGがオフからオンになるという条件が満たされてから車両が目的地に到着したという条件が満たされるまでの期間を、記録期間という。
【0065】
ステップ210では、空調制御部20から室内温度、設定温度、実燃料消費率、および仮燃料消費率の情報が出力されるまで待ち、出力されると、それら情報をRAMに記録する。続いてステップ220では、経路情報を取得する。具体的には、現在位置特定処理によって特定した最新の現在位置(現在の所在位置)をRAMに記録する。
【0066】
なお、ナビゲーション制御部10は、ステップ230においては、経路案内処理を行っている場合は、目的地に対して所定の距離以内に近づいたときに、「車両が目的地に到着した」という条件が満たされたと判定してステップ240に進み、また、車両のIGがオンからオフになった場合も、「車両が目的地に到着した」という条件が満たされたと判定してステップ240に進む。
【0067】
図6に、1つの記録期間t0〜t3においてナビゲーション制御部10が取得する室内温度31、設定温度32、実燃料消費率33、仮燃料消費率34の時間推移の例を示す。図6の例は、冷房時の時間推移の例であり、ユーザが車両に搭乗してIGをオンにした時点t0では、室内温度31は非常に高くなっており、ユーザは室内温度31を早く好みの温度に下げるため、一時的に設定温度32を好みの温度よりも低い値に設定する。
【0068】
そしてある程度室内温度31が低下してきた時点t1において、ユーザは設定温度32を好みの温度まで上げる。すると、室内温度31はこの設定温度32に対して収束していき、収束した後も、設定温度32を中心に変動する。
【0069】
この際、急速に車室内を冷却する時刻t0〜t1においては、実燃料消費率33、仮燃料消費率34は比較的大きな値となる。また、その後の期間においては、室内温度31が上昇中の実燃料消費率33、仮燃料消費率34はゼロであり、室内温度31が下降中の実燃料消費率33、仮燃料消費率34はゼロより大きくなる。
【0070】
1つの記録期間が終了した後、ナビゲーション制御部10は処理をステップ230から240に進め、DB作成処理を実行する。図7に、DB作成処理のフローチャートを示す。このDB作成処理においてナビゲーション制御部10は、まずステップ242で、累積実燃料消費量を算出する。累積実燃料消費量は、直前に終了した記録期間内に空調システム2の作動のために消費した燃料の総量である。この累積実燃料消費量は、当該記録期間内に取得した実燃料消費率33を時間積分し、その結果を累積実燃料消費量とすることで得ることができる。
【0071】
続いてステップ244で、累積仮燃料消費量を算出する。累積仮燃料消費量は、直前に終了した記録期間において、空調システム2の設定温度を実際の設定温度よりオフセット温度Nだけオフセットしたなら、当該記録期間内に空調システム2の作動のために消費したであろう燃料の総量である。この累積仮燃料消費量は、当該記録期間内に取得した仮燃料消費率34を時間積分し、その結果を累積仮燃料消費量とすることで得ることができる。
【0072】
続いてステップ246では、統計化期間を決定する。統計化期間は、当該記録期間に含まれる期間であり、記録期間内に取得した室内温度31が当該記録期間内に取得した設定温度32に最初に収束して以降の期間である。
【0073】
統計化期間の具体的な決定方法は、当該記録期間内に取得した室内温度31と設定温度32とを、記録期間の開始時刻t0から時間順に順番に比較し、比較の結果、室内温度31が設定温度32に最初に収束したと初めて判定した時点t2以降で、当該記録期間の終了時点t3までの期間を、統計化期間とする。
【0074】
室内温度31が設定温度32に収束したか否かは、例えば、記録期間の開始時点t0以降、室内温度31と設定温度32の大小関係が入れ替わった回数(図6において室内温度31が設定温度32に交差する回数)が所定の複数回(図6の例では例えば4回)に達したときに、室内温度31が設定温度32に収束したと判定するようになっていてもよい。
【0075】
あるいは、室内温度31と設定温度32との差の絶対値が基準値(例えば2℃)以下の状態が基準時間(例えば1分)経過したときに、室内温度31が設定温度32に収束したと判定するようになっていてもよい。
【0076】
続いてステップ248では、当該統計化期間内に空調制御部20から取得した設定温度の平均値(代表値の一例に相当する)を算出する。
【0077】
続いてステップ249では、図8に示すように、ステップ242で算出した累積実燃料消費量、ステップ244で算出した累積仮燃料消費量、およびステップ248で算出した平均設定温度(代表設定温度の一例に相当する)の組を、記憶部15中の走行履歴データに追加記録する。ただし、その組を走行履歴データに追加記録する際には、その組を、あらかじめ登録されている経路、現在の年、および現在の月、および、現在の年および月における記録期間の通し番号に関連付けて、走行履歴データに記録する。
【0078】
