説明

車両用アクティブエアフラップ装置

【課題】重量軽減及び原価節減をはかることと併せて故障発生時エアフラップを強制開放できる車両用アクティブエアフラップ装置を提供する。
【解決手段】車両用アクティブエアフラップ装置は、ダクトにリンケージを介して回転可能に設置され、前記リンケージと結合するローダー22を具備したエアフラップと、前記ダクトに設置されたハウジング30に固定設置された熱電素子40と、前記熱電素子40に一端が連結されるように前記ハウジング30内に設置されて、前記熱電素子40作動時に熱を伝達する熱伝達バー60と、前記ローダー22と前記熱伝達バー60に連結されるように設置されて、前記熱伝達バー60の温度変化に従って長さが変化しながら前記ローダー22に回転力を提供する長さ可変部材70と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用アクティブエアフラップ装置に係り、より詳しくは、重量減少及び原価節減をはかることと併せて故障発生時エアフラップを強制開放できる車両用アクティブエアフラップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両のエンジンルーム内にはエンジンなどの駆動のための部品だけではなく、ラジエーター、インタクーラー、蒸発器、コンデンサなど多様な熱交換などが具備されている。
前記のような熱交換機などは、主に内部に熱交換媒体が流通して、熱交換機内部の熱交換媒体と熱交換機外部の空気が互いに熱交換されることで、冷却または放熱がなされるもので、車両エンジンルーム内の多様な熱交換機などが安定的に作動するためにはエンジンルーム内部に外部空気が円滑に供給されなければならない。
しかし、車両が高速走行をすると多量の外部空気が高速流入され、空気抵抗が非常に大きくなって、車両の燃費が低下する問題がある。
これを解決するために低速走行時には開放角を大きくしてエンジンルームへの空気流入量を多くし、高速走行時には開放角を小さくして空気流入量を減らすことで、燃費向上に寄与できるアクティブエアフラップ装置が開発された。
【0003】
従来のアクティブエアフラップ装置は、図1に示すように、車両フロントエンドモジュール(図示せず)に固定設置されるダクト1と、該ダクト1にリンケージ2を介して回転可能に結合される多数個のエアフラップ3と、外部条件(エンジン温度、冷却水温度など)によってエアフラップ3の作動を制御するアクチュエータ4と、フロントエンドモジュールとダクト1との間の気密を維持するシーリング部材5、及び、アクチュエータ4はPCB4a、モータ4b、多数個のギア部材4cを具備した構成になっていた。
【0004】
しかし、モータ4bと多数個のギア部材4cを具備したアクチュエータ4によって従来のアクティブエアフラップ装置は重量が重くて、原価が高い短所がある。
特に、モータ(4b)が破損して駆動できなくなれば強制的にエアフラップ3を開放させることも不可能であるために、エアフラップ3は密閉状態を維持することになる。エアフラップ3が密閉された状態で走行をすれば、エンジン温度及びその他の熱交換機など温度が上昇し、車両に深刻な問題が発生する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−208482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記問題を解消するためになされたものであって、軽量、安価で、故障発生時にはエアフラップを強制開放することにより、車両部品の損傷が予防できる車両用アクティブエアフラップ装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用アクティブエアフラップ装置は、ダクト(10)にリンケージ(21)を介して回転可能に設置され、前記リンケージ(21)と結合するローダー(22)を具備したエアフラップ(20)と、前記ダクト(10)に設置されたハウジング(30)に固定設置された熱電素子(40)と、前記熱電素子(40)に一端が連結されるように前記ハウジング(30)内に設置されて、前記熱電素子(40)作動時に熱を伝達する熱伝達バー(60)と、前記ローダー(22)と前記熱伝達バー(60)に連結されるように設置されて、前記熱伝達バー(60)の温度変化に従って長さが変化しながら前記ローダー(22)に回転力を提供する長さ可変部材(70)と、を含むことを特徴とする。
【0008】
前記ダクト(10)に固定設置されて前記熱電素子(40)を制御するPCB(50)をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
前記ハウジング(30)は、前記ダクト(10)に固定されるように設置された外部ハウジング(31)と、前記外部ハウジング(31)の一端内側に固定されるように設置されて、前記熱電素子(40)と前記長さ可変部材(70)の一端が固定されるように設置されて前記熱伝達バー(60)が貫通する内部ハウジング(32)と、からなることを特徴とする。
【0010】
前記長さ可変部材(70)は温度が上昇すると長さが増し、温度が下がれば元の長さに復元される形状記憶合金スプリングであり、前記外部ハウジング(31)は、外部との熱交換を最小にすることができる断熱ハウジングであることを特徴とする。
【0011】
前記熱伝達バー(60)の末端で前記内部ハウジング(32)が位置する方向と反対方向に離隔された前記外部ハウジング(31)には前記外部ハウジング(31)の内部空間を前記外部ハウジング(31)の長さ方向と直交する方向に横切る係止顎バー(80)が固定設置され、前記外部ハウジング(31)の一側面には、前記ローダー(22)の一端が貫通する案内穴(31a)が前記外部ハウジング(31)の長さ方向に沿って延長されるように形成されたことを特徴とする。
