説明

車両用アンダカバーの製造方法

【課題】車両の床面下に取付けられるアンダカバー10を樹脂の射出成形により製造する車両用アンダカバーの製造方法において、樹脂の射出成形でありながら、部品を組み付けるように一つのアンダカバーを製造することにより、車種の違いに係らずアンダカバーの一部分を共通化してアンダカバーの生産性を向上する。
【解決手段】アンダカバー10を車種によって異なる専用部分と、車種に係らず共通の共通部分とに分け、共通部分を予め樹脂の射出成形により製造し、その共通部分に対して専用部分を部分成形により一体化する。共通部分は共通の成形型によって製造できるので生産性を向上することができ、専用部分は部分成形により形成するので、部分的に生産性は低下するが、車種毎に成形型を変えて全てを専用化して成形する場合に比べて、全体としての生産性は向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の床面下に取付けられるアンダカバーを樹脂の射出成形により製造する車両用アンダカバーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の空力性能を改善するため、車両の床下にはアンダカバーが設けられ、アンダカバーの下表面には整流フィンが設けられている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−112340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、空力性能改善のための整流フィンの最適位置、形状、大きさは、車体の構造、形状、大きさ等によって変化する。そのため、車種毎にアンダカバーを製造する必要がある。アンダカバーは一般的に樹脂の射出成形によって製造されるが、量に対してアンダカバーの種類が多くなると、生産性が悪くなる問題がある。
本発明は、このような問題に鑑み、樹脂の射出成形でありながら、部品を組み付けるように一つのアンダカバーを製造することにより、車種の違いに係らずアンダカバーの一部分を共通化してアンダカバーの生産性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1発明は、車両の床面下に取付けられるアンダカバーを樹脂の射出成形により製造する車両用アンダカバーの製造方法であって、アンダカバーを車種によって異なる専用部分と、車種に係らず共通の共通部分とに分け、共通部分を予め樹脂の射出成形により製造し、その共通部分に対して専用部分を部分成形により一体化することを特徴とする車両用アンダカバーの製造方法である。
第1発明によれば、共通部分は共通の成形型によって製造できるので生産性を向上することができ、専用部分は部分成形により形成するので、部分的に生産性は低下するが、車種毎に成形型を変えて全てを専用化して成形する場合に比べて、全体としての生産性は向上させることができる。
【0006】
本発明の第2発明は、車両の床面下に取付けられるアンダカバーを樹脂の射出成形により製造する車両用アンダカバーの製造方法であって、アンダカバーを車種によって異なる専用部分と、車種に係らず共通の共通部分とに分け、共通部分を予め樹脂の射出成形により製造し、その共通部分に対して別に成形された専用部分を接着して一体化することを特徴とする車両用アンダカバーの製造方法である。
第2発明によれば、上記第1発明と同様に全体としての生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る車両用アンダカバーの製造方法によって製造されたアンダカバーを備えた車両の一実施形態を示す側面図である。
【図2】上記実施形態の底面図である。
【図3】上記実施形態の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜3において、電気自動車の床面下には、アンダカバー10が取付けられている。アンダカバー10は、車体30の中央部から後方にかけて設けられ、車体骨格の一部を兼ねるように所定の強度を持って構成されており、樹脂の射出成形により形成されている。
アンダカバー10の下面には、車両走行時、アンダカバー10の下表面を流れる空気流が途中で渦流となったり偏流しないように整流する整流フィン11〜14が一体に設けられている。この整流フィン11〜14は、車体の構造、形状、大きさ等により空気流が変化するため、車種毎に最適な形状、配置、大きさ等が選定されている。
このため、整流フィン11〜14は車種毎の専用部分として設計され、それ以外のアンダカバー10は共通部分として設計される。共通部分は従来と同様に樹脂の射出成形によって一体に形成され、この共通部分に対して整流フィン11〜14となる専用部分に対応して入れ子を設定し、当該部分に部分成形を行い、各整流フィン11〜14をそれぞれ形成する。この部分成形は、公知の方法を採用できる。
各整流フィン11〜14は、個別に小型の成形機により成形し、別に成形された共通部分に接着することにより形成することもできる。接着は、樹脂用の接着剤を用いて行っても、また接着面に高周波振動を加えて部分的に樹脂を溶融させて接着しても良い。
【0009】
このように、一つのアンダカバー10を共通部分と専用部分とに分け、射出成形された共通部分に専用部分を追加するように形成するので、全てを一体で射出成形するものに比べれば生産性は劣るものの、一部となる専用部分を除く共通部分は車種の違いに係らず纏めて成形することができるので、車種毎に違う成形型を使って成形する場合に比べてトータルの生産性を向上することができる。
【0010】
図1〜3において、24はアンダカバー10の上部に設けられたバッテリ収納室(不図示)の空気取入口であり、21はその前方に設けられた整流板である。また、22は車両前方で取り入れた空気を車輪付近のブレーキ機構に導くダクトであり、23は車両前方に設置され、上記空気取入口24或いはダクト22に泥、石等が空気流と共に入らないようにガードする可動スパッツである。この可動スパッツ23は、図1のように空気取入口24或いはダクト22の前を遮る位置と遮らない位置との間で移動可能とされている。更に、31〜34は、電気自動車の前後左右の4つの車輪を示している。
【0011】
本発明は、上記実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【符号の説明】
【0012】
10 アンダカバー
11、12、13、14 整流フィン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の床面下に取付けられるアンダカバーを樹脂の射出成形により製造する車両用アンダカバーの製造方法であって、アンダカバーを車種によって異なる専用部分と、車種に係らず共通の共通部分とに分け、共通部分を予め樹脂の射出成形により製造し、その共通部分に対して専用部分を部分成形により一体化することを特徴とする車両用アンダカバーの製造方法。
【請求項2】
車両の床面下に取付けられるアンダカバーを樹脂の射出成形により製造する車両用アンダカバーの製造方法であって、アンダカバーを車種によって異なる専用部分と、車種に係らず共通の共通部分とに分け、共通部分を予め樹脂の射出成形により製造し、その共通部分に対して別に成形された専用部分を接着して一体化することを特徴とする車両用アンダカバーの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−214078(P2012−214078A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79439(P2011−79439)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】