当該組に関連付ける経路は、あらかじめ(例えば操作部13を用いたユーザによる登録操作によって)登録された経路のうち、当該記録期間内に特定した車両の所在位置のすべてを通る1つの経路とする。
【0079】
なお、登録されている経路は、その経路が通る位置(緯度、経度)群として登録されてもよいし、その経路が通るリンクの群として登録されてもよい。また、現在の年および月における記録期間の通し番号とは、今回のDB作成処理が、その年、月において何回目のDB作成処理であるかを示す番号である。
【0080】
また、登録された経路の中に、当該記録期間内に特定した車両の所在位置のすべてを通る経路が存在しない場合は、当該組を、「その他の経路」という経路分類項目、現在の年、および現在の月、および、現在の年および月における記録期間の通し番号に関連付けて、走行履歴データに記録する。
【0081】
このようなDB作成処理を行うことで、ナビゲーション制御部10は、記録期間が終了する度に、累積実燃料消費量、累積仮燃料消費量、統計化期間内における平均設定温度を算出し、それら算出したデータの組を、当該記録期間内に特定した車両の所在位置を通る経路、現在の年、および現在の月、および、現在の年および月における記録期間の通し番号に関連付けて、走行履歴データに記録する。
【0082】
このような処理をナビゲーション制御部10が繰り返すと、その結果、累積実燃料消費量、累積仮燃料消費量、平均設定温度の複数個の組が走行履歴データに1組ずつ記録されることになる。
【0083】
ナビゲーション制御部10は、このような走行履歴データを利用してユーザに対して消費燃料の報知を行うため、図9に示すような報知処理を実行するようになっている。
【0084】
ナビゲーション制御部10は、ナビゲーションシステム1の起動時、または、ユーザが操作部13に対して報知処理開始のための操作を行ったときに、この報知処理を開始し、まずステップ310で、経路を1つ選択する。また、「その他の経路」という経路分類項目を選択してもよい。
【0085】
どの経路を選択するかは、ユーザの操作部13に対する操作によって決まる。例えば、ナビゲーション制御部10は、ステップ310において、まず走行履歴データにおいて累積実燃料消費量、累積仮燃料消費量、平均設定温度の組と関連付けて記録されているすべての経路を読み出し、それら経路を画像表示装置12に表示させる。そして、ユーザが操作部13を操作してそれら経路のうち1つを指定するのを待ち、指定されると、その指定された経路を選択するようになっていてもよい。
【0086】
また例えば、ユーザが操作部13を用いて目的地を設定し、また、ナビゲーション制御部10自身が経路算出処理によって誘導経路を算出したとき、ナビゲーション制御部10は、その誘導経路に一致する経路が走行履歴データに記録されているか否か判定し、記録されていれば、誘導経路に一致する走行履歴データ中の当該経路を選択するようになっていてもよい。
【0087】
また例えば、ユーザが操作部13を用いて目的地を設定し、また、ナビゲーション制御部10自身が経路算出処理によって誘導経路を算出したとき、ナビゲーション制御部10は、その誘導経路に一致する経路が走行履歴データに記録されているか否か判定し、記録されていなければ、「その他の経路」という経路分類項目を選択するようになっていてもよい。
【0088】
続いてステップ320では、季節を決定し、決定した季節(春、夏、秋、冬)に対応した月を選択する。決定する季節は、ユーザの操作部13に対する季節選択操作に基づいて決定するか、あるいは、現在の日付が属する季節としてもよい。季節と月の対応関係は、あらかじめ決められている。例えば、6月から8月は夏に対応けられる。
【0089】
続いてステップ325では、ステップ310で選択した経路、今年、およびステップ320で選択した月に関連付けて走行履歴データに記録されたすべての累積実燃料消費量、累積仮燃料消費量、および平均設定温度の組を読み出す。図10に、走行履歴データから夏季(今年の6月〜9月)の特定の経路の累積実燃料消費量、累積仮燃料消費量、および平均設定温度の組を呼び出す例を示す。
【0090】
続いてステップ330では、ステップ325で読み出した組に含まれるすべての累積実燃料消費量の総和を算出して総和実燃料消費量とする。続いてステップ340では、ステップ325で読み出した組に含まれるすべての累積仮燃料消費量の総和を算出して総和仮燃料消費量とする。続いてステップ350では、ステップ325で読み出した組に含まれるすべての平均設定温度の平均値(代表値の一例に相当する)を算出して大平均設定温度(大代表設定温度の一例に相当する)とする。
【0091】
続いてステップ360では、総和実燃料消費量から総和仮燃料消費量を減算した結果を節約燃料量とし、その節約燃料量を節約金額に換算する。節約燃料量から節約金額への換算は、節約燃料量に単位体積当たりの燃料価格(ガソリン価格、軽油価格等)を乗算することで実現する。この燃料価格は、ユーザが操作部13を用いて設定するようになっていてもよいし、あらかじめ定められた一定値(例えば120円/リットル)であってもよい。