【0012】
前記長さ可変部材(70)と連結された前記ローダー(22)の一端が前記長さ可変部材(70)の長さが増す方向に移動して前記係止顎バー80に乗って移動する場合、前記ローダー(22)は外力が作用しない限り前記長さ可変部材(70)の長さが減る方向に移動することができないよう前記係止顎バー(80)によって拘束されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明による車両用アクティブエアフラップ装置は、軽量、安価で、故障時にはダクトが開放されるようにエアフラップを強制回転することによって、エアフラップ故障による車両の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のアクティブエアフラップ装置の分解斜視図である。
【図2】従来のアクティブエアフラップ装置で使用するアクチュエータの図面である。
【図3】本発明によるアクティブエアフラップ装置のエアフラップによってダクトが密閉された状態を示す図面である。
【図4】本発明によるアクティブエアフラップ装置の構成を示す図面である。
【図5】図4のI−I線断面図である。
【図6】ハウジングの内部を示す図面である。
【図7】ローダーと長さ可変部材の結合状態を示す図面である。
【図8】エアフラップによってダクトが開放された状態を示す図面である。
【図9】故障時のローダーの位置を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面により、本発明の望ましい実施例による車両用アクティブエアフラップ装置について詳しく説明する。
本発明によるアクティブエアフラップ装置は、図3ないし図9に示す通り、車両フロントエンドモジュール(図示せず)に固定設置されるダクト10と、ダクト10にリンケージ21を介して回転可能に設置され、リンケージ21と結合されたローダー22を具備するエアフラップ20と、ダクト10に設置されたハウジング30に固定されるように設置された熱電素子40と、ダクト10に固定設置されて熱電素子40の動作を制御するPCB(Printed Circuit Board)50と、熱電素子40に一端が連結されるようにハウジング30内に設置されて熱電素子40作動時に熱を伝達する熱伝達バー60と、ローダー22と熱伝達バー60に連結されるように設置されて熱伝達バー60の温度変化によって長さが変化しながらローダー22に回転力を提供する長さ可変部材70よりなる。
【0016】
PCB50は、ダクト10の後方面の中間部位に固定設置されて、エアフラップ20はPCB50を基準に左右側部にそれぞれ上下2個ずつ計4個が具備された構成である。
エアフラップ20の位置及び個数は車種によって変更できることは勿論である。
エアフラップ20がリンケージ21を介して回転することにより、ダクト10は図3のように密閉状態になるか、または図8のように開放された状態になる。
ハウジング30は、ダクト10に固定設置された外部ハウジング31と、外部ハウジング31の一端内側に固定設置されて熱電素子40と長さ可変部材70の一端が固定されるように設置されて熱伝達バー60が貫通する内部ハウジング32から構成される。
【0017】
長さ可変部材70は温度が上昇すると長さが増し、温度が低下すれば元の長さに復元される形状記憶合金(Shape memory alloy)スプリングであることを特徴とする。
外部ハウジング31は、外部との熱交換を最小にすることができる断熱ハウジングである。外部ハウジング31に断熱ハウジングを使用すれば熱伝達バー60が長さ可変部材70に熱を伝達する時にハウジング30の外部への熱分散を遮断でき、これにより長さ可変部材70の応答性(作動時間)を向上させることができる。
外部ハウジング31には外部ハウジング31の内部空間を外部ハウジング31の長さ方向と直交する方向に横切る係止顎バー80が固定設置され、係止顎バー80は熱伝達バー60の末端で内部ハウジング32が位置する方向と反対方向に離隔された位置に固定設置される。
【0018】
外部ハウジング31の一側面にはローダー22の一端が貫通する案内穴31aが外部ハウジング31の長さ方向に沿って延長するように形成さる。
係止顎バー80と案内穴31aは、エアフラップ20が自動で作動しない時に密閉されたダクト10を開放状態で維持することができるようエアフラップ20を強制回転及び固定させるための構成要素である。
内部ハウジング32は外部の衝撃によって熱伝達バー60がハウジング30外に離脱するのを防止する。
【0019】
以下、本発明のアクティブエアフラップの作用について説明する。
図3は、エアフラップ20がダクト10を密閉させている状態である。
図3のような状態でエンジン温度が上昇するか、または冷却水温度が上昇するなど外部のセンサーからPCB50が信号の伝達を受ければ、PCB50は制御信号を送って熱電素子40を動作させ、熱電素子40は熱を発生する。
熱電素子40で発生した熱は、熱伝達バー60を通じて形状記憶合金スプリングである長さ可変部材70に伝達され、長さ可変部材70は温度が徐々に上昇して長さが増す。
【0020】
長さ可変部材70の長さが増せば長さ可変部材70と連結するローダー22は回転するようになり、ローダー22の回転によってリンケージ21及びエアフラップ20が共に回転をするようになることで、図3のようにエアフラップ20によって密閉され、ダクト10は図8のように開放された状態になる。