【0092】
続いてステップ370では、ステップ330で算出した累積実燃料消費量、ステップ340で算出した累積仮燃料消費量、ステップ350で算出した大平均設定温度、ステップ360で算出した節約金額、および、オフセット温度Nを、画像表示装置12に表示させる。
【0093】
なお、表示するオフセット温度は、ナビゲーション制御部10において季節毎に割り当てられた温度とする。例えば、春季および夏季には所定の冷房用のオフセット温度(例えば1℃)を表示し、秋期および冬季には所定の暖房用のオフセット温度(例えば−1℃)を表示する。冷房用のオフセット温度および暖房用のオフセット温度はそれぞれ、空調システムの性能にあわせ、あらかじめ固定値を割り当てておく。図11に、ステップ330の処理による画像表示装置12の表示例を示す。
【0094】
このような表示を見たユーザは、夏の場合、選択した経路(または誘導経路)については自分が概ね25℃の設定温度で走行しており、これに対してオフセット温度だけ我慢すれば、あとどれだけ燃料の料金を節約できるかを知ることができる。
【0095】
なお、累積実燃料消費量の代わりに、累積実燃料消費量に上記係数αを乗算した結果の燃料料金を表示してもよいし、累積仮燃料消費量の代わりに、累積仮燃料消費量に上記係数αを乗算した結果の燃料料金を表示してもよいし、節約金額の代わりに節約燃料量を表示してもよい。
【0096】
以上説明した通り、ナビゲーションシステム1が、累積実燃料消費量、累積仮燃料消費量、平均設定温度の複数個の組が走行履歴データに記録されているとき、それら複数個の組を読み出し、読み出した複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量(またはその換算量)と、累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量(またはその換算量)と、の両方またはそれらの差分(またはその換算量)を報知し、それに加え、オフセット温度、大平均設定温度も報知する。したがって、この報知を受けたユーザは、あと何度我慢すればどれだけ燃料消費量を節約できるかを知ることができる。
【0097】
また、走行履歴データは、車両の使用時に実際に空調システム2に設定された設定温度に基づく累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量が記録されているので、そのような量に基づく報知は、ユーザが実際に経験している設定温度を基準とした報知なので、オフセット温度だけ我慢するということを実感し易い。つまり、よりユーザの走行体験に訴えるような消費燃料表示を行うことができ、その結果、ユーザの利便性を高めることができる。
【0098】
また、ナビゲーション制御部10は、累積実燃料消費量、累積仮燃料消費量、平均設定温度の組を、1つの記録期間内に車両が走行した経路に関連付けて、走行履歴データに記録し、また、走行履歴データに記録された組のうち、選択した経路に関連付けられた複数個の組を読み出し、読み出した複数個の組に渡る累総和実燃料消費量、総和仮燃料消費量、オフセット温度、大平均設定温度を報知し、また、総和実燃料消費量と総和仮燃料消費量の差またも報知するようになっている。
【0099】
ユーザが体験した設定温度が経路毎に異なる傾向が強くなっている場合もあるので、そのような場合には、上記のようにすることで、ユーザが過去に通った経路毎に、ユーザの走行体験に訴えるような消費燃料表示を行うことができ、その結果、更にユーザの利便性を高めることができる。
【0100】
また、ナビゲーション制御部10は、累積実燃料消費量、累積仮燃料消費量、平均設定温度の組を、記録期間が属する時期(年、月)に関連付けて、走行履歴データに記録し、また、ユーザ操作内容または現在の日付に基づいて時期を選択し、走行履歴データに記録された組のうち、選択した時期に関連付けられた複数個の組を読み出し、読み出した複数個の組に渡る総和実燃料消費量、総和仮燃料消費量、オフセット温度、大平均設定温度を報知し、また、総和実燃料消費量と総和仮燃料消費量の差またも報知するようになっている。
【0101】
設定温度は時期(季節等)毎に異なる傾向が強くなっているので、そのような場合には、上記のようにすることで、ユーザが過去に走行した時期毎に、ユーザの走行体験に訴えるような消費燃料表示を行うことができ、その結果、更にユーザの利便性を高めることができる。
【0102】
また、ナビゲーション制御部10は、ある記録期間に含まれる所定の統計化期間内に取得された設定温度の代表値を、同じ記録期間に対する累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量と組にして、走行履歴データに記録し、また、そのようにして記録された設定温度代表値に基づいて大代表設定温度を更に報知することで、ユーザは、自分が過去に実際に経験した設定温度の大まかな目安を得ることができる。つまり、あと何度我慢すればどれだけ燃料消費量を節約できるかという報知を、より鮮明に実感できるようになる。
【0103】
また、ナビゲーション制御部10は、記録期間のうち、記録期間内に取得した室内温度が記録期間内に取得した設定温度に最初に収束したと判定して以降の期間を統計化期間とするようになっている。
【0104】
このようにするのは、車両への搭乗時において室内温度が非常に高い(あるいは非常に低い)場合には、ユーザは設定温度を実際の好みの温度よりも低く(あるいは高く)設定することで、室内温度を早く好みの温度に近づけようとする可能性があるからである。ユーザがこのようにして設定した初期の設定温度は、室内温度が好みの温度に近づいた時点で修正され、実際の好みの温度に設定されることになる。したがって、このような初期の設定温度は、室内温安定後のユーザの体感との関連が薄く、上記のように代表値の算出対象の範囲から除外することで、設定温度の代表値とユーザの体感との関連がより強くなる。
【0105】
ただし、累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量については、初期の設定温度が結局は好みの温度に室内温度を近づけるためのものであることを考えれば、累積の算出対象を統計化期間に絞る必要性は乏しく、また、絞ってしまうと累積燃料消費量自体が不正確になってしまうので、累積の算出対象を統計化期間に絞らない。
【0106】
なお、上記実施形態においては、空調制御部20が、ステップ110を実行することで実燃料消費率特定手段の一例として機能し、ステップ120を実行することで仮燃料消費率特定手段の一例として機能する。また、ナビゲーション制御部10が、ステップ210、220を実行することで取得手段の一例として機能し、ステップ240を実行することで記録手段の一例として機能し、ステップ310〜370を実行することで報知手段の一例として機能する。
【0107】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0108】
(1)例えば、上記の実施形態において、図11のような表示に代えて、図12に示すような表示を行っていてもよい。この表示では、今年の夏季の大平均設定温度、実消費燃料と共に、昨年の夏季の大平均設定温度、実消費燃料を表示し、さらに、昨年の実消費燃料からことの実消費燃料を減算した結果を燃料の金額に換算し値を表示するようになっていてもよい。このようにすることで、ユーザは自分の節約実績を明確に知ることができる。
【0109】
(2)上記図11の表示においては、累積実燃料消費量、累積仮燃料消費量、大平均設定温度の表示を省略し、節約金額のみ表示するようになっていてもよい。また逆に、節約金額と大平均設定温度を表示せず、累積実燃料消費量と累積仮燃料消費量のみを表示するようになっていてもよい。
【0110】
(3)また、上記実施形態においては、統計化期間は、1つの記録期間の一部であったが、統計化期間は、1つの記録期間全体であってもよい。
【0111】
(4)また、上記実施形態の、ステップ248、ステップ350では、平均値を計算しているが、平均値の代わりに、最頻値を計算してもよいし、中央値を計算してもよい。つまり、ステップ248、ステップ350で計算するのは、統計的な代表値(central tendency)であればよい。
【0112】
(5)また、上記の実施家地帯では、記録開始条件は、車両の主電源(IG)がオフからオンになったという条件だが、必ずしもこのようになっておらずともよく、例えば、車両が走行を開始した(例えば、車速が所定値より大きくなった)という条件でもよい。
【0113】
(6)また、上記実施形態では、ステップ370の報知は、画像表示装置12を用いた表示であったが、画像表示装置12を用いず、音声出力部14のみを用いた音声による報知であってもよい。また、画像表示装置12と音声出力部14の両方を用いた報知であってもよい。
【0114】
(7)また、上記ステップ249では、累積実燃料消費量、累積仮燃料消費量、平均設定温度の組に関連付ける経路は、あらかじめ登録されているものでなくともよく、当該記録期間内に特定した車両の所在位置のすべてを通る経路を、新たに走行履歴データに記録してもよい。
【0115】
(8)また、上記実施形態では、ナビゲーション制御部10と空調制御部20で、あらかじめ冷房時用のオフセット温度と暖房時用のオフセット温度を同じに設定している。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、空調制御部20は、図3のステップ160で、室内温度、設定温度、実燃料消費率、仮燃料消費率に加え、当該仮燃料消費率の算出に用いたオフセット温度Nを、ナビゲーション制御部10に出力するようになっており、ナビゲーション制御部10は、走行履歴データに、平均設定温度、累積実消費燃料、累積仮消費燃料、空調制御部20から受信したオフセット温度Nの組を、記録するようになっていてもよい。この場合、ナビゲーション制御部10は、ステップ325で読み出した組中のオフセット温度Nの平均値を、ステップ370で表示するようになっていてもよい。