そして、外部条件の変化によってPCB50が制御信号を送って熱電素子40の動作を止めれば、熱電素子40は熱を発生しなくなり、熱伝達バー60の温度は徐々に低下して、長さ可変部材70の長さは次第に減って元の形状に復元される。
【0021】
そうすると、ローダー22は長さ可変部材70の長さが増える時の回転方向と反対方向に回転し、エアフラップ20の回転によって図8のように開放されていたダクト10は図3のように再び密閉された状態になる。
一方、アクティブエアフラップが自動で作動せずダクト10を密閉させた状態で故障した場合は、エンジン温度及びその他熱交換機などの温度が上昇して、車両には深刻な問題が発生する。
したがって、アクティブエアフラップを修理まで車両を安全に維持しなければならず、作業者は図5の状態のローダー22を内部ハウジング32と反対方向に引いて図9のように係止顎バー80に引っかける。
【0022】
ローダー22は、外部ハウジング31に形成された案内穴31aに沿って円滑に移動し、ローダー22が図9のように係止顎バー80に掛かった状態の場合、ローダー22は外力が作用しない限り係止顎バー80によって拘束され長さ可変部材70の長さが減る方向に再び移動することができなくなる。
図9のようにローダー22が係止顎バー80に係止されて拘束された状態になれば、エアフラップ20が強制回転した状態になることで、密閉されたダクト10は図8のように開放状態を持続的に維持することができ、エアフラップ20故障による車両の損傷を防止することができる。
【0023】
本発明によるアクティブエアフラップ装置は、重くて原価が高いモータ及び多数個のギア部材を使用しないため、重量及び原価節減できる長所がある。
また、故障時にはダクト10が開放されるようにエアフラップ20を強制回転せることによって、エアフラップ20故障による車両の損傷を防止することができる長所がある。
【0024】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0025】
10 ダクト
20 エアフラップ
30 ハウジング
40 熱電素子
50 PCB
60 熱伝達バー
70 長さ可変部材
80 係止顎バー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクト(10)にリンケージ(21)を介して回転可能に設置され、前記リンケージ(21)と結合するローダー(22)を具備したエアフラップ(20)と、
前記ダクト(10)に設置されたハウジング(30)に固定設置された熱電素子(40)と、
前記熱電素子(40)に一端が連結されるように前記ハウジング(30)内に設置されて、前記熱電素子(40)作動時に熱を伝達する熱伝達バー(60)と、
前記ローダー(22)と前記熱伝達バー(60)に連結されるように設置されて、前記熱伝達バー(60)の温度変化に従って長さが変化しながら前記ローダー(22)に回転力を提供する長さ可変部材(70)と、
を含むことを特徴とする車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項2】
前記ダクト(10)に固定設置されて前記熱電素子(40)を制御するPCB(50)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項3】
前記ハウジング(30)は、前記ダクト(10)に固定されるように設置された外部ハウジング(31)と、
前記外部ハウジング(31)の一端内側に固定されるように設置されて、前記熱電素子(40)と前記長さ可変部材(70)の一端が固定されるように設置されて前記熱伝達バー(60)が貫通する内部ハウジング(32)と、
からなることを特徴とする請求項1に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項4】
前記長さ可変部材(70)は温度が上昇すると長さが増し、温度が下がれば元の長さに復元される形状記憶合金スプリングであることを特徴とする請求項1に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項5】
前記外部ハウジング(31)は、外部との熱交換を最小にすることができる断熱ハウジングであることを特徴とする請求項3に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項6】
前記熱伝達バー(60)の末端で前記内部ハウジング(32)が位置する方向と反対方向に離隔された前記外部ハウジング(31)には前記外部ハウジング(31)の内部空間を前記外部ハウジング(31)の長さ方向と直交する方向に横切る係止顎バー(80)が固定設置され、
前記外部ハウジング(31)の一側面には、前記ローダー(22)の一端が貫通する案内穴(31a)が前記外部ハウジング(31)の長さ方向に沿って延長されるように形成されたことを特徴とする請求項3に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。
【請求項7】
前記長さ可変部材(70)と連結された前記ローダー(22)の一端が前記長さ可変部材(70)の長さが増す方向に移動して前記係止顎バー80に乗って移動する場合、前記ローダー(22)は外力が作用しない限り前記長さ可変部材(70)の長さが減る方向に移動することができないよう前記係止顎バー(80)によって拘束されることを特徴とする請求項6に記載の車両用アクティブエアフラップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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