【0116】
(9)また、上記実施形態では、走行履歴データに記録する組は、累積実燃料消費量、累積仮燃料消費量、平均設定温度の組となっている。しかし、走行履歴データに記録する組は、少なくとも累積実燃料消費量と累積仮燃料消費量の組であればよいのであって、上記実施形態のように平均設定温度、累積実燃料消費量、累積仮燃料消費量の組であってもよいし、累積実燃料消費量と累積仮燃料消費量のみから成る組であってもよい。
【0117】
また、走行履歴データに記録される平均設定温度、累積実燃料消費量、累積仮燃料消費量の組は、年および月に関連付けられて記録されているが、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、走行履歴データに記録される組が関連付けられる対象は、ナビゲーション装置10の記憶部15の記憶容量に余裕があれば、年月日に関連付けられて記録されていてもよい。あるいは、年および月に関連付けられるのではなく、記録期間の属する季節(春、夏、秋、冬)に関連付けられて記録されていてもよい。なお、記録期間の属する季節は、記録期間の属する月に基づいて決定すればよい。つまり、走行履歴データに記録される組が関連付けられる時期は、どのように区分けされた時期であってもよい。
【0118】
また、走行履歴データに記録される平均設定温度、累積実燃料消費量、累積仮燃料消費量の組は、記録期間の属する時期に必ずしも関連付けられて記録されておらずともよい。さらに、走行履歴データに記録される組は、記録期間に車両が走行した経路に必ずしも関連付けられて記録されておらずともよい。
【0119】
(10)また、本発明の車載システムおよび消費燃料報知装置は、ハイブリッド車両のみならず、エンジンの動力のみで走行するエンジン車両に対しても適用可能である。ただしこの場合は、冷房時用のオフセット温度しか設定されない。
【0120】
(11)また、上記の実施形態において、ナビゲーション制御部10、空調制御部20がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【0121】
(12)また、走行履歴データ等の記録が必要なデータは、記憶部15の記憶媒体に限らず、他の、ナビゲーションシステム1の主電源の供給が停止してもデータを保持し続けることができる記憶媒体(例えばフラッシュメモリ、EEPROM、バックアップRAM、HDD)に記憶されるようになっていてもよい。その場合、記憶部15の記憶媒体は、HDD等の書き込み可能な記憶媒体である必要はなく、DVD、CD−ROM等の書き込み不可能な記憶媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 ナビゲーションシステム
2 空調システム
10 ナビゲーション制御部
15 記憶部
20 空調制御部
21 外気温センサ
22 室内温センサ
23 日射量センサ
24 設定操作部
25 記憶部
26 アクチュエータ
31 室内温度
32 設定温度
33 実燃料消費率
34 仮燃料消費率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調システム(2)が搭載された車両用の消費燃料報知装置であって、
所定の記録開始条件が満たされてから所定の記録終了条件が満たされるまでの記録期間において、前記空調システム(2)が現在の設定温度で消費する電力を発生するのに必要な単位時間当たりの燃料消費量である実燃料消費率を前記空調システム(2)から繰り返し取得すると共に、前記空調システム(2)が現在の設定温度よりも所定のオフセット温度だけオフセットした設定温度で消費する電力を発生するのに必要な単位時間当たりの燃料消費量である仮燃料消費率を前記空調システム(2)から繰り返し取得する取得手段(210、220)と、
前記取得手段(210、220)が前記記録期間において取得した実燃料消費率に基づいて、前記空調システム(2)が前記記録期間内において消費した燃料の総量を算出して累積実燃料消費量とし、前記取得手段(210、220)が前記記録期間内に取得した仮燃料消費率に基づいて、前記空調システム(2)の設定温度を実際の設定温度より前記オフセット温度だけオフセットしたなら前記空調システム(2)が前記記録期間内に消費したであろう燃料の総量を算出して累積仮燃料消費量とし、前記累積実燃料消費量および前記累積仮燃料消費量の組を、走行履歴データに記録する記録手段(240)と、
前記記録手段(240)によって複数の記録期間のそれぞれにおける累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の組が前記走行履歴データに記録された結果、累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の複数個の組が前記走行履歴データに記録されているとき、前記走行履歴データに記録された前記複数個の組を読み出し、読み出した前記複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量またはその換算量と、読み出した前記複数個の組に渡る累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知するか、もしくは、前記総和実燃料消費量と前記総和仮燃料消費量の差またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知する報知手段(310〜370)と、を備えた消費燃料報知装置。
【請求項2】
前記記録手段は(240)は、前記累積実燃料消費量および前記累積仮燃料消費量の組を、前記記録期間内に車両が走行した経路に関連付けて、前記走行履歴データに記録し、
前記報知手段(310〜370)は、ユーザの操作に基づいて経路を選択し、前記走行履歴データに記録された組のうち、選択した前記経路に関連付けられた複数個の組を読み出し、読み出した前記複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量またはその換算量と、読み出した前記複数個の組に渡る累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知するか、もしくは、前記総和実燃料消費量と前記総和仮燃料消費量の差またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知することを特徴とする請求項1に記載の消費燃料報知装置。
【請求項3】
前記記録手段は(240)は、前記累積実燃料消費量および前記累積仮燃料消費量の組を、前記記録期間が属する時期に関連付けて、前記走行履歴データに記録し、
前記報知手段(310〜370)は、ユーザ操作内容または現在の日付に基づいて時期を選択し、前記走行履歴データに記録された組のうち、選択した時期に関連付けられた複数個の組を読み出し、読み出した前記複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量またはその換算量と、読み出した前記複数個の組に渡る累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知するか、もしくは、前記総和実燃料消費量と前記総和仮燃料消費量の差またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知することを特徴とする請求項1または2に記載の消費燃料報知装置。
【請求項4】
前記取得手段(210、220)は、所定の記録開始条件が満たされてから所定の記録終了条件が満たされるまでの記録期間において更に、前記空調システム(2)の現在の設定温度と、前記車両の現在の室内温度とを繰り返し取得し、
前記記録手段(240)は、前記記録期間に含まれる所定の統計化期間内に前記取得手段(210、220)が取得した設定温度の代表値を算出して代表設定温度とし、前記代表設定温度、前記記録期間と同じ記録期間に対して算出した累積実燃料消費量、および、前記記録期間と同じ記録期間に対して算出した前記累積仮燃料消費量の組を、前記走行履歴データに記録し、
前記報知手段(310〜370)は、前記走行履歴データに記録された前記複数個の組を読み出し、読み出した前記複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量またはその換算量と、読み出した前記複数個の組に渡る累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量またはその換算量と、読み出した前記複数個の組に渡る代表設定温度の代表値である大代表設定温度と、前記オフセット温度と、を報知するか、もしくは、前記総和実燃料消費量と前記総和仮燃料消費量の差またはその換算量と、前記大代表設定温度と、前記オフセット温度と、を報知することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の消費燃料報知装置。
【請求項5】
前記記録開始条件は、前記車両の主電源がオンとなったという条件、または、前記車両が走行を開始したという条件を含み、
前記記録手段(240)は、前記記録期間のうち、前記記録期間内に取得した室内温度が前記記録期間内に取得した設定温度に最初に収束したと判定して以降の期間を前記統計化期間とすることを特徴とする請求項4に記載の消費燃料報知装置。
【請求項6】
空調システム(2)が搭載された車両用の消費燃料報知装置に用いるプログラムであって、
所定の記録開始条件が満たされてから所定の記録終了条件が満たされるまでの記録期間において、前記空調システム(2)が現在の設定温度で消費する電力を発生するのに必要な単位時間当たりの燃料消費量である実燃料消費率を前記空調システム(2)から繰り返し取得すると共に、前記空調システム(2)が現在の設定温度よりも所定のオフセット温度だけオフセットした設定温度で消費する電力を発生するのに必要な単位時間当たりの燃料消費量である仮燃料消費率を前記空調システム(2)から繰り返し取得する取得手段(210、220)、
前記取得手段(210、220)が前記記録期間において取得した実燃料消費率に基づいて、前記空調システム(2)が前記記録期間内において消費した燃料の総量を算出して累積実燃料消費量とし、前記取得手段(210、220)が前記記録期間内に取得した仮燃料消費率に基づいて、前記空調システム(2)の設定温度を実際の設定温度より前記オフセット温度だけオフセットしたなら前記空調システム(2)が前記記録期間内に消費したであろう燃料の総量を算出して累積仮燃料消費量とし、前記累積実燃料消費量および前記累積仮燃料消費量の組を、走行履歴データに記録する記録手段(240)、および
前記記録手段(240)によって複数の記録期間のそれぞれにおける累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の組が前記走行履歴データに記録された結果、累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の複数個の組が前記走行履歴データに記録されているとき、前記走行履歴データに記録された前記複数個の組を読み出し、読み出した前記複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量またはその換算量と、読み出した前記複数個の組に渡る累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知するか、もしくは、前記総和実燃料消費量と前記総和仮燃料消費量の差またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知する報知手段(310〜370)として、コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項7】
空調システム(2)が搭載された車両用の車載システムであって、
前記空調システム(2)が現在の設定温度で消費する電力を発生するのに必要な単位時間当たりの燃料消費量である実燃料消費率を特定する実燃料消費率特定手段(110)と、
前記空調システム(2)が現在の設定温度よりも所定のオフセット温度だけオフセットした設定温度で消費する電力を発生するのに必要な単位時間当たりの燃料消費量である仮燃料消費率を、温度に仮燃料消費率または仮燃料消費率に換算可能な量が割り当てられたテーブルに基づいて特定する仮燃料消費率特定手段(120)と、
所定の記録開始条件が満たされてから所定の記録終了条件が満たされるまでの記録期間において、前記実燃料消費率特定手段(110)が特定した実燃料消費率を繰り返し取得すると共に、前記仮燃料消費率特定手段(120)が特定した仮燃料消費率を繰り返し取得する取得手段(210、220)と、
前記取得手段(210、220)が前記記録期間において取得した実燃料消費率に基づいて、前記空調システム(2)が前記記録期間内において消費した燃料の総量を算出して累積実燃料消費量とし、前記取得手段(210、220)が前記記録期間内に取得した仮燃料消費率に基づいて、前記空調システム(2)の設定温度を実際の設定温度より前記オフセット温度だけオフセットしたなら前記空調システム(2)が前記記録期間内に消費したであろう燃料の総量を算出して累積仮燃料消費量とし、前記累積実燃料消費量および前記累積仮燃料消費量の組を、走行履歴データに記録する記録手段(240)と、
前記記録手段(240)によって複数の記録期間のそれぞれにおける累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の組が前記走行履歴データに記録された結果、累積実燃料消費量および累積仮燃料消費量の複数個の組が前記走行履歴データに記録されているとき、前記走行履歴データに記録された前記複数個の組を読み出し、読み出した前記複数個の組に渡る累積実燃料消費量の総和である総和実燃料消費量またはその換算量と、読み出した前記複数個の組に渡る累積仮燃料消費量の総和である総和仮燃料消費量またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知するか、もしくは、前記総和実燃料消費量と前記総和仮燃料消費量の差またはその換算量と、前記オフセット温度と、を報知する報知手段(310〜370)と、を備えた車載システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−25194(P2012−25194A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162791(P2010−162791)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】